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特許7133252回転対称の被加工物を加工するときにツールを監視する装置
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  • 特許-回転対称の被加工物を加工するときにツールを監視する装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】回転対称の被加工物を加工するときにツールを監視する装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20220901BHJP
   B23K 11/30 20060101ALI20220901BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
H01Q7/00
B23K11/30 350
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021506041
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2018025199
(87)【国際公開番号】W WO2019201414
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】102018003123.4
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520405020
【氏名又は名称】ブラウアー システムテクニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ソンタグ,フランク
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213937(JP,A)
【文献】特表2011-518045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0025196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0321283(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0244063(US,A1)
【文献】特開2003-242469(JP,A)
【文献】特開2014-151344(JP,A)
【文献】特表2015-515381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 5/00-11/20
B23K 9/00- 9/013
B23K 9/04
B23K 9/14-11/36
B23K 35/00-35/12
B23K 35/16-35/34
B23K 35/40
G06K 7/00- 7/14
H05H 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDシステムを使用するときの、回転対称の被加工物を加工するミリングツール(3)を監視するための電極キャップ用ミリング機におけるマルチループアンテナ(1)の使用方法において、
マルチループアンテナ(1)は、前記マルチループアンテナ(1)が回転対称ツール(3)における軸方向の端面の外周を取り囲み、かつ回転対称ミリングツール(3)がRFIDトランスポンダ(4)を保持するように、ツールキャリア(2)上に前記回転対称ツール(3)の近傍で、配置されており、
前記RFIDトランスポンダ(4)の位置は、前記RFIDトランスポンダが前記マルチループアンテナ(1)の環状の磁束によって形成される磁界内に存在するように前記回転対称ミリングツール(3)における軸方向の前記端面に配置されており、
前記マルチループアンテナ(1)は、運動時及び静止時に任意の位置において、前記回転対称ミリングツール(3)における前記RFIDトランスポンダ(4)の問い合わせが可能となるように前記ツールキャリア(2)上に配置されている、マルチループアンテナ(1)の使用方法。
【請求項2】
回転対称ミリングツール(3)のRFIDトランスポンダ(4)は、前記マルチループアンテナ(1)により書き込まれ、かつ読み出され、それにより前記ミリングツールの選択を電子的にコントロールすることができ、並びに例えばミリングツールタイプ、ミリングツールのシリアルナンバー、動作時間、中断時間などの特定の情報が評価されることを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
記マルチループアンテナは、層、導電性層及び絶縁層による導電性層の分離、接続手段を介した前記導電性層の接続から構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用方法。
【請求項4】
回転対称の被加工物を加工するときの、電極キャップ用ミリング機においてミリングツール(3)を監視する装置において、
多層ループ状のマルチループアンテナ(1)とRFIDシステムとが、回転対称の被加工物を加工するときに互いに通信するように配置されており、
前記マルチループアンテナ(1)は、前記マルチループアンテナ(1)が回転対称ミリングツール(3)における軸方向の端面の外周を取り囲み、かつ回転対称ツール(3)がRFIDトランスポンダ(4)を保持するように、ツールキャリア(2)上に前記回転対称ツール(3)の近傍で、配置されており、
前記RFIDトランスポンダ(4)の位置は、前記RFIDトランスポンダが前記マルチループアンテナ(1)の環状の磁束によって形成される磁界内に存在するように、前記回転対称ミリングツール(3)における軸方向の前記端面に配置されており、
前記マルチループアンテナ(1)は、運動時及び静止時に任意の位置において、前記回転対称ミリングツール(3)における前記RFIDトランスポンダ(4)の問い合わせが可能となるように前記ツールキャリア(2)上に配置されている、ミリングツール(3)を監視する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工、特に回転対称の被加工物を加工するための固定具における、マルチループアンテナの使用に関する。
【0002】
このような金属加工用の固定具は、特に、抵抗溶接技術における電極キャップを再加工するために使用されるが、適用はそれに限定されない。以下の説明は、主にこの適用領域に焦点を当てる。
【背景技術】
【0003】
ロボットトングまたは手動トングに使用される、抵抗溶接技術のための電極は、溶接の強度及び再現性を保証するために、キャップの摩耗に応じて再加工する必要がある。自動化プロセスの中に統合されるために、この加工プロセスに要する時間は、短く保つ必要がある。キャップの大部分で元の形状を再生し、さらに材料の取り外しを最小限に抑えることによって、キャップの長い有効寿命を保証するのが望ましい。この目的のため、駆動されたミリングカッターホルダに切断挿入部を含んだデバイスを使用することが知られている(独国実用新案第20100102号明細書)。
【0004】
このようなデバイスの1つの影響は、材料が各加工ステップにおいて取り外され、それによってキャップの体積が減少し、かつその有効寿命を制限することである。加えて、生じた削りくずを外部に確実に消散させる必要があり、そのため、ミリングカッターの特別な構造設計、及び削りくずを導き出すための追加のデバイスを必要とする。
【0005】
独国特許発明第19930485号明細書は、溶接電極キャップを再形成するためのデバイスを記載している。そこでは、数対の溶接電極キャップが、反対側の作業面を使用して溶接ガンを用いて形状に加工される。この場合、形状を作り出す表面は、ツール軸回りに配置された、いくつかの表面セグメントから成る。
【0006】
回転面、好ましくは抵抗溶接のための電極キャップの面を伴う、被加工物をミリング加工するための、空気圧または電気で駆動されるミリングカッターホルダで構成されたデバイスが知られている。このデバイスは、解放可能に相互接続された上部及び下部を備え、そのミリングカッターホルダにおいて、取り付けられた2つの挿入部(3、4)が存在し、そのうちの一方は側面カッター(4)として設計され、他方は面カッター(3)として設計され、それらの間には、削りくずを除去するために配置された切り欠き部(5)が存在する。
【0007】
回転対称の金属製被加工物を加工するためのデバイス、詳細には、加工ヘッドの凹部に取り付けられた打抜き型を伴う、空気圧または電気で駆動される加工ヘッドによって、電極キャップを再加工するためのデバイスによる解決策が知られており、他の実施形態において、追加としてこの加工ヘッドに一体化された少なくとも1つの形成ローラが装備される。打抜き型の外形、及び他の実施形態における形成ロータの作業領域も、所望の被加工物の外面形状に対応する。
【0008】
ミリングツールの不適切な選択は、上述のような電極キャップ用ミリングカッターを使用する際に問題となる場合がある。
【0009】
電極キャップの最終形状は、画定された外形を伴う打抜き型を用いたミリングツールの選択によって、最終的に決定される。高度に自動化されたプロセスで使用される場合、溶接ロボットさらには自動キャップカッターを使用するときに、ミリングツールの不適切な選択を回避する必要があることが想定され得る。
【0010】
しかし、ミリングツールを手動で選択することが、不適切な選択をもたらす場合があり、そのために高い事後処理コストをもたらす場合があるという点は、欠点である。
【0011】
回転対称の金属製被加工物を監視するための電子的方法における、マルチループアンテナと呼ばれる、ラウンドアンテナまたは多層アンテナの使用が知られている。
【0012】
例えば、米国特許出願公開第2009/0295659号明細書は、RFIDアンテナ装置、磁界生成デバイス、及び磁界集束装置を主張している。
【0013】
この場合、キャリア信号を用いて励起されるよう構成された、RFIDアンテナ装置が主張されている。RFIDアンテナ装置は、ループアンテナ装置を伴う誘導性構成要素を備える。このループアンテナ装置の外周は、キャリア信号の波長の25%以下であり、少なくとも1つの容量性構成要素が、誘導性構成要素に連結される。
【0014】
請求項2によると、このデバイスは、第1のスロット装置に隣接した第2のスロット装置を有する。
【0015】
さらに、特別に装備されたRFIDアンテナ装置を主張し、これはマルチセグメントループアンテナ装置を備える。マルチセグメントループアンテナ装置は:少なくとも1つの第1のアンテナセグメントであって、少なくとも1つの第1のアンテナセグメント内におけるキャリア信号の位相シフトを低減するよう構成された、少なくとも1つの第1の位相シフト要素を有し、ここで、少なくとも1つの第2のアンテナセグメントは、少なくとも1つの第2のアンテナセグメント内におけるキャリア信号の位相シフトを低減するよう構成された、少なくとも1つの第2の位相シフト要素を備えた、少なくとも1つの第1のアンテナセグメントと;少なくとも1つの遠場アンテナアレイであって、各アンテナセグメントの長さはキャリア信号の波長の25%以下である、少なくとも1つの遠場アンテナアレイと;マルチセグメントループアンテナ装置のインピーダンスを調整するよう構成された、少なくとも1つの適合構成要素と、を備える。
【0016】
国際特許第2009/049191号(米国特許出願公開第2008/079555号明細書)は、パッチアンテナ及びこのパッチアンテナの製造方法を主張している。このパッチアンテナは、複数の放射層(10)を有し、各放射層は:第1の平坦な誘電基板(14)と;誘電支持材料(14)の第1の側における放射素子(12)と;放射素子(14)の外周の周りの誘電支持材料(14)で、連続した内側外周の側壁(18)及び連続した外側外周の側壁(20)を形成する、凹部(16)と;内側外周の側壁(18)及び外側外周の側壁(20)の間に位置され、内側基板部(24)を、誘電支持材料(14)の外側基板部(26)に固定して物理関係で保持するよう機能する、いくつかのストリップ(28)と;内側外周の側壁(18)及び/または外側外周の側壁(20)に配置された、導電性コーティングと;第3の側部及び反対側の第4の側部を伴い、第3の側部に位置されたマイクロストリップ給電体(32)を含む、第2のシート状の誘電支持材料(36)と;第4の側部に配置され、放射素子(12)及びマイクロストリップ給電体(32)の間に穴(40)を有する、接地板(38)と、を備える。
【0017】
中国実用新案第203883119号明細書は、多層マイクロストリップアンテナを主張している。このアンテナは、接地プレート(4)、及びベースプレート(4)上に配置されたマイクロストリップアンテナの複数の層を備えた特徴を有する、独立したリングであって、マイクロストリップアンテナの各々が放射のために配置された、独立したリングと、クーラ中のクーラを供給するための同軸供給部、及びベースプレート(4)を貫通して誘電体支持材料を抜けて進む、同軸供給穴であって、マイクロストリップアンテナの誘電基板上に、各々隣接した2層のマイクロストリップアンテナの下層において配置された、同軸供給穴と、を伴う。上部のマイクロストリップアンテナの、同軸給電体によって形成された供給面は、金属製の貫通穴に配分される。
【0018】
別の実施形態において、初めの特許請求項に記載された2層のマイクロストリップアンテナから逸脱した、この解決策は、多層マイクロストリップアンテナの多層構造を主張している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】独国実用新案第20100102号明細書
【文献】独国特許発明第19930485号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0295659号明細書
【文献】国際特許第2009/049191号(米国特許出願公開第2008/079555号明細書)
【文献】中国実用新案第203883119号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって本発明の目的は、ミリングツールの選択を電子制御することを実現できる解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によると、この目的は、以降ではマルチループアンテナと呼ばれる多層ループアンテナの使用を介して実現される。マルチループアンテナは、少なくとも2つの導電性層を備え、それらは絶縁層によって分離される。加えて、使用されるアンテナは、アンテナ構造の上及び下、すなわち可能な接触面において、1層または複数層の絶縁層を有する。
【0022】
以降で、本発明による解決策を、図1の電極キャップ用ミリング機の例に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例として電極キャップ用ミリング機を使用した、金属加工、特に回転対称の金属製被加工物を加工するためのデバイスにおける、本発明によるマルチループアンテナ1の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
マルチループアンテナ1は、回転対称ツール3を囲むように、例においては電極キャップ用ミリングツールである回転対称ツール3の近くの、ツールキャリア2に配置される。
この場合、マルチループアンテナ1は、アンテナ接続部5を介して、プロセス監視及び制御技術部に接続される。
【0025】
RFIDトランスポンダ4は、回転対称ツール3に取り付けられる。
【0026】
RFIDは、送信機-受信機システムの技術を指し、自動かつ非接触の認証のため、ならびに、電波を使用して対象物及び生物の位置を特定するために使用される。
【0027】
RFIDシステムはトランスポンダを備える。これは、対象物または生物の上または中に位置され、識別コード、及びこの識別コードを読み取るためのリーダを含む。
【0028】
RFIDトランスポンダ4の位置は、回転対称ツール3がマルチループアンテナ1の環状の電磁界内に位置されるよう、回転対称ツール3上に配置される。
【0029】
マルチループアンテナ1は、動いているとき及び静止しているときに、任意の位置における回転対称の構成要素上のRFIDトランスポンダ4に問い合わせが可能となるよう、ツールキャリア2上に配置される。
【0030】
回転対称ツール3を監視するために、このマルチループアンテナ1を用いて、RFIDに書き込むこと、及びRFIDから読み取ることが可能である。
【0031】
これは、回転対称ツール3の存在を検出するのを可能にするだけではなく、回転対称ツール3のRFIDトランスポンダ4の特定の情報を読み取ること及び書き込むこと、したがって監視することも可能にする。
【0032】
詳細には、これはプロセス監視目的のために可能であり、ツールタイプ、ツールのシリアルナンバー、動作時間、中断時間などの情報を読み取ることができること、ならびに、例えば前に使用したツールのツールタイプ、前に使用したツールのシリアルナンバー、前に使用したツールの動作時間、及び前に使用したツールの中断時間を読み取ることは、利点である。
【0033】
監視され、回収されることになる情報は、現在のツール、ならびに統計記録のためのプロセス監視のために有利なデータを、直接的にプロセス監視及び制御することと、プロセスに関するデータ及び情報を評価することと、を可能にする。
図1