(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】炭入り二重カプセルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/11 20060101AFI20220901BHJP
A61K 8/00 20060101ALI20220901BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220901BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61K8/11
A61K8/00
A61Q11/00
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/73
A61K8/96
A61K8/64
A61K8/81
A61K8/37
A61K8/36
(21)【出願番号】P 2020567141
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2018010149
(87)【国際公開番号】W WO2020013380
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0081457
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520462034
【氏名又は名称】バイオジェニックス, インク.
【氏名又は名称原語表記】BIOGENICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】シン チャンジェ
(72)【発明者】
【氏名】コ テスン
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒュンギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンホ
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0067004(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103417390(CN,A)
【文献】米国特許第05714445(US,A)
【文献】特表2008-540673(JP,A)
【文献】特開2015-124168(JP,A)
【文献】特開平03-034910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1バインダーと炭粉末が結合
し、分散剤を含む1次カプセルを含み、
b)第2バインダーと1次カプセルおよび着色剤が結合
し、柔軟剤を含む二重カプセルであることを特徴と
し、前記第1バインダーは、アセチルアジピン酸ジデンプン、アセチルリン酸ジデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸ジデンプン、リン酸モノデンプン、リン酸化リン酸ジデンプン、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルリン酸ジデンプンからなる群から選択される変性デンプン類と、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、およびトウモロコシデンプンからなる群から選択される天然デンプン類から選択される一つまたは二つ以上であることを特徴とし、前記第2バインダーは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カゼインおよびシェラックからなる群から選択される天然由来ポリマー類と、アンモニウムメタクリレート系ポリマー、メタアクリル酸系高分子、2‐ジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマー、クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート系ポリマー、およびそのコポリマー類から選択される一つまたは二つ以上であることを特徴とする、炭入り二重カプセル。
【請求項2】
前記1次カプセルは、10μm~200μmの平均直径を有し、二重カプセルは、150μm~300μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の炭入り二重カプセル。
【請求項3】
二酸化チタン、シリカまたはこれらの混合物のいずれか一つの着色剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の炭入り二重カプセル。
【請求項4】
前記炭は、笹炭、竹炭、楢炭、ココナッツ炭のうち活性化した炭形態のいずれか一つまたは二つ以上であることを特徴とする、請求項1から
3のいずれかに記載の炭入り二重カプセル。
【請求項5】
第1溶媒で第1バインダーを溶解させる第1ステップと、
第1バインダーが溶解された溶液に分散剤を溶解させる第2ステップと、
前記第2ステップで得られた溶液に炭粉末を添加し、均質に混合して第1バインダーに炭粉末が結合した分散液を生成する第3ステップと、
前記第3ステップで得られた分散液を噴霧乾燥して第1溶媒が除去された1次カプセル粉末を生成する第4ステップと、
第2溶媒で第2バインダーと柔軟剤を溶解させる第5ステップと、
第2バインダーと柔軟剤が溶解された溶液に着色剤、分散剤を均質に混合する第6ステップと、
第6ステップで得られた溶液に前記1次カプセル粉末を混合して第2バインダーに1次カプセルが結合した二重カプセル分散液を生成する第7ステップと、
前記二重カプセル分散液を噴霧乾燥して第2溶媒が除去された二重カプセル粉末を生成する第8ステップとを含むことを特徴と
し、前記第1バインダーは、アセチルアジピン酸ジデンプン、アセチルリン酸ジデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸ジデンプン、リン酸モノデンプン、リン酸化リン酸ジデンプン、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルリン酸ジデンプンからなる群から選択される変性デンプン類と、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、およびトウモロコシデンプンからなる群から選択される天然デンプン類から選択される一つまたは二つ以上であることを特徴とし、前記第2バインダーは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カゼインおよびシェラックからなる群から選択される天然由来ポリマー類と、アンモニウムメタクリレート系ポリマー、メタアクリル酸系高分子、2‐ジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマー、クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート系ポリマー、およびそのコポリマー類から選択される一つまたは二つ以上であることを特徴とする、炭入り二重カプセルの製造方法。
【請求項6】
前記分散剤は、ソルビタントリオレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンラウレート、ポリグリセリル‐2オレイルエーテル、ポリグリセリル‐6ペンタオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、ポリグリセリル‐10ステアレート、およびソルビタントリオレートからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項
5に記載の炭入り二重カプセルの製造方法。
【請求項7】
前記柔軟剤は、ラウリン酸、ステアリン酸、およびパルミチン酸からなる群から選択されるいずれか一つの高級脂肪酸であることを特徴とする、請求項
5または
6に記載の炭入り二重カプセルの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の炭入り二重カプセルを有効成分として含有する歯磨き粉。
【請求項9】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の炭入り二重カプセルを有効成分として含有する化粧品製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭粉末を二重カプセル化することで、歯磨き粉、化粧品などに混合されても色のイメージを明るいトーンに維持することができ、使用時にカプセルが破壊した時のみに本来の色が現れるようにする炭入り二重カプセルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炭は、製造過程中に生じる特性によって多数の多孔性(Porous)からなっている。1グラム当たり表面積が500~1400平方メートルである位に肉眼で見えるサイズに比べて比表面積が相当大きい物質であると言える。そして、また一つの特性は、負電荷的な性質を有していることであるが、様々な化学物質から正電荷を帯びている分子を自分の方に引き寄せる能力がある。
【0003】
例えば、歯磨き粉に適用した場合には、歯と歯肉に存在する歯垢を吸着して炭成分と結合させることで、口腔衛生を管理することができ、クレンジングフォームに適用した場合には、毛穴の中の皮脂を吸着して炭成分と結合させることで、きれいな皮膚の管理に役立つことができる。
【0004】
従来の化粧料として使用される炭粉末の場合、化粧石鹸の一部の成分として使用されている例があるが、これは、炭粉末自体が有する吸着力などを単純に洗剤機能を強化するための化粧石鹸の組成物として使用されることであって、この場合、吸着力または保湿機能強化の他に、炭の他の特性の一つである黒く着色する性質が皮膚美容効果の改善を阻害する要因になるという問題がある。
【0005】
かかる炭を歯磨き粉および化粧品に使用する場合、従来、炭粉末を単純混合した形態で使用したため、製品の色が黒色に表現されて視覚的に非衛生的なイメージがあり、消費者の購買欲を下げ、商品性が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、炭粉末を二重カプセル化することで、既存の視覚的に衛生的にきれいなイメージを与えることができないという欠点を解消し、製品の色感を明るいトーンに維持することができ、使用時にカプセルが破壊した時のみに炭本来の色が現れるようにする炭入り二重カプセルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、炭を二重カプセル化することで、摩擦強度に応じてカプセルの破断を調節することができる炭入り二重カプセル、その製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による炭入り二重カプセルは、a)第1バインダーと炭粉末が結合した1次カプセルを含み、b)第2バインダーと1次カプセルおよび着色剤が結合された二重カプセルであることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、1次カプセルは、10μm~200μmの平均直径を有し、二重カプセルは、150μm~300μmの平均直径を有することを特徴とする。
【0010】
本発明による炭入り二重カプセルの製造方法は、第1溶媒で第1バインダーを溶解させる第1ステップと、第1バインダーが溶解された溶液に分散剤を溶解させる第2ステップと、第2ステップで得られた溶液に炭粉末を添加し、均質に混合して第1バインダーに炭粉末が結合した分散液を生成する第3ステップと、第3ステップで得られた分散液を噴霧乾燥して第1溶媒が除去された1次カプセル粉末を生成する第4ステップと、第2溶媒で第2バインダーと柔軟剤を溶解させる第5ステップと、第2バインダーと柔軟剤が溶解された溶液に着色剤、分散剤を均質に混合する第6ステップと、第6ステップで得られた溶液に前記1次カプセルを混合して第2バインダーに1次カプセルが結合した二重カプセル分散液を生成する第7ステップと、前記二重カプセル分散液を噴霧乾燥して第2溶媒が除去された二重カプセル粉末を生成する第8ステップとを含む。
【0011】
好ましくは、第1バインダーは、アセチルアジピン酸ジデンプン、アセチルリン酸ジデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸ジデンプン、リン酸モノデンプン、リン酸化リン酸ジデンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸ジデンプン;変性デンプン類と小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、およびトウモロコシデンプンなどからなる群から選択される天然デンプン類であることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、炭粉末は、笹炭、竹炭、楢炭、ココナッツ炭種類のうち活性化した炭(Activated charcoal)から選択される一つであることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、分散剤は、ソルビタントリオレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンラウレート、ポリグリセリル‐2オレイルエーテル、ポリグリセリル‐6ペンタオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、ポリグリセリル‐10ステアレート、およびソルビタントリオレートなどからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、第2溶媒は、エタノール、グリセリン、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオールおよび1,8‐オクタンジオールなどからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上であることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、第2バインダーは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カゼイン(casein)、シェラック(shellac)などから選択される天然由来ポリマー類とアンモニウムメタクリレート系ポリマー、メタアクリル酸系高分子、2‐ジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマー、クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート系ポリマー、およびそのコポリマー類から選択される一つまたは二つ以上であることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、柔軟剤は、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸が使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による炭入り二重カプセルは、炭粉末を二重カプセル化することから、化粧品、歯磨き粉製剤に混合されても製品の色感を明るいトーンに維持することができ、使用時に一定の圧力でカプセルが破壊した時のみに炭本来の色が現れるようにすることができるという利点がある。
【0018】
また、炭粉末を二重カプセル化することから、活性化した炭(Activated charcoal)の特性である吸着性、表面の酸化、還元反応性による水分、酸素、時間の経過によって変質し得る活性化した炭を長期間安定的に保護できるという効果がある。
【0019】
また、既存の炭を含有する化粧品、歯磨き粉製剤が視覚的に非衛生的なイメージを有し得るという欠点を解消して、炭を含有しても色感を明るいトーンに維持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例に使用されたココナッツ炭粉末の写真である。
【
図2】本発明の実施例に製造された1次カプセル粉末の写真である。
【
図3】本発明の実施例に製造された二重カプセル粉末の写真である。
【
図4】本発明の実施例に製造された二重カプセル歯磨き粉の破断性確認の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0022】
本発明による炭入り二重カプセルは、a)第1バインダーの中に炭が結合した1次カプセル、b)第2バインダーの中に1次カプセル、着色剤が結合した二重カプセルからなる。
【0023】
先ず、1次カプセルの製造過程は、第1溶媒で第1バインダーを溶解させる第1ステップと、第1バインダーが溶解された溶液に分散剤を溶解させる第2ステップと、第2ステップで得られた溶液に炭粉末を添加し、均質に混合して第1バインダーに炭粉末が結合した分散液を生成するステップと、第3ステップで得られた分散液を噴霧乾燥して第1溶媒が除去された1次カプセル粉末を生成する第4ステップとを含む。
【0024】
第1溶媒は、第1バインダーと分散剤を溶解できる蒸留水であることが好ましい。
【0025】
第1バインダーは、不連続的に分散している炭粉末と互いに結合または相互ネットワークを形成し、粘度を調節する。第1バインダーは、1次カプセル混合物に対して4~10重量%使用される。第1バインダーが4重量%未満の場合には、炭粉末との結合が十分に行われなくて1次カプセルが完全に形成されず、10重量%を超える場合には、カプセルの強度が強過ぎて割れにくい。以降、二重カプセル工程に使用する時には、1次カプセルの強度が強い場合に、二重カプセルの強度にも影響を及ぼすため、適切な含量を選択しなければならない。しかし、強度が弱過ぎる1次カプセルを使用した時には、安定性が低下して破壊され得るため、注意しなければならない。かかる第1バインダーは、アセチルアジピン酸ジデンプン、アセチルリン酸ジデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸ジデンプン、リン酸モノデンプン、リン酸化リン酸ジデンプン、酢酸デンプン、およびヒドロキシプロピルリン酸ジデンプンなどからなる群から選択される変性デンプン類と、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、およびトウモロコシデンプンなどからなる群から選択される天然デンプン類から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を使用することができる。特に、天然デンプン類は、ココナッツ炭との優れた結合力だけでなく、バルク状に組成物を製造する時に、ブリーディング現象のような欠点を著しく低下させ、塗布時にすぐ破壊されるか、水またはアルコール類などによって迅速に湿潤または溶解されることによるマイクロカプセルのリーチング現象(マイクロカプセルの強度低下)を抑制できることを確認した。
【0026】
活性化した炭(Activated charcoal)は、口腔内で、不純物、バクテリアと結合して排出されることで、歯に美白効果を与えるために使用される。炭は、1~10μmサイズの粒度を有し、1次カプセル混合物に70~94重量%含有される。この際、70重量%未満の場合には、所望の炭の含量を有するカプセルを作製することができず、歯磨き粉組成物への適用時に少な過ぎる量の炭含量が使用されると、炭の効能を期待できないという問題がある。94重量%を超える場合には、カプセルの粒子を一定の形状に制御しにくいという欠点がある。炭としては、笹炭、竹炭、楢炭、ココナッツ炭などを使用するが、特殊な熱処理工程を経て活性化した炭(Activated charcoal)形態で使用するのが好ましい。特に、活性化した炭の一種であるココナッツ炭(Coconut charcoal)を使用することが最も好ましいが、活性化した炭形態で使用すると、一般の炭に比べて多孔性がより増加し、歯垢(Plaque)の吸着性能を増加させることができる。
【0027】
分散剤は、炭粉末を第1溶媒で均一に位置するように分散させる。分散剤は、非イオン性で油分と水の可溶化を向上させる水溶性、脂溶性の特性を同時に有するソルビタントリオレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンラウレート、ポリグリセリル‐2オレイルエーテル、ポリグリセリル‐6ペンタオレート、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、およびポリグリセリル‐10ステアレートなどからなる群から選択されるいずれか一つを使用する。分散剤は、1次カプセル混合物に対して2~6重量%使用される。この際、2重量%未満の場合には、炭粉末が第1溶媒で均一に分散されない問題があり、6重量%を超える場合には、バインダーの結合特性を減少させて1次カプセルの強度を弱化し、製造工程中に破損する恐れがある。
【0028】
1次カプセル粉末は、かかる1次カプセル分散液を噴霧乾燥して第1溶媒を除去し、篩分けを通過させて10μm~200μmの平均直径を有する粉末を選別して生成される。
【0029】
一方、二重カプセルの製造工程は、第2溶媒で第2バインダーと柔軟剤を溶解させる第5ステップと、第2バインダーと柔軟剤が溶解された溶液に着色剤、分散剤を均質に混合する第6ステップと、その後、第6ステップから得られた溶液に前記1次カプセル粉末を混合して第2バインダーに1次カプセルが結合した二重カプセル分散液を生成する第7ステップと、前記二重カプセル分散液を噴霧乾燥して二重カプセル粉末を生成する第8ステップとを含む。
【0030】
第2溶媒は、第2バインダーと柔軟剤を溶解できるエタノールが好ましく、1次カプセル、着色剤および分散剤を均一に分散させる。第2溶媒は、炭素数1~7個の低級アルキル基を有することが好ましい。例えば、エタノール、グリセリン、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオールおよび1,8‐オクタンジオールなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上が混合された形態であってもよい。
【0031】
第2バインダーは、1次カプセルを包んで分散を防止するために使用される。第2バインダーは、二重カプセル混合物に対して1~6重量%使用される。第2バインダーが1重量%未満の場合には、カプセルの強度が非常に弱くて製造工程の後に割れやすい恐れがあり、10重量%を超える場合には、カプセルの形成時に強度が非常に強くて外力が作用してもカプセルが崩壊しにくく、美白剤の効果が早く得られないという欠点がある。かかる第2バインダーは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カゼイン(casein)、シェラック(shellac)などから選択される天然由来ポリマー類とアンモニウムメタクリレート系ポリマー、メタアクリル酸系高分子、2‐ジメチルアミノエチルメタクリレート系ポリマー、クロロトリメチルアンモニウムエチルメタクリレート系ポリマー、およびそのコポリマー類(共重合体)から選択されるいずれか一つまたは二つ以上が使用される。この際、第2バインダーは、第1バインダーと溶解度が異なるバインダーを使用することが好ましい。最終に二重カプセルの噴霧乾燥時に、それぞれのマイクロ粒子のサイズを均一にコントロールしてそれぞれの粒子を均質に包むためには、分散液の粘度が重要に作用するが、粘度コントロールが容易なセルロース誘導体類を使用することが好ましい。
【0032】
1次カプセルは、二重カプセル混合物に対して26~40重量%使用される。1次カプセルが 26重量%未満の場合には、所望の炭含量を含有するカプセルを製造できないという問題があり、40重量%を超える場合には、1次カプセルが均一にコーティングされないという問題がある。
【0033】
柔軟剤は、バインダーによってカプセルが過剰に堅いことを緩和する役割をする。柔軟剤は、ラウリン酸、ステアリン酸、およびパルミチン酸などからなる群から選択されるいずれか一つの高級脂肪酸が使用されることが好ましい。柔軟剤は、二重カプセル混合物に対して3~5重量%使用される。この際、3重量%未満の場合には、カプセルの強度が高過ぎて柔軟にしにくいという問題があり、5重量%を超える場合には、カプセル結合強度が非常に減少して二重カプセルが割れにくいという欠点がある。
【0034】
また、着色剤は、1次カプセルに使用される炭の黒色が現れないように隠蔽するために使用される。かかる着色剤は、隠蔽力および研磨力を同時に有している二酸化チタンが最も好ましく、シリカも隠蔽力の効果を有するため、二酸化チタン、シリカまたはこれらの混合物(二酸化チタン100重量部に対して20~40重量部のシリカ)を使用すると、歯磨き粉組成物を白色に生成することができる。着色剤は、二重カプセル混合物に対して30~65重量%使用される。着色剤の原材料である酸化鉄、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、マンガニーズバイオレット、酸化亜鉛、ウルトラマリンブルー、レーキ顔料などによって、二重カプセルの外観を白色ではなく他の色に変更して様々な外観の色を有し得るカプセルの製造が可能である。特に、着色剤として二酸化チタンを使用すると、研磨剤の役割として使用されるため、歯磨き粉組成物の研磨効果をより向上させることができる。この際、30重量%未満の場合には、着色効率が低くなるという問題があり、65重量%以上の場合には、相対的に1次カプセルの含量が減少して炭の含量も減少するため、組成物の美白効能を減少させることができる。
【0035】
二重カプセル粉末は、かかる二重カプセル分散液を噴霧乾燥して第2溶媒を除去し、篩分けを通過させて平均直径500μm以下、特に、150μm~300μmの平均直径を有する粉末を選別して生成される。
【0036】
以下、本発明を下記の実施例によってより具体的に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明に関する理解を容易にするためのものであって、如何なる意味でも本発明の範囲がこれらによって制限されない。
【0037】
(実施例1)
1次カプセル粉末を生成するために、先ず、2、000mL容器に300gの蒸留水と30gの第1バインダーとしてトウモロコシデンプン(製品名:トウモロコシデンプン)を110℃、1時間完全に溶解させた。また、67gの分散剤としてポリグリセリル‐10ステアリン酸(製品名:Almax 9060)を溶解させながら1550gの蒸留水を補充する。次に、分散液の温度が50度以下になると、分散液に900gのココナッツ炭(
図1、製品名:SpecKareTM CAC3)を添加し、分散液を混合および分散して1次カプセル分散液を製造し
た。前記1次カプセル分散液を高速回転している噴霧乾燥器の内部に供給し、乾燥して1次カプセル粉末を得た。この際、取得した1次カプセル粉末を200μm以下の外部直径を有するように篩分けを通過させて1次カプセル粉末を選別し、図
2に図示されているように
黒色の表面を有する
1次カプセル粉末を得た(粒子サイズ:150μm、取得率=60%)。
【0038】
一方、二重カプセル粉末を生成するために、2000mLのビーカに500gのエタノールと50gの第2バインダーとしてエチルセルロース(製品名:EC‐N10)と30gの柔軟剤としてラウリン酸(製品名:PALMAC 98‐12)を添加して溶解させた。また、448gの着色剤として二酸化チタン(製品名:Purolan E‐171‐A)と150gのシリカ(製品名:AEROSIL(登録商標)200)を入れ、1,000gのエタノールを補充しながら分散液を混合および分散させる。次に、320gの1次カプセルを少しずつ投入し、混合して二重カプセル分散液を製造した。前記二重カプセル分散液を高速回転している噴霧乾燥器の内部に供給し、乾燥して二重カプセル粉末を得た。この際、二重カプセル粉末を300μm以下の外部直径を有するように篩分けを通過させて二重カプセルを選別し、図3に図示されているように白色の表面を有する二重カプセル粉末を得た(粒子サイズ:150~300μm、取得率=50%)。1次カプセルと二重カプセルの組成は表1にも示した。
【0039】
(実施例2)
トウモロコシデンプンの含量を37g、Almax 9060の含量を60g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0040】
(実施例3)
トウモロコシデンプンの含量を44g、Almax 9060の含量を53g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0041】
(実施例4)
トウモロコシデンプンの含量を51g、Almax 9060の含量を46g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0042】
(実施例5)
トウモロコシデンプンの含量を58g、Almax 9060の含量を39g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
(実施例6)
トウモロコシデンプンの含量を65g、Almax 9060の含量を32g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0043】
(実施例7)
トウモロコシデンプンの含量を72g、Almax 9060の含量を25g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0044】
(実施例8)
トウモロコシデンプンの含量を79g、Almax 9060の含量を18g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0045】
(実施例9)
トウモロコシデンプンの含量を86g、Almax 9060の含量を11g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0046】
(実施例10)
トウモロコシデンプンの含量を93g、Almax 9060の含量を4g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0047】
(実施例12)
EC‐N10の含量を47g、PALMAC 98‐12の含量を33g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0048】
(実施例13)
EC‐N10の含量を44g、PALMAC 98‐12の含量を36g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0049】
(実施例14)
EC‐N10の含量を41g、PALMAC 98‐12の含量を39g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0050】
(実施例15)
EC‐N10の含量を38g、PALMAC 98‐12の含量を42g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0051】
(実施例16)
EC‐N10の含量を35g、PALMAC 98‐12の含量を45g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0052】
(実施例17)
EC‐N10の含量を32g、PALMAC 98‐12の含量を48g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
(実施例18)
EC‐N10の含量を29g、1次カプセルの含量を343g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0053】
(実施例19)
EC‐N10の含量を26g、1次カプセルの含量を361g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0054】
(実施例20)
EC‐N10の含量を23g、1次カプセルの含量を376g使用する以外は、実施例1と同じ方法で均一な粒子を選別した。
【0055】
【0056】
[実験例1:粒子の破断性の測定]
実施例1~10で製造された1次カプセル粉末と実施例11~20によって製造された二次カプセル粉末0.3gに一定の荷重5gf/cm
2を与えながら繰り返した上下左右動作を0.01m/secの定速度で30秒間行ってカプセル粒子の破断性を測定した。これを光学顕微鏡で観察して1mm×1mmピクセル当たり壊れた粒子の個数を3回測定した後、平均値を求めて1次カプセルの破断性は表2に示し、二重カプセルの破断性は表3にそれぞれ示した。また、二次カプセルが割れる写真は
図4に示した。この際、正常な粒子の個数が少ないほど破断性に優れる。
【0057】
【0058】
表2に示されているように、バインダーおよび分散剤の含量調節により破断性を測定した。バインダーの含量が最も重要な変数であり、含量が多いほどカプセルの強度が上がる全体的な傾向が認められるが、実施例7~8の実験から確認できるように、バインダーと分散剤との適切な比率をなした時に1次カプセルの破壊が容易になるということが分かる。
【0059】
【0060】
図4に図示されているように、二重カプセル粉末は、破断によって黒色に発色することを確認することができた。表3に示されているように、第2バインダーの含量が減少するに伴い破断性が増加して、正常なカプセルの個数が徐々に減少していることが分かる。正常な粒子の個数が多くて破断性が良くないと、核心材料の炭がカプセル内に存在する歯磨き粉組成物の場合に、炭成分が口腔の内部で美白剤の役割を効率的に果たすことができない。したがって、カプセル組成の選定時に原材料の適切な含量選定に注意しなければならず、所定の時間内に割れないカプセルの場合には、異物と類似した使用感を与える可能性があるため、製造時に注意しなければならない。
【0061】
[実験例2:歯磨き粉組成物の官能評価]
(比較例1)
炭入り歯磨き粉組成物で1次カプセルまたは二重カプセルの強度に及ぼす影響性を調べるために、カプセルの強度が弱い実施例7の1次カプセルのみを単独で使用した。歯磨き粉組成物材料である(炭酸水素ナトリウム)15g、(グリセリン)20g、(ゼラチン)15g、(エッセンスオイル)150gそれぞれを1次カプセル300gと混合して歯磨き粉組成物を製造した。それぞれの組成は表4にも示した。
【0062】
官能評価のために、同じ圧力を受けるように歯磨き粉組成物1gを平坦な試験台に塗りつけ、サイズ20×20×10mmの重量50gの錘に歯ブラシの毛を付着して10回同様に繰り返し運動を実施した後、カプセルの状態を確認した。歯ブラシの毛と組成物が当接して摩擦強度を直接受けた部分だけ肉眼で観察して組成物に含まれたカプセルの状態を確認し、表5に示した。
【0063】
(比較例2)
前記比較例1で実施例7の1次カプセルを使用する代わりに、カプセル強度が強い実施例10の1次カプセルのみを使用する以外は、同じ方法で歯磨き粉組成物を製造した。
【0064】
(比較例3)
前記比較例1で実施例7の1次カプセルを使用する代わりに、カプセル強度が強い実施例3の1次カプセルのみを使用する以外は、同じ方法で歯磨き粉組成物を製造した。
【0065】
(実施例21)
前記比較例1で実施例7の1次カプセルを使用する代わりに、破断性が弱い実施例7の二重カプセルを使用する以外は、同じ方法で歯磨き粉組成物を製造した。
【0066】
(実施例22)
前記比較例1で実施例7の1次カプセルを使用する代わりに、破断性が強い実施例10の二重カプセルを使用した以外は、同じ方法で歯磨き粉組成物を製造した。
【0067】
(実施例23)
前記比較例1で実施例7の1次カプセルを使用する代わりに、破断性が普通である実施例3の二重カプセルを使用した以外は、同じ方法で歯磨き粉組成物を製造した。
【0068】
【0069】
【0070】
表5の結果を見ると、1次のカプセル強度を強くした場合には、二重カプセルの安定性と強度にも影響を与えるため、カプセルを組成物に適用した時に破壊されにくいことが分かる。強度の核心素材であるバインダー種類および含量とそれに影響を与える分散剤の比率を適切に使用したときに、歯磨き粉組成物に使用が可能な二重カプセルの製造が可能である。
【0071】
[実験例3:歯磨き粉組成物の歯磨き粉による破断性の確認]
(実施例24)
前記カプセル組成比で製造した組成物で実施例10(破断性弱、バインダー含量23g)、実施例1(破断性強、バインダー含量50g)を選別して歯磨き粉組成物を製造した。歯磨き粉の製造に使用されるそれぞれの材料である15gの研磨剤(製品名:炭酸水素ナトリウム)、20gの保湿剤(製品名:グリセリン)、15gの安定剤(製品名:ゼラチン)、150gの抗菌剤(製品名:エッセンスオイル)、炭入り二重カプセル(300g)を混合して歯磨き粉組成物を製造した。製造された歯磨き粉組成物をランダムに選別した子供10名、成人10名、老人10名の三種の年齢帯の群に分類して同じ回数(3回)の歯磨きを実施した後、破断性を確認し、表6に示した。8歳、23歳、70歳それぞれ3名に類似した量を使用した時に歯磨きした部分の歯に残っている歯磨き粉組成物がほとんど黒くなることを肉眼で確認した時にカプセルが割れたと区分した。
【0072】
(実施例25)
範囲群から逸脱しない7、16、68歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0073】
(実施例26)
範囲群から逸脱しない8、17、67歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0074】
(実施例27)
範囲群から逸脱しない8、20、65歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0075】
(実施例28)
範囲群から逸脱しない7、20、66歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0076】
(実施例29)
範囲群から逸脱しない8、19、66歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0077】
(実施例30)
範囲群から逸脱しない9、28、67歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0078】
(実施例31)
範囲群から逸脱しない9、29、68歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0079】
(実施例32)
範囲群から逸脱しない8、28、67歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0080】
(実施例33)
範囲群を脱しない10、31,67歳の年齢から対象群をランダムに選別した以外は、実施例11と同じ方法で実験対象者を選別した。
【0081】
【0082】
表6に示されているようにバインダーの含量を調節して製造したカプセルを用いて年齢別にカプセル破断性を確認した。カプセル強度を組成含量に応じて強/弱と区分して製造した後、各群別にカプセルが割れて炭の固有の色である黒色が歯につく程度を確認した。相対的に筋力が強い青少年および成人の群ではカプセル強度を強くしてもすべてのカプセルが容易に割れたが、子供と老人の場合には、カプセルを強くした時には歯磨き粉組成物が全体的に黒くならないことが分かる。カプセルに使用される原材料を適切に調節するように強度を調節すると、歯磨き粉組成物に適用した時に選択的なカプセルの製造が可能である。
【0083】
[実験例4:歯磨き粉組成物の安定性の確認]
(実施例34)
歯磨き粉物性の安定性をテストするために、製造後、常温で30ヶ月間保管した後、最初の物性に変性がないべきであり、生産後、30ヶ月が経た状態と類似した条件である50℃で3ヶ月間保管しても変性がないべきである。実施例23の二重カプセル歯磨き粉組成物を恒温恒湿器を用いて70℃/50%の過酷な条件で2週間保管した後、美白テストを行った。実験条件としてはA3等級以下の比較的暗い色の歯を有している者10名を選別して一週間一日三回歯磨きをした時にどれ位美白効果が変化したか選別した。また、恒温恒湿器に保管していたそれぞれの歯磨き粉組成物を2週の間隔で取り出し、それぞれの実験対象者に一日三回類似した回数で歯磨きを実施し、16ステップに分類された歯対照表を用いて、歯の色に対する等級変化を観察した。実験結果は、表7に示した。
【0084】
(実施例35)
恒温恒湿器の条件は同様で、4週間保管した後、美白テストを行った。
【0085】
(実施例36)
恒温恒湿器の条件は同様で、6週間保管した後、美白テストを行った。
【0086】
(実施例37)
恒温恒湿器の条件は同様で、8週間保管した後、美白テストを行った。
【0087】
(実施例38)
恒温恒湿器の条件は同様で、10週間保管した後、美白テストを行った。
【0088】
(実施例39)
恒温恒湿器の条件は同様で、12週間保管した後、美白テストを行った。
【0089】
(実施例40)
恒温恒湿器の条件は同様で、14週間保管した後、美白テストを行った。
【0090】
(実施例41)
恒温恒湿器の条件は同様で、16週間保管した後、美白テストを行った。
【0091】
(実施例42)
恒温恒湿器の条件は同様で、18週間保管した後、美白テストを行った。
【0092】
(実施例43)
恒温恒湿器の条件は同様で、20週間保管した後、美白テストを行った。
【0093】
【0094】
表7に示されているように、通常、常温で恒温恒湿の過酷な条件でも20週以上の時間が経過しても、美白機能が初期と同様にその機能を有していることが分かる。
【0095】
[実験例5:クレンジングフォーム組成物での二重カプセル効能の確認]
(比較例4)
炭入り二重カプセルをフォームクレンジングに適用した時に毛穴に及ぼす影響を調べるために、80gの精製水、75gの界面活性剤(製品名:アップルウォッシュ)、2gの抗酸化物(製品名:緑茶抽出物)、1gの天然防腐剤(製品名:ナプレ)、2gの皮膚保湿剤(製品名:d‐パンテノール粉末)を混合してフォームクレンジング組成物を製造した(表8参照)。次に、毛穴の状態に対する客観的なデータを得るために、皮膚診断システム(製造社:BOMTECH、品名:SDM)を用いて毛穴の状態を測定し、毛穴の状態が良くない(SDM装備測定の結果、放射形グラフで毛穴の結果が良くない者のうちランダムに選別)20歳以上35歳以下の女性群で3名(23歳)を選別し、フォームクレンジングを朝、夕、1日2回2週間洗顔を実施した後、再測定して毛穴の状態を観察し、表9に示した。
【0096】
(比較例5)
前記比較例4で同じ方法でフォームクレンジング組成物を製造し、毛穴の状態が良くない20歳以上35歳以下の女性1名(32歳)をランダムに選別した以外は、同じ方法で実施および測定した。
【0097】
(実施例44)
前記比較例4で80gの炭入り二重カプセル、110gの精製水を使用した以外は、同じ方法でフォームクレンジング組成物を製造した。毛穴の状態が良くない20歳以上35歳以下の女性1名(28歳)をランダムに選別した以外は、同じ方法で実施および測定した。
【0098】
(実施例45)
前記比較例4で80gの炭入り二重カプセル、110gの精製水を使用した以外は、同じ方法でフォームクレンジング組成物を製造した。毛穴の状態が良くない20歳以上35歳以下の女性1名(30歳)をランダムに選別した以外は、同じ方法で実施および測定した。
【0099】
(実施例46)
前記比較例4で80gの炭入り二重カプセル、110gの精製水を使用した以外は、同じ方法でフォームクレンジング組成物を製造した。毛穴の状態が悪い25歳以上39歳以下の女性1名(35歳)をランダムに選別した以外は、同じ方法で実施および測定した。
【0100】
【0101】
【0102】
SDM測定結果は、油分、水分、弾力度、しわ、色素沈着、毛穴に対する総6項目のデータが放射形グラフに導き出されるが、本実験は、毛穴の数値化に対する項目測定値のみを参考した。放射形グラフは、総3個のサイズが異なる円形で程度を表示するが、1段階の最外側の円(現状維持および予防のための皮膚管理が必要)、2段階の中間の円(継続した皮膚管理が必要)、3段階の中間の円(改善のための集中的な皮膚管理が必要)それぞれの項目に分けることができる。実験群は、皮膚状態を年齢範疇内で3段階に相当する者を選別して行った。
【0103】
表9に示されいるように、炭入り二重カプセルがない場合には、フォームクレンジングを使用してから毛穴を観察しても改善されていないか変化が大きくないということを確認することができる。しかし、実施例44から46の結果を見ると、毛穴の状態はすべて改善され、特に、実施例46の場合には、毛穴の状態が2週間後にその状態が大きく改善したことを確認することができる。
【0104】
上記の実験は、皮膚の状態に対する異なる結果値は考慮しておらず、それぞれの被実験者の角質状態、皮膚タイプ、使用するメイクアップ化粧品およびトナーの使用に対する変数は特に考慮せず、毛穴の状態のみ測定して導き出した結果値である。
【0105】
[実験例6:二重カプセル入りクレンジングフォーム組成物での評価]
(実施例47)
実施例44で製造したクレンジングフォームの使用感を評価するために、20~35歳の女性のうち普段フォームクレンジングを使用して洗顔をした時に副作用のない10名を選別し、最も普遍的に洗顔する時に実施する使用法によって各基準に下記の表7による項目を評価した。比較例6は本発明とは異なる製造方法で製造された炭粉末を単純混合した商用製品を対象にした。評価項目に対する点数は、非常に優秀5点、優秀4点、普通3点、不十分2点、不足1点と評価するようにし、それぞれの項目で判別基準が明確でない時には、小数点数も適用した。10名の平均値でその最終結果を表10に示した。
【0106】
【0107】
前記表10に示されているように、既存の製品と比べて洗浄性と洗顔後の皮膚の感じはほぼ類似しているか差が大きくないという評価を受けた反面、既存の製品の場合、組成物自対の暗い色感によって使用直前のイメージが良くなかった。ローリング感は、既存の単純炭混合製品よりも炭入り二重カプセル組成物がより良い評価を受けることができた。実験項目に対するテストを行う時に成分に対する先入観を与えないために、原材料成分が炭を使用していることについては言及せずにそれぞれのテストを行い、主観性を最小化するデータ結果を得ようとした。
【0108】
以上、本発明は、限定された実施例と図面によって説明されているものの、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載する請求の範囲の均等範囲内で様々な修正および変形が可能であることは言うまでもない。