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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】火災警報器取付跡の目隠しカバー
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018229849
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020091779
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592166126
【氏名又は名称】株式会社中尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】中尾 高久
(72)【発明者】
【氏名】若山 豊
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-38693(JP,U)
【文献】特開2017-228196(JP,A)
【文献】特開2014-10524(JP,A)
【文献】特開2009-110222(JP,A)
【文献】特開2014-170495(JP,A)
【文献】特開平7-282368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-21/24
H03J 9/00- 9/06
H04M 1/02- 1/23
H04Q 9/00- 9/16
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端壁(2)とその端壁(2)の外周に垂下して連なる周壁(3)を備えた有底筒状の目隠しカバーであって、
撤去した住宅用火災警報器の取付跡を完全に覆い隠せる大きさを有し、
前記端壁(2)は、平坦な支持座(4)を有していてその支持座(4)に電池式住宅用火災警報器の取付台(14)をねじ止め可能に構成され、
なおかつ、その端壁(2)が、前記取付跡の存在する住宅の天井又は壁面にねじ込まれるカバー固定用ねじ(11)を挿通して係止させる座穴(5)を前記支持座(4)の外周に複数個備えた火災警報器取付跡の目隠しカバー。
【請求項2】
全体がプラスチックで形成された請求項1に記載の火災警報器取付跡の目隠しカバー。
【請求項3】
全体が円筒状に形成され、さらに、前記端壁(2)に、前記電池式住宅用火災警報器の取付台(14)を前記支持座(4)上に正しくセットするための位置決め溝(6)を備えた請求項1又は2に記載の火災警報器取付跡の目隠しカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅用火災警報器を交換するときに、元の警報器が取り外された箇所(取付跡)を覆い隠す目隠しカバー、詳しくは、取付跡の目隠しと同時に、新しい警報器を元の警報器の取付ベースなどを撤去せずに元の警報器と同じ場所に取り付けられるようにした取付台兼用の目隠しカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
西暦2006年より改正消防法が施工され、住宅用火災警報器(以下ではこれを住警器と略称する)の設置が義務付けられている。
【0003】
その住警器は、電気式のものと、電池式のものの2種類がある。いずれの住警器も、電子部品の寿命や電池切れに対応する必要上、10年の使用期間を目安にして交換することが推奨されている。
【0004】
電気式住警器は、下記特許文献1などに示されるように、100Vの交流電源に接続して使用されるものであり、設置及び撤去に電気工事の資格が必要である。
【0005】
その電気式住警器は、電線を接続して住宅の天井の取付穴に嵌め込む専用の取付ベース(取付台)と、その取付ベースに固定する本体を組み合わせており、本体を外すと取付ベースが外部に露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-64246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した通り、住警器は10年を目安にして交換されるが、その交換時に、それまで設置されていた電気式住警器を電池式のものに置き換える要求がある。
【0008】
その置き換えに当たって、電気式住警器があった場所に電池式住警器を取り付ける要求もある。住警器は、火災によって発生する熱や煙を感知し易い場所を選んで設置されており、電気式住警器があった場所が設置箇所として最適である。
【0009】
ところが、電気式住警器と同じ場所に電池式住警器を取り付けようとすると、本体を撤去した電気式住警器の取付ベースや配線の撤去が必要になる。
【0010】
また、天井には取付ベース埋め込み用の穴があけられており、取付ベースの撤去後にその穴をそのまま残すと、新たに設置する電池式住警器の取り付けができなくなることもある。
【0011】
さらに、元の住警器の取付跡に新しい電池式住警器を取り付けることができる場合も、元の住警器の取付跡の一部が外部に露出して体裁が悪くなることも起こりうる。
【0012】
このほか、天井に取り付けられている電気式住警器を電池式住警器に交換する場合も、機種や製品メーカが異なると、元の住警器の取付跡が見えて見苦しくなることがある。
【0013】
この発明は、電気式住警器を電池式住警器に取り替える場合には、元の住警器用の取付ベースと配線を残したままで、元の住警器と同じ場所に新しい電池式住警器を体裁よく取り付けることができ、さらに、電池式住警器同士を取り替える場合にも、元の住警器の取付跡を完全に覆い隠して新しい住警器を取り付けられるようにした取付台兼用の目隠しカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明においては、端壁とその端壁の外周に垂下して連なる周壁を備えた有底筒状の目隠しカバーであって、
撤去した住警器(住宅用火災警報器)の取付跡を完全に覆い隠せる大きさを有し、
前記端壁は、平坦な支持座を有していてその支持座に電池式住警器の取付台をねじ止め可能に構成され、
なおかつ、その端壁が、前記取付跡の存在する住宅の天井又は壁面にねじ込まれる固定用ねじを挿通して係止させる座穴を前記支持座の外周に複数個備えた火災警報器取付跡の目隠しカバーを提供する。
【0015】
この目隠しカバーは、金属のプレス成形品も考えられるが、金属よりも全体がプラスチックで形成されたものが好ましい。
【0016】
また、この目隠しカバーは、全体が円筒状に形成されたものや、前記電池式住警器の取付台を、前記支持座上に正しくセットするための位置決め溝を前記端壁に設けたものが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明の目隠しカバーを用いると、撤去した住警器の取付跡が完全に覆い隠される。
【0018】
また、この目隠しカバーは、新しい電池式住警器の取付台を兼用しているので、撤去した元の住警器が電気式のものである場合にも、その電気式住警器の取付ベースを残したままにして新しい電池式住警器を元の電気式住警器の専用取付ベースが残存した場所に設置することができる。
【0019】
このため、元の住警器が取り付けられていた天井や壁面の体裁の悪化が起こらず、新しい電池式住警器を元の住警器と同じ場所に設置することも可能になる。
【0020】
なお、プラスチックで形成された目隠しカバーは、金型による成形が可能であり、製造が容易でコストの低減が図れる。また、新しい電池式住警器の取付台を当該目隠しカバーの端壁に固定するねじを端壁に直接下孔無しでねじ込むことができ、前記ねじを螺合させるためのねじ孔を加工する必要がない。
【0021】
全体が円筒状に形成された目隠しカバーは、市販の電池式住警器(殆どが丸型)と相似形のものになるので、電池式住警器を取り付けたときの外観に違和感がなく、住警器の無駄なサイズ増も抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】火災警報器取付跡の目隠しカバーの一例を示す断面図である。
図2図1の目隠しカバーの正面図である。
図3図1の目隠しカバーの外観を示す斜視図である。
図4図1の目隠しカバーの内面側を示す斜視図である。
図5図1の目隠しカバーの使用の一例を示す断面図である。
図6図1の目隠しカバーに電池式住警器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面の図1図6に基づいて、この発明の実施の形態を説明する。例示の火災警報器取付跡の目隠しカバー1(以下では、これを略して目隠しカバーと言う)は、プラスチックで形成されたものであって、端壁2とその端壁2の外周に垂下して連なる周壁3を備えた有底円筒状をなしている。
【0024】
この目隠しカバー1は、撤去した住警器の取付跡を完全に覆い隠せる大きさを有している。住宅用の電気式住警器と電池式住警器は、メーカや機種によってそのサイズが異なるが、市販されている住警器のうち、最大サイズの住警器の取付跡を隠せる大きさを有していれば、撤去する住警器がどのメーカの製品であっても、機種を問わずに新しい電池式住警器との交換が可能である。
【0025】
端壁2は、平坦な支持座4を有していてその支持座4に電池式住警器の取付台をねじ止めして取り付けられるようになっている。
【0026】
また、その端壁2は、支持座4よりも径方向外側に座穴5を備えている。その座穴5は、前記取付跡の存在する住宅の天井や壁面にねじ込まれるカバー固定用ねじを挿通して係止させるための穴である。
【0027】
図示の座穴5は、カバー固定用ねじの頭部を深く沈み込ませる穴になっており、使用するカバー固定用ねじは、首下長さの短いものでよい。
【0028】
その座穴5が端壁2の中心を基準にして対称位置(周方向に180°変位した位置)に2個設けられている。その座穴5は、目隠しカバー1に取り付けられる電池式住警器の重量がさほど大きくないので2個あれば充分であるが、2個以上あってもよい。
【0029】
支持座4は、端壁2の表面に形成した位置決め溝6によってその支持座4を取り巻く周囲の領域から画されている。位置決め溝6は、端壁2の軸心と同心の円上にある。
【0030】
例示の位置決め溝6はV溝である。その位置決め溝6は、支持座4上に電池式住警器の取付台を固定するときに利用される。
【0031】
端壁2、周壁3及び座穴5を備える目隠しカバーは、金属で形成することもできる。金属製の目隠しカバーは、端壁2に対するドリルねじのねじ込みが可能なものと不可能なものが考えられ、後者の端壁を有する目隠しカバーについては、電池式住警器の取付台をねじ止めするための孔を、ドリルなどで加工する。
【0032】
図4図5の符号7は、端壁2の裏面に形成した補強リブである。この補強リブ7は、必要に応じて形成される。
【0033】
以上の通りに構成された例示の目隠しカバー1は、図5に示すように、撤去対象の住警器が取り付けられていた天井10(ここでは住警器の取付部として天井を例に挙げるが、その取付部は壁面であることもある)に木ねじなどのカバー固定用ねじ11で取り付けて使用する。
【0034】
図5の符号12は、元の住警器の本体を撤去した跡に残されている元の住警器の取付ベースである。この取付ベース12には、天井10から下向きに突出する突出部位12aが含まれている。
【0035】
その突出部位12aの存在する取付ベース12が残存していると、元の住警器と同じ場所への電池式住警器13の取り付けが許容されない。
【0036】
そこで、図5に示すように、天井10に残存した取付ベース12を包囲する位置に目隠しカバー1を、カバー固定用ねじ11を用いて取り付ける。
【0037】
そして、その目隠しカバー1の端壁2に形成されている支持座4に、新たに設置する電池式住警器13の取付台14を、ドリルねじなどの締結ねじ15を使用して固定する。
【0038】
このとき、取付台14は、位置決め溝6を利用して目隠しカバー1の支持座4上に正しく位置決めし、その後に締結ねじ15を操作して位置決め点に取付台14を固定する。
【0039】
位置決め溝6に取付台14の底面に周方向に定ピッチで3個以上形成された突起(図示せず)を嵌合させることで、取付台14を支持座4上に正しく位置決めすることができる。
【0040】
なお、位置決め溝6を基準にして取付台14の位置を調整する方法でも取付台14の位置決めが可能であり、位置決め溝6に突起を嵌合させる方法での位置決めは必須ではない。
【0041】
端壁2に取付台14を固定したら、その取付台14に電池式住警器13の本体16を装着し、正しく作動するかの確認を行なって新たな住警器の設置を完了する。
【0042】
なお、例示の目隠しカバー1は、全体の高さが30mm以下であり、この上に電池式住警器13を取り付けても体裁は悪化せず、違和感を覚えることもない。
【符号の説明】
【0043】
1 火災警報器取付跡の目隠しカバー
2 端壁
3 周壁
4 支持座
5 座穴
6 位置決め溝
7 補強リブ
10 天井
11 固定用ねじ
12 元の住警器の取付ベース
12a 突出部位
13 電池式住警器
14 取付台
15 締結ねじ
16 本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6