(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】脱臭システム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20220901BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220901BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20220901BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20220901BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220901BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20220901BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20220901BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61L9/00 Z
A61L9/01 H
A61L9/014
A61L9/16 Z
B01D53/14 210
B01D53/38 110
B01D53/38 120
B01D53/78
B01D53/81
(21)【出願番号】P 2017159580
(22)【出願日】2017-08-22
【審査請求日】2020-04-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515243246
【氏名又は名称】株式会社サイライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良行
(72)【発明者】
【氏名】藤野 俊
(72)【発明者】
【氏名】深町 尭
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】野崎 大進
【審判官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167160(JP,A)
【文献】特開2000-263056(JP,A)
【文献】特開2000-300957(JP,A)
【文献】特開昭56-144725(JP,A)
【文献】特開昭62-087161(JP,A)
【文献】特開平8-187428(JP,A)
【文献】特開2001-218823(JP,A)
【文献】特開2008-297507(JP,A)
【文献】特開平10-216467(JP,A)
【文献】特開平3-52617(JP,A)
【文献】特開2014-44085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/16
B01D 53/14
B01D 53/38
B01D 53/78
B01D 53/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭気成分を含む被処理ガスを脱臭する脱臭システムであって、
前記被処理ガスに電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記電磁波照射部で電磁波を照射された被処理ガスを脱臭材と接触させる脱臭部と、を備え、
前記電磁波照射部は、前記被処理ガスに電磁波を照射する電磁波発振部としてのコイルと、前記コイルと電気的に接続されており、前記コイルに交流電流を流すことにより電磁波を発生させる交流電流発生器とを備え
、
前記脱臭材が、前記電磁波照射部での電磁波の照射により前記被処理ガス中の成分に付与されるゼータ電位と反対の電荷を持つ高分子凝集剤の水溶液である、脱臭システム。
【請求項2】
前記電磁波照射部の前段側に前記被処理ガスを加湿する加湿装置を有する、請求項1に記載の脱臭システム。
【請求項3】
前記電磁波照射部の前段側に前記被処理ガスを加熱する加熱装置を有する、請求項1または2に記載の脱臭システム。
【請求項4】
前記液体に電磁波を照射する液体用電磁波照射装置を更に有する、請求項
1~3の何れかに記載の脱臭システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭システムに関し、特には、電磁波を利用した脱臭システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガス等の臭気成分を含むガスの脱臭方法として、薬液洗浄法、吸着法、生物脱臭法などが知られている。
【0003】
具体的には、例えば特許文献1には、吸着法により糞尿臭を脱臭する脱臭装置として、所定の金属を含むゼオライトを吸着剤として用いた脱臭装置が開示されている。そして、特許文献1に記載の脱臭装置では、糞尿臭の原因となる臭気成分を除去する際に、電磁波を発生させる導波路を使用して吸着剤を加熱することにより、臭気成分を吸着した吸着剤を再生し、糞尿臭を効率的に脱臭している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の脱臭装置には、脱臭効率を更に高めるという点において改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、脱臭効率に優れる脱臭システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の脱臭システムは、臭気成分を含む被処理ガスを脱臭する脱臭システムであって、前記被処理ガスに電磁波を照射する電磁波照射部と、前記電磁波照射部で電磁波を照射された被処理ガスを脱臭材と接触させる脱臭部とを備えることを特徴とする。このように、電磁波照射部および脱臭部を設け、被処理ガスを電磁波照射後に脱臭材と接触させれば、被処理ガスを効率的に脱臭することができる。
【0008】
ここで、本発明の脱臭システムは、前記電磁波照射部の前段側に前記被処理ガスを加湿する加湿装置を有することが好ましい。電磁波照射部の前段側に加湿装置を設ければ、加湿した被処理ガスを電磁波照射部に供給することができるので、被処理ガスを効率的に電磁波処理し、脱臭効率を更に高めることができる。
【0009】
また、本発明の脱臭システムは、前記電磁波照射部の前段側に前記被処理ガスを加熱する加熱装置を有することが好ましい。電磁波照射部の前段側に加熱装置を設ければ、加熱した被処理ガスを電磁波照射部に供給することができるので、被処理ガスを効率的に電磁波処理し、脱臭効率を更に高めることができる。
【0010】
ここで、本発明の脱臭システムは、前記脱臭材が液体であってもよい。液体の脱臭材を使用すれば、被処理ガス中に含まれていた臭気成分を効率的に吸収することができる。
【0011】
そして、前記液体は、高分子凝集剤の水溶液であることが好ましい。脱臭材として高分子凝集剤の水溶液を使用すれば、被処理ガス中に含まれていた臭気成分を更に効率的に吸収することができる。
【0012】
また、本発明の脱臭システムは、前記液体に電磁波を照射する液体用電磁波照射装置を更に有することが好ましい。被処理ガスに加え、脱臭材として用いられる液体にも電磁波を照射すれば、被処理ガス中に含まれていた臭気成分を更に効率的に吸収することができる。
【0013】
更に、本発明の脱臭システムは、前記脱臭材が多孔質部材であってもよい。脱臭材として多孔質部材を使用すれば、被処理ガス中に含まれていた臭気成分を効率的に吸着することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の脱臭システムによれば、臭気成分を含む被処理ガスを効率的に脱臭することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に従う脱臭システムの一例の概略構成を示す説明図である。
【
図2】実施例1~4および比較例1~2で用いた脱臭システムの概略構成を示す説明図である。
【
図3】実施例5~7および比較例3~4で用いた脱臭システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
【0017】
本発明の脱臭システムは、特に限定されることなく、臭気成分を含む被処理ガスを脱臭する際に用いることができる。
【0018】
ここで、臭気成分としては、特に限定されることなく、例えば、硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、酪酸、吉草酸、アンモニア、トリメチルアミン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソブタノール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アクロレイン、インドール、スカトール、ヘキサン、アセトンなどが挙げられる。
【0019】
また、被処理ガスとしては、特に限定されることなく、例えば、飼料・肥料工場、食料品製造工場、自動車工場、塗装工場、塗料製造工場、印刷工場、半導体工場、電池工場、化学工場等の各種工場で生じる排ガス;下水処理場、し尿処理場、ゴミ処理場等の各種処理場で生じる排ガス;飲食店、公衆トイレ、ビルピット等の小規模施設で生じる排気;医療施設、研究施設、分析施設、畜産施設等の各種施設で生じる排気;などが挙げられる。
【0020】
そして、本発明の脱臭システムは、被処理ガスに電磁波を照射する電磁波照射部と、電磁波照射部で電磁波を照射された被処理ガスを脱臭材と接触させる脱臭部とを備え、任意に、被処理ガスを加湿する加湿装置および/または被処理ガスを加熱する加熱装置を電磁波照射部の前段側に更に備えている。
【0021】
具体的には、本発明の脱臭システムの一例は、
図1に示すように、電磁波照射部30の前段側に任意に設けられた加湿装置10および加熱装置20と、電磁波照射部30と、電磁波照射部30の後段側に設けられた脱臭部40とを備えている。なお、
図1に示す脱臭システム100では加湿装置10の後段側に加熱装置20を設けたが、本発明の脱臭システムでは、加熱装置20は加湿装置10の前段側に設けられていてもよいし、個別に設けられた加湿装置10および加熱装置20に替えて被処理ガスの加熱と加湿を同時に行う装置を用いてもよい。
【0022】
ここで、加湿装置10としては、被処理ガスを加湿可能であれば特に限定されることなく、例えば、気化式加湿器、水噴霧式加湿器、蒸気式加湿器などの任意の加湿器を用いることができる。被処理ガスの湿度が過度に低い場合には、静電気が発生し易いこと等に起因して、被処理ガスに電磁波を照射しても被処理ガスに含まれている成分が良好に電磁波処理されず、脱臭効率の向上効果が減少する。しかし、電磁波照射部30の前段側に加湿装置10を設ければ、冬季などの被処理ガスが低湿度になり易い環境下であっても、被処理ガスの湿度を十分に高め、脱臭効率を十分に向上させることができる。なお、電磁波照射部30で被処理ガスを良好に電磁波処理する観点からは、電磁波照射部30に供給する被処理ガスの湿度は35%RH以上とすることが好ましい。
なお、被処理ガスの加湿に使用する水には、電磁波を照射してもよい。そして、被処理ガスの加湿に用いる水に電磁波を照射する装置としては、特に限定されることなく、電磁波照射部30で使用し得る電磁波照射装置として後述する装置と同様の装置を用いることができる。
【0023】
また、加熱装置20としては、被処理ガスを加熱可能であれば特に限定されることなく、例えば、コイルヒーター、バンドヒーター、マントルヒーターなどの任意の加熱装置を用いることができる。被処理ガスの温度が過度に低い場合には、湿度が低下し易いため、被処理ガスに電磁波を照射しても被処理ガスに含まれている成分が良好に電磁波処理されず、脱臭効率の向上効果が減少する。しかし、電磁波照射部30の前段側に加熱装置20を設ければ、冬季などの被処理ガスが低温になり易い環境下であっても、被処理ガスの温度を十分に高め、脱臭効率を十分に向上させることができる。なお、電磁波照射部30で被処理ガスを良好に電磁波処理する観点からは、電磁波照射部30に供給する被処理ガスの温度は10℃以上とすることが好ましい。
【0024】
更に、電磁波照射部30では、被処理ガスに電磁波を照射することが可能であれば特に限定されることなく、任意の電磁波照射装置を用いて被処理ガスに電磁波を照射することができる。
【0025】
ここで、電磁波照射装置としては、例えば、被処理ガスに電磁波を照射する電磁波発振部と、電磁波発振部と電気的に接続されており、電磁波発振部に交流電流を流すことにより電磁波を発生させる交流電流発生器とを備える装置を用いることができる。そして、電磁波発振部としては、特に限定されることなく、例えばコイル等を用いることができる。なお、コイルは、ダクトなどの被処理ガス流路内に設置してもよいし、ダクトなどの被処理ガス流路の外周に導線を巻き回して形成してもよい。また、交流電流発生器としては、特に限定されることなく、例えば特開2011-255345号公報や特開2013-167160号公報に記載の装置や、株式会社サイライズ製の「ウォーター・ウォッチャー」などを用いることができる。中でも。交流電流発生器としては、周波数が時間的に変化する方形波またはサイン波などの交流電流を発生させる交流電流発生器、並びに、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることが好ましく、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることがより好ましい。なお、交流電流発生器が発生する交流電流の周波数は、特に限定されることなく、例えば10Hz以上1MHz以下とすることができる。また、発生させる電磁波の磁束密度は、10mG以上とすることが好ましい。なお、磁束密度は、電磁波発振部上(例えば、コイルを形成するケーブル上)で測定することができる。
【0026】
そして、脱臭部40では、電磁波照射部30で電磁波を照射された被処理ガスと、脱臭材とを接触させて、被処理ガス中に含まれていた臭気成分などを除去する。なお、脱臭部40では、電磁波を照射された被処理ガスが脱臭材と接触するので、被処理ガスに電磁波を照射しない場合と比較し、臭気成分が効率的に除去される。この理由は、明らかではないが、電磁波の照射によって被処理ガス中に含まれている成分のゼータ電位が変化するためであると推察される。
【0027】
ここで、脱臭材としては、臭気成分を吸収して除去する液体の脱臭材、臭気成分を吸着して除去する固体の脱臭材などの、任意の脱臭材を用いることができる。具体的には、液体の脱臭材としては、例えば、水、高分子凝集剤の水溶液などを用いることができ、中でも、臭気成分を効率的に吸収する観点からは、高分子凝集剤の水溶液が好ましい。また、固体の脱臭材としては、セラミック繊維等の無機繊維からなる無機繊維シートをハニカム状に加工してなる構造体、活性炭、ゼオライト、シリカ、アパタイト、金属有機構造体、高分子吸着材などの多孔質部材を用いることができる。
【0028】
そして、被処理ガスと脱臭材との接触は、ダクトなどの被処理ガス流路内への液体の脱臭材の散布または噴霧、或いは、固体の脱臭材を充填した容器内への被処理ガスの通気などの任意の手法を用いて行うことができる。
【0029】
なお、脱臭部40において液体の脱臭材を使用する場合には、被処理ガスと接触させる前に液体に電磁波を照射するための液体用電磁波照射装置(図示せず)を設けることが好ましい。液体用電磁波照射装置を設け、電磁波を照射した液体を被処理ガスと接触させれば、被処理ガス中に含まれている臭気成分を更に効率的に吸収することができる。ここで、液体用電磁波照射装置としては、特に限定されることなく、電磁波照射部30で使用し得る電磁波照射装置として例示した装置と同様の装置を用いることができる。
【0030】
また、液体の脱臭材として高分子凝集剤の水溶液を使用する場合、高分子凝集剤としては、両性高分子凝集剤、或いは、電磁波照射部30での電磁波の照射により被処理ガス中の成分に付与されるゼータ電位と反対の電荷を持つ高分子凝集剤を用いることが好ましく、電磁波照射部30での電磁波の照射により被処理ガス中の成分に付与されるゼータ電位と反対の電荷を持つ高分子凝集剤を用いることが更に好ましい。
【0031】
以上、本発明の脱臭システムについて説明したが、本発明の脱臭システムは上述した内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
図2に示す脱臭システム100Aを使用し、被処理ガスとしての静電塗装ブース排ガスを以下の条件で脱臭した。
ここで、脱臭システム100Aは、断面が900mm角の排気ダクト50と、排気ダクト50に導線を巻き回して形成したコイル31およびコイル31に交流電流を流すことにより電磁波を発生させる交流電流発生器32よりなる電磁波照射部30と、電磁波照射部30の後段側で排気ダクト50内に脱臭材としての高分子凝集剤水溶液を噴霧する脱臭部40とを備えている。なお、脱臭システム100Aは、排気ダクト50内に噴霧した高分子凝集剤水溶液を回収する機構としてのドレン(図示せず)も有している。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表1に示す。
<脱臭条件>
・外気湿度:43%RH
・外気温:10℃
・排気ダクト内湿度:48%RH
・排気ダクト内温度:15℃
・排ガス流量:175m
3/分(流速:3.6m/秒)
・交流電流周波数:6kHzおよび6.5kHz
・電磁波が付与するゼータ電位:マイナス
・高分子凝集剤:アクリルアミド系の両性高分子凝集剤
・高分子凝集剤水溶液濃度:0.2~0.33%
・高分子凝集剤水溶液噴霧量:16mL/m
3-排ガス
【0034】
(実施例2)
脱臭条件を以下の条件に変更した以外は実施例1と同様にして被処理ガスとしての静電塗装ブース排ガスを脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表1に示す。
<脱臭条件>
・外気湿度:43%RH
・外気温:10℃
・排気ダクト内湿度:48%RH
・排気ダクト内温度:15℃
・排ガス流量:175m3/分(流速:3.6m/秒)
・交流電流周波数:0.5kHzおよび1kHz
・電磁波が付与するゼータ電位:プラス
・高分子凝集剤:アクリルアミド系の両性高分子凝集剤
・高分子凝集剤水溶液濃度:0.2~0.33%
・高分子凝集剤水溶液噴霧量:16mL/m3-排ガス
【0035】
(比較例1)
電磁波照射部30において電磁波の照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして被処理ガスとしての静電塗装ブース排ガスを脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表1に示す。
【0036】
【0037】
(実施例3)
排気ダクト50の断面寸法が400mm角であること以外は実施例1で使用したものと同様の構成を有する脱臭システム100Aを使用し、被処理ガスとしての熱風乾燥炉(熱源:LPG)排ガスを以下の条件で脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。また、被処理ガスおよび処理ガスのVOC(揮発性有機化合物)濃度をVOCモニター(RAE製、MiniRAE 3000)で測定し、VOC除去率を求めた。結果を表2に示す。
<脱臭条件>
・外気湿度:43%RH
・外気温:10℃
・ダクト内湿度:94%RH
・ダクト内温度:170℃
・排ガス流量:30m3/分(流速:3.2m/秒)
・交流電流周波数:6kHzおよび6.5kHz
・電磁波が付与するゼータ電位:マイナス
・高分子凝集剤:アクリルアミド系の両性高分子凝集剤
・高分子凝集剤水溶液濃度:0.2~0.33%
・高分子凝集剤水溶液噴霧量:17.4mL/m3-排ガス
【0038】
(実施例4)
高分子凝集剤をアクリルアミド系のカチオン性高分子凝集剤に変更した以外は実施例3と同様にして被処理ガスとしての熱風乾燥炉排ガスを脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表2に示す。
【0039】
(比較例2)
電磁波照射部30において電磁波の照射を行わなかった以外は実施例3と同様にして被処理ガスとしての熱風乾燥炉排ガスを脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を臭気センサ(新コスモス電機製、XP-329)で測定し、臭気除去率を求めた。また、被処理ガスおよび処理ガスのVOC(揮発性有機化合物)濃度をVOCモニター(RAE製、MiniRAE 3000)で測定し、VOC除去率を求めた。結果を表2に示す。
【0040】
【0041】
(実施例5)
図3に示す脱臭システム100Bを使用し、被処理ガスとしての厨房排気を以下の条件で脱臭した。
ここで、脱臭システム100Bは、厨房ダクト60に接続した直径100mmのフレキシブルダクト61と、フレキシブルダクト61に導線を巻き回して形成したコイル31およびコイル31に交流電流を流すことにより電磁波を発生させる交流電流発生器32よりなる電磁波照射部30と、排気ファン70を介してフレキシブルダクト61の後段側に接続されたフレキシブルダクト62と、塩化ビニル樹脂製の容器41(幅315mm×高さ315mm×奥行き1000mm)内に脱臭材としてセラミック繊維シートをハニカム状に加工してなる構造体42(幅200mm×高さ200mm×厚さ60mm)を3枚設置してなる脱臭部40と、脱臭部40の後段側に接続されたフレキシブルダクト63とを備えている。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を三点比較式臭袋法で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表3に示す。
<脱臭条件>
・外気湿度:48%RH
・外気温:5℃
・ダクト内湿度:75%RH
・ダクト内温度:28℃
・排気温度:21℃
・排気量:0.94m
3/分(流速:2.0m/秒)
・交流電流周波数:6kHzおよび6.5kHz
・電磁波が付与するゼータ電位:マイナス
【0042】
(比較例3)
電磁波照射部30において電磁波の照射を行わなかった以外は実施例5と同様にして被処理ガスとしての厨房排気を脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を三点比較式臭袋法で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表3に示す。
【0043】
(実施例6)
容器41内に設置した構造体42の数を2枚に変更した以外は実施例5と同様にして被処理ガスとしての厨房排気を脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を三点比較式臭袋法で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表3に示す。
【0044】
(比較例4)
電磁波照射部30において電磁波の照射を行わなかった以外は実施例6と同様にして被処理ガスとしての厨房排気を脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を三点比較式臭袋法で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表3に示す。
【0045】
(実施例7)
脱臭条件を以下の条件に変更した以外は実施例5と同様にして被処理ガスとしての厨房排気を脱臭した。
そして、被処理ガスおよび処理ガスの臭気濃度を三点比較式臭袋法で測定し、臭気除去率を求めた。結果を表3に示す。
<脱臭条件>
・外気湿度:48%RH
・外気温:5℃
・ダクト内湿度:75%RH
・ダクト内温度:28℃
・排気温度:21℃
・排気量:0.94m3/分(流速:2.0m/秒)
・交流電流周波数:0.5kHzおよび1kHz
・電磁波が付与するゼータ電位:プラス
【0046】
【0047】
表1~3より、電磁波を照射した実施例1~7では、電磁波の照射を行わなかった比較例1~4と比較して、臭気除去率が向上していることが分かる。
また、表2の実施例3~4より、電磁波照射部30での電磁波の照射により被処理ガス中の成分に付与されるゼータ電位と反対の電荷を持つ高分子凝集剤を使用すると、臭気除去率を更に向上させ得ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の脱臭システムによれば、臭気成分を含む被処理ガスを効率的に脱臭することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 加湿装置
20 加熱装置
30 電磁波照射部
31 コイル
32 交流電流発生器
40 脱臭部
41 容器
42 構造体
50 排気ダクト
60 厨房ダクト
61,62,63 フレキシブルダクト
70 排気ファン
100,100A,100B 脱臭システム