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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】磁性体及び磁性素子
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/26 20060101AFI20220831BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20220831BHJP
   H01F 1/24 20060101ALI20220831BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220831BHJP
   C08K 3/11 20180101ALI20220831BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01F1/26 ZNM
H01F17/04 F
H01F1/24
C08L101/00
C08K3/11
C08K9/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022048117
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2022-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松澤 覚
(72)【発明者】
【氏名】大島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】金森 悠
(72)【発明者】
【氏名】大平 かほり
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135342(JP,A)
【文献】特開2017-171947(JP,A)
【文献】特開2021-040083(JP,A)
【文献】特開2019-033268(JP,A)
【文献】特開2019-192883(JP,A)
【文献】特開2015-012273(JP,A)
【文献】特開2009-266973(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137452(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/133319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/26
H01F 17/04
H01F 1/24
C08L 101/00
C08K 3/11
C08K 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性粉と、樹脂硬化物と、を含み、
前記樹脂硬化物がイミド結合を有し、
前記軟磁性粉が、Cr及びAlより選択される1種以上を含む鉄合金粉を含み、
180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が30MPa以上である、磁性体。
【請求項2】
180℃の環境下で1000時間保持後の強度維持率が50%以上である、請求項1に記載の磁性体。
【請求項3】
180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が50MPa以上である、請求項1又は2に記載の磁性体。
【請求項4】
180℃の環境下で1000時間保持後の重量変化率が1%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項5】
180℃の環境下で1000時間保持後の前記樹脂硬化物の空孔の平均長径が2μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項6】
180℃の環境下で1000時間保持後において、前記軟磁性粉と、前記樹脂硬化物との平均距離が1μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項7】
前記樹脂硬化物が、ポリエステルイミドを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項8】
前記樹脂硬化物の割合が、前記軟磁性粉100質量部に対して2~6質量部である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項9】
前記樹脂硬化物が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリイミド系樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項10】
前記ポリエステル系樹脂が、カルボキシ基を有する、請求項に記載の磁性体。
【請求項11】
前記ポリイミド系樹脂が、エチレン性二重結合を有する、請求項又は10に記載の磁性体。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂組成物が、更に過酸化物を含む、請求項11のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項13】
前記鉄合金粉がFe-Si合金を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項14】
前記Fe-Si合金がSiを4~10質量%含む、請求項13に記載の磁性体。
【請求項15】
前記軟磁性粉が、表面に無機絶縁層を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項16】
前記無機絶縁層が、リン酸塩及びケイ酸塩より選択される1種以上を含む、請求項15に記載の磁性体。
【請求項17】
前記無機絶縁層の割合が、前軟磁性粉100質量部に対して0.1~3質量部である、請求項15又は16に記載の磁性体。
【請求項18】
前記無機絶縁層の平均厚みが、10~100nmである、請求項1517のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項19】
前記軟磁性粉の平均粒径が、5~30μmである、請求項1~18のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の磁性体と、
前記磁性体に埋設されたコイルと、を備える、磁性素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体及び磁性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電動化に伴い、車載電子部品の需要が増加している。また、車内空間の確保から電子部品はエンジンやモーター近くに配置され更なる耐熱性の向上が求められている。電子部品に用いられる磁性素子についても更なる耐熱性が求められている。また長期間、インダクタの機能を確保するためには、180℃の高温環境下における長期耐熱性と、長期間の振動に対する素子の強度維持が求められている。
【0003】
磁性素子に用いる磁性体の一つとして、いわゆるプラスチックマグネットが挙げられる。プラスチックマグネットは、軟磁性金属粉が分散されたバインダー樹脂を射出成型などにより所定の形状に成形されたものである。プラスチックマグネットによれば、所望の形状の磁性体を比較的容易に得ることができる。
【0004】
磁性体の耐熱性を向上する手法の一つとして、耐熱性に優れたバインダー樹脂を選択することが検討されている。例えば特許文献1には、耐熱性に優れたパーフルオロフッ素樹脂を含む複合フッ素樹脂が用いられた磁性コアが開示されている。
【0005】
またプラスチックマグネットを用いて、磁性体内にコイルを埋設した一体型の磁性素子を製造することが検討されている。例えば特許文献2には、キャビティ内にコイルを配置した後当該キャビティ内に熱可塑性素子と磁性粉とを含有する組成物を充填するインダクタの製造方法が開示されている。一体成型されたインダクタはシールド処理をすることなく漏洩磁束を抑制できるというメリットもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-188680号公報
【文献】特開2019-102713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れた磁性体及び磁性素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る磁性体は、軟磁性粉と、樹脂硬化物と、を含み、
180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が30MPa以上である。
【0009】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後の強度維持率が50%以上である。
【0010】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後の絶縁抵抗が10Ω以上である。
【0011】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が50MPa以上である。
【0012】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後の重量変化率が1%以下である。
【0013】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後の前記樹脂硬化物の空孔の平均長径が2μm以下である。
【0014】
上記磁性体の一実施形態は、180℃の環境下で1000時間保持後において、前記軟磁性粉と、前記樹脂硬化物との平均距離が1μm以下である。
【0015】
上記磁性体の一実施形態は、前記樹脂硬化物がイミド結合を有する。
【0016】
上記磁性体の一実施形態は、前記樹脂硬化物が、ポリエステルイミドを有する。
【0017】
上記磁性体の一実施形態は、前記樹脂硬化物の割合が、前記軟磁性粉100質量部に対して2~6質量部である。
【0018】
上記磁性体の一実施形態は、前記樹脂硬化物が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリイミド系樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
【0019】
上記磁性体の一実施形態は、前記ポリエステル系樹脂が、カルボキシ基を有する。
【0020】
上記磁性体の一実施形態は、前記ポリイミド系樹脂が、エチレン性二重結合を有する。
【0021】
上記磁性体の一実施形態は、前記熱硬化性樹脂組成物が、更に過酸化物を含む。
【0022】
上記磁性体の一実施形態は、前記軟磁性粉が、鉄合金粉を含む。
【0023】
上記磁性体の一実施形態は、前記鉄合金粉がFe-Si合金を含む。
【0024】
上記磁性体の一実施形態は、前記Fe-Si合金がSiを4~10質量%含む。
【0025】
上記磁性体の一実施形態は、前記鉄合金粉が、更にCr及びAlより選択される1種以上を含む。
【0026】
上記磁性体の一実施形態は、前記軟磁性粉が、表面に無機絶縁層を有する。
【0027】
上記磁性体の一実施形態は、前記無機絶縁層が、リン酸塩及びケイ酸塩より選択される1種以上を含む。
【0028】
上記磁性体の一実施形態は、前記無機絶縁層の割合が、前軟磁性粉100質量部に対して0.1~3質量部である。
【0029】
上記磁性体の一実施形態は、前記無機絶縁層の平均厚みが、10~100nmである。
【0030】
上記磁性体の一実施形態は、前記軟磁性粉の平均粒径が、5~30μmである。
【0031】
本発明に係る磁性素子は、前記本発明に係る磁性体と、
前記磁性体に埋設されたコイルと、を備える。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れた磁性体及び磁性素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】磁性体の一例を示す模式断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る磁性素子の模式的な透過図である。
図3図2のA-A断面を示す模式的な断面図である。
図4】例5の磁性体の断面SEM像である。
図5】例6の磁性体の断面SEM像である。
図6】例7の磁性体の断面SEM像である。
図7】例8の磁性体の断面SEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。
説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。説明のため図面中の各部材は縮尺が大きく異なることがある。
なお、数値範囲を示す「~」は特に断りがない限り、その下限値及び上限値を含むものとする。
また本発明において、「製造直後の磁性体」は、磁性体の製造後、常温で24時間程度保管したものまでを含むものとする。
【0035】
[磁性体]
図1は磁性体の一例を示す模式断面図である。図1の例の磁性体10(以下、本磁性体とも記す。)は、軟磁性粉1と、樹脂硬化物2を有し、樹脂硬化物2中に軟磁性粉1が分散された成形体である。
本磁性体は、180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が30MPa以上であることを特徴とし、180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れている。なお、本実施形態において圧環強度は、JIS Z2507の圧環強さの試験方法に従って求められる値である。
本磁性体の180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度は、中でも40MPa以上が好ましく、50MPa以上がより好ましい。
【0036】
本磁性体は、180℃の環境下で1000時間保持後の強度維持率が50%以上であることが好ましい。ここで強度維持率は、製造直後の磁性体の圧環強度K(MPa)と、180℃の環境下で1000時間保持後の磁性体の圧環強度K(MPa)から、下記式(1)により算出された値である。
式(1): 強度維持率(%) = K/K×100
【0037】
強度維持率は、耐熱性の点から、中でも、55%以上が好ましく、60%以上が好ましい。また、本磁性体の製造直後の圧環強度は60MPa以上が好ましく、70MPa以上がより好ましく、80MPa以上が更に好ましい。
【0038】
本磁性体は高温環境下において絶縁性が維持されることが好ましい。このような観点から、本磁性体の180℃の環境下で1000時間保持後の絶縁抵抗は10Ω以上であることが好ましく、10Ω以上がより好ましい。
また、本磁性体の製造直後の絶縁抵抗は、10Ω以上であることが好ましく、10Ω以上がより好ましく、10Ω以上がより好ましい。
【0039】
本磁性体は強度維持の観点から、180℃の環境下で1000時間保持後の重量変化率が1%以下であることが好ましく、0.9%以下がより好ましく、0.8%以下が更に好ましい。ここで重量変化率は、製造直後の磁性体の重量W(g)と、180℃の環境下で1000時間保持後の磁性体の重量W(g)から、下記式(2)により算出された値である。
式(2): 重量変化率(%) = |W-W|/W×100
【0040】
また、本磁性体は強度維持の観点から、高温環境下において、磁性粉周辺の樹脂硬化物の分解が抑制されることが好ましい。図5は、後述する例6の磁性体の断面SEM像である。当該図5に示されるように、高温環境下において、磁性粉周辺の樹脂硬化物の分解が進むことがあり、この場合、圧環強度が大きく低下する傾向が見られる。
具体的には、本磁性体は強度維持の観点から、180℃の環境下で1000時間保持後において、軟磁性粉と、樹脂硬化物との平均距離が1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましい。ここで上記平均距離は、磁性体の断面SEM像中の磁性体と樹脂との間の空隙の幅を距離とし、その平均値である。
【0041】
また、本磁性体は強度維持の観点から、高温環境下において、樹脂硬化物内部への大きな空孔の形成が抑制されることが好ましい。具体的には、本磁性体は強度維持の観点から、180℃の環境下で1000時間保持後において、樹脂硬化物の空孔の平均長径が2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。平均長径が2μmを超える場合、強度維持率が低下する傾向が見られる。ここで上記平均長径は、磁性体の断面SEM像中の各空孔から測定した長径の平均値である。
【0042】
本磁性体は、少なくとも180℃の環境下で1000時間保持後の圧環強度が30MPa以上であればよい。上記長期耐熱性を達成する方法は特に限定されないが、例えば本磁性体を構成する軟磁性粉や樹脂硬化物の選択により達成することができる。
以下、本磁性体に含まれ得る各成分について説明する。
【0043】
<軟磁性粉>
軟磁性粉は、軟磁性を示す材料の中から適宜選択して用いることができる。磁気特性の点からは、鉄を含むものが好ましく、鉄単体であっても、鉄と他の元素とを含む合金であってもよい。軟磁性粉としては、カルボニル鉄、Fe-Si合金、Fe-Ni合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al合金、少なくともFe-Bを含むFe基非晶質合金粉末、少なくともFe-B-P-Cuを含むFe基ナノ結晶合金などの鉄合金粉を含むことが好ましい。ここで、前記Fe基非晶質合金とは、Fe基合金の内、結晶組織を持たない非晶質(アモルファス)な合金をいう。また、Fe基ナノ結晶合金とは、前記Fe基非晶質合金に熱処理を実施し、非晶質相中に微細なα-Fe結晶を析出させた合金をいう。軟磁性粉は1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
高温環境下における軟磁性粉中の鉄の酸化が抑制されるとともに、鉄と樹脂硬化物の接触面で生じる鉄の触媒作用が抑制されて樹脂硬化物の熱酸化分解が抑制される点から、鉄合金粉は、Fe-Si合金を含むことが好ましい。またFe-Si合金を用いることで、透磁率が高く、低鉄損の磁性体が得られる。
【0045】
Fe-Si合金中のSiの割合は、Fe-Si合金全量に対し4~10質量%が好ましい。更に磁性体の耐熱性の点からは、当該Siの割合が4.5質量%以上であることが好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、磁気特性の低下を抑制し、Fe-Si合金の硬さや脆さを抑制できる点からは、当該Siの割合が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下が好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
また、Fe-Si合金は、更に、Cr、Al、Mn、Ni、C、O、N、S、P、B、Cu等の他の元素を含んでいてもよい。耐熱性の点からは、Fe-Si合金粉がCr及びAlより選択される1種以上を含むことが好ましい。Cr及びAlはFe-Si合金粉の表面に不働態層を形成するため、高温環境下において軟磁性粉の酸化が抑制されるとともに、樹脂硬化物と鉄との接触が抑制されて樹脂硬化物の酸化も抑制される。
Fe-Si合金中のCr又はAlの割合は、耐熱性と防錆の点から、Fe-Si合金粉100質量部中、0.5~10質量部が好ましく、3~8質量部がより好ましい。なお、CrとAlの両方を含む場合は、合計質量が上記範囲内にあることが好ましい。
Cr及びAlを除く他の元素の合計の含有割合は、耐熱性や磁気特性の点から、軟磁性粉100質量部中、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下が好ましい。
【0046】
軟磁性粉の形状は、球形状、楕円球状、針状、棒状、板状などが挙げられ、本磁性体の成型時における金型への充填性や、樹脂硬化物等との接触面積を小さくする点から、球形状が好ましい。
また、軟磁性粉の平均粒径は、耐熱性の点から、1~100μmが好ましく、3~60μmがより好ましく、更に、1MHz以上の周波数帯域での使用における表皮効果の点から5~30μmがさらに好ましい。
【0047】
軟磁性粉の製造方法は特に限定されず、例えば、アトマイズ法、メルトスピニング法、回転電極法、メカニカルアロイング法や、還元による化学的な析出法など公知の方法の中から適宜選択すればよい。球形状の粒子が好適に得られる点から、アトマイズ法が好ましい。アトマイズ法としては、例えば、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心力アトマイズ法、プラズマアトマイズ法などが挙げられ、量産安定性と生産性の観点からガスアトマイズ法又は水アトマイズ法が好ましく、30μm以下の粉末を得やすい点から、水アトマイズ法が好ましい。
【0048】
(無機絶縁層)
上記軟磁性粉は、更に無機絶縁層を有していてもよい。無機絶縁層を備えることにより、軟磁性粉同士の接触を抑制して絶縁性を確保するとともに、軟磁性粉と樹脂硬化物の接触を抑制して更に樹脂硬化物の熱分解を抑制できる。また、無機絶縁層を用いることで絶縁層自体の耐熱性が更に向上する。
【0049】
無機絶縁層の絶縁材としては、例えば、SiO(ケイ酸)、Al(アルミナ)、ZrOなどの無機酸化物やSi、BNなどの窒化物、ケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、ビスマスガラスなどのガラス材や雲母、クレイなどの鉱物が挙げられ、中でも、リン酸塩及びケイ酸塩を含むことが好ましい。無機絶縁層中の絶縁材は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
無機絶縁層は、絶縁抵抗を確保し、樹脂硬化物の酸化を抑制する点から、軟磁性粉100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。無機絶縁層は、軟磁性粉100質量部に対して3質量部以下であればよく、磁気特性の点から、2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましい。
【0051】
無機絶縁層の平均厚みは絶縁抵抗を確保し、樹脂硬化物の酸化を抑制する点から、10~100nmが好ましく、10~60nmがより好ましい。
なお無機絶縁層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)で軟磁性粉表面を観察して求めることができる。また、簡易的には、軟磁性粉を単一粒径の球形粒子と仮定し、軟磁性粉の比表面積と、絶縁材の比重を用い、下記式(3)及び(4)から無機絶縁層の平均厚みを算出することができる。
式(3): 軟磁性粉の比表面積(m/g)=6/[軟磁性粉の比重(g/m)×軟磁性粉の粒径(m)]
式(4): 無機絶縁層厚み(m)=絶縁材の質量(g)/[軟磁性粉の質量(g)×軟磁性粉の比表面積(m/g)×コート粉末の比重(g/m)]
【0052】
軟磁性粉に無機絶縁層を設ける方法は、例えば、粉末混合法、浸漬法、ゾルゲル法、CVD法、PVD法、又は前記以外の公知の様々な方法の中から適宜選択することができる。
【0053】
<樹脂硬化物>
本磁性体は樹脂硬化物を含む。樹脂硬化物は、バインダー成分として用いられる樹脂の硬化物である。当該樹脂は、単独又は複数成分により硬化性を有していればよく、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。本磁性体における硬化性樹脂は、加熱成型時の加工性と、製造後の耐熱性を両立する点から、熱硬化性樹脂が好ましい。なお本発明において樹脂硬化物とは、硬化性樹脂の少なくとも一部が架橋反応したものをいう。樹脂硬化物としては、エポキシ樹脂硬化物や、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
【0054】
本磁性体において樹脂硬化物は、の高温環境下における長期耐熱性に優れる点から、イミド結合(-C(=O)-NR-C(=O)-;但し、Rは水素原子または有機基である)を有することが好ましい。イミド結合を有する樹脂硬化物は、高温環境下においても当該イミド結合の分解が抑制され、空孔が形成されにくく長期保存後の強度が低下しにくく、また絶縁性も維持される。
【0055】
更に耐熱性を向上する点から、樹脂硬化物は、ポリエステルイミドを有することが好ましい。本発明においてポリエステルイミドとは、分子内に2以上のエステル結合と、2以上のイミド結合とを有するものをいう。ポリエステルイミドを有する樹脂硬化物は、複数のポリマー鎖が架橋(クロスリンク)した3次元構造を有し、当該樹脂硬化物がエステル結合とイミド結合とを各々複数有することで、構造が安定化し、180℃の高温環境下において熱分解がより抑制される。
【0056】
樹脂硬化物の前駆体である熱硬化性樹脂は、硬化後にポリエステルイミド構造を含む硬化物が形成されるものが好ましい。中でも、本磁性体の成型を低温で行いやすい点から、ポリエステル樹脂と、エポキシ樹脂と、ポリイミド樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物が好ましい。当該熱硬化性樹脂組成物を用いることで、成型時の加熱温度を例えば180℃程度とすることができる。
【0057】
ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸とポリオールとの重合体の中から適宜選択して用いることができる。中でも、エポキシ樹脂との反応性の点から、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が好ましい。
ポリカルボン酸は、1分子中に2個以上のカルボン酸を有する化合物の中から適宜選択でき、中でも、1分子中に2個のカルボン酸を有するジカルボン酸又はその無水物であることが好ましい。
ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸などが挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ポリカルボン酸として、イソフタル酸及びマレイン酸より選択される1種以上を含むことが好ましい。
ポリオールは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の中から適宜選択ですることができる。ポリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、トリメチルールプロパン、グリセリン、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
ポリエステル樹脂は、上記ポリカルボン酸とポリオールとを公知の方法で脱水縮合反応させることで得られる。また、所望の構造を有する市販品を用いてもよい。
【0059】
エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物の中から適宜選択することができる。エポキシ樹脂の好適な具体例としては、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びこれらのアルキレンオキサイド変性物との縮合反応により得られるエピビス系エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンとフェノール樹脂との縮合反応により得られるノボラック系エポキシ樹脂;メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテルなどが挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
ポリイミド樹脂は、1分子中に2個以上のイミド結合を有する化合物の中から適宜選択すればよい。中でも他の樹脂との架橋性の点から、エチレン性二重結合を有するものが好ましく、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ジアリルナジイミド及びN,N’-(m-キシリレン)ジアリルナジイミドが好ましい。ポリイミド樹脂は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
上記熱硬化性樹脂組成物の配合比率は、得られる樹脂硬化物の耐熱性や機械強度の点から、ポリエステル樹脂20~50質量部、エポキシ樹脂1~25質量部、ポリイミド樹脂1~15質量部とすることが好ましい。
【0062】
上記熱硬化性樹脂組成物は、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、ビニル系モノマー、エポキシアクリレート、硬化剤、触媒等が挙げられる。
ビニル系モノマーとしては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等を有するモノマーが挙げられ、例えば、酢酸ビニル、スチレンなどのビニル系モノマー;メチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーなどが挙げられる。なお(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートも同様である。
エポキシアクリレートとしては、各種エポキシ樹脂のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させて得られた化合物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進するための硬化剤としては、過酸化物が好ましい。過酸化物の具体例としては、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルジオキシ)オクタン、t-ブチルペルキサテート、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチル-クミル-ペルオキサイド、ジ-t-ブチル-ペルオキサイド、2,5-ジメチル,2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン-3などが挙げられる。
またカルボキシル基とエポキシ基との反応触媒として、イミダゾールや第3級アミン類等が挙げられる。
【0063】
熱硬化性樹脂組成物にビニル系モノマー又はエポキシアクリレートを配合する場合、その配合比は、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂とポリイミド樹脂の合計と、ビニル系モノマーとエポキシアクリレート合計との比が質量比で1:3~3:1となるように配合することが好ましい。
【0064】
本磁性体は、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物中に、軟磁性粉を分散させ、所望の形状の金型に充填して加熱することにより得ることができる。加熱条件は、上記熱硬化性樹脂組成物の反応性にもよるが、例えば、150~200℃で0.5~12時間程度加熱することで、十分に架橋反応が進行する。
前記熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物からは、エステル結合、イミド結合のほか、エポキシ基とカルボキシ基との反応由来のヒドロキシ基が検出される。
【0065】
熱硬化性樹脂組成物と軟磁性粉の配合比率は、用途等に応じて適宜調整すればよいものであるが、例えば軟磁性粉100質量部に対し、1~10質量部が好ましく、2~6質量部がより好ましい。上記下限値以上であれば、磁性体の機械強度が向上する。一方上記上限値以下であれば、磁気特性に優れている。
【0066】
本磁性体は、磁性体が用いられる公知の用途に用いることができる。本磁性体は180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れていることから、特に耐熱性が要求される車載用途、中でもエンジン付近に配置されるインダクタのコア材として好適に用いることができる。
また、前記熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、成型時の加熱処理温度を180℃程度と比較的低い温度とすることができるため、後述するコイル埋設型の磁性素子用途に好適に用いることができる。
【0067】
[磁性素子]
図2及び図3を参照して本発明に係る磁性素子(本磁性素子とも記す)の一例について説明する。図2は、磁性素子の模式的な上面透過図であり、図3は、図2の模式的なA-A断面図である。なお図2の端子部12は、図3において、接着部材13を用いて磁性体10に貼り付けられている。本磁性素子は、磁性体10と、当該磁性体10に埋設されたコイル11とを有し、磁性体10が前記本発明に係る磁性体である。本磁性素子は、少なくともコイル11の巻回部が磁性体10内に埋設されていればよく、コイル11の一部が磁性体10から露出していてもよい。端子部12は例えば、鉛フリー等のはんだの濡れ性などの点からSn等でめっきされた銅などが挙げられる。端子部12の銅はコイル11と接合されていてもよく、一体のものであってもよい。
【0068】
コイル11の形状は、磁性素子に用いられるコイルとして公知のものの中から適宜選択されるものであり、通常、巻回部を有し、回路等と接続する端子部を有している。コイル11の材質は特に限定されず、例えば銅線等とすることができ、当該銅線は、絶縁皮膜を有することが好ましい。絶縁被膜としては、耐熱性の点から、ポリアミドイミド膜やポリイミド膜などが好ましい。
【0069】
コイル埋設型の磁性素子を製造する場合、前記磁性体の製造方法において、金型に磁性体を充填する前、又は充填中に、金型内にコイルを配置すればよい。
また、不図示ではあるが、前記本磁性体にコイルを巻回して製造された磁性素子も、180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れている。
本磁性素子は、パワーインダクタ、チョークコイル、トランスなどに用いられるインダクタとして好適に用いることができる。
【実施例
【0070】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0071】
(例1)
軟磁性粉として、Siを4.5~7質量%、Crを3~8質量%含む平均粒径が10μmのFe-Si-Cr合金を用意した。
前記軟磁性粉に、当該軟磁性粉100質量部に対して0.5質量部相当のリン酸系無機絶縁材を被覆処理し、絶縁層を形成した(絶縁層の厚みは約10nmである)。当該絶縁層を備える軟磁性粉に、当該軟磁性粉100質量部に対して5質量部相当の下記熱硬化性樹脂組成物(1)を添加し混錬し、熱硬化性樹脂組成物(1)が被覆した鉄合金粉を得た。
熱硬化性樹脂組成物(1):ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、及びポリイミド系樹脂を含む組成物。
【0072】
上記処理後の軟磁性粉を500μmの金属メッシュに通し、金型に充填しやすいように粒度を調整し造粒を行った。造粒粉末は外径13mm、内径8mmのリング状の金型内に充填し、5ton/cmの成型圧力で加圧成型を行った。得られたリング状の試料を恒温槽内で180℃の温度で2時間以上熱硬化することでポリエステルイミドを有する樹脂硬化物を含む磁性体を得た。
【0073】
(例2)
例1において、リン酸系無機絶縁材の量を1.5質量部に変更した以外は、例1と同様にして、例2の磁性体を得た(絶縁層の厚みは約50nmである)。
【0074】
(例3)
例1において、リン酸系無機絶縁材の量を1.5質量部に変更し、熱硬化性樹脂組成物(1)の量を軟磁性粉100質量部に対して2質量部に変更した以外は、例1と同様にして、例3の磁性体を得た。
【0075】
(例4)
例1において、熱硬化性樹脂組成物を、熱硬化型フェノール樹脂に変更した以外は、例1と同様にして例4の磁性体を得た。
【0076】
(例5)
例1において、絶縁被覆処理を行わなかった以外は、例1と同様にして例5の磁性体を得た。
【0077】
(例6:比較例)
例5において、熱硬化性樹脂組成物を、熱硬化型フェノール樹脂に変更した以外は、例5と同様にして例6の磁性体を得た。
【0078】
(例7)
例5において、熱硬化性樹脂組成物を、ガラス転移温度が250℃以上のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂(1))に変更した以外は、例5と同様にして例7の磁性体を得た。
【0079】
(例8)
例5において、熱硬化性樹脂組成物を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂(2))に変更した以外は、例5と同様にして例8の磁性体を得た。
【0080】
(例9)
例1において、リン酸系無機絶縁材0.5質量部をケイ酸系絶縁材1質量部に変更し、熱硬化性樹脂組成物の代わりに熱硬化型フェノール樹脂に変更した以外は、例1と同様にして例9の磁性体を得た(絶縁層の厚みは約30nmである)。
【0081】
(例10)
例9において、軟磁性粉を、Siを6.5質量%、Crを3~8質量%含み、平均粒径が10μmの軟磁性粉に変更した以外は、例9と同様にして、例10の磁性体を得た。
【0082】
(例11)
例9において、軟磁性粉を、Siを0.5質量%、Crを1質量%含み、平均粒径が10μmの軟磁性粉に変更した以外は、例9と同様にして、例11の磁性体を得た。
【0083】
<磁性体の評価>
各例の磁性体を以下の方法により評価した。
磁性体の絶縁抵抗は、Keysight社抵抗計(B2985A)を用い、成形体の上面と底面に直径1mmの電極を当て100Vの電圧をかけて測定した。
磁性体の圧環強度は、JIS Z2507の圧環強さの試験方法に従って、圧縮試験を行い、式(5)より算出して評価した。
K=[F×(D-e)]/(L×e) :式(5)
K:圧環強度(MPa)
F:破壊したときの最大荷重(N)
L:中空円筒の長さ(mm)
D:中空円筒の外径(mm)
e:中空円筒の壁厚(mm)
【0084】
(耐熱性評価)
耐熱性は各磁性体を各々大気中180℃環境下で保管して、1000時間後に、上記と同様に絶縁抵抗、環強度、及び重量測定を行って評価した。結果を表1に示す。なお重量変化率の値が-(マイナス)の場合、重量が減少したことを示す。
また、180℃で1000時間保管後の磁性体の断面をSEMにより観察した。例5~例8の磁性体の断面SEM像を図4図7に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
図5は例6の断面SEM像である。無機絶縁層を有しない軟磁性粉と、熱硬化型フェノール樹脂を組み合わせた例6の磁性体は、180℃で1000時間保管すると、軟磁性粉の周囲の樹脂が分解され、軟磁性粉と樹脂硬化物との間に空隙が生じていることが明らかとなった。そのため、特に強度維持率が低い結果となった。
図6及び図7は、例7及び例8の断面SEM像である。エポキシ樹脂を用いた例7及び例8の磁性体は、180℃で1000時間保管すると、樹脂硬化物内部に空孔が生じることが示された。その結果、強度維持率がやや低下している。
図4は例5の断面SEM像である。例5の磁性体は、180℃で1000時間保管すると、樹脂硬化物内部に空孔が生じているものの広がらず、ポリエステルイミドの網目構造が維持されていることが示された。当該例5の磁性体は180℃1000時間保管後の強度維持率が高く、また絶縁性も維持されている。例1~3も同様の結果が得られた。さらに、無機絶縁層を有した例1~例3は、無機絶縁層を有しない例5に比べて、180℃で1000時間保管後の絶縁抵抗と圧環強度が高い結果が得られた。
また、軟磁性粉中のSiの割合が4~10質量%の範囲内である例9及び例10の磁性体は、範囲外である例11と比較して、耐熱性に優れ、180℃で1000時間保管時における絶縁抵抗の低下が抑制される結果が得られた。なお、例9及び例10の180℃で1000時間保管後の圧環強度は30MPa以上である。
【符号の説明】
【0087】
1 軟磁性粉
2 樹脂硬化物
10 磁性体
11 コイル
12 端子部
13 接着部材
【要約】
【課題】180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れた磁性体及び磁性素子を提供することである。
【解決手段】本発明の一態様に係る磁性体は、軟磁性粉と、樹脂硬化物と、を含み、180℃の高温環境下における長期耐熱性に優れた磁性体である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7