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特許7133245画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20220901BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
A61B5/11 210
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021136170
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521373696
【氏名又は名称】株式会社フットルック
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】舩越 達
(72)【発明者】
【氏名】下田 英毅
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1939210(CN,A)
【文献】特開2001-000207(JP,A)
【文献】特許第5417654(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0125619(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、前記画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムであって、
前記画像読取装置が、
前記被測定者の部位が接触する接触板と、
前記接触板に対して、前記部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、前記画像情報を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像解析装置が、
前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出部を備え
前記圧力検出部が、
肌色に関連する条件及び白色に関連する条件に基づいて、前記色情報を用いた判定を行い、前記圧力分布を求めることを特徴とする画像解析システム。
【請求項2】
前記圧力検出部が、16段階で表現される前記圧力分布を求める請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項3】
前記部位が足裏である請求項1又は2に記載の画像解析システム。
【請求項4】
前記画像解析装置が、
前記圧力検出部で求められる前記圧力分布を表示させる表示制御部を更に備える請求項1乃至のいずれかに記載の画像解析システム。
【請求項5】
被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置であって、
前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力し、
前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出部を備え
前記圧力検出部が、
肌色に関連する条件及び白色に関連する条件に基づいて、前記色情報を用いた判定を行い、前記圧力分布を求めることを特徴とする画像解析装置。
【請求項6】
被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析方法であって、
前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力する入力ステップと、
前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出ステップと、を含み、
前記圧力検出ステップでは、
肌色に関連する条件及び白色に関連する条件に基づいて、前記色情報を用いた判定を行い、前記圧力分布を求めることを特徴とする画像解析方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項に記載の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の足の裏等の部位にかかる圧力の分布等を解析する画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
直立した状態での人の足の裏(足裏)の画像(以下、「足裏画像」とする)が、病院、靴屋等で利用されている。例えば、病院や整骨院では、足裏画像から足の裏にかかる圧力の分布や重心の位置を求めることにより、体のバランスや歪み等の診断に利用することができる。足指の角度を計算することにより、外反母趾や内反小趾の診断に利用することができる。靴屋では、足裏画像から足裏の長さや横幅等を測定することにより、顧客に適切な靴の選定を行うことができ、オーダーメイドでの靴の提供にも利用できる。
【0003】
足裏画像から求められる情報の1つである足裏の圧力分布については、圧力センサを使用して測定する方法が多く提案されているが、低コスト化や装置のコンパクト化等を図るべく、足裏画像を利用する測定方法が提案されている。
【0004】
例えば、特開2000-227371号公報(特許文献1)に開示されている面圧力分布検出装置は、足裏を直接撮影するのではないが、ゴムボールに荷重が加わったとき、ボールが置かれた床面と接触している部分が圧縮されて平になるので、その平になるボールの圧縮面と加重の相関から圧力を測っている。具体的には、ガラスの上に同一材質で同一径のボールを一定間隔で置き、その上に被測定者が立ち、ボールの圧縮面をガラス裏面より撮影し、撮影した画像から圧縮面の面積を求めることにより、足裏の圧力分布を測定している。
【0005】
特許第6364139号公報(特許文献2)に開示されている足裏測定装置では、箱状の筐体で構成される測定器で撮影されたカラーの足裏画像(足裏接地面画像)に対してカラー/グレー変換処理を施すことにより足裏のグレー画像を得て、更に、そのグレー画像に対してグレー/足圧分布変換処理(色変換処理)を施すことにより足裏の圧力分布(足圧分布画像)を得ている。グレー/足圧分布変換処理(色変換処理)は、グレースケールの複数階調を、所定の色スケールの複数階調に変換する処理となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-227371号公報
【文献】特許第6364139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置では、ボールを介して足裏の圧力を測定しているので、ボールの大きさや形状によって圧力の分布が変わる可能性があり、正確さが劣るおそれがある。特許文献2の装置については、カラー/グレー変換処理及びグレー/足圧分布変換処理の具体的な内容が記載されておらず、詳細は不明であるが、グレー画像を基に足裏の圧力分布を求めているので、精度が不十分である可能性がある。
【0008】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、足裏画像等の画像情報から高精度な圧力分布を求めることができる画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、前記画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムに関し、本発明の上記目的は、前記画像読取装置が、前記被測定者の部位が接触する接触板と、前記接触板に対して、前記部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、前記画像情報を取得する画像取得部と、を備え、前記画像解析装置が、前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出部を備えることにより達成される。
【0010】
また、本発明は、被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置に関し、本発明の上記目的は、前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力し、前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出部を備えることにより達成される。
【0011】
また、本発明は、被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析方法に関し、本発明の上記目的は、前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力する入力ステップと、前記画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、前記部位の圧力分布を求める圧力検出ステップを含むことにより達成される。
【0012】
さらに、本発明の上記目的は、コンピュータに、上記の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムによれば、被測定者の部位を接触板に接触させる際に圧力に応じて変化する皮膚の色情報を用いて圧力を求めているので、被測定者の部位の画像から高精度な圧力分布を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る画像解析システムの構成例(第1実施形態)を示す図である。
図2】画像読取装置の使用例及び動作例を説明するための平面図である。
図3】画像解析装置の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。
図4】画像解析システムの動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。
図5】圧力分布の表示例を示す図である。
図6】画像解析装置の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。
図7】画像解析装置の構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。
図8】モアレ画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、被測定者の足裏等の部位を接触板に接触させて撮影された画像(画像情報)に含まれる色情報を用いて圧力分布を求める。人体の表面には毛細血管が張り巡っているので、被測定者の部位を接触板に接触させて、接触した部位の皮膚に圧力を加えると、圧力が加わった箇所の毛細血管が圧迫され、血流が抑制される。人体の皮膚、特に手のひらや足裏の皮膚の色は、毛細血管内の血液の色である赤色を反映した色となっているので、皮膚に圧力が加わっていない通常の血流での皮膚の色と、皮膚に圧力が加わり抑制された血流での皮膚の色には違いが生じる。この違いの大きさは、加える圧力の大きさによって変化するので、皮膚の色を反映した色情報を用いることにより、圧力を推測することができる。このことに基づいて、本発明は画像情報から圧力分布を求める。
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略することがある。また、以下では、本発明を実施するための主要な構成及び動作を中心にして説明しており、本発明を実施するために必要となる汎用的な処理、例えばデータ送受信処理、画面表示処理等については説明を簡略又は省略している。
【0017】
本発明に係る画像解析システムの構成例(第1実施形態)を図1に示す。なお、本実施形態の画像解析システムの解析対象は足裏とするが、その他の人体の部位、例えば手のひら等も解析の対象とすることができる。
【0018】
図1に示されるように、画像解析システム1は、画像読取装置10及び画像解析装置20を備え、画像読取装置10と画像解析装置20はケーブル30で接続されている。
【0019】
画像読取装置10は一般的なコピー機が有しているスキャナ機能と同様な機能を有しており、ガラス板(接触板)11に載置された対象物をスキャンして、画像として取り込む。本実施形態では、被測定者はガラス板11の上に両足を載せて直立した状態となって足裏をスキャンされるので、ガラス板11は被測定者の体重に耐えうる強度が必要であり、例えば耐荷重200kgを持つように設計されており、被測定者の両足が載るだけの十分な面積をもつ矩形状に形成されている。
【0020】
図2は画像読取装置10の平面図である。画像読取装置10は略直方体の形状をしており、面積が広い上面にガラス板11が嵌着されている。図2において、上面の長辺の方向(図2での縦方向)をX軸、短辺の方向(図2での横方向)をY軸とし、右下端を原点とする。被測定者は、つま先と踵を結ぶ線がY軸と略同じ方向で、両足がX軸上で並ぶように、破線で示した位置に、直立した状態で、両足をガラス板11に載せる。
【0021】
画像読取装置10は、装置内部に光源、ミラー、レンズ及び画像読取手段(図示せず)を備え、CCD(Charge Coupled Device)方式で対象物の画像を取り込む。即ち、光源として白色光を用い、ガラス板11に載せられた対象物を、対象物が載せられた面とは反対の面から光源で照らし、その反射光がミラーで反射され、レンズを通って画像読取手段に対象物の像が入力される。光源は、図2(A)に示されるY軸方向の端から端までの1行を照射するようになっており、一定の速度でX軸方向に移動する。よって、画像読取手段には縮小された光の像が帯状に順次入力されることになる。画像読取手段は光信号を電気信号に変換するCCDイメージセンサ、アナログ・デジタル変換を行うA/Dコンバータ等で構成され、順次入力される光の像を、赤(Red)、緑(Green)及び青(Blue)で表現されるRGB色空間の値(以下、「RGB値」とする)に変換し、画像情報Vdとして出力する。Y軸方向の1行分の画像情報Vdは、図2(A)において右から左の順序で出力されるので、画像読取装置10は、図2(B)に示される矢印の順序で、画素単位で画像情報Vdを出力することになる。画像情報VdであるRGB値は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色を256階調(0~255)で表した値となっており、画像情報Vdは画素毎のRGB値であるvr、vg及びvb(i=1,2,…,I、Iは画素数)で構成されている。なお、光源、ミラー、レンズ及び画像読取手段より画像取得部が構成される。
【0022】
このように、画像読取装置10は、一般のコピー機が有する機能の内のスキャン機能のみを応用しているので、ピドスコープ等の従来の画像読取装置に比べると、コンパクトな構造となっている。
【0023】
なお、画像読取装置10は、CCD方式ではなく、CIS(Contact Image Sensor)方式で対象物の画像を取り込んでも良い。この場合、ミラーは不要となり、光源としてRGB3原色のLEDを使用し、画像読取手段ではCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを使用する。また、画像読取装置10は、対象物をスキャンして画像を取り込むのではなく、ガラス板11全体を撮影する機能を搭載し、対象物が載せられた面とは反対の面を1回撮影することにより、対象物の画像を取り込むようにしても良い。
【0024】
画像解析装置20は、画像情報Vdから対象物である足裏にかかる圧力(圧力データPd)を求め、圧力分布として表示する。
【0025】
画像解析装置20の構成例を図3に示す。画像解析装置20は、入力制御部21、画像記憶部22、圧力検出部23及び表示制御部24を備えている。画像解析装置20としては、デスクトップ型パソコンやノートパソコン等を使用し、入力制御部21、圧力検出部23及び表示制御部24は、パソコンで動作するプログラムとして実現される。なお、図3には本実施形態で必要な構成要素のみを示しており、パソコンが有するその他のハードウェア及びソフトウェアの構成要素は示していない。また、画像解析装置20として、パソコンではなく、専用の装置を使用しても良い。
【0026】
入力制御部21は、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させ、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを入力し、画像記憶部22に格納する。
【0027】
画像解析装置20を構成するパソコンの画面上に、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させるための動作開始ボタンを設け、パソコンに接続しているマウス等により動作開始ボタンを押すと、入力制御部21はそのことを検知し、画像読取装置10に対して動作開始信号Sgを送信する。画像読取装置10は、動作開始信号Sgを受信したら、対象物のスキャンを開始する。なお、パソコンの画面上に動作開始ボタンを設けるのではなく、パソコンに接続しているキーボードの任意のキー(例えば、Enterキー等)を動作開始ボタンとして使用しても良い。また、画像解析装置20ではなく、画像読取装置10に動作開始ボタンを設けても良い。この場合、動作開始信号Sgの送受信は不要となるが、動作開始ボタンを押す前に、画像解析装置20を起動させ、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを受信できる状態にしておく必要がある。
【0028】
画像読取装置10からは、図2(B)に示される矢印の順序で画像情報Vdが送信されるので、入力制御部21は、画像読取装置10でのスキャン終了まで画像情報Vdを順次入力し、その順序通りに画像情報Vdを画像記憶部22に格納する。例えば、順次出力される画像情報Vdを、アドレスの昇順で画像情報記憶部22に格納していく。
【0029】
画像記憶部22は、入力制御部21から出力される画像データVdを記憶する。画像記憶部22は、画像読取装置10での1回のスキャンにより生成される画像データVdを1つのファイルとして記憶しても良い。
【0030】
圧力検出部23は、画像記憶部22に記憶されている画像情報Vdから圧力データPdを求める。
【0031】
人体の足裏の色は、病気等による異常がない場合、人種、性別、年齢に関わらず、圧力が加わっていない状態では、メラニンや毛細血管内の血液の色を反映して、肌色(うすだいだい、ペールオレンジ)となっている。足裏に圧力が加わると、毛細血管内の血流が抑制されるので、圧力の大きさに応じて、色が白色に変化していく。このように圧力を加えることにより足裏の色が肌色から白色に変化する現象を利用して、圧力検出部23は、画像情報Vdから圧力データPdを求める。
【0032】
圧力検出部23は、肌色から白色までを16段階に分割し、これに、ガラス板11にて足が載っていない箇所に対応する色(以下、「領域外色」とする)を加えて、17個の色の領域を設定し、画像情報Vd中の各画素が属する領域を決定する。各領域に対して特定の番号を、例えば肌色から白色までの各段階に1~16までの番号(以下、「色番号」とする)と領域外色に0を設定する。色番号1は肌色に対応し、圧力が最も低いことを示し、色番号16は白色に対応し、圧力が最も高いことを示す。圧力データPdは、画素毎に決定された色番号p(以下、「圧力値」とする)で構成される。
【0033】
圧力検出部23は、RGB値を入力とし、圧力値を出力とする関数Fを用いて、画像情報Vdから圧力データPdを求める。画像記憶部22に記憶されている画像情報Vd中のRGB値vr、vg及びvbを格納された順序で読み出し、関数Fを用いて圧力値pを求め、圧力データPdとして順次出力する。関数Fは条件判定も含んだ関数である。例えば、以下の(1)~(5)の処理全体を関数Fとして定義する。
【0034】
(1)RGB値vr、vg及びvbを色相(Hue)、彩度(Saturation)及び明度(Value)で表現されるHSV色空間の値(以下、「HSV値」とする)vh、vs及びvvに変換する。
【0035】
(2)肌色に対応するH(色相)及びV(明度)の範囲(以下、「肌色範囲」とする)を予め設定し、vh及びvvが肌色範囲に属するか判定する。
【0036】
(3)vh及びvvが肌色範囲に属する場合、S(彩度)に対して所定の値から0までに16段階の範囲を予め設定し、vsが属する段階を調べる。各段階には1~16の色番号が割り当てられている。
【0037】
(4)vsが属する段階がある場合、その段階に対して設定されている色番号を圧力値pとする。
【0038】
(5)vh及びvvが肌色範囲に属さない場合、又は、vsが属する段階がない場合、圧力値pを0とする。
【0039】
なお、関数Fとして、上記(2)のように肌色に関連する条件及び上記(3)のように白色に関連する条件(肌色範囲において、S=0は白色に相当する)に基づいた処理を行うのであれば、上記(1)~(5)以外の処理を定義しても良い。
【0040】
表示制御部24は、圧力データPdを圧力分布として表示する。表示制御部24にはディスプレイが接続されており、圧力分布はディスプレイに表示される。圧力データPd中の圧力値pが取りうる値である0及び色番号(1~16)それぞれに対応した色を予め設定し、入力された圧力データPd中の圧力値pに合わせて、対応する色を表示する。例えば、色番号1には青色を設定し、色番号が大きくなるにつれて青色に緑色を徐々に加えた色を設定し、その後、緑色と黄色の混合で黄色を徐々に強くした色、黄色と赤色の混合で赤色を徐々に強くした色、赤色を徐々に薄くした色を設定して、色番号16には白色を設定する。0には黒色を設定する。なお、これ以外の配色を設定しても良い。
【0041】
表示制御部24は、圧力データPd中の圧力値pを、図2(B)の矢印で示される順序で入力することになるので、入力された順番を基に決定される位置に、圧力値pに応じた色を表示する。
【0042】
ケーブル30は、画像読取装置10と画像解析装置20を接続する。ケーブル30として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の有線を使用し、画像読取装置10及び画像解析装置20それぞれが装備するUSBポート等にケーブル30を接続する。画像読取装置10と画像解析装置20を、有線ではなく、無線で接続しても良く、或いは、USBメモリ等の外付け記録媒体へのデータ書き込み機能を画像読取装置10に付加し、外付け記録媒体を介して、画像読取装置10から画像解析装置20へ画像情報Vdを送るようにしても良い。後者の場合、例えば、画像読取装置10により複数の被測定者の画像情報を取得して外付け記録媒体に記録し、後日、画像解析装置20を用いて各被測定者の圧力分布を求めるということも可能となる。
【0043】
このような画像解析システム1の構成において、その動作例及び使用例を図4のフローチャートを参照して説明する。図4において、破線の矢印は画像読取装置10と画像解析装置20の間でのデータの送受信を示す。
【0044】
先ず、画像読取装置10及び画像解析装置20を起動する。
【0045】
被測定者は、画像読取装置10のガラス板11に裸足の状態で両足を載せ、直立した状態となる。この際、通常の状態での圧力分布が得られるように、画像読取装置10は、傾きがない平坦な場所に設置し、被測定者には計測であることを意識せずにリラックスした状態で直立してもらうようにする。被測定者の姿勢が整ったら、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させるために、測定者は画像解析装置20に設けられた動作開始ボタンを押下する。
【0046】
画像解析装置20は動作開始ボタンの押下を検知したら、入力制御部21より動作開始信号Sgを画像読取装置10に送信する(ステップS10)。
【0047】
画像読取装置10は、動作開始信号Sgを受信したら(ステップS20)、被測定者の足裏のスキャンを開始する(ステップS30)。被測定者には、スキャン中は動かないようにしてもらう。
【0048】
画像読取装置10は、光源を一定速度で移動させることにより、ガラス板11に載せられた足裏全体を照射し、その反射光がミラー及びレンズを介して画像読取手段に到達し、画像読取手段により画像情報Vdに変換される。画像情報Vdは、図2(B)の矢印で示される順序で画像解析装置20に送信される(ステップS40)。
【0049】
画像解析装置20は画像情報Vdを受信し(ステップS50)、入力制御部21が、受信した画像情報Vdを画像記憶部22に格納する(ステップS60)。
【0050】
画像情報Vdが画像記憶部22に格納されたら、圧力検出部23は、画像記憶部22から画像情報Vd中のRGB値vr、vg及びvbを読み出す(ステップS70)。そして、関数Fを用いて、圧力値pを求め(ステップS80)、表示制御部24に出力する。
【0051】
表示制御部24は圧力値pを入力し、予め設定された色の中から圧力値pに対応する色を決定し、入力した順番に応じたディスプレイ上の位置に、決定した色を表示する(ステップS90)。
【0052】
ステップS70~S90を、画像記憶部22に記憶された画像情報Vd中の全てのRGB値に対して実行する(ステップS100)。
【0053】
なお、画像解析装置20に、圧力分布の表示を開始するボタンを、動作開始ボタンと同様の形態で用意し、そのボタンが押されたら、ステップS70~S100を実行するようにしても良い。
【0054】
表示された圧力分布の例を図5に示す。図5ではグレースケールで圧力分布を示しているので、実際の色とは異なる色での表現となっている。このように、足裏の圧力分布をカラーで表示することにより、圧力の違いを分かり易く把握することができるので、足の内側及び外側並びに前及び後ろに圧力がどのようにかかっているのか、足の指がそれぞれ接地しているのか等、体のバランスを容易に確認することができる。また、顧客一人ひとりの足に合わせて設計して作るオーダーメイドの靴の中敷きであるオーダーインソールの作成のためのデータとしても、この圧力分布を利用することができる。なお、本実施形態では、足裏の圧力分布を16段階で表現しているが、それ以外の段数の段階で表現しても良い。但し、複数の段階で圧力分布を表現する場合、使用する段数が少な過ぎると、情報量として乏しく、有用性に欠ける圧力分布となってしまい、使用する段数が多過ぎると、煩雑な圧力分布となってしまい、圧力分布の傾向を把握しづらい等、この場合も有用性に欠ける圧力分布となってしまうおそれがあるので、16段階程度で表現するのが、有用性が高い圧力分布を得るためには好適である。
【0055】
なお、画像読取装置10は、図2(B)に示される矢印の順序で画像情報Vdを出力し、画像解析装置20は、その順序に従って圧力データPdを求め、表示しているので、ディスプレイの画面上での表示位置は一意に決まるが、画像情報Vdに座標値等の位置情報を付加し、位置情報を基に表示位置を決めるようにしても良い。また、画像記憶部22はRGB値からなる画像情報Vdを記憶しているが、記憶容量の削減等のために、圧縮された画像情報を記憶するようにしても良い。更に、画像読取装置10から画像解析装置20に送信される画像情報Vdは、画像記憶部22に格納され、圧力検出部23は画像記憶部22内の画像情報Vdから圧力データPdを求めているが、画像情報Vdを画像記憶部22に格納せず、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを順次用いて圧力データPdを求めるようにしても良い。この場合、画像記憶部22は不要となる。
【0056】
本発明の他の実施形態について説明する。
【0057】
画像解析装置にプリンタ等を接続して印刷機能を付加し、圧力分布を印刷することも可能である。この場合の画像解析装置の構成例(第2実施形態)を図6に示す。第1実施形態の画像解析装置20と比べると、第2実施形態の画像解析装置40では、圧力データ記憶部25及び印刷制御部26が追加されており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0058】
圧力データ記憶部25は、圧力検出部23から出力される圧力データPdを記憶する。圧力データPdは、図2(B)の矢印で示される順序と同じ順序で出力されるので、圧力データ記憶部25でも、その順序を保持するように圧力データPdが記憶される。例えば、順次出力される圧力データPdを、アドレスの昇順で圧力データ記憶部25に記憶していく。
【0059】
印刷制御部26にはプリンタ(図示せず)が接続されている。印刷制御部26は圧力データ記憶部25に記憶された圧力データPd中の圧力値pを順次入力し、表示制御部24と同様の手順により圧力値pに対応した色を決定し、プリンタに出力し、圧力分布を印刷する。
【0060】
なお、表示制御部24も、圧力検出部23から圧力データPdを入力するのではなく、圧力データ記憶部25に記憶された圧力データPdを使用するようにしても良い。また、圧力データPdを記憶するのではなく、圧力データPd中の圧力値pに対応した色を記憶するようにしても良い。この場合、印刷制御部26での色の決定を省略することができる。表示制御部24を削除し、圧力分布の出力をプリンタによる印刷のみに特化しても良い。
【0061】
第1実施形態では、画像情報Vdから圧力分布のみを求めているが、画像情報Vdからはその他にも有用な情報を抽出することができるので、それらを求めることも可能である。この場合の画像解析装置の構成例(第3実施形態)を図7に示す。第1実施形態の画像解析装置20と比べると、第3実施形態の画像解析装置50では、関連情報抽出部27が追加され、表示制御部24が表示制御部54に代わっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0062】
関連情報抽出部27は、画像記憶部22に記憶された画像情報Vdから被測定者の足裏に関連する情報を抽出し、関連情報Rdとして表示制御部54に出力する。関連情報として、例えば、モアレ画像、重心位置、足裏の長さ及び横幅、足指の角度等を抽出する。
【0063】
モアレ画像は、モアレと呼ばれる光の干渉の現象を利用して、様々な物体の等高線を描く方法であるモアレ・トポグラフィーにより生成された画像のことである。モアレ画像の例を図8に示す。モアレ画像を利用することにより、目視では確認が難しい足裏の凹凸等の足裏の形を詳細に確認することが可能となる。例えば、土踏まずの形状がどうなっているか、タコや魚の目等がないか、等を確認することができる。
【0064】
重心位置は、例えば足裏が接地している面積の量を基に算出する。重心位置と圧力分布を比較することにより、体の歪み等を推測することができる。
【0065】
足指の角度として、例えば親指の角度(外反母趾角)、小指の角度(内反小趾角)、開帳角(FICK角)を求める。足裏の画像にこれらの値を表示させることにより、外反母趾や内反小趾の診断に利用することができる。
【0066】
画像記憶部22に記憶された画像情報及び/又は第2実施形態での圧力データ記憶部25に記憶された圧力データを、解析が終了した後も記憶したままとするか、或いは他の外部記録媒体に記録することにより、過去の解析結果との比較を可能とすることができる。これにより、治療や施術による効果、体のバランスの経年変化等を確認することが可能となる。
【0067】
上述の実施形態は、画像記憶部及び圧力データ記憶部をメモリとして、それ以外の構成要素の処理を、上述のようにプログラムとして実現することにより、コンピュータとメモリの構成で実現可能である。各構成要素は専用IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアでも実現可能である。また、本発明は、上述の画像読取装置及び画像解析装置を備える画像解析システムとして実現しても、画像情報は既存製品等を利用して取得するようにして、画像解析装置として実現しても良い。更に、本発明は、方法又はプログラムとしての形態を取ることも可能である。
【0068】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像解析システム
10 画像読取装置
11 ガラス板
20、40、50 画像解析装置
21 入力制御部
22 画像記憶部
23 圧力検出部
24、54 表示制御部
25 圧力データ記憶部
26 印刷制御部
27 関連情報抽出部
30 ケーブル

【要約】
【課題】足裏画像等の画像情報から高精度な圧力分布を求めることができる画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムを提供する。
【解決手段】被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、画像情報を用いて部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムであって、画像読取装置が、被測定者の部位が接触する接触板と、接触板に対して、部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、画像情報を取得する画像取得部と、を備え、画像解析装置が、画像情報に含まれ、少なくとも赤色に関する情報を含む色情報を用いて、部位の圧力分布を求める圧力検出部を備える。
【選択図】図1
図1
図2
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図6
図7
図8