(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/18 20060101AFI20220901BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20220901BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220901BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/175 121
B41J2/01 307
B41J2/175 501
B41J2/165 205
(21)【出願番号】P 2021183855
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596117773
【氏名又は名称】株式会社トライテック
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一義
(72)【発明者】
【氏名】矢代 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石原 巧也
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-106374(JP,A)
【文献】特開2002-086763(JP,A)
【文献】特開2020-044823(JP,A)
【文献】特開2009-029111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297546(US,A1)
【文献】特開平03-293152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容する収容室
、前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置する接続口、及び、当該インクの液面よりも前記上方に位置する圧力調整口を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有
し、前記インクタンクよりも鉛直方向における下方に位置する記録ヘッドと、
一端が前記排出口と接続され、他端が前記接続口に接続された連通部と
、
前記圧力調整口から、前記収容室に収容されたインクの液面よりも前記上方に位置する前記収容室の内部空間に負圧を付与する負圧付与手段と、を備え、
前記記録ヘッドの前記ノズル列がインクを吐出可能な状態において、前記連通部は、前記排出口の内部と、前記収容室の内部空間とを連通させており、
前記排出口から前記連通部に排出されて前記連通部の中にあるインクの液面は、前記負圧付与手段により前記収容室の内部空間に付与された負圧によって、前記接続口よりも前記下方で且つ前記収容室に収容されたインクの液面と対応した高さに維持される、
インクジェット記録装置。
【請求項2】
インクを収容する収容室を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有する記録ヘッドと、
前記排出口と連通する連通部と、を備え、
前記連通部は、一端が前記排出口と接続され、他端が前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置し、
前記インクタンクは、前記記録ヘッドよりも前記上方に位置し、
前記収容室及び前記連通部の各々の内部空間には負圧が付与され
、
前記記録ヘッドは、前記ノズル列を構成する1のノズルが他の1のノズルよりも前記上方に位置するよう配置されており、前記排出口は、前記流入口よりも前記上方に位置する、
インクジェット記録装置。
【請求項3】
インクを収容する収容室を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有する記録ヘッドと、
前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置する三方弁を含み、前記排出口と連通する連通部と
、
前記三方弁の状態、前記収容室の内部空間の圧力、及び前記インクタンクへのインクの供給を制御し、前記記録ヘッドの中のインクを廃液した後に前記インクタンクへインクを供給する廃液後供給処理を実行可能である制御手段と、を備え、
前記連通部は、一端が前記排出口と接続され、他端が
前記収容室と接続されると共に前記収容室に収容されたインクの液面よりも
前記上方に位置し、
前記排出口の内部と前記収容室の内部空間とを連通させ、
前記インクタンクは、前記記録ヘッドよりも前記上方に位置し、
前記収容室及び前記連通部の各々の内部空間には負圧が付与され
、
前記三方弁は、
1つの弁が前記連通部から分岐する廃液管と接続され、
前記排出口から前記収容室に至る第1流路を開放する一方で前記排出口から前記廃液管に至る第2流路を遮断する第1の状態と、前記第2流路を開放する一方で前記第1流路を遮断する第2の状態とに制御され、
前記収容室の内部空間に負圧が付与された状態では前記第1の状態に制御され、
前記廃液後供給処理は、
前記三方弁を前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えるとともに前記収容室の内部空間を加圧して、前記廃液管からインクの廃液を行う廃液処理と、
前記三方弁を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えるとともに前記収容室の内部空間に負圧を付与し、前記インクタンクへインクを供給する供給処理と、を含む、
インクジェット記録装置。
【請求項4】
前記収容室及び前記連通部の各々の内部空間に負圧が付与された状態では、前記排出口から前記連通部に排出されたインクの液面は、前記収容室に収容されたインクの液面と対応した高さに維持される、
請求項
2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドは、前記ノズル列を構成する1のノズルが他の1のノズルよりも前記上方に位置するよう配置されており、前記排出口は、前記流入口よりも前記上方に位置する、
請求項
1又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記連通部は、前記他端が前記収容室と接続され、前記排出口の内部と前記収容室の内部空間とを連通させる、
請求項
2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記連通部は、前記収容室に収容されたインクの液面よりも前記上方に位置する三方弁を含み、
前記三方弁は、
1つの弁が前記連通部から分岐する廃液管と接続され、
前記排出口から前記収容室に至る第1流路を開放する一方で前記排出口から前記廃液管に至る第2流路を遮断する第1の状態と、前記第2流路を開放する一方で前記第1流路を遮断する第2の状態とに制御され、
前記収容室の内部空間に負圧が付与された状態では前記第1の状態に制御される、
請求項
1又は6に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクをノズル列から水平方向に向けて吐出する記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置が記載されている。このノズル列は、複数のノズルが鉛直方向に配列されて構成され、各ノズルには記録ヘッド内の共通液室からインクが供給される。
【0003】
上記構成において何の対策も施さなければ、ノズル列を構成する各ノズル内のインクの水圧はノズルの高さに応じて変化するため、インクの吐出状態が不均一になるという問題がある。この問題に対処すべく、特許文献1に記載の装置は、インクタンクと記録ヘッドの間でインクを循環させる送液手段によって、共通液室内のインクに共通液室の上端部側から下端部側に向かう流れを生じさせることで、インクの吐出状態の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクの吐出方向が水平方向である場合に限らず上記と同様の問題が生じ得る。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、送液手段とこれを制御する構成が必須であり、機構の複雑化を招く虞がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡潔な機構で、インクの吐出状態の不均一を軽減することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るインクジェット記録装置は、
インクを収容する収容室、前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置する接続口、及び、当該インクの液面よりも前記上方に位置する圧力調整口を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有し、前記インクタンクよりも鉛直方向における下方に位置する記録ヘッドと、
一端が前記排出口と接続され、他端が前記接続口に接続された連通部と、
前記圧力調整口から、前記収容室に収容されたインクの液面よりも前記上方に位置する前記収容室の内部空間に負圧を付与する負圧付与手段と、を備え、
前記記録ヘッドの前記ノズル列がインクを吐出可能な状態において、前記連通部は、前記排出口の内部と、前記収容室の内部空間とを連通させており、
前記排出口から前記連通部に排出されて前記連通部の中にあるインクの液面は、前記負圧付与手段により前記収容室の内部空間に付与された負圧によって、前記接続口よりも前記下方で且つ前記収容室に収容されたインクの液面と対応した高さに維持される。
(2)上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るインクジェット記録装置は、
インクを収容する収容室を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有する記録ヘッドと、
前記排出口と連通する連通部と、を備え、
前記連通部は、一端が前記排出口と接続され、他端が前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置し、
前記インクタンクは、前記記録ヘッドよりも前記上方に位置し、
前記収容室及び前記連通部の各々の内部空間には負圧が付与され、
前記記録ヘッドは、前記ノズル列を構成する1のノズルが他の1のノズルよりも前記上方に位置するよう配置されており、前記排出口は、前記流入口よりも前記上方に位置する。
(3)上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るインクジェット記録装置は、
インクを収容する収容室を有するインクタンクと、
前記インクタンクからのインクが流入する流入口、前記流入口から流入したインクを被記録媒体に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列、及び、前記流入口から流入したインクを排出する排出口を有する記録ヘッドと、
前記収容室に収容されたインクの液面よりも鉛直方向における上方に位置する三方弁を含み、前記排出口と連通する連通部と、
前記三方弁の状態、前記収容室の内部空間の圧力、及び前記インクタンクへのインクの供給を制御し、前記記録ヘッドの中のインクを廃液した後に前記インクタンクへインクを供給する廃液後供給処理を実行可能である制御手段と、を備え、
前記連通部は、一端が前記排出口と接続され、他端が前記収容室と接続されると共に前記収容室に収容されたインクの液面よりも前記上方に位置し、前記排出口の内部と前記収容室の内部空間とを連通させ、
前記インクタンクは、前記記録ヘッドよりも前記上方に位置し、
前記収容室及び前記連通部の各々の内部空間には負圧が付与され、
前記三方弁は、
1つの弁が前記連通部から分岐する廃液管と接続され、
前記排出口から前記収容室に至る第1流路を開放する一方で前記排出口から前記廃液管に至る第2流路を遮断する第1の状態と、前記第2流路を開放する一方で前記第1流路を遮断する第2の状態とに制御され、
前記収容室の内部空間に負圧が付与された状態では前記第1の状態に制御され、
前記廃液後供給処理は、
前記三方弁を前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えるとともに前記収容室の内部空間を加圧して、前記廃液管からインクの廃液を行う廃液処理と、
前記三方弁を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えるとともに前記収容室の内部空間に負圧を付与し、前記インクタンクへインクを供給する供給処理と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡潔な機構で、インクの吐出状態の不均一を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す図。
【
図2】同上実施形態に係る記録ヘッドの一部斜視図。
【
図3】同上実施形態に係るクリーニング処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の一実施形態に係るインクジェット記録装置100は、
図1に示すように、記録ヘッド1と、サブタンク2と、連通部3と、メインタンク4と、補充用ポンプ5と、圧力調整用ポンプ6と、制御部7と、廃液タンク8とを備える。
【0012】
インクジェット記録装置100は、被記録媒体9に対して記録ヘッド1からインクの液滴を水平方向に吐出することで被記録媒体9に印刷を行う水平吐出方式の装置である。なお、
図1においては、左右方向が水平方向に相当し、上下方向が鉛直方向に相当する。また、以下の説明で用いる上下方向は、鉛直方向に沿う上下方向を指す。また、
図1は、主に、記録ヘッド1、サブタンク2及び後述の三方弁30の位置関係を容易に把握できるようにインクジェット記録装置100の各構成を模式的に表したものである。
図1に示す各部の大きさ、形状などが図示の態様に限定されないことは勿論である。
【0013】
記録ヘッド1と被記録媒体9の少なくとも一方は、図示せぬ移動手段によって移動可能であり、制御部7は、当該移動手段の移動を制御することで記録ヘッド1と被記録媒体9の相対位置及び相対移動を制御する。例えば、記録ヘッド1を移動させる移動手段としては、ボールねじ、リニアモーター、ロボットアーム等を採用することができる。また、例えば、被記録媒体9を移動させる移動手段としては、駆動手段が接続されたテーブル、コンベア、ロールtoロール搬送機、ロボットアーム等を採用することができる。このインクジェット記録装置100は、マルチパス方式(シリアルヘッド方式とも呼ばれる)とシングルパス方式(ラインヘッド方式とも呼ばれる)のいずれの方式にも適用可能である。また、被記録媒体9は、例えば、紙、フィルム、シート、鋼板、木材、ガラス板、その他板材、缶、瓶、その他円筒物、箱、容器などの各種基材、資材であり、その種別は限定されない。
【0014】
記録ヘッド1は、筐体10と、流入口11と、インク室12と、排出口13と、ノズル列14とを備える。
【0015】
筐体10は、直方体状をなし、その長手方向に沿う2つの側面として、第1側面10a及び第2側面10bを有する。第1側面10aにはノズル列14が設けられる、第2側面10bには流入口11及び排出口13が設けられる。流入口11は、サブタンク2からのインクが流入する筒状部である。インク室12は、筐体10の内部に設けられ、流入口11から流入したインクを収容する。インク室12の一端は流入口11と繋がり、他端は排出口13と繋がっている。インク室12は、ノズル列14の背後に位置するインク流路12aを有する。排出口13は、インク室12内のインクを記録ヘッド1の外部に排出するための筒状部である。例えば、流入口11及び排出口13は、それぞれ、第2側面10bから突出して設けられている。
【0016】
図2に示すように、ノズル列14は、被記録媒体9に吐出する複数のノズル14aが配列されて構成される。ノズル列14は、第1側面10aに沿って面状に構成される。複数のノズル14aは、例えば、一定のピッチで配列される。この実施形態では、被記録媒体9に向いている状態のノズル列14は、鉛直方向に沿う。複数のノズル14の各々は、インク流路12aと連通する。複数のノズル14aには、インク流路12aからインクが供給される。記録ヘッド1は、制御部7の制御の下、各ノズル14aからインクの液滴を吐出して被記録媒体9に着弾させる。
【0017】
この実施形態の記録ヘッド1は、ノズル列14を構成する1のノズル14aが他の1のノズル14aよりも上方に位置するように縦置き配置されている。このように記録ヘッド1が縦置き配置されている状態(つまり、記録ヘッド1のノズル列14が被記録媒体9に向いている状態)では、流入口11は第2側面10bの下端部に位置し、排出口13は第2側面10bの上端部に位置する。つまり、当該状態では、排出口13は、流入口11よりも上方に位置する。この位置関係により、記録ヘッド1にインクを充填する際に、当該インク内、及び、インク室12内の気泡が除去され易い。
【0018】
サブタンク2は、記録ヘッド1に供給するインクを収容する。サブタンク2は、収容室20と、流入口11に供給管25によって接続される供給口21と、排出口13に連通部3を介して接続される接続口22と、圧力調整用ポンプ6に接続される圧力調整口23と、補充用ポンプ5を介してメインタンク4に接続される補充口24とを備える。
【0019】
収容室20は、サブタンク2内に形成され、供給口21、接続口22、圧力調整口23及び補充口24の各々と連通する。インクジェット記録装置100の動作状態が、ノズル列14から被記録媒体9にインクを吐出可能である通常動作状態である場合、収容室20の内部空間20sには負圧(大気圧よりも低い状態)が付与される。この内部空間20sは、収容室20にインクが収容されている場合においては、当該インクの液面Sの上方に位置する空間である。供給口21、接続口22、圧力調整口23及び補充口24はそれぞれ筒状をなす。供給口21は、サブタンク2の底部に設けられる。接続口22、圧力調整口23及び補充口24は、サブタンク2の天面部に設けられる。なお、供給口21、接続口22、圧力調整口23及び補充口24は、各機能を損なわない限りにおいてその設置箇所は任意である。
【0020】
連通部3は、記録ヘッド1の排出口13の内部とサブタンク2の内部空間20sとを連通させる構成である。連通部3は、その一端3dが排出口13と接続され、その他端3uが接続口22と接続される。連通部3は、三方弁30と、第1の管31と、第2の管32とを含む。
【0021】
三方弁30は、液面Sよりも上方に位置し、第1の弁30a、第2の弁30b及び第3の弁30cを備える。第1の弁30aは、第1の管31を介して記録ヘッド1の排出口13に接続される。第2の弁30bは、第2の管32を介してサブタンク2の接続口22に接続される。本実施形態では、第1の管31における排出口13との接続箇所が連通部3の一端3dであり、第2の管32における接続口22との接続箇所が連通部3の他端3uである。第3の弁30cは、廃液タンク8にインクを流すための廃液管8aと接続される。
【0022】
三方弁30は、例えば、電磁弁、調節弁などからなり、制御部7の制御により状態が制御される。当該状態は、第1の弁30a及び第2の弁30bが開かれ、且つ、第3の弁30cが閉じられる第1の状態と、第1の弁30a及び第3の弁30cが開かれ、且つ、第2の弁30bが閉じられる第2の状態とを少なくとも含む。第1の状態の三方弁30は、排出口13から収容室20に至る第1流路を開放する一方で排出口13から廃液管8aに至る第2流路を遮断する。第2の状態の三方弁30は、第2流路を開放する一方で第1流路を遮断する。インクジェット記録装置100が前述の通常動作状態である場合、三方弁30は、第1の状態に制御される。これにより、記録ヘッド1の排出口13とサブタンク2の内部空間20sとが連通した状態となる。
【0023】
メインタンク4は、サブタンク2に補充するためのインクを収容する。
【0024】
補充用ポンプ5は、サブタンク2とメインタンク4とを接続する流路間に介在して設けられる。補充用ポンプ5は、制御部7の制御により動作し、メインタンク4のインクをサブタンク2へ補充する。制御部7は、サブタンク2内のインクの液面Sの位置を検出する液面センサ(図示せず)からの信号に基づき、サブタンク2内のインクが設定された液量に維持されるように補充用ポンプ5を駆動することでメインタンク4からサブタンク2へインクを補充する。
【0025】
圧力調整用ポンプ6は、収容室20の内部空間20sの圧力を調整するための構成であり、制御部7の制御により動作する。インクジェット記録装置100が前述の通常動作状態である場合、制御部7は、圧力調整用ポンプ6を駆動して、内部空間20sに負圧を付与する。
【0026】
制御部7は、インクジェット記録装置100の全体動作を制御するものであり、例えばPLC(Programmable Logic Controller)等のコンピュータから構成される。具体的に、制御部7は、(i)前記の移動手段を介した記録ヘッド1及び被記録媒体9の相対位置及び相対移動制御、(ii)記録ヘッド1の吐出動作制御、(iii)補充用ポンプ5の動作制御、(iv)圧力調整用ポンプ6の動作制御、(v)三方弁30の状態制御、等の各種制御を実行可能である。制御部7は、内蔵のメモリに記憶しているプログラムを実行することにより、これら各種の制御、後述のクリーニング処理などを実行する。
【0027】
例えば、制御部7は、キーボード、マウス、タッチパネル等からなる図示せぬ入力装置と接続される。入力装置からの指示に応じて、制御部7は、インクジェット記録装置100を通常動作状態とし、記録ヘッド1から被記録媒体9へインクを吐出可能とする。そして、制御部7は、メモリ内に用意され、被記録媒体9に対する記録内容を示す記録用データに基づき、記録ヘッド1及び被記録媒体9の相対位置及び相対移動を制御しつつ、記録ヘッド1にインクを吐出させ、被記録媒体9に対する記録(印刷)を行う。なお、制御部7は、1つのコンピュータに限られず、協働する複数のコンピュータから構成されてもよい。
【0028】
例えば、制御部7は、サブタンク2の収容室20内を負圧に制御する際、以下のように制御する。インクジェット記録装置100は、
図1に示すように、収容室20内の圧力を検出する圧力センサ6aをさらに備える。制御部7は、圧力センサ6aが検出した圧力(以下、検出圧力)が予め定められた目標負圧値になるように、目標負圧値と検出圧力との差分を偏差とするフィードバック制御を実行する。目標負圧値は、流入口11付近(流入口11の内部も含む)におけるインクの水圧が所望の値(例えば0.5kPa程度)になるように実験を経て予め定められる。この目標負圧値は、記録ヘッド1の各ノズル14aに充填されるインクが、ノズル14aの開口部において安定した吐出のために適切なメニスカス形状を維持可能な値に設定される。また、目標負圧値は、記録ヘッド1の各ノズル14aからインクが垂れ落ちることを防止可能な値に設定されている。
【0029】
以上のようにして、制御部7は、通常動作状態では収容室20内を一定の負圧に制御する。なお、一定の負圧に制御するとは、目標負圧値に近付くように負圧を制御することを指し、負圧の実測値が常に一定であることに限定されない。また、制御部7が実行するフィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御などの周知の手法を用いることができる。また、
図1では、圧力センサ6aが圧力調整口23の近傍に設けられる例を示したが、収容室20内の圧力を検出できれば、圧力センサ6aの設置箇所は任意に変更可能である。
【0030】
ここで、記録ヘッド1からインクを水平方向に吐出する水平吐出方式では、何の対策も施さなければ、前述のように、ノズル列14を構成する各ノズル14a内のインクの水圧はノズルの高さに応じて変化するため、インクの吐出状態が不均一になるという問題がある。つまり、ノズル列14における下部のノズル14aと上部のノズル14aとの間に生じる水圧差により、下部のノズル14aよりも上部のノズル14aにはインクが届き難いという問題が生じる。この問題に対処すべく、この実施形態の制御部7は、通常動作状態において、サブタンク2の収容室20内を負圧に制御するとともに、三方弁30を第1の状態に制御して連通部3によって記録ヘッド1の排出口13と収容室20を連通させる。
【0031】
収容室20内を負圧に制御するとともに三方弁30を第1の状態に制御することで、連通部3の内部空間3sが収容室20の内部空間20sと同じ負圧になり、排出口13から連通部3(具体的に、第1の管31)に排出されたインクの液面S1は、収容室20のインクの液面Sと同じ高さになる。このため、記録ヘッド1へは、サブタンク2内のインクが流入口11を経て供給されるだけでなく、第1の管31内のインクも排出口13を経て供給されることになる。つまり、この実施形態の排出口13は、単に記録ヘッド1からインクを排出する役割だけでなく、第1の管31内のインクを記録ヘッド1に供給するための役割を果たす。これにより、ノズル列14における上部のノズル14aへのインクの供給条件は、下部のノズル14aと同様の条件となる。また、連通部3の内部空間3sから収容室20の内部空間20sに至る負圧の空間がいわばエアダンパーとして機能し、記録ヘッド1の排出口13側に充填されているインクの水圧の変動を吸収することができる。
【0032】
また、サブタンク2が記録ヘッド1よりも上方に位置し、且つ、接続口22がインクの液面Sよりも上方に位置する構成のインクジェット記録装置100において、以上のように負圧の空間を生じさせることにより、収容室20内のインクの液面Sと、連通部3内のインクの液面S1との高さを同じに保つことができる。つまり、当該構成により、排出口13から連通部3に排出されたインクは収容室20に到達しない。ここで、インクが連通部3を通って収容室20に到達してしまうと、収容室20内のインクの液面Sと、連通部3内のインクの液面S1の高さを同じに保てず、結果として記録ヘッド1内のインクの水圧が変動してしまう虞があるが、上記作用によりこのような事態が発生するのを防止することができる。
【0033】
この実施形態のインクジェット記録装置100によれば、以上のように生じる負圧の空間により、ノズル列14の各ノズル14aに対するインクの水圧条件をほぼ一様にすることができ、結果として、インクの吐出状態の不均一を軽減することができる。
【0034】
制御部7は、通常動作状態において収容室20内を負圧に制御するとともに三方弁30を第1の状態に制御するだけでなく、必要に応じて、
図3に示すクリーニング処理を実行する。クリーニング処理の実行開始の契機は予め定められていればよく、任意に設定可能である。例えば、制御部7は、入力装置からの指示に応じてクリーニング処理を開始してもよいし、予め定めた期間の経過毎に自動的にクリーニング処理を開始してもよい。以下、クリーニング処理について説明する。
【0035】
(クリーニング処理)
制御部7は、クリーニング処理を開始すると、通常動作状態では第1状態であった三方弁30を第2状態に切り替える(ステップS1)。これにより、排出口13から収容室20に至る第1流路が遮断される一方で、排出口13から廃液管8aに至る第2流路が開放され、通常動作状態からインクの廃液準備状態へ遷移する。なお、廃液管8aの経路には、図示せぬ逆止弁が設けられる。この逆止弁により、ステップS1から次に説明するステップS2までの間に、前回のクリーニング処理の際に廃液管8aの中に残ったインクが連通部3へ逆流してしまうことを防止することができる。
【0036】
続いて、制御部7は、圧力調整用ポンプ6の動作を制御してサブタンク2の収容室20を加圧し(ステップS2)、加圧の開始から予め定めた期間の経過後、収容室20の加圧を停止する(ステップS3)。これにより、サブタンク2及び記録ヘッド1内のインクは、排出口13から第1の管31に排出されていき、第1の管31から廃液管8aを通って廃液タンク8に廃液される。つまり、ステップS1からS3までの処理は、廃液管8aからインクの廃液を行う廃液処理に相当する。
【0037】
続いて、制御部7は、三方弁30を、第2状態から第1状態に切り替える(ステップS4)。これにより、排出口13から収容室20に至る第1流路が開放される一方で、排出口13から廃液管8aに至る第2流路が遮断され、インクジェット記録装置100はインクの供給準備状態となる。
【0038】
続いて、制御部7は、サブタンク2の収容室20の大気開放を行う(ステップS5)。例えば、制御部7は、圧力調整用ポンプ6に設けられた大気開放弁を開状態に制御することで大気開放を行う。このステップS5は、加圧によって内部空間20sに正圧が付与されていた状態から、次に説明するように内部空間20sに負圧を付与するステップS6へ移行する準備のための工程である。
【0039】
続いて、制御部7は、収容室20を負圧に制御する(ステップS6)。例えば、制御部7は、圧力調整用ポンプ6の動作を制御し、前記の大気開放弁を閉じた後、圧力センサ6aの検出圧力を監視しつつ、予め定めた目標負圧値を実現すべく収容室20内の圧力を制御する。
【0040】
続いて、制御部7は、補充用ポンプ5の動作を制御してメインタンク4からサブタンク2へインクを補充し、これによりサブタンク2から記録ヘッド1にインクを供給する(ステップS7)。なお、制御部7は、前記の液面センサからの信号を監視して、サブタンク2内のインクが設定された液量となるように補充用ポンプ5を駆動する。つまり、ステップS4からS7までの処理は、サブタンク2(インクタンクの一例)へインクを供給する供給処理に相当する。
【0041】
続いて、制御部7は、記録ヘッド1のワイピングを実行し(ステップS8)、クリーニング処理を終了する。具体的に、ワイピングを実行する制御部7は、ゴム、不織布などから構成される図示せぬワイパーを動作させてノズル列14に付着したインクを拭き取る。クリーニング処理の説明は以上である。クリーニング処理の実行後、制御部7は、通常動作状態に復帰する。
【0042】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0043】
以上では、連通部3によって排出口13と収容室20を接続する例を示したが、連通部3は収容室20に接続されていなくともよい。例えば、連通部3は、一端3dが排出口13と接続され、他端3uが収容室20に収容されたインクの液面Sよりも鉛直方向における上方に位置していればよい。そして、このように設けた連通部3の内部空間3sに、収容室20の内部空間20sに付与される負圧と同じ負圧を付与することで、前述と同じ原理で、インクの吐出状態の不均一を軽減することができる。また、連通部3が収容室20に接続されているか否かにかかわらず、連通部3に排出されたインクの液面S1は、収容室20に収容されたインクの液面Sと対応した高さに維持されればよい。当該対応した高さとは、必ずしも、液面Sの高さと同一になる液面S1の高さに限られるものでなく、液面Sに対する液面S1の高さが変動又は変位する場合も含む。液面S1及び液面Sの相対的な高さは、それぞれに負圧が付与された連通部3の内部空間3sと収容室20の内部空間20sとが、前述のようにエアダンパーとして機能することができる限りにおいては任意である。
【0044】
以上では説明の理解を容易にするため、記録ヘッド1のノズル列14が1列で構成される例を示したが、複数列で構成されてもよいことは勿論である。記録ヘッド1として周知の構成を任意に適用可能である。例えば、1色のインクを吐出する記録ヘッド1に複数のノズル列14を設け、当該複数のノズル列14から当該1色のインクを吐出する構成を採用してもよい。また、例えば、C(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(Key plate)の各色のインクに対応して、記録ヘッド1のノズル列14は4列設けられていてもよい。このように各色のインクに対応するノズル列14を設けた場合、各色に対応した数のサブタンク2及びメインタンク4をインクジェット記録装置100に設けると共に各サブタンク2内を負圧に制御し、負圧に制御された空間と記録ヘッド1において各色に対応して設けられる排出口13とを連通部3で連通させればよい。
【0045】
以上では、記録ヘッド1がインクを水平方向に吐出する例を示したが、記録ヘッド1のインクの吐出方向は任意に変更可能であり、限定されない。例えば、記録ヘッド1は、鉛直方向に対して斜めの方向にインクを吐き出す構成であってもよい。この構成においてもインクの吐出状態が不均一になるという問題が生じるため、上記技術が有用である。なお、記録ヘッド1は、鉛直方向に対して斜めの方向にインクを吐き出す構成であっても、ノズル列14を構成する1のノズル14aが他の1のノズル14aよりも上方に位置するよう配置され、且つ、排出口13が流入口11よりも上方に位置することが好ましい。こうすれば、前述の通り、記録ヘッド1にインクを充填する際に、当該インク内、及び、インク室12内の気泡が除去され易いためである。さらには、記録ヘッド1は、鉛直方向に沿う上方又は下方にインクを吐出する構成であってもよい。この構成ではノズル列14を構成する各ノズル14aに高低差が生じないものの、記録ヘッド1の内部構造などに起因して各ノズル14a内のインクの水圧に変動が生じる可能性がある。このような場合には上記技術が有用である。
【0046】
圧力調整用ポンプ6は、負圧及び正圧の調整機能を有していればよく、例えば、負圧ポンプと正圧ポンプの組み合わせから構成されてもよい。
【0047】
記録ヘッド1の流入口11及び排出口13の少なくともいずれかに対応した位置に、ダンパーを追加して設けることで、より良好にインクの吐出状態の不均一を軽減してもよい。ダンパーとしては、エアチャンバー、チューブダンパー、膜ダンパー等の周知の構成を適宜採用することができる。
【0048】
以上では、三方弁30の状態を制御部7で制御する例を示したが、三方弁30の状態は手動で制御されてもよい。また、以上では、三方弁30を利用してクリーニング処理を実行可能な例を示したが、三方弁30及びクリーニング処理を省略してもよい。この場合、例えば、連通部3を1つの管によって構成し、インクジェット記録装置100をより簡潔な構成とすることができる。
【0049】
以上で説明したクリーニング処理を構成する各処理につき、一部の順序を変更してもよいし、一部処理を省略してもよい。例えば、ステップS1とS2の順序を入れ替えてもよいし、ステップS5の処理を省略してもよい。また、ステップS8の処理を省略してもよい。
【0050】
以上に説明したインクジェット記録装置100によれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1)インクジェット記録装置100は、インクを収容する収容室20を有するサブタンク2(インクタンクの一例)と、サブタンク2からのインクが流入する流入口11、流入口11から流入したインクを被記録媒体9に吐出する複数のノズル14aが配列されて構成されるノズル列14、及び、流入口11から流入したインクを排出する排出口13を有する記録ヘッド1と、排出口13と連通する連通部3と、を備える。連通部3は、一端3dが排出口13と接続され、他端3uが収容室20に収容されたインクの液面Sよりも鉛直方向における上方に位置する。サブタンク2は、記録ヘッド1よりも上方に位置し、収容室20及び連通部3の各々の内部空間20s,3sには負圧が付与される。
上記(1)の構成によれば、前述のように、ノズル列14の各ノズル14aに対するインクの水圧条件をほぼ一様にすることができ、結果として、インクの吐出状態の不均一を軽減することができる。また、収容室20及び連通部3の各々の内部空間20s,3sに負圧を付与するだけでインクの吐出状態の不均一を軽減することができるため、機構が簡潔である。
【0052】
(2)また、収容室20及び連通部3の各々の内部空間20s,3sに負圧が付与された状態では、排出口13から連通部3に排出されたインクの液面S1は、収容室20に収容されたインクの液面Sと対応した高さに維持される。
上記(2)の構成によれば、前述のように、記録ヘッド1内のインクの水圧が変動することを防止することができる。
【0053】
(3)また、記録ヘッド1は、ノズル列14を構成する1のノズル14aが他の1のノズル14aよりも上方に位置するよう配置されており、排出口13は、流入口11よりも上方に位置していてもよい。
上記(3)の構成によれば、前述のように、記録ヘッド1にインクを充填する際に、当該インク内、及び、インク室12内の気泡が除去され易い。
【0054】
(4)また、連通部3は、他端3uが収容室20と接続され、排出口13の内部と収容室20の内部空間20sとを連通させてもよい。
上記(4)の構成によれば、負圧が付与された収容室20に連通部3を介して排出口13を接続するだけでよいので、機構がより簡潔である。
【0055】
(5)また、連通部3は、収容室20に収容されたインクの液面Sよりも上方に位置する三方弁30を含んでいてもよい。三方弁30は、1つの弁(第3の弁30c)が連通部3から分岐する廃液管8aと接続され、排出口13から収容室20に至る第1流路を開放する一方で排出口13から廃液管8aに至る第2流路を遮断する第1の状態と、第2流路を開放する一方で第1流路を遮断する第2の状態とに制御され、収容室20の内部空間20sに負圧が付与された状態では第1の状態に制御される。
上記(5)の構成によれば、インクの廃液を行う際に、記録ヘッド1のインクを廃液管8aへ流すルートを創出することができる。また、三方弁30がインクの液面Sよりも上方に位置することで、連通部3における三方弁30の上方(具体的には第2の管32)に余分なインクが侵入することを防止できる。
【0056】
(6)インクジェット記録装置100は、三方弁30の状態、収容室20の内部空間20sの圧力、及びサブタンク2へのインクの供給を制御し、記録ヘッド1の中のインクを廃液した後にサブタンク2へインクを供給する廃液後供給処理を実行可能である制御部7(制御手段の一例)をさらに備えていてもよい。廃液後供給処理は、三方弁30を第1の状態から第2の状態に切り替えるとともに収容室20の内部空間20sを加圧して、廃液管8aからインクの廃液を行う廃液処理と、三方弁30を第2の状態から第1の状態に切り替えるとともに収容室20の内部空間20sに負圧を付与し、サブタンク2へインクを供給する供給処理と、を含む。
上記(6)の構成によれば、制御部7の制御によりインクの廃液及び供給を自動で行うことができる。なお、廃液後供給処理は、前述のクリーニング処理に含まれる。
【0057】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0058】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0059】
100…インクジェット記録装置
1…記録ヘッド
10…筐体、10a…第1側面、10b…第2側面
11…流入口、12…インク室、12a…インク流路
13…排出口、14…ノズル列、14a…ノズル
2…サブタンク(インクタンクの一例)
20…収容室、20s…内部空間
21…供給口、22…接続口、23…圧力調整口、24…補充口、25…供給管
3…連通部、3s…内部空間、3d…一端、3u…他端
30…三方弁、30a~30c…第1~第3の弁、31…第1の管、32…第2の管
4…メインタンク
5…補充用ポンプ
6…圧力調整用ポンプ、6a…圧力センサ
7…制御部
8…廃液タンク、8a…廃液管
9…被記録媒体
S…収容室に収容されたインクの液面、S1…連通部に排出されたインクの液面
【要約】
【課題】簡潔な機構で、インクの吐出状態の不均一を軽減することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置100は、インクを収容する収容室20を有するサブタンク2と、記録ヘッド1と、連通部3とを備える。記録ヘッド1は、サブタンク2からのインクが流入する流入口11、流入口11から流入したインクを被記録媒体9に吐出する複数のノズルが配列されて構成されるノズル列14、及び、流入口11から流入したインクを排出する排出口13を有する。連通部3は、一端3dが排出口13と接続され、他端3uが収容室20に収容されたインクの液面Sよりも鉛直方向における上方に位置する。サブタンク2は、記録ヘッド1よりも上方に位置する。収容室20及び連通部3の各々の内部空間20s,3sには負圧が付与される。
【選択図】
図1