(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】単位端子台、及び単位端子台が複数連結した連結端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/24 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
H01R9/24
(21)【出願番号】P 2022033046
(22)【出願日】2022-03-04
【審査請求日】2022-03-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112646
【氏名又は名称】フジコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【氏名又は名称】田中 正男
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】山本 珠
(72)【発明者】
【氏名】大島右京
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-062970(JP,U)
【文献】実開平05-048237(JP,U)
【文献】特開2020-167017(JP,A)
【文献】実公昭48-010608(JP,Y1)
【文献】特開2004-057431(JP,A)
【文献】登録実用新案第3160458(JP,U)
【文献】登録実用新案第3157637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00,9/15-9/28
H01R 13/40-13/72
H01B 1/20
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結端子台を構成する隣り合う単位端子台同士が相互に連結可能な単位端子台であって、
電線を接続する導電金具と、前記導電金具を収納する絶縁材からなる内部に空間を有する略方形箱型で、両側面に仕切り壁を有する枠体とを備え、
いずれかの前記仕切り壁に、その略中央付近から外側に突出するT型係合突子と、他の前記仕切り壁に、連結する他の単位端子台のT型係合突子が挿通される細長のスリット穴とを有し、
前記細長のスリット穴に挿通された前記他の単位端子台のT型係合突子の回転による挿嵌で、前記他の単位端子台のT型係合突子が前記細長のスリット穴の内壁周辺に係止される連結構造を有することを特徴とする単位端子台。
【請求項2】
軸部材とその先端に棒状部材が取り付けられた前記T型係合突子の前記軸部材の長さが、前記スリット穴が設けられた仕切り壁の壁厚と略同一であることを特徴とする
請求項1に記載の単位端子台。
【請求項3】
前記他の単位端子台が、前記単位端子台に連結した際に、前記他の単位端子台の前記棒状部材の下端が、前記単位端子台の前記導電金具の底部を押圧し、前記導電金具の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする
請求項2に記載の単位端子台。
【請求項4】
前記単位端子台のいずれかの仕切り壁の下部左右いずれかの角に設けられた位置決め用突起と、他の前記仕切り壁の下部に、前記他の端子台の位置決め用突起に対応する位置決め用切り欠き部とが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか
1項に記載の単位端子台。
【請求項5】
隣り合う単位端子台同士が相互に連結してなる連結端子台であって、
前記単位端子台は、電線を接続する導電金具と、前記導電金具を収納する絶縁材からなる内部に空間を有する略方形箱型で、両側面に仕切り壁を有する枠体とを備え、
いずれかの前記仕切り壁にその略中央付近から外側に突出するT型係合突子と、
他の前記仕切り壁に、他の単位端子台の係合突子が挿通される細長のスリット穴とを有し、
前記スリット穴に挿通された前記他の単位端子台のT型係合突子の回転による挿嵌で、前記他の単位端子台のT型係合突子が、前記細長のスリット穴の内壁周辺に係止される連結構造を備えたことを特徴とする連結端子台。
【請求項6】
軸部材とその先端に棒状部材が取り付けられた前記T型係合突子の前記軸部材の長さが、前記細長のスリット穴が設けられた仕切り壁の壁厚と略同一であることを特徴とする請求項5に記載の連結端子台。
【請求項7】
前記他の単位端子台が、前記単位端子台に連結した際に、前記他の単位端子台の前記棒状部材の下端が、前記単位端子台の前記導電金具の底部を押圧し、前記導電金具の浮き上がりを防止するように構成されていることを特徴とする
請求項6に記載の連結端子台。
【請求項8】
前記単位端子台のいずれかの仕切り壁の下部左右いずれかの角に設けられた位置決め用突起と、他の仕切り壁の下部に、前記他の単位端子台の位置決め用突起に対応する位置決め用切り欠き部とが設けられていることを請求項5から7のいずれか
1項に記載の連結端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端子台に関し、特に任意な個数連結可能な単位端子台(以下、ユニットセル)、及びユニットセルが任意の個数連結された連結型端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
端子台は、電気装置や電子回路への配線を中継する手段である。より具体的には、「導電端子部品を絶縁部品に組み合わせた構造で、支持体に固定できる電気的接続のための器具」というように定義される。
【0003】
一般的に、電気・電子機器、電子デバイス、電子回路基板等の電源や、これらに接続する情報処理装置は、これらの機器本体からかなり離れた場所に配置されている。したがって、電源や情報源から機器本体に直接配線すると、電線が長くなって機器周りでの電線のハンドリングがし難くなる。そこで、機器本体の近傍に端子台を設置して、電源や情報源から端子台までの配線を一次配線とし、端子台から機器本体までの配線を二次配線とすれば、機器周りの配線は短くなり、そのハンドリングを容易にすることができる。これが端子台を用いる主な効果の一つである。
【0004】
また、機器周辺の配線が損傷・劣化して、その交換が必要になった時に、端子台を用いていない場合は、交換する電線の量(長さ)が大きくなる。しかし、端子台を用いた場合には、一次配線が損傷することは稀なので、二次配線のみ交換すればよく、交換する電線の量を著しく少なくすることができる。これが端子台を用いるもう一つの効果である。
【0005】
近年、電気・電子機器や電子回路等の構造が複雑化しており、かつ一か所に複数の機器を併設することも多くなっていることから、これらの機器への配線の電線数が非常に多くなっている。したがって、端子台も多数の端子が並列に配置された多連型(多極型)のものを用いる必要がある。
【0006】
かかる多連型の端子台として、最も一般的に用いられているのは、組端子台(ブロック端子台)と呼ばれるものである。これは、絶縁材料からなる平板状又は櫛形凹部を有する長方形の基台上に、所定数の導電端子を並列に取り付けてなるもので、端子数(極数)は予め定まっており、使用者側で変えることはできない。
【0007】
このため、必要な配線の本数と、市販の組端子台の極数が一致することは殆どなく、可能な限り必要配線数に近い極数の組端子台を選択しても、不使用端子が生じることが避け難いという問題がある。また、機器の改造・増設等で配線数が増加した場合には、また別の端子台の設置が必要になる、という問題もある。
【0008】
かかる問題を回避するためには、端子台の極数を任意に(需要者の求める数)に変更できる端子台の実現が必要である。そのため近年、同一形状のユニットセルを所望の数だけ連結して端子台を構成するいわゆる連結型の端子台(本明細書では、「連結端子台」という)が検討されるようになってきた。
【0009】
本発明は、かかる連結端子台の構造に関するものである。連結端子台は、一部実用化されているものもあるが、多くは、試作・開発段階で、その構造や端子セルの連結方法について種々の案が提出されている(例えば、非特許文献1,2及び特許文献1)。
【0010】
非特許文献1には、複数のユニットセルを一定方向に配列し、各セルの中央上部を連通する貫通孔を設け、これに長尺のビスを挿通して、両端をナットで締める連結構造の連結端子台が開示されている。しかし、極数を変えるごとに長さの合うビスに変えなければならず、場合によってはビスを切断するため、無駄が発生するという問題がある。
【0011】
非特許文献2には、相互に連結するユニットセルの一方に、連結用突起を、他方に連結用穴を設けて、両者を篏合する連結構造を有する連結端子台が開示されている。しかし、この連結構造では、突起と穴との間の摩擦力でしか固定されていないため、両者を引き離すような力に対して固定力が弱く、かつ振動に弱いという問題がある。
【0012】
特許文献1には、「端子金具部材が取付け固定された絶縁材料からなる複数の構成体を備え、この構成体は凸部とこれに対応する凹部が係合してなり、この凸部と凹部は、連結方向に対して略直交する方向に係合することを特徴とする端子台」が開示されている。しかし、かかる係合方式は、作用する力の方向によっては、係合が脱落し易いという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】https://www.fujicon-tb.co.jp/products/detail.html?id=2326
【文献】https://www.fujicon-tb.co.jp/products/detail.html?id=6569
【特許文献】
【0014】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
連結端子台は、全体(一体)連結型のものと、個別(逐次)連結型のものに大別される。全体連結型端子台は、個々のユニットセル相互の連結機能はなく、ユニットセルを所望の個数だけ一定方向に配列しておき、それらの両端を固定又は押圧する全体押し付け機構を有してなるものである。全体押し付け機構として、例えば非特許文献1のように、配列したユニットセル全体を連通するような貫通孔を設け、これに長いネジを挿通して、ネジ止めする方法や、配列したユニットセル全体の両端に押さえ部材を配して、これを基台にボルトで固定する方法等があげられる。これに対して、個別連結型端子台は、ユニットセル相互を個別に係止する連結構造を有し、端末セルに逐次ユニットセルを連結してなるもので、全体押し付け機構を必要としない場合が多い。
【0016】
全体連結型端子台の問題点は、ユニットセルの増設がし難いという点である。すでに構成した連結端子台にユニットセルを追加する場合に、押し付け機構のネジの長さが不足したり、ボルト穴の位置が合わなかったりするトラブルが生じ易い。また、全体押し付け機構の構成如何によっては、中間のユニットセルに対する押付け力が不十分になって、そのセルが脱落し易くなるという問題もある。
【0017】
これに対して、個別連結型端子台は、ユニットセルの増設がきわめて容易であるという利点を有する。問題は、ユニットセル相互を連結する連結構造に課題が残されているという点である。
【0018】
端子台に連結された電線には、種々の方向から力が作用し、特定の方向の力にのみ対応すればよいということにはならない。例えば、くさび型の凸部と凹部を篏合して連結するような結合方式では、連結方向の側面から力が作用した場合に、容易に脱落する可能性がある。
【0019】
また、連結部の構造如何によっては、非常に強い力が作用した場合に連結部の材料が一部破損又は変形して、連結が分断されるという可能性もある。そこで、本発明の第一の課題は、個別連結型端子台において、如何なる方向からの作用力に対しても対応でき、かつ非常に強い力が作用しても、連結部が破損・変形することが無い、ユニットセルの連結構造を提供することにある。
【0020】
本発明の第二の課題は、導電金具の浮き上がり防止の問題である。ユニットセルは、絶縁材からなる略方形箱型の枠体を外筒とし、方形の導電金具を内筒として、両者がほぼ隙間なく篏合されている。
【0021】
絶縁材からなる枠体は、通常一体に成形されており上下に分割できない。また、ユニットセルの側面や底面に、導電金具の浮き上がりを防止する機構を設ける空間的余地が殆ど無い。さらに、ユニットセルの上部は、電線をねじ止めするため、感電・漏電等の問題があって、導電金具の浮き上がりを防止する機構を設けることが難しい。
【0022】
僅かに実行可能な浮き上がり防止手段として、張出し部を用いた係止構造が考えられる。
この張出し部を用いた係止構造は、従来から広く用いられているもので、本発明の実施例にも採用している。
【0023】
しかし、電力装置の端子台では、太い電線を連結することが多く、非常に強い引張り力が作用する場合がある。その場合は、前述の張出し部を用いた係止構造では、張出し部が変形して導電金具が脱落してしまうという危険性があるが、かかる強い引張り力に対しても、導電金具の浮き上がりを防止できるような手段は、未だ実現されていない。そこで、本発明の第二の課題は、導電金具がこれに連結した電線により、非常に強い引張り力を受けた場合でも、導電金具の浮き上がりを防止できるような手段を提供することにある。
【0024】
これらにより本発明の課題は、個別連結型端子台において、ユニットセルの増設がきわめて容易であるとともに、如何なる方向からの作用力に対しても対応でき、かつ非常に強い力が作用しても、連結部が破損・変形することが無い、かつ導電金具が非常に強い引張り力を受けた場合でも、その浮き上がりを防止しうる連結構造をユニットセル、及び係るユニットセルが複数連結された連結端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するため、本発明は連結端子台を構成する隣り合う単位端子台同士が相互に連結可能な単位端子台であって、
電線を接続する導電金具と、前記導電金具を収納する絶縁材からなる内部に空間を有する略方形箱型で、両側面に仕切り壁を有する枠体とを備え、
いずれかの前記仕切り壁に、その略中央付近から外側に突出するT型係合突子と、他の前記仕切り壁に、連結する他の単位端子台のT型係合突子が挿通される細長のスリット穴とを有し、
前記細長のスリット穴に挿通された前記他の単位端子台のT型係合突子の回転による挿嵌で、前記他の単位端子台のT型係合突子が前記細長のスリット穴の内壁周辺に係止される連結構造を有することを特徴とする。
【0027】
さらに、前記他の単位端子台が、前記単位端子台に連結した際に、前記他の単位端子台の前記棒状部材の下端が、前記単位端子台の前記導電金具の底部を押圧し、前記導電金具の浮き上がりを防止するように構成されていることが好ましい。このような構造により、連結する他の単位端子台(増設側のユニットセル)の枠体を単位端子台(既設側のユニットセル)の枠体に対し90度横転させた状態で、前記棒状部材を前記スリット穴に挿通した後、他の単位端子台(増設側のユニットセル)の枠体を直立させることで、単位端子台に他の単位端子台が係止され、これを複数回行うことで、所望個数の単位端子台が連結された連結端子台とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の単位端子台(ユニットセル)は上記のように構成されているから、二つのユニットセルが連結した時に、連結するユニットセル(増設側のユニットセル)のT型部材の棒状部材が対向するセルの仕切り壁の裏側まで貫入し、直立状態になっている。このために、仕切り壁に設けた水平で細長のスリット穴の内壁で十字にクロスした状態で係合している。したがって、人為的に一方のセルを回転させない限り、如何なる方向から力が作用しても、係合が外れることはない。
【0029】
また、ユニットセルを引き離す強い力が作用しても、T型部材が破損しない限り連結が壊れることはない。さらに、連結状態では増設側セルの棒状部材が直立状態になり、その下端が既設側セルの導電金具の底面を上から押圧する状態になる。そのため、導電金具に強い引き上げ力が作用しても、T型部材が破損しない限り導電金具が浮き上がることはない。
【0030】
従って本発明により、「個別連結型端子台において、如何なる方向からの作用力に対しても対応でき、かつ非常に強い力が作用しても、連結部が破損・変形することが無い連結構造を備え、併せて導電金具が非常に強い引張り力を受けた場合でも、その浮き上がりを防止しうる連結構造を備えたユニットセルを提供する」という本発明の課題をすべて解決することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、実施例の図面を参照して、本発明の望ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一実施例におけるユニットセル1の構成を示す図である。このユニットセル1は、
図1(c)に見られるように、枠体2に導電金具3を篏合して構成されている。枠体2は、絶縁物からなり、
図1(a)に示すように、導電金具3を収容しうる大きさの方形(四角形)の箱型の形状を有し、上面が開放されている。
【0032】
図1(b)に示す導電金具3には、その上面に、電線の接続端子(圧着端子)を係止するねじ穴4が2個形成されている。またその両側面には、張出し部12が形成されているが、その目的は後述する。
【0033】
なお、本実施例は、導電金具が二穴型の場合のものである。導電金具には、一次配線の接続端子と二次配線の接続端子を別々のネジでねじ止めする二穴(2ネジ)型のものと、一次配線及び二次配線の接続端子を重ね合わせて一個のネジでねじ止めする一穴(1ネジ)型のものがある。以下の第一の実施例は、導電金具が二穴型のものについてであるが、その構成要件、技術内容等は、導電金具が一穴型の場合にも全く同様に適用しうるものである。
【0034】
図2は、本実施例における枠体の構造を示す図で、
図2(a)は斜視図、
図2(b) は側面図、
図2(c)は正面図である。枠体2は、ユニットセル1の連結方向(図のX方向)に直交する側面の一方に背の高い第一の仕切り壁5が、他方に第二の仕切り壁6が形成されている。第二仕切り壁6は、枠体2の側壁9と同じ高さで、一体に取り付けられている。
【0035】
第一仕切り壁5の背面には、その中央付近にT型部材7が取り付けられており、第二仕切り壁6は、T型部材に対応する位置に水平に延在するスリット穴8が形成されている。スリット穴8は、T型部材を挿通しうる位置及び大きさに形成されている。
【0036】
また、第一仕切り壁5の下端の左右いずれか一方のコーナーに、位置決め用突起10が設けられ、第二仕切り壁6の下端の位置決め用突起10に対応するコーナーに、位置決め用切欠き部11が設けられている。この位置決め用突起10と位置決め用切欠き部11を設けている理由は、後述する。
【0037】
本発明において、仕切り壁の高さは、この例に限定する必要はない。例えば、第一仕切り壁5がより低く、第二仕切り壁6がより高く、両者の高さが同程度であっても良い。要は、T型部材7とスリット穴8を取り付けて連結できる高さあればよく、少なくとも側壁9と同じか、これより高く形成されていればよい。
【0038】
次に、本第一実施例において、導電金具3を枠体2の内部に固定する機構について説明する。
図3はこの連結構造の説明図で、
図3(a)は枠体2の側面図、
図3(b)は
図3(a)のA-A断面の断面図である。
【0039】
図3(b)に見られるように、導電金具3の両側壁には、上方に緩やかに拡大傾斜する張出し部12が形成されている。一方、枠体2の両側壁9には、段差13が設けられている。導電金具3を枠体2の底面まで押し込んだ時に、張出し部12の上端が、段差13に当接嵌合して固定される。
【0040】
この張出し部12を用いた係止構造は、先の段落(0022)で述べたように、従来から用いられているものであるが、本発明の特徴の一つは、以下に説明するT型部材7とスリット穴8の組合せによるユニットセル1の連結構造にある。
【0041】
図4は、本実施例におけるT型部材の形状を示す図で、
図4(a)は枠体2の斜視図、
図4(b)はその側面図である。図に見られるように、T型部材7は、軸部材14と棒状部材15とから構成されている。軸部材14は、第一仕切り壁5中央やや下側で、外側に突出するように取り付けられている。棒状部材15は、軸部材14の先端に、直立に延在し仕切り壁と平行になるように取り付けられている。
【0042】
本実施例においては、軸部材14は円筒状で、棒状部材15は細長い帯板状に形成されているが、両者の形状をこの例に限る必要はない。軸部材14はある程度の強度を有するものであれば、断面形状は限定を要しない。棒状部材15も所定の長さを持つものであれば、丸棒状でも角棒状で帯板状でも差し支えない。
【0043】
また、棒状部材15と第一仕切り壁5との間隔Lは、第二仕切り壁6の厚さTとが同じになるように構成されている。これにより、両枠体を組み立てたときに、連結面が当接(密着)するという効果が得られ、ユニットセル1の緩みない連結が可能となる。なお、第一仕切り壁5の下端のコーナーから突出する位置決め用突起10の意義については後述するが、これが取り付けられるコーナーは、左右いずれであってもよい。
【0044】
次に、本発明において、ユニットセル1を相互に連結する方法について説明する。
図5はこの方法の説明するための斜視図で、
図5(a)は連結前の状態、
図5(b)は連結したユニットセル1が回転している状態、
図5(c)は連結後の状態を示す。。
【0045】
まず、
図5(a)に見られるように、増設側ユニットセル1bを、既設側ユニットセル1aに対して、90度横転した状態で配置する。この時、ユニットセル1bの第一仕切り壁5の前面に取り付けられたT型部材(図に表れていない)は水平になっているから、この状態でユニットセル1bを矢印方向に前進させれば、T型部材はユニットセル1aの第二仕切り壁6に設けられたスリット穴8(図に表れていない)に挿通される。
【0046】
この状態で、仕切り壁5を対面する仕切り壁6に密接させれば、T形部材の先端の棒状部材15は、スリット穴8を通り抜けて、ユニットセル1bの第二仕切り壁6の裏側に位置するようになり、増設側のユニットセル1bが回転可能になる。この状態で、ユニットセル1bを中間まで回転させた状態を
図5(b)に示す。
【0047】
先の
図4(b)で示したように、棒状部材15と仕切り壁5との間隔Lは、ユニットセル1aの第二仕切り壁6の厚みと同じになっているから、棒状部材15の底面は仕切り壁6の表面(裏面)に密接して摺動しながら回転する。
【0048】
さらに回転を進めると、
図5(b)内に矢印で示したとように、ユニットセル1bの第一仕切り壁5の下端右側コーナーに設けられた位置決め用突起10が、ユニットセル1aの第二仕切り壁6の右側下端に設けられた位置決め用切欠き部11に当接嵌合して、ユニットセル1bが直立状態になる。位置決め用突起10とこれに対応する位置決め用切欠き部11との嵌合により、ユニットセル1aの直立状態を維持確保できる。
【0049】
なお、連結時の増設側ユニットセル1bの一連の操作(横転-T型部材の挿通-直立・回転)において、位置決め用突起10が左右いずれのコーナーにあるかによって、回転の方向が制約されることに留意を要する。
【0050】
次に、本第一実施例における導電金具の浮き上がり防止の機構について説明する。
図6はこの防止機構の説明図で、2個のユニットセルが連結した連結端子台を例として説明する。
図6(a)は連結端子台の正面図、
図6(b)は
図6(a)のC-C断面の断面図である。また、
図6(c)は連結端子台の側面図、
図6(d)は
図6(c)のD-D断面図(D―D断面を矢視方向から見た側面図)である。
【0051】
図6(b)及び
図6(d)に見られるように、増設側のユニット1bのT型部材7の底面が、既設側のユニットセル1aの導電金具3の底部表面に当接して、導電金具の浮き上がりが防止されるように構成されている。すなわち、本第一実施例では、ユニットセルの連結構造自体が、導電金具の浮き上がり防止機能を有しているということができる。
【0052】
図7は、本発明の連結端子台の一例である連結端子台の外観斜視図である。この連結端子台は、ユニットセル1が5個連結されてなるものである。本発明の連結端子台は、先に段落(0043)で述べてように、セル相互が緩みなく強固に連結されており、一体物である組端子台と同様に扱うことができる。
【0053】
したがって、この連結端子台は、基台に固定して使用しても良いし、固定せずフリーの状態で用いることもできる。基台に固定する方法は、とくに限定を要しないが、一例として、連結端子台の両端に端部ユニットセルを連結して、この端部ユニットセルをボルトやねじで基台に固定する方法が考えられる。
【0054】
また、この連結端子台は、ユニットセルの増減が容易なことが特徴である。増設する際は、
図5に示した連結方法で、増設ユニットの第一仕切り壁5を既設ユニットの第二仕切り壁6に連結すればよい。ユニット数を減らす場合は、端部のセルを90度回転して、T型部材をスリット穴から引き抜けば、容易に連結を外すことができる。この点が本発明の連結端子台の大きな利点といえる。
【0055】
次に第二実施例について説明する。第二実施例は、一穴型の導電金具についてのものである。枠体の構成、連結技術の内容等は、上述した二穴型の場合と全く同様であることから、同様の構成、連結技術については、簡略に図面を参照しながら第二実施例について説明する。
【0056】
図8は、本発明の第二実施例におけるユニットセル10の構成を示す図である。このユニットセル100は、
図8(c)に見られるように、枠体20に導電金具30を篏合して構成されている。枠体20は、絶縁物からなり、
図8(a)に示すように、導電金具30を収容しうる大きさの方形(四角形)の箱型の形状を有し、上面が開放されている。
【0057】
図8(b)に導電金具30の斜視図を示す。第一実施例との違いはその上面に、電線の接続端子(圧着端子)を係止するねじ穴34が1個だけ形成されていること、その底板から下方に向けて導電性の導電突起33が形成されているところにある。第一実施例に示すように、多くの端子台は入出力端子として、2個のねじ穴を有するが、端子台によっては、第二実施例に示すように入力にねじ穴34(入力端子)、出力に導電突起33(出力端子)を用いる、といった使い方がある。
【0058】
例えば、回路基盤上に端子台を設置するような場合、導電突起33を基盤との接続に使用することで、端子台のねじ穴は1個で済むケースである。なお、本第二実施例において、その両側面には、張出し部12が形成されていること、及び導電金具30を枠体20の内部に固定する機構について、上述した導電金具3を枠体2の内部に固定する機構と同じである。
【0059】
図9は、本第二実施例における枠体20の構造を示す図で、
図9(a)は側面図、
図9(b) は正面図、
図9(c)は背面図、
図9(d)は斜視図である。枠体20は、ユニットセル10の連結方向に直交する側面の一方に背の高い第一の仕切り壁25が、他方に第二の仕切り壁26が形成されている。第二仕切り壁26は、枠体20の側壁と同じ高さで、一体に取り付けられている。第二仕切り壁25の背面には、その中央付近にT型部材27が取り付けられており、第二仕切り壁26は、T型部材に対応する位置に水平に延在するスリット穴28が形成されている。スリット穴28は、T型部材を挿通しうる位置及び大きさに形成されている。枠体20の構造は、第一実施例で説明した枠体2と同様である。
【0060】
また、第二仕切り壁25の下端の左右いずれか一方のコーナーに、位置決め用突起21が設けられ、第二仕切り壁26の下端の位置決め用突起21に対応するコーナーに、位置決め用切欠き部22が設けられている。この位置決め用突起21と切り欠き部22を設けている。その理由は第一実施例で説明した通りである。
【0061】
図10は、本第二実施例のユニットセル100が複数連結された連結端子台の両端に設けられる端部ユニットセル40の構成を示す図である。
図10(a)は側面図、
図10(b)斜視図、
図10(c)は背面図である。端部ユニットセル40は、ユニットセル10の連結方向に直交する側面の一方に背の高い第一の仕切り壁45が台座48と連結して形成されている。第一の仕切り壁45の高さは、ユニットセル100の第一の仕切り壁25の高さと同じである。
【0062】
第一仕切り壁45の背面には、その中央付近にT型部材47が取り付けられており、ユニットセル100の第二仕切り壁26に形成されているスリット穴28に挿通しうる位置及び大きさに形成れている。この端部ユニットセルは40はT字型部材47を中心とし左右対称であり、連結端子台の左右いずれの端部にも適用できる構成となっている。
【0063】
第一仕切り壁45の下端の左右いずれか一方のコーナーに、位置決め用突起41が設けられ、この位置決め用突起41は、ユニットセル100の第二仕切り壁26に形成されている切り欠き部22と嵌合する。なお、ユニットセル1の端部に、端部ユニットセル40と基本構造を同じくし、そのサイズが異なるものを端部ユニットセルとして連結することができる。
【0064】
次に、本第二実施例のユニットセル100を相互に連結する方法と、端部ユニットセル40と連結する方法について説明する。
図11はこの方法の説明するための斜視図で、
図11(a)は連結直前の状態、
図11(b)はユニットセル100bのT字型部材27をユニットセル20aのスリット穴28に挿通し連結したユニットセル100bを回転している状態、
図11(c)は連結後の状態を示す。
【0065】
まず、
図11(a)に見られるように、増設側ユニットセル100bを、既設側ユニットセル100aに対して、90度横転した状態で配置する。この時、ユニットセル100bの第一仕切り壁25の前面に取り付けられたT型部材(図に表れていない)は水平になっているから、この状態でユニットセル100bをユニットセル100a方向に前進させれば、T型部材はユニットセル100aの第二仕切り壁26に設けられたスリット穴28(図に表れていない)に挿通される。
【0066】
この状態で、仕切り壁25を対面する仕切り壁26に密接させれば、T形部材の先端の棒状部材24-1は、スリット穴28を通り抜けて、ユニットセル10bの第二仕切り壁26の裏側に位置するようになり、増設側のユニットセル10bが回転可能になる。この状態で、ユニットセル10bを中間まで回転させた状態が
図11(b)である。
【0067】
これと同様に端部ユニットセル40の第一仕切り壁45の前面に取り付けられているT型部材47(
図9参照)をユニットセル100aの第二仕切り壁26に形成されているスリット穴28に挿通し回転させることでユニットセル100aと端部ユニットセル40とが連結される。こうして端部ユニットセル40とユニットセル100a、ユニットセル100bとが連結された状態が
図11(c)である。
【0068】
図12はユニットセル100が3個連結し、その両端部に端部ユニットセル40が連結された連結端子台が、回路基板60上に設置され、先端に圧着端子を備えた電線50aと電線50bとがねじ穴34を介してねじで固着された状態を示した図である。
図12(a)はこの状態を示す斜視図で、
図12(b)はこの状態の正面図、
図12(c)は、
図12(b)のX-X断面を矢視の方向からみた断面図である。
【0069】
図12には3個のユニットセル100と、その両端部に端部ユニットセル40とが、本発明の連結構造により連結されている。かかる連結端子台は回路基盤60上に載置されボルト・ナットにより回路基盤60に固着されている。回路基盤60と電線50(50a、50b)とは、導電金具30の入力ねじ穴34(入力端子)、出力突起33(出力端子)とにより電気接続している。
図12(c)に示すように導電金具30の底板はT型部材の端部により押圧されており、これにより導電金具30に大きな引き抜き力がかかっても導電金具30が枠体20から外れることがない。
【0070】
図12は、ユニットセル100が3個連結した場合であるが、本発明によれば、所望数の連結型端子台を簡単に作成でき、また連結数の増設がきわめて容易に行うことができる。また、如何なる方向からの作用力に対しても対応でき、かつ非常に強い力が作用しても、連結部が破損・変形することが無い。さらに、導電金具が非常に強い引張り力を受けた場合でも、その浮き上がりを防止しうる機能を有する連結手段を備えた連結端子台を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本発明の実施例におけるユニットセルの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施例における枠体の構造を示す図である。
【
図3】本発明の第一実施例における導電金具を枠体内に固定する機構の説明図である。
【
図4】本発明の第一実施例におけるT型部材の形状を示す図である。
【
図5】本発明の第一実施例におけるユニットセル相互を連結する方法について説明するための斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施例における導電金具の浮き上がり防止機構の説明図である。
【
図7】本発明の第一実施例における連結端子台の一例である連結端子台の外観斜視図である。
【
図8】本発明の第二実施例におけるユニットセル10の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第二実施例における枠体20の構造を示す図である。
【
図10】本発明の連結端子台の両端に設けられる端部ユニットセル40の構成を示す図である。
【
図11】本発明の第二実施例におけるユニットセル100を相互に連結する方法を説明する図である。
【
図12】本発明の第二実施例におけるユニットセル100が3個連結した状態を示した図である。
【符号の説明】
【0072】
1,1a,1b,100:ユニットセル
2,20:枠体
3,30:導電金具
4,34:ねじ穴
5,25,45:第一仕切り壁
6,26,46:第二仕切り壁
7,27,47:T型部材
8、28:スリット穴
9:側壁
10,21、41:位置決め用突起
11,22:位置決め用切り欠き部
12,32:張り出し部
13:段差
14,24,44:軸部材
15,24-1,44-1:棒状部材
33:導電突起
48:台座
50:電線
60:回路基板
【要約】 (修正有)
【課題】導電金具を内蔵した絶縁性枠体からなるユニットセルを複数個連結する連結端子台において、セル相互が強固に連結し、かつセルの着脱が容易な連結構造を提示する。
【解決手段】ユニットセルの連結面一方(増設側)の壁面外側に長辺が直立するT型部材を突出させるとともに、他方の壁面に水平なスリット穴を設け、増設側セルが90度横転した状態でT型部材をスリット穴に挿通した後、増設側セルを直立させて、T型部材の長辺とスリット穴が十字状にクロスして係止されるようにした連結構造。
【選択図】
図5