(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】継手部材及び管接続構造
(51)【国際特許分類】
F16L 37/14 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
F16L37/14
(21)【出願番号】P 2018087011
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】鷲野 光弘
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-219352(JP,A)
【文献】特開2016-217401(JP,A)
【文献】特開2010-281382(JP,A)
【文献】特開2011-106604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0180610(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0077917(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00-39/06
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象である管体の先端部が内側に挿入される接続筒部と、
周方向の1箇所に開口を有するC字状に形成されて、前記接続筒部の外周面に形成された周溝に嵌り込むクリップと、を有し、
前記クリップには、
前記開口を挟む両端部のうち少なくとも一方の端部から外側に延設された爪部と、
内周面に突設されて、前記周溝の溝底壁に貫通形成された連通孔を通って前記接続筒部の内側に進入し前記管体の外周面に形成された環状溝と係合する連結突部と、が備えられている、継手部材において、
前記接続筒部が内側に挿通される環状をなすと共に前記管体に臨む端縁で開放する受容凹部を備え、前記クリップを外側から囲んだときに前記受容凹部に前記爪部を受容して前記クリップの開きを規制する環状カバーを有し、
前記環状カバーには、前記環状カバーが前記クリップを囲むように配置された状態で前記接続筒部又は前記クリップと係合して、前記環状カバーが前記管体から離れる方向に移動することを規制する移動規制部が形成されている、継手部材。
【請求項2】
前記移動規制部は、前記環状カバーの内周面に形成されて、前記接続筒部の外周面に形成された係合凹部と係合する係合突部によって形成されている、請求項1に記載の継手部材。
【請求項3】
前記周溝の深さは、前記クリップの径方向の厚みより大きくなっていて、
前記係合凹部は、前記周溝によって形成され、
前記係合突部は、前記周溝の内面のうち前記管体側を向いて前記クリップより外側に露出する部分と当接することによって、前記環状カバーが前記管体から離れる方向に移動することを規制する、請求項2に記載の継手部材。
【請求項4】
前記受容凹部は、前記環状カバーを径方向に貫通する開口部によって形成され、
前記爪部は、前記開口部を通して外部から視認可能に構成されている、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の継手部材。
【請求項5】
前記環状カバーには、前記管体に臨む端縁で開放する切欠部が設けられ、
前記移動規制部が前記接続筒部又は前記クリップと係合したときに、前記切欠部の開口縁のうち前記管体に臨む部分が前記クリップの前記管体に臨む端縁と略面一に配置される、請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の継手部材。
【請求項6】
前記環状カバーには、前記クリップと異なる色が付されている、請求項4又は5に記載の継手部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の継手部材と前記管体とを備えた管接続構造であって、
前記管体は、ホース部の外側が断熱材で覆われてなるドレンホースの末端部に固定されるものであり、前記接続筒部内に先端部が挿入されると共に前記ホース部内に基端部が挿入される小径筒部と、前記小径筒部の中間部から外側に張り出して前記ドレンホースの末端が突き当てられるドレンホース当接部と、前記ドレンホース当接部の外縁部から前記小径筒部の基端側に延びて前記小径筒部との間に前記ホース部と前記断熱材を挟む大径筒部と、を備えている、管接続構造。
【請求項8】
前記環状カバーは、前記ドレンホース当接部に突き当て可能に形成され、
前記移動規制部は、前記環状カバーが前記ドレンホース当接部に突き当てられたときに、前記接続筒部又は前記クリップと係合する、請求項7に記載の管接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続筒部に嵌着されるクリップによって接続筒部に挿入される管体を抜け止めする継手部材及びそれを備えた管接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される継手部材では、接続筒部の筒壁に形成された連通孔を通ってU字状のクリップが接続筒部の内側へと進入し、そのクリップが管体の外面に形成された環状溝と係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-106604号公報(段落[0029]、
図3,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の継手部材では、クリップが外力によって外れることがあり、接続筒部と管体の接続の更なる安定化が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、接続対象である管体の先端部が内側に挿入される接続筒部と、周方向の1箇所に開口を有するC字状に形成されて、前記接続筒部の外周面に形成された周溝に嵌り込むクリップと、を有し、前記クリップには、前記開口を挟む両端部のうち少なくとも一方の端部から外側に延設された爪部と、内周面に突設されて、前記周溝の溝底壁に貫通形成された連通孔を通って前記接続筒部の内側に進入し前記管体の外周面に形成された環状溝と係合する連結突部と、が備えられている、継手部材において、前記接続筒部が内側に挿通される環状をなすと共に前記管体に臨む端縁で開放する受容凹部を備え、前記クリップを外側から囲んだときに前記受容凹部に前記爪部を受容して前記クリップの開きを規制する環状カバーを有し、前記環状カバーには、前記環状カバーが前記クリップを囲むように配置された状態で前記接続筒部又は前記クリップと係合して、前記環状カバーが前記管体から離れる方向に移動することを規制する移動規制部が形成されている、継手部材である。
【0006】
請求項2の発明は、前記移動規制部は、前記環状カバーの内周面に形成されて、前記接続筒部の外周面に形成された係合凹部と係合する係合突部によって形成されている、請求項1に記載の継手部材である。
【0007】
請求項3の発明は、前記周溝の深さは、前記クリップの径方向の厚みより大きくなっていて、前記係合凹部は、前記周溝によって形成され、前記係合突部は、前記周溝の内面のうち前記管体側を向いて前記クリップより外側に露出する部分と当接することによって、前記環状カバーが前記管体から離れる方向に移動することを規制する、請求項2に記載の継手部材である。
【0008】
請求項4の発明は、前記受容凹部は、前記環状カバーを径方向に貫通する開口部によって形成され、前記爪部は、前記開口部を通して外部から視認可能に構成されている、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の継手部材である。
【0009】
請求項5の発明は、前記環状カバーには、前記管体に臨む端縁で開放する切欠部が設けられ、前記移動規制部が前記接続筒部又は前記クリップと係合したときに、前記切欠部の開口縁のうち前記管体に臨む部分が前記クリップの前記管体に臨む端縁と略面一に配置される、請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の継手部材である。
【0010】
請求項6の発明は、前記環状カバーには、前記クリップと異なる色が付されている、請求項4又は5に記載の継手部材である。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の継手部材と前記管体とを備えた管接続構造であって、前記管体は、ホース部の外側が断熱材で覆われてなるドレンホースの末端部に固定されるものであり、前記接続筒部内に先端部が挿入されると共に前記ホース部内に基端部が挿入される小径筒部と、前記小径筒部の中間部から外側に張り出して前記ドレンホースの末端が突き当てられるドレンホース当接部と、前記ドレンホース当接部の外縁部から前記小径筒部の基端側に延びて前記小径筒部との間に前記ホース部と前記断熱材を挟む大径筒部と、を備えている、管接続構造である。
【0012】
請求項8の発明は、前記環状カバーは、前記ドレンホース当接部に突き当て可能に形成され、前記移動規制部は、前記環状カバーが前記ドレンホース当接部に突き当てられたときに、前記接続筒部又は前記クリップと係合する、請求項7に記載の管接続構造である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,7の発明では、環状カバーがクリップを外側から囲んだときにクリップの開きが規制されるので、クリップが外力によって外れることが抑制され、接続筒部と管体の接続の安定化が図られる。また、環状カバーがクリップを外側から囲んだ状態では、環状カバーに設けられた移動規制部によって環状カバーが管体から離れる方向に移動することが規制される。これにより、クリップを外側から囲んだ状態に環状カバーを維持し易くなる。
【0014】
ここで、クリップの爪部を受容する受容凹部が管体と反対側で閉じている場合には、受容凹部の内面と爪部との当接によって環状カバーが管体へ近づく方向に移動することが規制されるので、クリップを外側から囲んだ状態に環状カバーを固定することができる。また、管体が、ホース部の外側が断熱材で覆われてなるドレンホースの末端部に固定されるものであり、ホース部内に基端部が挿入される小径筒部と、小径筒部の中間部から外側に張り出してドレンホースの末端が突き当てられるドレンホース当接部と、ドレンホース当接部の外縁部から小径筒部の基端側に延びて小径筒部との間にホース部と断熱材を挟む大径筒部と、を備える場合(請求項7の発明)には、環状カバーがドレンホース当接部に突き当て可能であって、その突き当て状態において移動規制部が環状カバー又は接続筒部と係合する構成とすることで、環状カバーが管体へ近づく方向に移動することが規制されるので、クリップを外側から囲んだ状態に環状カバーを固定することができる(請求項8の発明)。
【0015】
移動規制部が接続筒部と係合する場合、移動規制部は、接続筒部の外周面に形成された係合凹部と係合する係合突部であってもよいし(請求項2の発明)、接続筒部の外周面に形成された突起と係合する凹部であってもよい。前者の場合、接続筒部の周溝を係合凹部に利用すれば、接続筒部に新たに係合凹部を設ける必要がなくなる。具体的には、周溝の深さをクリップの径方向の厚みより大きくし、周溝の内面のうち管体側を向いてクリップより外側に露出する部分に係合突部が当接するようにすればよい(請求項3の発明)。
【0016】
クリップの爪部を受容する受容凹部が、環状カバーを径方向に貫通する開口部で構成される場合には、開口部を通して爪部が見えるか否かによって、クリップの有無を判断することが可能となる(請求項4の発明)。また、環状カバーに、管体に臨む端縁で開放する切欠部を形成し、移動規制部が接続筒部又はクリップと係合したときに、切欠部の開口縁のうち管体に臨む部分がクリップの管体に臨む端縁と略面一に配置されるように構成すれば、切欠部を通してクリップが見えるか否かによって、移動規制部が接続筒部又はクリップと係合したか否かを確認することが可能となる(請求項5の発明)。何れの場合においても、環状カバーに、クリップと異なる色が付されていれば、環状カバーとクリップの区別が容易となり、切欠部又は開口部を通してクリップを認識し易くなる(請求項6の発明)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る管接続構造が用いられたドレン配管の概略構成図
【
図3】管体の(A)先端側から見た斜視図、(B)基端側から見た斜視図
【
図6】クリップの(A)開口と反対側から見た斜視図、(B)開口側から見た斜視図
【
図8】環状カバーの(A)先端側から見た斜視図、(B)基端側から見た斜視図
【
図9】(A)環状カバーがクリップより接続筒部の基端側に配置されたときの管接続構造の正面図、(B)環状カバーがクリップの外側に配置されたときの管接続構造の正面図
【
図11】環状カバーがクリップの外側に配置されたときの管接続構造の側断面図
【
図12】(A)周溝に入り込んだ係合突部の側断面図、(B)周溝より接続筒部の基端側に配置された係合突部の側断面図
【
図13】第2実施形態に係る環状カバーの(A)先端側から見た斜視図、(B)基端側から見た斜視図
【
図15】他の実施形態に係る突部と凹部の係合状態を示す側断面図
【
図16】他の実施形態に係る環状カバーの(A)先端側から見た斜視図、(B)基端側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図12に基づいて第1実施形態の継手部材10及び管接続構造100について説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の管接続構造100は、空調機110で発生したドレン水をドレン排水管111へと排水するドレン配管112に用いられ、空調機110のドレン排出口110A又はドレン排水管111に接続される継手部材10と、ドレンホース120の末端部に取り付けられる管体50と、からなる。なお、ドレン配管112は、天井に設置され、中間部が上側に持ち上げられた逆U字状に取り回されている。
【0019】
図3(A)及び
図3(B)に示されるように、管体50は、小径筒部51と、小径筒部51の軸方向の中間部から外側に張り出したドレンホース当接部55と、ドレンホース当接部55の外縁部から小径筒部51の基端側へと延びる大径筒部56と、を備えている。そして、管体50は、
図2に示されるように、小径筒部51が基端側からドレンホース120に挿入され、ドレンホース当接部55がドレンホース120の端面に突き当てられた状態で、ドレンホース120に固定される。ここで、ドレンホース120は、ホース部121の外側が断熱材122で覆われた2層構造になっていて、ホース部121の内側に小径筒部51の基端部が挿入され、大径筒部56が小径筒部51との間にホース部121と断熱材122を挟む。
【0020】
管体50のドレンホース120への固定は接着剤等を用いて行われる。具体的には、予め接着剤をドレンホース120のホース部121の内周面と、断熱材122の外周面及び先端面と、管体50の小径筒部51の外周面とに塗布し、管体50の小径筒部51をドレンホース120に挿入することにより、管体50がドレンホース120に固定される。小径筒部51のドレンホース120への挿入を容易にするために、小径筒部51のうちドレンホース当接部55より基端側に配置される部分の長さは、大径筒部56よりも長くなっていて、小径筒部51の基端部の外周面は、基端側へ向かうにつれて徐々に縮径されるテーパー状に形成されている。
【0021】
なお、管体50は、例えば、熱可塑性樹脂で形成され、軟質ポリ塩化ビニル樹脂や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂等で形成されている。管体50を形成する熱可塑性樹脂は、透明樹脂と不透明樹脂の何れであってもよい。また、ドレンホース120のホース部121は、例えば、熱可塑性樹脂で形成され、ポリオレフィン系樹脂や塩化ビニル樹脂等で形成されることが好ましい。断熱材122は、ポリオレフィン系樹脂等(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂)の熱可塑性樹脂の発泡体や発泡ゴム等で形成されることが好ましい。
【0022】
図3(A)に示されるように、小径筒部51のうちドレンホース当接部55より先端側の部分には、第1拡径部52と第2拡径部53が先端側から順に形成されている。第1拡径部52の外周面には、図示しないOリングが装着される第1環状溝52Mが形成されている。また、第2拡径部53の外周面には、後に説明する継手部材10のクリップ30と係合する第2環状溝53Mが形成されている。本実施形態では、第1拡径部52が第1環状溝52Mを2つ備える構成となっているが、第1環状溝52Mを1つだけ備える構成であってもよいし、3つ以上備える構成であってもよい。
【0023】
図2及び
図4に示されるように、継手部材10は、接続筒部11と、クリップ30と、環状カバー40と、を備えている。なお、接続筒部11、クリップ30及び環状カバー40は、熱可塑性樹脂で形成されている。詳細には、接続筒部11は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂等によって形成されることが好ましい。クリップ30は、ポリアセタール樹脂やナイロン66等のポリアミド樹脂によって形成されることが好ましい。環状カバー40は、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等で形成されることが好ましい。なお、接続筒部11、クリップ30、環状カバー40を形成する熱可塑性樹脂は、透明樹脂と不透明樹脂の何れであってもよい。少なくとも接続筒部11を透明な熱可塑性樹脂で形成すれば、接続筒部11の内部を外側から目視確認でき、管内を流れるドレン水の状況を認識できる。接続筒部11に加えて、管体50、クリップ30、環状カバー40を透明な熱可塑性樹脂で形成すれば、管内を流れるドレン水の状況を広範囲に亘って認識できる。
【0024】
図2及び
図5に示されるように、接続筒部11は、L字状に湾曲したエルボ部12と、エルボ部12の一方側の端部に連設されてドレン排出口110A又はドレン排水管111(
図1参照)に接続される接続用端部13と、エルボ部12の他方側の端部に連設されて管体50の小径筒部51に外側から嵌合する嵌合部14と、を備えている。なお、本実施形態では、継手部材10において、嵌合部14が配置される側を先端側と、接続用端部13が配置される側を基端側と、適宜呼ぶことにする。
【0025】
嵌合部14は、エルボ部12から離れた先端部が段付き状に拡径された構造になっていて、その拡径部位14Kの開口が、管体50が挿入される挿入口11A(
図5参照)となっている。拡径部位14Kの外周面には、平面視C字形状の周溝15(
図5参照)が形成されている。なお、拡径部位14Kにおける周溝15の非形成部分は、嵌合部14の中心軸方向から見て接続用端部13と同じ側を向くように配置されている。なお、
図2に示される例では、嵌合部14の拡径部位14Kの外径がエルボ部12の外径と略同じになっているが、異なっていてもよい。
【0026】
図5に示されるように、周溝15の溝底壁15Hには、嵌合部14の内側と周溝15とを連通させる連通孔16が貫通形成されている。連通孔16は、嵌合部14の周方向に延在し、溝底壁15Hにおいて周溝15の溝幅方向(即ち、嵌合部14の中心軸方向)の一方側(本実施形態では、接続筒部11の先端側)に寄せて配置されている。なお、本実施形態では、連通孔16は、嵌合部14の径方向で対向するように1対備えられているが、径方向で対向する位置からずらして1対を備えられてもよいし、径方向で対向するように2対以上備えられてもよい。また、連通孔16は、1つのみ又は3つ以上備えられてもよい。
【0027】
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、クリップ30は、周方向の1箇所に開口31Aを有するC字状のリング部31と、リング部31における開口31Aを挟む両端部からリング部31の径方向外側に延設された1対の爪部35,35と、を備えている。なお、本実施形態では、爪部35は、リング部31の両端部の軸方向全体から突出しているが、該両端部の軸方向の一部から突出してもよい。
【0028】
リング部31は、
図6(A)及び
図6(B)に示される状態から開口31Aを広げるように弾性変形可能となっている。そして、クリップ30は、
図6(A)及び
図6(B)に示される閉状態と、該閉状態よりも開口31Aが広くなった開状態と、に変化する。閉状態のリング部31の内径は嵌合部14における周溝15の溝底壁15Hの外径と略同じ大きさになっていて、リング部31は周溝15に嵌着される(
図7参照)。
【0029】
図7に示されるように、1対の爪部35,35は、リング部31の径方向外側へ向かうにつれてリング部31の周方向で幅狭となる先細り形状に形成されている。具体的には、1対の爪部35,35のうちリング部31の周方向で対向する面35M1は、リング部31の周方向に対して略垂直に形成され、1対の爪部35,35のうちリング部31の周方向で反対側を向く面35M2は、リング部31の径方向内側(即ち、爪部35の基端側)へ向かうにつれてリング部31の開口31Aから離れるように湾曲したR形状に形成されている。なお、面35M2は、面35M1と同様に、リング部31の周方向に対して略垂直に形成されてもよい。
【0030】
リング部31の内周面には、1対の連結突部32,32がリング部31の中心に向けて突設されている。1対の連結突部32,32は、リング部31に沿って延在する円弧状に形成され、嵌合部14の連通孔16に対応してリング部31の径方向で対向するように配置されている。そして、リング部31が周溝15に嵌着された状態で、1対の連結突部32,32は、1対の連通孔16,16に入り込んで係合する。ここで、連結突部32の突出量は周溝15の溝底壁15Hの肉厚よりも大きくなっていて、連結突部32は嵌合部14の内側に突入する。
【0031】
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、1対の連結突部32,32は、リング部31の中心軸方向の一方側に寄せて配置されていて、リング部31の表裏が逆になった場合に1対の連通孔16,16に入らないようになっている。また、各連結突部32の内周部(連結突部32の突出方向の先端部)は、リング部31の中心軸方向の一方側がテーパー状に形成された先細り形状に形成されている。そして、連結突部32の内周部においてリング部31の中心軸方向の一方側を向く面が、リング部31の中心から離れるにつれてリング部31の中心軸方向の一方側へ向かう先端傾斜面32Kとなっている。なお、連結突部32が先端傾斜面32Kを備えない構成としてもよい。
【0032】
図7に示されるように、連結突部32の内周面のうちリング部31の開口31A(
図6(A)及び
図6(B)参照)と反対側の部分は、R面取りされている。これにより、連結突部32の連通孔16への挿入が容易となっている。また、連結突部32は、その内周部からリング部31の開口31Aへ向かって突出する突起32Tを備えている。これにより、連通孔16に挿入された連結突部32が連通孔16から外れ難くなっている。なお、連結突部32は、突部32Tを有さない構成であってもよい。
【0033】
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、環状カバー40は、円環状に形成され、その内側には、接続筒部11の嵌合部14(
図4参照)が挿通される。環状カバー40の内径は、嵌合部14の拡径部位14Kの外径と略同じになっている。なお、本実施形態の環状カバー40では、径方向の厚み(肉厚)が軸方向の長さより小さくなっている。
【0034】
図8(A)に示されるように、本実施形態の環状カバー40には、環状カバー40の軸方向の一端で開放した第1切欠部41が形成されている。第1切欠部41は、環状カバー40の周方向に間隔をあけて1対設けられている。ここで、環状カバー40は、第1切欠部41の開放端が接続筒部11の先端側を向くように、接続筒部11の嵌合部14に取り付けられる。従って、第1切欠部41の開放端は、管体50に臨むことになる(
図9(A)参照)。そして、1対の第1切欠部41,41は、環状カバー40が嵌合部14の周溝15に装着されたクリップ30を外側から囲むように配置されたときに、そのクリップ30の1対の爪部35,35を受容する受容凹部を構成する(
図9(B)参照)。なお、本実施形態では、環状カバー40の軸方向の一端(即ち、第1切欠部41が開放する端部)と他端を、適宜、環状カバー40の先端と基端と呼ぶことにする。なお、本実施形態の第1切欠部41は、クリップ30に設けられた爪部35の形態に応じて形成されればよい。例えば、爪部35が、リング部31の両端部における軸方向の一部から突出する場合には、その爪部35に応じて、第1切欠部41の切欠具合が調整されればよい。
【0035】
なお、
図10に示されるように、環状カバー40の軸方向から見た第1切欠部41の断面形状は、クリップ30の軸方向から見た爪部35の形状と略同じになっている。具体的には、第1切欠部41は、環状カバー40の径方向外側へ向かうにつれて環状カバー40の周方向で幅狭となる先細り形状に形成されていて、第1切欠部41の内面のうち爪部35の面35M1と対向する面41M1が環状カバー40の周方向に対して略垂直に形成され、爪部35の面35M2と対向する面41M2が環状カバー40の径方向内側へ向かうにつれて面41M1から離れるように湾曲したR形状に形成されている。
【0036】
図8(B)に示されるように、第1切欠部41は、矩形状に形成され、環状カバー40の軸方向のほぼ全体に亘って配置されている。第1切欠部41の開口縁のうち第1切欠部41の開放端と対向する部分には、環状カバー40の径方向外側に突出して環状カバー40の周方向に延在する補強リブ42が設けられている。
【0037】
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、環状カバー40には、第1切欠部41とは別に、環状カバー40の先端で開放した矩形状の第2切欠部43が形成されている。第2切欠部43は、環状カバー40の先端部に形成され、環状カバー40の軸方向における長さが第1切欠部41よりも短くなっている。第2切欠部43は、複数(本実施形態では、2つ)備えられていて、環状カバー40の周方向で隣り合う第2切欠部43同士の間には、仕切り壁44が形成されている。
【0038】
環状カバー40の内周面には、周方向に沿って延在する係合突部45が形成されている。係合突部45は、環状カバー40の基端部に配置され、環状カバー40のうち1対の第1切欠部41,41が形成された部位を除く領域に円弧状に形成されている。係合突部45の内径は、嵌合部14の拡径部位14Kの外径より若干小さく、クリップ30のリング部31の外径よりも大きくなっている(
図12(B)参照)。
【0039】
係合突部45を周方向の任意の位置で切断したときの断面形状は、環状カバー40の先端及び基端から離れるにつれて内径が小さくなる三角形状に形成されている。これにより、係合突部45と嵌合部14の拡径部位14Kとの干渉が抑制され、拡径部位14Kを環状カバー40の内側に挿通させることが可能となっている。なお、係合突部45の断面形状は、環状カバー40の先端から離れるにつれて内径が小さくなる三角形状に形成されてもよい。この場合、環状カバー40の基端側への抜け止め効果を高めることが可能となる。
【0040】
図2及び
図10に示されるように、本実施形態の管接続構造100では、管体50の小径筒部51が継手部材10における接続筒部11の嵌合部14に挿入され、クリップ30の連結突部32のうち嵌合部14の内側に突入した部分が小径筒部51の第2環状溝53Mと係合する。そして、連結突部32と第2環状溝53Mとの係合により、管体50が接続筒部11に対して抜け止めされる。なお、嵌合部14と小径筒部51との間は、第1環状溝52Mに装着された図示しないOリングによってシールされる。
【0041】
なお、本実施形態では、嵌合部14の周溝15にクリップ30のリング部31が嵌着された状態で、管体50を嵌合部14に挿入可能となっている。即ち、周溝15にリング部31が嵌着した状態では、クリップ30の連結突部32が嵌合部14の内側に突入している。管体50が嵌合部14に挿入されると、管体50の先端部(詳細には、第2拡径部53)が連結突部32の先端傾斜面32Kと当接する。そして、第2拡径部53は、先端傾斜面32Kとの当接により、リング部31を外側に押し広げながら嵌合部14の更に奥側へと挿入可能となっている。第2拡径部53の挿入によって押し広げられたリング部31は、連結突部32が第2環状溝53Mに重ねられたときに自身の弾発力によって復元する。
【0042】
ところで、本実施形態では、接続筒部11の嵌合部14が環状カバー40の内側に挿通されていて、環状カバー40がクリップ30を外側から囲むように配置されると、クリップ30の1対の爪部35,35が環状カバー40の1対の第1切欠部41,41に受容される(
図10参照)。これにより、1対の爪部35,35は、外力を受けて互いに離れることを規制される。
【0043】
本実施形態では、
図9(B)に示されるように、環状カバー40がクリップ30を外側から囲んだ状態であっても、爪部35が第1切欠部41を通して外側から見えるようになっている。即ち、第1切欠部41は、クリップ30を外側から視認可能にする開口部を構成する。これにより、本実施形態では、環状カバー40が周溝15の外側に配置された状態で、その周溝15にクリップ30が嵌着されているか否かを判断可能となっている。
【0044】
図11の左側に示されるように、環状カバー40は、第1切欠部41の開口縁のうち環状カバー40の先端側を向く部分(即ち、第1切欠部41の開放端と対向する部分)が爪部35に当接することによって、管体50に近づくことが規制される。なお、管体50のドレンホース当接部55が環状カバー40より外側に張り出す(即ち、大径筒部56の外径が環状カバー40の外径より大きい)場合には、環状カバー40は、管体50のドレンホース当接部55に突き当てられることによって、管体50に近づくことが規制されてもよい。
【0045】
図11に示されるように、第1切欠部41の開口縁のうち開放端と対向する部分に爪部35が当接すると、環状カバー40の係合突部45は、嵌合部14の径方向から見て周溝15に重ねられる。ここで、クリップ30のリング部31の外径は、嵌合部14の拡径部位14Kの外径よりも小さくなっていて、周溝15の内面のうち嵌合部14の軸方向で対向する面の一部は、リング部31より外側に露出する。また、係合突部45の内径は、嵌合部14の拡径部位14Kの外径よりも小さく、リング部31の外径よりも大きくなっている。従って、
図12(A)に拡大して示されるように、係合突部45は、周溝15に入り込み、周溝15の内面のうち接続筒部11の先端側を向く対向面45M(即ち、対向面45Mは、管体50に臨む面となっている。)と対向する。これにより、環状カバー40は、管体50から離れる方向に移動することも規制される。なお、上述したように、係合突部45を周方向の任意の位置で切断したときの断面形状は、環状カバー40の先端及び基端から離れるにつれて内径が小さくなる三角形状になっているので、環状カバー40の内側に拡径部位14Kを挿通するときに、係合突部45は、拡径部位14Kのうち周溝15より基端側に配置される部分をスムーズに乗り越えることが可能となる。
【0046】
本実施形態では、
図12(A)に示されるように、環状カバー40の係合突部45が周溝15に入り込んだとき、クリップ30のうち接続筒部11の先端側に配置される端縁と、環状カバー40における第2切欠部43の開口縁のうち該第2切欠部43の開放端と対向する部分が、略面一に配置される。この状態では、第2切欠部43を通してクリップ30が視認困難となっている。一方、
図12(B)に示されるように、環状カバー40の係合突部45が周溝15よりも接続筒部11の基端側に配置されていると、第2切欠部43を通してクリップ30が視認可能となる。つまり、本実施形態では、第2切欠部43を通してクリップ30が見えるか否かによって、環状カバー40が管体50から離れる方向に移動することを規制された状態(即ち、環状カバー40が正常な位置に配置された状態)になっているか否かを判断可能となっている。
【0047】
ここで、クリップ30と環状カバー40の色を異ならせれば、クリップ30と環状カバー40の区別が容易となる。その結果、第1切欠部41を通してクリップ30の爪部35が見えるか否かによって、周溝15にクリップ30が嵌着されているか否かを容易に判断することができ、第2切欠部43を通してクリップ30が見えるか否かによって、環状カバー40が正常な位置に配置されているか否か(即ち、係合突部45が周溝15に入り込んでいるか否か)を容易に判断することができる。
【0048】
なお、第2切欠部43は、環状カバー40を拡径部位14Kから外すときに利用することもできる。即ち、第2切欠部43にペン、マイナスドライバー等の道具を差し込んで環状カバー40を接続筒部11の基端側に移動させることによって、環状カバー40の係合突部45と周溝15(対向面45M)との係合を外すことができる。
【0049】
このように、本実施形態の継手部材10及び管接続構造100では、環状カバー40がクリップ30を外側から囲んだときに1対の第1切欠部41,41に1対の爪部35,35が受容されることによってクリップ30の開きが規制される。これにより、クリップ30が外力によって外れることが抑制され、接続筒部11と管体50の接続の安定化が図られる。ここで、環状カバー40がクリップ30を外側から囲んだ状態では、環状カバー40に設けられた係合突部45によって環状カバー40が管体50から離れる方向に移動することが規制される。これにより、クリップ30を外側から囲んだ状態に環状カバー40を維持し易くなる。しかも、本実施形態では、第1切欠部41の開口縁のうち第1切欠部41の開放端と対向する部分が爪部35と当接することによって、環状カバー40が管体50に近づく方向に移動することが規制されるので、クリップ30を外側から囲んだ状態に環状カバー40を固定することができる。
【0050】
また、本実施形態では、係合突部45は、クリップ30が嵌着される周溝15と係合するので、係合突部45と係合する凹部を接続筒部11に新たに設ける必要がなくなり、接続筒部11のコンパクト化が図られる。
【0051】
また、本実施形態では、1対の第1切欠部41,41を通して1対の爪部35,35が視認可能となっているので、環状カバー40が周溝15を外側から囲んだ状態であっても、第1切欠部41を通して爪部35が見えるか否かによって、クリップ30の有無を判断することが可能となる。さらに、本実施形態では、環状カバー40の係合突部45が周溝15に入り込んだときに、クリップ30のうち接続筒部11の先端側に配置される端縁と第2切欠部43の開口縁のうち該第2切欠部43の開放端と対向する部分が、略面一に配置されるので、第2切欠部43を通してクリップ30が見えるか否かによって、係合突部45が周溝15と係合し、環状カバー40が正常な位置に配置されたか否かを確認することが可能となる。
【0052】
[第2実施形態]
本実施形態は、上記第1実施形態の環状カバー40を変形したものである。具体的には、
図13(A)及び
図13(B)に示されるように、本実施形態の環状カバー40Vでは、第1切欠部41Vの形状が上記第1実施形態の第1切欠部41と異なっている。第1切欠部41Vは、環状カバー40の先端縁から基端側へ直線状に延びた誘導部41VAと、誘導部41VAの基端部から環状カバー40の周方向の一方側に延びた収容部41VBと、からなる、L字状に形成されている。収容部41VBは、クリップ30の爪部35を収容可能な大きさに形成されている。
【0053】
なお、
図13(A)及び
図13(B)に示される例では、環状カバー40Vは、第2切欠部43を備えていないが、備えていてもよい。また、環状カバー40Vは、係合突部45を備えなくてもよい。本実施形態の継手部材10及び管接続構造100のその他の構成については、上記第1実施形態と同様になっているので、同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0054】
本実施形態の環状カバー40Vは、クリップ30と係合することで、接続筒部11の延在方向の移動を規制される。具体的には、
図14(A)に示されるように、環状カバー40Vは、先端側(即ち、第1切欠部41Vの開放端側)が接続筒部11の先端側を向くように配置される。そして、
図14(B)に示されるように、1対の第1切欠部41V,41Vの1対の誘導部41VA,41VAがクリップ30の1対の爪部35,35と同じ周位置に配置された状態で、環状カバー40Vが接続筒部11の先端側に操作されると、1対の誘導部41VA、41VAに1対の爪部35,35が受容される。次いで、
図14(C)に示されるように、環状カバー40Vが周方向の他方側(即ち、誘導部41VAに対して収容部41VBと反対側)に回転するように操作されると、1対の爪部35,35が1対の収容部41VB,41VBに収容される。このとき、爪部35は、環状カバー40Vの軸方向で収容部41VBの開口縁に挟まれる。そして、収容部41VBと爪部35の係合によって、環状カバー40Vは、接続筒部11の延在方向の移動を規制される。
【0055】
なお、環状カバー40Vが
図14(C)に示される状態から外れることを防止するために、収容部41VBと爪部35の一方又は両方に抜止機構を設けてもよい。抜止機構の一例としては、収容部41VBの内面のうち環状カバー40Vの軸方向を向く面に突部を設ける構成が挙げられる。この構成では、該突部と爪部35が当接することによって環状カバー40Vが周方向の一方側に回転することが防がれ、環状カバー40Vが
図14(C)の状態から外れることを防止できる。ここで、突部は、複数箇所に設けられてもよいし、収容部41VBの内面において環状カバー40Vの先端側を向く面と基端側を向く面の一方又は両方に設けられてもよい。また、爪部35に、突部と係合する凹部が形成されてもよい。
【0056】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態では、環状カバー40に設けられた係合突部45が接続筒部11に設けられた係合凹部(周溝15)と係合する構成であったが、
図15(A)に示されるように、環状カバー40に設けられた凹部61Aと接続筒部11に設けられた突部61Tが係合する構成であってもよい。
【0057】
(2)上記(1)において、突部61Tは、クリップ30に設けられてもよい(
図15(B)参照)。なお、上記第2実施形態では、突部61Tがクリップ30の爪部35で構成され、凹部61Aが第1切欠部41Vの収容部41VBで構成されている、と言える。
【0058】
(3)上記第1実施形態において、環状カバー40の係合突部45は、クリップ30(詳細には、リング部31)の外周面に形成された凹部と係合するように構成されてもよい。
【0059】
(4)上記第1実施形態において、環状カバー40の係合突部45は、環状カバー40の周方向の複数箇所に点在してもよい。また、上記(1)、(2)において、突部61Tは、接続筒部11又はクリップ30の周方向の複数箇所に点在してもよい。
【0060】
(5)
図16(A)及び
図16(B)に示されるように、環状カバー40は、第1切欠部41を外側から覆うカバー壁46を備えてもよい。この場合、
図17に示されるように、クリップ30の爪部35が第1切欠部41に受容されたときに、爪部35がカバー壁46によって外側から覆われるので、爪部35に外力がかかることが規制される。なお、カバー壁46を透明な部材で構成すれば、カバー壁46を通して爪部35の有無が判別可能となるので、環状カバー40の内側にクリップ30が存在するか否か目視にて判断することができる。また、カバー壁46が不透明な部材で構成される場合であっても、カバー壁46に切欠や窓部を形成しておけば、その切欠や窓部を通して爪部35の有無を判別することができる。
【0061】
(6)上記実施形態において、環状カバー40,40Vの内周面に、環状カバー40,40Vの先端縁で開放する受容凹部を備え、その受容凹部にクリップ30の1対の爪部35,35を受容する構成としてもよい。なお、受容凹部は、1対の爪部35,35に対応して1対設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよい。
【0062】
(7)上記実施形態において、第1切欠部41,41Vを1つだけ備えてもよい。この場合、環状カバー40,40Vの周方向における第1切欠部41,41Vの長さを、クリップ30の1対の爪部35,35を受容可能な長さとすればよい。
【0063】
(8)連通孔16は、周溝15の幅方向の中央部に形成されてもよい。この場合、クリップ30の連結突部32に先端傾斜面32Kを備えない構成としてもよい。
【0064】
(9)本実施形態の接続筒部11は、エルボ部12を有するL字状に構成されているが、エルボ部12をソケット部としたI字状に構成されてもよい。
【0065】
(10)上記第1実施形態において、環状カバー40が補強リブ42を備えない構成としてもよい。特に、クリップ30のリング部31の両端部において軸方向の一部から爪部35が突出する場合には、第1切欠部41の切欠具合が少なくなり、補強リブ42を設けなくても環状カバー40の強度を保つことが可能となる。
【0066】
(11)上記実施形態及び上記(6)、(7)、(10)では、クリップ30は、爪部35を1対備えていたが、1つのみ備えてもよい。具体的には、リング部31における開口31Aを挟む両端部のうち何れか一方の端部から爪部35が突出した構成とすればよい。この場合、環状カバー40は、爪部35に対応して、第1切欠部41を1つのみ備えればよい。
【符号の説明】
【0067】
10 継手部材
11 接続筒部
15 周溝
16 連通孔
30 クリップ
32 連結突部
35 爪部
40 環状カバー
45 係合突部
50 管体
53M 第2環状溝
100 管接続構造