(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】長尺体搬送装置および長尺体搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
B65H19/12 A
B65H19/12 B
(21)【出願番号】P 2017155507
(22)【出願日】2017-08-10
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健一
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-291341(JP,A)
【文献】特開2005-138938(JP,A)
【文献】特開平09-165128(JP,A)
【文献】特開平11-035200(JP,A)
【文献】特開平07-133045(JP,A)
【文献】特開平06-048416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持孔を有する長尺体支持部材に長尺体が巻回された巻回一体物を所定の収納位置に収納する収納手段と、
前記収納位置に収納された前記巻回一体物を所定の取出位置に取り出す取出手段と、
前記取出位置に取出された前記巻回一体物を所定の繰出位置に配置する配置手段と、
前記繰出位置に配置する前記巻回一体物の配置方向を変更可能な配置方向変更手段とを備え、
前記配置手段は、前記繰出位置に前記巻回一体物を配置して当該巻回一体物から離間可能に構成され、
前記配置方向変更手段は、
前記収納手段に設けられており、前記収納位置で巻回一体物の配置方向を変更することを特徴とする長尺体搬送装置。
【請求項2】
前記繰出位置には、一端部側が受け部材に支持された支持軸が設けられ、
前記配置手段は、前記支持孔の挿通開始端部が前記支持軸の他端部に対向するように、支持した前記巻回一体物を位置決めする位置決め手段と、前記巻回一体物を前記支持軸の軸線方向に沿って移動させ、当該巻回一体物を前記支持軸に支持させる挿通手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の長尺体搬送装置。
【請求項3】
前記巻回一体物における長尺体の繰出方向を検知する繰出方向検知手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の長尺体搬送装置。
【請求項4】
支持孔を有する長尺体支持部材に長尺体が巻回された巻回一体物を
収納手段により所定の収納位置に収納する収納工程と、
前記収納位置に収納された前記巻回一体物を所定の取出位置に取り出す取出工程と、
前記取出位置に取出された前記巻回一体物を所定の繰出位置に配置する配置工程と、
前記繰出位置に配置する前記巻回一体物の配置方向を変更する配置方向変更工程とを備え、
前記配置工程は、前記繰出位置に前記巻回一体物を配置して当該巻回一体物から離間する工程を含み、
前記配置方向変更工程では、
前記収納手段に設けられた配置方向変更手段により前記収納位置で巻回一体物の配置方向を変更することを特徴とする長尺体搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体搬送装置および長尺体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺体を巻回して巻回一体物とし、当該巻回一体物を自動で所定の繰出位置に配置する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のシート体生産システム(長尺体搬送装置)では、フイルム長尺体20(長尺体)がコア124(長尺体支持部材)に巻回された巻回一体物は、スキッド22のシャフト82に支持された状態で搬送され、当該スキッド22ごと送り出し部36(繰出位置)に配置されるため、長尺体を使用する加工処理ライン28(長尺体使用装置)が大型化するという不都合を生じる。
【0005】
本発明の目的は、長尺体を使用する長尺体使用装置が大型化することを防止することができる長尺体搬送装置および長尺体搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配置手段が、繰出位置に巻回一体物を配置して当該巻回一体物から離間可能な構成なので、長尺体を使用する長尺体使用装置が大型化することを防止することができる。
さらに、配置手段が位置決め手段と挿通手段とを備えれば、巻回一体物を確実に支持軸に支持させることができる。
また、繰出方向検知手段を備えれば、長尺体の繰出方向を間違えて巻回一体物を繰出位置に配置することを防止することができる。
さらに、配置方向変更手段を備えれば、長尺体の繰出方向を間違えて巻回一体物を繰出位置に配置することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る長尺体搬送装置の側面図。
【
図3】(A)、(B)は長尺体搬送装置の動作説明図。(C)、(D)は変形例の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、当該所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な
図1の手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
長尺体搬送装置10は、支持孔CM1を有する長尺体支持部材CMに長尺体RSが巻回された巻回一体物RBを所定の収納位置PAに収納する収納手段20と、収納位置PAに収納された巻回一体物RBを所定の取出位置PBに取り出す取出手段30と、取出位置PBに取出された巻回一体物RBを所定の繰出位置PCに配置する配置手段40と、巻回一体物RBにおける長尺体RSの繰出方向を検知する繰出方向検知手段50と、繰出方向検知手段50の検知結果を基に、配置手段40が巻回一体物RBを繰出位置PCに配置する際の当該巻回一体物RBの配置方向を変更可能な配置方向変更手段60とを備え、長尺体RSを巻回一体物RBから繰り出して当該長尺体RSを使用する長尺体使用装置としてのシート貼付装置70の周辺に配置されている。
なお、本実施形態の場合、長尺体RSは、帯状の剥離シートRLの一方の面に接着シートASが仮着されたものが採用され、シート貼付装置70は、接着シートASを被着体WKに貼付する構成となっている。
【0011】
収納手段20は、駆動機器としてのリニアモータ21と、そのスライダ21Aに支持され、複数のアーム22A~22Fによって構成された駆動機器としての多関節ロボット22と、その作業部である先端のアーム22Fに支持された駆動機器としてのリニアモータ23と、その各スライダ23A、23Bそれぞれに支持された一対の支持アーム24A、24Bと、複数の棚25Aを有するラック25とを備えている。なお、本実施形態の場合、収納手段20は、搬入台TT上に載置された巻回一体物RBを、複数の棚25Aそれぞれに支持された配置方向変更手段60の上部である収納位置PAに収納する構成となっている。
【0012】
取出手段30は、収納手段20と兼用する構成となっている。なお、本実施形態の場合、取出手段30は、収納位置PAに収納された巻回一体物RBを、載置台PTの上部である取出位置PBに取り出す構成となっている。また、巻回一体物RBは、載置台PT上に取り出された際、当該載置台PT上に設けられた移動規制部材PT1によってその移動が規制されるようになっている。
【0013】
配置手段40は、駆動機器としての回動モータ41Aによって駆動される2体の駆動輪41Bおよび、駆動機器としての直動モータ41Cによって操舵される2体の操舵輪41Dを有し、それらによって自走可能とされた台車41と、台車41に支持され、複数のアーム42A~42Fによって構成された駆動機器としての多関節ロボット42と、その作業部である先端のアーム42Fに支持された配置アーム43と、配置アーム43の自由端側に設けられ、支持孔CM1の挿通開始端部CM2が支持軸71の他端部71Bに対向するように、支持した巻回一体物RBを位置決めする位置決め手段44と、巻回一体物RBを支持軸71の軸線方向に沿って移動させ、当該巻回一体物RBを支持軸71に支持させる挿通手段45と、配置アーム43内に支持された駆動機器としての直動モータ46の出力軸46Aに支持されたストッパ47とを備えている。
台車41は、図示しない単数または複数の発信機から発信される電気や電波等の所定の信号を受信器41Eで受け取り、自身の現在位置や進む方向等が自動で決定できるようになっている。
位置決め手段44は、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成されている。
挿通手段45は、配置アーム43内に支持された駆動機器としてのリニアモータ45Aと、そのスライダ45Bに支持され、配置アーム43に形成されたスリット43Aに沿って移動するプッシャ45Cとを備えている。
なお、本実施形態の場合、繰出位置PCには、一端部71A側が受け部材71Cに支持された支持軸71が設けられ、配置手段40は、取出位置PBに取り出された巻回一体物RBを支持軸71上である繰出位置PCに配置する構成となっている。
また、多関節ロボット22、42は、その作業範囲内において、先端のアーム22F、42Fで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂6軸ロボット等で構成されている。
以上のような構成により、配置手段40は、繰出位置PCに巻回一体物RBを配置して当該巻回一体物RBから離間できるようになっている。
【0014】
繰出方向検知手段50は、配置方向変更手段60に支持されたフレーム部材51と、フレーム部材51に支持された駆動機器としての回動モータ52と、その図示しない出力軸に支持された駆動プーリ53と、フレーム部材51に回転可能に支持された従動プーリ54と、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成された検知機器55とを備えている。
【0015】
配置方向変更手段60は、棚25Aに支持され、その出力軸61Aでフレーム部材を支持する駆動機器としての回動モータ61を備え、複数の棚25Aそれぞれに支持されている。
【0016】
シート貼付装置70は、巻回一体物RBを支持する支持軸71と、長尺体RSを案内するガイドローラ72と、剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板73と、被着体WKに接着シートASを押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ74と、駆動機器としての回動モータ75Aによって駆動する駆動ローラ75との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ76と、図示しない駆動機器によって駆動し、剥離シートRLを巻回して回収する回収ローラ77と、駆動機器としてのリニアモータ78のスライダ78Aに支持され、保持面79Aで被着体WKを支持する支持テーブル79と、保持面79Aに吸着力を付与する減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段とを備えている。
支持軸71は、一端部71Aと他端部71Bとを有し、一端部71A側が受け部材71Cに支持されるとともに、当該一端部71A側に位置決め板71Dが支持され、巻回一体物RBの一端面を位置決め板71Dに突き当てることで、当該巻回一体物RBを支持軸71上に位置決めして配置できる構成となっている。
【0017】
以上の長尺体搬送装置10の動作を説明する。
先ず、各部材が
図1(AAで示した図除く)および
図2中実線で示す初期位置で待機している長尺体搬送装置10に対し、当該長尺体搬送装置10の使用者(以下、単に「使用者」という)や、図示しない駆動機器やコンベア等の搬入手段が支持孔CM1の中心軸をZ軸方向に向けて巻回一体物RBを搬入台TT上に載置する。すると、収納手段20がリニアモータ21、多関節ロボット22およびリニアモータ23を駆動し、
図1中二点鎖線で示すように一対の支持アーム24A、24Bを支持孔CM1内に挿通した後、それら一対の支持アーム24A、24Bを相互に離間させて巻回一体物RBを保持する。次いで、収納手段20がリニアモータ21、多関節ロボット22およびリニアモータ23を駆動し、
図1に示すように、巻回一体物RBが駆動プーリ53および従動プーリ54に支持されるように、支持孔CM1の中心軸方向をY軸方向に向けて当該巻回一体物RBを適宜空いている収納位置PAに収納する。
【0018】
ここで、巻回一体物RBが収納位置PAに収納されると、繰出方向検知手段50が回動モータ52および検知機器55を駆動し、巻回一体物RBにおける長尺体RSの繰出方向を検知し、配置方向変更手段60が巻回一体物RBを支持軸71に挿通する際の当該巻回一体物RBの配置方向を決定する。すなわち、
図3(A)、(B)のように、接着シートASが外側になる所謂外巻きの巻回一体物RBが
図3[A1]に示す状態で収納位置PAに収納された場合、当該巻回一体物RBをRD方向に1回転以上回転させると、検知機器55は、剥離シートRLの端部RL1を検知した後、接着シートASの繰出方向先端部AS1を検知することとなる。この場合、繰出方向検知手段50は、さらに巻回一体物RBを回転させ、
図3[A2]に示すように、剥離シートRLの端部RL1がカメラ等の検知位置に到達した時点で回動モータ52の駆動を停止する。一方、巻回一体物RBが
図3[B1]に示す状態で収納位置PAに収納された場合、当該巻回一体物RBをRD方向に1回転以上回転させると、検知機器55は、接着シートASの繰出方向先端部AS1を検知した後、剥離シートRLの端部RL1を検知することとなる。この場合、配置方向変更手段60が回動モータ61を駆動し、
図3[B2]に示すように、Z軸を中心に巻回一体物RBを180度回転させた後、繰出方向検知手段50がさらに巻回一体物RBを回転させ、
図3[B3]に示すように、剥離シートRLの端部RL1がカメラ等の検知位置に到達した時点で、繰出方向検知手段50が回動モータ52の駆動を停止する。以上のように、巻回一体物RBの配置方向を決定しておけば、本実施形態の場合、当該巻回一体物RBは、繰出位置PCに配置された際、
図2中実線で示す状態で支持軸71に支持されるようになるので、長尺体RSの繰出方向を間違えて巻回一体物RBを繰出位置PCに配置することを確実に防止することができる。
【0019】
1つの収納位置PAに1つの巻回一体物RBが収納され、または、複数の収納位置PAにそれぞれ1つの巻回一体物RBが収納されると、収納手段20がリニアモータ21、多関節ロボット22およびリニアモータ23を駆動し、一対の支持アーム24A、24Bを初期位置に復帰させる。その後、シート貼付装置70が所定のタイミングで電気や電波等の所定の信号を長尺体搬送装置10に出力すると、取出手段30がリニアモータ21、多関節ロボット22およびリニアモータ23を駆動し、収納位置PAに収納されている巻回一体物RBの支持孔CM1内に一対の支持アーム24A、24Bを挿通した後、それら一対の支持アーム24A、24Bを相互に離間させて当該巻回一体物RBを保持する。次いで、取出手段30がリニアモータ21、多関節ロボット22およびリニアモータ23を駆動し、
図1に示すように、支持孔CM1の中心軸方向をX軸方向に向けて巻回一体物RBを取出位置PBに取り出した後、一対の支持アーム24A、24Bを初期位置に復帰させる。なお、シート貼付装置70が所定の信号を出力する所定のタイミングとしては、シート貼付装置70を所定の位置に配置後初めて作動させるときや、シート貼付装置70を作動中に、使用者や図示しない駆動機器等が支持軸71で支持していた巻回一体物RBを取り外し、それを図示しない検知手段が検知したときや、使用者が巻回一体物RBを必要と認識し、図示しない押釦スイッチ等を押したとき等が例示できる。
【0020】
巻回一体物RBが取出位置PBに取り出されると、配置手段40が回動モータ41A、直動モータ41C、多関節ロボット42および直動モータ46を駆動し、取出位置PBに取出された巻回一体物RBの支持孔CM1内に配置アーム43を挿通した後、ストッパ47を支持孔CM1の側壁に押し当てて当該巻回一体物RBを保持する。そして、配置手段40が回動モータ41A、直動モータ41Cおよび多関節ロボット42を駆動し、
図1中AAで示す図のように、配置アーム43を支持軸71に対向させる。このとき、配置手段40は、位置決め手段44の検知結果を基に、回動モータ41A、直動モータ41Cおよび多関節ロボット42を駆動し、支持軸71の他端部71Bと配置アーム43の自由端側の面との間隔を所定の間隔とし、かつ、配置アーム43の最上点が支持軸71の最上点と同じ高さとなるようにする。これにより、巻回一体物RBは、挿通開始端部CM2が支持軸71の他端部71Bに対向するように位置決めされる。次いで、配置手段40が直動モータ46およびリニアモータ45Aを駆動し、ストッパ47を初期位置に復帰させた後、
図1中AAで示す図の二点鎖線で示すように、プッシャ45Cを右方へ移動させ、巻回一体物RBを位置決め板71Dに突き当てて当該巻回一体物RBを繰出位置PCに配置する。その後、配置手段40が回動モータ41A、直動モータ41C、多関節ロボット42およびリニアモータ45Aを駆動し、配置アーム43およびプッシャ45Cを初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0021】
なお、シート貼付装置70では、使用者が支持軸71に支持された巻回一体物RBから長尺体RSを引き出して
図2のようにセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して当該シート貼付装置70の自動運転開始の信号を入力する。次に、
図2に示すように、被着体WKが保持面79A上に載置されると、シート貼付装置70が図示しない減圧手段およびリニアモータ78を駆動し、保持面79Aでの被着体WKの吸着保持を開始した後、支持テーブル79を
図2中左方へ移動させる。そして、被着体WKが所定の位置に到達すると、シート貼付装置70が回動モータ75Aおよび図示しない駆動機器を駆動し、
図2中二点鎖線で示すように、剥離シートRLから接着シートASを剥離しつつ、当該接着シートASを押圧ローラ74で被着体WKに貼付する。次いで、接着シートAS全体が貼付された被着体WKが所定位置に到達すると、シート貼付装置70がリニアモータ78および図示しない減圧手段の駆動を停止し、使用者または図示しない搬送手段が被着体WKを次工程に搬送した後、シート貼付装置70がリニアモータ78を駆動し、支持テーブル79を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0022】
以上のような長尺体搬送装置10によれば、配置手段40が、繰出位置PCに巻回一体物RBを配置して当該巻回一体物RBから離間可能な構成なので、長尺体RSを使用するシート貼付装置70が大型化することを防止することができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、収納手段は、支持孔を有する長尺体支持部材に長尺体が巻回された巻回一体物を所定の収納位置に収納可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
収納手段20は、Y軸方向やその他の方向に複数の巻回一体物RBを収納できるラック25を採用してもよいし、棚25Aが1つのラック25を採用してもよいし、支持孔CM1の中心軸方向をZ軸方向、X軸方向または、その他の方向に向けて巻回一体物RBをラック25に収納してもよいし、棚がなく搬入台TTのような単なる台の上に巻回一体物RBを収納してもよいし、ある巻回一体物RBの上面に他の巻回一体物RBの下面を直接接触させて巻回一体物RBを収納してもよいし、ラック25が備わっていなくてもよい。
【0025】
取出手段30は、支持孔CM1の中心軸方向をZ軸方向、Y軸方向または、その他の方向に向けて巻回一体物RBを取出位置PBに取り出してもよいし、収納手段20が一対の支持アーム24A、24Bを挿通した方向と異なる方向から、一対の支持アーム24A、24Bを支持孔CM1内に挿通して支持してもよいし、配置手段40が巻回一体物RBを保持できる範囲であれば、どの位置に巻回一体物RBを取り出してもよい。
【0026】
配置手段40は、台車41の代わりに単数または複数のリニアモータ等の駆動機器で多関節ロボット42を移動させ、取出位置PBに取出された巻回一体物RBを繰出位置PCに配置する構成でもよいし、取出手段30が一対の支持アーム24A、24Bを挿通した方向と同じ方向から、配置アーム43を支持孔CM1内に挿通して支持してもよい。
位置決め手段44は、挿通開始端部CM2が他端部71Bに対向するように、支持した巻回一体物RBを位置決めする際、当該挿通開始端部CM2が他端部71Bに引っ掛からなければ、配置アーム43の最上点が支持軸71の最上点よりも高くなるように位置決めしてもよいし、低くなるように位置決めしてもよいし、他端部71Bと配置アーム43の自由端側の面とを接触させてもよいし、巻回一体物RBを支持軸71の軸線方向に沿って移動させる際、当該巻回一体物RBが脱落しない距離であれば、他端部71Bと配置アーム43の自由端側の面との間隔を0mm以上としてもよい。
位置決め手段44は、支持軸71の最上点以外の位置や、支持軸71以外のその他の部材に設けられた所定の印や目盛等を基準にして支持軸71に対する巻回一体物RBの位置決めを行ってもよいし、例えば、多関節ロボット42が先端のアーム42Fを回転させたり、複数のアーム42A~42Fを移動させたりしながら、支持軸71の位置、形状、中心等を検知し、支持孔CM1の挿通開始端部CM2が支持軸71の他端部71Bに対向するように、支持した巻回一体物RBを位置決めするようにしてもよいし、例えば、配置アーム43の自由端側の面の中央部や、アーム42D等のその他の位置に設けられてもよいし、本発明の長尺体搬送装置10に備わっていなくてもよい。
挿通手段45は、巻回一体物RBの円周面の下方から当該巻回一体物RBを支え持つことで、支持孔CM1の内面が配置アーム43や支持軸71に擦れないようにしたり、支持孔CM1の内面が配置アーム43や支持軸71に擦れたとしても、その摩擦抵抗が軽減するようにしたりして、巻回一体物RBを支持軸71の軸線方向に沿って移動させてもよいし、本発明の長尺体搬送装置10に備わっていなくてもよい。
【0027】
繰出方向検知手段50は、
図3(C)、(D)のように、接着シートASが内側になる所謂内巻きの巻回一体物RBが
図3[C1]、[D1]に示す状態で収納位置PAに収納された場合、当該巻回一体物RBをRD方向に1回転以上回転させても、検知機器55は、剥離シートRLの端部RL1しか検知しない。このような場合、繰出方向検知手段50は、剥離シートRLの端部RL1に引っ掛かり、その回転中心が変位しながら回転する回転部材56を揺動アーム57Aで保持するリミットスイッチや光学センサ等のセンサ57を備えてもよい。すなわち、巻回一体物RBが
図3[C1]に示す状態で収納位置PAに収納された場合、当該巻回一体物RBをRD方向に1回転以上回転させても、センサ57は反応しないこととなる。この場合、繰出方向検知手段50は、さらに巻回一体物RBを回転させ、
図3[C2]に示すように、剥離シートRLの端部RL1がカメラ等の検知位置に到達した時点で回動モータ52の駆動を停止する。一方、巻回一体物RBが
図3[D1]に示す状態で収納位置PAに収納された場合、当該巻回一体物RBをRD方向に1回転以上回転させると、回転部材56が剥離シートRLの端部RL1に引っ掛かって回転するので、揺動アーム57Aを介してセンサ57が反応する。すると、繰出方向検知手段50が図示しない駆動機器を駆動し、回転部材56を巻回一体物RBの円周面から一旦離間させる。次いで、配置方向変更手段60が回動モータ61を駆動し、
図3[D2]に示すように、Z軸を中心に巻回一体物RBを180度回転させた後、繰出方向検知手段50がさらに巻回一体物RBを回転させ、
図3[D3]に示すように、剥離シートRLの端部RL1がカメラ等の検知位置に到達した時点で、繰出方向検知手段50が回動モータ52の駆動を停止する。以上のように、巻回一体物RBの配置方向を決定しておけば、前記実施形態の場合、当該巻回一体物RBは、
図2中二点鎖線で示す状態で支持軸71に支持されるようになるので、長尺体RSの繰出方向を間違えて巻回一体物RBを繰出位置PCに配置することを確実に防止することができる。
繰出方向検知手段50は、搬入台TT、載置台PT、配置手段40の近傍やその他の位置に1つまたは複数配置され、巻回一体物RBにおける長尺体RSの繰出方向を検知する構成でもよく、巻回一体物RBが支持軸71に配置される前に長尺体RSの繰出方向を検知できればどこに配置されてもよいし、本発明の長尺体搬送装置10に備わっていなくてもよい。
【0028】
配置方向変更手段60は、搬入台TT、載置台PT、配置手段40の近傍やその他の位置に1つまたは複数配置され、繰出方向検知手段50の検知結果を基に、配置手段40が巻回一体物RBを繰出位置PCに配置する際の当該巻回一体物RBの配置方向を変更できる構成としてもよく、巻回一体物RBが支持軸71に配置される前に長尺体RSの配置方向を決定できればどこに配置されてもよいし、本発明の長尺体搬送装置10に備わっていなくてもよい。なお、本発明の長尺体搬送装置10に配置方向変更手段60が備わっていない場合、繰出方向検知手段50の検知結果を基に、取出手段30が巻回一体物RBを取出位置PBに取り出す方向を変更させたり、配置手段40が巻回一体物RBを支持軸71に支持させる方向を変更させたりすれば、長尺体RSの繰出方向を間違えて巻回一体物RBを繰出位置PCに配置することを防止することができる。
【0029】
シート貼付装置70は複数でもよく、この場合、長尺体搬送装置10は、複数のうち何れか1のシート貼付装置70から所定の信号が出力されると、上記実施形態と同様の動作で、所定の信号を出力した複数のうち何れか1のシート貼付装置70の繰出位置PCに巻回一体物RBを配置することができる。
シート貼付装置70は、天地反転して配置したり横向きに配置したりして被着体WKに接着シートASを貼付したり、帯状の接着シート基材が剥離シートRLに仮着された長尺体RSが採用された場合、切断手段により、接着シート基材を所定形状に切断してその内側を接着シートASとしてもよいし、接着シートASを剥離シートRLから剥離する際、長尺体RSに所定の張力が付与されるように回動モータ75Aのトルク制御を行ってもよいし、支持軸71やガイドローラ72等の代わりに板状部材やシャフト部材等で長尺体RSや剥離シートRLを支持したり案内したりしてもよいし、駆動ローラ75とピンチローラ76とで剥離シートRLを挟み込むことなく長尺体RSに繰出力を付与する構成でもよいし、剥離シートRLを巻回することなく例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだりして回収してもよいし、支持テーブル79を移動させずにまたは移動させつつ、その他のものを移動させて被着体WKに接着シートASを貼付する構成でもよいし、本発明の長尺体搬送装置10に備わっていなくてもよい。
押圧手段は、押圧ローラ74を被着体WKに離間接近させる押圧手段接離手段としての駆動機器を設け、当該被着体WKにストレスがかかったり損傷したりすることを防止するようにしてもよく、このような押圧手段接離手段としては、駆動機器以外に手動で押圧ローラ74を移動させるものでもよい。
【0030】
長尺体搬送装置10は、収納手段20、取出手段30および配置手段40のうち少なくとも2つを兼用する構成としてもよいし、それら全てが独立した構成としてもよい。
収納手段20、取出手段30および配置手段40のうち少なくとも1つは、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、吸引力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で巻回一体物RBを保持する構成でもよいし、巻回一体物RBの円周面や、円周面に直交する円形面等を保持したり、巻回一体物RBの円周面や円形面等を下方から支え持ったりする構成としてもよい。
収納手段20と取出手段30との少なくとも一方は、配置手段40のように自走可能な構成でもよい。
【0031】
長尺体は、剥離シートRLに仮着された帯状の接着シート基材に複数の閉ループ状の切込が形成されることで、その内側が接着シートASされたものでもよいし、帯状の接着シート基材が剥離シートRLに仮着されたものでもよいし、その他、剥離シートRLに仮着されていない接着シート、インクリボン、紙、布、鋼板、ベルト、樹脂、木板、糸、紐、針金、コード、チューブ、ホース、紙やすり等、長いものであれば何でもよい。
収納位置PAに収納する巻回一体物RBは、長尺体RSの種類や形状、長尺体支持部材CMの種類や形状、支持孔CM1の大きさや形状、長尺体支持部材CMへ巻回した巻回直径等、全てが同じものでもよいし、一部が同じでその他が異なっているものでもよいし、全てが異なっているものでもよい。この場合、長尺体搬送装置10は、例えば、シート貼付装置70が出力した所定の信号に含まれる情報の中に、巻回一体物RBの種類や形状等を特定する情報が含まれていた場合、収納位置PAに収納した様々な巻回一体物RBの中から、前記情報に合致する巻回一体物RBを取出手段30で位置PBに取り出し、当該巻回一体物RBを配置手段40で繰出位置PCに配置することもできる。
支持孔CM1は、長尺体支持部材CMを貫通する孔でもよいし、貫通しない穴でもよい。
支持軸71は、受け部材71Cに対して回転可能に支持されていてもよいし、回転不能に支持されていてもよい。
巻回一体物RBを搬入台TT上に載置する際、支持孔CM1の中心軸方向をX軸方向やY軸方向または、その他の方向に向けて載置してもよいし、収納手段20が巻回一体物RBを保持できる範囲であれば、どの位置に巻回一体物RBを載置してもよい。
長尺体使用装置は、シート貼付装置70の他、例えば、長尺体RSとしてのインクリボンを支持軸71で支持して繰り出し、当該インクリボンのインクを紙や布等の被転写体に転写させることで使用するプリンタや、長尺体RSとしての紙、糸、紐、針金、コード、チューブ、ホース等を支持軸71で支持して繰り出し、所定の長さに切断することで使用する裁断機等、長尺体RSを巻回一体物RBから繰り出して当該長尺体RSを使用するものであればどんなものでもよい。なお、長尺体RSを使用するとは、長尺体RSを切断したり、長尺体RSに他のものを付け加えたりすることで、長尺体RSに所定の加工を加えることや、長尺体RSの一部または全部を被加工物に取り付けたり、長尺体RSで被加工物を削ったりすることで、被加工物に所定の処理を施すこと等が例示できる。
繰出位置PCには、支持軸71が設けられていなくてもよく、例えば、巻回一体物RBを下方から支持する2本または複数本のローラや、2本のプーリに掛け回されたベルト等が設けられていてもよいし、巻回一体物RBの円形面を挟み込んで当該巻回一体物RBを支持するものが設けられていてもよい。
【0032】
本発明における長尺体RS、接着シートASおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性のものが採用された場合は、当該接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設ければよい。また、このような接着シートASは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するもの、基材シートの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フイルム、テープ等でもよい。
【0033】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸以上の多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
長尺体搬送装置10および長尺体使用装置は、ローラが採用されている場合、各ローラを回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、各ローラの表面をゴムや樹脂等の弾性変形が可能な部材で構成してもよいし、各ローラを弾性変形しない部材で構成してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材が採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用したり、大気やガス等のエアの吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧手段や押圧部材の押圧部をゴムや樹脂等の弾性変形が可能な部材で構成してもよいし、弾性変形しない部材で構成してもよいし、剥離手段や剥離部材が採用されている場合は、板状部材、丸棒、ローラ等で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持する構成のものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断するものが採用されている場合、カッター刃、レーザカッタの他に、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…長尺体搬送装置
20…収納手段
30…取出手段
40…配置手段
44…位置決め手段
45…挿通手段
50…繰出方向検知手段
60…配置方向変更手段
71…支持軸
71A…一端部
71B…他端部
71C…受け部材
AS…接着シート
CM…長尺体支持部材
CM1…支持孔
CM2…挿通開始端部
PA…収納位置
PB…取出位置
PC…繰出位置
RB…巻回一体物
RS…長尺体