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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】ハンディ型シート厚み測定器
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/06 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
G01B5/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018215933
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020085509
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示会展示 展示日 平成30年2月14日 コンバーティングテクノロジー総合展 公開者 株式会社フジワーク (2)株式会社フジワークのウェブサイトでの公開 公開日 平成30年3月30日 公開者 株式会社フジワーク
(73)【特許権者】
【識別番号】592051213
【氏名又は名称】株式会社フジワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】阿川 智祥
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206532(JP,U)
【文献】実開昭63-115703(JP,U)
【文献】特開平8-94685(JP,A)
【文献】特開2017-90265(JP,A)
【文献】特開平7-19851(JP,A)
【文献】実開昭49-49948(JP,U)
【文献】実開平3-95910(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤルゲージと、このダイヤルゲージが取り付けられる本体部を有し、シートを表裏から接触子で挟み込むことでシートの厚みを測定するハンディ型シート厚み測定器であって、
前記本体部は、前記ダイヤルゲージを保持する保持部材が取り付けられた下側アーム部材と、下側アーム部材に回動自在に取り付けられた上側アーム部材とを有し、
前記保持部材は、前記ダイヤルゲージを保持する上部支持部と、前記ダイヤルゲージのスピンドルの先端部に設けられた上側接触子と対向する下側接触子を保持する下部支持部を有し、
前記下側接触子を挟んで前記保持部材の両側に配置された下側支持部材と、
前記下側支持部材と対向するように、上側支持部材が前記上側アーム部材に取り付けられ、
前記上側アーム部材の回動により、前記上側接触子と下側接触子及び前記下側支持部材と上側保持部材とが当接または離間し、
前記下側支持部材と前記上側支持部材とが前記シートを挟んだ状態で、前記シートが表裏から前記上側接触子と下側接触子で挟み込まれてシートの厚みを測定することを特徴とするハンディ型シート厚み測定器。
【請求項2】
前記下側保持部材と前記上側保持部材は、回転可能なローラで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【請求項3】
前記下側アーム部材の基端側から先端部へ向かう方向と直交する左右方向に、支持ベースが設けられ、この支持ベースにローラ軸が取り付けられ、このローラ軸にそれぞれ回転自在に下側支持部材としてのローラが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【請求項4】
前記上側支持部材としてのローラは、前記上側アーム部材に取り付けられた上部支持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【請求項5】
前記上部支持部材は、中央板部の両側にコの字状に折曲された第1取付板部第2取付板部が連接して設けられ、前記第1取付板部と第2取付板部に前記ローラがそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【請求項6】
前記ローラの中央部に前記ダイヤルゲージの上側接触子が位置するように、前記中央板部の中央部に前記ダイヤルゲージの上側接触子が配置されることを特徴とする請求項4または5に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【請求項7】
前記中央板部には、前記ダイヤルゲージのスピンドルが挿入される溝部が設けられ、前記スピンドルに、前記溝部の幅より大きな径のエッジが設けられ、
前記上側アーム部材を下側アーム部材から離間するように回動させると、前記エッジと溝部の縁が当接し、前記上側アーム部材の回動に伴い、前記スピンドルが上側に移動し、前記上側接触子と前記下側接触子とが離間することを特徴とする請求項6に記載のハンディ型シート厚み測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンディ型シート厚み測定器に係り、特に、手で保持して、厚物の樹脂シート、ガラス板、金属板、紙、カーボンシート等の厚みを的確に測定するハンディ型シート厚み測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムや紙などのシートの厚みを測定するシート厚み測定器として、手で保持するデジタルダイヤルゲージを用いたシート厚み測定器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のシート厚み測定器100について、図13図16を参照して説明する。このシート厚み測定器100は、デジタルダイヤルゲージ110と、このデジタルダイヤルゲージ110を保持する保持枠115と、この保持枠115に設けられたハンドル部115Cと、エアシリンダ122とを備え、エアシリンダ122でスピンドル125を上側へ移動させる構成となっている。
【0004】
デジタルダイヤルゲージ110は、保持枠115のほぼ上部に固定されており、この保持枠115は、デジタルダイヤルゲージ110の下方位置に形成されている上顎部115Aと、この上顎部115Aと対向するとともに測定空間117を構成する下顎部115Bと、手の指をハンドル空間115Eに入れて掴むことができるハンドル部115Cとを有している。そして、下顎部115Bには、例えば樹脂フィルム、紙等のシートを測定するために、そのシートを載置可能とする下側接触子116が設けられている。
【0005】
デジタルダイヤルゲージ110は、測定値を表す数字が表示される表示部111Aを有するゲージ本体111備えている。このゲージ本体111には、当該ゲージ本体111を貫通してスピンドル125がその軸芯方向に移動可能に設けられている。
【0006】
スピンドル125の先端には上側接触子125Aが取り付けられ、スピンドル125が下降すると、その上側接触子125Aが測定空間117内において下顎部115Bに取り付けられた下側接触子116に圧接する。
【0007】
エアシリンダ122には保持枠115内部に設けられたエアポンプからのエアがチューブ121を介して与えられる。エアポンプの操作ボタン120を押すとエアポンプからエアがチューブ121に送られ、エアシリンダ122内にエアが送られることによりスピンドル125が上方に移動し、上側接触子125Aが下側接触子116から離間する。操作ボタン120を離すとエアが抜け、スピンドル125が降下し、上側接触子125Aと下側接触子116が圧接する。
【0008】
次に、このシート厚み測定器100を用いてシート140の厚みを測定する方法について説明する。
【0009】
保持枠115のハンドル部115Cを握り、操作ボタン120を指で押し込む。操作ボタン120を指で押し込むことで、エアポンプからチューブ121を介してエアシリンダ122内にエアが送り込まれ、スピンドル125が上昇する。
【0010】
その結果、スピンドル125の上側接触子125Aと下側接触子116との間に隙間が形成されるので、フィルム等のシート140を測定空間117において、下側接触子116の表面に載せる。そして、操作ボタン120から指を離すと、エアシリンダ122内の空気が抜けてスピンドル125が降下する。図13図15に示すように、スピンドル125の上側接触子125Aと下側接触子116がシート140を挟み込む。このときの寸法が表示部111Aに表示され、シート140の厚みが測定される。このときの寸法を読み込むことで、シート140の厚みが測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実用新案登録第3206532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、シート140の厚みが大きく、腰が強い場合には、シート140の厚みが正確に測定できない場合がある。すなわち、図16に示すように、シート140を下側接触子116に誤って斜めに載せた状態で、操作ボタン120から指を離して、スピンドル125を降下させる。この時、シート140の腰が強い場合には、シート140は、上側接触子125Aと下側接触子116との間にシート140が確実に挟み込まれずに、シート140が斜めの状態のまま挟み込まれる。この結果、シート140が斜めの状態で厚みが測定され、下側接触子116とシート140の間に隙間が存在することになり、正確な厚みが測定できない。
【0013】
この発明は、上記した問題点を解消するためになされたものであり、シートの厚みや腰の強さに関係なく、正確にシートの厚みを測定することができるハンディ型シート厚み測定器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、ダイヤルゲージと、このダイヤルゲージが取り付けられる本体部を有し、シートを表裏から接触子で挟み込むことでシートの厚みを測定するハンディ型シート厚み測定器であって、前記本体部は、前記ダイヤルゲージを保持する保持部材が取り付けられた下側アーム部材と、下側アーム部材に回動自在に取り付けられた上側アーム部材とを有し、前記保持部材は、前記ダイヤルゲージを保持する上部支持部と、前記ダイヤルゲージのスピンドルの先端部に設けられた上側接触子と対向する下側接触子を保持する下部支持部を有し、前記下側接触子を挟んで前記保持部材の両側に配置された下側支持部材と、前記下側支持部材と対向するように、上側支持部材が前記上側アーム部材に取り付けられ、前記上側アーム部材の回動により、前記上側接触子と下側接触子及び下側支持部材と上側支持部材とが当接または離間し、前記下側支持部材と前記上側保持部材とが前記シートを挟んだ状態で、前記シートが表裏から前記上側接触子と下側接触子で挟み込まれてシートの厚みを測定することを特徴とする。
【0015】
また、前記下側保持部材と前記上側保持部材は、回転可能なローラで構成することができる。
【0016】
また、前記下側アーム部材の基端側から先端部へ向かう方向と直交する左右方向に、支持ベースが設けられ、この支持ベースにローラ軸が取り付けられ、このローラ軸にそれぞれ回転自在に下側支持部材としてのローラが取り付けられているように構成できる。
【0017】
また、前記上側支持部材としてのローラは、前記上側アーム部材に取り付けられた上部支持部材に取り付けるように構成すればよい。
【0018】
また、前記上部支持部材は、中央板部の両側にコの字状に折曲された第1取付板部第2取付板部が連接して設けられ、前記第1取付板部と第2取付板部に前記ローラがそれぞれ取り付けられているように構成すればよい。
【0019】
また、前記ローラの中央部に前記ダイヤルゲージの前記上側接触子が位置するように、前記中央板部の中央部に前記ダイヤルゲージの前記上側接触子が配置されるように構成すればよい。
【0020】
また、前記中央板部には、前記ダイヤルゲージのスピンドルが挿入される溝部が設けられ、前記スピンドルに、前記溝部の幅より大きな径のエッジが設けられ、前記上側アーム部材を下側アーム部材から離間するように回動させると、前記エッジと溝部の縁が当接し、前記上側アーム部材の回動に伴い、前記スピンドルが上側に移動し、前記上側接触子と前記下側接触子とが離間するように構成すればよい。
【発明の効果】
【0021】
この発明のハンディ型シート厚み測定器は、上側支持部材と下側支持部材の上下方向で、シートを押さえ込むことになり、シートが傾くことなく、両接触子との間に配置されることになる。この結果、シートの腰があるような場合にも、シートを両接触子の間に正確に位置させることができるので、正確なシートの厚みを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す斜視図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いた状態を示している。
図2】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す正面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いた状態を示している。
図3】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す背面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いた状態を示している。
図4】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す側面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いた状態を示している。
図5】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す側面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が閉じた状態を示している。
図6】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す斜視図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が閉じた状態を示している。
図7】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す斜視図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いた状態を示している。この発明の実施形態に係るシート厚み測定器を示す左側面図であり、脚部を開いた状態を示している。
図8図5のVIII-VIII線断面図である。
図9】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す斜視図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いて、シートを差し込んだ状態を示している。
図10】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す正面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が開いて、シートを差し込んだ状態を示している。
図11】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す斜視図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が閉じて、シートの厚みを測定している状態を示している。
図12】この発明の実施形態に係るハンディ型シート厚み測定器を示す正面図であり、下側アーム部材と上側アーム部材が閉じて、シートの厚みを測定している状態を示している。
図13】従来のシート厚み測定器を示す左側面図である。
図14】従来のシート厚み測定器を示す正面図であり、シートを測定している状態を示している。
図15】従来のシート厚み測定器のシート測定部分を拡大して示す模式図であり、シートが正常に測定されている状態を示している。
図16】従来のシート厚み測定器のシート測定部分を拡大して示す模式図であり、シートが異常に測定されている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0024】
この実施形態のハンディ型シート厚み測定器1は、ダイヤルゲージ10と、このダイヤルゲージ10が取り付けられる本体部20と、を備える。本体部20は、ダイヤルゲージ10を保持する下側アーム部材21と、上側アーム部材22を有し、上側アーム部材22は、下側アーム部材21に回動自在に取り付けられている。
【0025】
下側アーム部材21と上側アーム部材22は、溝形鋼形状に形成され、下側アーム部材21に上側アーム部材22が覆い被さる大きさに形成されている。
【0026】
本体部20は、ダイヤルゲージ10を保持するコ字型の保持部材25を有する。保持部材25は、本体部20の下側アーム部材21に取付プレート30を介してボルト30aなどを用いて固定されている。
【0027】
保持部材25の上部支持部25aに、ダイヤルゲージ10のステム11を挟み込んで固定し、保持部材25にダイヤルゲージ10が固定される。この実施形態では、ステム11を上部支持部25aに差し込んだ後、ボルトなどにより上部支持部25aの先端部を締め付けて、ステム11を挟み込んで固定している。
【0028】
ステム11の内部にはスピンドル12が軸心方向に移動可能に取り付けられる。そして、スピンドル12の先端部に上側接触子(測定子)13が設けられている。
【0029】
保持部材25の下部支持部25bに、下側ステム15を挟み込んで固定している。この実施形態では、下側ステム15を下部支持部25bに差し込んだ後、ボルトなどにより下部支持部25bの先端部を締め付けて、下側ステム15を挟み込んで固定している。そして、下側ステム15の先端部には、前記上側接触子13と対向する下側接触子14が設けられている。
【0030】
ダイヤルゲージ10の上側接触子13と下側接触子14は、当接するように位置決めされている。
【0031】
下側接触子14と上側接触子13の間に測定するシート60を挟み込む。シート60の表面に上側接触子13が当接し、シート60の厚さに対応して、スピンドル12が上側に移動する。スピンドル12の移動量によりシート60の厚みが測定され、ダイヤルゲージ10の表示部10aに測定結果が表示される。
【0032】
上記シート60は、厚物の樹脂シート、ガラス板、金属板、紙、カーボンシート等などである。
【0033】
上側アーム部材22と下側アーム部材21とは、それぞれの基端部に貫通孔が設けられ、この貫通孔にピン23が挿通され、上側アーム部材22が下側アーム部材21に回動自在に取り付けられている。このピン23に付勢ばね23aが取り付けられ、付勢ばね23aは、上側アーム部材22の先端部を下側アーム部材21から離間する方向である開放方向に付勢している。
【0034】
後述するように、下側アーム部材21に取り付けられる固定ノブ50に一体に設けられたシャフト51が上側アーム部材22に設けられた長孔22bに挿入され、長孔22bの下端部にシャフト51が当接する(図8参照)。図1図4に示すように、長孔22bの下端部にシャフト51が当接することにより、付勢ばね23aの付勢力に抗して上側アーム部材22が所定の開放角度で停止するように構成されている。
【0035】
保持部材25の両側には、下側支持部材としての下側支持ローラ32、32が取り付けられる支持ベース31a、31bがボルト33、33などにより固定されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、下部支持部材25bの中央部に下側接触子14が配置され、その下側接触子14を挟んで両側に下側支持ローラ32,32が配置される。すなわち、下側アーム部材21の基端側から先端部へ向かう方向と直交する左右方向に、支持ベース31a、31bが設けられ、この支持ベース31a、31bにローラ軸32a、32aが取り付けられ、このローラ軸32a、32aにそれぞれ回転自在に下側支持ローラ32、32が取り付けられている。
【0037】
この下側支持ローラ32、32に対向するように、上側支持部材としての上側押さえローラ42、42が上側アーム部材22に取り付けられる。この上側押さえローラ42、42は、上側アーム部材22の回動に伴って、下側支持ローラ32、32と当接または離間する。後述するように、この上側押さえローラ42、42と下側支持ローラ32、32で測定するシート60を挟み込む。
【0038】
図4及び図5に示すように、上側押さえローラ42,42は、上部支持部材40を用いて上側アーム部材22にボルトなどの固定部材45で取り付けられる。
【0039】
上部支持部材40は、図1及び図2に示すように、中央板部40cの両側にコの字状に折曲された第1取付板部40a、第2取付板部40bが連接して設けられている。第1取付板部40aと第2取付板部40bの後部はL字型の固定部40eがそれぞれ設けられ、固定部40eと上側アーム部材22とがボルトなどの固定部材45で固定され、上部支持部材40が上側アーム部材22と一体化される。上側アーム部材22の回動に伴って上部支持部材40も回動する。そして、上部支持部材40に支持された上側押さえローラ42、42は、上側アーム部材22の回動に伴って、下側支持ローラ32、32と当接または離間する。
【0040】
図1及び図2に示すように、右側の上側押さえローラ42は、ローラ保持部材41aに回転自在に支持され、このローラ保持部材41aが一対のボルト43により、第1取付板部40aに取り付けられる。ローラ保持部材41aとボルト43とは上下に移動可能な状態で取り付けられている。そして、ボルト43と第1取付板部40aとの間には圧縮ばね44が取り付けられ、圧縮ばね44の付勢力によりローラ保持部材41aは下方向に付勢されている。
【0041】
左側の上側押さえローラ42は、ローラ保持部材41bに回転自在に支持され、このローラ保持部材41bが一対のボルト43により、第2取付板部40bに取り付けられる。ローラ保持部材41bとボルト43とは上下に移動可能な状態で取り付けられている。そして、ボルト43と第2取付板部40bとの間には圧縮ばね44が取り付けられ、圧縮ばね44の付勢力によりローラ保持部材41aは下方向に付勢されている。
【0042】
上側アーム部材22を閉じる方向に移動させ、上側押さえローラ42と下側支持ローラ32が当接すると、圧縮ばね44の付勢力により、下側支持ローラ32に上側押さえローラ42が所定の付勢力で当接するように構成されている。
【0043】
また、上側押さえローラ42と下側支持ローラ32との間にシート60が挟まれ、上側押さえローラ42と下側支持ローラ32とがシート60を介して当接すると、ローラ保持部材41a、41bはシート60の厚みに対応して上方向に移動し、下側支持ローラ32に上側押さえローラ42との間は、所定の付勢力で与えられる。
【0044】
図2に示すように、上側押さえローラ42、42の中央部にダイヤルゲージ10の上側接触子13が位置するように、中央板部40cの中央部にダイヤルゲージ10の上側接触子13が配置される。そして、そのダイヤルゲージ10の上側接触子13を挟んで両側に上側押さえローラ42、42が配置される。すなわち、上側アーム部材22の基端側から先端部へ向かう方向と直交する左右方向に、第1取付板部40a、第2取付板部40bが設けられ、この第1取付板部40a、第2取付板部40bに上側押さえローラ42、42を回動自在に支持するローラ軸42aが取り付けられている。
【0045】
中央板部40cには、ダイヤルゲージ10のスピンドル12が挿入されるU字状の溝部40dが設けられている。スピンドル12には、溝部40dの幅より大きな径の第1エッジ12aが設けられ、第1エッジ12aの上部に第2エッジ12bが設けられている。
【0046】
図7に示すように、上側アーム部材22を下側アーム部材21から離間するように回動させると、第1エッジ12aと溝部40dの縁が当接し、上側アーム部材22の回動に伴い、スピンドル12が上側に移動し、上側接触子13と下側接触子14とが離間し、これらの間に測定するシート60を挟み込む空間ができる。スピンドル12は、第2エッジ12bがステム11に当接するとスピンドル12の上昇が停止する。
【0047】
また、下側支持ローラ32と上側押さえローラ42との間も離間し、シート60の挿入が可能となる空間が生じる。
【0048】
下側アーム部材21には、上側アーム部材22に設けられた長孔22bに対応する箇所にナット部52が設けられている。このナット部52に、固定ノブ50のシャフト51の先端部に形成されたねじ部がねじ込まれる。シャフト51が長孔22bの下端部に当接することにより、上側アーム部材22の開放角度が規制される。
【0049】
この実施形態では、ナット部52は、下側アーム部材21の両側面にそれぞれ設けられ、固定ノブ50はどちらか一方に取り付ければよく、ユーザの使用態様に応じて取付位置を左右変更できる。
【0050】
図8に示すように、ナット部52と固定ノブ50の間に上側アーム部材22の板材が配置され、板材と固定ノブ50との間には、ワッシャ53が設けられる。固定ノブ50を締め付けると、上側アーム部材22を固定ノブ50とワッシャ53で挟み込むことになり、上側アーム部材22を所定の位置で固定できる。例えば、上側アーム部材22と下側アーム部材21が閉じた状態で固定することができる。
【0051】
次に、この発明のハンディ型シート厚み測定器1でシート60の厚みを測定する場合につき、図9図12に従い説明する。
【0052】
図9及び図10に示すように、上側アーム部材22を開く方向に付勢ばね23aの付勢力により回動させる。上側アーム部材22を下側アーム部材21から離間するように回動させると、スピンドル12の第1エッジ12aと溝部40dの縁が当接し、上側アーム部材22の回動に伴い、スピンドル12が上側に移動し、上側接触子13と下側接触子14とが離間する。この時、上側アーム部材22の回動に伴い、上側押さえローラ42も上側に移動し、下側支持ローラ32と上側押さえローラ42とを離間させる。
【0053】
この状態で図9及び図10に示すように、測定するシート60を上側接触子13と下側接触子14との間と、下側支持ローラ32と上側押さえローラ42との間に入れる。
【0054】
その後、図11及び図12に示すように、上側アーム部材22を閉じる。上側アーム部材22を閉じる方向に回動させると、スピンドル12の第1エッジ12aと溝部40dの縁の当接状態が解除され、上側アーム部材22を閉じる方向に回動に伴って、上部支持部材40が下がり、スピンドル12が下降する。そして、上側接触子13と下側接触子14との間にシート60が挟み込まれる。また、上側押さえローラ42も下側支持ローラ32の方へ下降し、上側押さえローラ42と下側支持ローラ32との間にシート60が挟み込まれる。
【0055】
上側接触子13は、左右の上側押さえローラ42、42の間と下側接触子14は、下側支持ローラ32、32の間に位置する。上側押さえローラ42、42と下側支持ローラ32の上下方向で、シート60を押さえ込むことになり、シート60が傾くことなく、上側接触子13と下側接触子14との間に配置されることになる。この結果、シート60の腰があるような場合にも、シート60を上側接触子13と下側接触子14の間に正確に位置させることができるので、正確なシート60の厚みを測定することができる。
【0056】
また、この実施形態は、上側押さえローラ42、42と下側支持ローラ32、32は回転可能であるので、両ローラに挟み込まれたシート60をスライドさせることができる。上側接触子13を当てた状態でシート60をスライドさせることで、連続してシート60の厚みも容易に測定することができる。
【0057】
尚、上記した実施形態では、下側支持部材としての下側支持ローラ32、32、上側支持部材としての上側押さえローラ42、42と支持部材をローラで構成しているが、回転しない部材でシート60を両側から押さえるように構成してもよい。このような構成で、腰が強いシート60においても、正確に厚さを測定できる。回転しない部材なので、シート60をスライドさせることは難しいので、連続したシート60の測定には向かない。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 :ハンディ型シート厚み測定器
10 :ダイヤルゲージ
11 :ステム
12 :スピンドル
13 :上側接触子
14 :下側接触子
20 :本体部
21 :下側アーム部材
22 :上側アーム部材
23a :付勢ばね
25 :保持部材
25a :上部支持部
25b :下部支持部材
25b :下部支持部
32 :下側支持ローラ
40 :上部支持部材
40a :第1取付板部
40b :第2取付板部
40c :中央板部
40d :溝部
41a、41b :ローラ保持部材
42 :上側押さえローラ
60 :シート
図1
図2
図3
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