(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】マイクロボロメータ読み出し回路
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20220901BHJP
G01J 1/44 20060101ALI20220901BHJP
G01J 1/42 20060101ALI20220901BHJP
H04N 5/33 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G01J5/48 E
G01J1/44 D
G01J1/42 B
G01J1/44 P
H04N5/33
(21)【出願番号】P 2020133748
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910739319.9
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518286862
【氏名又は名称】▲電▼子科技大学
【氏名又は名称原語表記】University of Electronic Science and Technology of China
【住所又は居所原語表記】No.2006,Xiyuan Ave,West Hi-Tech Zone,611731,Chengdu,Sichuan,China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】闕 隆成
(72)【発明者】
【氏名】閔 道剛
(72)【発明者】
【氏名】楊 凱
(72)【発明者】
【氏名】張 逸
(72)【発明者】
【氏名】呂 堅
(72)【発明者】
【氏名】周 雲
(72)【発明者】
【氏名】蒋 亜東
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0192472(US,A1)
【文献】特許第3005527(JP,B1)
【文献】特表2011-529572(JP,A)
【文献】特開2010-071987(JP,A)
【文献】特開2019-095443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00-5/90
G01J 1/00-1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物の赤外線信号を検出し、検出放射線信号を取得するために用いられる第一マイクロボロメータユニットと、
自身の抵抗に従って基準信号を取得するために用いられる第二マイクロボロメータユニットと、
それぞれ前記第一マイクロボロメータユニット及び前記第二マイクロボロメータユニットに接続され、前記検出放射線信号に基づいて検出信号、前記基準信号に基づいて参照信号を生成するために用いられる変換ユニットと、
前記変換ユニットに接続され、前記検出信号と前記参照信号との差をとって差信号を取得するために用いられる減算ユニットと、
前記減算ユニットに接続され、前記差信号に対して積分演算を実行して前記検出対象物の赤外線信号を特徴付ける電気信号を取得する積分ユニットと、を含
み、
前記変換ユニットは、
前記第一マイクロボロメータユニットに接続され、前記検出放射線信号に対してバイアス変換を実行し、第一検出信号を取得するために用いられる第一検出回路と、
前記第二マイクロボロメータユニットに接続され、前記基準信号に対してバイアス変換を実行し、第一参照信号を取得するために用いられる第二検出回路と、
前記第一検出回路に接続され、前記第一検出信号と第一内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二検出信号を取得するために用いられる第一対数減算回路と、
前記第二検出回路に接続され、前記第一参照信号と第二内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二参照信号を取得するために用いられる第二対数減算回路と、
前記第一対数減算回路に接続され、前記第二検出信号に反比例演算を実行して前記検出信号である第三検出信号を取得するために用いられる第一反比例回路と、
前記第二対数減算回路に接続され、前記第二参照信号に反比例演算を実行して前記参照信号である第三参照信号を取得するために用いられる第二反比例回路とを含む
ことを特徴とする
マイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項2】
前記変換ユニットはまた、
前記第一対数減算回路と前記第一検出回路との間に設置された第一バッファ回路と、
前記第二対数減算回路と前記第二検出回路との間に設置された第二バッファ回路とを含む
請求項1に記載の
マイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項3】
前記マイクロボロメータ読み出し回路はまた、
前記第一検出回路と前記第一マイクロボロメータユニットとの間に設置された第一定電流源と、
前記第二検出回路と前記第二マイクロボロメータユニットとの間に設置された第二定電流源とを含む
請求項1に記載のマイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項4】
前記第一マイクロボロメータユニット及び前記第二マイクロボロメータユニットはどちらも指数モデルの抵抗である
請求項1に記載の
マイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項5】
前記第一マイクロボロメータユニットの基板はシリコン断熱基板を採用する
請求項1に記載の
マイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項6】
前記マイクロボロメータ読み出し回路はまた、
前記第二マイクロボロメータユニットが赤外線の影響を受けないように、前記第二マイクロボロメータユニットを完全に覆うために用いられる遮光部材を含む
請求項1に記載のマイクロボロメータ読み出し回路。
【請求項7】
前記差信号に積分演算を実行して前記電気信号を取得することは以下による:
【数1】
(ここで、V
refは積分ユニットの基準レベル、C
intは積分ユニットの積分容量、R
intは積分ユニットの積分抵抗、t
intは積分ユニットの積分時間、R
f、R
1は減算ユニットの各抵抗値、R
Xは反比例回路の抵抗値、V
ref2は反比例回路の基準レベル、E
aは活性化エネルギー、K
Bはボルツマン定数、I
sはバイポーラ接合トランジスタの飽和電流、△T
sceneは赤外線放射による温度上昇、Kは積分係数である)
請求項1に記載の
マイクロボロメータ読み出し回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線焦点面の技術分野、特に指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路に関する。
【背景技術】
【0002】
非冷却赤外線焦点面アレイ検出器は、軍事、産業、医学、科学研究等の分野で広く使用されており、そのうち最も代表的なのはマイクロボロメータである。マイクロボロメータは光熱電赤外線検出器であり、赤外線を受ける検出器アレイがマイクロボロメータの温度変化を引き起こし、よってその等価抵抗も変化する。赤外線マイクロボロメータ読み出し回路は、マイクロボロメータの等価抵抗の変化値を読み取り、対応するターゲット赤外線放射情報を取得する専用回路である。
温度によってオブジェクトは異なる波長の赤外線を放射するので、検出器の焦点面アレイ上のピクセルに異なる抵抗値を示すこととなる。
【0003】
熱に敏感な赤外線検出器として、特別な補償方法が使用されていない場合、マイクロボロメータの検出結果は基板温度に関連している。実際のアプリケーションでは、赤外線検出の結果は検出対象の温度のみに関連し、他の要因とは何の関係もないことが望まれる。
【0004】
ピクセルが赤外線を受け取った後、温度が上昇し、基板温度の変化により、焦点面アレイが非常に不均一になり、読み出し結果に影響する。継続的な研究により、非冷却赤外線焦点面アレイ検出器の不均一性を解決するための重要な技術は、一方ではプロセスの改善にあり、他方では不均一性補正機能を備える読み出し回路を設計して、回路で不均一性補償を実現し、高品質の画像を出力することにあることがわかった。
【0005】
回路で不均一性補償を実現する従来の構造の場合、目標温度による温度上昇は比較的小さな変数であることが多いため、指数モデルのマイクロボロメータの等価抵抗の1次テイラー展開を実行し、線形に変化する抵抗を近似するために1次少量フィッティングを保持し、その後、後続の基板温度補償を実行して不均一性を解消する。ただし、温度とともに線形に変化する抵抗モデルは、マイクロボロメータの等価抵抗の温度による変化の関係が、特定の温度範囲内でのみ満たすことができる。特定の温度範囲を超えると、大きな誤差が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板温度の影響を回避し、低回路ノイズ、強力な適応性を有する指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
検出対象物の赤外線信号を検出し、検出放射線信号を取得するために用いられる第一マイクロボロメータユニットと、
自身の抵抗に従って基準信号を取得するために用いられる第二マイクロボロメータユニットと、
それぞれ前記第一マイクロボロメータユニット及び前記第二マイクロボロメータユニットに接続され、前記検出放射線信号に基づいて検出信号を、前記基準信号に基づいて参照信号を生成するために用いられる変換ユニットと、
前記変換ユニットに接続され、前記検出信号と前記参照信号との差をとって差信号を取得するために用いられる減算ユニットと、
前記減算ユニットに接続され、前記差信号に対して積分演算を実行して前記検出対象物の赤外線信号を特徴付ける電気信号を取得する積分ユニットと
を含む指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路を提供する。
【0008】
好ましくは、前記変換ユニットは、
前記第一マイクロボロメータユニットに接続され、前記検出放射線信号に対してバイアス変換を実行し、第一検出信号を取得するために用いられる第一検出回路と、
前記第二マイクロボロメータユニットに接続され、前記基準信号に対してバイアス変換を実行し、第一参照信号を取得するために用いられる第二検出回路と、
前記第一検出回路に接続され、前記第一検出信号と第一内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二検出信号を取得するために用いられる第一対数減算回路と、
前記第二検出回路に接続され、前記第一参照信号と第二内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二参照信号を取得するために用いられる第二対数減算回路と、
前記第一対数減算回路に接続され、前記第二検出信号に対して反比例演算を実行して前記検出信号である第三検出信号を取得するために用いられる第一反比例回路と
前記第二対数減算回路に接続され、前記第二参照信号に対して反比例演算を実行して前記参照信号である第三参照信号を取得するために用いられる第二反比例回路と
を含む。
【0009】
好ましくは、前記変換ユニットはまた、
前記第一対数減算回路と前記第一検出回路との間に設置された第一バッファ回路と、
前記第二対数減算回路と前記第二検出回路との間に設置された第二バッファ回路と
を含む。
【0010】
好ましくは、前記指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路はまた、
前記第一検出回路と前記第一マイクロボロメータユニットとの間に設置された第一定電流源と、
前記第二検出回路と前記第二マイクロボロメータユニットとの間に設置された第二定電流源と
を含む。
【0011】
好ましくは、前記第一マイクロボロメータユニット及び前記第二マイクロボロメータユニットはどちらも指数モデルの抵抗である。
【0012】
好ましくは、前記第一マイクロボロメータユニットの基板はシリコン断熱基板を採用する。
【0013】
好ましくは、前記指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路はまた、
前記第二マイクロボロメータユニットが赤外線の影響を受けないように、前記第二マイクロボロメータユニットを完全に覆うために用いられる遮光部材を含む。
【0014】
好ましくは、前記差信号に積分演算を実行して前記電気信号を取得することは具体的には以下である。
【0015】
【0016】
ここで、Vrefは積分ユニットの基準レベル、Cintは積分ユニットの積分容量、Rintは積分ユニットの積分抵抗、tintは積分ユニットの積分時間、Rf、R1は減算ユニットの各抵抗値、RXは反比例回路の抵抗値、Vref2は反比例回路の基準レベル、Eaは活性化エネルギー、KBはボルツマン定数、Isはバイポーラ接合トランジスタの飽和電流、△Tsceneは赤外線放射による温度上昇、Kは積分係数である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって提供される特定の実施例によれば、本発明は、以下の技術的効果を開示する。
本発明は、前記第一マイクロボロメータユニット、第二マイクロボロメータユニット、変換ユニット、減算ユニット及び積分ユニットによって検出対象物の検出しようとする赤外線信号と基準信号にバイアス、変換、計算を実行し、基板温度の影響を排除し、回路全体のノイズを低減することで、検出対象物の赤外線のより正確な電気信号を出力する。
【0018】
本発明の実施例または従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は、実施例に必要な図面を簡単に紹介するものであり、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路の構造図。
【
図2】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路における第一検出回路及び第二検出回路の構造図。
【
図3】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路における第一対数減算回路及び第二対数減算回路の構造図。
【
図4】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路における第一反比例回路及び第二反比例回路の構造図。
【
図5】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路における減算ユニットの構造図。
【
図6】本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路における積分ユニットの構造図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は、本発明の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではないことが明らかである。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0021】
本発明は、基板温度の影響がなく、低回路ノイズ、正確な基準信号および強力な適応性を有する指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路を提供することを目的とする。
【0022】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより顕著で分かりやすくするために、以下に図面及び発明を実施するための形態を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路は、第一マイクロボロメータユニット2、第二マイクロボロメータユニット3、変換ユニット1、減算ユニット4及び積分ユニット5を含む。
【0024】
そのうち、前記第一マイクロボロメータユニット2は、検出対象物の赤外線信号を検出し、検出放射線信号を取得するために用いられる。本実施例において、前記第一マイクロボロメータユニット2は指数モデルの抵抗である。
【0025】
前記第二マイクロボロメータユニット3は、自身の抵抗に従って基準信号を取得するために用いられる。本実施例において、前記第二マイクロボロメータユニット3は指数モデルの抵抗である。
【0026】
前記変換ユニット1はそれぞれ、前記第一マイクロボロメータユニット2及び前記第二マイクロボロメータユニット3に接続され、前記変換ユニット1は、前記検出放射線信号に基づいて検出信号を、前記基準信号に基づいて参照信号を生成するために用いられる。
【0027】
前記減算ユニット4は、前記変換ユニット1に接続され、前記減算ユニット4は、前記検出信号と前記参照信号との差をとって差信号を取得するために用いられる。
【0028】
前記積分ユニット5は、前記減算ユニット4に接続され、前記積分ユニットは、前記差信号に対して積分演算を実行して前記検出対象物の赤外線信号を特徴付ける電気信号を取得するために用いられる。
【0029】
具体的には、前記検出対象物の赤外光が前記第一マイクロボロメータユニット2に照射され、よって前記第一マイクロボロメータユニット2の抵抗値が変化することとなる。
前記第二マイクロボロメータユニット3は赤外線を受けないので、前記第二マイクロボロメータユニット3の抵抗値は変化しなくてそのままである。
【0030】
前記第一マイクロボロメータ2の抵抗値変化が自身の温度変化の影響を受けないようにするため、前記第一マイクロボロメータ2の基板はシリコン断熱基板を採用している。
【0031】
前記第二マイクロボロメータユニット3が他の赤外光の影響を受けることを防止するために、指数モデルに基づく前記非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路には、遮光装置も設置され、前記遮光装置は、前記第二マイクロボロメータユニット3の抵抗値が赤外線の影響を受けないように、前記第二マイクロボロメータユニット3を完全に遮光するために使用される。好ましくは、前記第二マイクロボロメータユニット3の基板はシリコン断熱基板を採用している。
【0032】
好ましくは、本発明による指数モデルに基づく非冷却赤外線焦点面アレイ読み出し回路はまた、
前記変換ユニット1と前記第一マイクロボロメータユニット2との間に設置された第一定電流源と、
前記変換ユニット1と前記第二マイクロボロメータユニット3との間に設置された第二定電流源とを含む。
【0033】
具体的には、前記変換ユニット2は、第一検出回路11、第二検出回路12、第一対数減算回路13、第二対数減算回路14、第一反比例回路15及び第二反比例回路16を含む。
【0034】
前記第一検出回路11は、前記第一定電流源を介して前記第一マイクロボロメータユニット2に接続され、前記第一検出回路11は、前記第一定電流源を介して前記第一マイクロボロメータユニット2にバイアスをかけ、且つ前記第一マイクロボロメータユニット2で生成された指数電圧信号を取得して、第一検出信号を取得する。
【0035】
前記第二検出回路12は、前記第二定電流源を介して前記第二マイクロボロメータユニット3に接続され、前記第二検出回路12は、前記第二定電流源を介して前記第二マイクロボロメータユニット3にバイアスをかけ、且つ前記第二マイクロボロメータユニット3で生成された指数電圧信号を取得して、第一参照信号を取得する。
【0036】
具体的には、前記第一検出回路11及び前記第二検出回路12は、いずれも
図2に示す回路である。
【0037】
前記第一対数減算回路13は、前記第一検出回路11に接続され、前記第一対数減算回路13は、前記第一検出信号と第一内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二検出信号を取得するために用いられる。具体的には、前記第一対数減算回路13は、前記第一検出信号と前記第一内蔵基準電圧信号に対して対数演算を実行し、次に減算演算を実行して第二検出信号を取得する。
【0038】
前記第二対数減算回路14は、前記第二検出回路12に接続され、前記第二対数減算回路14は、前記第二検出信号と第二内蔵基準電圧信号を対数的に減算して、第二参照信号を取得するために用いられる。具体的には、前記第二対数減算回路14は、前記第二検出信号と前記第二内蔵基準電圧信号に対して対数演算を実行し、次に減算演算を実行して第二参照信号を取得する。
【0039】
後続の回路が前記第一検出信号および前記第一参照信号に影響を与えることを防止するために、前記変換ユニットは、第一バッファ回路および第二バッファ回路をさらに含む。
【0040】
前記第一バッファ回路は、前記第一検出回路11と前記第一対数減算回路13との間に設置されている。前記第二バッファ回路は、前記第二検出回路12と前記第二対数減算回路14との間に設置されている。
【0041】
前記第一反比例回路15は、前記第一対数減算回路13に接続され、前記第一反比例回路15は、前記第二検出信号に対して反比例演算を実行して、温度とともに直線的に変化する第三検出信号を取得するために用いられ、前記第三検出信号は前記検出信号である。
【0042】
前記第二反比例回路16は、前記第二対数減算回路14に接続され、前記第二反比例回路16は、前記第二参照信号に対して反比例演算を実行して、温度とともに直線的に変化する第三参照信号を取得するために用いられ、前記第三参照信号は前記参照信号である。
【0043】
好ましくは、前記減算ユニットは、前記第三検出信号と前記第三参照信号との差をとって、基板温度の影響を排除し、基板温度によって変化することもない差分信号を得る。
【0044】
具体的には、前記積分回路が前記差信号に対して積分演算を実行して前記電気信号を取得する具体的な式は
【0045】
【0046】
ここで、Vrefは積分ユニットの基準レベル、Cintは積分ユニットの積分容量、Rintは積分ユニットの積分抵抗、tintは積分ユニットの積分時間、Rf、R1は減算ユニットの各抵抗値、RXは反比例回路の抵抗値、Vref2は反比例回路の基準レベル、Eaは活性化エネルギー、KBはボルツマン定数、Isはバイポーラ接合トランジスタの飽和電流、△Tsceneは赤外線放射による温度上昇、Kは積分係数である。
【0047】
前記特徴付け電気信号Voutと前記基板の温度Tsubを微分して
【0048】
【0049】
を得る。このことから、本発明の読み出し回路により得られる特徴付け電気信号は、前記第一マイクロボロメータユニット2の自身の基板温度の影響を受けないことがわかる。
【0050】
具体的には、前記第一対数減算回路13及び前記第二対数減算回路14はいずれも
図3に示す回路であり、前記第一対数減算回路13の入力端in1は、前記第一検出回路11の出力端に接続され、前記第一対数減算回路13の入力端in2は、前記第一内蔵基準電圧信号に接続される。前記第二対数減算回路14の入力端in1は、前記第二検出回路12の出力端に接続され、前記第二対数減算回路14の入力端in2は前記第二内蔵基準電圧信号に接続される。
【0051】
前記第一反比例回路15及び前記第二反比例回路16は、いずれも
図4に示す回路であり、前記第一反比例回路15の入力端in1は、第三内蔵基準電圧信号に接続され、前記第一反比例回路15の入力端in2は、前記第一対数減算回路13の出力端に接続される。前記第二反比例回路16の入力端in1は、第四内蔵基準電圧信号に接続され、前記第二反比例回路16の入力端in2は、前記第二対数減算回路14の出力端に接続される。
【0052】
具体的には、前記第一内蔵基準電圧信号は前記第二内蔵基準電圧信号と同じである。前記第三内蔵基準電圧信号は前記第四内蔵基準電圧信号と同じである。
【0053】
図5に示すように、前記減算ユニット4の入力端in1は、前記第一反比例回路15の出力端に接続される。前記減算ユニット4の入力端in2は、前記第二反比例回路16の出力端に接続される。
【0054】
図6に示すように、前記積分ユニット5の入力端in1は、前記減算ユニット4の出力端に接続される。前記積分ユニット5の入力端in2は、前記積分ユニット5の内蔵基準レベルに接続される。
【0055】
本発明では、前記第一マイクロボロメータユニット2および前記第二マイクロボロメータユニット3の基板はすべてシリコン断熱基板であり、前記変換ユニット1によって温度が線形的に変化する検出信号と参照信号を取得し、前記減算ユニット4により温度によって変化しない差分信号を取得し、最終的に前記電気信号が前記基板とバイアスの影響を受けないことを実現し、且つ本発明の前記第一マイクロボロメータユニット2及び前記第二マイクロボロメータユニット3はどちらも指数モデルの抵抗であり、過酷な環境に適応でき、実用性が高い。
【0056】
本明細書における各実施例は段階的に説明されており、各実施例は、他の実施例との相違点に焦点を当てており、各実施形態間の同一および類似の部分は、相互に参照することができる。
【0057】
本明細書では、特定の例を使用して、本発明の原理と実施形態を説明し、上記実施例の説明は、本発明の方法とそのコアアイデアを理解するためにのみ使用される。同時に、当業者にとって、本発明のアイデアによれば、特定の実施形態および適用範囲に変更が生じる。要約すると、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0058】
1-変換回路、2-第一マイクロボロメータユニット、3-第二マイクロボロメータユニット、4-減算ユニット、5-積分ユニット、11-第一検出回路、12-第二検出回路、13-第一対数減算回路、14-第二対数減算回路、15-第一反比例回路、16-第一反比例回路。