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特許7133121もみ殻または稲わら炭化物を利用した非水電解液二次電池用の負極活物質
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  • 特許-もみ殻または稲わら炭化物を利用した非水電解液二次電池用の負極活物質 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】もみ殻または稲わら炭化物を利用した非水電解液二次電池用の負極活物質
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/587 20100101AFI20220901BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220901BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220901BHJP
   C01B 33/18 20060101ALN20220901BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 A
H01M4/36 E
H01M4/48
C01B33/18 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2015220805
(22)【出願日】2015-11-10
(65)【公開番号】P2017091822
(43)【公開日】2017-05-25
【審査請求日】2018-09-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】594156880
【氏名又は名称】三重県
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】村山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 基芳
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】境 周一
【審判官】池渕 立
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-160154(JP,A)
【文献】特開2013-189362(JP,A)
【文献】特開2014-181144(JP,A)
【文献】特開2011-93774号(JP,A)
【文献】PENG Xiang et al.,Rice Husk-Derived Activated Carbon for Li Ion Battery Anode,Nanoscience and Nanotechnology Letters,米国,American Scientific Publishers,2014年 1月,Vol.6, No.1,Page.68-71,ISSN:1941-4900,URL,https://doi.org/10.1166/nnl.2014.1714
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/36-4/587
C01B 32/30-33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
もみ殻を 、500℃~650℃の不活性ガス中で約2時間~約4時間にわたり炭化させたケイ素酸化物と炭素の複合体で構成されたことを特徴とする非水電解液二次電池用負極活物質。
【請求項2】
前記ケイ素酸化物と炭素の複合体が、非水電解液二次電池用負極活物質として使用された場合に、該非水電解液二次電池が20回の充放電サイクル後においても、放電容量として少なくとも400mAh/g以上を維持可能であるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池用負極活物質。
【請求項3】
炭化後の複合体の重量収率が、0.3~0.5の範囲となることを特徴とする請求項1~2のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極活物質。
【請求項4】
前記非水電解液二次電池用負極活物質が、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用されることを特徴とする請求項1~2のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極活物質。
【請求項5】
もみ殻を 、500℃~650℃ の不活性ガス中で約2時間~約4時間にわたり炭化させケイ素酸化物と炭素の複合体である非水電解液二次電池用負極活物質を製造する製造方法。
【請求項6】
前記非水電解液二次電池用負極活物質がリチウムイオン二次電池の負極活物質として使用できることを特徴とする請求項5記載の非水電解液二次電池用負極活物質を製造する製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、もみ殻または稲わらを各種不活性ガス中にて500℃~650℃で炭化することで得られたケイ素酸化物と炭素の複合体である非水電解液二次電池用負極活物質に関する。従来技術に係るもみ殻または稲わらを利用した負極活物質は一般には、もみ殻または稲わらを約300℃から約3000℃という広範囲な炭化処理温度において炭化処理し、或いは複数の炭化処理工程を経て製造したり、又は添加物質を用いて製造している。これに対して、本願発明に係る負極活物質は、単にもみ殻または稲わらを500℃~650℃の特定温度帯で炭化させ、ケイ素酸化物と炭素の複合体を得る単一炭化処理工程で製造し、この単一炭化処理工程で得られたケイ素酸化物と炭素の複合体を非水電解液二次電池用の負極活物質に利用するものである。他の炭化処理温度帯で得られた従来技術に係る負極活物質を利用した非水電解液二次電池と比較して、特段に大きな放電容量と、特段に優れた充放電サイクル特性を発現するという優位性を有する。すなわち本願発明は、もみ殻または稲わらの炭化処理温度における数値限定発明に関する。
【背景技術】
【0002】
現在リチウムイオン二次電池の負極活物質として広く用いられているのは、黒鉛等のカーボン系材料である。しかしながらこれ等の材料では、充放電容量が小さいという問題点を有している。また他の材料としてケイ素系材料があり、次世代高容量負極活物質として開発中の段階である。しかしながらこの材料では、充放電サイクルに伴い急激に充放電容量が低下するという問題点を有する。また更に他の材料として改良型のケイ素系材料として、カーボンや硫黄との複合化、二段階焼成、多孔体金属への埋め込みなどが広く研究されている。しかしながらこれ等の材料では、工程が複雑になり高コストにつながるという問題点を有する。すなわち、1)製造工程が簡素であり、2)放電容量が大きく、3)充放電サイクル特性が優れた、穀物殻炭化物を利用した非水電解液二次電池用の負極活物質が求められている。
【0003】
一方、現在十分に活用されていない穀物殻の有効利用の観点から、穀物殻を炭化することで負極活物質を得ようとする技術が広く開発されている。例えば以下のような従来技術が存在する。
【0004】
すなわち引例1として特許4985410/特開2008-124034には、高い充放電容量、充放電効率を実現する非水電解液二次電池用負極材料の製造方法が開示されている。具体的な製造方法は、珈琲豆、茶葉、サトウキビ類、トウモロコシ類、果実類、藁類、籾殻類から選択される少なくとも一種を焼成し、炭素質化することで製造可能であるとする。そしてこの負極材料は、リチウム複合酸化物からなる正極と、負極活物質としてリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な炭素質負極材料からなる負極とを備えた非水電解液二次電池において、炭素質負極材料として使用される。しかしながらこの製造法では、製造工程が複雑であり、また穀物殻の炭化処理工程において特定の焼成温度帯で炭化して得られた負極活物質が、特段の高放電容量を発現する点について十分には開示されていないという欠点を有している。
【0005】
引例2として特許第5467264/特開2011-170991には、植物性廃棄物を炭素源とし、正極材料でも使用できるほど高電位、高容量であり、優れたサイクル特性を有する電極材料の製造方法およびその電極材料が開示されている。具体的な製造方法は、植物性廃棄物と硫黄単体とを混合して混合物とする混合工程と、混合物を密閉容器に入れ250℃~600℃で加熱する加熱工程とで構成されている。しかしながらこの製造法では、穀物殻以外に硫黄が必要となり資源の有効利用という観点から不十分であるいう欠点を有している。
【0006】
引例3として特開2013-165161には、カーボンの材料として、一部が利用されているとはいえ、その大部分を廃棄、焼却を必要とする穀物殻を有効利用して、従来から資源が問題であり、活性化も複雑な工程で得られる各種活性炭を用いた場合と同等かそれ以上の静電容量値、高出力特性、耐久性等のキャパシタ特性を得ることができるキャパシタが開示されている。具体的にはこのキャパシタは、穀物の殻から得られたシリカ成分を含有するカーボン粉末を耐酸化性を有する三次元網状構造を有する金属多孔体に充填して得られる電極を有し、電解液として、リチウム塩又はナトリウム塩を含む非水電解液を有することを特徴とする。しかしながらこのキャパシタでは、金属多孔体に充填する工程を必要とするため工程が複雑であるという欠点を有している。
【0007】
引例4として特許第5733890/特開2010-161057、引例5として2010-11337、および引例6として2010-161338には、体積固有抵抗率の制御を容易にし、かつ植物焼成物単体の炭素系材料で製造可能な導電性組成物を製造するために、大豆皮、菜種粕、米糠、籾殻などの穀物残渣を含む植物を、900℃で3時間程度焼成して植物焼成物を得て、次にその植物焼成物を、エチレン・プロピレンジエンゴムなどの母材に対して100phr以上配合する工程を経て導電性組成物について開示されている。しかしながらこの技術は、籾殻などの穀物残渣を焼成処理するとはいえ、本願発明の目的である非水電解液二次電池用負極材料の製造とは技術分野を異にする。
【0008】
引例7として特開2012-160456には、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る二次電池用電極材料の製造方法であって、 植物由来の材料、例えば穀物殻を800゜C乃至1400゜Cにて炭素化した後、酸又はアルカリで処理し、以て炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去する二次電池用電極材料の製造方法が開示されている。しかしながらこの技術でも、炭素化した後に更に酸又はアルカリで処理してケイ素成分を除去する工程を必要とし、工程が複雑である欠点を有する。
【0009】
更に引例8として特開2014-165435には、もみ殻に特定の糖類を添加して炭化処理し、さらに賦活して得られる活性炭を電気化学キャパシタの電極として用いる技術が開示されているが、この技術でももみ殻以外に特定の糖類を添加して炭化処理する必要があり、工程が複雑である欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第4985410号公報/特開2008-124034号公報
【文献】特許第5467264号公報/特開2011-170991号公報
【文献】特開2013-165161号公報
【文献】特許第5733890号公報/特開2010-161057号公報
【文献】特開2010-11337号公報
【文献】特開2010-161338号公報
【文献】特開2012-160456号公報
【文献】特開2014-165435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、資源の有効利用のため最も多量かつ容易に入手可能なもみ殻または稲わらに注目し、これ等のもみ殻または稲わらを炭化処理することで得られる負極活物質であって、1)製造工程が簡素であり、2)放電容量が大きく、3)充放電サイクル特性が優れた、非水電解液二次電池用の負極活物質が存在しない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため本願発明では、もみ殻または稲わらを、500℃~650℃の不活性ガス中で約2時間~約4時間にわたり炭化させたケイ素酸化物と炭素の複合体で構成されたことを特徴とする非水電解液二次電池用負極活物質およびその製造方法を開示する。すなわち本願発明に係る非水電解液二次電池用の負極活物質は、単に500℃~650℃の不活性ガス中で約2時間~約4時間にわたる炭化工程だけで製造可能であり、従来技術と異なり複雑な複数工程を必要とせず、また炭化工程前に添加物を付加する必要も無い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電池用活物質およびその製造方法は、本発明は、ケイ素含有量の多いイネ由来の原料を炭化するという単一工程で容易にケイ素酸化物-炭素複合体を得るものである。この得られた複合体は放電容量が高く、かつ充放電サイクル特性も優れているという両者の利点を併せ持つ電池用活物質となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、各温度で炭化された複合体を用いた二次電池の2サイクル目における放電特性をプロット表示したプロット図である。
図2図2は、600℃で炭化された複合体を用いた1つの二次電池についての初回放電、2サイクル目放電、20サイクル目放電時の放電容量-電圧グラフである。
図3図3は、800℃で炭化された複合体を用いた二次電池の放電容量-電圧グラフである。
図4図4は、結晶性SiOを負極活物質として用いた二次電池の放電容量-電圧グラフである。
図5図5は、アモルファスSiOを負極活物質として用いた二次電池の放電容量-電圧グラフである。
図6図6は、本願発明に係る二次電池について1サイクル目から20サイクル目の各サイクル毎の放電容量を示すグラフである。
図7図7は、もみ殻または稲わらの各炭化処理温度毎の重量収率を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実験1)
原料として洗浄し乾燥したもみ殻または稲わらを用いた試料を、200℃~900℃帯の200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、650℃、700℃、800℃、900℃の各温度で、アルゴンまたは窒素ガス雰囲気中で約2時間~約4時間にわたり炭化させた。すなわち本願発明では従来技術と異なり単一の炭化工程のみによりもみ殻または稲わらを炭化させ、かつ添加物は使用しない点に特徴がある。この単一の炭化工程で、上記各温度においてケイ素酸化物-炭素の複合体を得た。この得られた複合体を、例えば導電助剤としてアセチレンブラック、バインダーとしてポリイミドと、75:10:15の重量比になるように混合したものを銅箔上に塗布乾燥することで、リチウムイオン二次電池の負極試料を得た。そして各温度で得られたこの負極試料と、対極(金属リチウム)、電解液に1mol/LのLiPF6-EC:DEC(1:1容積比)溶液を用いた二次電池を製作し放電特性を測定した。図1は、横軸に炭化温度(℃)、縦軸に2サイクル目の放電容量(mAh/g)をとり、この各温度で炭化された複合体を用いた二次電池の2サイクル目における放電特性をプロット表示した図である。すなわち二次電池について、各炭化温度毎に2サイクル目の放電容量を測定し、その測定値がプロットされている。なお図中では各炭化温度毎に必ずしも同一のデータ数が計測されている訳ではない。
【0016】
このプロット図で理解できるように、炭化温度200℃と300℃での各複合体試料を使用した二次電池の2サイクル目の放電容量は約100mAh/g前後であり、400℃では200~250 mAh/g、700℃では250~350 mAh/g、更に800℃の放電容量は約100mAh/gを示している。これに対して炭化温度500℃で炭化処理された複合体試料を使用した二次電池では約450~550mAh/g、炭化温度600℃では550~650 mAh/g、炭化温度650℃では400~450 mAh/g、という大きな放電容量が突出して計測されている。これは黒鉛を用いた二次電池の理論放電容量が最大372 mAh/gであることと対比しても大きな放電容量と考えられる。なお炭化温度900℃の複合体試料の2サイクル目の放電容量は約400mAh/g前後を示しているが、これは炭化工程上の何らかのエラーであり、誤データと考えられる。この結果から、本願発明により得られたもみ殻または稲わらを炭化させるという単純な工程で得られたケイ素酸化物-炭素の複合体のうち、炭化温度500℃~650℃で処理したもののみが、突出して大きな放電容量を有すると判断することが出来る。
【0017】
この様に炭化温度500℃~650℃で処理したもののみが上述のような大きな放電容量を得ることが出来る理論的な理由は十分には解明されていないが、もみ殻または稲わらを上記温度帯で炭化することで、この様な特性が確実に再現されること自体は判明している。
【0018】
(実験2)
次に図2は、上記数値限定された600℃で炭化された複合体を用いた1つの二次電池について、その充放電サイクル特性を得るため、初回放電、2サイクル目放電、20サイクル目放電時の放電容量-電圧グラフである。すなわち図中で、初回放電容量を1X、2サイクル目放電容量を2X, 20サイクル目放電容量を20Xで示している。電圧値1.5V時に、各グラフの放電容量は、各々約750mAh/g、650mAh/g、550mAh/gを示している。これは図3に示す800℃で炭化された複合体を用いた二次電池の放電容量-電圧グラフ、図4に示す結晶性SiOを負極活物質として用いた二次電池の放電容量-電圧グラフ、そして図5に示すアモルファスSiOを負極活物質として用いた二次電池の放電容量-電圧グラフと、夫々比較しても大きな放電容量を有していると理解することが出来る。すなわち本願発明の600℃に於ける放電特性は、他の放電特性と比較して全体的に図中では右方向にシフトした高放電特性が示されている。
【0019】
(実験3)
更に図6は、本願発明に係るもみ殻または稲わらを600℃で炭化された複合体を用いた4つの二次電池について1サイクル目から20サイクル目の各サイクル毎に放電容量mAh/gを測定したグラフである。すなわち各サイクル数に於ける4つのプロットは、安定して約750mAh/g~少なくとも450mAh/gという大きな放電容量を有することを示している。
【0020】
この様に本願発明に係る炭化温度帯500℃~650℃のうち600℃で炭化された複合体は、C(炭素)分だけでは説明できない高サイクル容量を持ち、かつSiO2でもこの様な大きな放電容量を有することは十分には説明できない。すなわちSiO2は結晶でも非結晶でも大きな放電容量は殆ど得られない。そのため本願発明の炭化温度では、イネが水溶態でシリカを取り込み、SiO(ただし0《x〈2)となり、この大きな放電容量が得られることに寄与しているものと推測されるが、現状では理論的に十分には解明されていない。ただし本願発明では、Siを多く含有するイネを500℃~650℃で炭化することで得られるSiOに注目・特化して負極活物質が構成されている。
【0021】
(実験4)
更に図7には、もみ殻または稲わらを各炭化処理温度毎の重量収率を示すプロット図である。比較的低温である500℃~650℃の温度帯でも重量収率0.3~0.5の範囲で安定してケイ素酸化物-炭素の複合体を得ることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明は、ケイ素含有量の多いイネ由来の原料を比較的低温である500℃~650℃で炭化することで容易にケイ素酸化物-炭素複合体を得るものである。得られた複合体は高放電容量で、かつ充放電サイクル特性も良いという両者の利点を併せ持つ電池活物質となる。現在リチウムイオン二次電池の負極活物質として広く用いられているカーボン系材料である黒鉛の放電容量が小さいことと比較して、本願発明は大きな優位性を有する。
【0023】
また次世代高容量負極活物質として開発中のケイ素系材料では充放電サイクルに伴い急激に容量が低下するが、本願発明はサイクル特性の面で優位性を有する。更にカーボンや硫黄との複合化、二段階焼成、多孔体金属への埋め込みなど改良型ケイ素系材料が研究されているが、工程が複雑になり高コストにつながり、本願発明は工程面で優位性を有する。
【0024】
また炭化温度帯が500℃~650℃で安定的に重量収率0.3~0.5の範囲で籾殻炭化物を得ることが可能であり、製造コストの面でも優位性を有する。
【0025】
更にまた本願発明は、もみ殻または稲わらという最も多量かつ容易に入手可能な天然資源を有効的に活用して、放電容量が大きな非水電解液二次電池を製造することが可能となり広い応用範囲を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7