(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】誘導加熱のための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20220901BHJP
H05B 6/06 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
H05B6/10 331
H05B6/06 393
H05B6/06 386
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018042504
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-03-05
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グレイ, エヴァレット ディー.
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078104(JP,A)
【文献】特開2006-351477(JP,A)
【文献】特開昭62-110296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0144655(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0282740(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0353527(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0151368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00-6/10
H05B 6/14-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱セル(106)のアレイを制御するためのシステム(102)であって、
複数の誘導加熱セルが部品の平坦ではない表面と一致するように、互いに連結された複数の誘導加熱セルであって、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、
電力コネクタと、
それぞれの前記誘導加熱セルを前記複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに移動可能に連結するための連結特徴部と、
平坦な導電性プレートと、
前記平坦な導電性プレートに熱を生じさせるために前記平坦な導電性プレートの中に入る磁場を生成するように構成されたコイルと、
を備える、複数の誘導加熱セル、
前記
複数の誘導加熱セ
ルの各誘導加熱セルから
前記平坦な導電性プレートの温度と周波数のフィードバックを受信する、フィードバック受信デバイス(902)、
前記
複数の誘導加熱セ
ルの各誘導加熱セルに、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給する、1以上の誘導発電機(904)、及び
前記温度と周波数のフィードバックに基づいて前記1以上の誘導発電機を制御する、コントローラ(906)
、
を備え
、
前記複数の誘導加熱セルを前記平坦ではない表面と一致させるために、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、前記複数の誘導加熱セルのうちの隣接する誘導加熱セルに対して直接的に枢動可能に連結される、
システム(102)。
【請求項2】
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セル(106)が、熱電対、周波数検出センサ及びポート(802)、又はそれら
の組み合わせを備える、請求項1に記載のシステム(102)。
【請求項3】
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セル(106)が、誘導加熱を提供するために個別に制御可能である、請求項1又は2に記載のシステム(102)。
【請求項4】
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セル(106)が、導電性プレート(702)の周囲に配置されたコイル(708)、及び前記導電性プレートの少なくとも一部分を囲い込むハウジング(700)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(102)。
【請求項5】
前記複数の誘導発電機の各誘導発電機(904)が、前記誘導加熱セルのアレイのそれぞれの誘導加熱セル(106)と接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(102)。
【請求項6】
前記1以上の誘導発電機(904)が、前記誘導加熱セルのアレイのうちの1以上の誘導加熱セル(106)、加熱されている材料、前記誘導加熱セルのアレイを備えたツール、又はそれら
の組み合わせに対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機である、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(102)。
【請求項7】
前記1以上の誘導発電機(904)が、前記誘導加熱セル(106)のアレイ
に対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(102)。
【請求項8】
前記1以上の誘導発電機(904)が、前記誘導加熱セルのアレイのうちの対応した誘導加熱セル(106)に選択的に供給される複数の周波数出力を生成する、周波数マッチング誘導発電機を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム(102)。
【請求項9】
誘導加熱のための方法(1400)であって、
複数の誘導加熱セルが部品の平坦ではない表面と一致するように、互いに連結された複数の誘導加熱セル(106)であって、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、
電力コネクタと、
それぞれの前記誘導加熱セルを複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに移動可能に連結するための連結特徴部と、
平坦な導電性プレートと、
前記平坦な導電性プレートに熱を生じさせるために前記平坦な導電性プレートの中に入る磁場を生成するように構成されたコイルと、
を備える、複数の誘導加熱セルを配置すること、
前記複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セル(106)に、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給すること(1402)であって、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを受信するためのコネクタ(600
)を備える、
電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給すること、
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルから
前記平坦な導電性プレートの温度と周波数のフィードバックを受信すること(1404)、並びに
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルから前記フィードバックを受信したことに応じて、前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルに供給される前記電力、前記周波数、又はそれらの組み合わせを調整すること(1406)
、
を含
み、
前記複数の誘導加熱セルを前記平坦ではない表面と一致させるために、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、前記複数の誘導加熱セルのうちの隣接する誘導加熱セルに対して直接的に枢動可能に連結される、
方法(1400)。
【請求項10】
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セル(106)に供給される前記電力、前記周波数、又はそれらの組み合わせを調整すること(1406)が、前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルを、選択された温度、選択された周波数、選択された電力、又はそれら
の組み合わせに個別に制御することを含む、請求項9に記載の方法(1400)。
【請求項11】
誘導加熱のための装置であって、
複数の誘導加熱セルが部品の平坦ではない表面と一致するように、互いに連結された複数の誘導加熱セルであって、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、
電力コネクタと、
それぞれの前記誘導加熱セルを前記複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに移動可能に連結するための連結特徴部と、
平坦な導電性プレートと、
前記平坦な導電性プレートに熱を生じさせるために前記平坦な導電性プレートの中に入る磁場を生成するように構成されたコイルと、
を備える、複数の誘導加熱セル、
を備え、
前記複数の誘導加熱セルを前記平坦ではない表面と一致させるために、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、前記複数の誘導加熱セルのうちの隣接する誘導加熱セルに対して直接的に枢動可能に連結される、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、誘導加熱に関し、特に、誘導加熱セルのアレイを使用した誘導加熱に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱は、導電性物体を使用して、渦電流によって導電性物体内で生成された熱を通じて、電磁誘導を用いて部品を加熱する。特定の環境では、平坦な表面を有する部品を加熱するために、誘導加熱が使用され得る。そのような環境では、導電性物体が平坦な表面と一致するように形作られる。平坦ではない表面を有する部品に対する誘導加熱の使用は非効率であり得る。何故ならば、導電性物体の形状が、加熱されるべき部品の表面の形状と一致しないからである。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主題は、現在の最先端技術に応じて、特に、誘導加熱、特に、部品の硬化又は熱処理を目的とした部品の誘導加熱に対して使用される従来の装置の欠点に応じて開発されたものである。例えば、従来の装置は、平坦ではない表面に対する使用を容易なものとしない。
【0004】
したがって、本出願の主題は、先行技術の上述された欠点のうちの少なくとも幾つかを克服する装置、システム、及び方法を提供するために開発されてきた。より具体的には、ある実施形態において、平坦ではない表面と一致するように互いに対して移動する複数の誘導加熱セルを含む、部品を硬化させるための部品の誘導加熱などの誘導加熱のための装置、システム、及び方法が、本明細書で説明される。
【0005】
誘導加熱のための装置は、共に着脱可能に連結された複数の誘導加熱セルを含む。複数の誘導加熱セルを平坦ではない表面と一致させるために、複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、複数の誘導加熱セルのうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である。複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、電力コネクタ、及びそれぞれの誘導加熱セルを複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに連結するための連結特徴部を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例1を特徴付ける。
【0006】
連結特徴部は、少なくとも1つのヒンジを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例2を特徴付けており、実施例2は、上述の実施例1による主題も含む。
【0007】
連結特徴部は、少なくとも1つのワイヤーを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例3を特徴付けており、実施例3は、上述の実施例1又は2による主題も含む。
【0008】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、データコネクタを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例4を特徴付けており、実施例4は、上述の実施例1から3のいずれか1つによる主題も含む。
【0009】
電力コネクタとデータコネクタは、共に統合されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例5を特徴付けており、実施例5は、上述の実施例1から4のいずれか1つによる主題も含む。
【0010】
電力コネクタは、複数の電力コネクタを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例6を特徴付けており、実施例6は、上述の実施例1から5のいずれか1つによる主題も含む。
【0011】
連結特徴部は、複数の開口部を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例7を特徴付けており、実施例7は、上述の実施例1から6のいずれか1つによる主題も含む。
【0012】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、熱電対、周波数検出センサ及びポート、又はそれらの何らかの組み合わせを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例8を特徴付けており、実施例8は、上述の実施例1から7のいずれか1つによる主題も含む。
【0013】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、誘導加熱を提供するために個別に制御可能である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例9を特徴付けており、実施例9は、上述の実施例1から8のいずれか1つによる主題も含む。
【0014】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、導電性プレートの周囲に配置されたコイル、及び導電性プレートの少なくとも一部分を囲い込むハウジングを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例10を特徴付けており、実施例10は、上述の実施例1から9のいずれか1つによる主題も含む。
【0015】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、ハウジング内に配置されたコイルを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例11を特徴付けており、実施例11は、上述の実施例1から10のいずれか1つによる主題も含む。
【0016】
複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、選択された温度、選択された周波数、選択された電力、又はそれらの何らかの組み合わせに制御可能である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例12を特徴付けており、実施例12は、上述の実施例1から11のいずれか1つによる主題も含む。
【0017】
誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムが、誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルから温度と周波数のフィードバックを受信する、フィードバック受信デバイスを含む。誘導加熱セルのアレイを平坦ではない表面と一致させるために、誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルは、誘導加熱セルのアレイのうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である。該システムは、誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルに、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給する、1以上の誘導発電機も含む。該システムは、温度と周波数のフィードバックに基づいて1以上の誘導発電機を制御する、コントローラを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例13を特徴付ける。
【0018】
1以上の誘導発電機は、複数の誘導発電機を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例14を特徴付けており、実施例14は、上述の実施例13による主題も含む。
【0019】
複数の誘導発電機の各誘導発電機は、誘導加熱セルのアレイのそれぞれの誘導加熱セルと接続されている。この段落の前述の主題は、本開示の実施例15を特徴付けており、実施例15は、上述の実施例13又は14による主題も含む。
【0020】
1以上の誘導発電機は、誘導加熱セルのアレイのうちの1以上の誘導加熱セル、加熱されている材料、誘導加熱セルのアレイを備えたツール、又はそれらの何らかの組み合わせに対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例16を特徴付けており、実施例16は、上述の実施例13から15のいずれか1つによる主題も含む。
【0021】
1以上の誘導発電機は、誘導加熱セルのアレイに集合的に対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例17を特徴付けており、実施例17は、上述の実施例13から16のいずれか1つによる主題も含む。
【0022】
1以上の誘導発電機は、誘導加熱セルのアレイのうちの対応した誘導加熱セルに選択的に供給される複数の周波数出力を生成する、周波数マッチング誘導発電機を含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例18を特徴付けており、実施例18は、上述の実施例13から17のいずれか1つによる主題も含む。
【0023】
誘導加熱のための方法が、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給することを含む。複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルは、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを受信するためのコネクタ、及び、複数の誘導加熱セルを平坦ではない表面に一致させることを容易にするために、それぞれの誘導加熱セルを複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに移動可能に連結するための連結特徴部を含む。該方法は、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルからフィードバックを受信することも含む。該方法は、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルからフィードバックを受信したことに応じて、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに供給される、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを調整することを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例19を特徴付ける。
【0024】
複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに供給される、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを調整することは、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルを、選択された温度、選択された周波数、選択された電力、又はそれらの何らかの組み合わせに個別に制御することを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例20を特徴付けており、実施例20は、上述の実施例19による主題も含む。
【0025】
記載されている本開示の主題の特徴、構造、利点、及び/又は特性は、任意の適切な方式で、1以上の実施形態及び/又は実施態様に組み合わされてもよい。本開示の主題にかかる実施形態の深い理解を促すために、後述の記載において、数々の具体的な詳細が提供される。本開示の主題が、特定の実施形態又は実施態様の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの1以上がなくても実施され得ることを、当業者は認識するであろう。他の事例では、特定の実施形態及び/又は実施態様において、全ての実施形態又は実施態様には存在しなくてもよい追加の特徴及び利点が認められる場合がある。更に、ある事例では、本開示の主題の態様を不明瞭にしないよう、周知の構造、材料、又は工程が、詳細に記載又は図示されていない。本開示の主題の特徴及び利点は、後述の記載及び添付の特許請求の範囲によって更に明らかとなる、或いは、本主題を下記に記載されるように実施することによって理解されるであろう。
【0026】
本主題の利点がより容易に理解され得るように、上記で概説した本主題のより具体的な記載が、添付図面に示す特定の実施形態を参照して提供される。これらの図面は、本主題の典型的な実施形態のみを図示していることから、本主題の範囲を限定するものと見なされるべきではない。本主題は、図面の使用を通じて、更に具体的且つ詳細に記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】誘導加熱のためのシステムの一実施形態の概略図である。
【
図2】誘導加熱を使用して加熱され得る部品を含むシステムの一実施形態の概略図である。
【
図3】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱装置の一実施形態の上面斜視図である。
【
図4】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱装置の一実施形態の底面斜視図である。
【
図5】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱装置の一実施形態の上面図である。
【
図6】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱セルの一実施形態の上面斜視図である。
【
図7】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱セルの一実施形態の分解上面図である。
【
図8】誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱セルの一実施形態の分解底面図である。
【
図9】誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムの一実施形態の概略図である。
【
図10】誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムの複数の誘導発電機の一実施形態の概略図である。
【
図11】誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムの1つの誘導発電機の一実施形態の概略図である。
【
図12】誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムの1つの誘導発電機の別の一実施形態の概略図である。
【
図13】誘導セル配置信号ブロックを有する誘導発電機の周波数及び電力出力の一実施形態の概略図である。
【
図14】誘導加熱のための方法の一実施形態の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書全体で言及される「一実施形態」、「ある実施形態」、又は同様の文言は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じて記載されている「一実施形態では」、「ある実施形態では」、又は同様の文言は、全て同一の実施形態を意味してもよいが、必ずしもそうでなくともよい。同様に、「実施態様」という語の使用は、本開示の1つ以上の実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性を有する1つの実施態様を意味するが、別段の相互関係が明示されない限り、実施態様は1以上の実施形態に関連付けられ得る。
【0029】
図1は、誘導加熱のためのシステム100の一実施形態の概略図である。システム100は、誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱システム102を含む。具体的には、
図1で示されているように、誘導加熱システム102は、電磁誘導を使用して部品を加熱するために部品の近傍に配置可能な誘導加熱装置104を含む。部品又はツール(例えば、部品を支持するツールを)加熱するために、誘導加熱装置104内で渦電流が生成され、その結果として、誘導加熱装置104が熱を生成する。
【0030】
誘導加熱装置104は、1以上の誘導加熱セル106を含み、それらのセルの各々が、渦電流を生成し、その渦電流に応じて熱を供給するように構成されている。特定の実施形態では、1以上の誘導加熱セル106の各々が、共に着脱可能に連結されている。一実施形態では、1以上の誘導加熱セル106を平坦ではない表面に一致させるために、1以上の誘導加熱セル106の各誘導加熱セルが、1以上の誘導加熱セル106のうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である。様々な実施形態では、1以上の誘導加熱セル106の各誘導加熱セルが、誘導加熱を提供するために個別に制御可能である。ある実施形態では、1以上の誘導加熱セル106の各誘導加熱セルが、選択された温度、選択された電力、及び/又は選択された周波数に制御可能である。
【0031】
誘導加熱装置104は、1以上の誘導加熱セル106を共に移動可能に連結する、連結デバイス108を更に含む。連結デバイス108は、1以上のヒンジ、1以上のワイヤー、1以上のケーブルなどの、任意の適切なデバイスであり得る。ある実施態様では、誘導加熱装置104は、複数の連結デバイス108を含み、それらの各々が、1つの誘導加熱セル106を別の1つの隣接する誘導加熱セル106と共に移動可能に連結する。
【0032】
誘導加熱装置104は、更に、電力及び/若しくは周波数を1以上の誘導加熱セル106に供給し、且つ/又は、1以上の誘導加熱セル106からデータを受信する、1以上の電力及び/又はデータケーブル110を含む。電力及び/又は周波数は、1以上の誘導加熱セル106に供給されて、誘導加熱セル106が金属材料内に渦電流を生成することをもたらす。それは、部品に熱を供給する。更に、温度データ、周波数データなどの、データが、誘導加熱セル106から受信され得る。
【0033】
誘導加熱システム102は、1以上の誘導加熱セル106を所望の温度及び/又は周波数に制御する、制御システム112も含む。ある実施形態では、制御システム112が、1以上の誘導加熱セル106に供給される電圧、電流、及び/又は交流周波数を調整して、1以上の誘導加熱セル106を所望の温度及び/又は周波数に制御する。
【0034】
図2は、システム100によって生成された熱によって加熱され、システム100によって生成された熱から形成される、部品を含む、航空機の形態を採るシステム200の一実施形態の概略図である。任意の適切な部品が、システム100によって生成された熱から形成され得る。例えば、航空機の部品、自動車の部品、構造部品、衛星の部品、宇宙船の部品、金属部品、電子部品などが、システム100を使用して加熱され得る。一実施形態では、システム200の部品が、繊維強化ポリマーのエポキシなどの硬化可能な材料から作られる。そのような部品は、システム100を部品に適用すること、及び、エポキシの硬化温度まで部品を加熱してエポキシを硬化させ部品を形成すること、によって所望の形状に硬化され得る。
【0035】
図3及び
図4は、それぞれ、誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱装置104の一実施形態の上面及び底面斜視図である。誘導加熱装置104を平坦ではない表面に一致させるために、誘導加熱装置104は、互いに対して移動可能な複数の誘導加熱セル106を含む。
図3で示されている誘導加熱装置104は、7つの誘導加熱セル106を含む。しかし、他の実施形態では、誘導加熱装置104が、7つよりも少ない又は多い誘導加熱セル106を有し得る。
【0036】
図5は、誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱装置104の一実施形態の上面図である。示されているように、電力ケーブル500が、各誘導加熱セル106に接続されて、各誘導加熱セル106に電力及び/又は周波数を供給する。
図5で示されている誘導加熱装置104は、110個の誘導加熱セル106を含む。しかし、他の実施形態では、誘導加熱装置104が、110個よりも少ない又は多い誘導加熱セル106を有し得る。電力ケーブル500は、誘導加熱セル106に電力及び/又は周波数を供給するための任意の適切な導体を含み得る。更に、電力ケーブル500は、誘導加熱セル106のうちの1以上を直列に接続し得る。例えば、10個の誘導加熱セル106の各列が、電力ケーブル500を使用して直列に接続されるように示されている。示されている誘導加熱セル106のアレイは、平坦ではない部品、表面、又は部品を支持し加熱を必要とするツールに一致し得る。
【0037】
図6は、誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱セル106の一実施形態の上面斜視図である。
図6で示されている誘導加熱セル106は、電力及び/又はデータコネクタ600、並びに、誘導加熱セル106を1以上の他の誘導加熱セル106に連結することを容易にする連結特徴部602を含む。ある実施形態では、電力及び/又はデータコネクタ600が、各々、1つのケーブルの中へ共にまとめられた電力、周波数、及び/又はデータを搬送するために使用される。一方、他の実施形態では、電力及び/又はデータコネクタ600のうちの1つが、電力及び/又は周波数のために使用され、電力及び/又はデータコネクタ600のうちの別の1つが、データのために使用される。コネクタ600は、電力ケーブル500と電気接続可能であり、電力ケーブル500から電力、周波数、及び/又はデータを受信し、電力ケーブル500へ電力、周波数、及び/又はデータを送信する。示されている実施形態では、2つの電力及び/又はデータコネクタ600が示されている。理解され得るように、他の実施形態では、2つよりも少ない又は多い電力及び/又はデータコネクタ600が存在し得る。電力及び/又はデータコネクタ600は、(誘導加熱セル106に熱を生成させるための)電力、温度データ、周波数データ、及び/又は他のデータを搬送するために使用され得る。
【0038】
特定の実施形態では、連結特徴部602が、誘導加熱セルを共に連結するために使用される物体を挿入するための開口部を含み得る。示されている実施形態では、連結特徴部602が、6つの開口部を含む。開口部は、誘導加熱セルを共に連結するための1以上のヒンジ、ワイヤー、ケーブルなどの挿入を容易にし得る。
【0039】
示されているように、誘導加熱セル106は、六角形状、又は三角形状、四角形状、八角形状などの任意の適切な形状を有し得る。理解され得るように、誘導加熱セル106の形状は、誘導加熱セルのアレイを平坦ではない表面と一致させるために、誘導加熱セルのアレイのうちの誘導加熱セルを互いに対して移動させることを容易にし得る。
【0040】
図7は、誘導加熱を使用して部品を加熱するための誘導加熱セル106の一実施形態の分解上面図である。
図7の誘導加熱セル106は、ハウジング700のサイド(side)から延在する電力及び/又はデータコネクタ600を有するハウジング700を含む。
【0041】
更に、誘導加熱セル106は、ハウジング700の下側の中へ挿入されるように構成された、導電性プレート702(例えば、強磁性プレート)を含む。それによって、ハウジング700は、導電性プレート702の少なくとも一部分を覆う。様々な実施形態が、プレート702が導電性であると説明している一方で、ある実施形態では、プレート702が、導電性又は非導電性材料の何れかから製造され得る。導電性プレート702は、熱電対、周波数検出デバイスなどの挿入を容易にし得る開口部704を含む。ある実施形態では、開口部704が、導電性プレート702のハウジング700の中への挿入を容易にする。導電性プレート702は、その中にコイル708が配置されるところの周囲の溝706も含む。コイル708は、周囲の溝706内で導電性プレート702の周りに巻かれてソレノイドを形成する、ワイヤー(例えば、エナメル磁石ワイヤー)を含む。コイル708の巻き数は、AC電流がコイル708を通って流れるときに磁場を生成する。磁場の大きさと周波数は、電力とAC電流の周波数とを調整することによって調整され得る。コイル708によって生成された磁場は、導電性プレート702の中へ入り、導電性プレート702内で渦電流の生成を誘導する。渦電流は、導電性プレート702内で熱を生成するように作用する。したがって、コイル708に供給されている電力及び/又は周波数に応じて、導電性プレート702が加熱される。その後、導電性プレート702からの熱は、伝導又は対流などで部品に伝達され部品を加熱することができる。
図7で示されている実施形態が、導電性プレート702を含む一方で、他の実施形態が、導電性プレート702なしにハウジング700内に配置されたコイル708を含み得ることは、理解されるべきである。そのような実施形態では、コイル708が、部品それ自身内で渦電流の生成を誘導することによって部品を直接的に加熱し、又は部品を支持する導電性ツールを直接的に加熱し得る。
【0042】
図8は、
図7の誘導加熱セル106の分解底面図である。示されているように、ハウジング700は、導電性プレート702を受け入れ少なくとも部分的に囲い込むように構成された、空洞800を含む。更に、ハウジング700は、導電性プレート702の開口部704の中へ挿入されるポート802を含む。ある実施形態では、ポート802が、熱電対及び/又は周波数検出ポートであり得る。様々な実施形態では、周波数検出ポートが、周波数検出センサを含む。
【0043】
図9は、制御システム112の一実施形態の概略ブロック図である。制御システム112は、フィードバック受信デバイス902、1以上の誘導発電機904、及びコントローラ906を含む。
【0044】
ある実施形態では、フィードバック受信デバイス902が、誘導加熱セルのアレイ(例えば、共に連結された複数の誘導加熱セル)の各誘導加熱セルから温度及び/又は周波数のフィードバックを受信する。特定の実施形態では、誘導加熱セルのアレイを平坦ではない表面と一致させるために、誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルが、誘導加熱セルのアレイのうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である。
【0045】
特定の実施形態では、1以上の誘導発電機904が、誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルに電力及び/又は周波数を供給する。様々な実施形態では、1以上の誘導発電機が、誘導加熱セルのアレイのうちの1以上の誘導加熱セル、加熱されている材料、及び/又は誘導加熱セルのアレイを備えたツールに対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機である。一実施形態では、コントローラ906が、温度及び/又は周波数のフィードバックに基づいて1以上の誘導発電機を制御する。
【0046】
図10は、誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステム1000の複数の誘導発電機の一実施形態の概略図である。システム1000は、誘導発電機904と誘導加熱セル106を含む。示されているように、各誘導発電機904は、それぞれの誘導加熱セル106に接続されている。したがって、誘導加熱セル106に接続された誘導発電機904は、誘導発電機904が接続されている誘導加熱セル106に個別の周波数を直接的に供給し得る。
【0047】
具体的には、誘導発電機904が、誘導発電機1002、1004、1006、1008、1010、及び1012を含む。更に、誘導加熱セル106は、誘導加熱セル1014、1016、1018、1020、1022、及び1024を含む。誘導発電機1002は、誘導加熱セル1014と直接的に接続されて、誘導加熱セル1014に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱セル1014に供給する。更に、誘導発電機1004は、誘導加熱セル1016と直接的に接続されて、誘導加熱セル1016に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱セル1016に供給する。更に、誘導発電機1006は、誘導加熱セル1018と直接的に接続されて、誘導加熱セル1018に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱する1018に供給する。更に、誘導発電機1008は、誘導加熱セル1020と直接的に接続されて、誘導加熱セル1020に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱セル1020に供給する。更に、誘導発電機1010は、誘導加熱セル1022と直接的に接続されて、誘導加熱セル1022に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱セル1022に供給する。更に、誘導発電機1012は、誘導加熱セル1024と直接的に接続されて、誘導加熱セル1024に特有の周波数を有する電力信号を、誘導加熱セル1024に供給する。
【0048】
図11は、誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステム1100の1つの誘導発電機の一実施形態の概略図である。システム1100は、1つの誘導発電機904と複数の誘導加熱セル106を含む。特定の実施形態では、1つの誘導発電機904が、誘導加熱セルのアレイに集合的に対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機を含む。例えば、誘導発電機904は、誘導加熱セル106にマッチングし得る周波数の平均(例えば、統合されたフィードバック)である周波数を有する出力電力を供給し得る。
【0049】
示されているように、誘導発電機904は、誘導発電機1102を含み、誘導加熱セル106は、誘導加熱セル1104、1106、1108、1110、1112、及び1114を含む。誘導発電機1102は、誘導加熱セル1104、1106、1108、1110、1112、及び1114の各々と直接的に接続されている。
【0050】
図12は、誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステム1200の1つの誘導発電機の別の一実施形態の概略図である。システム1200は、1つの誘導発電機904と複数の誘導加熱セル106を含む。ある実施形態では、誘導発電機904が、対応した誘導加熱セル106に選択的に供給される複数の周波数出力を生成する、周波数マッチング誘導発電機を含む。
【0051】
示されているように、誘導発電機904は、誘導発電機1202を含み、誘導加熱セル106は、誘導加熱セル1204、1206、1208、1210、1212、及び1214を含む。誘導発電機1202は、誘導加熱セル1204、1206、1208、1210、1212、及び1214の各々と間接的に接続されている。誘導加熱セル1204、1206、1208、1210、1212、及び1214は、一意識別子(unique identifier)が割り当てられている。周波数が誘導発電機1202によって連続的に(例えば、直列で)生成される際に、誘導発電機1202は、一意識別子をヘッダーパケットとして各個別の電力周波数出力に割り当てる。一意識別子は、個別の電力周波数出力がそれに対して生成され向けられるところの誘導加熱セルを識別する。連続信号1216が、誘導発電機1202からコントローラ1217へ供給される。コントローラ1217は、各個別の電力周波数出力を伴って位置付けられた一意識別子を使用して、電力周波数出力をアレイ内の正しい誘導加熱セルに向ける。更に、示されているように、各誘導加熱セルは、誘導発電機1202と、誘導加熱セル1204、1206、1208、1210、1212、及び1214と、の間に配置された、対応する制御モジュール1218、1220、1222、1224、1226、及び1228を有して、個別の電力周波数出力を、それぞれの一意識別子によって識別された誘導加熱セルに向ける。更に、制御モジュール1218、1220、1222、1224、1226、及び1228は、誘導発電機1202に戻るように向けられた、回帰周波数及び/又は電力パルスに一意識別子を付ける。
【0052】
図13は、誘導セル配置信号ブロックを有する誘導発電機の周波数及び電力出力の一実施形態の概略図である。連続信号1216の一実施形態のスナップショットが、示されている。一例示的な信号として、誘導発電機1202が、第1の電力周波数出力1300に先立って送信された第1のセルヘッダー割り当てパケット1302を有する第1の電力周波数出力1300を提供し得る。第1のセルヘッダー割り当てパケット1302は、第1の電力周波数出力1300がどの誘導加熱セルに向けられているかを示す。別の一例示的な信号として、誘導発電機1202が、第2の電力周波数出力1304に先立って送信された第2のセルヘッダー割り当てパケット1306を有する第2の電力周波数出力1304を提供し得る。第2のセルヘッダー割り当てパケット1306は、第2の電力周波数出力1304がどの誘導加熱セルに向けられているかを示す。更なる一例示的な信号として、誘導発電機1202が、第3の電力周波数出力1308に先立って送信された第3のセルヘッダー割り当てパケット1310を有する第3の電力周波数出力1308を提供し得る。第3のセルヘッダー割り当てパケット1310は、第3の電力周波数出力1308がどの誘導加熱セルに向けられているかを示す。セルヘッダー割り当てパケットによって、電力周波数出力は、単一の誘導発電機1202を使用して、意図された誘導加熱セルに供給され得る。
【0053】
図14は、一実施形態による、欠陥に対して部品を検査するための方法1400の一実施形態の概略フロー図である。方法1400は、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに、電力及び/又は周波数を供給すること(1402)を含む。特定の実施形態では、複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、電力及び/又は周波数を受信するためのコネクタ、並びに、複数の誘導加熱セルを平坦ではない表面に一致させることを容易にするために、それぞれの誘導加熱セルを複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルに移動可能に連結するための連結特徴部を含む。
【0054】
方法1400は、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルからフィードバックを受信すること(1404)を含む。方法1400は、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルからフィードバックを受信したことに応じて、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに供給される電力及び/又は周波数を調整すること(1406)も含む。特定の実施形態では、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに供給される電力及び/又は周波数を調整すること(1406)が、複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルを、選択された温度、選択された電力、及び/又は選択された周波数、及び、又はそれらの組み合わせに個別に制御することを含む。
【0055】
上述の記載において、「上」「下」「上方」「下方」「水平」「垂直」「左」「右」「上部」「下部」などの特定の表現が用いられていることがある。これらの用語は、必要に応じ、相関関係を取り扱う際に説明に何らかの明確性をもたらすために用いられている。しかしながら、これらの用語には絶対的な関係、位置、及び/又は向きを含意させる意図はない。例えば、ある対象物に関して、単純にこの対象物の上下を逆にすることで「上方の」表面が「下方の」表面となり得る。それでもなお、これは同じ対象物である。更に、「含む」、「備える」、「有する」などの用語及びこれらの変化形は、別途明示的な記載がない限り、「~を含むがそれらに限定されない」ことを意味する。列挙されたアイテムは、別途明示的な記載がない限り、それらアイテムのうちの任意のもの又はすべてが互いを排除する及び/又は互いを含むものであることを含意しない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、別途明示的な記載がない限り、「1つ又は複数の」という意味も表す。更に、「複数」という用語は、「少なくとも2つ」と定義され得る。
【0056】
更に、本明細書における、1つの要素が他の要素に「結合される」ことは、直接的な結合及び間接的な結合を含み得る。直接的結合は、1つの要素が他の要素と結合しており、また他の要素と何らかの接触があることと定義され得る。間接的連結とは、互いに直接接触しておらず、連結された要素間に1つ又は複数の追加の要素を有する、2つの要素間の連結と定義され得る。更に、1つの要素を他の要素に固定することとは、本明細書で使用される場合、直接的な固定及び間接的な固定を含み得る。更に、「隣接」とは、本明細書で使用される場合、必ずしも接触を意味しない。例えば、1つの要素が他の要素に接触することなく隣接し得る。
【0057】
本明細書で使用されるように、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、かつ、列挙されたアイテムのうち1つだけあればよいということを意味する。アイテムとは、特定の物体、物品、又はカテゴリであり得る。すなわち、「~のうち少なくとも1つ」とは、列挙された中から任意の組み合わせのアイテム又は幾つかのアイテムを使用してもよいが、列挙されたアイテムの全てが必要ではない場合があることを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、例えば、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、「アイテムB」、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」を意味し得る。幾つかの場合には、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、又は他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0058】
別途提示されない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単に符号として使用されており、これらの用語が表すアイテムに対して、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図していない。更に、例えば、「第2」のアイテムが言及された場合、例えば、「第1」の若しくはより小さい数のアイテム、及び/又は、「第3」の若しくはより大きい数のアイテムが必要とされたり、除外されたりすることはない。
【0059】
本明細書に含まれる概略フローチャートは一般的に、論理フローチャートとして記載されている。従って、記載の順序及び名付けられたステップは、提示される方法の一実施形態を示す。示される方法の1つ以上のステップもしくはそれらの部分の機能、論理、または効果と均等である他のステップ及び方法が、想起され得る。更に、用いられている形式及びシンボルは、本方法の論理的ステップを説明するために提供されており、本方法の範囲を限定するものではないと理解される。フローチャートにおいて様々なタイプの矢印及び線が用いられ得るが、これらに対応する方法の範囲を限定するものではないことが理解される。実際、幾つかの矢印又はその他のコネクタは、本方法の論理的フローのみを示すために用いられ得る。例えば、矢印は、記載の方法の列挙されたステップの間の、不特定の長さの待機時間又はモニタリング時間を示し得る。更に、具体的な方法が発生する順序は、図示されている対応するステップの順序に厳密に従うこともあるが、従わないこともある。
【0060】
したがって、コントローラ112のモジュールの実施形態は、専らハードウェアの実施形態、専らソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせる実施形態の形式を採り得るが、本書ではそれらは全て、「回路」、「モジュール」、又は「システム」と広く称され得る。更に、実施形態は、機械可読コード、コンピュータ可読コード、及び/又は本明細書でこれ以後コードと称されるプログラムコードを記憶した、1以上のコンピュータ可読記憶デバイス内で具現化されたプログラム製品の形態を採り得る。記憶デバイスは、有形であり、非一過性であり、且つ/又は伝送しなくてもよい。記憶デバイスは、信号を具現化しなくてもよい。特定の一実施形態では、記憶デバイスが、コードにアクセスするために信号を採用するのみである。
【0061】
コントローラ112のモジュールは、カスタムVLSI回路又はゲートアレイを備えたハードウェア回路、例えば、論理チップ、トランジスタ、又は他のディスクリートコンポーネントなどの市販の半導体として実装され得る。更に、コントローラ112のモジュールは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイスなどの、プログラマブルハードウェアデバイスにも実装され得る。
【0062】
コントローラ112のモジュールは、様々な種類のプロセッサによって実行されるためのコード及び/又はソフトウェア内にも実装され得る。コードの識別されたモジュールは、例えば、1以上の実行可能コードの物理的ブロック又は論理的ブロックを含み、これらは、例えば、オブジェクト、手順、又は機能として整理され得る。しかしながら、識別されたモジュールの実行可能物(executables)は、物理的に共に位置している必要はなく、異なる位置に記憶されて論理的に集められるとモジュールを構成しモジュールの規定の目的を達成する、異種の(disparate)指示を含み得る。
【0063】
実際、コードのモジュールは、単一の指示命令又は複数の指示命令であってもよく、異なるプログラム間及び幾つかのメモリデバイス間の幾つかの異なるコードセグメントに分散されていてもよい。同様に、動作データは、本明細書では、モジュール内で特定且つ例示されてもよく、任意の適切な形態で具現化され、任意の適切な種類のデータ構造内で整理され得る。動作データは、単一のデータセットとして収集されてもよく、又は異なるコンピュータ可読記憶デバイスにわたることを含んで、異なる場所にわたり分散されてもよい。モジュール又はモジュールの部分がソフトウェア内に実装される場合、ソフトウェア部分は、1以上のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶される。
【0064】
1以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが、コントローラ112のモジュールによって利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コードを記憶する記憶デバイスであり得る。記憶デバイスは、例えば、電子式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線、ホログラフ式、微小機械式、又は半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、或いはこれらの任意の適切な組み合わせであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0065】
記憶媒体のより具体的な実施例(非排他的なリスト)は、1以上のワイヤーを有する電気接続、持ち運び可能なコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、持ち運び可能なコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は、それらの任意の好適な組み合わせを含み得る。この文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、指示命令を実行するシステム、装置、又はデバイスによって使用するための、又はそれらと接続しているプログラムを、包含、又は記憶することが可能な、任意の有形な媒体であり得る。
【0066】
本実施形態のための動作を実行するためのコードは、Python、Ruby、Java、Smalltalk、C++、などのオブジェクト指向プログラミング言語など、及び、「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語、及び/又は、アセンブリ言語などの機械語を含む、1以上のプログラミング言語の任意の組み合せで書かれていてよい。コードは、専らユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔コンピュータ上で、又は、専ら遠隔コンピュータ又はサーバ上で、実行を行い得る。後者の場合、リモートコンピュータがローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るか、或いは、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータへの接続がなされ得る。
【0067】
更に、本発明は下記の条項による実施形態を含む。
条項1
誘導加熱のための装置であって、
共に着脱可能に連結された複数の誘導加熱セルであって、前記複数の誘導加熱セルを平坦ではない表面と一致させるために、前記複数の加熱セルの各誘導加熱セルが、前記複数の誘導加熱セルのうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である、複数の誘導加熱セルを備え、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、
電力コネクタ、及び
それぞれの誘導加熱セルを前記複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルと移動可能に連結するための、連結特徴部を備える、装置。
条項2
前記連結特徴部が、少なくとも1つのヒンジを備える、条項1に記載の装置。
条項3
前記連結特徴部が、少なくとも1つのワイヤーを備える、条項1に記載の装置。
条項4
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、データコネクタを備える、条項1に記載の装置。
条項5
前記電力コネクタと前記データコネクタが、共に統合されている、条項4に記載の装置。
条項6
前記電力コネクタが、複数の電力コネクタを備える、条項1に記載の装置。
条項7
前記連結特徴部が、複数の開口部を備える、条項1に記載の装置。
条項8
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、熱電対、周波数検出センサ及びポート、又はそれらの何らかの組み合わせを備える、条項1に記載の装置。
条項9
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、誘導加熱を提供するために個別に制御可能である、条項1に記載の装置。
条項10
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、導電性プレートの周囲に配置されたコイル、及び前記導電性プレートの少なくとも一部分を囲い込むハウジングを備える、条項1に記載の装置。
条項11
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、ハウジング内に配置されたコイルを備える、条項1に記載の装置。
条項12
前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、選択された温度、選択された周波数、選択された電力、又はそれらの何らかの組み合わせに制御可能である、条項1に記載の装置。
条項13
誘導加熱セルのアレイを制御するためのシステムであって、
前記誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルから温度と周波数のフィードバックを受信する、フィードバック受信デバイスであって、前記誘導加熱セルのアレイを平坦ではない表面と一致させるために、前記誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルが、前記誘導加熱セルのアレイのうちの隣接する誘導加熱セルに対して移動可能である、フィードバック受信デバイス、
前記誘導加熱セルのアレイの各誘導加熱セルに、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給する、1以上の誘導発電機、及び
前記温度と周波数のフィードバックに基づいて前記1以上の誘導発電機を制御する、コントローラを備える、システム。
条項14
前記1以上の誘導発電機が、複数の誘導発電機を備える、条項13に記載のシステム。
条項15
前記複数の誘導発電機の各誘導発電機が、前記誘導加熱セルのアレイのそれぞれの誘導加熱セルと接続されている、条項14に記載のシステム。
条項16
前記1以上の誘導発電機が、前記誘導加熱セルのアレイのうちの1以上の誘導加熱セル、加熱されている材料、前記誘導加熱セルのアレイを備えたツール、又はそれらの何らかの組み合わせに対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機である、条項13に記載のシステム。
条項17
前記1以上の誘導発電機が、前記誘導加熱セルのアレイに集合的に対応した周波数にマッチングする、周波数マッチング誘導発電機を備える、条項13に記載のシステム。
条項18
前記1以上の誘導発電機が、前記誘導加熱セルのアレイのうちの対応した誘導加熱セルに選択的に供給される複数の周波数出力を生成する、周波数マッチング誘導発電機を備える、条項13に記載のシステム。
条項19
誘導加熱のための方法であって、
複数の誘導加熱セルのうちの1以上の誘導加熱セルに、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを供給することであって、前記複数の誘導加熱セルの各誘導加熱セルが、電力、周波数、又はそれらの組み合わせを受信するためのコネクタ、及び、前記複数の誘導加熱セルを平坦ではない表面に一致させることを容易にするために、それぞれの誘導加熱セルを前記複数の誘導加熱セルのうちの1以上の他の誘導加熱セルと移動可能に連結するための、連結特徴部を備える、供給すること、
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルからフィードバックを受信すること、並びに
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルから前記フィードバックを受信したことに応じて、前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルに供給される前記電力、前記周波数、又はそれらの組み合わせを調整することを含む、方法。
条項20
前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルに供給される前記電力、前記周波数、又はそれらの組み合わせを調整することが、前記複数の誘導加熱セルのうちの前記1以上の誘導加熱セルを、選択された温度、選択された周波数、選択された電力、又はそれらの何らかの組み合わせに個別に制御することを含む、条項19に記載の方法。
【0068】
本主題は、その精神や本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。記載された実施形態はあらゆる点で例示に過ぎず、限定的ではないと解釈されるべきである。特許請求の範囲の目的及び均等範囲内に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。