(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】プリカーサと反応ガスを共に噴射するラジカルユニット及びそれを含むALD装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/452 20060101AFI20220901BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220901BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
C23C16/452
C23C16/455
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2020213473
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0008879
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520507874
【氏名又は名称】イーキューテックプラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ウォン
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/170482(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011056589(DE,A1)
【文献】特開2004-111506(JP,A)
【文献】特開2015-056633(JP,A)
【文献】特開2010-219561(JP,A)
【文献】特開平08-291385(JP,A)
【文献】特開2009-016624(JP,A)
【文献】特表2012-519956(JP,A)
【文献】特開2015-225856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜形成装置において、
チャンバと、
前記チャンバの上部に形成され、ラジカル反応のための少なくとも2つの反応ガスとプリカーサの供給を受けるための複数のガス流入部と、
前記ガス流入部から供給された反応ガスを反応させてラジカルを生成し、前記ラジカルとプリカーサを下部へ噴射することで基板に薄膜を蒸着させるように構成されたラジカルユニットと、を含み、
前記ラジカルユニットは、複数のプレートにより構成され、
プリカーサ噴射経路は、プリカーサが、前記複数のプレートのうち最上部プレートで前記ガス流入部のプリカーサ噴射経路よりも多い複数の経路に前記最上部プレートの中心を基点として放射状水平に分配された後、前記反応ガスが分配される少なくとも1つのプレートを貫通して前記ラジカルユニットから垂直に噴射されるように構成され、
前記最上部プレートより下部の少なくとも1つのプレートには、前記ガス流入部と結合する反応ガス噴射経路が、前記プリカーサ噴射経路と重ならないように構成され、
前記反応ガス噴射経路は、一側で前記ガス流入部と連結される水平な予め設定された経路を備え、他側の排出孔を通じて各前記プレートの下部に前記反応ガスを排出するように形成される薄膜形成装置。
【請求項2】
前記最上部プレートにおいて、放射状に形成された前記プリカー
サ噴射経路は、予め設定された長さを有する複数の直線配管が中心をそれぞれ共有して交差する形状に構成され、それぞれの前記直線配管上において噴射孔が所定の間隔に離隔して形成され、それぞれの前記噴射孔が残りのプレートを垂直に貫通することで前記プリカーサの噴射が行われる、請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項3】
前記反応ガス噴射経路は、前記プリカーサが分配される層よりも下に位置した前記プレートで前記反応ガスが分配される、請求項2に記載の薄膜形成装置。
【請求項4】
前記反応ガスが前記反応ガス噴射経路により分配される前記プレートは、多重のシャワーヘッド構造に形成される、請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
前記多重のシャワーヘッド構造は、2つ以上の前記プレートにより構成され、前記プレートに形成される噴射孔が互いにずれた位置に配置される、請求項4に記載の薄膜形成装置。
【請求項6】
前記反応ガ
ス噴射経路を構成する複数のプレートのうち中間に位置した所定のプレートは、複数の前記ガス流入部から流入された互いに異なる反応ガスを混合できる空間を構成する、請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項7】
前記ラジカルユニットは、第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、第4のプレート、第5のプレート、第6のプレート、第7のプレートが順次に積層された形態で備えられ、
前記ラジカルユニットは、最上部層に対応する前記第1のプレート乃至最下部層に対応する前記第7のプレートが互いに積層される形態に結合される、請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項8】
前記プリカーサが注入される第1のガス流入部は、前記第1のプレートの上面部中央に形成され、前記第1のプレートを垂直に貫通するように形成される、請求項7に記載の薄膜形成装置。
【請求項9】
前記第1のプレートの内部には、前記第1のガス流入部と連結され、注入された前記プリカーサを分配するための予め設定された放射状構造を有する第1のプリカーサ噴射経路が水平に備えられ、
前記第1のプリカーサ噴射経路には、前記プリカーサを排出するための複数の排出孔が予め設定された間隔で形成される、請求項8に記載の薄膜形成装置。
【請求項10】
前記第1のプリカーサ噴射経路に備えられた複数の排出孔と垂直に連結される第2のプリカーサ噴射経路が備えられ、
前記第2のプリカーサ噴射経路は、前記第2のプレート乃至第6のプレートを垂直に貫通し、前記第7のプレートに備えられた前記プリカーサを排出するための排出孔と結合される構造を有する、請求項
9に記載の薄膜形成装置。
【請求項11】
前記反応ガスが注入される第2のガス流入部は、前記第1のプレートの上面部の予め設定された位置に複数形成され、前記第1のプレート乃至第2のプレートを垂直に貫通し、反応ガスを分配する前記第3のプレートと連結される構造を有する、請求項7に記載の薄膜形成装置。
【請求項12】
前記第3のプレートの内部には、前記第2のガス流入部と連結され、注入された反応ガスを流動させるために予め設定された経路を有する第1の反応ガス噴射経路が水平に備えられ、
前記第1の反応ガス噴射経路の一側上面部は前記第2のガス流入部と連結され、他側背面部の予め設定された位置には前記反応ガスを排出するための排出孔が形成される、請求項11に記載の薄膜形成装置。
【請求項13】
前記第4のプレートの内部には、前記第1の反応ガス噴射経路と連結され、注入された反応ガスをさらに流動させるための第2の反応ガス噴射経路が水平に備えられ、
前記第2の反応ガス噴射経路は前記第1の反応ガス噴射経路とは異なる形態の経路を有し、前記第2の反応ガス噴射経路の一端上面部は前記第1の反応ガス噴射経路の排出孔と連結され、背面部には前記反応ガスを排出するための複数の排出孔が予め設定された間隔で形成される、請求項
12に記載の薄膜形成装置。
【請求項14】
互いに異なる種類の反応ガスが注入される前記第2のガス流入部が予め設定された個数以上に備えられると、特定の第1の反応ガス噴射経路に前記第2のガス流入部が複数連結され、互いに異なる種類の反応ガスが注入される、請求項12に記載の薄膜形成装置。
【請求項15】
前記ラジカルユニットは、
前記第4、第5、第7のプレートが結合する際に所定の空間を有する構造として備えられ、空間の内部には前記第6のプレートが配置される構造を有し、
前記第6のプレートは、前記プリカーサを噴射するための流路によって支持される、請求項7に記載の薄膜形成装置。
【請求項16】
前記第5
のプレートの背面部に結合される前記第7のプレートは、前記プリカーサ及び反応ガスを排出するための複数の排出孔が形成され、
前記複数の排出孔は、予め設定された位置で同心円をなすように形成され、前記プリカーサを排出する孔と前記反応ガスを排出する孔とが互いにずれるように備えられる、請求項15に記載の薄膜形成装置。
【請求項17】
前記第6のプレートは、複数備えられる前記プリカーサ及び反応ガスを排出するための孔が予め設定された位置で同心円をなして形成され、前記反応ガスを排出する孔は、前記第7のプレートに備えられる前記反応ガスを排出する孔とは互いに異なる位置に備えられる、請求項16に記載の薄膜形成装置。
【請求項18】
チャンバの上部に形成されてラジカル反応のための少なくとも2つの反応ガスとプリカーサの供給を受けるための複数のガス流入部、から供給された反応ガスを反応させてラジカルを生成し、前記ラジカルとプリカーサを下部へ噴射することで基板に薄膜を蒸着させるように構成された薄膜形成のためのラジカルユニットであって、
前記ラジカルユニットは、複数のプレートにより構成され、
プリカーサ噴射経路は、プリカーサが、前記複数のプレートのうち最上部プレートで前記ガス流入部のプリカーサ噴射経路よりも多い複数の経路に前記最上部プレートの中心を基点として放射状水平に分配された後、前記反応ガスが分配される少なくとも1つのプレートを貫通して前記ラジカルユニットから垂直に噴射されるように構成され、
前記最上部プレートより下部の少なくとも1つのプレートには、前記ガス流入部と結合する反応ガス噴射経路が、前記プリカーサ噴射経路と重ならないように構成され、
前記反応ガス噴射経路は、一側で前記ガス流入部と連結される水平な予め設定された経路を備え、他側の排出孔を通じて各前記プレートの下部に前記反応ガスを排出するように形成される、薄膜形成のためのラジカルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着(CVD、ALD)技術に関し、さらに詳しくは、プリカーサと反応ガスを装置チャンバ内の上部から共に噴射することによって効果的に蒸着を行わせるラジカルユニット(radical unit)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層蒸着(ALD)とは、半導体製造工程中に化学的に付着する単原子層の現象を利用したナノ薄膜蒸着技術を意味する。ウェハの表面において分子の吸着と置換を交互に進行することによって原子層厚さの超微細層間の蒸着が可能となり、酸化物と金属薄膜をできるだけ薄く積層できるようになる。
【0003】
また、半導体製造工程などに使用される他の工法として、化学気相蒸着(CVD)が挙げられる。化学気相蒸着は、ガス気体成分をチャンバ内に注入し、熱、プラズマ、光などのエネルギーを与える化学反応を励起したり、促進することで薄膜や粒子を合成し、基板の表面に吸着及び堆積させる蒸着方法を意味する。
【0004】
特に、高品質な原子層蒸着又は化学気相蒸着を行うためには、プリカーサ及び反応ガスの混合及び均一な噴射が必須である。しかし、従来の原子層蒸着装置は、基板の蒸着が行われるチャンバの内部においてプリカーサと反応ガスの噴射方向が互いに異なり、基板のパターンの深くまでガスが到逹しないので、均一な蒸着が行われず、高品質な薄膜の形成が難しいという限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、プリカーサと反応ガスを共に噴射するラジカルユニットにより、反応ガスがチャンバ内に噴射される前に適切な混合と反応過程が行われ、チャンバ内に位置した基板に一定に気体が噴射されるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような技術的課題を達成するための本発明の一実施例に係る、薄膜形成装置において、チャンバと、チャンバの上部に形成され、ラジカル反応のための少なくとも2つの反応ガスとプリカーサの供給を受けるための複数のガス流入部と、ガス流入部から供給された反応ガスを反応させてラジカルを生成し、ラジカルとプリカーサを下部へ噴射することで基板に薄膜を蒸着させるように構成されたラジカルユニットと、を含み、ラジカルユニットは、複数のプレートにより構成され、プリカーサ噴射経路は、複数のプレートのうち最上部プレートでガス流入部のプリカーサ噴射経路よりも多い複数の経路にプリカーサが分配された後、ラジカルユニットから噴射されるように構成され、反応ガス噴射経路は、プリカーサ噴射経路と重ならないように構成されても良い。
【0007】
また、プリカーサ噴射経路は、最上部プレートでプリカーサが水平に分配された後、残りの少なくとも1つのプレートを垂直に貫通して噴射される形態に構成されても良い。
【0008】
また、最上部プレートにおいて、プリカーサの噴射経路は、プリカーサが流入される最上部プレートの中心を基点として放射状構造に形成されても良い。
【0009】
また、最上部プレートにおいて、放射状に形成されたプリカーサの噴射経路は、予め設定された長さを有する複数の直線配管が中心をそれぞれ共有して交差する形状に構成され、それぞれの直線配管上において噴射孔が所定の間隔に離隔して形成され、それぞれの噴射孔が残りのプレートを垂直に貫通することでプリカーサの噴射が行われても良い。
【0010】
また、反応ガス噴射経路は、プリカーサが分配される層よりも下に位置したプレートで反応ガスが分配されても良い。
【0011】
また、反応ガスが反応ガス噴射経路により分配されるプレートは、多重のシャワーヘッド構造に形成されても良い。
【0012】
また、多重のシャワーヘッド構造は、2つ以上のプレートにより構成され、プレートに形成される噴射孔が互いにずれた位置に配置されても良い。
【0013】
また、反応ガスの噴射経路を構成する複数のプレートのうち中間に位置した所定のプレートは、複数のガス流入部から流入された互いに異なる反応ガスを混合できる空間を構成しても良い。
【0014】
また、ラジカルユニットは、第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、第4のプレート、第5のプレート、第6のプレート、第7のプレートが順次に積層された形態で備えられ、ラジカルユニットは、最上部層に対応する第1のプレート乃至最下部層に対応する第7のプレートが互いに積層される形態に結合されても良い。
【0015】
また、プリカーサが注入される第1のガス流入部は、第1のプレートの上面部中央に形成され、第1のプレートを垂直に貫通するように形成されても良い。
【0016】
また、第1のプレートの内部には、第1のガス流入部と連結され、注入されたプリカーサを分配するための予め設定された放射状構造を有する第1のプリカーサ噴射経路が水平に備えられ、第1のプリカーサ噴射経路には、プリカーサを排出するための複数の排出孔が予め設定された間隔で形成されても良い。
【0017】
また、第1のプリカーサ噴射経路に備えられた複数の排出孔と垂直に連結される第2のプリカーサ噴射経路が備えられ、第2のプリカーサ噴射経路は、第2のプレート乃至第6のプレートを垂直に貫通し、第7のプレートに備えられたプリカーサを排出するための排出孔と結合される構造を有していても良い。
【0018】
また、反応ガスが注入される第2のガス流入部は、第1のプレートの上面部の予め設定された位置に複数形成され、第1のプレート乃至第2のプレートを垂直に貫通し、反応ガスを分配する第3のプレートと連結される構造を有していても良い。
【0019】
また、第3のプレートの内部には、第2のガス流入部と連結され、注入された反応ガスを流動させるために予め設定された経路を有する第1の反応ガス噴射経路が水平に備えられ、第1の反応ガス噴射経路の一側上面部は第2のガス流入部と連結され、他側背面部の予め設定された位置には反応ガスを排出するための排出孔が形成されても良い。
【0020】
また、第4のプレートの内部には、第1の反応ガス噴射経路と連結され、注入された反応ガスをさらに流動させるための第2の反応ガス噴射経路が水平に備えられ、第2の反応ガス噴射経路は第1の反応ガス噴射経路とは異なる形態の経路を有し、第2の反応ガス噴射経路の一端上面部は第1の反応ガス噴射経路の排出孔と連結され、背面部には反応ガスを排出するための複数の排出孔が予め設定された間隔で形成されても良い。
【0021】
また、互いに異なる種類の反応ガスが注入される第2のガス流入部が予め設定された個数以上に備えられると、特定の第1の反応ガス噴射経路に第2のガス流入部が複数連結され、互いに異なる種類の反応ガスが注入されても良い。
【0022】
また、ラジカルユニットは、第4、第5、第7のプレートが結合する際に所定の空間を有するチャンバの構造として備えられ、空間の内部には第6のプレートが配置される構造を有し、第6のプレートは、プリカーサを噴射するための流路によって支持されても良い。
【0023】
また、第5プレートの背面部に結合される第7のプレートには、プリカーサ及び反応ガスを排出するための複数の排出孔が形成され、複数の排出孔は、予め設定された位置で同心円をなすように形成され、プリカーサを排出する孔と反応ガスを排出する孔とが互いにずれるように備えられても良い。
【0024】
また、第6のプレートは、複数備えられるプリカーサ及び反応ガスを排出するための孔が予め設定された位置で同心円をなして形成され、反応ガスを排出する孔は、第7のプレートに備えられる反応ガスを排出する孔とは互いに異なる位置に備えられても良い。
【0025】
また、薄膜形成のためのラジカルユニットにおいて、チャンバの上部に形成され、ラジカル反応のための少なくとも2つの反応ガスとプリカーサの供給を受けるための複数のガス流入部と、ガス流入部から供給された反応ガスを反応させてラジカルを生成し、ラジカルとプリカーサを下部へ噴射することで基板に薄膜を蒸着させるように構成されたラジカルユニットと、を含み、ラジカルユニットは、複数のプレートとして備えられ、プリカーサ噴射経路は、複数のプレートのうち最上部プレートでガス流入部のプリカーサ噴射経路よりも多い複数の経路にプリカーサが分配された後、ラジカルユニットから噴射されるように構成され、反応ガス噴射経路は、プリカーサ噴射経路と重ならないように構成されても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例に係る、多層構造からなるラジカルユニットによれば、2種以上の反応ガスがチャンバ内に噴射される前に適切な混合と反応過程が行われ、チャンバ内に備えられる基板に一定に気体を撒布することができる。
【0027】
基板上に所定の凹凸形状パターンが存在する場合、凹凸形状パターンの上部から下部までプリカーサが深く拡散/噴射されなければ、精度の高い薄膜を形成することができない。従来の場合は、プリカーサが基板の両側面から噴射されるので、非常に高い密度又は高い圧力のプリカーサを入れなければならなかったが、本発明の一実施例によると、基板の上部からプリカーサがラジカルと共に噴射されるので、パターンの上下部の隅々まで深く拡散することができ、ローディングエフェクト(loading effect)の改善が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例に係る、蒸着装置の概略的な形態を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットの概略的な形態を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第1のプレートの上面と背面を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第2及び第3のプレートを示す上面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第4及び第5のプレートを示す上面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第6及び第7のプレートを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0030】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し、1つ或いはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0031】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるための詳細な説明であり、本発明の権利範囲を制限するものではない。従って、本発明と同じ機能を実行する同じ範囲の発明も本発明の権利範囲に属するはずである。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る、蒸着装置の概略的な形態を示す断面図である。
【0033】
図1を参照すると、蒸着装置は、ラジカルユニット100と、ガス流入部200と、チャンバ300と、により構成されても良い。
【0034】
本発明の一実施例に係る、蒸着装置は、ガス流入部200から供給された反応ガスを反応させてラジカルを生成し、ラジカルユニット100を介してラジカルとプリカーサを噴射することでチャンバ300内に位置した基板に蒸着を行うように構成されても良い。
【0035】
このとき、ラジカルユニット100は、複数のプレートとして備えられても良い。例えば、予め設定された厚さを有したそれぞれのプレートが互いに積層され、内部に垂直又は水平に反応ガス及びプリカーサが流動され得る管や、反応ガスが混合及び反応できる空間が形成される。
【0036】
ここで、ラジカルユニット100に形成されたプリカーサ噴射経路は、複数のプレートのうち最上部プレートでプリカーサを分配した後、最下部プレートまで垂直に噴射する構造を有していても良い。熱安定性の低いプリカーサの場合、ヒータなどの熱源から近い最下部層で分配されれば、プリカーサが分解され、気相反応及び吸着特性変化により、薄膜の組成変化、基板内のパターンの上下部におけるバラついた拡散、及びパーティクルの発生による薄膜の品質低下が生じるので、最上部層で分配されることが好ましい。
【0037】
プリカーサが最上部プレートの1つ以上のガス流入部200を介して注入され、最上部プレートの内部に備えられた管を介してラジカルユニット100に満遍なくプリカーサが分布されて噴射されるように形成される。
【0038】
また、ラジカルユニット100に形成された反応ガス噴射経路は、上記に言及されたプリカーサ噴射経路と重ならないように構成され、互いに異なる反応ガスが内部で混合して噴射されるように構成されても良い。
【0039】
また、プリカーサ噴射経路は、最上部プレートでプリカーサが分配された後、残りのプレートを垂直に貫通して噴射される形態に構成されても良い。
【0040】
このとき、最上部プレートの内部に備えられるプリカーサの噴射経路は、プリカーサが流入される最上部プレートの中心を基点として放射状構造に形成されても良い。ラジカルユニット100の形態に応じてプリカーサの噴射経路は変化され得る。
【0041】
これを詳細に説明すると、最上部プレートにおいて、放射状に形成されたプリカーサの噴射経路は、予め設定された長さを有する複数の直線配管が中心をそれぞれ共有して交差することで放射状を形成する。
【0042】
また、放射状に構成されたプリカーサの噴射経路におけるそれぞれの直線配管上において噴射孔が所定の間隔に離隔して形成され、それぞれの噴射孔が残りのプレートを垂直に貫通するように形成されても良い。これにより、プリカーサが基板上に均一に噴射されることができる。
【0043】
ここで、反応ガス噴射経路は、プリカーサが分配される層よりも下に位置したプレートで反応ガスが分配されても良い。例えば、最上部プレートよりも下段に位置したプレートに反応ガス噴射経路が形成され、ラジカルユニット100の内部に分配される。
【0044】
また、反応ガスが反応ガス噴射経路により分配されるプレート層の場合、多重のシャワーヘッド構造に形成されても良い。
【0045】
ここで、多重のシャワーヘッド構造とは、ラジカルユニット100が2つ以上のプレートにより構成され、それぞれのプレートに形成される反応ガスの噴射孔が互いにずれた位置に配置される構造を意味しても良い。
【0046】
また、反応ガスの噴射経路を構成する複数のプレートのうち中間に位置した所定のプレートは、複数のガス流入部200から流入された互いに異なる反応ガスの混合及び反応のための所定の空間を構成しても良い。
【0047】
本発明の一実施例に係る、ガス流入部200は、チャンバ300の上部に形成され、ラジカル反応のための少なくとも2つの反応ガスとプリカーサの供給を受けるために複数備えられても良い。
【0048】
例えば、プリカーサの場合、1つのガス流入部200を介して供給されるが、蒸着に多くの種類の反応ガスを必要とする場合、プリカーサのガス流入部200の他に少なくとも2つ以上のガス流入部200がさらに必要となる。
【0049】
チャンバ300の内部には、ガス流入部200と連結されるラジカルユニット100と基板とが安着するサセプト(感受体)などが備えられても良い。
【0050】
よって、ガス流入部200を介してチャンバ300の内部に注入されるプリカーサ及び反応ガスは、ラジカルユニット100の内部で混合し、ラジカルユニット100の下段に位置した基板へプリカーサ及び反応ガスを噴射する。
【0051】
図2は、本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットの概略的な形態を示す断面図である。
【0052】
本明細書の
図2において提示しているラジカルユニット100の構造は、本願発明を容易に説明するための実施例のうち1つに該当しても良い。従って、ラジカルユニット100を構成するプレートの数字、ガス流入部200の位置及び経路は、具現される蒸着装置の形態によって変わるので、本願発明の範囲を制限するものではない。
【0053】
図2を参照すると、ラジカルユニット100は、第1のプレート110と、第2のプレート120と、第3のプレート130と、第4のプレート140と、第5のプレート150と、第6のプレート160と、第7のプレート170と、により構成されても良い。このとき、第1のプレート110(最上部層)乃至第7のプレート170(最下部層)が互いに積層される形態で結合される。また、第1のプレート110の上面部には、第1のガス流入部210及び第2のガス流入部220が少なくとも2つ以上備えられても良い。
【0054】
本発明の一実施例に係る、第1のガス流入部210は、ラジカルユニット100にプリカーサを注入し、第1のプレート110の上面部中央に形成され、第1のプレート110を垂直に貫通するように形成される。
【0055】
このとき、第1のガス流入部210と連結され、ラジカルユニット100の内部でプリカーサを噴射する配管は、後述する
図3乃至
図6により説明することとする。
【0056】
本発明の一実施例に係る、第2のガス流入部220は、ラジカルユニット100に反応ガスを注入し、第1のプレート110の上面部の予め設定された位置に複数生成されても良い。
【0057】
このとき、第2のガス流入部220及びプレートの個数は、蒸着に使用される反応ガスの種類と個数に関連し、備えられる位置は、ラジカルユニット100の大きさや形態、注入される反応ガスの個数などによって決定する。
【0058】
また、第2のガス流入部220は、第1のプレート110乃至第2のプレート120を垂直に貫通し、反応ガスを分配する第3のプレート130と連結される構造を有する。
【0059】
このとき、第1のガス流入部210と連結され、ラジカルユニット100の内部でプリカーサを噴射する配管は、後述する
図3によりさらに説明することとする。
【0060】
図3は、本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第1のプレートの上面と背面を示す図である。
【0061】
図3を参照すると、第1のガス流入部210は、第1のプレート110の上面部中央に形成されており(Front図を参照)、内部には第1のプリカーサ噴射経路211が形成されていることが、背面部(Back図を参照)の図面から確認することができる。
【0062】
ここで、第1のプリカーサ噴射経路211は、第1のガス流入部210と連結され、注入されたプリカーサを分配するための予め設定された放射状構造が水平に形成されている。
【0063】
また、第1のプリカーサ噴射経路211は、プリカーサを排出するための複数の排出孔と連結され、複数の排出孔が後述する第2のプリカーサ噴射経路212と連結されることによって、プリカーサは、第1及び第2のプリカーサ噴射経路211、212を介して基板の上に噴射されることができる。
【0064】
追加実施例において、第1のプリカーサ噴射経路211は、ラジカルユニット100の形態に対応してプリカーサを分配できる他の形態で備えられても良い。例えば、放射状ではなく円状や渦巻状の配管として備えられても良い。
【0065】
他の追加実施例において、第1のプリカーサ噴射経路211が第1のプレート110の背面部において所定の高さを有しつつ突出した構造を有する場合、第1のプリカーサ噴射経路211の側面に排出孔が備えられても良い。排出孔は、予め設定された間隔に離隔して形成され、第1のプリカーサ噴射経路211の放射状構造と対応する位置に形成される。
【0066】
第2のガス流入部220は、第1のプリカーサ噴射経路211とは異なり、第1のプレート110内では水平分配が行われず、第1のプレート110を貫通して第2のプレート120まで延びる。
【0067】
図4は、本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第2及び第3のプレートを示す上面図である。
【0068】
図4を参照すると、第2のプレート120及び第3のプレート130に形成されたガスの噴射経路を確認することができる。
【0069】
先ず、第2のプレート120には、第1のプリカーサ噴射経路211の排出孔と垂直に連結される第2のプリカーサ噴射経路212が備えられる。
図2を参照すると、第2のプリカーサ噴射経路212は、垂直に最下部プレートまで延びる構造であることが分かる。
【0070】
ここで、第2のプリカーサ噴射経路212は、第2のプレート乃至第6のプレート120~160を垂直に貫通し、第7のプレート170に備えられたプリカーサを排出するための排出孔と結合される構造を有する。
【0071】
また、第2のプレート120及び第3のプレート130は、第1のプレート110の上面部で形成された第2のガス流入部220が第2のプレート120を垂直に貫通して反応ガスを分配するための第3のプレートに連結される構造を有する。
【0072】
このとき、第3のプレート130の内部には、第2のガス流入部220と連結され、注入された反応ガスを流動させるために予め設定された経路を有する第1の反応ガス噴射経路223aが水平に備えられても良い。
【0073】
ここで、第1の反応ガス噴射経路223aの一側上面部は第2のガス流入部と連結され、他側背面部の予め設定された位置には反応ガスを排出するための排出孔224aが形成される。第1の反応ガス噴射経路223aは、複数個の噴射経路を有するように構成されても良く、このときの個数は、発明の実施例によって特に制限されなくても良い。
【0074】
選択的実施例において、互いに異なる種類の反応ガスが注入される第2のガス流入部220が予め設定された個数以上に備えられると、特定の第1の反応ガス噴射経路223aに第2のガス流入部220が複数連結され、互いに異なる種類の反応ガスを注入しても良い。このとき、特定の第1の反応ガス噴射経路223aと連結される複数の第2のガス流入部220は、予め設定された距離だけ離隔して第1の反応ガス噴射経路223a上に連結されても良い。例えば、第2のガス流入部220が8つ備えられる場合、第1の反応ガス噴射経路223aは4つ備えられ、それぞれの第1の反応ガス噴射経路223aの一側毎に2つの第2のガス流入部220が対応するように配置されても良い。このとき、2つの第2のガス流入部220には互いに異なる種類の反応ガスが注入されても良い。この場合、反応ガスが注入される瞬間から互いに混合が起こり、反応ガス噴射経路が長ければ長いほど、混合及び反応時間が長くなるので、ラジカルを生成できる機会が増える。一方、図面に示されたように第2のガス流入部220が4つ備えられ、第1の反応ガス噴射経路223aが4つ備えられて、互いに1対1対応する場合、注入される瞬間から混合が起こることはなく、第5のプレート150のように開けている空間上で混合が行われても良い。
【0075】
図5は、本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第4及び第5のプレート140、150を示す上面図である。
【0076】
図5を参照すると、第4のプレート140及び第5のプレート150の構造を確認することができる。
【0077】
第4のプレート140は、その内部に、第1の反応ガス噴射経路223aと連結され、注入された反応ガスをさらに流動させるために予め設定された経路を有する第2の反応ガス噴射経路223bが水平に備えられても良い。
【0078】
ここで、第2の反応ガス噴射経路223bは、第1の反応ガス噴射経路223aとは異なる形態の経路を有する。つまり、第1の反応ガス噴射経路223aを介して流動した反応ガスが第2の反応ガス噴射経路223bを介してさらに流動するのである。
【0079】
このとき、噴射孔224aと噴射孔224bとが結合することにより、第1の反応ガス噴射経路223aと第2の反応ガス噴射経路223bとを連結する。
【0080】
また、第2の反応ガス噴射経路223bの背面部には、反応ガスを排出するための複数の排出孔225が予め設定された間隔で形成されても良い。例えば、複数の排出孔225は、第2の反応ガス噴射経路223b上で一字状に配置され、複数の第2の反応ガス噴射経路223b上で放射状に配置されても良い。
【0081】
また、第5のプレート150は、リングの形態に構成され、第4のプレート140、第5のプレート150、及び第7のプレート170が結合する際に所定の空間を有する構造として備えられても良い。
【0082】
図6は、本発明の一実施例に係る、ラジカルユニットを構成する第6及び第7のプレートを示す上面図である。
【0083】
図6を参照すると、第6のプレート160及び第7のプレート170の構造を確認することができる。
【0084】
第6のプレート160は、第4のプレート140乃至第7のプレート170の結合によって生成された空間の内部に配置される構造に形成されても良い。第6のプレート160は、第7のプレート170よりも直径が小さい構造に形成される。
【0085】
このとき、第6のプレート160は、第4のプレート140及び第7のプレート170の間に配置され、プリカーサを噴射するための第2のプリカーサ噴射経路212がなす柱によって支持されるか、図面には示されていないが、第6のプレート160及び第7のプレート170の間に形成されるスペーサ(未図示)によって支持されても良い。
【0086】
第6のプレート160及び第7のプレート170には、プリカーサ及び反応ガスを排出するための複数の排出孔226、227がそれぞれ形成されても良い。
【0087】
ここで、第6のプレート160の場合、複数の排出孔226が予め設定された位置で同心円をなすように形成され、プリカーサを排出する第2のプリカーサ分配経路212と反応ガスを排出する排出孔226とが互いにずれるように構成されても良い。
【0088】
また、第7のプレート170の場合も、予め設定された位置で同心円をなして複数の排出孔227が形成されても良い。
【0089】
このとき、反応ガスが混合された後、ラジカルユニット100から排出されるように、第6のプレート160に形成された排出孔226と第7のプレート170に形成された形成された排出孔227とは、上面から見下ろして互いにずれた位置に備えられても良い。つまり、第6のプレートの排出孔226と第7のプレートの排出孔227とが互いに対応する位置に配置される場合、第4のプレート140から抜け出た反応ガスが、ラジカルとの反応が行われる間もなくそのまま第6のプレートの排出孔226と第7のプレートの排出孔227を貫通して噴射され得るためである。
【0090】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0091】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0092】
100:ラジカルユニット
200:ガス流入部
300:チャンバ
110:第1のプレート
120:第2のプレート
130:第3のプレート
140:第4のプレート
150:第5のプレート
160:第6のプレート
170:第7のプレート
210:第1のガス流入部
220:第2のガス流入部
211:第1のプリカーサ噴射経路
212:第2のプリカーサ噴射経路
223a:第1の反応ガス噴射経路
223b:第2の反応ガス噴射経路
224a、224b、225、226、227:排出孔