(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】網膜走査型画像投影装置、網膜走査型画像投影方法、網膜走査型画像投影システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220901BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220901BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220901BHJP
G09G 3/02 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
G09G5/00 550X
G09G5/00 510H
G09G5/00 555D
G09G3/02 A
(21)【出願番号】P 2017237885
(22)【出願日】2017-12-12
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】506423051
【氏名又は名称】株式会社QDレーザ
(73)【特許権者】
【識別番号】505210115
【氏名又は名称】国立大学法人旭川医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 充
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 欣也
(72)【発明者】
【氏名】石子 智士
(72)【発明者】
【氏名】呂 智子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晃敏
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072663(JP,A)
【文献】特開2016-095577(JP,A)
【文献】特開2017-026885(JP,A)
【文献】特開2008-042517(JP,A)
【文献】特開2012-028188(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185563(WO,A1)
【文献】特開2014-165768(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104794700(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
G09G 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて、NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域の画像用レーザ光線を生成する複数のレーザ光源と、
前記画像用レーザ光線によって、利用者の眼球の網膜へ画像を投影するレーザ照射部と、
前記NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域に基づく色覚特性データが記憶された記憶部と、
前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量を、前記色覚特性データに基づいて、それぞれ個別に制御するレーザ出力制御部と、
前記画像用レーザ光線を前記利用者の眼球内で収束させる光学部材と、
を有する網膜走査型画像投影装置。
【請求項2】
前記複数のレーザ光源
により生成される画像用レーザ光線の各色の色域は、CIE表色系の色度座標(x、y)が、(0.1、0.6)、(0.2、0.6)、(0.1、0.7)、(0.2、0.7)である色を、当該
色域の範囲内
に含む、請求項1記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項3】
前記画像データは、
カメラにより前記利用者の視線方向を撮像した画像の画像データ又は外部機器から入力された画像データを含み、
前記画像データの入力を受け付ける画像入力部を備え、
眼鏡形状でウエアラブルな請求項1又は2記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項4】
前記色覚特性データは、
色度図上における前記利用者の色覚特性と対応した混同直線の色と、前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量と、を対応付けたデータである、請求項1乃至3の何れか一項に記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項5】
前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量は、
前記混同直線上以外の色であって、前記複数のレーザ光源から出射されるレーザ光によって表現される色域の色の画像を投影させる光量である、請求項4記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項6】
利用者の入力操作を受け付ける入力部を備え、
前記入力部からの入力操作により、前記投影された画像の色の調整を行う、請求項1乃至5の何れか一項に記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項7】
外部装置と通信を行う通信部を有し、
前記色覚特性データは、前記通信部を介して前記外部装置から取得される、請求項1乃至6の何れか一項に記載の網膜走査型画像投影装置。
【請求項8】
網膜走査型画像投影装置による網膜走査型画像投影方法であって、前記網膜走査型画像投影装置に、
複数のレーザ光源により、画像データに基づいて、NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域の画像用レーザ光線を生成する手順と、
レーザ照射部により、前記画像用レーザ光線によって、利用者の眼球の網膜へ画像を投影する手順と、
前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量を、記憶部に格納された、前記NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域に基づく色覚特性データに基づいて、それぞれ個別に制御する手順と、
光学部材によって、前記画像用レーザ光線を前記利用者の眼球内で収束させる手順と、を実行させる網膜走査型画像投影方法。
【請求項9】
網膜走査型画像投影装置と、端末装置とを有する網膜走査型画像投影システムであって、
前記端末装置は、
NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域に基づく色覚特性データが、色覚特性毎に格納された記憶部と、
前記色覚特性の一覧を表示部に表示させる表示制御部と、
前記一覧において選択された色覚特性と対応する色覚特性データを前記網膜走査型画像投影装置へ出力する通信部と、を有し、
前記網膜走査型画像投影装置は、
前記端末装置から出力された前記色覚特性データを記憶する記憶部と、
画像データに基づいて、前記NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域の画像用レーザ光線を生成する複数のレーザ光源と、
前記画像用レーザ光線によって、利用者の眼球の網膜へ画像を投影するレーザ照射部と、
前記端末装置から出力された、前記NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域に基づく色覚特性データを記憶する記憶部と、
前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量を、前記色覚特性データに基づいて、それぞれ個別に制御するレーザ出力制御部と、
前記画像用レーザ光線を前記利用者の眼球内で収束させる光学部材と、
を有する、網膜走査型画像投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜走査型画像投影装置、網膜走査型画像投影システム、網膜走査型画像投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、色覚異常を有する患者の視認性を向上させる手段が複数存在している。その手段の一つとして、色識別能力を広げることが可能なスペクトル曲線を有する眼鏡レンズが知られている。また、他の手段として、色を識別しやすいように、表示する画像データの各色の特性を変化させ、色合いを補正した画像を表示させるLCD(Liquid Crystal Ddisplay)等の表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-303832号公報
【文献】特開2014-165768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の眼鏡レンズは、光学フィルタであるために減光しかできないため、これを装用すると視界が暗くなって視認しにくくなることがあり、場合によっては視力が低下する欠点を有する。また、従来の眼鏡レンズは、視認する光源の波長分布そのものが分離していないため、精度の高い分光を実現することが困難である。
【0005】
また、上述した表示装置では、表示された画像は、眼球の前眼部である中間透光体を通って網膜に到達するため、前眼部の角膜、水晶体の色収差などの光学特性に依存する。このため、補正した色合いが、必ずしも利用者の色覚特性に合致しない場合がある。
【0006】
開示の技術は、上述した事情に鑑みて成されたものであり、利用者による色の判別の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、画像データに基づいて、NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域の画像用レーザ光線を生成する複数のレーザ光源と、前記画像用レーザ光線によって、利用者の眼球の網膜へ画像を投影するレーザ照射部と、前記NTSC規格で定義される色域よりも広範囲の色域に基づく色覚特性データが記憶された記憶部と、前記複数のレーザ光源から出力されるレーザ光の光量を、前記色覚特性データに基づいて、それぞれ個別に制御するレーザ出力制御部と、前記画像用レーザ光線を前記利用者の眼球内で収束させる光学部材と、有する網膜走査型画像投影装置である。
【発明の効果】
【0008】
利用者による色の判別の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態の画像投影装置の構成を説明する図である。
【
図2】画像投影装置の投影ミラー近傍を拡大した図である。
【
図4】第一の実施形態のレーザ出力制御部の機能を説明する図である。
【
図5】xy色度図におけるレーザ光の色域と、NTSCで定義された色域とを示す図である。
【
図6】色覚特性と色覚特性データの関係について説明する図である。
【
図7】第一の実施形態の色覚特性データの一例を示す図である。
【
図8】第一の実施形態のレーザ出力制御部の動作を説明するフローチャートである。
【
図9】第二の実施形態の画像投影システムの一例を示す図である。
【
図10】画像投影システムの各装置の機能を説明する図である。
【
図11】第二の実施形態の色覚特性データの一例を示す図である。
【
図12】第三の実施形態の画像投影装置を説明する図である。
【
図13】第三の実施形態の画像投影装置のハードウェア構成を説明する図である。
【
図14】第三の実施形態の画像投影装置の機能を説明する図である。
【
図15】第三の実施形態の画像投影装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。
図1は、第一の実施形態の画像投影装置の構成を説明する図である。
【0011】
図1では、本実施形態の画像投影装置100は、マクスウェル視を利用したものである。マクスウェル視とは、画像データに基づく画像用光線を一旦瞳孔の中心で収束させてから網膜上に投影することで、人の水晶体の調節機能に影響されずに人に、画像データが表す画像を視認させる方法である。
【0012】
本実施形態の画像投影装置100は、レーザ出力制御部50と、レーザ照射部60と、を有する。レーザ出力制御部50は、レーザ照射部60によるレーザ光の照射を制御する。尚、本実施形態の画像投影装置100は、例えば、一般的な眼鏡やゴーグルのような形状であって良い。
【0013】
レーザ照射部60は、投影部110と、メガネ型フレームのツル150と、レンズ151と、を有する。投影部110は、光源111、走査ミラー112、反射ミラー115及び投影ミラー116を有する。
【0014】
光源111は、ツル150に配置されている。光源111は、レーザ出力制御部50の制御の下、例えば単一又は複数の波長の光線Lを出射する。この光線Lは、ユーザの眼球160の網膜161に画像を投影するための画像用光線である。以下の説明では、光線Lを画像用光線と呼ぶ。
【0015】
光源111は、R、G、Bの3色のレーザ光源を有し、例えば赤色(R)レーザ光(波長:610nm~660nm程度)、緑色(G)レーザ光(波長:515nm~540nm程度)、及び青色(B)レーザ光(波長:440nm~480nm程度)を出射する。赤色、緑色、及び青色レーザ光を出射する。本実施形態の光源111は、光源111として、例えばRGB(赤・緑・青)それぞれのレーザダイオードチップと3色合成デバイスとマイクロコリメートレンズと、が集積された光源等により実現され、それぞれの光源の出力値が可変となっている。
【0016】
尚、
図1では、投影ミラー116に入射した光線の投影ミラー116内の進行方向をX方向、投影ミラー116におけるX方向に直交する方向をY方向とする。
【0017】
走査ミラー112は、ツル150に配置されている。走査ミラー112は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーであり、光源111から出射されたレーザ光(光線)Lを水平方向及び垂直方向の2次元方向に走査する。また、走査ミラー112は、光源111から出射された光線Lを2次元に走査して、ユーザの眼球160の網膜161に画像を投影させるための投影光とする。
【0018】
反射ミラー115は、走査ミラー112で走査された光線Lをレンズ151に向かって反射させる。
【0019】
レンズ151の使用者の眼球160側の面には、自由曲面を有する投影ミラー116が設けられている。投影ミラー116は、走査ミラー112で走査され、反射ミラー115で反射された光線Lを眼球160の網膜161に照射することにより、網膜161に画像を投影する。つまり、利用者は、網膜161に投射されたレーザ光の残像効果によって、画像を認識することができる。投影ミラー116は、走査ミラー112で走査された光線Lの収束位置が、眼球160の瞳孔162となるように設計されている。光線Lは投影ミラー116にほぼ真横(すなわちほぼ-X方向)から入射する。
【0020】
尚、本実施形態では、投影ミラー116の自由曲面の曲率を大きくすれば、反射ミラー115から瞳孔162の収束位置までの距離を短くすることができ、画像投影装置100を小型にすることができる。
【0021】
本実施形態のレーザ出力制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ並びにRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ装置により実現される。
【0022】
プロセッサ及びメモリは、例えば走査ミラー112(MEMSミラー)が実装された基板と同じ基板に実装されていても良い。
【0023】
本実施形態のレーザ出力制御部50は、入力された画像データに基づく画像用光線を光源111から出射させる。また、本実施形態のレーザ出力制御部50は、走査ミラー112(MEMSミラー)を振動させて、光源111から出射された画像用光線を走査し、網膜161に画像を投影させる。
【0024】
また、本実施形態のレーザ出力制御部50は、画像投影装置100の利用者の色覚特性に応じた色覚特性データを保持しており、この色覚特性データに基づき、光源111に含まれるRGBそれぞれの光源の出力値(光量)を制御する。レーザ出力制御部50と色覚特性データの詳細は後述する。
【0025】
尚、
図1の例では、片眼に対応する投影部110について示しているが、画像投影装置100は、両眼に対応する投影部110を有している。これらの2つの投影部110は、同様の構成である。
【0026】
次に、
図2及び
図3により、画像投影装置100の投影部110による画像の投影について説明する。
図2は、画像投影装置の投影ミラー近傍を拡大した図である。
【0027】
図2及び
図3のように、走査ミラー112で走査された画像用光線は、ミラー115によって、レンズ151に向かって反射される。本実施形態では、投影部110が、レンズ151の眼球160側の面に配置されているため、走査ミラー112で走査された画像用光線は、投射部(投射ミラー)116に入射する。
【0028】
投射部116は、画像用光線が入射される領域116aでは、自由曲面又は自由曲面と回折面の合成構造をしたハーフミラーとなっている。これにより、投射部116に入射された画像用光線は、眼球160の瞳孔162近傍で収束した後に網膜161に投射される。
【0029】
よって、利用者は、画像用光線で形成される画像を認識することができる
【0030】
図3は、走査ミラーの振動を説明する図である。尚、
図3では、走査ミラー112が点Aから点Bまで振動した場合を示している。
【0031】
走査ミラー112によって画像用光線を走査して網膜161に画像を投影する方法として、画像を投影する領域の左上から右下に向かって光を高速に走査し、画像を表示させる方法(例えばラスタースキャン)がある。
【0032】
本実施形態では、
図3に示すように、走査ミラー112は、画像用光線(光線L)を走査するために、網膜161に画像が投影される領域H(
図3の破線範囲)よりも大きく、水平方向(第1方向)と垂直方向(第1方向に交差する第2方向)と、に振動する。
図3では、走査ミラー112の振動を符号61で示している。
【0033】
走査ミラー112が大きく振れた箇所で画像用光線を走査して網膜161に画像を投影する場合、画像の歪みが大きくなる。したがって、本実施形態では、画像用光線は、走査ミラー112の振れが小さい箇所で走査される。
【0034】
尚、
図3では、画像用光線は矩形状に走査される場合を例に示しているが、この場合に限られず、台形状に走査される場合など、その他の場合でもよい。
【0035】
また、本実施形態では、画像が投影される領域Hは、利用者の視野を覆う大きさであることが好ましい。利用者の視野を覆う大きさとは、例えば、網膜に投影された画像が、片目では鼻側および上側で約60度、下側に約70度、耳側に約90~100度を覆う大きさである。
【0036】
尚、予め視野の一部に欠損があることが分かっている利用者等に対しては、画像が投影される領域Hは、上述した、「片目では鼻側および上側で約60度、下側に約70度、耳側に約90~100度の覆われるような大きさ」よりも小さくても良い。
【0037】
次に、
図4を参照して、本実施形態のレーザ出力制御部50について説明する。
図4は、第一の実施形態のレーザ出力制御部の機能を説明する図である。
【0038】
本実施形態のレーザ出力制御部50は、画像入力部51、記憶部52、出力制御部53、通信部54を有する。これらの各部は、レーザ出力制御部50の有するCPUとメモリ装置によって実現される。
【0039】
画像入力部51は、通信部54を介して画像データの入力を受け付ける。記憶部52は、色覚特性データ55を保持している。尚、本実施形態のレーザ出力制御部50は、例えば、画像投影装置100の利用者が決まった時点で、利用者の色覚特性に応じた色覚特性データ55を取得し、記憶部52に保持させても良い。また、レーザ出力制御部50は、色覚特性データ55を、ネットワーク及び通信部54を介して外部装置から受信して記憶部52に保持させても良いし、可搬型の記録媒体等から読み出して記憶部52に保持させても良い。
【0040】
出力制御部53は、入力された画像データに基づくレーザ光を照射する際に、RGBそれぞれの光源から照射されるレーザ光の出力値を、色覚特性データ55に基づき制御する。
【0041】
言い換えれば、出力制御部53は、所定の色域の画像を投影させる際に、色覚特性データ55に基づき、所定の色域が他の色域の画像として投影されるように、RGBそれぞれの光源から照射されるレーザ光の光量(出力値)を増減させる。通信部54は、他の装置との通信を行う。
【0042】
ここで、色覚特性データ55の説明に先立ち、人間が色を感じる仕組みについて説明する。
【0043】
人間の目の網膜には、暗いときだけ働く杆体と明るいところだけで働く錐体の2種類の視細胞があり、色覚には錐体細胞が関わっている。この錐体にはL錐体、M錐体、S錐体の3種類がある。
【0044】
L錐体は、長波長感受性錐体で赤色の光に対して敏感に反応する。M錐体は、中波長感受性錐体で緑色の光に対して敏感に反応する。S錐体は、短波長感受性錐体で青色の光に対して敏感に反応する。
【0045】
L錐体、M錐体、S錐体の3種類の錐体が揃っている場合を3色覚といい、日本人男性の約95%、女性の99%以上が3色覚に含まれる。また、L錐体、M錐体、S錐体の3種類の錐体の内、どれか1種の錐体を持たず、2種の錐体だけで色を認識している場合を2色覚といい、存在しない錐体がどれであるか、によって1型、2型、3型に分けられる。
【0046】
具体的には、L錐体が欠損していることを1型2色覚、M錐体が欠損していることを2型2色覚、S錐体が欠損していることを3型2色覚と呼ぶ。また、以下の説明では、1型2色覚、2型2色覚、3型2色覚を含む利用者の色覚を、利用者の色覚特性と呼ぶ。
【0047】
本実施形態では、画像投影装置100の利用者が1型2色覚、2型2色覚、3型2色覚の何れかを有する場合に、利用者の色覚特性と対応した色覚特性データ55を用いて、光源111から照射されるRGBそれぞれの光量を制御し、利用者の網膜へ投影させる。
【0048】
以下に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態の色覚特性データ55について説明する。
図5は、xy色度図におけるレーザ光の色域と、NTSCで定義された色域とを示す図である。
【0049】
図5において、色域501は人間が肉眼で視認できる色の範囲を示しており、色域502は、NTSC(National Television System Committee)で定義された色域を示しており、色域503はレーザ光の色域を示している。
【0050】
尚、xy色度図とは、CIE表色系のXYZ系で、色度座標x,y,zの中のxを横軸、yを縦軸にとった直角座標で表わしたものである。
【0051】
xy色度図において、NTSCで定義された色域502は、液晶ディスプレイ(LCD)の色域とほぼ同様である。よって、以下の説明では、色域502は、液晶ディスプレイの色域を示すものとする。
【0052】
図5からわかるように、レーザ光の色域503は、LCDの色域502よりも広い。つまり、本実施形態の画像投影装置100では、液晶ディスプレイ等の表示装置と比較して、広範囲の色域の画像を利用者に視認させることができる。本実施形態では、この点に着目し、色域503に基づく色覚特性データ55に応じて、光源111から照射される3色のレーザ光の光量を制御する。
【0053】
図6は、色覚特性と色覚特性データの関係について説明する図である。
図6では、1型2色覚、2型2色覚、3型2色覚のそれぞれについて、xy色度図上に混同直線を示している。
【0054】
図6(A)は、CIE色度図における1型2色覚の混同直線を示す図であり、
図6(B)は、CIE色度図における2型2色覚の混同直線を示す図であり、
図6(C)は、CIE色度図における3型2色覚の混同直線を示す図である。
【0055】
以下に、混同直線について説明する。2色覚の場合は、特定の色の組合せについては色の区別ができない。この区別できない色の組合せのことを混同色という。
【0056】
この混同色をxy色度図にプロットすると、2色覚の利用者にとって同じ色に感じられる色はxy色度図で1直線に並ぶことがわかっている。この直線を混同直線という。
【0057】
本実施形態では、画像データにおける混同色を、混同直線同士に挟まれた色域内の色に置き換えることで、2色覚の利用者が混同色を区別できるようにする。
【0058】
例えば、1型2色覚の利用者は、
図6(A)に示すように、混同直線L11上にプロットされる2色は、区別することができない。
【0059】
したがって、本実施形態では、例えば、混同直線L11上に重なる色は、xy色度図において、混同直線L11の傾きを変更した直線L21上にプロットされる色となるように、RGBそれぞれのレーザ光の光量を制御しても良い。
【0060】
このとき、直線L21は、例えば、混同直線L11と、混同直線L11の隣の混同直線L12とがなす角θ1を2等分する角度を有する直線としても良い。
【0061】
本実施形態では、この直線L21を表す関数を示す情報を、色覚特性データ55として保持していても良い。
【0062】
また、その場合、レーザ出力制御部50の記憶部52は、
図6(A)に示す全ての混同直線について、隣り合う混同直線と成す角を2等分する直線を示す関数を、色覚特性データ55として保持しても良い。
【0063】
本実施形態では、例えば、画像投影装置100に入力された画像データに示される画像に、混同直線L11上にプロットされる色G11の画素と色G12の画素が含まれるとする。
【0064】
この場合、本実施形態のレーザ出力制御部50は、例えば、色G12が混同直線L12上から外れた色G21として投影されるように、光源111から照射されるRGBそれぞれレーザ光の光量を増減させる。本実施形態では、このように光源111から出力される光量(出力値)を制御することで、1型2色覚の利用者が区別することができなかった色G11と色G12の2色を、色G11と色G21として区別させることができる。
【0065】
また、この場合には、混同直線L11上の色G12が、隣同士の混同直線L11と混同直線L12のそれぞれから最も離れた位置にある直線L21上の色G21として投影されるため、色G11と色G21とのちがいを大きくすることができ、色の区別のしやすくできる。
【0066】
さらに、レーザ光の色域503は、赤色の単光色から緑色の単光色までの色域と、赤色の単光色から青色の単光色までの色域を含む。したがって、本実施形態では、混同色を、LCDでは表現できなかった色で投影することができる。言い換えれば、本実施形態によれば、従来と比較して、混同色に置き換えられる色域を大きくすることができる。
【0067】
このため、本実施形態によれば、利用者にとって区別できない複数の色又は区別しにくい複数の色を、容易に区別させることができる。
【0068】
図6(B)に示す2型2色覚についても同様である。この場合、レーザ出力制御部50の記憶部52は、2型2色覚と対応する色覚特性データ55の一部として、混同直線L31と混同直線L32がなす角θ2を等分する直線L41を表す関数を示す情報を保持しても良い。
【0069】
図6(C)に示す3型2色覚についても同様である。この場合、レーザ出力制御部50の記憶部52は、3型2色覚と対応する色覚特性データ55の一部として、混同直線L51と混同直線L52がなす角θ2を等分する直線L61を表す関数を示す情報を保持しても良い。
【0070】
レーザ出力制御部50は、色覚特性データ55を
図6で説明した関数として保持する場合には、混同直線上の色が、色覚特性データ55として保持された関数が示す直線上の色となるように、光源111から照射される3色のレーザ光の出力値を制御すれば良い。
【0071】
尚、本実施形態の色覚特性データ55は、関数でなくても良い。本実施形態の色覚特性データ55は、例えば、混同直線上の色と、光源111から照射されるRGBそれぞれの出力値とを対応付けたテーブルであっても良い。
【0072】
また、色覚特性データ55は、例えば、混同直線上の色に対し、xy色度図におけるxの値又はyの値に加算される所定値又はxの値又はyの値から減算される所定値であっても良い。
【0073】
本実施形態の色覚特性データ55は、xy色度図において、混同直線上にプロットされる色のRGB値を、混同直線上からずらすように補正させるような情報であれば良い。
【0074】
以下に、
図7を参照して、色覚特性データ55の一例を示す。
図7は、第一の実施形態の色覚特性データの一例を示す図である。
【0075】
図7に示す色覚特性データ55は、混同色と、光源111の有するRGBそれぞれの光源の出力値とを対応付けたテーブルである。
【0076】
このテーブルでは、例えば、混同色である色1の画像を投影する場合には、赤色のレーザ光を照射するレーザ光源の光量(出力値)を「○○」とし、緑色のレーザ光を照射するレーザ光源の光量を「××」とし、青色のレーザ光を照射するレーザ光源の光量を「△△」とすれば、色1が混同直線上の色以外の色として投影されることを示している。
【0077】
尚、光量の値の単位は、μWである。また、
図7に示す色覚特性データ55に含まれる光量の値は、IEC60825-1のClassIに適合する値である。
【0078】
次に、
図8を参照して、本実施形態のレーザ出力制御部50の動作について説明する。
図8は、第一の実施形態のレーザ出力制御部の動作を説明するフローチャートである。
【0079】
本実施形態のレーザ出力制御部50は、画像入力部51により、画像データの入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS801)。ステップS801において、画像データが入力されない場合、レーザ出力制御部50は、画像データが入力されるまで待機する。
【0080】
ステップS801において、画像データが入力されると、レーザ出力制御部50は、出力制御部53により、記憶部52の保持された色覚特性データ55を読み出す(ステップS802)。
【0081】
続いて、出力制御部53は、色覚特性データ55に応じて、RGBそれぞれのレーザ光源の出力値を制御しながら、画像を利用者の網膜に投影させ(ステップS803)、処理を終了する。
【0082】
このように、本実施形態のレーザ出力制御部50は、レーザ照射部60が有する光源111から照射されるレーザ光の光量を、画像投影装置100の利用者の色覚特性に応じた値となるように制御して、利用者の網膜に照射させる。
【0083】
したがって、本実施形態の画像投影装置100によれば、利用者の色覚特性に合わせて、画像の輝度を落とすことなく、且つ、利用者の前眼部である中間透光体の影響を受けずに、利用者が視認しやすい色合いで画像を網膜に投影するによって、利用者の色の識別補助を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態の画像投影装置100を、眼鏡やゴーグルのような形状とし、利用者の視線方向の画像を撮像するカメラを設けても良い。その場合、画像入力部51が受け付ける画像データは、カメラにより撮像された画像の画像データであっても良く、画像投影装置100は、この画像データを画像用光線に変換して利用者の網膜に投影しても良い。
【0085】
また、画像入力部51は、例えば、外部機器から出力された画像データを受け付けても良く、画像投影装置100は、この画像データを画像用光線に変換して利用者の網膜に投影しても良い。
【0086】
外部機器は、ビデオやテレビジョン等の映像機器であっても良いし、スマートフォン等の端末機器であっても良い。外部機器は、画像データ(動画データ、静止画データ)を出力する機器であれば、どのような機器であっても良い。
【0087】
本実施形態では、このような構成とすることで、利用者の視線方向含む周囲の画像や、ビデオ、スマートフォン等に表示されている画像を、利用者の視認しやすい色合いで網膜に投影することができ、ウエアラブルな色の識別補助機能を備えた画像投影装置を提供することができる。
【0088】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、画像投影装置100が、外部の端末装置において選択された色覚特性データを受信する点のみ、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0089】
図9は、第二の実施形態の画像投影システムの一例を示す図である。本実施形態の画像投影システム200は、画像投影装置100と、端末装置300とを有する。
【0090】
本実施形態の画像投影システム200において、端末装置300は、例えば、1型2色覚、2型2色覚、3型2色覚を含む複数の色覚特性に対応した色覚特性データを保持しており、表示操作装置301に色覚特性の一覧を表示させる。そして、端末装置300は、一覧において選択された色覚特性と対応する色覚特性データを画像投影装置100に出力する。
【0091】
図10は、画像投影システムの各装置の機能を説明する図である。画像投影システム200の有する端末装置300は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ並びにRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリ装置と、タッチパネル等の表示操作装置301を有する。
【0092】
本実施形態の端末装置300は、表示制御部310と、記憶部311と、通信部312とを有する。
【0093】
表示制御部310は、例えば、表示操作装置301に、色覚特性の一覧を表示させる。記憶部311は、色覚特性毎の色覚特性データ55Aを保持している。通信部312は、外部装置との通信を行う。
【0094】
以下に、
図11を参照して、端末装置300の記憶部311が保持している色覚特性データ55Aの例を示す。
図11は、第二の実施形態の色覚特性データの一例を示す図である。
【0095】
本実施形態の色覚特性データ55Aは、色覚特性毎に対応付けられた色覚特性データを含む。
図11に示す色覚特性データ55Aは、例えば、1型2色覚と対応する色覚特性データ55-1、2型2色覚と対応する色覚特性データ55-2、3型2色覚と対応する色覚特性データ55-3を含む。
【0096】
本実施形態では、このように、端末装置300において色覚特性毎の色覚特性データを保持している。したがって、本実施形態によれば、端末装置300に表示された色覚特性の一覧において選択された色覚特性と対応する色覚特性データを画像投影装置100に送信し、画像投影装置100の記憶部52に保持させることができる。
【0097】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、色覚特性データを利用者が調整できる点が、第一及び第二の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0098】
図12は、第三の実施形態の画像投影装置を説明する図である。
【0099】
本実施形態の画像投影装置100Aは、例えば、台座20等に設置され、利用者Pが画像投影装置100Aの中を覗くように眼球を近づけた状態で、色覚特性データの調整(修正)が行われる。尚、
図12の例では、利用者Pが椅子に着席して画像投影装置100Aを利用する例を示しているが、これに限定されない。利用者Pは、起立した状態で画像投影装置100Aを利用しても良い。
【0100】
本実施形態の画像投影装置100Aは、色覚特性毎の色覚特性データを保持しており、利用者の操作に応じて、色覚特性データにおける混同色と対応付けられたR出力値、G出力値、B出力値の値を変更する。
【0101】
以下に、
図13を参照して、本実施形態の画像投影装置100Aのハードウェア構成について説明する。
図13は、第三の実施形態の画像投影装置のハードウェア構成を説明する図である。
【0102】
本実施形態の画像投影装置100Aは、通信部20、制御部30、記憶部40、レーザ出力制御部50、レーザ照射部60、入力部70、出力部80を有する。
【0103】
通信部20は、画像投影装置100Aと、外部装置との通信を行うための通信装置である。具体的には、例えば、通信部20は、ネットワーク等を介して、端末装置1と通信を行う。尚、通信部20による通信の方式は、画像投影装置100Aと外部装置とが通信を行うことができれば、どのような方式であっても良い。
【0104】
端末装置1は、例えば、医療機関等に設けられていても良いし、第一の実施形態で説明した眼鏡型の画像投影装置100を提供する店舗等に配置されたものであっても良い。また、通信部20は、例えば、第一の実施形態で説明した眼鏡型の画像投影装置100と通信を行っても良い。
【0105】
制御部30は、例えば、演算処理装置等であり、本実施形態の画像投影装置100Aの動作の全体を制御する。
【0106】
記憶部40は、制御部30により実行されるプログラムや、演算により取得された各種の値等を格納する。また、記憶部40は、色覚特性毎の、色の調整に用いる画像の画像データが格納されていても良い。さらに、記憶部40は、利用者によって調整された調整後の色覚特性データが、利用者を特定する情報と共に格納されても良い。
【0107】
入力部70は、画像投影装置100Aに対して各種の情報を入力するためのものである。具体的には、例えば、入力部70は、混同色に代えて投影させる色を調整する際に、利用者によって操作される入力装置であり、例えば、上下左右方向の矢印が印字されたキーボードや、ジョイスティックなどが好適である。
【0108】
入力部70をこのような構成とすれば、色の調整において、キーボードを押下したり、ジョイスティックを倒すことによって、濃度や彩度等を変更することができる。
【0109】
また、利用者Pは、レーザ照射部60に眼を当てているため、入力部70を見るためにレーザ照射部60から眼を外すことは効率が悪い。このため、入力部70をキーボードとすれば、上下左右を示す操作部を配置することができ、好ましい。さらに、キーボードに突起等を設けることによって、キーボードを見なくても入力できるようにすると、尚好ましい。さらに、入力部70をジョイスティックとすれば、なお好適である。
【0110】
出力部80は、画像投影装置100Aから各種の情報を出力するためのものである。具体的には、例えば、出力部80は、混同色に代わる色を調整した後の色覚特性データを、記憶部40へ記憶させたり、記録媒体等に書き出すためのものであっても良い。また、出力部80は、利用者の色覚特性を選択させるための一覧画面を表示させるディスプレイであっても良い。
【0111】
次に、本実施形態の画像投影装置100Aの機能について説明する。
図14は、第三の実施形態の画像投影装置の機能を説明する図である。
【0112】
図14に示す各部は、制御部30が記憶部40に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0113】
本実施形態の画像投影装置100Aは、入力受付部131、表示制御部132、調整用画像データ出力部133、色覚特性データ生成部134、データ格納部135を有する。
【0114】
入力受付部131は、入力部70等からの情報の入力を受け付ける。表示制御部132は、出力部80であるディスプレイに対する表示を制御する。
【0115】
調整用画像データ出力部133は、ディスプレイに表示された色覚特性の一覧において選択された色覚特性と対応する調整用画像データをデータ格納部135から読み出して、レーザ出力制御部50へ渡す。
【0116】
色覚特性データ生成部134は、入力受付部131が受け付けた操作に応じて、調整用画像データに含まれる各色のR出力値、G出力値、B出力値を変更し、変更後のR出力値、G出力値、B出力値を含む利用者別色覚特性データを生成し、データ格納部135へ格納する。
【0117】
データ格納部135は、調整用画像データ56、利用者別色覚特性データ57を格納する。
【0118】
本実施形態の調整用画像データ56は、例えば、色覚特性毎に設けられていても良い。また、調整用画像データは、
図6に示す混同直線以外の直線上の色によって表現されるグラデーションの画像等であっても良い。
【0119】
具体的には、例えば、データ格納部135は、色覚特性が1型2色覚の場合には、調整用画像データ56の一部として、
図6(A)の直線L21上にプロットされる色によって表現されるグラデーションの画像を保持していても良い。
【0120】
また、データ格納部135は、例えば、色覚特性が2型2色覚の場合には、調整用画像データ56の一部として、
図6(B)に示す直線L41上にプロットされる色によって表現されるグラデーションの画像を保持していても良い。
【0121】
次に、
図15を参照して、本実施形態の画像投影装置100Aにおける動作について説明する。
図15は、第三の実施形態の画像投影装置の動作を説明するフローチャートである。
【0122】
本実施形態の画像投影装置100Aは入力受付部131により、利用者情報の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS1501)。ステップS1501において、利用者情報を受け付けない場合、画像投影装置100Aは、待機する。尚、利用者情報とは、利用者を特定する情報であれば良く、例えば、利用者の氏名等であっても良いし、利用者の識別情報(利用者ID)等であっても良い。
【0123】
ステップS1501において、利用者情報の入力を受け付けると、画像投影装置100Aは、色覚特性の一覧を出力部80に表示させる(ステップS1502)。尚、色覚特性の一覧を示す情報は、図示していないが、記憶部40に保持されていても良い。
【0124】
続いて、画像投影装置100Aは、入力受付部131により、色覚特性の選択を受け付けた否かを判定する(ステップS1503)。ステップS1503において、色覚特性の選択を受け付けない場合、画像投影装置100Aは、選択を受け付けるまで待機する。
【0125】
ステップS1503において、色覚特性の選択を受け付けると、画像投影装置100Aは、調整用画像データ出力部133により、選択された色覚特性と対応する調整用画像データを読み出してレーザ出力制御部50へ出力し、レーザ出力制御部50により調整用画像データを利用者の網膜に投影させる(ステップS1504)。
【0126】
続いて、画像投影装置100Aは、入力受付部131により、色の調整を行う操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1505)。ステップS1505において、色の調整を受け付けない場合、画像投影装置100Aは、後述するステップS1508へ進む。
【0127】
ステップS1505において、色の調整を受け付けた場合、画像投影装置100Aは、調整の内容をレーザ出力制御部50へ通知し、出力制御部53により、RGBそれぞれのレーザ光源の出力値を操作に応じた出力値に変更させる(ステップS1506)。
【0128】
続いて、画像投影装置100Aは、色の調整が終了したか否かを判定する(ステップS1507)。具体的には、画像投影装置100Aは、調整の終了を示す操作を受け付けたか否かによって、調整の終了か否かを判定しても良い。
【0129】
ステップS1507において、調整が終了していない場合、画像投影装置100Aは、ステップS1505へ戻る。ステップS1507において、調整が終了した場合、画像投影装置100Aは、色覚特性データ生成部134により、混同色と、調整用画像データの各色と対応するRGBの出力値とを対応付けた色覚特性データに、利用者情報を付与した利用者別色覚特性データ57を生成し、データ格納部135に格納して(ステップS1508)、処理を終了する。
【0130】
尚、本実施形態の画像投影装置100Aは、データ格納部135に格納された利用者別色覚特性データ57を、第一の実施形態で説明した画像投影装置100に直接送信しても良い。
【0131】
以上のように、本実施形態によれば、色覚特性データを利用者毎に生成することができる。
【0132】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨を損なわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0133】
50 レーザ出力制御部
51 画像入力部
52 記憶部
53 出力制御部
55 色覚特性データ
60 レーザ照射部
100、100A 画像投影装置
200 画像投影システム
300 端末装置