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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/10 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
F04B43/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018128422
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020007938
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109107(JP,A)
【文献】特開2008-100220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、
前記外筒の内周側に設けられた内筒と、
前記内筒と前記外筒との間に設けられた圧力供給部と、
を有するポンプユニットを軸方向に沿って複数連結した固液分離ポンプであって、
互いに軸方向に隣接するポンプユニット間に、当該ポンプユニットの内部を通過する固液に含まれる液体を外部に排出し、固体を前記ポンプユニット内に留める透過部を設け、
前記留められた固体を下流側に搬送可能なことを特徴とする固液分離ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関し、特に加圧媒体の供給に応じた膨張によって固液を分離,搬送可能なポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固液分離に好適なポンプを構成するポンプユニットの構成として、特許文献1に示すような構成が開示されている。当該ポンプユニットは、円筒状の外筒と、当該外筒内に配設される内筒とからなる2重構造であり、外筒と内筒との間に形成されたチャンバー内に空気等の流体の圧力を印加することによって、内筒を径方向内側に向けて膨張させ、内筒内の容積を変化させることにより、内筒内の流体を搬送する構成である。
また、上記文献には、ポンプユニットを構成する内筒の内周面上の周方向に沿ってフィルタを配置し、内筒の径方向内側への膨張によりフィルタを密着させ、当該フィルタによって個体と液体を分離する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-109107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ポンプユニットにおいては、フィルタによって固液を分離できるものの、圧力印加に応じた空隙率の変化によって分離対象を選択可能とする構成であるため、制御が煩雑であるという不都合がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、固液をより簡易な構成で効率的に搬送,分離可能なポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための構成として、外筒と、外筒の内周側に設けられた内筒と、内筒と前記外筒との間に設けられた圧力供給部とを有するポンプユニットを軸方向に沿って複数連結した固液分離ポンプであって、互いに軸方向に隣接するポンプユニット間に、当該ポンプユニットの内部を通過する固液に含まれる液体を外部に排出し、固体をポンプユニット内に留める透過部を設け、留められた固体を下流側に搬送可能な構成とした。
本構成によれば、互いに軸方向に隣接するポンプユニット間に、当該ポンプユニットの内部を通過する固液に含まれる液体を外部に排出し、固体をポンプユニット内に留める透過部を設けたことから、透過部を介して液体を容易に排出することができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ポンプユニットの概要を示す断面図である。
図2】ポンプユニットの内部構造の概要を示す断面図である。
図3】ポンプユニットの動作の概要を示す断面図である。
図4】ポンプの全体構成を示す概要図である。
図5】ポンプの連続的な動作と固液の搬送,分離を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、ポンプ100を構成するポンプユニット1の概要を示す概略断面図である。同図に示すように、ポンプユニット1は、円筒状に形成された外筒10と、当該外筒10の内周側に設けられた円筒状の内筒20と、外筒10及び内筒20の軸方向の一端側と他端側にそれぞれ設けられた一端側フランジ30及び他端側フランジ32とを備える。
【0010】
外筒10は、両端開口の円筒状に形成され、その両端部は一端側フランジ30及び他端側フランジ32の外周面に嵌入された固定リング34a;34bによってそれぞれ固定されている。図2(a)に示すように、外筒10は、例えば低アンモニア天然ラテックスゴムから成るゴム層12a;12bと、当該ゴム層12a;12bの間に介挿された繊維層14を有してなる。繊維層14は、径方向に沿って積層される複数の炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などからなる高弾性繊維14aによって構成される。同図に示すように、高弾性繊維14aの延長方向は、外筒10の軸方向と一致しており、後述のチャンバー50内への空気の導入より外筒10が膨張しようとする場合、軸方向への伸長(膨張)が規制される結果、径方向への膨張のみが許容される。
【0011】
図2(b)に示すように、内筒20は、天然ラテックスゴムやシリコーンゴムなどのゴム部材から構成された円筒状であって、外筒10の軸心と同軸上に配設される。内筒20の両端部はそれぞれ、一端側フランジ30の外端面に形成された凹部30aと、他端側フランジ32の外端面に形成された凹部32aにおいてそれぞれ嵌入される固定リング34により固定される。図2(b)に示すように、内筒20の周方向には、所定角度(同図では90°)を隔てて複数のガイド部15が形成される。ガイド部15は、内筒20の外周側において径方向外側に鋭角状に突出する突部15aと、当該突部15aの内周側において径方向外側に凹となる溝部15bとからなり、内筒20の軸方向に沿って延長する。
【0012】
図2(c)に示すように、後述のチャンバー50内への空気の導入より、内筒20の外周面に圧力Pが加わると、各ガイド部15の間の領域が、各ガイド部15を基点とするように径方向内側に膨張し、さらなる圧力Pの印加によって、図3(b)に示すごとく複数個の膨張域に区画されるように内筒20の内部流路Lが閉塞される。
【0013】
図1に示すように、外筒10及び内筒20の両端開口部が一端側フランジ30及び他端側フランジ32によってそれぞれ強固に固定されると、ポンプユニット1内には、外筒10、内筒20、一端側フランジ30及び他端側フランジ32によって区画された圧力供給部としてのチャンバー50が形成される。チャンバー50は、内筒20の軸回りにおいて軸方向に沿って延長する空間であって、当該チャンバー50内には、図外の圧力給排装置から送出される空気等の流体が供給される。また、一端側フランジ30及び他端側フランジ32にはそれぞれ、周方向に沿って均等に配列された複数のエアチューブ挿入孔36a~36fと、エアチューブ挿入孔38b~38fが形成される。エアチューブ挿入孔36b~36f及びエアチューブ挿入孔38b~38fは、それぞれ一端側フランジ30及び他端側フランジ32を軸方向に貫通し、チャンバー50の内外を連通する。
【0014】
図1に示すように、一端側フランジ30のエアチューブ挿入孔36aには、当該エアチューブ挿入孔36a内において終端するエアチューブ40aが挿入される。エアチューブ40aは、図外の圧力給排装置と接続されており、当該圧力給排装置から送出される空気等の流体は、エアチューブ40aを経由してチャンバー50内に送り込まれる。
【0015】
また、一端側フランジ30のエアチューブ挿入孔36b~36fには、他端側に連結される他の複数のポンプユニットへの圧力の供給を可能とするためのエアチューブ40b~40fが挿入される。図4に示すように、各エアチューブ40b~40fは、チャンバー50内を経由して、エアチューブ挿入孔36b~36fとそれぞれ対応する位置に形成された他端側フランジ32のエアチューブ挿入孔38b~38fを介して架け渡され、それぞれ他端側に連結される他のポンプユニットに対して個別に圧力を供給する。図示の例では、一端側フランジ30に合計6つのエアチューブ挿入孔36a~36fが形成されていることから、最大で6つのポンプユニットを連結可能とされている。このように、チャンバー50は、複数のエアチューブ40a~40fの挿入により密閉された空間として形成されるため、エアチューブ40aを介してチャンバー50内に空気が供給されると、外筒10及び内筒20が膨張動作することとなる。
【0016】
以下、図1乃至図3を参照して上記構成からなるポンプユニット1の具体的動作について説明する。チャンバー50内に空気等の所定の圧力が印加されると、外筒10は径方向外側に向けて膨張するとともに、軸方向に収縮する。即ち、外筒10には、軸方向に沿って延長する繊維層14が形成されているため、軸方向への伸長が規制される。その結果、外筒10の膨張方向は径方向外側に限定され、当該径方向外側への膨張に伴って、軸方向長さが収縮することとなる。
【0017】
また、チャンバー50内に空気等の所定の圧力が印加されると、内筒20は、径方向内側に向けて膨張する。より詳細には、内筒20には周方向に沿って均等な間隔でガイド部15が形成されているため、各ガイド部15を基点として複数の膨張領域20a~20dを有して膨張することとなる。
【0018】
内筒20が径方向内側に膨張すると、最終的には膨張領域20a~20dの内周面22が互いに押し付け合いながら密接した状態となり、ポンプユニット1の動作前において開放されていた内筒20内の内部流路Lが閉鎖状態とされる。そして、内部流路L内の固液は、内筒20の膨張による容積減少に伴って軸方向に押し出され、隣接するポンプユニット側に流出することとなる。なお、本例においては、外筒10に繊維層14を内挿することによって膨張時における軸方向への伸長を規制し、軸方向への収縮を促す構成としたが、これを省略しても良い。そして、この場合、外筒10をプラスチックや金属等からなる剛体として構成しても良い。一方で、繊維層14を設けることによって、膨張時にポンプユニット1全体を軸方向に収縮させることができるため、内部流路L内に存在する固液をより効率的に押し出すことが可能となる。
また、本例においては、内筒20に複数のガイド部15を形成することによって、径方向内側への膨張を促進する構成としたが、例えば、外筒10と内筒20との間に円環状のシェーパーリングを介在させておき、当該シェーパーリングによって、内筒20の周方向の一部の領域を予め径方向内側に変形させておくことにより、径方向内側への膨張を促進する構成としても良い。また、本例においては、外筒10及び内筒20の断面形状を円形としたが、これに限られるものではなく、三角形や四角形等の非円形状であっても良く、また、外筒10と内筒20とが同形でなくとも良い。
【0019】
次に、図4を参照して上記構成からなるポンプユニット1を複数備えたポンプ100の全体構成について概要について説明する。同図に示すように、ポンプ100は、複数のポンプユニット1A~1Fが軸方向に沿って複数連結されてなり、圧力給排手段120によって駆動される。
【0020】
同図に示すように、軸方向に隣接するポンプユニット1A~1F間には、透過部Kが設けられる。透過部Kは、例えば、一端側フランジ30及び他端側フランジ32と略同径に形成され、内部流路Lと連通する円筒状の網状体(メッシュ)である。網状体の複数の開口は、少なくとも液体が透過可能な口径を有しており、透過部K内を通過しようとする固液に含まれる液体がポンプユニット外に排出される。透過部Kの材質としては網状体に限らず、柔軟なスポンジ、濾布、濾紙、液体透過性のフィルム、或いは、硬質な軽石等であってもよい。なお、ポンプ100全体の配置の容易性(曲げ容易性)を考慮すれば、柔軟性を有する材質によって構成するのが望ましい。
【0021】
透過部Kは、その軸方向両端端部がそれぞれ、互いに隣接するポンプユニット1A~1Fの一端側フランジ30及び他端側フランジ32に対して図外の固定手段を介して固定されており、各ポンプユニット1A~1Fの内部流路L及び各透過部Kが連通することにより、所定長さの搬送路が形成される。
【0022】
圧力給排手段120は、圧縮空気を送出するエアコンプレッサーCと、当該エアコンプレッサーCとエアチューブを介して接続された複数の比例電磁弁V(V1~V6)と、当該比例電磁弁群Vとエアチューブを介して接続される複数の3ポート電磁弁P(P1~P6)と、比例電磁弁群V及び3ポート電磁弁群Pを個別に制御して、各ポンプユニット1A~1Fのチャンバー50内への空気の給排を制御する制御装置Sとを備える。
【0023】
同図に示すように、3ポート電磁弁P1~P6の一方のポートは、エアチューブ40a~40fを介して各ポンプユニット1A~1Fのチャンバー50と接続されており、エアコンプレッサーCから各ポンプユニット1A~1Fのチャンバー50に至る空気の供給系統が確立される。なお、エアチューブ40a~40fと各ポンプユニット1A~1Fとの接続状態は図1で説明した通りである。また、本実施形態においては、ポンプ100を合計6つのポンプユニット1A~1Fによって構成したことから、6つの供給系統を有する構成としたが、ポンプユニットの数に応じて系統数が変わることは言うまでもない。
【0024】
制御装置Sは、演算手段としてのCPUや記憶手段としてのROM,RAM等のハードウェアを備えたコンピュータであって、予め設定された動作プログラムに従って比例電磁弁V及び3ポート電磁弁Pを開閉制御することにより、各ポンプユニット1A~1Fを個別に膨張動作させる。例えば、ポンプユニット1Aを動作させるには、比例電磁弁V1を開放状態とし、かつ、3ポート電磁弁P1の一方のポート側を開放状態とすればよく、当該制御によりエアコンプレッサーCからの空気がポンプユニット1Aのチャンバー50内に供給され、ポンプユニット1Aのみが膨張することとなる。なお、チャンバー50内に供給される空気の圧力は、比例電磁弁V1への電流値に応じて自在に調整可能である。ポンプユニット1B~1Fについても同様であり、それぞれに対応する供給系統に含まれる比例電磁弁V2~V6、及び3ポート電磁弁P2~P6を個別に制御することにより、ポンプユニット1B~1Fを個別に膨張動作させることができる。
【0025】
次に、各ポンプユニット1A~1Fに供給された空気の排気系統について説明する。同図に示すように、3ポート電磁弁P1~P6の他方のポートは、エアチューブを介してエアレギュレータRと接続されている。当該エアレギュレータRは、エアタンクTを介してエアポンプQと接続されている。例えばポンプユニット1Aに供給された空気を排出するには、エアタンクTが駆動した状態で3ポート電磁弁P1の一方及び他方のポートを開状態とすればよく、このような状態において、ポンプユニット1Aのチャンバー50内の空気はエアポンプQによって強制的に排気され、エアタンクT内に貯留される。なお、排気後のチャンバー50内の圧力はレギュレータRの設定によって調整可能である。また、ポンプユニット1B~1Fについても同様であり、それぞれに対応する排気系統に含まれる比例電磁弁V2~V6及び3ポート電磁弁P2~P6を個別に制御することにより、膨張動作後のポンプユニット1B~1Fを個別に自然長(膨張前)に復帰させることができる。
なお、上記排気系統を別段設けることなく、チャンバー50内に供給された空気を外筒10及び内筒20の復元力によって大気開放する構成としてもよい。一方で、排気系統を設けて空気を強制的に排気する構成とすれば、搬送対象となる固液の粘度が高い場合等における外筒10及び内筒20の自然長への復帰が速くなるため、内部流路Lを通過する固液の搬送効率を向上させることが可能となる。
【0026】
次に、図5を参照して、ポンプ100を構成するポンプユニット1A~1Fの連続的な動作と固液の搬送,分離について説明する。図5(a)に示すように、ポンプ100は、例えば固液Aを搬送する管路Jの一部に配設されており、以下の説明では、ポンプユニット1A側からポンプユニット1F側に向けて固液Aが搬送されるものとする。また、搬送対象となる固液Aは、例えば水等の液体と土砂が混合された混合流体であるものとする。なお、固液としては、例えば食品や薬品等の他、一定の流動性を有するものであればその種類は問わない。
【0027】
まず、図5(a)に示すように、固液Aがポンプ100内に流入する前に、最後尾のポンプユニット1Fを膨張動作させ、閉鎖状態とする。次に、図5(b)に示すように、固液Aのポンプ100への流入後、先頭のポンプユニット1Aを膨張動作させ、当該ポンプユニット1Aの内部流路L内に存在する固液Aを下流のポンプユニット1B側に送出する。当該膨張動作に伴うポンプユニット1Aの容積減少によって、他のポンプユニット1B~1Fの内圧が高まる結果、各透過部Kから固液Aに含まれる液体が排出される。次に、図5(c)に示すように、ポンプユニット1Aの閉鎖状態を維持したまま後続のポンプユニット1Bを膨張動作させ、当該ポンプユニット1Bの内部流路L内に存在する固液Aを下流のポンプユニット1C側に送出する。当該膨張動作に伴うポンプユニット1Bの容積減少によって、他のポンプユニット1C~1Fの内圧がさらに高まる結果、各透過部Kから固液Aに含まれる液体が排出される。以下、ポンプユニット1C~1Eを順次膨張動作させ、閉鎖状態とすることによって、透過部Kから液体を排出することができると共に、含有する液体が減少した固液Aを最後尾のポンプユニット1Fに向けて搬送することが可能となる。
【0028】
即ち、当該ポンプ100によって下流側に搬送される固液は、その搬送過程において徐々に液体が絞り出されながら搬送されることになる。また、図示の例では、上流側のポンプユニット1を段階的に閉鎖状態とすることによって、液体を排出するものとしたが、ポンプユニット1の動作パターンはこれに限られるものではなく、上流側のポンプユニット1Aからポンプユニット1Fに向けて膨張動作のタイミング(位相)をズラした連続的な動作により圧力変化を生じさせ、各透過部Kから液体を排出することも可能である。また、ポンプユニット1を必ずしも閉鎖状態(全閉状態)とする必要はなく、容積の減少によって固液を送出できれば良い。また、図示の例では、ポンプ100の軸方向を水平方向に向けた例(横配置)を示したが、ポンプ100の軸方向を鉛直方向或いは斜め方向(縦配置)としても良い。
【0029】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0030】
上述の実施形態においては、透過部Kを内部流路Lと連通する円筒状の網状体により構成したが、これに限られるものではない。例えば、透過部Kを断面半月状等の樋型に形成し、横配置されたポンプ100に適用することも可能である。また、透過部Kの全域を網状とするのではなく、その一部を網状とし、他部を非透過領域とすることも可能である。また、透過部Kを液体透過性のフィルム等により構成し、予め波型の断面形状を呈して設けておくことにより、液体通過時の表面積を稼ぐことができるためより効率的に液体を排出することができる。
【0031】
また、上記実施形態にあっては、固液中の液体を排出する例を主として説明したが、例えば、固液に含まれる個体を粒径に応じて選別しながら分離することも可能である。具体的には、複数の透過部Kを、その口径が固液の流下方向の下流側に向かうに従って漸次大となるように設けることにより、透過部Kの位置に応じた粒径を有する個体を個別に排出,回収することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1(1A~1F) ポンプユニット、10 外筒、14 繊維層、15 拘束体、
20 内筒、30 一端側フランジ、32 他端側フランジ、
50 チャンバー、100 ポンプ、K 透過部
図1
図2
図3
図4
図5