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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】車両用ドアモールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20220901BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20220901BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B29C63/02
B29C48/15
B60R13/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017218824
(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2019089237
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊始
(72)【発明者】
【氏名】松山 重晴
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 祐介
(72)【発明者】
【氏名】花野 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】永田 兼広
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-175025(JP,A)
【文献】特開昭55-109619(JP,A)
【文献】特開平05-208437(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047801(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/02
B29C 48/15
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の曲成部を有する芯材と、前記芯材の表面に積層され長手方向と直交する断面形状が曲面を含む樹脂材料とを含む車両用ドアモールを製造する車両用ドアモールの製造方法であって、
前記樹脂材料が積層された前記芯材の搬送時に、前記複数の曲成部を覆うように前記樹脂材料の表面にフィルムを被覆する被覆工程と、
前記被覆工程に続いて実行され、前記樹脂材料が積層された前記芯材の搬送時に、搬送方向及び搬送方向と交差する方向において互いに異なる位置に設けられた複数の押圧部材により、前記フィルムが前記樹脂材料に密着するように前記フィルムを押圧することによって前記樹脂材料の表面が滑らかになるように成形する押圧工程と、
前記押圧工程の後、前記樹脂材料から前記フィルムを剥離する剥離工程と
を含む
車両用ドアモールの製造方法。
【請求項2】
前記押圧工程においては、前記曲面の所定の曲面部位を押圧した後、前記所定の曲面部位に隣り合わない曲面部位に先立って、前記所定の曲面部位に隣り合う曲面部位を押圧する
請求項1に記載の車両用ドアモールの製造方法。
【請求項3】
前記押圧工程においては、前記複数の押圧部材のうち、隣り合う押圧部材同士による前記曲面の押圧領域は部分的に重畳している
請求項1又は請求項2に記載の車両用ドアモールの製造方法。
【請求項4】
前記複数の押圧部材の各々は、少なくとも前記フィルムに当接する先端部が軟質材料により構成されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用ドアモールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアモールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアには、ステンレスやアルミニウムなどの金属からなるモールディング(以下、ドアモール)が装着された構成が知られている。ドアモールは、車両用ドアの意匠性を向上させるためにドアパネルの連結部を覆っている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の車両用ドアモールの製造方法ではまず、ステンレスモールの表面を樹脂材料により積層した後、樹脂材料の表面をフィルムにより被覆する。そして、押出金型が樹脂材料の表面をフィルムを介して押圧した後、樹脂材料の表面からフィルムを剥離する。これにより、樹脂材料の表面が平坦状に成形されるようになり、車両用ドアモールの意匠性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3243817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ドアモールの製造方法では、ステンレスモールが長手方向に曲げ加工されているときには、ステンレスモールの曲面部位に積層された樹脂材料を押出金型によって平滑に成形することが困難となっており、車両用ドアモールの意匠性を向上する上でなお改善の余地を残していた。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長手方向と直交する断面形状が曲面を含む車両用ドアモールの意匠性を向上することのできる車両用ドアモールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決する車両用ドアモールの製造方法は、芯材と、前記芯材の表面に積層され長手方向と直交する断面形状が曲面を含む樹脂材料とを含む車両用ドアモールを製造する車両用ドアモールの製造方法であって、前記樹脂材料が積層された前記芯材の搬送時に、前記樹脂材料の表面にフィルムを被覆する被覆工程と、前記被覆工程に続いて実行され、前記樹脂材料が積層された前記芯材の搬送時に、搬送方向及び搬送方向と交差する方向において互いに異なる位置に設けられた複数の押圧部材により、前記フィルムの表面全体を押圧する押圧工程と、前記押圧工程の後、前記樹脂材料から前記フィルムを剥離する剥離工程とを含む。
【0008】
上記構成によれば、芯材の曲面に積層されたフィルムを複数の押圧部材により押圧して樹脂材料の表面を成形する。これにより、芯材の曲面に積層された樹脂材料が好適に成形される。そのため、長手方向と直交する断面形状が曲面を含む車両用ドアモールの意匠性を向上させることができる。
【0009】
(2)上記車両用ドアモールの製造方法において、前記押圧工程においては、前記曲面の所定の曲面部位を押圧した後、前記所定の曲面部位に隣り合わない曲面部位に先立って、前記所定の曲面部位に隣り合う曲面部位を押圧する。
【0010】
上記構成によれば、押圧工程においては、芯材の曲面のうち、隣り合う曲面部位から順に樹脂材料の表面を押圧する。そのため、樹脂材料が重力の作用によって撓んだとしても、樹脂材料の表面を押圧する際にフィルムにしわが生じにくく、樹脂材料の表面を好適に成形することができる。
【0011】
(3)上記車両用ドアモールの製造方法において、前記押圧工程においては、前記複数の押圧部材のうち、隣り合う押圧部材同士による前記曲面の押圧領域は部分的に重畳している。
【0012】
上記構成によれば、隣り合う押圧部材が樹脂材料の表面を押圧する際にフィルムに生じるしわがより一層抑えられ、樹脂材料の表面をより一層好適に成形することができる。
(4)上記車両用ドアモールの製造方法において、前記複数の押圧部材の各々は、少なくとも前記フィルムに当接する先端部が軟質材料により構成されている。
【0013】
上記構成によれば、押圧部材とフィルムとの密着性が高まるため、芯材の曲面に積層された樹脂材料をより一層好適に成形することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長手方向と直交する断面形状が曲面を含む車両用ドアモールの意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るドアモールが装着された車両の側面図。
図2図1のA-A断面図。
図3】本発明に係るベルトモール部の断面図。
図4】車両用ドアモールの製造装置の概略構成を示す模式図。
図5】(a)~(e)は、第1実施形態におけるベルトモール部の製造の過程を示す模式図。
図6】(a)~(e)は、第2実施形態におけるベルトモール部の製造の過程を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両の後部には、後部座席側から乗員が乗り降りするための乗降口1を開閉する車両用ドアとしてのリヤドア2が設けられている。リヤドア2の上部には、ほぼ上下方向に沿って伸びるデビジョンバー3によって前後方向で区画された開口部3a.3bが設けられている。デビジョンバー3よりも前方側の第1開口部3aは可動ガラス(以下、ウインドウガラスという)4によって開閉され、デビジョンバー3よりも後方側の第2開口部3bは固定ガラス5によって閉塞されている。また、リヤドア2の外側面には、開口部3a,3bを縁取り連続した意匠面Mを有する車両用ドアモール(以下、ドアモール6)が設けられている。
【0017】
ドアモール6は、第1開口部3aの上側に配設されるフレームモール部10と、第1開口部3aの下側に配設されるベルトモール部20とを備えている。また、ドアモール6は、第2開口部3bに沿って配設されフレームモール部10とベルトモール部20とを連結するリヤモール部30を備えている。ドアモール6はフレームモール部10とベルトモール部20とリヤモール部30とが一体的に形成されており、その意匠面Mは前方側に開口する略U字状となっている。なお、以下の説明では、開口部3a,3bに沿った意匠面Mの幅方向を意匠幅方向とし、ドアモール6の各モール部10,20,30において開口側を内周側とし、反開口側を外周側とする。
【0018】
次に、ベルトモール部20について説明する。
図2及び図3に示すように、ベルトモール部20は、長手方向に曲げ加工された芯材40と、芯材40の表面に積層された樹脂材料50とを有している、芯材40は、ドアパネル9よりも車両外側に配設される外装部41と、ドアパネル9よりも車両内側に配設されるレール部42を有し、略逆U字状の断面形状を有して形成されている。なお、芯材40の材質は、SUS(ステンレス鋼)などの金属材料であってもよく、ポリプロピレンなどの樹脂材料であってもよい。
【0019】
外装部41は、レール部42の上端側から車両外側に曲折する第1曲成部41aと、第1曲成部41aの先端から車両外側に向けて延びる板状の第1直線部41bと、第1直線部41bの先端からドアパネル9の意匠幅方向の外周側に曲折する第2曲成部41cと、第2曲成部41cの先端からドアパネル9を構成するアウターパネル91とインナーパネル92の連結部93に沿って延びる板状の第2直線部41dと、第2直線部41dの先端から車両内側に曲折する第3曲成部41eとを備える。外装部41の表面には樹脂材料50が積層されており、樹脂材料50の表面は、ドアモール6の第1開口部3aの下側に沿った部分の意匠面Mを形成する。また、外装部41の第3曲成部41eの先端には、芯材40とアウターパネル91との間の隙間を閉塞するカバー部材94が接着されている。レール部42は、ウインドウガラス4の外側面4bに対して略垂直な方向を板厚方向とする平板状に形成されており、ベルトモール部20はドアパネル9の上端部を覆うようにして装着される。
【0020】
レール部42には、ウインドウガラス4の外側面4bを払拭するリップ9cが固定されるリップ係合部42aが形成されている。リップ9cは、ドアパネル9の連結部93に係止されるクリップ73と一体的に形成されており、レール部42のリップ係合部42aに係合するフック部73aを備えている。リップ9cは、フック部73aがリップ係合部42aに係止されるとともにレール部42の車両内側の面42bに装着されることによって、ドアパネル9の車両内側に固定される。
【0021】
次に、ベルトモール部20における樹脂材料50の表面を成形してベルトモール部20を製造する製造装置100について説明する。
図4に示すように、製造装置100は、被覆部110と、押圧部120と、剥離部150とを備える。
【0022】
被覆部110は、長尺状のフィルムFを巻回した繰出ローラ111を有しており、繰出ローラ111を回転駆動することにより、繰出ローラ111からフィルムFを繰り出す。繰出ローラ111に隣接する位置にはテンションローラ112が設けられている。そのため、繰出ローラ111から繰り出されたフィルムFは、テンションローラ112によって張力が付与された状態で押圧部120に繰り出される。
【0023】
押圧部120は、複数(本実施形態では5つ)の押圧部材121~125を備える。各押圧部材121~125は、フィルムFに接触して転動する転動ローラ130と、転動ローラ130を上下左右に移動させる駆動装置140とを有する。なお、本実施形態では、各押圧部材121~125は、外装部41の曲面の各部位に対応して設けられており、第3曲成部41eに対応する第1押圧部材121、第2直線部41dに対応する第2押圧部材122、第2曲成部41cに対応する第3押圧部材123、第1直線部41bに対応する第4押圧部材124、及び第1曲成部41aに対応する第5押圧部材125を含む。そして、本実施形態では、繰出ローラ111からのフィルムFの繰り出し方向の下流側から順に、第1押圧部材121、第2押圧部材122、第3押圧部材123、第4押圧部材124、及び第5押圧部材125が配置されている。なお、これら押圧部材121~125のうち、隣り合う押圧部材同士による芯材40の曲面の押圧領域は部分的に重畳している。
【0024】
押圧部120の下方には、ベルトモール部20が、芯材40のうち成形の対象となる外装部41を上方に向けた状態で、ベルトモール部20の長手方向に沿うように搬送される。このとき、ベルトモール部20は、外装部41の第2曲成部41cが頂面となるように搬送される。
【0025】
転動ローラ130は、軟質材料により構成されており、外装部41に積層された樹脂材料50の表面に対して弾性変形を伴いつつフィルムFを密着させる。なお、転動ローラ130は、フィルムFを押圧する前の形状は押圧方向に突出するように湾曲しており、フィルムFに対する密着性が高められている。駆動装置140は、外装部41に対する転動ローラ130の相対位置を調整して転動ローラ130をフィルムFに対して密着させる。また、駆動装置140は、押圧部材121~125の角度を調整して、転動ローラ130による外装部41に対するフィルムFの押圧方向を変更する。
【0026】
剥離部150は、剥離ローラ151と、巻取りローラ152とを備える。剥離ローラ151は、樹脂材料50の表面に密着したフィルムFを剥離する。巻取りローラ152は、剥離ローラ151により樹脂材料50の表面から剥離したフィルムFを巻き取る。このとき、フィルムFを剥離する前後で樹脂材料50の表面の外観は変化しない。そのため、転動ローラ130がフィルムFを介して樹脂材料50の表面を押圧して成形したときには、成形後の樹脂材料50の表面が維持された状態でフィルムFが剥離される。その結果、ベルトモール部20は、意匠面Mとして機能する外装部41に光沢が得られるため、ベルトモール部20の意匠性が向上する。
【0027】
次に、本実施形態の製造装置100の作用について説明する。
図5(a)に示すように、外装部41に積層された樹脂材料50の表面を成形する際にはまず、第3曲成部41eと第1押圧部材121とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第1押圧部材121は、第3曲成部41eに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第1押圧部材121は、第3曲成部41eを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0028】
そして次に、図5(b)に示すように、第3曲成部41eに隣り合う第2直線部41dと第2押圧部材122とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第2押圧部材122は、第2直線部41dに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第2押圧部材122は、第2直線部41dを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0029】
続いて、図5(c)に示すように、第2直線部41dに隣り合う第2曲成部41cと第3押圧部材123とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第3押圧部材123は、第2曲成部41cに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第3押圧部材123は、第2曲成部41cを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0030】
そして次に、図5(d)に示すように、第2曲成部41cに隣り合う第1直線部41bと第4押圧部材124とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第4押圧部材124は、第1直線部41bに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第4押圧部材124は、第1直線部41bを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0031】
最後に、図5(e)に示すように、第1直線部41bに隣り合う第1曲成部41aと第5押圧部材125とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第5押圧部材125は、第1曲成部41aに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第5押圧部材125は、第1曲成部41aを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0032】
このように、本実施形態では、外装部41に積層された樹脂材料50の表面を被覆する際には、外装部41の曲面のうち隣り合う部位から順にフィルムFを密着させる。これにより、樹脂材料50の表面とフィルムFとの間に隙間が生じにくく、樹脂材料50の表面が好適に成形される。
【0033】
以上詳述したように、上記第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態では、押圧部120は、芯材40の曲面に対して複数の押圧部材121~125によりフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面を成形する。これにより、芯材40の曲面を積層する樹脂材料50が好適に成形される。そのため、長手方向と直交する断面形状が曲面を含む車両用ドアモールの意匠性を向上させることができる。
【0034】
(2)本実施形態では、押圧部120は、芯材40の曲面の所定の曲面部位を押圧した後、所定の曲面部位に隣り合わない曲面部位に先立って、所定の曲面部位に隣り合う曲面部位を押圧する。そのため、樹脂材料50が重力の作用によって撓んだとしても、樹脂材料50の表面を押圧する際にフィルムFにしわが生じにくく、樹脂材料50の表面を好適に成形することができる。
【0035】
(3)本実施形態では、複数の押圧部材121~125のうち、隣り合う押圧部材121~125同士による芯材40の曲面の押圧領域は部分的に重畳している。そのため、隣り合う押圧部材121~125が樹脂材料50の表面を押圧する際にフィルムFに生じるしわがより一層抑えられ、樹脂材料50の表面をより一層好適に成形することができる。
【0036】
(4)本実施形態では、押圧部材121~125は、少なくともフィルムFに当接する先端部が軟質材料により構成されている。そのため、押圧部材121~125とフィルムFとの密着性が高まるため、芯材40の曲面を積層する樹脂材料50をより一層好適に成形することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、外装部に積層された樹脂材料の表面を押圧する順序が第1実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と相違する構成について主に説明し、第1実施形態と同一の又は相当する構成については重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態の製造装置100では、繰出ローラ111からのフィルムFの繰り出し方向の下流側から順に、第3押圧部材123、第4押圧部材124、第5押圧部材125、第2押圧部材122、及び第1押圧部材121が配置されている。
【0039】
そして、図6(a)に示すように、外装部41に積層された樹脂材料50の表面を成形する際にはまず、外装部41の頂面に位置する第2曲成部41cと第3押圧部材123とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第3押圧部材123は、第2曲成部41cに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第3押圧部材123は、第2曲成部41cを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0040】
そして次に、図6(b)に示すように、第2曲成部41cに隣り合う第1直線部41bと第4押圧部材124とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第4押圧部材124は、第1直線部41bに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第4押圧部材124は、第1直線部41bを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0041】
続いて、図6(c)に示すように、第1直線部41bに隣り合う第1曲成部41aと第5押圧部材125とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第5押圧部材125は、第1曲成部41aに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第5押圧部材125は、第1曲成部41aを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0042】
そして次に、図6(d)に示すように、第2曲成部41cに隣り合う第2直線部41dと第2押圧部材122とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第2押圧部材122は、第2直線部41dに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第2押圧部材122は、第2直線部41dを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0043】
最後に、図6(e)に示すように、第2直線部41dに隣り合う第3曲成部41eと第1押圧部材121とがフィルムFを挟んで互いに対向する。そして、第1押圧部材121は、第3曲成部41eに積層された樹脂材料50の表面をフィルムFを介して押圧する。このとき、第1押圧部材121は、第3曲成部41eを被覆するフィルムFを押圧して樹脂材料50の表面に密着させることにより、樹脂材料50の表面を成形する。
【0044】
このように、本実施形態では、外装部41に積層された樹脂材料50の表面を被覆する際には、外装部41の曲面のうち隣り合う部位から順にフィルムFを密着させる。これにより、樹脂材料50の表面とフィルムFとの間に隙間が生じにくく、樹脂材料50の表面が好適に成形される。
【0045】
以上詳述したように、上記第2実施形態によれば、上記(1)~(4)と同様の効果が得られる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
【0046】
・上記各実施形態において、外装部41に積層された樹脂材料50の成形は、必ずしも、一方向に隣り合う位置から順に行わなくてもよい。例えば、まず最初に第2曲成部41cに積層された樹脂材料50の表面を成形し、次いで、第2直線部41dに積層された樹脂材料50の表面を成形し、その後、第2曲成部41cから見て第2直線部41dとは反対側に隣り合う第1直線部41bに積層された樹脂材料50の表面を成形してもよい。また、まず最初に第2曲成部41cに積層された樹脂材料50の表面を成形し、次いで、第1直線部41bに積層された樹脂材料50の表面を成形し、その後、第2曲成部41cから見て第1直線部41bとは反対側に隣り合う第2直線部41dに積層された樹脂材料50の表面を成形してもよい。
【0047】
・上記各実施形態において、ベルトモール部20の搬送の過程において、押圧部120を構成する押圧部材121~125の傾斜角度を変更してもよい。この場合、外装部41の曲面を構成する複数の部位に対して共通の押圧部材を対応付けることも可能となる。
【0048】
・上記各実施形態において、押圧部120を構成する各押圧部材121~125は駆動装置140を省略してもよい。この場合、例えば、各押圧部材121~125によるフィルムFの押圧方向を予め定めておき、転動ローラ130をコイルばね等により押圧方向に付勢することにより、外装部41の曲面に合わせて変位しつつ外装部41にフィルムFを密着させる構成を実現することができる。
【0049】
・本発明は、フレームモール部10又はリヤモール部30に適用してもよい。すなわち、長手方向と直交する断面形状が曲面を含む長尺状の芯材を含む部分であれば本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0050】
100…製造装置、110…被覆部、120…押圧部、121~125…押圧部材、150…剥離部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6