(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】RFタグおよびRFタグ装置
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20220901BHJP
H01Q 9/04 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/077 280
G06K19/077 224
G06K19/077 296
G06K19/077 204
H01Q9/04
(21)【出願番号】P 2019536747
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2018029705
(87)【国際公開番号】W WO2019035396
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017158049
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514174213
【氏名又は名称】株式会社フェニックスソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 詩朗
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076340(JP,A)
【文献】特開2010-092120(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
H01Q 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体部材に貼着されて使用されるRFタグであって、
前記RFタグは、
ICチップおよびインダクタパターンを含むインレット部と、
読取装置から送信されたデータの送受信に用いる
略矩形状の平面アンテナ部と、が接合して形成され、
前記平面アンテナ部は、前記インレット部と前記平面アンテナ部との接合部から、前記インダクタパターンの長手方向に対して垂直な方向に延在し、
前記ICチップの内部の静電容量と、前記インダクタパターンと、により共振回路が形成され、読取装置と通信を行う、RFタグ。
【請求項2】
前記平面アンテナ部の中心は、前記長手方向において、前記インダクタパターンの一方の端部と同じ位置に配置されている、請求項1に記載のRFタグ。
【請求項3】
前記
平面アンテナ部の周辺距離は、UHF帯RFID周波数の波数の波長λに対して、λ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれか1つに該当するよう設計された、請求項
1または2に記載のRFタグ。
【請求項4】
前記
平面アンテナ部は、粘着層を有する、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のRFタグ。
【請求項5】
前記インレット部は、前記粘着層と同一面側に非導電体層を有する、請求項
4記載のRFタグ。
【請求項6】
前記インレット部は、前記非導電体層で包含されている、請求項
5に記載のRFタグ。
【請求項7】
前記非導電体層は、発泡樹脂からなる、請求項
5または
6に記載のRFタグ。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか1項に記載のRFタグと、
導体部材の、袋、箱、商品を包装するフィルム、樹脂シート、アルミニウム薄膜、商品に貼着されるシールのいずれかと、を含み、
前記袋、箱、商品を包装するフィルム、樹脂シート、アルミニウム薄膜、商品に貼着されるシールのいずれかに前記RFタグが貼着された、RFタグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグおよびRFタグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2016-173747号公報)には、導電体や高誘電体に接触もしくは近接したときの通信性の低下を抑制でき、かつ薄型化と低コスト化を両立できるRFIDタグについて開示されている。
【0003】
特許文献1記載のRFIDタグは、一の導電層を中間層として含む積層体と、積層体上に設けられたアンテナと、アンテナに接続されたICチップと、を備え、一の導電層は、括れ部を含む構造を少なくとも1つ有するものである。
【0004】
特許文献2(特開2016-58062号公報)には、半導体チップが割れるのを防止するRFIDタグについて開示されている。
【0005】
特許文献2記載のRFIDタグにおいては、基材と、基材の上に搭載された半導体チップと、半導体チップを覆うと共に、折り曲げたときにできる折り曲げ線が半導体チップから外れるように折り曲げ線の起点となる凹みを側部に備え、かつ、基材を補強する島状の補強材と、を有するものである。
【0006】
特許文献3(特開2014-222423号公報)には、交信距離の低下及び大型化を招くことなく、UHF帯での無線通信が可能なRFIDタグ付き包装体について開示されている。
【0007】
特許文献3記載のRFIDタグ付き包装体においては、RFIDタグが取り付けられ、被包装物が封入される包装体を備えるRFIDタグ付き包装体において、包装体は、RFIDタグの通信用のアンテナとして機能する、スリットが形成された導電層を含むシートを有し、RFIDタグは、ICチップと、該ICチップの2つの電極に個別に接続された2つの導電部材と、を有し、2つの導電部材の一方は、少なくとも一部がスリットの幅方向に関してスリットの一側に位置するようにシートの表面に絶縁部材を介して取り付けられており、2つの導電部材の他方は、少なくとも一部がスリットの幅方向に関してスリットの他側に位置するようにシートの表面に絶縁部材を介して取り付けられており、包装体には、切断線が設けられ、切断線を含む仮想線に沿って切断されるとRFIDタグが通信不良になるものである。
【0008】
特許文献4(特開2008―107947号公報)には、外部にあるデータ読み書き装置との間で、非接触でデータの送受信を行うRFIDタグにおいて、RFIDタグをアルミ箔,金属蒸着フィルムからなる包材にRFIDタグを貼っても、大きな段ボール等に貼っても、誤作動しないRFIDタグについて開示されている。
【0009】
特許文献4記載のRFIDタグにおいては、外部にあるデータ読み書き装置との間で、非接触でデータの送受信を行うRFIDタグにおいて、支持体に少なくとも非接触でデータの送受信に用いるICチップとICチップにつながれた導線とが形成されたインレットと、送受信に用いるアンテナとが分離して形成され、インレットとアンテナとを貼着することによって、導線とアンテナとがコンデンサー結合でつながるものである。
【0010】
特許文献5(特開2011-221838号公報)には、管理領域外においては通信を禁止できる無線通信用タグについて開示されている。
【0011】
特許文献5記載の無線通信用タグにおいては、外部の通信装置との通信動作を行う半導体チップを有する無線通信用タグにおいて、半導体チップが搭載されるとともに、該半導体チップと電気的に接続された受電部を有するタグと、通信装置からの電波を受信するアンテナ部と、該アンテナ部と電気的に接続された給電部と、を有するとともに、タグと着脱可能な構成を備えたアンテナモジュールと、を備え、タグがアンテナモジュールと接続されたときに、受電部と給電部とが電気的に接続することにより、通信装置と通信可能な状態となるものである。
【0012】
特許文献6(特開2012-70076号公報)には、ブースターアンテナを用いたRF-IDメディアにおいてブースターアンテナによる効果を十分に得るRF-IDメディアについて開示されている。
【0013】
特許文献6記載のRF-IDメディアにおいては、外部からの電磁波によって電流が流れる第1のアンテナが形成された第1のベース基材上に、第2のベース基材上に第2のアンテナが形成されるとともに該第2のアンテナに接続されたICチップが搭載されてなるインレットが搭載され、第1のアンテナに流れた電流による電磁誘導によって第2のアンテナに電流が流れるRF-IDメディアにおいて、第2のアンテナは、外周端部がICチップに接続され、互いに同一方向に巻回されて内周端部が開放された渦巻き状の2つのアンテナ部からなり、第1のアンテナは、第1のベース基材上にインレットが搭載された場合に2つのアンテナ部間の領域を含む該2つのアンテナ部それぞれの外周部分に沿うまたは重なる領域に、2つのアンテナ部について渦巻き状における反対方向に電磁波による電流が流れる電流経路を有するものである。
【0014】
特許文献7(特開2008-117165号公報)には、RFIDタグを重ね合わせても、電波の干渉による読取不良を発生せず、重ね合わせるRFIDタグの間にスペーサが不要となる、RFIDタグについて開示されている。
【0015】
特許文献7記載の無線通信用タグにおいては、無線波により作動するICチップと、絶縁体のベース上に形成される金属膜層からなるアンテナと、を含んで構成されるICタグであって、アンテナは、インピーダンスマッチング用のスリット、及びICチップが搭載される1つの第1のアンテナおよび、ICチップが搭載されない少なくとも1つの第2のアンテナを含んでなり、第1のアンテナと少なくとも1つの第2のアンテナとを静電容量結合させたものである。
【0016】
特許文献8(特開2013-54751号公報)には、読み取り装置(または読み書き装置)との適正な通信が可能で、かつ容易に小型化が可能なRFID情報媒体について開示されている。
【0017】
特許文献8記載のRFID情報媒体においては、外部の読み取り装置と非接触でデータ通信を行うRFID情報媒体であって、絶縁部材を有する本体部と、本体部に設けられたアンテナ用部材と、本体部に設けられた導電体と、目視する見方によって色彩や画像が変化する光学変化デバイスと、を備え、導電体は導電性材料の層を有し、該導電性材料の層が、アンテナ用部材に部分的に、本体部の厚さ方向に重ねられており、光学変化デバイスが、導電性の反射層または導電性の透明層を備え、光学変化デバイスの反射層または透明層が、導電性材料の層と兼用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2016-173747号公報
【文献】特開2016-58062号公報
【文献】特開2014-222423号公報
【文献】特開2008―107947号公報
【文献】特開2011-221838号公報
【文献】特開2012-70076号公報
【文献】特開2008-117165号公報
【文献】特開2013-54751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以上の特許文献1乃至8においては、種々のRFタグが開発されているが、主に金属上に貼着した場合、動作しないという問題がある。当該問題をクリアした場合であっても、RFタグ形成において、インダクタンスを一定に保持することができないという問題が生じる。
【0020】
本発明の主な目的は、容易に商品に取り付けることができるRFタグおよびRFタグ装置を提供することである。
本発明の他の目的は、容易に商品に取り付けでき、かつ、通信感度を飛躍的に向上させるとともに、無指向性の電波を受信することができるRFタグおよびRFタグ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(1)
一局面に従うRFタグは、ICチップおよびインダクタパターンを含むインレット部と、読取装置から送信されたデータの送受信に用いるアンテナ部と、が接合して形成され、ICチップの内部の静電容量と、インダクタパターンと、により共振回路が形成され、読取装置と通信を行うものである。
【0022】
この場合、インレット部と、アンテナ部とが接合して形成され、ICチップ内部の静電容量とインダクタパターンにより共振回路が形成される。その結果、RFタグの小型化を実現することができる。
【0023】
(2)
第2の発明にかかるRFタグは、アンテナ部の周辺距離は、UHF帯RFID周波数の波数の波長λに対して、λ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれか1つに該当するよう設計されてもよい。
【0024】
この場合、アンテナ部の周辺距離は、波長λに対して、λ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれか1つに該当するよう設計するため、その結果、通信感度を飛躍的に向上させるとともに、無指向性の電波を受信することができる。
【0025】
(3)
第3の発明にかかるRFタグは、一局面または第2の発明にかかるRFタグにおいて、アンテナ部には、粘着層が形成されてもよい。
【0026】
この場合、アンテナ部に粘着層が形成されているので、粘着層を介してRFタグを容易に袋などの被貼着部材に取り付けることができる。また、接着剤を介して導体部材に取り付けた場合には、当該導体部材をアンテナにすることができる。
【0027】
(4)
第4の発明にかかるRFタグは、一局面から第3の発明のいずれかにかかるRFタグにおいて、インレット部は、粘着層と同一面側に非導電体層が形成されてもよい。
【0028】
この場合、インレット部は、粘着層と同一面側に非導電体層を有するので、RFタグが導体部材に貼着された場合においても、インレット部における電気的短絡を防止することができる。
【0029】
(5)
第5の発明にかかるRFタグは、第4の発明にかかるRFタグにおいて、インレット部は、非導電体層で包含されていてもよい。
【0030】
この場合、インレット部は、非導電体層で包含されているので、RFタグの表裏面に関わらず、RFタグを貼着することができる。また、RFタグを張り付けた商品を積層配置した場合においても、インレット部における電気的短絡を防止することができる。
【0031】
(6)
第6の発明にかかるRFタグは、一局面から第5の発明のいずれかにかかるRFタグにおいて、非導電体層は、発泡樹脂からなってもよい。
【0032】
この場合、非導電体層は、発泡樹脂からなるので、耐久性を高めることができるとともに、衝撃吸収を実現することができる。また、発泡樹脂は、発泡スチロールからなることが好ましい。発泡スチロールの場合、安価で容易に入手することができる。
【0033】
(7)
他の局面にかかるRFタグ装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のRFタグと、袋、箱、商品を包装するフィルム、樹脂シート、アルミニウム薄膜、商品に貼着されるシールのいずれかと、を含み、袋、箱、商品を包装するフィルム、樹脂シート、アルミニウム薄膜、商品に貼着されるシールのいずれかにRFタグが貼着されたものである。
【0034】
この場合、小型化されたRFタグを、箱、シール、樹脂シート、アルミニウム、包装フィルムのいずれかに貼着することで、管理を行うことができる。例えば、商品の製造工場、店舗、コンビニエンスストア等において、RFタグを商品に容易に貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本実施の形態にかかるRFタグを表面から視野した一例を示す模式的斜視図である。
【
図2】本実施の形態にかかるRFタグを裏面から視野した一例を示す模式的斜視図である。
【
図4】RFタグの断面の他の例を示す模式図である。
【
図5】RFタグの断面のさらに他の例を示す模式図である。
【
図6】RFタグの断面のさらに他の例を示す模式図である。
【
図7】RFタグの等価回路の一例を示す模式図である。
【
図9】RFタグの使用の他の例を示す模式図である。
【
図10】RFタグと袋とを含むRFタグ装置の等価回路の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0037】
[本実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかるRFタグ100を表面から見た一例を示す模式的斜視図であり、
図2は、RFタグ100を裏面から見た一例を示す模式的斜視図である。
【0038】
(RFタグ100)
図1および
図2に示すように、RFタグ100は、主にインレット部200およびアンテナ部300からなる。
また、アンテナ部300は、インレット部200の端部に形成される。
【0039】
(アンテナ部300)
図1および
図2に示すように、アンテナ部300は、導電性を有する部材からなる。本実施の形態においてアンテナ部300は、アルミニウムの金属薄膜からなる。一般的に本実施の形態における薄膜は3μm以上35μm以下の厚みから形成される。アンテナ部300は、エッチングまたはパターン印刷等の手法によって形成される。
【0040】
また、
図1に示すように、アンテナ部300の外周長さ値(アンテナ部300の周辺距離)は、辺301a、辺301b、辺301c、辺301d、辺301eの長さの合計である。外周長さ値は、UHF帯RFID周波数の周波数の波長λ(ラムダ)を用いた場合、λ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれか1つに該当するように設計されている。
【0041】
なお、値S1は、使用する周波数の波長λの半分の長さであることがより好ましい。
また、本実施の形態においてアンテナ部300は、辺301a、辺301b、辺301c、辺301d、辺301eからなる形状としているが、これに限定されず、矩形状、星形状、多角形、その他の任意の形状からなってもよい。
【0042】
(インレット部200)
図1および
図2に示すように、インレット部200は、ICチップ500およびインダクタパターンLを形成する回路210を含む。
回路210は、略環状形状の回路部の一部を切欠いた切り欠き部を有する形状からなる。すなわち、具体的には、アルファベット文字のC形状からなる。
回路210は、辺211a、辺211b、辺211c、および辺211dから形成される。
なお、回路210は、一部を切欠く場合について説明したが、これに限定されず、切り欠き部の代わりに、絶縁部を形成してもよい。
【0043】
本実施の形態において、回路210は、アルミニウムの金属薄膜からなる。一般的に本実施の形態における薄膜は3μm以上35μm以下の厚みから形成される。
回路210は、エッチングまたはパターン印刷等の手法によって形成される。
【0044】
また、インレット部200の回路210の切り欠き部を架け渡すように、ICチップ500が設けられる。
本実施の形態においては、インレット部200においては、回路部210の内部面積Sにより、インダクタパターンLのインピーダンスを一定にすることができる。
【0045】
ICチップ500は、RFタグ100のアンテナ部300が受信した読取装置の電波に基づいて動作する。
具体的に本実施の形態にかかるICチップ500は、まず、読取装置から送信される搬送波の一部を整流して、ICチップ500自身が動作するために必要な電源電圧を生成する。そして、ICチップ500は、生成した電源電圧によって、ICチップ500内の制御用の論理回路、商品の固有情報等が格納された不揮発性メモリを動作させる。
【0046】
また、ICチップ500は、読取装置との間でデータの送受信を行うための通信回路等を動作させる。
【0047】
(粘着層400)
図3は、
図2に示すRFタグ100のA-A断面の一例を示す模式図であり、
図4は、RFタグ100のA-A断面の他の例を示す模式図である。
また、
図5は、RFタグ100のA-A断面のさらに他の例を示す模式図であり、
図6は、RFタグ100のA-A断面のさらに他の例を示す模式図である。
【0048】
図2または
図3に示す本実施の形態における粘着層400は、両面テープからなる。粘着層400は、少なくともアンテナ部300の片面に設けられる。
なお、本実施の形態においては、粘着層400が両面テープからなることとしているが、これに限定されず、他の粘着層の形成または接着剤の塗布等であってもよい。また、両面テープは、インレット部200の回路210の全面でなく、一部であってもよい。
本実施の形態において、両面テープを例示したのは、後述するように、RFタグ100のアンテナ部300を商品またはシール等に貼着する場合、両面テープの剥離紙を、はがすことにより容易に貼着が可能だからである。
【0049】
なお、本実施の形態においては、アンテナ部300の片面に粘着層400を設けることとしているが、これに限定されず、
図4に示すように、アンテナ部300およびインレット部200の裏面側に、シート部材420を設けてもよい。なお、インレット部200のみに、シート部材420を設けても良い。
【0050】
また、
図5に示すように、アンテナ部300およびインレット部200の裏面側から、インレット部200の側面を通過して表側まで、シート部材420を設けても良い。
【0051】
具体的に、シート部材420は、主にポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル等の絶縁性のある素材または樹脂を1種または複数種を用いてもよく、さらに他の絶縁被膜処理を用いてもよい。
シート部材420は、数マイクロメートル以上数百マイクロメートル以下の厚みであることが好ましく、数十マイクロメートル程度の厚みであることがより好ましい。
【0052】
さらに
図6に示すように、アンテナ部300の裏面側には、粘着層400を設け、インレット部200の少なくとも裏面側には、発泡材料450を設けても良い。発泡材料450は、発泡スチロール、ポリエチレン、ポリイミド、薄物発泡体(ボラ―ラ)等でもよく、あるいは絶縁性を有する他の発泡体または素材等の絶縁層、任意の発泡材料からなってもよい。
【0053】
その結果、RFタグ100のインレット部200における電気的導通を保護し、回路210を保護することができる。
【0054】
(等価回路)
また、
図7は、RFタグ100の等価回路の一例を示す図である。
図7に示すように、RFタグ100の等価回路は、主にインダクタパターンLと、コンデンサCbと、ICチップ500とからなる。インダクタパターンL、コンデンサCbおよびICチップ500は、読取装置から送信される電波の周波数帯域で共振する共振回路を構成する。
この共振回路の共振周波数f[Hz]は、式(1)により与えられる。共振周波数fの値は、読取装置から送信される電波の周波数帯域に含まれるように設定される。
【0055】
【0056】
式(1)において、La:インダクタパターンLのインダクタンス、Cb:ICチップ500内部の等価容量を意味する。
【0057】
ここで、本実施の形態においてICチップ500には、内部にコンデンサを含むものがあり、また、ICチップ500は浮遊容量を有する。そのため、共振回路の共振周波数fを設定する場合、ICチップ500内部の等価容量Cbを調整し、共振回路を形成する。すなわち、共振回路は、インダクタパターンLのインダクタンス、およびICチップ500の内部の等価容量Cbを考慮して設定された共振周波数fを有することが好ましい。
【0058】
上記のように、ICチップ500内部の等価容量Cbを調整することで、共振回路の共振周波数fを、電波の周波数帯域に精度良く設定することができる。その結果、RFタグ100の読み取り性能をさらに向上させることができる。また、ICチップ500が生成する電源電圧をさらに高くすることができる。
【0059】
(RFタグ100の使用例)
図8は、RFタグ100の使用の一例を示す模式図であり、
図9はRFタグ100の使用の他の例を示す模式図である。
【0060】
図8に示すように、RFタグ100は、袋900の包装に形成されてもよい。
特に、袋900は、アルミ蒸着フィルムからなる場合について説明する。
図8に示すように、
図3に示したRFタグ100を袋900に貼着させる場合、インレット部200の裏面の回路の電気的導通を保護するために、袋900の端部からインレット部200が突出するように、貼着されることが望ましい。
【0061】
一方、
図9に示すように、
図4、
図5、
図6に示したRFタグ100を袋900に貼着させる場合、インレット部200の裏面の回路の電気的導通が、シート部材420または発泡部材450により保護されているため、袋900のどの位置に配置させてもよい。
【0062】
(等価回路)
図10は、
図9に示したRFタグ100と袋900とを含むRFタグ装置110の等価回路の一例を示す模式図である。
【0063】
図10に示すように、アンテナ部300および袋900のアルミ蒸着との間に、粘着層400またはシート部材420が介在されるので、コンデンサとして機能させることができる。
その結果、袋900の外層のアルミ蒸着フィルム部分をアンテナとして利用することができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、アルミ蒸着フィルムの袋900を例示したが、これに限定されず、袋、箱、商品に貼着されるシール等にRFタグ100を貼着することができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態にかかるRFタグ100においては、インレット部200と、アンテナ部300とが接合して形成され、ICチップ500内部の静電容量CbとインダクタパターンLにより共振回路が形成される。その結果、RFタグ100の小型化を実現することができる。
また、アンテナ部300の周辺距離は、波長λに対して、λ/4、λ/2、3λ/4、5λ/8のいずれか1つに該当するよう設計するため、その結果、通信感度を飛躍的に向上させるとともに、無指向性の電波を受信することができる。
【0066】
さらに、アンテナ部300に粘着層400が形成されているので、粘着層400を介してRFタグ100を容易に取り付けることができる。また、接着剤を介して導体部材に取り付けた場合には、当該導体部材をアンテナにすることができる。
【0067】
さらに、インレット部200は、粘着層400と同一面側にシート部材420または発泡材料450を有するので、導体部材に貼着された場合においても、インレット部200における電気的短絡を防止することができる。
【0068】
また、インレット部200をシート部材420または発泡材料450で包含することにより、RFタグ100の表裏面に関わらず、貼着することができる。また、RFタグ100を張り付けた商品を積層配置した場合においても、インレット部200における電気的短絡を防止することができる。
さらに、発泡樹脂は、発泡スチロールからなることが好ましい。発泡スチロールの場合、安価で容易に入手することができる。
【0069】
また、小型化されたRFタグ100を、袋900、箱、シール、樹脂シート、アルミニウム、包装フィルムのいずれかに貼着することで、管理を行うことができる。例えば、商品の製造工場、店舗、コンビニエンスストア等において、RFタグ100を商品に容易に貼着することができる。
【0070】
本発明においては、RFタグ100が、「RFタグ」に相当し、RFタグ装置110が「RFタグ装置」に相当し、ICチップ500が「ICチップ」に相当し、インダクタパターンLが「インダクタパターン」に相当し、インレット部200が、「インレット部」に相当し、アンテナ部300が「アンテナ部」に相当し、粘着層400が「粘着層」に相当し、シート部材420または発泡材料450が「非導電体層」に相当し、アンテナ部300の外周長さ値が「アンテナ部の周辺距離」に相当し、発泡材料450が「発泡樹脂」に相当し、袋900が「袋、箱、商品を包装するフィルム、樹脂シート、アルミニウム薄膜、商品に貼着されるシールのいずれか」に相当する。
【0071】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0072】
100 RFタグ
110 RFタグ装置
200 インレット部
300 アンテナ
400 粘着層
420 シール部材
450 発泡材料
500 ICチップ
900 袋