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特許7133255RFIDデータ収集装置、およびRFIDデータ収集システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】RFIDデータ収集装置、およびRFIDデータ収集システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20220901BHJP
   H04L 9/08 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G06K7/10 240
G06K7/10 236
G06K7/10 128
H04L9/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021533572
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004516
(87)【国際公開番号】W WO2021205739
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2020070216
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514174213
【氏名又は名称】株式会社フェニックスソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅和
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142821(JP,A)
【文献】特開2005-202541(JP,A)
【文献】特開2018-117285(JP,A)
【文献】特開2006-246343(JP,A)
【文献】特表2009-534893(JP,A)
【文献】特開2013-187698(JP,A)
【文献】特開2015-115878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F12/14
21/00-21/88
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
G09C 1/00-5/00
H01Q 3/00-3/46
13/00-13/28
21/00-25/04
H04B 1/00
1/30
1/59
1/72
5/00-5/06
11/00-13/02
H04K 1/00-3/00
H04L 9/00-9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートを備えたRFIDリーダと、
複数の前記ポートに接続された1または複数のアンテナと、
有線および無線LAN接続部と、
携帯電話通信部と、
プロセッサを含むシステム制御部と、を含み、
前記システム制御部は、遠隔コントロールにより前記RFIDリーダを介して、RFIDタグへのデータの書き込み、および前記RFIDタグからのデータの読み取りを行い、
前記システム制御部は、共通鍵方式の暗号化/復号化機能を備え、
前記RFIDタグへの書き込みデータは、書き込み前に暗号化され、
前記RFIDタグからの読み取りデータは、読み取り後に復号化され、
前記暗号化/復号化の共通鍵は、前記携帯電話通信部に備えられたSIMカードに保存される、RFIDデータ収集装置。
【請求項2】
複数の前記アンテナは、板状逆F型アンテナであって、互いに所定の相対角度で同一平面上に配置され、
電波を送信する場合は、複数の前記ポートに接続された複数の前記アンテナから同一信号を送信し、電波を受信する場合には、複数の前記アンテナの受信信号を加算合成する、請求項1に記載のRFIDデータ収集装置。
【請求項3】
前記RFIDリーダは、複数の前記ポートに接続された複数の前記アンテナから電波を送受信し、複数の前記アンテナは、互いに電波干渉しないように配置される、請求項1に記載のRFIDデータ収集装置。
【請求項4】
前記システム制御部は、Linux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作し、
前記RFIDタグから読み取られ、復号化されたデータを外部のパーソナルコンピュータまたは携帯情報端末に送信する、請求項1から3のいずれか1項に記載のRFIDデータ収集装置。
【請求項5】
ブルートゥース(登録商標)接続部と、
RS232C接続部と、
USB接続部と、
汎用入出力部と、
SDカード接続部と、をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のRFIDデータ収集装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の、1台または複数台のRFIDデータ収集装置と、
前記RFIDデータ収集装置によって読み取られ、復号化された前記RFIDタグのデータを受信する、あるいは前記RFIDデータ収集装置を介して前記RFIDタグにデータを送信する、パーソナルコンピュータまたは携帯情報端末と、を含むRFIDデータ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDデータ収集装置、およびRFIDデータ収集システムに関する。
【0002】
例えば、特許文献1(特表2008-542944号公報)には、安全なRFIDシステム通信のための方法およびシステムが開示されている。
特許文献1(特表2008-542944号公報)に記載の安全なRFIDシステム通信のための方法およびシステムでは、RFIDリーダは、RFIDタグに書き込み要求を送信する。RFIDタグは、ランダムデータを生成して、RFIDリーダにこのランダムデータを送信する。RFIDシステムはランダムデータを用いて情報を暗号化し、RFIDリーダはランダムデータを用いて情報を復号化するRFIDタグに暗号化された情報を送信する。最後に、RFIDタグは、復号化された情報をRFIDタグのメモリに格納する。
【0003】
また、特許文献2(特開2004-199226号公報)には、交信不可能エリアを減少させ、タグとの安定した交信を行うことができ、かつ、アンテナ近傍に設置される機器への影響を抑制することができるリーダ/ライタアンテナ及び該アンテナを備えたRFIDシステムについて開示されている。
特許文献2(特開2004-199226号公報)記載のリーダ/ライタアンテナ及び該アンテナを備えたRFIDシステムは、複数のループアンテナにより構成されるリーダ/ライタアンテナにおいて、前記複数のループアンテナの各々は、他の少なくとも一つのループアンテナと相隣り合うように配置され、少なくとも相隣り合う2つのループアンテナに供給される電流の位相が相異なるものである。
【0004】
また、特許文献3(特開2009-159240号公報)には、ラベルプリンタなどの筐体内にて無線ICタグとの双方向通信を行う際に、同時に所定の1つの無線ICタグとアンテナとの間のみで確実な無線通信を実施することのできる、筐体組み込み用のアンテナと、それを用いたラベルプリンタについて開示されている。
特許文献3(特開2009-159240号公報)の筐体組み込み用アンテナは、双方向の無線通信により、無線ICタグの記憶領域に格納された情報の読み出しおよび書き込みを非接触にて行うRFIDリーダに接続される、筐体内に配置されたアンテナであって、前記アンテナがホーンアンテナであり、前記ホーンアンテナが、給電素子と、ホーン形状を有する金属体と、前記金属体のホーン形状の内部に充填された誘電体とを含むことを特徴とするものである。
【0005】
また、特許文献4(特開2019-164529号公報)には、RFIDタグに対する読取性能を向上し、搬送ライン上の処理能力低下を防ぐことができる読取制御システムについて開示されている。
特許文献4(特開2019-164529号公報)の読取制御システムでは、複数のアンテナグループがアンテナグループ毎に接続されたRFIDリーダと、各RFIDリーダを制御する読取制御装置と、を備える読取制御システムであって、各アンテナグループは、搬送ライン上において互いに電波干渉しないよう所定の間隔をおいて配置され、アンテナグループに含まれるアンテナの方向は、RFIDリーダ毎に異なる方向に配置され、各RFIDリーダは、搬送ライン上を搬送される搬送対象物に含まれるRFIDタグの読み取りを行い、読取制御装置は、各RFIDリーダに接続されるアンテナグループのそれぞれは、互いに電波干渉しないように所定の間隔をおき、搬送対象物に含むRFIDタグの読み取りを同時となるよう制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2008-542944号公報
【文献】特開2004-199226号公報
【文献】特開2009-159240号公報
【文献】特開2019-164529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RFIDの用途が製造現場、小売店、倉庫など、幅広い分野に拡大するに伴い、安全、確実に、かつ多くのRFIDのデータを容易に収集することのできるRFIDデータ収集装置、およびRFIDデータ収集システムが要望されている。
まず、安全という観点では、RFIDリーダとRFIDタグとの間の通信情報を傍受された場合にも、RFIDに書き込む情報、あるいはRFIDから読み出す情報が盗まれないために、暗号化することが必要となる。
また、確実という観点では、通信相手のRFIDタグと確実に通信し、かつ、通信相手以外のRFIDタグの妨害を受けないために、RFIDデータ収集装置のアンテナの指向性を高めることが必要となる。
また、多くのRFIDタグのデータを収集するためには、RFIDリーダが複数のアンテナを備えることが望ましい。
さらに容易にデータを収集するためには、RFIDデータ収集装置がパソコンと有線/無線LANを介して接続されるだけでなく、携帯情報端末と無線LANおよび/または携帯電話通信回線を介して接続されて、RFIDデータ収集システムを構成することが望ましい。
【0008】
特許文献1に記載の安全なRFIDシステム通信のための方法およびシステムでは、RFIDタグとRFIDリーダとの間の通信は暗号化された情報を用いて行われる。しかし、暗号化のための鍵が最初にRFIDタグからRFIDリーダに送られるため、RFIDタグとRFIDリーダとの通信が継続して傍受された場合には、RFIDタグからRFIDリーダに送られる鍵がまず傍受され、次に暗号化された情報が傍受されることによって、RFIDタグとRFIDリーダとの間の暗号化された情報が傍受者によって復号化される可能性がある。
【0009】
特許文献2に記載のリーダ/ライタアンテナは複数のループアンテナを備え、かつ、それらのループアンテナの間の位相を調整する必要があり、アンテナおよび周辺回路の構成が複雑になるとの課題がある。
また、特許文献3に記載の筐体組み込み用アンテナは、ホーン形状を有する金属体を備える必要があり、やはり構成が複雑になるとの課題がある。
【0010】
特許文献4に記載のRFIDリーダには、例えば4台のアンテナが接続されているが、RFIDリーダは1つのRFIDタグの動きを検出するために、これらの4台のアンテナを時分割で送受信に用いており、RFIDリーダ単独では複数のRFIDタグと通信することはできない。
【0011】
本発明の目的は、RFIDタグとの通信を傍受されてもRFIDタグに書き込む情報、あるいはRFIDタグから読み出す情報が漏洩することのない、安全なRFIDデータ収集装置およびRFIDデータ収集システムを提供することにある。
本発明の第2の目的は、通信相手のRFIDタグと確実に通信し、かつ、通信相手以外のRFIDタグの妨害を受けない、高い指向性を備えたRFIDデータ収集装置およびRFIDデータ収集システムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、複数のアンテナに接続し、多くのRFIDタグのデータを容易に収集、活用することのできるRFIDデータ収集装置およびRFIDデータ収集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
一局面に従うRFIDデータ収集装置は、複数のポートを備えたRFIDリーダと、複数のポートに接続された1または複数のアンテナと、有線および無線LAN接続部と、携帯電話通信部と、プロセッサを含むシステム制御部と、を含み、システム制御部は、遠隔コントロールによりRFIDリーダを介して、RFIDタグへのデータ書き込み、およびRFIDタグからのデータ読み取りを行い、システム制御部は共通鍵方式の暗号化/復号化機能を備え、RFIDタグへの書き込みデータは書き込みの前に暗号化され、RFIDタグからの読み取りデータは読み取りの後に復号化され、暗号化/復号化の共通鍵は、携帯電話通信部に備えられたSIMカードに保存される。
【0013】
RFIDの用途が製造現場、小売店、倉庫など、幅広い分野に拡大するに伴い、安全かつ容易に、多くのRFIDのデータを収集することのできるRFIDデータ収集装置、およびRFIDデータ収集システムが要望されている。
一局面に従うRFIDデータ収集装置は、
(A)RFIDリーダが複数のアンテナと接続するための複数のポートを備えることにより、複数のRFIDタグと通信できること、
(B)パソコン、携帯情報端末などと、有線および無線LAN、携帯電話通信回線など、多様な経路を介して通信できることにより、パソコン、携帯情報端末などからの遠隔コントロールでRFIDタグへのデータの書き込み、およびRFIDタグからのデータを読み取りができること、
(C)RFIDリーダとRFIDタグとの間の通信情報を暗号化することにより、RFIDリーダとRFIDタグとの間の通信情報を傍受された場合にも、RFIDに書き込む情報、あるいはRFIDから読み出す情報が盗まれないこと、
(D)暗号化鍵をSIMカードに保存することにより、SIMカードを厳重に保管することで、例えばRFIDデータ収集装置が盗難にあっても暗号化鍵が他人の手に渡ることがなく、また、別のRFIDデータ収集装置を用いて記録済みのSIMカードのデータを読み出せること、との効果を有する。
【0014】
(2)
第2の発明にかかるRFIDデータ収集装置は、一局面に従うRFIDデータ収集装置において、複数のアンテナは板状逆F型アンテナであって、互いに所定の相対角度で同一平面上に配置され、RFIDリーダは、電波を送信する場合は複数のポートに接続された複数のアンテナから同時、または同タイミングで同一信号を送信し、電波を受信する場合には複数のアンテナの受信信号を加算合成してもよい。
【0015】
複数のアンテナを用いて送受信する方法としては、アレーアンテナ、あるいはアダプティブアレーアンテナがある。この場合、目的の希望波にアンテナ指向性のメインローブを向け、また不要な干渉波の方向にヌル点(アンテナの指向性パターンの落ち込んだ点)を向けて干渉波を除去することができるとの有利な効果が得られるが、各アンテナへの送信信号、および各アンテナからの受信信号に重みづけをする必要がある。そして、重みづけ係数を計算する、また、送受信信号に複素数の重みづけ係数を乗算する必要があり、回路規模が大きくなる。
これに対して、第2の発明にかかるRFIDデータ収集装置では、例えば、板状逆F型アンテナを所定の相対角度で同一平面上に配置することにより、重みづけ係数の計算、および送受信信号への複素数の重みづけ係数の乗算をすることなく、板状逆F型アンテナの指向性を急峻にすることができる。
【0016】
(3)
第3の発明にかかるRFIDデータ収集装置は、一局面に従うRFIDデータ収集装置において、RFIDリーダは複数のポートに接続された複数のアンテナから電波を送受信し、複数のアンテナは互いに電波干渉しないように配置されてもよい。
【0017】
第2の発明では、複数のアンテナを互いに所定の相対角度で同一平面上に配置することで、急峻な指向性を備えた1つのアンテナとして機能させている。しかし、第3の発明では、複数のアンテナを互いに電波干渉しないように配置し、それぞれのアンテナが別々のRFIDタグと電波を送受信できるようにしている。
RFIDデータ収集装置では、例えば、複数の棚に配置されたRFIDタグとの通信が必要になる場合がある。しかし、そのような場合に、第3の発明にかかるRFIDデータ収集装置は、複数のアンテナを互いに電波干渉しないように配置し、それぞれのアンテナを介してそれぞれの棚に配置されたRFIDタグと通信することで、より多くのRFIDタグのデータを確実に収集することができる。
【0018】
(4)
第4の発明にかかるRFIDデータ収集装置は、一局面から第3の発明にかかるRFIDデータ収集装置において、システム制御部は、Linux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作し、収集したRFIDタグの情報を外部のパーソナルコンピュータまたは携帯情報端末に送信してもよい。
【0019】
この場合、システム制御部がLinux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作することによって、Linux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作する豊富なライブラリを使用することができる。
【0020】
(5)
第5の発明にかかるRFIDデータ収集装置は、一局面から第4の発明にかかるRFIDデータ収集装置において、さらに、ブルートゥース(登録商標)接続部と、RS232C接続部と、USB接続部と、汎用入出力部と、SDカード接続部と、を含んでもよい。
【0021】
この場合、ブルートゥース(登録商標)接続部を備えた機器との通信、RS232C接続部を備えた機器との通信、USB接続部を備えた機器との通信、汎用入出力部を介した外部機器に対する直接のデジタル制御、USBメモリ、およびSDカードへのデータの保存などを行うことができる。
【0022】
(6)
第6の発明にかかるRFIDデータ収集システムは、一局面から第5の発明にかかる1台または複数台のRFIDデータ収集装置と、RFIDデータ収集装置によって収集されたRFIDタグのデータを受信する、あるいはRFIDデータ収集装置を介してRFIDタグにデータを送信する、パーソナルコンピュータまたは携帯情報端末を含んでもよい。
【0023】
この場合、パーソナルコンピュータまたは携帯情報端末にデータを収集することで、大量のデータの解析等が容易になり、また、複数台のRFIDデータ収集装置を介してRFIDタグのデータを収集することで、より大規模のデータ収集システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態におけるRFIDデータ収集装置の構成を示す模式的ブロック図である。
図2図2(a)はRFIDデータ収集装置によってデータをRFIDタグに書き込む場合のフローチャート、図2(b)はRFIDデータ収集装置によってデータをRFIDタグから読み出す場合のフローチャートである。
図3図3(a)は第2の実施形態におけるRFIDデータ収集装置のRFIDリーダに接続される板状逆F型アンテナ(PIFA)の模式的上面図であり、図3(b)はRFIDリーダに接続されるアンテナの図3(a)のA-A’面における模式的断面図である。
図4】RFIDリーダに接続される2つの板状逆F型アンテナ(PIFA)を相対角度θで同一平面上に配置した場合の模式的上面図である。
図5】2つの板状逆F型アンテナ(PIFA)を相対角度90度で同一平面上に配置した場合の、平面上での垂直偏波の指向性を示すグラフである。
図6図6(a)-(c)は、第3の実施形態のRFIDデータ収集装置におけるアンテナの配置例を示す模式図である。
図7】第4の実施形態における、RFIDデータ収集装置、複数のアンテナ、およびパーソナルコンピュータまたは携帯情報端末で構成されるRFIDデータ収集システムの模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0026】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100の模式的ブロック図である。
また、図2(a)は、RFIDデータ収集装置100のRFIDタグ80へのデータ書き込みの場合のフローチャートである。
また、図2(b)はRFIDデータ収集装置100のRFIDタグ80からのデータ読み出しの場合のフローチャートである。
図1において、RFIDデータ収集装置100は、RFIDリーダ用のアンテナ11と接続される複数の接続ポートを備えたRFIDリーダ10、無線LAN用アンテナ21との接続端子およびEthernet(登録商標)接続端子22を備えた有線および無線LAN接続部20を含む。
さらに、携帯電話通信用アンテナ31との接続端子およびSIMカード32を備えた携帯電話通信部30、プロセッサ41とメモリ42とを備えたシステム制御部40、入出力端子51を備えた汎用入出力部50を含む。
さらに、USB接続端子61とRS232C接続端子62とSDカード接続端子63とを備えたUSB/RS232C/SDカード接続部60、および、ブルートゥース(登録商標)通信用アンテナ65との接続端子を備えたブルートゥース(登録商標)接続部64を含む。
RFIDデータ収集装置100のシステム制御部40は、パーソナルコンピュータ70または携帯情報端末71からの遠隔コントロールにより、データを暗号化してRFIDタグ80に送信する。あるいは、RFIDタグ80から暗号化されたデータを受信し、復号化する。
【0027】
図1のシステム制御部40は、Linux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作するプロセッサ41を備える。この場合、システム制御部40がLinux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作することによって、Linux(登録商標)オペレーティングシステム上で動作する豊富なライブラリを利用することができる。
例えばopenssl(暗号化ソフト)などを容易に利用することができる。
また、RFIDデータ収集装置100は、汎用入出力部50、USB/RS232C/SDカード接続部60、およびブルートゥース(登録商標)接続部64を介して、各種外部機器および外部メモリと接続することができる。
【0028】
図2(a)にRFIDタグ80へのデータ書き込みの場合のフローチャートを、図2(b)にRFIDタグ80からのデータ読み出しの場合のフローチャートを示す。
RFIDタグ80へのデータ書き込みの場合、システム制御部40は携帯電話通信部30のSIMカード32から共通鍵を読み出す(S1)。
次いで、システム制御部40のメモリ42に保存された書き込みデータを読み出す(S2)。そして、共通鍵を用いてデータを暗号化する(S3)。次に暗号化されたデータをRFIDリーダ10からRFIDタグ80へ送信する(S4)。
暗号化方式としては、共通鍵方式の暗号化方式であれば特に限定はされないが、例えば、ブロック長128ビット、鍵長128ビットのAdvanced Encryption Standard (AES)が好適である。
【0029】
通常、暗号化はブロック長が固定されており、1ブロック送信後、まだRFIDタグ80への書き込みが終了していない場合は、再度書き込みデータの読み出しに戻る(S5)。また、RFIDタグ80への書き込みが終了した場合には共通鍵を消去して終了する(S6)。
同様に、RFIDタグ80からのデータ読み出しの場合には、携帯電話通信部30のSIMカード32から共通鍵を読み出す(S11)。
次に、RFIDタグ80から暗号化データを受信する(S12)。そして、共通鍵を用いてデータを復号化し(S13)、復号化した読み出しデータをメモリ42に保存する(S14)。その後、もし読み出しが終了していない場合は、再度RFIDタグ80からのデータ受信に戻る(S15)。また、RFIDタグ80からの読み出しが終了した場合には共通鍵を消去して終了する(S16)。
【0030】
第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100は、RFIDリーダ10が複数のアンテナ11と接続するための複数のポートを備えることにより、より多くのRFIDタグ80と通信できる。アンテナ11が1個の場合にも複数のRFIDタグ80と通信することはできる。しかし、アンテナ11とRFIDタグ80との距離が離れている場合、また、アンテナ11とRFIDタグ80との間に金属板などの障害物82がある場合には、RFIDリーダ10とRFIDタグ80との通信ができない。これに対して、第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100では、RFIDリーダ10が複数のポートを備えており、必要に応じて複数のアンテナ11を互いの距離Dを離して、あるいは複数のアンテナ11を障害物82の両側に配置することができるため、より多くのRFIDタグ80と通信することができる(図6も参照のこと)。
【0031】
また、第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100は、有線および無線LAN接続部20だけでなく、携帯電話通信部30を備えている。そのため、有線LANまたは無線LANを接続できる環境がない場合にも、携帯情報端末71(スマートフォンなど)でRFIDデータ収集装置100を遠隔コントロールすることができる。
また、第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100は、RFIDリーダ10とRFIDタグ80との間の通信情報を暗号化することにより、RFIDリーダ10とRFIDタグ80との間の通信情報を傍受された場合にも、RFIDタグ80に書き込む情報、あるいはRFIDタグ80から読み出す情報が盗まれることがない。
さらに、第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100は、暗号化鍵を秘匿性の高いSIMカード32に保存し、SIMカード32を厳重に保管することができる。例えばRFIDデータ収集装置100が盗難にあっても暗号化鍵が他人の手に渡ることがなく、また、別のRFIDデータ収集装置100を用いて記録済みのRFIDタグ80のデータを読み出すことができる。
【0032】
第1の実施形態のRFIDデータ収集装置100のRFIDリーダ10に接続するアンテナ11としては、後述する板状逆F型アンテナ(PIFA)の他に、ダイポールアンテナ、パッチアンテナなどのアンテナ11を使用することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100ではRFIDリーダ10に接続される2つの板状逆F型アンテナ(PIFA)11が相対角度θで同一平面上に配置されている。
図3に第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100のRFIDリーダ10に接続される板状逆F型アンテナ(PIFA)11の模式的上面図および模式的断面図を示す。図4には2つのアンテナ11を同一平面上に相対角度θで配置した場合の模式的上面図を示す。図5には、第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100の一例として、板状逆F型アンテナ(PIFA)を相対角度90度で同一平面上に配置した場合の、平面上での垂直偏波の指向性のシミュレーション結果を示す。
【0034】
図3(a)は、第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100のRFIDリーダ10に接続される板状逆F型アンテナ(PIFA)11の模式的上面図である。
また、図3(b)はRFIDリーダ10に接続されるアンテナ11の図3(a)のA-A’面における模式的断面図である。アンテナ11はグランド板13とグランド板13に所定の間隙を隔てて配置される放射板12と、を含む。グランド板13は、平面視で放射板12よりも大きいサイズで長方形状に形成されている。
図3では、放射板12と短絡部15と固定部16とが長方形状の金属板を折り曲げて形成されており、固定部16はグランド板13にビス、ボルトおよびナット、半田付け、など公知の固定部材によって固定することができる。アンテナ11は同軸ケーブルでRFIDリーダ10のポートと接続され、同軸ケーブルの信号線は給電部14と、グランド線は固定部16と接続される。
【0035】
第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100では、RFIDリーダ10に、図3に記載の板状逆F型アンテナ(PIFA)であるアンテナ11を2つ接続し、2つのアンテナ11は互いに所定の相対角度θで同一平面上に配置されている。
図4に2つのアンテナ11を相対角度θで同一平面上に配置した場合の模式的上面図を示す。2つのアンテナ11はそれぞれRFIDリーダ10の異なるポートに接続され、送信の場合は同じ信号がそれぞれのアンテナ11の給電部14に供給され、受信の場合は各アンテナ11の受信信号がRFIDリーダ10で加算合成される。
複数のアンテナ11を用いて送受信する方法としては、アレーアンテナ、あるいはアダプティブアレーアンテナがある。
この場合、目的の希望波にアンテナ指向性のメインローブを向け、また不要な干渉波の方向にヌル点(アンテナの指向性パターンの落ち込んだ点)を向けて干渉波を除去することができるとの有利な効果が得られる。しかしながら、各アンテナ11への送信信号、および各アンテナ11からの受信信号に重みづけをする必要がある。そして、重みづけ係数を計算する、また、送受信信号に複素数の重みづけ係数を乗算する必要があり、回路規模が大きくなる。
これに対して、第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100では、回路規模を小さくしつつアンテナ11の指向性を急峻にすることができる。例えば、板状逆F型アンテナを所定の相対角度θで同一平面上に配置することにより、重みづけ係数の計算、および送受信信号への複素数の重みづけ係数の乗算をすることなく、アンテナ11の指向性を急峻にすることができる。
【0036】
図5に、第2の実施形態のRFIDデータ収集装置100の1例として、板状逆F型アンテナ(PIFA)を相対角度θを90度に設定して同一平面上に配置した場合の、平面上での垂直偏波の指向性のシミュレーション結果を示す。
図中、点線の指向性グラフは板状逆F型アンテナ1個の場合の指向性、実線の指向性グラフは板状逆F型アンテナ2個を相対角度90度で同一平面上に配置した場合の指向性である。また、点線の縦線(180度、360度)は2つのPIFAのうちの1つ目のPIFA(1PIFA)の長手方向を示し、一転鎖線の縦線(90度、270度)は2つ目のPIFA(2PIFA)の長手方向を示す。
板状逆F型アンテナ1個の場合の平面上での垂直偏波の指向性は、板状逆F型アンテナの長手方向に沿って、電界強度が低下する傾向がある。これに対して、板状逆F型アンテナ2個を相対角度90度で同一平面上に配置した場合は2つの板状逆F型アンテナの長手方向のちょうど中間にあたる方向(135度、225度)にヌル点があり、この方向からくる干渉波を除去することができる。
図5は、相対角度θを90度に設定し同一平面上に配置した場合であるが、実使用においては相対角度45度に設定した方がより有効な場合がある。
また、相対角度θは、40度から100度までの範囲内の任意の角度で設定してもよい。
【0037】
[第3の実施形態]
図6(a)-(c)に第3の実施形態のRFIDデータ収集装置100におけるアンテナ11の配置例を示す。
第3の実施形態のRFIDデータ収集装置100では、複数のアンテナ11を配置し、それぞれのアンテナ11が別々のRFIDタグ80と電波を送受信できるようにしている。
図6(a)では、複数のアンテナ11の間を所定の距離Dずつ離して配置し、RFIDタグ80との距離がなるべく均一になるようにすることで、より多くのRFIDタグ80と安定した通信を行うようにしている。
図6(b)では、例えば棚、仕切りなどの障害物82を間に挟んでアンテナ11を配置し、複数のアンテナ11をそれぞれのRFIDタグ80を見通せる位置に配置することで、より多くのRFIDタグ80と安定した通信を行うようにしている。
また、図6(c)では、例えばアンテナ11の背後に反射板83を配置するなどの方法により、アンテナ11の指向性を高くすることができる。さらに、指向性を高くした上で、アンテナ11の指向性の強い方向にそれぞれのRFIDタグ80を配置することで、より多くのRFIDタグ80と安定した通信を行うようにしている。
このように、複数のアンテナ11を介してより多くのRFIDタグ80と安定した通信をするためには、複数のアンテナ11の間の距離Dを広げること、障害物82を間に挟んでアンテナ11を配置すること、または、指向性の強いアンテナ11を用い、アンテナ11の電界強度の高い方向にRFIDタグ80を配置することなどにより、複数のアンテナ11を互いに電波干渉しないように配置することが重要である。
【0038】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態のRFIDデータ収集システム110のブロック図である。
図7に示すように、RFIDデータ収集システム110は、RFIDデータ収集装置100、複数のアンテナ11、パーソナルコンピュータ70または携帯情報端末71、および、無線LAN用アンテナ21または携帯電話通信用アンテナ31で構成されている。
RFIDデータ収集システム110では、パーソナルコンピュータ70または携帯情報端末71からの遠隔コントロールにより、RFIDデータ収集装置100のSIMカード32に保存された共通鍵を使用してデータを暗号化し、RFIDタグ80に送信する。あるいは、RFIDタグ80から暗号化されたデータを受信し、SIMカード32に保存された共通鍵を使用してデータを復号化する。
なお、図7では各アンテナ11は1台のRFIDタグ80と無線通信するように描かれているが、複数台のRFIDタグ80と通信することができる。また、図7のRFIDデータ収集システム110には1台のRFIDデータ収集装置100が含まれているが、1つのRFIDデータ収集システム110に、複数台のRFIDデータ収集装置100を含み、1台のパーソナルコンピュータ70または携帯情報端末71で、複数台のRFIDデータ収集装置100を制御することができる。
また、パーソナルコンピュータ70または携帯情報端末71にRFIDタグ80のデータを収集することで、大量のデータの解析等が容易になり、また、複数台のRFIDデータ収集装置100を介してRFIDタグ80のデータを収集することで、より大規模なデータ収集システムを構築することができる。
【0039】
本発明において、RFIDリーダ10が『RFIDリーダ』に相当し、有線および無線LAN接続部20が『有線および無線LAN接続部』に相当し、携帯電話通信部30が『携帯電話通信部』に相当し、アンテナ11が『アンテナ』に相当する。また、プロセッサ41が『プロセッサ』に相当し、システム制御部40が『システム制御部』に相当し、RFIDタグ80が『RFIDタグ』に相当する。また、SIMカード32が『SIMカード』に相当し、RFIDデータ収集装置100が『RFIDデータ収集装置』に相当し、パーソナルコンピュータ70が『パーソナルコンピュータ』に相当し、携帯情報端末71が『携帯情報端末』に相当する。さらに、ブルートゥース(登録商標)接続部64が『ブルートゥース(登録商標)接続部』に相当し、USB/RS232C/SDカード接続部60が『USB接続部』、『RS232C接続部』、および『SD-カード接続部』に相当し、汎用入出力部50が『汎用入出力部』に相当し、RFIDデータ収集システム110が『RFIDデータ収集システム』に相当する。
【0040】
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符合の説明】
【0041】
10 RFIDリーダ
11 アンテナ
20 有線および無線LAN接続部
30 携帯電話通信部
32 SIMカード
40 システム制御部
41 プロセッサ
50 汎用入出力部
60 USB/RS232C/SDカード接続部
64 ブルートゥース(登録商標)接続部
70 パーソナルコンピュータ
71 携帯情報端末
80 RFIDタグ
100 RFIDデータ収集装置
110 RFIDデータ収集システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7