IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイセンの特許一覧

<>
  • 特許-物干し具 図1
  • 特許-物干し具 図2
  • 特許-物干し具 図3
  • 特許-物干し具 図4
  • 特許-物干し具 図5
  • 特許-物干し具 図6
  • 特許-物干し具 図7
  • 特許-物干し具 図8
  • 特許-物干し具 図9
  • 特許-物干し具 図10
  • 特許-物干し具 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】物干し具
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/12 20060101AFI20220901BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
D06F57/12 R
D06F57/00 370
D06F57/00 380
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018178722
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020048669
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月4日~同年7月6日開催のFUJIEI TRADE MEETING 2018にて発表 平成30年7月5日~同年7月6日開催のジェムコフェアにて発表 平成30年7月10日~同年7月12日開催の第131回中山福見本市~2018秋冬にて発表 平成30年7月11日~同年7月12日開催のエコー秋冬展示商談会にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000100850
【氏名又は名称】株式会社アイセン
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】理塀 方一
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-333196(JP,A)
【文献】特開2011-110106(JP,A)
【文献】実開昭62-182192(JP,U)
【文献】特開2015-027841(JP,A)
【文献】実開平02-146595(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/12
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持部が左右の両端に配置されたラック状の物干し本体と、前記被支持部を吊り下げ支持する左右の支持アームと、前記被支持部に対する前記支持アームの前後方向での支持位置調節を可能にする左右の位置調節部とを有し、
前記支持アームは、前記物干し本体の後方に位置する壁状の第1被装着体に備えられた被係合部に対して係脱自在な第1係合部と、前記物干し本体の上方に位置する竿状の第2被装着体に対して係脱自在な第2係合部とを有し、
前記物干し本体は、前記第1係合部が前記被係合部に係合されたときに、前記第1被装着体に受け止められる被受止部を有し、
前記位置調節部は、前記第1係合部が前記被係合部に係合され、かつ、前記被受止部が前記第1被装着体に受け止められる第1使用状態と、前記第2係合部が前記第2被装着体に係合される第2使用状態とのそれぞれにおいて、前記物干し本体の所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする複数の支持位置を有し
前記被支持部には、前後方向に長い固定軸と、前後方向に並ぶ複数の被係止部とが平行に配置され、
前記支持アームには、前記固定軸に前後摺動可能かつ左右方向に回動可能に嵌合する嵌合部と、複数の前記被係止部に択一的に係止可能な係止部とが備えられ、
前記位置調節部は、前記固定軸と前記嵌合部との嵌合により、前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動と左右方向への起伏揺動とが可能な状態で前記被支持部を前記支持アームに支持させる支持部と、前記支持アームが前記物干し本体に対して起立する吊り下げ姿勢においては、前記係止部がいずれかの前記被係止部に係止して前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動を阻止するロック状態になり、かつ、前記支持アームが前記物干し本体に向けて傾倒する非吊り下げ姿勢においては、前記係止部が前記被係止部から離脱して前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動を許容する解除状態になるロック部とを有し、
前記被係止部は、前記物干し本体の左右両端で前記固定軸の下方に配置された左右の支持部材の横外側面に備えられ、
前記係止部は、前記支持アームの下端部における前記嵌合部よりも下側の位置に備えられて、前記支持アームの前記非吊り下げ姿勢から前記吊り下げ姿勢への起立揺動で、前記被係止部に対して前記物干し本体の横外方から係止して、前記支持アームの前記物干し本体に対する横外側への倒伏を阻止するように構成されている物干し具。
【請求項2】
前記被支持部には、前後方向に一定ピッチで並ぶ多数の凹部が形成され、
前記支持アームには、前記凹部と同じ一定ピッチで前後方向に並ぶ複数の係止爪が備えられ、
前記係止部は、前記複数の係止爪により形成され、かつ、前記複数の被係止部は、前記多数の凹部により形成されている請求項1に記載の物干し具。
【請求項3】
前記支持アームは、前記第1使用状態及び前記第2使用状態において、前記被支持部から上方に延びる第1アームと、前記第1アームにおける上端部の後端から後方に延びる第2アームと、前記第2アームの後端部から下方に延びる第3アームと、前記第1アームにおける上端部の前端から前下方に向けて湾曲する第4アームとを有し、
前記第1係合部は、前記第2アームと前記第3アームとから前記第1アームの後側に形成され、
前記第2係合部は、前記第1アームと前記第4アームとから前記第1アームの前側に形成されている請求項1又は2に記載の物干し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばベランダや浴室などにおいて洗濯物を干す場合に使用される物干し具に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物干し具としては、ベランダや浴室などの被引掛材に引掛可能な引掛部を有する複数個の保持体と、保持体に対して着脱自在及び被引掛材に対向する方向に位置調節自在に連結される干置体とからなり、保持体には、被引掛材に対向する方向に並列状に形成された複数の鉤状部を有する連結部が備えられ、干置体には、各鉤状部に着脱可能な状態で被引掛材に対向する方向に並列状に配置された複数の棚杆が備えられ、複数の鉤状部と複数の棚杆とを使用した保持体に対する干置体の位置調節により、被引掛材の幅方向のサイズに応じて干置体と被引掛材との当接位置を可変自在に構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、網棚状に形成された物干棚主体と、物干棚主体を支持する左右一対の掛け杆とを備え、物干棚主体の左右両側部には、前後方向に沿う摺動ガイド杆が設けられ、各掛け杆の上部には、後方延出部とその後端に連続する垂下部とからなるL字状の掛鉤部が一体形成され、各摺動ガイド杆が各掛け杆の下端部に摺動自在に貫通されることにより、各掛け杆が物干棚主体に前後移動可能かつ起倒自在に取り付けられたものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3665989号公報
【文献】実開昭62-182192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載の物干し具は、保持体(掛け杆)の引掛部(掛鉤部)が、ベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の被装着体の上部に引っ掛けられた状態では、このときの前後バランスにより、干置体(物干棚主体)の後端が被引掛材に受け止められるようになっており、これにより、壁状の被装着体に安定性良く取り付けることができる。そして、この取り付け前に、干置体(物干棚主体)に対する保持体(掛け杆)の前後位置を適正に調節しておくことにより、物干し具を壁状の被装着体に取り付けた状態での干置体(物干棚主体)の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に安定性良く保持することができる。
【0006】
その反面、特許文献1及び2に記載の物干し具は、物干し台に支持された物干し竿などの竿状の被装着体に対しては、保持体(掛け杆)の引掛部(掛鉤部)を竿状の被装着体に引っ掛けることはできるが、竿状の被装着体には、干置体(物干棚主体)の後端を受け止める受止部がないことから、このときの前後バランスにより、干置体(物干棚主体)の後端が後上方に変位して、干置体(物干棚主体)が前下がり傾斜姿勢で不安定に吊り下げられた状態になる。そして、この不安定な吊り下げ状態は、干置体(物干棚主体)に対する保持体(掛け杆)の前後位置を調節しても改善されることはない。
【0007】
つまり、特許文献1及び2に記載の物干し具は、ベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の被装着体に装着して使用されるものであり、物干し台に支持された物干し竿などの竿状の被装着体に装着して使用することはできないことから、物干し具の汎用性を高める上において改善の余地がある。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の被装着体だけでなく、物干し台に支持された物干し竿などの竿状の被装着体にも装着して使用することができる汎用性の高い物干し具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、物干し具において、
被支持部が左右に配置された物干し本体と、前記被支持部を吊り下げ支持する左右の支持アームと、前記被支持部に対する前記支持アームの前後方向での支持位置調節を可能にする左右の位置調節部とを有し、
前記支持アームは、前記物干し本体の後方に位置する壁状の第1被装着体に備えられた被係合部に対して係脱自在な第1係合部と、前記物干し本体の上方に位置する竿状の第2被装着体に対して係脱自在な第2係合部とを有し、
前記物干し本体は、前記第1係合部が前記被係合部に係合されたときに、前記第1被装着体に受け止められる被受止部を有し、
前記位置調節部は、前記第1係合部が前記被係合部に係合され、かつ、前記被受止部が前記第1被装着体に受け止められる第1使用状態と、前記第2係合部が前記第2被装着体に係合される第2使用状態とのそれぞれにおいて、前記物干し本体の所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする複数の支持位置を有している点にある。
【0010】
本構成によれば、この物干し具をベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の第1被装着体に装着して使用する場合は、各支持アームの第1係合部を、第1被装着体の被係合部である手すり壁の上部又はドアの上部などに係合すると、このときの前後バランスにより、物干し本体の被受止部が第1被装着体に受け止められる。これにより、物干し具を第1被装着体に安定性良く取り付けることができる。そして、この取り付け前に、支持アームの第1係合部と物干し本体の被受止部との前後方向での離隔距離が第1被装着体の厚みや形状などに応じた適正な距離になるように、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの支持位置を前後方向に調節しておくことにより、物干し具を第1被装着体に取り付けた状態での物干し本体の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に安定性良く保持することができる。
【0011】
又、この物干し具を物干し台に支持された物干し竿などの竿状の第2被装着体に装着して使用する場合は、各支持アームの第2係合部を、第2被装着体である物干し竿などに係合することにより、物干し具を第2被装着体に取り付けることができる。そして、この取り付け前に、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの支持位置を、各支持アームの第2係合部を吊り下げ位置とした物干し具の前後バランスに応じて前後方向に適正に調節しておくことにより、物干し具を第2被装着体に取り付けた状態での物干し本体の取り付け姿勢を、物干し具の自重によって水平姿勢などの所望の物干し姿勢に保持することができる。
【0012】
その結果、ベランダやバルコニの手すり壁又は浴室のドアなどの壁状の第1被装着体に、その厚みや形状などに対応して所望の取り付け姿勢で装着することができるだけでなく、物干し台に支持された物干し竿などの竿状の第2被装着体にも、所望の取り付け姿勢で装着することができて良好に使用することができる汎用性の高い物干し具を提供することができる。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、
前記被支持部には、前後方向に長い固定軸と、前後方向に並ぶ複数の被係止部とが平行に配置され、
前記支持アームには、前記固定軸に前後摺動可能かつ左右方向に回動可能に嵌合する嵌合部と、複数の前記被係止部に択一的に係止可能な係止部とが備えられ、
前記位置調節部は、前記固定軸と前記嵌合部との嵌合により、前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動と左右方向への起伏揺動とが可能な状態で前記被支持部を前記支持アームに支持させる支持部と、前記支持アームが前記物干し本体に対して起立する吊り下げ姿勢においては、前記係止部がいずれかの前記被係止部に係止して前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動を阻止するロック状態になり、かつ、前記支持アームが前記物干し本体に向けて傾倒する非吊り下げ姿勢においては、前記係止部が前記被係止部から離脱して前記被支持部に対する前記支持アームの前後摺動を許容する解除状態になるロック部とを有している点にある。
【0014】
本構成によれば、この物干し具を第1被装着体又は第2被装着体に装着して使用する場合は、非吊り下げ姿勢の各支持アームを、物干し本体の各被支持部に対して前後摺動させて、各被支持部に対する各支持アームの支持位置を、装着する第1被装着体又は第2被装着体に適した前後位置に調節した後、各支持アームを非吊り下げ姿勢から吊り下げ姿勢に起立揺動させることで、ロック部を解除状態からロック状態に切り替えることができ、各被支持部に対する各支持アームの支持位置を調整後の適正な前後位置に保持することができる。その後、各支持アームの第1係合部又は第2係合部を第1被装着体の被係合部又は第2被装着体に係合することにより、物干し具を、その自重で各支持アームを吊り下げ姿勢に維持し、かつ、各ロック部をロック状態に維持した状態で、第1被装着体又は第2被装着体に装着することができ、これにより、各位置調節部による支持位置調節が不測に行われる虞を回避することができる。
【0015】
又、この物干し具を第1被装着体又は第2被装着体から取り外して所定の場所に収納する場合は、各支持アームの第1係合部又は第2係合部を第1被装着体の被係合部又は第2被装着体から離脱させた後、各支持アームを吊り下げ姿勢から非吊り下げ姿勢に倒伏揺動させることで物干し具の高さ寸法を短くすることができる。そして、各支持アームの倒伏揺動により、ロック部がロック状態から解除状態に切り替えられて、各被支持部に対する各支持アームの前後摺動が許容されることから、物干し具の前後長さを短くすることができる。
【0016】
その結果、物干し具を壁状の第1被装着体と竿状の第2被装着体とに装着して使用することができる汎用性の高いものにしながら、第1被装着体又は第2被装着体に装着した使用状態では、各位置調節部による支持位置調節が不測に行われる虞を回避することができ、かつ、第1被装着体又は第2被装着体から取り外した収納状態では、物干し具を高さが低く前後長さの短い収納に適した状態にすることができる。
【0017】
更に、各支持アームを吊り下げ姿勢に起立揺動させた物干し具の使用状態では、物干し本体における各被支持部の固定軸が各支持アームの嵌合部により支持され、かつ、各被支持部の被係止部が各支持アームの係止部により支持されることから、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの支持力を高めることができる。
【0018】
本発明の第3特徴構成は、
前記被支持部には、前後方向に一定ピッチで並ぶ多数の凹部が形成され、
前記支持アームには、前記凹部と同じ一定ピッチで前後方向に並ぶ複数の係止爪が備えられ、
前記係止部は、前記複数の係止爪により形成され、かつ、前記複数の被係止部は、前記多数の凹部において前記複数の係止爪と同数で前後方向に連続して並ぶ複数の凹部により形成されている点にある。
【0019】
本構成によれば、各支持アームの係止部を物干し本体の対応する被係止部に係止させた状態では、複数の係止爪が複数の凹部に係止していることから、被支持部に対する支持アームの前後摺動を阻止するときの負荷を、複数の係止爪と複数の凹部とに分散させることができ、その負荷に起因した係止部や被係止部の破損を生じ難くすることができる。又、前後方向に並ぶ複数の係止爪が、物干し本体の被支持部を前後方向に長く支持することから、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの支持力を更に高めることができる。
【0020】
そして、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの前後方向での支持位置調節は、多数の凹部を前後方向に並べて形成するために狭く設定される凹部の配置ピッチで細かく行うことができる。これにより、この物干し具をベランダやバルコニの手すり壁又は浴室のドアなどの第1被装着体に装着して使用する場合は、支持アームの第1係合部と物干し本体の被受止部との前後方向での離隔距離を第1被装着体の厚みや形状などに応じたより適正な距離に調節することができる。又、この物干し具を物干し台に支持された物干し竿などの第2被装着体に装着して使用する場合は、物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの支持位置を、各支持アームの第2係合部を吊り下げ位置とした物干し具の前後バランスに応じたより適正な位置に調節することができる。
【0021】
その結果、物干し具を第1被装着体又は第2被装着体に装着した使用状態での物干し本体の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に精度良く設定することができる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、
前記支持アームは、前記第1使用状態及び前記第2使用状態において、前記被支持部から上方に延びる第1アームと、前記第1アームにおける上端部の後端から後方に延びる第2アームと、前記第2アームの後端部から下方に延びる第3アームと、前記第1アームにおける上端部の前端から前下方に向けて湾曲する第4アームとを有し、
前記第1係合部は、前記第2アームと前記第3アームとから前記第1アームの後側に形成され、
前記第2係合部は、前記第1アームと前記第4アームとから前記第1アームの前側に形成されている点にある。
【0023】
本構成によれば、各支持アームの第1係合部と第2係合部とが第1アームを挟んで前後に配置されることから、物干し具をベランダの手すり壁などの第1被装着体に装着して使用する場合は、第1アームの後側に位置する各第1係合部を、第1被装着体の被係合部である手すり壁の上端部などに容易に係合することができ、これにより、物干し具を第1被装着体に簡単に装着することができる。又、物干し具を物干し台に支持された物干し竿などの第2被装着体に装着して使用する場合は、第1アームの前側に位置する各第2係合部を、第2被装着体である物干し竿などに容易に係合することができ、これにより、物干し具を第2被装着体に簡単に装着することができる。
【0024】
そして、例えば、各第2係合部が第1アームや第2アームよりも上方に形成されていると、各第1係合部を使用して物干し具をベランダの手すり壁などに装着した場合に、各第2係合部がベランダの手すり壁から上方に露出することによる見栄えの低下を招くことになるが、本構成によれば、各第2係合部が第1アームや第2アームよりも上方に形成されないことから、各第2係合部がベランダの手すり壁から上方に露出することによる見栄えの低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】物干し具の平面図
図2】物干し具の一部縦断正面図
図3】物干し具の右側面図
図4】物干し具における右半部の斜視図
図5】物干し本体における被支持部の後部側の縦断側面図
図6】物干し具をベランダの手すり壁などの壁状の第1被装着体に装着した第1使用状態を示す斜視図
図7】物干し具をベランダの手すり壁などの壁状の第1被装着体に装着した第1使用状態を示す左側面図
図8】物干し具を浴室の壁などに備えられたタオル掛けを利用して壁状の第1被装着体に装着した第1使用状態を示す斜視図
図9】物干し具を物干し竿などの竿状の第2被装着体に装着した第2使用状態を示す斜視図
図10】物干し具を竿状の第2被装着体に装着する第2使用状態において物干し本体の所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの所定の支持位置を特定する目印を各支持部材の内側面と各支持アームのボス部とに一体形成した別実施形態を示す要部の拡大斜視図
図11】物干し具を竿状の第2被装着体に装着する第2使用状態において物干し本体の所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする物干し本体の各被支持部に対する各支持アームの所定の支持位置を特定する目印を各固定軸のみに形成した別実施形態を示す要部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて説明する。
なお、図1及び図6に記載された符号Fの矢印が指し示す方向が物干し具の前側であり、符号Lの矢印が指し示す方向が物干し具の左側である。
【0027】
図1~4に示すように、本実施形態に例示された物干し具1は、被支持部10Aが左右に配置された物干し本体10と、被支持部10Aを吊り下げ支持する左右の支持アーム20と、被支持部10Aに対する支持アーム20の前後方向での支持位置調節を可能にする左右の位置調節部30とを有している。
【0028】
図1~5に示すように、物干し本体10は、その左右両端に配置された前後方向に長い左右の支持部材11、各支持部材11の上方に隣接して平行に配置された前後方向に長い左右の固定軸12、及び、左右の支持部材11に架設された左右方向に長い5本の物干し杆13、などを有してラック状に形成されている。物干し本体10は、左右の支持部材11と左右の固定軸12とから左右の被支持部10Aが形成されている。
【0029】
左右の支持部材11には、汎用樹脂の中でも比重が小さく強度の高いポリプロピレンが採用されている。各支持部材11には、固定軸12の前端部を支持する第1支持部11Aと、固定軸12の後端部を支持する第2支持部11Bと、物干し杆13の端部を支持する5つの第3支持部11C(図2参照)とが一体形成されている。
【0030】
各第1支持部11Aは、支持部材11の前端から上方に延びる延出片11Aaと、延出片11Aaの上部から後向きに突出する嵌合突起11Ab(図3参照)とを有している。
【0031】
各第2支持部11Bは、支持部材11の後端から上方に延びる延出片11Baと、延出片11Baの上部から前向きに延出するボス部11Bbと、支持部材11の後部からボス部11Bbの前側下部にわたる補強リブ11Bcとを有している。
【0032】
各第3支持部11Cは、左側の支持部材11の右側面(内側面)又は右側の支持部材11の左側面(内側面)から横外方に向けて突出している。各第3支持部11Cは、左右の支持部材11の内側面に前後方向に一定ピッチで並べて配置されている。各第3支持部11Cには、それらの外周面における前後の側端部において前後方向に延びる係合溝11Ca(図2参照)が形成されている。
【0033】
各固定軸12には、押し出し成形されたステンレス製の鋼管が採用されている。各固定軸12は、それらの前端部が支持部材11の嵌合突起11Abに嵌合され、かつ、それらの後端部が支持部材11のボス部11Bbに嵌合されている。
【0034】
各物干し杆13は、左側の支持部材11の第3支持部11Cに左端部が嵌合された第1杆材14と、右側の支持部材11の第3支持部11Cに右端部が嵌合された第2杆材15と、第1杆材14の右端部に接合された第1スリーブ16と、第2杆材15の左端部に接合された第2スリーブ17とを有している。
【0035】
各第1杆材14と各第2杆材15には、押し出し成形されたステンレス製の鋼管が採用されている。各第1杆材14は、各第2杆材15よりも小径で各第2杆材15に挿入可能に形成されている。各第1杆材14と各第2杆材15には、それらの外周面における前後の側端部において、各杆材14,15の内側に突出して各杆材14,15の長手方向に延びる係合部14A,15A(図2図4参照)が形成されている。
【0036】
各第1スリーブ16と各第2スリーブ17には、前述したポリプロピレンが採用されている。図示は省略するが、各第1スリーブ16と各第2スリーブ17には、第1杆材14の係合部14Aと第2杆材15の係合部15Aとに係合することで、第1杆材14と第2杆材15との相対回動を阻止しながら、第1杆材14と第2杆材15との左右方向への相対摺動を許容する被係合部が形成されている。各第1スリーブ16と各第2スリーブ17は、第1スリーブ16が第2スリーブ17に受け止められることで、第2杆材15に対する第1杆材14の抜け止めを行う。
【0037】
つまり、各物干し杆13は、第1スリーブ16が接合された第1杆材14の外周側に、第2杆材15と第2スリーブ17とが嵌合された後、第2スリーブ17が第2杆材15の左端部に接合されることにより、第1杆材14と第2杆材15との相対回動が阻止され、かつ、第1杆材14が第2杆材15に対して抜け止めされた状態で、第1杆材14と第2杆材15とが伸縮自在に連結される。そして、その連結後に、各物干し杆13の左端部が左側の支持部材11の第3支持部11Cに嵌合され、かつ、各物干し杆13の右端部が右側の支持部材11の第3支持部11Cに嵌合されることにより、物干し棚としても使用可能な5本の物干し杆13を有する物干し本体10が、左右方向に長さ調節可能に形成されている。
【0038】
図2~5に示すように、物干し本体10は、左側の支持部材11の左側面(外側面)と右側の支持部材11の右側面(外側面)とに、前後方向に一定ピッチで並ぶ多数(n個)の凹部11aが形成されている。多数の凹部11aは、それぞれ四角形に形成されている。多数の凹部11aは、前後方向に連続して並ぶ5つの凹部11aにより、左右の被支持部10Aにおいて、固定軸12と平行に配置された状態で前後方向に並ぶ複数(n-4個)の被係止部10Aaを形成している。左右の被支持部10Aには、各凹部11aの上縁を繋ぐように前後方向に延びる突条部10Abが形成されている。
【0039】
左右の支持アーム20には、前述したポリプロピレンが採用されている。図1~4に示すように、各支持アーム20は、物干し本体10における被支持部10Aの固定軸12から上方に延びる第1アーム20Aと、第1アーム20Aにおける上端部の後端から後方に延びる第2アーム20Bと、第2アーム20Bの後端部から下方に延びる第3アーム20Cと、第1アーム20Aにおける上端部の前端から前下方に向けて湾曲する第4アーム20Dとを有している。各支持アーム20の左右両側部には、成形後の収縮によるヒケの発生を防ぐための肉盗みとして機能する凹部20Eが形成されている。
【0040】
各第1アーム20Aの下端部には、固定軸12に前後摺動可能かつ左右方向に回動可能に嵌合するボス部(嵌合部の一例)20Aaと、物干し本体10の各被支持部10Aに形成された複数の被係止部10Aaに択一的に係止可能な係止部20Abと、ボス部20Aaと係止部20Abとの間において前後方向に延びる係合溝20Acとが備えられている。各係止部20Abは、被係止部10Aaを形成する多数の凹部11aと同じ一定ピッチで前後方向に並ぶ5つの係止爪20aにより形成されている。各係止爪20aは、各凹部11aに抜き差し可能な四角推台に形成されている。
【0041】
各位置調節部30は、被支持部10Aの固定軸12と支持アーム20のボス部20Aaとの嵌合により、被支持部10Aに対する支持アーム20の前後摺動と左右方向への起伏揺動とが可能な状態で被支持部10Aを支持アーム20に支持させる支持部30Aと、支持アーム20が物干し本体10に対して起立する吊り下げ姿勢においては、支持アーム20の係止部20Abが被支持部10Aの被係止部10Aaに係止して被支持部10Aに対する支持アーム20の前後摺動を阻止するロック状態になり、かつ、支持アーム20が物干し本体10に向けて傾倒する非吊り下げ姿勢においては、支持アーム20の係止部20Abが被支持部10Aの被係止部10Aaから離脱して被支持部10Aに対する支持アーム20の前後摺動を許容する解除状態になるロック部30Bとを有している。各ロック部30Bは、それらのロック状態においては、被支持部10Aの突条部10Abが支持アーム20の係合溝20Acに嵌まり込むことで支持アーム20を吊り下げ姿勢に保持する。
【0042】
つまり、各位置調節部30は、被支持部10Aの固定軸12と支持アーム20のボス部20Aaとから支持部30Aが構成され、被支持部10Aの複数の被係止部10Aa及び突条部10Abと支持アーム20の係止部20Ab及び係合溝20Acとからロック部30Bが構成されている。そして、各位置調節部30は、支持アーム20の前後摺動と左右方向への起伏揺動とを可能にする支持部30Aと、支持アーム20の左右方向への起伏揺動によって支持アーム20の前後摺動を阻止するロック状態と前後摺動を許容する解除状態とに切り替わるロック部30Bを有することにより、物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の前後方向での支持位置調節を可能にしている。
【0043】
図1~4、図6~9に示すように、各支持アーム20は、物干し本体10の後方に位置する壁状の第1被装着体2に備えられた被係合部2Aに対して係脱自在な第1係合部21と、物干し本体10の上方に位置する竿状の第2被装着体3に対して係脱自在な第2係合部22とを有している。壁状の第1被装着体2としては、ベランダやバルコニの手すり壁(図6~7参照)や手すり柵、浴室の壁(図8参照)、浴室や各部屋のドア、窓枠を有する部屋の壁、引き出しの前板、又は、パネル型のオイルヒータ、などが想定されている。第1被装着体2の被係合部2Aとしては、手すり壁や手すり柵の上端部を形成する手すり部(図6~7参照)、浴室の壁やドアに備えられたタオル掛け(図8参照)、ドアの上端部、壁の窓枠、又は、引き出しの前板やオイルヒータの上端部、などが想定されている。竿状の第2被装着体3としては、物干し台や浴室内の一対の竿受け具に支持された物干し竿(図9参照)、などが想定されている。
【0044】
図1~9に示すように、各第1係合部21は、第2アーム20Bと第3アーム20Cとから第1アーム20Aの後側に位置する横向きのL字フック状に形成されている。各第2係合部22は、第1アーム20Aと第4アーム22Dとから第1アーム20Aの前側に位置する下向きのJ字フック状に形成されている。物干し本体10は、左右の支持部材11の後端部に、第1係合部21が第1被装着体2の被係合部2Aに係合されたときに、第1被装着体2に受け止められる被受止部18を有している。各位置調節部30は、各支持アーム20の第1係合部21が第1被装着体2の被係合部2Aに係合され、かつ、物干し本体10の各被受止部18が第1被装着体2に受け止められる第1使用状態と、各支持アーム20の第2係合部22が第2被装着体3に係合される第2使用状態とのそれぞれにおいて、物干し本体10の水平姿勢などの所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする複数の支持位置として機能する複数の被係止部10Aaを有している。
【0045】
以上の構成により、この物干し具1をベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の第1被装着体2に装着して使用する場合は、図6~8に示すように、各支持アーム20の第1係合部21を、物干し本体10の後方に位置する第1被装着体2の被係合部2Aである手すり壁の手すり部(図6~7参照)やドアの上端部、又は、浴室の壁やドアに備えられたタオル掛け(図8参照)などに係合すれば、このときの前後バランスにより、物干し本体10の各被受止部18が第1被装着体2に受け止められる。これにより、物干し具1を第1被装着体2に安定性良く取り付けることができる。そして、この取り付け前に、各支持アーム20の第1係合部21と物干し本体10の各被受止部18との前後方向での離隔距離が第1被装着体2の厚みや形状などに応じた適正な距離になるように、物干し本体10の各被支持部18に対する各支持アーム20の支持位置を前後方向に調節しておくことにより、物干し具1を第1被装着体2に取り付けた状態での物干し本体10の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に安定性良く保持することができる。具体的には、例えば、図6~7に示すように、各支持アーム20の第1係合部21を手すり壁2の手すり部2Aに係合した場合は、各支持アーム20の第1係合部21と物干し本体10の各被受止部18との前後方向での離隔距離が、手すり壁2における手すり部2Aの後端と壁部2Bの前面との前後方向での離隔距離に応じた適正な距離になるように、物干し本体10の各被支持部18に対する各支持アーム20の支持位置を前後方向に調節しておくことにより、物干し具1を手すり壁2に取り付けた状態での物干し本体10の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に安定性良く保持することができる。又、図8に示すように、各支持アーム20の第1係合部21を浴室の壁2に備えられたタオル掛け2Aに係合した場合は、各支持アーム20の第1係合部21と物干し本体10の各被受止部18との前後方向での離隔距離が、浴室の壁2におけるタオル掛け2Aと壁面との前後方向での離隔距離に応じた適正な距離になるように、物干し本体10の各被支持部18に対する各支持アーム20の支持位置を前後方向に調節しておくことにより、物干し具1を浴室の壁に取り付けた状態での物干し本体10の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に安定性良く保持することができる。
【0046】
又、この物干し具1を物干し台に支持された物干し竿などの竿状の第2被装着体3に装着して使用する場合は、図9に示すように、各支持アーム20の第2係合部22を、物干し本体10の上方に位置する第2被装着体3である物干し竿などに係合することにより、物干し具1を第2被装着体3に取り付けることができる。そして、この取り付け前に、物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の支持位置を、各支持アーム20の第2係合部22を吊り下げ位置とした物干し具1の前後バランスに応じて前後方向に適正に調節しておくことにより、物干し具1を第2被装着体3に取り付けた状態での物干し本体10の取り付け姿勢を、物干し具1の自重によって水平姿勢などの所望の物干し姿勢に保持することができる。
【0047】
その結果、ベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の第1被装着体2だけでなく、物干し台に支持された物干し竿などの竿状の第2被装着体3にも、所望の取り付け姿勢で装着することができて良好に使用することができる汎用性の高い物干し具1を得ることができる。
【0048】
そして、各位置調節部30による支持位置調節に関しては、図1~4、図6~9に示すように、非吊り下げ姿勢の各支持アーム20を、物干し本体10の各被支持部10Aに対して前後摺動させて、各被支持部10Aに対する各支持アーム20の支持位置を、装着する第1被装着体2又は第2被装着体3に適した前後位置に調節した後、各支持アーム20を非吊り下げ姿勢から吊り下げ姿勢に起立揺動させることで、ロック部30Bを解除状態からロック状態に切り替えることができ、各被支持部10Aに対する各支持アーム20の支持位置を調整後の適正な前後位置に保持することができる。その後、各支持アーム20の第1係合部21又は第2係合部22を第1被装着体2の被係合部2A又は第2被装着体3に係合すれば、物干し具1を、その自重で各支持アーム20を吊り下げ姿勢に維持し、かつ、各ロック部30Bをロック状態に維持した状態で、第1被装着体2又は第2被装着体3に装着することができ、これにより、各位置調節部30による支持位置調節が不測に行われる虞を回避することができる。
【0049】
又、この物干し具1を第1被装着体2又は第2被装着体3から取り外して所定の場所に収納する場合は、図1~4、図6~9に示すように、各支持アーム20の第1係合部21又は第2係合部22を第1被装着体2の被係合部2A又は第2被装着体3から離脱させた後、各支持アーム20を吊り下げ姿勢から非吊り下げ姿勢に倒伏揺動させることで物干し具1の高さ寸法を短くすることができる。又、物干し本体10の各物干し杆13を収縮させることにより、物干し具1の左右幅を狭くすることができる。そして、各支持アーム20の倒伏揺動により、ロック部30Bがロック状態から解除状態に切り替えられて、各被支持部10Aに対する各支持アーム20の前後摺動が許容されることから、物干し具1の前後長さを短くすることができる。
【0050】
その結果、物干し具1を壁状の第1被装着体2と竿状の第2被装着体3とに装着して使用することができる汎用性の高いものにしながら、第1被装着体2又は第2被装着体3に装着した使用状態では、各位置調節部30による支持位置調節が不測に行われる虞を回避することができ、かつ、第1被装着体2又は第2被装着体3から取り外した収納状態では、物干し具1を高さが低く左右幅と前後長さが短い収納に適した状態にすることができる。
【0051】
そして、図3~4に示すように、各位置調節部30において、物干し本体10の各被支持部10Aに形成される複数(n-4個)の被係止部10Aaは、それぞれ、前後方向に一定ピッチで並ぶ多数(n個)の凹部11aのうちの前後方向に連続して並ぶ5つの凹部11aにより形成され、各支持アーム20の係止部20Abは、多数の凹部11aと同じ一定ピッチで前後方向に並ぶ5つの係止爪20aにより形成されていることから、各支持アーム20の係止部20Abを物干し本体10の各被係止部10Aaに係止させた状態では、各係止部20Abの5つの係止爪20aが各被係止部10Aaの5つの凹部11aに係止していることから、各被支持部10Aに対する各支持アーム20の前後摺動を阻止するときの負荷を、5つの係止爪20aと5つの凹部11aとに分散させることができ、その負荷に起因した係止部20Abや被係止部10Aaの破損を生じ難くすることができる。
【0052】
更に、各支持アーム20を吊り下げ姿勢に起立揺動させた物干し具1の使用状態では、物干し本体10における各被支持部10Aの固定軸12が各支持アーム20の嵌合部20Aaにより支持され、かつ、各被支持部10Aの被係止部10Aaが各支持アーム20の係止部20Abを形成する5つの係止爪20aによって前後方向に長く支持されることから、物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の支持力を高めることができる。
【0053】
又、物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の前後方向での支持位置調節は、多数の凹部11aを前後方向に並べて形成するために狭く設定される凹部11aの配置ピッチで、被係止部10Aaの数量に応じたn-4段階で細かく行うことができる。これにより、この物干し具1をベランダやバルコニの手すり壁又は浴室のドアなどの第1被装着体2に装着して使用する場合は、各支持アーム20の第1係合部21と物干し本体10の被受止部10Aとの前後方向での離隔距離を第1被装着体2の厚みや形状などに応じたより適正な距離に調節することができる。又、この物干し具1を物干し台に支持された物干し竿などの第2被装着体3に装着して使用する場合は、物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の支持位置を、各支持アーム20の第2係合部22を吊り下げ位置とした物干し具1の前後バランスに応じたより適正な位置に調節することができる。
【0054】
その結果、物干し具1を第1被装着体2又は第2被装着体3に装着した使用状態での物干し本体10の取り付け姿勢を、水平姿勢などの所望の物干し姿勢に精度良く設定することができる。
【0055】
又、各支持アーム20においては、図1図3~4、図6~9に示すように、第1係合部21と第2係合部22とが第1アーム20Aを挟んで前後に配置されることから、物干し具1をベランダの手すり壁などの第1被装着体2に装着して使用する場合は、第1アーム20Aの後側に位置する各第1係合部21を、第1被装着体2の被係合部2Aである手すり壁の上端部などに容易に係合することができ、これにより、物干し具1を第1被装着体2に簡単に装着することができる。又、物干し具1を物干し台に支持された物干し竿などの第2被装着体3に装着して使用する場合は、第1アーム20Aの前側に位置する各第2係合部22を、第2被装着体3である物干し竿などに容易に係合することができ、これにより、物干し具1を第2被装着体3に簡単に装着することができる。
【0056】
そして、例えば、各第2係合部22が第1アーム20Aや第2アーム20Bよりも上方に形成されていると、各第1係合部21を使用して物干し具1をベランダの手すり壁などに装着した場合に、各第2係合部22がベランダの手すり壁から上方に露出することによる見栄えの低下を招くことになるが、この物干し具1においては、各第2係合部22が第1アーム20Aや第2アーム20Bよりも上方に形成されないことから、各第2係合部22がベランダの手すり壁から上方に露出することによる見栄えの低下を回避することができる。
【0057】
図1図3~4に示すように、各支持アーム20は、それらの第1アーム20Aが後傾斜姿勢で上方に延びるように形成されており、これにより、第2係合部22がボス部20Aaの略真上に位置するように形成されている。そして、このように各支持アーム20が形成されていることにより、物干し具1を収納する場合には、図1に示すように、各支持アーム20を、それらのボス部20Aaが物干し本体10における各固定軸12の前端部に位置するように前方に向けて摺動させることにより、物干し具1を、各支持アーム20が物干し本体10の前後幅内に略収まる前後長さの短い状態にすることができる。
【0058】
物干し本体10において、各被受止部18には軟質のポリエチレンが採用されている。これにより、図6~8に示すように、物干し具1をベランダの手すり壁や浴室のドアなどの壁状の第1被装着体2に装着して使用する場合に、物干し本体10の各被受止部18が第1被装着体2に受け止められることに起因して第1被装着体2の表面が傷付くことを防止している。
【0059】
図3~4に示すように、各被受止部18は、支持部材11における第2支持部11Bのボス部11Bbに嵌合される筒状部18Aを有している。各筒状部18Aには、ボス部11Bbの前後中間部に形成された係止孔11bに係止される係合片18aが備えられている。これにより、各被受止部18は、それらの筒状部18Aが第2支持部11Bのボス部11Bbに嵌合され、それらの係合片18aがボス部11Bbの係止孔11bに係止されることにより、固定軸12が挿入されるボス部11Bbの貫通孔を塞ぐように支持部材11の後端部に取り付けられている。
【0060】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0061】
(1)物干し本体10は、左右方向に長さ調節不能に構成されていてもよい。
又、物干し本体10における物干し杆13の本数や配置間隔などは種々の変更が可能である。
【0062】
(2)左右の支持アーム20は、物干し本体10の被支持部10Aに対して着脱可能に構成されていてもよい。
この構成に関しては、例えば、各支持アーム20の嵌合部(ボス部)20Aaに、固定軸12に対する支持アーム20の着脱を可能にする前後向きのスリットを形成することなどが考えられる。
【0063】
(3)左右の支持アーム20の形状は種々の変更が可能である。
例えば、左右の支持アーム20は、竿状の第2被装着体3に対して係脱自在な第2係合部22が、第2アーム20Bの上端よりも上方に突出する形状に形成されていてもよい。
例えば、左右の支持アーム20は、それらの第1係合部21が物干し本体10の被支持部10Aから垂直に延びる形状に形成されていてもよい。
【0064】
(4)左右の位置調節部30の構成は種々の変更が可能である。
例えば、左右の位置調節部30は、物干し本体10の被支持部10Aに対する支持アーム20の前後摺動が可能で、かつ、左右方向への起伏揺動が不能な状態で被支持部10Aを支持アーム20に支持させる支持部30Aと、支持アーム20の前後摺動に伴って、係止部20Abがいずれかの被係止部10Aa(凹部11a)に入り込む係止状態と、係止部20Abが被係止部10Aaから離脱する解除状態とに切り替わるデテント式のロック部30Bとを有するように構成されていてもよい。
例えば、図10に示すように、左右の位置調節部30は、各支持アーム20の第2係合部22が竿状の第2被装着体3に係合される第2使用状態において、物干し本体10の所望の物干し姿勢での姿勢保持を可能にする物干し本体10の各被支持部10Aに対する各支持アーム20の所定の支持位置を特定する目印30aが、各支持部材11の内側面と各支持アーム20のボス部20Aaとに一体形成されていてもよい。なお、前述した目印30aは、図11に示すように各固定軸12のみに形成されていてもよく、又、各支持部材11の上面のみに形成されていてもよい。又、目印30aの形状は、図10~11に示す△マーク以外の矢印やラインなどであってもよい。
【0065】
(5)物干し本体10の左右の被支持部10Aに備えられる複数の被係止部10Aa、及び、左右の支持アーム20に備えられる係止部20Abの構成は種々の変更が可能である。
例えば、物干し本体10の各被係止部10Aaを形成する凹部11aの数量、及び、各支持アーム20の係止部20Abを形成する係止爪20aの数量を変更してもよい。
例えば、物干し本体10の各被係止部10Aaを係止突起で形成し、各支持アーム20の係止部20Abを凹部で形成してもよい。
【0066】
(6)物干し本体10の各被係止部10Aaを形成する凹部11aなどの形状や大きさ、及び、各支持アーム20の係止部20Abを形成する係止爪20aなどの形状や大きさは種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
2 第1被装着体
2A 被係合部
3 第2被装着体
10 物干し本体
10A 被支持部
10Aa 被係止部
11a 凹部
12 固定軸
18 被受止部
20 支持アーム
20A 第1アーム
20Aa 嵌合部(ボス部)
20Ab 係止部
20B 第2アーム
20C 第3アーム
20D 第4アーム
20a 係止爪
21 第1係合部
22 第2係合部
30 位置調節部
30A 支持部
30B ロック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11