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▶ 塚崎 昌弘の特許一覧

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  • 特許-給紙装置、及び給紙方法 図1
  • 特許-給紙装置、及び給紙方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】給紙装置、及び給紙方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20220901BHJP
   B65H 1/06 20060101ALI20220901BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B65H3/06 322
B65H1/06 D
B65H3/12 330B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022065508
(22)【出願日】2022-04-12
【審査請求日】2022-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514219569
【氏名又は名称】塚崎 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 昌弘
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-286346(JP,A)
【文献】特開平07-117935(JP,A)
【文献】特開2001-253576(JP,A)
【文献】特開2002-362761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 - 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向を上下方向にして積載した紙を下から順に給紙する給紙装置であって、
紙を積載する給紙テーブルと、
前記給紙テーブル上に垂設されて、積載された前記紙の前縁に当接する案内板と、
積載された前記紙の後縁に当接する当接面を有するバックガイドと、
前記紙を下方に吸引する吸引孔と、
前記吸引孔に負圧を供給する吸引ポンプと、
前記紙を給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール、又はベルトコンベアからなる給紙コンベアと、
前記給紙コンベアを回転駆動するサーボモーターと、
積層された前記紙の束の前側の下縁を前記給紙テーブルから離間した状態で支持する支持片と、
前記バックガイドの当接面の下端と前記給紙テーブルの間に設けられた間隙からなる紙後縁収容部と、
前記サーボモーター、及び前記吸引ポンプを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、積載された前記紙の最下層紙を前記吸引ポンプにより吸引しながら、当該最下層紙の後縁を前記紙後縁収容部に収容するようにして後退させたのち前進させるよう前記サーボモーター、及び前記吸引ポンプを制御することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記バックガイドは、前記紙後縁収容部の後方に設けられる追突面を有し、
前記制御部は、後方へ送った前記最下層紙を前記追突面に当接させたのち、当該最下層紙を給紙方向の前方へ流送するよう前記サーボモーターを制御する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記支持片は、先端が下方に向けて傾斜する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記支持片の上面と、前記案内板における前記紙の前縁に当接する案内面との角度θが、80度以上、100度以下である請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
給紙装置を用い厚み方向を上下方向にして積載した紙を下から順に給紙する給紙方法であって、
前記給紙装置は、紙を積載する給紙テーブルと、前記給紙テーブル上に垂設されて、積載された前記紙の前縁に当接する案内板と、積載された前記紙の後縁に当接する当接面を有するバックガイドと、前記紙を下方に吸引する吸引孔と、前記吸引孔に負圧を供給する吸引ポンプと、前記紙を給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール、又はベルトコンベアからなる給紙コンベアと、前記給紙コンベアを回転駆動するサーボモーターと、積層された前記紙の束の前側の下縁を前記給紙テーブルから離間した状態で支持する支持片と、前記バックガイドの当接面の下端と前記給紙テーブルの間に設けられた間隙からなる紙後縁収容部とを有し、
積載された前記紙の最下層紙を前記吸引ポンプにより吸引しながら、前記サーボモーターにより当該最下層紙の後縁を前記紙後縁収容部に収容するようにして当該最下層紙を後退させたのち前進させることを特徴とする給紙方法。
【請求項6】
前記給紙装置は、前記バックガイドが前記紙後縁収容部の後方に設けられる追突面を有し、前記サーボモーターにより後方へ送った前記最下層紙を前記追突面に当接させたのち、前記サーボモーターにより当該最下層紙を給紙方向の前方へ流送する請求項5に記載の給紙方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置や打ち抜き装置等に、紙材を1枚ずつ給紙する給紙装置、及び給紙方法に関し、特に、薄い紙を給紙する給紙装置、及び給紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機等に給紙を行う給紙装置として、給紙テーブル上に垂設された案内板に下流側の端縁を当接させて積載した紙材を、下側から1枚ずつローラーで給紙する給紙装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の給紙装置9(図6参照)は、段ボールシート等の厚紙Xを給紙するもので、案内板902とバックガイド905の間に積載した厚紙Xの最下層紙X1を、給紙テーブル11に設けた吸引孔12により下方に吸引しながら、給紙ロール13により給紙テーブル11と案内板902の隙間22を通して下流側へ流送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-50071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の給紙装置9では隙間22の高さを、1枚だけ厚紙Xを通すように調節しているところ、紙が薄い場合には、隙間22を紙1枚だけ通すような高さにするのは難しいという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薄い紙であっても1枚ずつ分離して給紙可能な給紙装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、厚み方向を上下方向にして積載した紙を下から順に給紙する給紙装置であって、紙を積載する給紙テーブルと、前記給紙テーブル上に垂設されて、積載された前記紙の前縁に当接する案内板と、積載された前記紙の後縁に当接する当接面を有するバックガイドと、前記紙を下方に吸引する吸引孔と、前記吸引孔に負圧を供給する吸引ポンプと、前記紙を給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール、又はベルトコンベアからなる給紙コンベアと、 前記給紙コンベアを回転駆動するサーボモーターと、積層された前記紙の束の前側の下縁を前記給紙テーブルから離間した状態で支持する支持片と、前記バックガイドの当接面の下端と前記給紙テーブルの間に設けられた間隙からなる紙後縁収容部と、前記サーボモーター、及び前記吸引ポンプを制御する制御部とを備え、前記制御部は、積載された前記紙の最下層紙を前記吸引ポンプにより吸引しながら、当該最下層紙の後縁を前記紙後縁収容部に収容するようにして後退させたのち前進させるよう前記サーボモーター、及び前記吸引ポンプを制御することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る給紙装置では、このように、積載した紙の束の前側の下縁を、給紙テーブルから離間するよう支持片で支持するようにし、積載した紙のうち最下層紙を、下方へ吸引しながら後退させたのち前進させるようにしたので、薄い紙であっても1枚ずつ分離して給紙することができ、複数枚が誤って流送されることを防止できる。
【0008】
本発明の給紙装置は、前記バックガイドが、前記紙後縁収容部の後方に設けられる追突面を有し、前記制御部が、後方へ送った前記最下層紙を前記追突面に当接させたのち、当該最下層紙を給紙方向の前方へ流送するよう前記サーボモーターを制御することが好ましい。
このように、紙後縁収容部の後方に追突面を設け、後方へ送った前記最下層紙を前記追突面に当接させたのち、当該最下層紙を給紙方向の前方へ流送することで、給紙する紙の搬送方向における間隔を正確にそろえることができる。
【0009】
前記支持片は、先端が下方に向けて傾斜することが好ましい。こうすることで、給紙する紙が後方へ抜けやすくなる。
【0010】
前記支持片の上面と、前記案内板における前記紙の前縁に当接する案内面との角度θが、80度以上、100度以下であることが好ましい。こうすることで、積載した紙がばらけることを抑制できる。
【0011】
本発明は、給紙装置を用い厚み方向を上下方向にして積載した紙を下から順に給紙する給紙方法であって、前記給紙装置は、紙を積載する給紙テーブルと、前記給紙テーブル上に垂設されて、積載された前記紙の前縁に当接する案内板と、積載された前記紙の後縁に当接する当接面を有するバックガイドと、前記紙を下方に吸引する吸引孔と、前記吸引孔に負圧を供給する吸引ポンプと、前記紙を給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール、又はベルトコンベアからなる給紙コンベアと、前記給紙コンベアを回転駆動するサーボモーターと、積層された前記紙の束の前側の下縁を前記給紙テーブルから離間した状態で支持する支持片と、前記バックガイドの当接面の下端と前記給紙テーブルの間に設けられた間隙からなる紙後縁収容部とを有し、積載された前記紙の最下層紙を前記吸引ポンプにより吸引しながら、前記サーボモーターにより当該最下層紙の後縁を前記紙後縁収容部に収容するようにして当該最下層紙を後退させたのち前進させることを特徴とする給紙方法を含む。
【0012】
本発明は、前記給紙方法において、前記給紙装置が、前記バックガイドが前記紙後縁収容部の後方に設けられる追突面を有し、前記サーボモーターにより後方へ送った前記最下層紙を前記追突面に当接させたのち、前記サーボモーターにより当該最下層紙を給紙方向の前方へ流送することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の給紙装置、及び給紙方法によれば、薄い紙であっても一枚ずつ分離して給紙することができ、誤って、複数枚が重なったまま流送されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一の実施形態に係る給紙装置の使用状態を示す側面図である。
図2図1の案内板の下端部を示した要部拡大正面図である。
図3図1の案内板の下端部を示した要部拡大側面図である。
図4図1のバックガイドの案内面近傍を示した要部拡大側面図である。
図5図1の給紙装置において、紙が給紙される様子を示す説明図である。
図6】従来の給紙装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る給紙装置100を示している。 給紙装置100は、厚み方向を上下方向にして積載した紙Xを下から順に印刷機や打ち抜き装置等の次工程装置に給紙するために用いられ、給紙装置本体1と、案内板2と、バックガイド3とを主に備えている。図1の符号Yは、次工程装置まで紙Xを流送するコンベアである。
【0017】
給紙装置本体1は、水平板状をなす給紙テーブル11と、給紙する紙Xを下方へ吸引する吸引孔12と、吸引孔12に負圧を供給する吸引ポンプ(不図示)と、紙Xを給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール(給紙コンベア)13,13,…と、給紙ロール13,13,…を回転駆動するサーボモーター(不図示)と、制御部(不図示)を備え、給紙テーブル11の上面11aに積載された紙Xを給紙方向の前後に流送するよう構成されている。
【0018】
案内板2は、図2図3に示すように、長板状をなし、給紙テーブル上を横断する横桟4から、給紙テーブル11の上面1a上に板厚方向を給紙方向(図2の奥行方向)にして吊設されている。案内板2の下端部の給紙方向上流側の面(図2の紙面手前側、図3の右側の面)には、上側が給紙方向の上流側へ傾斜する案内面21が設けられている。
【0019】
この案内板2は、図2に示すように、給紙テーブル11の幅方向に間隔を置いて2本が設けられ、2本の案内板2は、互いの間隔と、給紙テーブル11との隙間からなる給紙用隙間22が、紙Xの大きさや厚みに応じて適宜に変更可能に設けられている。案内板2は、積層された紙Xの束の前側の下縁Xcを給紙テーブル11から離間した状態で支持する左右一対の支持フック5,5を備えている。
【0020】
支持フック5は、図2図3に示すように、摺動板6を介して案内板2の内側の側面に螺子固定されている。 支持フック5は、板材を折り曲げたL字形状をなし、鉛直部51と鉛直部51に対し前方へ折れ曲がる支持片52を有し、鉛直部51の側辺から直角に折れ曲がる螺子代53により摺動板6に固定されている。
【0021】
摺動板6は、上下に延びる長孔61を介して六角穴ボルト62により、案内板2の側面に固定されている。支持フック5は、六角穴ボルト62を緩めて、摺動板6を上下に摺動させることで、支持片52の給紙テーブル11からの高さを調節する。支持片52の上面52aは、先端が下がるよう傾斜していることが好ましく、案内面21との間の角θが80度以上100度以下であることが特に好ましい。こうすることで、紙Xが後方へ抜けやすくなる。
【0022】
バックガイド3は、図4に示すように、積載した紙Xの後縁に当接する当接面31と、当接面31の下側に設けられた間隙からなる紙後縁収容部32と、紙後縁収容部32の後方に設けられる追突面33と、積載した紙Xの束の後縁Xbを持ち上げるフック34と、手回しハンドル35(図1参照)とを備えている。当接面31は、手回しハンドル35により前後に移動可能に設けられている。当接面31は、案内板2の案内面21に略平行となるよう上側が後方へ傾斜するよう設けられ、かつ傾斜の大きさが変更可能である。
【0023】
給紙装置100を用いる際には、図5(a)に示すように、まず、紙Xの束の前縁Xaを案内面21に当接させ、後縁Xbを当接面31に当接させるとともに、前側の下縁Xcを支持フック5の支持片52に載置するようにして、案内板2とバックガイド3の間に積載する。
【0024】
この状態で給紙装置100に対し給紙開始の操作をすると、図5(b)に示すように、吸引ポンプが操作されて、積載された紙Xの最下層紙X1が吸引孔12により吸引され、これと同時に、サーボモーターが操作されて給紙ロール13が後転し、当該最下層紙X1を後方へ引き抜く。引き抜かれた最下層紙X1は、前縁X1aを支持片52から離脱させ、後縁X1bを紙後縁収容部32に収容するように後退したのち追突面33に追突させる。吸引ポンプは、給紙を開始してから給紙が完了するまでの間、一定の圧力で紙Xを吸引し続ける。
【0025】
最下層紙X1が追突面33に追突すると、図5(c)に示すように、サーボモーター、及び給紙ロール13は反転するよう制御され、当該最下層紙X1を前進させて、給紙用隙間22を通して下流側のコンベアYに移送する。
【0026】
以上、本発明の給紙装置、及び給紙方法は、上述した実施形態に限らず、例えば、支持片は、2つに限らず、1つでも、3つ以上でもよい。バックガイドに追突面を設けなくともよい。給紙コンベアは、給紙ローラーに限らず、無端環状のベルトからなるベルトコンベアであってもよい。支持片は、先端が下方に傾いていなくともよいし、案内面との角度が80度未満でも、100度超でもよい。案内面は傾斜していなくともよい。
【符号の説明】
【0027】
100 給紙装置
11 給紙テーブル
12 吸引孔
13 給紙ロール(給紙コンベア)
2 案内板
22 間隙
3 バックガイド
31 当接面
32 紙後縁収容部
33 追突面
52 支持片
52a 上面
X 紙
X1 最下層紙
X1b 後縁
Xc 下縁
【要約】      (修正有)
【課題】給紙する紙が薄い紙であっても、一枚ずつ分離して給紙できるようにする。
【解決手段】本発明の給紙装置100は、紙Xを積載する給紙テーブル11と、給紙テーブル11上に垂設されて、積載された紙Xの前縁に当接する案内板2と、積載された紙Xの後縁に当接する当接面31を有するバックガイド3と、紙Xを下方に吸引する吸引孔12と、吸引孔12に負圧を供給する吸引ポンプと、紙Xを給紙方向の前方、又は後方に移動する給紙ロール13と、積層された紙Xの束の前側の下縁を給紙テーブル11から離間した状態で支持する支持フック5と、当接面31の下端と給紙テーブル11の間に設けられた紙後縁収容部32とを備え、積載された紙の最下層紙を吸引ポンプにより吸引しながら、最下層紙の後縁を紙後縁収容部32に収容するようにして後退させたのち前進させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6