IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社新川の特許一覧

<>
  • 特許-配置装置及び配置方法 図1
  • 特許-配置装置及び配置方法 図2
  • 特許-配置装置及び配置方法 図3
  • 特許-配置装置及び配置方法 図4
  • 特許-配置装置及び配置方法 図5
  • 特許-配置装置及び配置方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】配置装置及び配置方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220901BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/60 311Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021525257
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2020031466
(87)【国際公開番号】W WO2022038745
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/133760(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/046052(WO,A1)
【文献】特表2008-507844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光装置によって形成された複数のパターンを有するウェーハと貼り合わせるために、前記複数のパターンに対応するように基板上に複数のダイを配置する配置装置であって、
基板を支持するステージと、
前記ダイを保持し、前記ステージに支持された前記基板上に前記複数のダイを配置する配置部と、
前記露光装置によって形成された前記複数のパターン同士の位置関係に基づいて生成された前記複数のダイの配置位置を示すマップデータを有し、前記マップデータに基づいて、前記基板上に前記複数のダイを配置する際の前記ステージと前記配置部との互いの相対的な位置を制御する制御部と、を備える、配置装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基板上に配置された前記複数のダイと前記ウェーハとが貼り合わされた状態で取得された前記複数のダイと前記複数のパターンとの位置のずれ量に基づいて、前記ずれ量を打ち消すように前記マップデータを更新する、請求項1に記載の配置装置。
【請求項3】
前記露光装置は、前記複数のパターンを含むショット毎に前記ウェーハ上に前記パターンを形成し、
前記マップデータは、前記ショット間の位置関係を含み、
前記制御部は、前記ショット間の位置関係に基づいて、前記複数のダイを前記基板に配置する、請求項1または2に記載の配置装置。
【請求項4】
露光装置によって形成された複数のパターンを有するウェーハと貼り合わせるために、複数のパターンに対応するように基板上に複数のダイを配置する配置方法であって、
前記露光装置によって複数のパターンが形成されたウェーハにおける前記複数のパターンの位置の計測に基づいて、前記複数のダイの配置位置を示すマップデータを取得する工程と、
取得された前記マップデータに基づいて、前記基板上に前記複数のダイを配置する工程と、を備える、配置方法。
【請求項5】
前記基板上に配置された前記複数のダイと前記ウェーハとが貼り合わされた状態において前記複数のダイと前記複数のパターンとの位置のずれ量を取得する工程と、
前記ずれ量を打ち消すように前記マップデータを更新する工程と、をさらに備える、請求項4に記載の配置方法。
【請求項6】
前記露光装置は、前記複数のパターンを含むショット毎に前記ウェーハ上に前記パターンを形成し、
前記マップデータは、前記ショット間の位置関係を含み、
前記配置する工程において、前記ショット間の位置関係に基づいて、前記複数のダイを前記基板に配置する、請求項4または5に記載の配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配置装置及び配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体の製造技術が記載されている。この技術では、複数の半導体装置が形成されたウェーハが互いに貼り合わされ、一方のウェーハ上の接続電極と他方のウェーハ上の接続電極とが互いに接合される。そして、貼り合わされた状態のウェーハが、ダイシングによって個々の半導体装置に分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-158200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のように、ウェーハ同士をそのまま貼り合わせる場合、例えば、それぞれのウェーハに形成されている複数の半導体装置には良品以外も含まれているため、結果として歩留まりが低下することがあった。これを解決するために、ウェーハからダイシングされた良品のダイを元のウェーハに対応するように基板上に再配置し、基板上に再配置されたダイと対応する別のウェーハとを接続する方法が考えられる。この場合、ダイシングされた良品のダイを基板上に精度良く再配置することが求められる。
【0005】
本開示は、ダイを精度良く配置することができる配置装置及び配置方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る配置装置は、露光装置によって形成された複数のパターンを有するウェーハと貼り合わせるために、複数のパターンに対応するように基板上に複数のダイを配置する装置である。配置装置は、基板を支持するステージと、ダイを保持し、ステージに支持された基板上に複数のダイを配置する配置部と、露光装置によって形成された複数のパターン同士の位置関係に基づいて生成された複数のダイの配置位置を示すマップデータを有し、マップデータに基づいて、基板上に複数のダイを配置する際のステージと配置部との互いの相対的な位置を制御する制御部と、を備える。
【0007】
上記配置装置では、制御部によってステージと配置部との互いの相対的な位置がマップデータに基づいて制御されることにより、配置部に保持されたダイがステージに支持された基板上の所定位置に配置される。マップデータは、露光装置によって実際に形成された複数のパターン同士の位置関係に基づいている。そのため、マップデータには、露光装置によって形成されたパターンにおける設計位置からのずれ量が反映されている。したがって、当該配置装置によれば、基板上にダイを精度良く配置することができる。
【0008】
また、制御部は、基板上に配置された複数のダイとウェーハとが貼り合わされた状態で取得された複数のダイと複数のパターンとの位置のずれ量に基づいて、ずれ量を打ち消すようにマップデータを更新してもよい。この構成によれば、マップデータの精度を向上させることができる。
【0009】
露光装置は、複数のパターンを含むショット毎にウェーハ上にパターンを形成し、マップデータは、ショット間の位置関係を含み、制御部は、ショット間の位置関係に基づいて、複数のダイを基板に配置してもよい。この構成では、マップデータのデータ量を低減することができる。
【0010】
本開示の一形態に係る配置方法は、露光装置によって複数のダイに対応する複数のパターンが形成されたウェーハと貼り合わせるために、基板上に複数のダイを配置する方法であって、露光装置によって複数のパターンが形成されたウェーハにおける複数のパターンの位置の計測に基づいて、複数のダイの配置位置を示すマップデータを取得する工程と、取得されたマップデータに基づいて、基板上に複数のダイを配置する工程と、を備える。
【0011】
上記配置方法では、マップデータに基づいてダイが基板上の所定位置に配置される。マップデータは、露光装置によって実際に形成された複数のパターンの位置の計測に基づいて取得されている。そのため、マップデータには、露光装置によって形成されたパターンにおける設計位置からのずれ量が反映されている。したがって、当該配置方法によれば、基板上にダイを精度良く配置することができる。
【0012】
また、配置方法は、基板上に配置された複数のダイとウェーハとが貼り合わされた状態において複数のダイと複数のパターンとの位置のずれ量を取得する工程と、ずれ量を打ち消すようにマップデータを更新する工程と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、マップデータの精度を向上させることができる。
【0013】
露光装置は、複数のパターンを含むショット毎にウェーハ上にパターンを形成し、マップデータは、ショット間の位置関係を含み、配置する工程において、ショット間の位置関係に基づいて、複数のダイを基板に配置してもよい。この構成では、マップデータのデータ量を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一形態によれば、ダイを精度良く配置することができる配置装置及び配置方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、露光装置によって回路パターンが形成されたウェーハを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、一例に係る配置装置を示す概略図である。
図3図3は、ウェーハと基板上に配置されたダイとの関係を説明するための図である。
図4】配置装置を用いた配置方法を示すフロー図である。
図5図5は、他の例に係る配置装置を示す概略図である。
図6図6は、他の露光装置によって回路パターンが形成されたウェーハを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら一例に係る配置装置及び配置方法を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
本開示に係る配置装置は、実装面を上向きにして、基板上に複数のダイを配置するための装置である。配置装置は、ダイシングによって得られるダイを基板上に再配置するため、再配置装置ともいえる。このような配置装置は、半導体チップの製造工程の一部において利用され得る。一例の半導体チップの製造工程においては、複数の回路パターンが形成されたウェーハが準備される。基板上に再配置された複数のダイの実装面は、ウェーハに形成された複数の回路パターンに対して、それぞれ電気的に接続される。複数のダイが接続されたウェーハをダイシングすることによって、複数の半導体チップが製造され得る。
【0018】
ウェーハに形成される回路パターンの位置の精度は、露光装置に依存している。図1は、露光装置によって複数のダイに対応する回路パターンが形成されたウェーハを模式的に示す斜視図である。図2は、一例に係る配置装置を示す概略図である。本開示において、露光装置はショット単位でウェーハ2に回路パターン4を形成する。ショットとは、露光装置が1回に露光できる領域を意味し得る。図示例では、露光装置の一つのショット6あたり、9個の回路パターン4が形成される。露光装置は、例えばウェーハ2が載置されたステージを所定のピッチで移動させることにより、ショット6の位置をずらしながらウェーハ2を露光する。この場合、一つのショット6に含まれる回路パターン4同士の位置関係は、露光装置のパターンマスクに依存するため、変動しない。一方、ショット6同士の位置は、ステージのピッチの精度に依存するため、僅かながらズレが生じ得る。すなわち、ウェーハ2上に形成される回路パターン4の位置は、設計位置からずれる場合がある。そこで、配置装置10は、ウェーハ2上に実際に形成された回路パターン4の位置に対応するように、基板12上に複数のダイ14を配置する。
【0019】
図2に示すように、配置装置10は、ステージ11と、実装ヘッド(配置部)13と、制御装置(制御部)15とを含んでいる。ステージ11は、基板12を基板12上の所定の位置に支持する。基板12上には、配置装置10によって複数のダイ14が配置される。例えば、基板12は、ガラス基板、シリコン基板等であってよい。また、基板12は、貼り合わせの対象となるウェーハ2と同じ形状を有していてよい。図示例の基板12は円板形状を有している。
【0020】
実装ヘッド13は、ステージ11に支持された基板12上に複数のダイ14を配置するために、複数のダイ14のそれぞれを順番に保持し得る。一例の実装ヘッド13は、機械的な動作によってダイ14を吸着保持してよい。図示例の実装ヘッド13は、移動制御装置17によって支持されている。移動制御装置17は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における実装ヘッドの移動を制御する装置であってよい。
【0021】
例えば、移動制御装置17は、実装ヘッドを支持して、実装ヘッドをZ方向に移動させるZ軸移動機構と、Z軸移動機構を支持して、Z軸移動機構をY軸方向に移動させるY軸移動機構と、Y軸移動機構を支持して、Y軸移動機構をX軸方向に移動させるX軸移動機構と、を含んで構成され得る。
【0022】
この場合、一例のZ軸移動機構は、Z方向に沿って延在するガイドレールと、ガイドレールに支持されてZ軸方向に沿って移動して、実装ヘッドを支持するベースと、を含む。一例のY軸移動機構は、Y方向に沿って延在するガイドレールと、ガイドレールに支持されてY軸方向に沿って移動して、Z軸移動機構を支持するベースと、を含む。一例のX軸移動機構は、X方向に沿って延在するガイドレールと、ガイドレールに支持されてX軸方向に沿って移動して、Y軸移動機構を支持するベースと、を含む。
【0023】
制御装置15は、コンピュータ及びコンピュータに接続された電子回路であり、CPUによって所定のプログラムを実行することにより、配置装置10の動作制御を実行する。例えば、制御装置15は、マップデータに基づいて、ステージ11と実装ヘッド13との相対的な位置を制御する。一例の制御装置15は、移動制御装置17の動作を制御することによって、実装ヘッド13の位置をマップデータに対応する位置に制御する。また、制御装置15は、実装ヘッド13の動作を制御することによって、吸着保持したダイ14を基板12上のマップデータに対応する位置に配置する。例えば、基板12上には、ダイ14を着脱可能に接着する接着層が形成されており、基板12上に配置されたダイ14は、基板12に対して仮固定され得る。また、ダイ14に接着層が形成されることにより、第14が基板12に仮固定されてもよい。
【0024】
マップデータは、基板12上に配置される複数のダイ14の配置位置を示すデータである。マップデータは、露光装置によって実際に形成されたウェーハ2上の複数の回路パターン4同士の位置関係を示す回路パターンデータに基づいて生成される。回路パターンデータは、複数の回路パターン4同士の相対位置のデータを直接的又は間接的に含み、例えば、1つの回路パターン4の位置が特定された場合には他の全ての回路パターン4の位置を特定し得る。
【0025】
例えば、回路パターンデータは、ウェーハ2上に実際に形成された複数の回路パターン(パターン)4のそれぞれの中心同士の位置関係を示すデータであってもよい。また、上述のとおり、露光装置ではショット単位で回路パターン4が形成される。そのため、例えば、回路パターンデータは、ウェーハ2上の複数のショット(パターン)6の中心同士の位置関係を示すデータであってもよい。さらに、回路パターンデータは、ウェーハ2の基準となる位置(例えば中心)に対する複数の回路パターン4、又は複数のショット6の位置を示すデータであってもよい。この場合、回路パターンデータは、基準となる位置が特定された場合に、全ての回路パターン4の位置を特定し得る。また、回路パターンデータは、設計上のウェーハの回路パターンの位置と実際に形成されたウェーハ2の回路パターン4の位置とのズレ量を示すデータであってもよい。
【0026】
一例の回路パターンデータは、ウェーハ2に形成された複数の回路パターン4の位置を、例えば、顕微鏡を含む計測装置などを用いて計測することで取得され得る。一般に、露光装置によって生じるショット6同士の位置ずれには再現性がある。そのため、本開示における配置装置10では、同じ種類のウェーハに対応する回路パターンデータは1回のみ取得されればよい。
【0027】
マップデータは、回路パターンデータに基づいて生成され得る。上述のとおり、回路パターンデータは、ウェーハ2上の複数の回路パターン4同士の位置関係を示す。本開示では、ウェーハ2に形成された回路パターン4と基板12上に配置されたダイ14とが精度良く接続されるように、ウェーハ2と基板12上のダイとが貼り合わされる。図3は、ウェーハの回路パターンと基板上に配置されたダイとの関係を説明するための図である。上述の通り、同一ショット内における回路パターンの位置は変動しないため、図3では、ウェーハ2に形成された回路パターン4をショット単位で描画し、基板12上に配置されたダイ14をショットに対応する領域16の単位で描画している。図3に示すように、回路パターンデータによって示され得る複数のショット6(すなわち回路パターン4)の位置とマップデータによって示され得る複数の領域16(すなわちダイ14)の位置とは互いに鏡映対称(線対称)の関係にある。
【0028】
一例のマップデータは、基板12上に配置される複数のダイ14のそれぞれの中心同士の位置関係を示すデータであってもよい。また、マップデータは、基板12の基準となる位置(例えば中心)に対する複数のダイ14の位置を示すデータであってもよい。また、マップデータは、基板12上のダイ14の設計上の配置位置からのズレ量を示すデータであってもよい。ダイ14の設計上の配置位置は、設計上のウェーハの回路パターンの位置に対応する位置、すなわち、設計上のウェーハの回路パターンの位置と鏡映対称の関係にある位置であってよい。
【0029】
一例の制御装置15は、取得されたマップデータに基づいてダイ14の配置を実行した後に、マップデータを更新してもよい。マップデータに基づいてダイが配置されたとしても、移動制御装置17のピッチずれ等のために、ウェーハ2の回路パターン4の位置と配置されたダイ14の位置との間にずれ(誤差)が生じることが考えられる。そこで、ずれ量が打ち消されるように、マップデータが更新されてもよい。
【0030】
複数のダイ14と複数の回路パターン4との位置のずれ量は、基板12上に配置された複数のダイ14とウェーハ2とが貼り合わされた状態で、赤外顕微鏡を含む計測装置などを用いて取得され得る。ずれ量は、ウェーハ2の厚さ方向から見たときの、複数のダイ14のそれぞれの中心位置と複数の回路パターン4のそれぞれの中心位置との差分であってよい。ずれ量に基づいて更新されたマップデータが制御装置15に入力されてもよいし、ずれ量のデータが入力された制御装置15によって既存のマップデータが更新されてもよい。
【0031】
続いて、配置方法に基づく一連の動作について説明する。図4は、一例の配置方法を説明するためのフロー図である。一例の配置方法では、まず、複数の回路パターン4が形成されたウェーハ2における複数の回路パターン4の位置を計測することによって、複数の回路パターン4同士の位置関係を示す回路パターンデータが取得される。そして、取得された回路パターンデータに基づいて複数のダイ14の配置位置を示すマップデータが取得される(ステップS1)。上述の通り、回路パターンデータによる回路パターン4の位置とマップデータによるダイ14の位置とは鏡映対称の関係にあるため、回路パターンデータを所定の演算によって変換することでマップデータを取得することが可能である。取得されたマップデータは、配置装置10の制御装置15に入力されてよい。なお、取得された回路パターンデータが制御装置15に入力されることにより、制御装置15がマップデータを生成してもよい。
【0032】
続いて、取得されたマップデータに基づいて、基板12上に複数のダイ14が配置される(ステップS2)。すなわち、制御装置15はマップデータに基づいて移動制御装置17を制御することにより、マップデータに対応する基板12上の位置にダイ14を配置する。その後、ダイ14が配置された基板12は、配置装置10から取り出され、複数のダイ14と対応する複数の回路パターン4とが電気的に接続されるように、ウェーハ2と貼り合わされる。複数のダイ14が接続されたウェーハ2をダイシングすることによって、複数の半導体チップが製造され得る。
【0033】
なお、互いに貼り合わされた複数のダイ14と複数の回路パターン4との位置のズレが大きい場合には、マップデータが更新され得る(ステップS3)。位置のずれ量は、上述のように、基板12上に配置された複数のダイ14とウェーハ2とが貼り合わされた状態で、赤外顕微鏡を含む計測装置などを用いて取得され得る。すなわち、複数のダイ14が接続されたウェーハ2をダイシングするよりも前に取得される。そして、取得されたずれ量が打ち消されるようにマップデータが更新され、更新されたマップデータが次回の配置動作に利用される。
【0034】
以上説明したとおり、一例の配置装置10は、露光装置によって形成された複数の回路パターン4を有するウェーハ2と貼り合わせるために、複数の回路パターン4に対応するように基板12上に複数のダイ14を配置する装置である。配置装置10は、基板12を支持するステージ11と、ステージ11に支持された基板12上に複数のダイ14を配置するために複数のダイ14のそれぞれを保持する実装ヘッド13と、実際のウェーハ2上の複数の回路パターン4同士の位置関係に基づいて生成された、複数のダイ14の配置位置を示すマップデータに基づいて、基板12上に複数のダイ14が配置される際のステージ11と実装ヘッド13との互いの相対的な位置を制御する制御装置15と、を備える。
【0035】
この場合、配置方法は、露光装置によって複数の回路パターン4が形成されたウェーハ2における複数の回路パターン4の位置の計測に基づいて、複数のダイ14の配置位置を示すマップデータを取得する工程と、取得されたマップデータに基づいて、基板12上に複数のダイ14を配置する工程と、を備える。
【0036】
上記配置装置10及び配置方法では、制御装置15によってステージ11と実装ヘッド13との互いの相対的な位置がマップデータに基づいて制御されることにより、実装ヘッド13に保持されたダイ14がステージ11に支持された基板12上の所定位置に配置される。マップデータは、実際に露光装置によって形成されたウェーハ2上の複数の回路パターン4同士の位置関係に基づいている。そのため、マップデータには、露光装置によって形成された回路パターン4における設計位置からのずれ量が反映されている。したがって、当該配置装置10によれば、基板12上にダイを精度良く配置することができる。
【0037】
また、制御装置15は、基板12上に配置された複数のダイ14とウェーハ2とが貼り合わされた状態で取得された、複数のダイ14と複数の回路パターン4との位置のずれ量に基づいて、ずれ量を打ち消すようにマップデータを更新してもよい。この場合、基板12上に配置された複数のダイ14とウェーハ2とが貼り合わされた状態において複数のダイ14と複数の回路パターン4との位置のずれ量を取得し、取得されたずれ量を打ち消すようにマップデータを更新することになる。ウェーハ2の計測に基づいて生成されたマップデータを用いてダイ14の配置が実行された場合であっても、基板12上に配置された複数のダイ14とウェーハ2とが貼り合わされた際にダイ14と回路パターン4との間で位置ずれが生じることが考えられる。上述の通り、実際に計測されたずれ量を用いてマップデータを更新することにより、マップデータの精度を向上させることができる。
【0038】
また、マップデータは、ショット6間の位置関係を含み、制御装置15は、ショット6間の位置関係に基づいて、複数のダイ14を基板12に配置してもよい。この構成では、マップデータのデータ量を低減することができる。
【0039】
以上、配置装置の形態について説明したが、配置装置の構成は、上述した形態に限定されない。
【0040】
例えば、配置装置においては、ステージ上の基板と実装ヘッドとの相対的な位置関係が制御可能であればよい。例えば、他の例に係る配置装置100を図5に示す。配置装置100は、基板12を支持するステージ111と、実装ヘッド13を支持する移動制御装置117と、制御装置(制御部)115とを含んでいる。ステージ111は、基板12を基板12上の所定の位置に支持する。また、ステージ111は、いわゆるXY移動ステージであり、X軸方向及びY軸方向に移動制御可能となっている。移動制御装置117は、実装ヘッドをZ方向に移動させるZ軸移動機構を有している。制御装置115は、ステージ111のX軸方向の位置及びY軸方向の位置を制御するとともに、移動制御装置117の動作制御により実装ヘッド13の位置を制御する。これにより、制御装置115は、マップデータに基づいて、ステージ111と実装ヘッド13との相対的な位置を制御する。
【0041】
また、1ショットで複数の回路パターン4をウェーハ2に形成する露光装置について例示したが、露光装置におけるショットごとの回路パターン4の数は特に限定されない。図6は、他の露光装置によって回路パターン4が形成されたウェーハ2を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、露光装置は、1つのショット6で一つの回路パターン4をウェーハ2に形成してもよい。すなわち、1つのショット6に含まれる回路パターン4は1つであってもよい。この場合、制御装置15は、マップデータに基づいて1ショット毎にダイ14を基板12に配置する位置を制御してもよい。
【符号の説明】
【0042】
2…ウェーハ、4…回路パターン(パターン)、6…ショット(パターン)、10,100…配置装置、11,111…ステージ、12…基板、13…実装ヘッド(配置部)、14…ダイ、15,115…制御装置(制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6