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特許7133347プラグ、およびプラグに振動保護を付与する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】プラグ、およびプラグに振動保護を付与する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20220901BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20220901BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
H01R13/533 D
H01R43/00 B
H01R13/42 E
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018090274
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2018190727
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】10 2017 208 008.6
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】リスティング,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ゼンガー,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】バレス,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】キオシス,カイ
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-223295(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014200133(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1351339(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171843(US,A1)
【文献】実開平7-18376(JP,U)
【文献】特開平9-73939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグハウジング(2)および相手側プラグ要素のための導電性プラグ要素(12)を有するプラグであって、
前記プラグ要素(12)と協働するコンタクト本体(28)と、
前記プラグハウジング(2)に形成された摺動ガイド(90)内で変位可能に案内されるスライダ(30)とを有し、
前記スライダ(30)は、斜面(76)を介して前記コンタクト本体(28)と協働し、
前記コンタクト本体(28)は、前記スライダ(30)が前記プラグハウジング(2)内へ摺動すると前記コンタクト本体(28)が前記プラグ要素(12)に押し付けられるように形成されており、
傾斜面(104)が前記プラグハウジング(2)に形成されており、
前記傾斜面(104)によって、前記コンタクト本体(28)の軸方向カム(68)が挿入中に持ち上げられ、
前記コンタクト本体(28)の保持縁部(45)が、前記プラグハウジング(2)によって形成されたロック面(108)の後ろに動かされることを特徴とする
プラグ。
【請求項2】
前記プラグは、自動車用のプラグである、
請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記コンタクト本体(28)および前記スライダ(30)は、互いに関連する接続要素を有しており、前記接続要素を介して、前記コンタクト本体(28)および前記スライダ(30)を接合してユニット(32)を形成することができ、
前記接続要素は、前記コンタクト本体が前記ユニット(32)の前記挿入中に中間位置で止ったときに、前記スライダ(30)をさらに挿入すると、前記ユニット(32)が解除され、前記スライダ(30)が前記コンタクト本体(28)に対して動くように形成されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記ユニット(32)は、ラッチ接続を介して形成されていることを特徴とする、
請求項3に記載のプラグ。
【請求項5】
前記スライダ(30)は、前記コンタクト本体(28)の保持カム(54)を受け取るためのキャッチ(84)と、前記保持カム(54)が前記キャッチ(84)内に受け取られている場合、弾性予圧を受けて前記コンタクト本体(28)に支えられるばねリム(60)とを形成していることを特徴とする、
請求項4に記載のプラグ。
【請求項6】
前記コンタクト本体(28)は、2つのコンタクトアーム(48)によってU字状に形成されており、前記コンタクトアーム(48)はそれぞれ、端位置で、前記プラグ要素(12)のケーブルレセプタクル(18)と前記プラグハウジング(2)の嵌合面(96)との間に押し込まれることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項7】
前記コンタクトアーム(48)はそれぞれ、クランプ部分(50)を形成することを特徴とする、
請求項6のいずれか一項に記載のプラグ。
【請求項8】
前記コンタクト本体(28)は、前記端位置で前記プラグ要素(12)の接触領域(16)と協働する凸状に湾曲した接触面(40)を有することを特徴とする、
請求項に記載のプラグ。
【請求項9】
前記スライダ(30)は、前記端位置で前記軸方向カム(68)を受け取る受容凹部(66)を形成していることを特徴とする、
請求項に記載のプラグ。
【請求項10】
プラグに振動保護を付与する方法であって、
最初に、ケーブルレセプタクル(18)を形成するプラグ要素(12)が、ケーブル(20)に電気的に接続され、プラグハウジング(2)内へ挿入され、
次いで、スライダ(30)およびコンタクト本体(28)から構成された一時的に接合されたユニット(32)が、前記プラグハウジング(2)内へ摺動され、
その後、前記コンタクト本体(28)は、中間位置で前記プラグハウジング(2)に当接し、前記プラグハウジング(2)内における前記スライダ(30)のさらなる変位中、前記ユニット(32)が解除され、この過程で、前記コンタクト本体は、前記スライダ(30)の相対的な変位運動によって前記プラグ要素(12)に押し付けられて、前記プラグ要素(12)を前記プラグハウジング(2)内に端位置で耐振動的に固定する方法。
【請求項11】
前記スライダ(30)の前記相対的な変位運動によって、前記コンタクト本体(28)は、前記プラグハウジング(2)内で旋回されることを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユニット(32)を解除する前に、前記コンタクト本体(28)に形成された保持縁部(45)が、前記プラグハウジング(2)側のロック面(108)の後ろへ案内されることを特徴とする、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記端位置に接近すると、摺動方向(S)に対して実質上平行に延びる前記コンタクト本体(28)のコンタクトアーム(48)が、前記摺動方向(S)に対して実質上直角に延びる旋回軸の周りで旋回することを特徴とする、
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグハウジングおよび導電性プラグ要素を有するプラグに関する。そのようなプラグは、よく知られており、様々な用途がある。導電性プラグ要素は、通常、板金から形成されており、相手側プラグの相手側プラグ要素と協働してこのプラグ接続相手内に導電性経路を形成する表面を有する。
【背景技術】
【0002】
導電性プラグ要素の寸法設定、特にケーブル断面は、プラグ接続を介して伝達される電流の強度に依存する。導電性プラグ要素は、通常、打抜き加工および曲げ加工によってシート材料から形成されるため、これはまた、プラグコンタクトの安定した電気的な伝達および機械的な固定のために板金上に一体成形された弾性の突起および他の要素を形成することによって、プラグ要素と相手側プラグ要素との間の良好な電気接触の可能性にも影響を与える。
【0003】
動作中にプラグおよび相手側プラグが切り離されないように、プラグ要素および相手側プラグ要素の電気的接続に加えて、プラグのプラグハウジングおよび相手側プラグのプラグハウジングを互いに機械的に接続するさらなる方策も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は特に、たとえば電動車両内の電源電流の経路上で自動車内の様々な構成要素を互いに接続するために使用することができるエレクトロモビリティ向けのプラグを特定しようとするものである。原則的に、自動車内では振動が発生する。この度、本発明は、振動荷重を考慮に入れて安定した電流伝達を可能にする解決策を提供しようとするものである。また、プラグの個々の構成要素の拡張性のある確実な取付けが考慮される。
【0005】
いわゆるボックススプリングを使用して、プラグ要素および相手側プラグ要素の機械的および電気的接触を確実にすることが知られている。ボックススプリングは、プラグ要素および相手側プラグ要素の少なくとも一方の上に係合し、これらのコンタクト要素を互いに対して、かつ/またはプラグハウジングに対してさらに固定する。しかし、そのような解決策は、欠陥のある取付けに対する必要な安全性を提供しないことが多い。また、特に自動車業界における生産工程は、大幅に自動化して検証可能にする必要があるが、これはボックススプリングで完全に成功しているとは言えない。さらに、ボックススプリングは通常、導電性材料からなり、導電性材料は、高電圧の応用例において、空間距離および沿面距離に関して常に問題がないわけではない。
【0006】
また本技術分野では、プラグ要素をプラグハウジングまたは相手側プラグ要素もしくはそのハウジングに接続するようにプラグ要素を介して案内される別個のプラスチッククリップも知られている。しかし、これらの以前から知られている解決策は、振動に十分に耐えないことが分かっている。これは特に、高電圧の適用分野におけるプラグに該当し、そのようなプラグは、比較的大きい電源電流を案内するために壁の厚さが比較的大きい導電性プラグ要素を有する。したがって、それらのプラグ要素自体が比較的硬く、その場合、プラスチックから形成されるクリップは、プラグ要素を安定させて固定するには弱い追加の力しか寄与することができない。
【0007】
プラグ要素とハウジングおよび/または相手側プラグの相手側プラグ要素との不十分な接触の結果、プラグ要素がプラグハウジング内で浮動し、したがってプラグ要素と相手側プラグ要素との間のコンタクトに著しい摩耗が生じる。最終的に、この結果、プラグ要素と相手側プラグ要素との間の接触面に接触抵抗がかかり、その結果、故障につながる可能性があり、該当する場合、強い伝達抵抗が生じ、したがってプラグ接続内で臨界温度を超える可能性がある。
【0008】
本発明の根本的な問題は、振動によるコンタクトの摩耗から改善された方法で保護されたプラグを特定することである。さらに、本発明は、特に拡張性のある取付け方法において自動車技術の要件にとって十分な振動保護をプラグに容易に付与する方法を特定しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このデバイスに関係する問題に関して、請求項1からの機構を有するプラグについて、本発明によって特定する。このプラグは、コンタクト本体およびスライダを有する。本発明によるプラグのコンタクト本体は、プラグ要素と協働して、プラグ要素をプラグハウジングに耐振動的に締結する。スライダは、ハウジングに形成された摺動ガイド内で変位可能に案内される。この摺動ガイドは、概して、導電性プラグ要素に接続されたケーブルの長手方向の延長に対して実質上平行に延びる。スライダは、斜面を介してコンタクト本体と協働し、コンタクト本体は、スライダがプラグハウジング内へ摺動するとコンタクト本体がプラグ要素に押し付けられるように形成される。斜面は、スライダとコンタクト本体との間に変位運動(displacement movement)が生じた際、スライダとコンタクト本体との間の距離を増大させ、それによりコンタクト本体をプラグ要素の方向に押して並進および/または回転させるように形成される。
【0010】
この構成により、最初は実質上力をかけずにスライダをプラグハウジング内へ摺動させることが可能になり、その後、斜面の構成のため、コンタクト本体とスライダとの間の相互作用が明らかになり、その結果、相反する力が生じる。これらの力は、プラグハウジングに対してスライダから除去され、コンタクト本体を介してプラグ要素上へ伝達されて、プラグ要素をプラグハウジング内で耐振動的に固定する。
【0011】
したがって、コンタクト本体は、初めからすでにプラグハウジング内に設けておくことができ、通常は、概してすでにケーブルに接続されている導電性プラグ要素の取付けが最初にコンタクト本体によって妨げられない位置に設けることができる。制御されて、該当する場合は自動化されて実施されるプラグハウジング内へのスライダの導入の結果、プラグ要素に対するコンタクト本体の所望の引張りまたは締結、したがってその振動保護が得られる。
【0012】
本発明による解決策は、プラグハウジング内のプラグ要素の確実かつ容易に得られる振動保護を可能にする。本発明によってプラグ内に得られる振動保護は、摩擦ロックおよび/または摩擦によってコンタクト本体およびスライダをプラグハウジング内に受け取って固定することによって得ることができる。
【0013】
一方、振動保護をもたらす要素が、ハウジング内において、やはりハウジング内に形状フィット式(form-fitting manner)に固定される解決策が好ましい。特に、そのような構成の結果、ハウジング内のプラグ要素の保持が改善され、コンタクト引抜力が大きくなる。堅固な形状フィット接続はまた、コンタクト本体および/もしくはスライダまたはプラグ要素が振動応力によりハウジング内で変位するリスクを最小にする。
【0014】
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、プラグハウジングは、コンタクト本体レセプタクルを備えることが提案される。コンタクト本体レセプタクルは、コンタクト本体を変位可能に支承するように適合されて形成されており、斜面を形成し、この斜面によって、コンタクト本体をプラグハウジング内へ摺動させると、コンタクト本体の軸方向カムが持ち上げられて、コンタクト本体の保持縁部が、プラグハウジングによって形成されるロック面の後ろに動かされる。このさらなる発展形態の目的で、「持ち上げる(raising)」とは、コンタクト本体レセプタクル内のコンタクト要素および/または摺動ガイド内のスライダの摺動方向に対するコンタクト本体の横断方向の動きを意味すると特に理解される。それに応じて、このさらなる発展形態の目的で、ロック面は概して、摺動ガイドまたはコンタクト本体レセプタクルの長手方向の延長に対して実質上直角に延びる。
この長手方向の延長は、通常、プラグ要素に電気的に接続されたケーブルの長手方向の延長に実質上対応する。それに応じて、この好ましいさらなる発展形態により、ケーブルにかかる引抜力が除去され、ロック面を介してプラグハウジングにかかり、そこで固定される。
【0015】
簡略化された組立てに関して、コンタクト本体およびスライダは、互いに関連する接続要素を有しており、これらの接続要素を介して、コンタクト本体とスライダの両方を接合してユニットを形成することができる。このユニットは、ユニットがプラグハウジング内へ摺動する際、ユニットを中間位置に動かすことができ、その後、さらなる摺動の結果、ユニットが解除され、スライダが相対的に動くように形成される。このさらなる発展形態から、概してユニットは、コンタクト本体が前にある状態でプラグハウジング内へ摺動することが想定される。それに応じて、ユニットの摺動は、概して、スライダの取扱いおよび案内によって行われる。
これは、好ましくは、スライダ内へ差し込むことができる挿入工具と協働する機能表面を有する。挿入工具は、必要な位置精度でユニットをプラグハウジング内へ挿入することができ、必要な押圧力でスライダをコンタクト本体に対して変位させることができ、プラグ要素に対してコンタクト本体を引っ張ることができる。中間位置で、コンタクト本体は、振動保護を得た後でもコンタクト本体がハウジング内に位置するその端位置を実質上見出す。これは、摺動方向の動きに特に依存する。コンタクト本体は、概して、中間位置とその端位置との間で変位方向にわずかにしか変位しない。実際には、コンタクト本体とスライダとの間の相対運動のため、通常は主にコンタクト本体の旋回運動がプラグハウジング内で生じ、それを使用してコンタクト本体を引っ張り、振動保護を確立する。
【0016】
コンタクト本体およびスライダから構成されたユニットが、プラグハウジング内へ摺動する際、可能な限り簡単に解放されることに関して、ユニットは、好ましくは、ラッチ接続を介して接合されている。ラッチ接続は、コンタクト本体が中間位置に位置し、したがってプラグハウジングの嵌合面と協働し、それによりラッチ接続を解放するのに少なくとも十分な特定の量のコンタクト本体のさらなる摺動運動に対する抵抗が提供される場合、必然的に解放される。ラッチ接続は、作用力のみによって解放することができる。加えて、プラグハウジング内でのスライダおよび/またはコンタクト本体の案内は、中間位置に接近すると特定の相対的な旋回運動が生じるように形成することができ、それによってラッチ接続の解除が容易になる。
この相対運動は、特に前述の傾斜面によって実施することができ、この傾斜面によって、概してロック面を備えるプラグ要素の前端が持ち上げられる。コンタクト本体は、概して、プラグハウジング内でのプラグ要素の所望の引張り、該当する場合はくさび嵌めに関して形成されるが、他の機能は、概して、スライダに割り当てられる。
【0017】
これは通常、弾性支承によってラッチ接続をコンタクト本体に対して固定するばねリムを有する。このばねリムは、概して、摺動方向に対して実質上平行に延びる表面から形成され、コンタクト本体とスライダのためにプラグハウジングによって形成される摺動ガイドの境界面との間に延びる。この場合、スライダは、概して、ばねリムを越えて突出するフランクを有する。フランクは、ばねリムの両側に設けられており、ばねリムと摺動ガイドの境界面との間に特定の距離をあけ、それによりばねリムは、摺動ガイド内で弾性的に撓んでプラグハウジング内でラッチ接続を解放することができる。スライダは、好ましくは、ユニットを形成するキャッチを有する。コンタクト本体は、キャッチ内に受け取ることができる保持カムを有する。キャッチは、概して、保持カムの寸法に適合されたレセプタクルによって形成される。
キャッチ自体がばねリムを形成する必要はない。実際には、キャッチは、概して、ばねリムの力によって保持カムの境界面に押し付けられ、保持カムを反対に支承する働きをするだけである。スライダとコンタクト本体との間のユニットは、少なくとも2点支持を介して固定される。
【0018】
ユニットは、好ましくは、概してコンタクト本体の自由後方リム(free, rear limb)をスライダの嵌合面に押し付けることによって形成される第3の点によって固定される。したがって、キャッチおよび保持カムは、概してヒンジ点を形成し、ばねリムのばね力は、このヒンジ点の周りにトルクをもたらす。このトルクは、コンタクト本体の自由後方端によってスライダに対して反対に支承される。この例で、2点または3点支持に注目した場合、これは、保持カムによって形成される理論上の旋回軸に対して平行な視野をたどる。コンタクト本体および/またはスライダは、この旋回軸の方向に、複数の同一に形成されたリムまたは領域を有することができ、ただしこれらのリムまたは領域は、概して、前記軸と同じレベルに位置する。
【0019】
保持保護を増大させるために、コンタクト本体は、好ましくは、切下げ(undercut)を有しており、ばねリムは、この切下げに形状フィット式に支えられる。このため、ばねリムは、好ましくは、その自由端に、切下げの輪郭に適合された輪郭を有する。それにより、切下げおよびばねリムの前端の協調によって、堅固な形状フィット式のロック機構が形成され、ロック機構は、中間位置に到達するまで、ユニットを接合した状態で維持する。前述のキャッチは、摺動方向に対して横断方向に位置するキャッチ開口チャネルを必ずしも有しているわけではない。実際には、キャッチ開口チャネルは、概して、摺動方向に対して斜めに延びており、与えられるスライダとコンタクト本体との間の好ましい旋回運動に関して、中間位置に接近するときに傾斜し、この旋回運動の結果、ユニットの分離を容易にする。
【0020】
中間位置から端位置へのコンタクト本体の旋回運動は、特に、斜面の構成によってもたらされる。この斜面は、コンタクト本体および/またはスライダに形成することができる。この場合、摺動方向において保持縁部とは実質上反対側に位置するコンタクト本体の自由後方端は、概して、スライダの嵌合面と協働し、それによりスライダとコンタクト本体との間の相対運動の際、コンタクト本体は最初、少なくとも中間位置から旋回し、したがってプラグ要素の方向に接近する。この旋回運動の際、摺動方向において前に位置するコンタクト本体の前側面が、好ましくは最初に嵌合面に接近する。この嵌合面は、好ましくは、相手側プラグの相手側プラグ要素とのプラグ接触が行われるプラグ要素の接触領域によって形成される。したがって、コンタクト本体とプラグ要素との間に第2の接点を形成することができ、それによりプラグ要素の振動保護を増大させる。
【0021】
凸状に湾曲した接触面は、概して、コンタクト本体のうち接触領域の方向に円錐形に先細りする頂部領域上に設けられている。この頂部領域は、概して、コンタクト本体をプラグハウジングに対して形状フィット式にロックする働きをする。このため、頂部領域は通常、前述の保持縁部を形成するのに対して、コンタクト本体およびスライダの相対運動中、スライダは、概して、コンタクト本体の反対側の端部と協働する。この端部は、たとえば前記頂部領域を介して互いに接続された2つのコンタクトアームによって形成することができる。コンタクト本体は、好ましくは、これらの2つのコンタクトアームによってU字状に形成されており、これらの2つのコンタクトアームは、端位置で、プラグ要素のケーブルレセプタクルとプラグハウジングの嵌合面との間に押し込まれる。この構成により、圧着スリーブによって形成することができるケーブルレセプタクルが引っ張られ、2つのコンタクトアーム間でクランプされる。
【0022】
このため、コンタクトアームは、好ましくは、クランプ部分を有し、クランプ部分は、スライダとは反対側でコンタクトアームから突出する。クランプ部分は、好ましくは、断面で角度をなし、それによってそれぞれのクランプ部分の端部上に成形されたクランプウエブが、実際のコンタクトアームとは反対に幅方向に外方にずれて設けられる。したがって、このずれは、好ましくは、クランプウエブを実際のコンタクトアームに接続する接続ウエブによって形成され、接続ウエブは、実質上コンタクトアームの断面図で、摺動方向に対して横断方向に、コンタクトアームの主延長方向に横断して延びる。ケーブルレセプタクルの方向におけるスライダの摺動運動の際、コンタクトアームが押された場合、接続ウエブと実際のコンタクトアームとの間の遷移領域が、ケーブルレセプタクルに最初に当たる。
スライダのさらなる変位運動の結果、クランプ部分がこの支承点の周りで変位する。旋回運動は、変位運動に対して実質上平行に延びる旋回軸の周りで行われる。この旋回運動によって、クランプウエブは、ケーブルレセプタクルに接近し、一方、クランプウエブのうち接続ウエブとクランプウエブの自由端との間に位置する部分は、ケーブルレセプタクルのための区切り壁に当たる。この区切り壁は、プラグハウジングによって形成される。この相対運動を通して、クランプウエブは、スライダの摺動運動の終わりに、区切り壁とケーブルレセプタクルとの間で、くさびのように動かされる。
コンタクト本体のU字状の構成のため、コンタクトアームは、それぞれのクランプ部分によってケーブルレセプタクルを両側で囲み、クランプ部分間のくさび嵌めによってケーブルレセプタクルをクランプする。この結果、コンタクトの非常に確実な固定が得られる。クランプ部分は、概して、コンタクトアームの中心領域内に位置し、コンタクトアームは、端位置で、自由端によりスライダと協働し、スライダは、コンタクトアームをプラグ要素の方向に予圧された状態で維持する。したがって、コンタクトアームは、特定の弾性予圧を受け、それを保持する。この弾性予圧は、振動保護をさらに改善する。コンタクト本体の頂部領域に対して、コンタクトアームはまた、摺動方向に対して実質上横断方向に位置する平面内に位置しかつコンタクトアームと垂直方向に交差する軸の周りで旋回する。アームの自由端は、この旋回運動によって押し開かれる。
【0023】
端位置に到達すると、コンタクト本体の軸方向カムは、好ましくは、スライダに形成された受容凹部内に係合する。したがって、端位置で、軸方向カムは概して、張力下でプラグハウジングの嵌合面に支えられていない。実際には、軸方向カムはまた、端位置を形状フィット式に固定するように、受容凹部内に設けられる。この受容凹部は、スライダの端部リム上に設けることができ、断面で脆弱化されており、その脆弱化のため、変形によるある種の引張りを弾性的に受けることができる。ただし、製造公差のため、軸方向カムが受容凹部上に当たった後、コンタクト本体に対する端位置へのスライダのさらなる変位運動が行われる。
【0024】
本発明のさらなる詳細および利点は、例示的な実施形態の以下の説明と図面の組合せから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】プラグの例示的な実施形態の斜視分解図である。
図2】例示的な実施形態のコンタクト本体およびスライダから構成されたユニットの斜視側面図である。
図3A】スライダおよびコンタクト本体から構成されたユニットを解除する様々な段階の斜視側面図である。
図3B】スライダおよびコンタクト本体から構成されたユニットを解除する様々な段階の斜視側面図である。
図3C】スライダおよびコンタクト本体から構成されたユニットを解除する様々な段階の斜視側面図である。
図4-1】図4Aおよび図4Bは、例示的な実施形態による振動保護を付与する方法の様々な段階を示す図である。
図4-2】図4Cおよび図4Dは、例示的な実施形態による振動保護を付与する方法の様々な段階を示す図である。
図4-3】図4Eおよび図4Fは、例示的な実施形態による振動保護を付与する方法の様々な段階を示す図である。
図4-4】図4Gおよび図4Hは、例示的な実施形態による振動保護を付与する方法の様々な段階を示す図である。
図5】考えられる端位置における例示的な実施形態の斜視断面図である。
図6】プラグハウジングの他の部分を除いた端位置におけるコンタクト本体およびスライダの斜視側方正面図である。
図7図6に示した例示的な実施形態の詳細の斜視下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、例示的な実施形態の斜視図を示し、プラグハウジング2が、相手側プラグに対する液密封止のためのシール4を前面に備えており、シール4は、シールリテーナ6を介してプラグハウジング2に接続されている。この例示的な実施形態では、プラグハウジング2は、接続要素10を旋回可能に支承するレバー8を支持しており、図示の例示的な実施形態では、プラグ接続相手が解放されるのを防止するために、接続要素10によって相手側プラグのハウジングに機械的に結合することができる。
【0027】
本明細書では、プラグハウジング2は、2つのプラグ要素を受け取り、したがって2つのプラグ要素受容チャンバ14を有している。2つのプラグ要素受容チャンバ14は、互いから隔置されており、プラグ要素受容チャンバ14間にレバー8のための旋回可能な支承部を成形する。
【0028】
プラグ要素12は、打抜き加工および曲げ加工された板金から成形されており、この場合メス要素として、矩形の断面で実質上円筒形に成形された接触領域16と、圧着スリーブの形状で接触領域16上に一体成形されたケーブルレセプタクル18とを有する。知られているやり方で、ケーブル20のむき出しにした端部が、ケーブルレセプタクル内で露出され、圧着によってケーブルレセプタクル18に接続される。ケーブル20は、個別導体シール22を通って案内され、カバーキャップ24を通ってプラグハウジング2から外へ出される。カバーキャップ24と個別導体シール22との間にストレインリリーフ26が位置し、ストレインリリーフ26は、ケーブル20の外装と協働し、プラグハウジング2内にストレインリリーフ26を保持するように、カバーキャップ24を介してケーブル20の外装上で径方向に予圧される。
【0029】
プラグハウジング2内でケーブル20を振動保護するユニット32の部品を、参照番号28(コンタクト本体)および30(スライダ)によって識別し、これらの部品について、以下でより詳細に説明する。見て取れるように、各ケーブル20が、ユニット32を備える。
【0030】
図2は、ユニット32をその詳細および相対的な位置合わせに関して示す。
【0031】
コンタクト本体28は、この平面図でその自由端の方へ円錐形に先細りするように形成された頂部領域34を有する。互いの方へ円錐形に先細りしている相互に反対側のフランク表面36が、対向面(facing surface)38によって区切られ、対向面38によって接続される。対向面38は、実質上平面に形成されており、その下端では、凸状に湾曲した接触面40が、対向面38を越えて突出する。接触面40の反対側に屋根面42が設けられ、2つのフランク表面36を互いに接続しており、くさび部分44が、屋根面42を越えて突出する。くさび部分44は、平面図で矩形でありかつフランク表面36に対して内方へ窪んでいる表面領域を有する。くさび部分44は、屋根面42上に直交して起立する保持縁部45と、屋根面42から直角に離れるくさび案内面46とを形成する。これらのくさび案内面46は、図2以降でSによって識別する摺動方向に対して平行に位置する。摺動方向については、以下でより詳細に説明する。
【0032】
コンタクト本体28の頂部領域34は、互いに対して実質上平行に延びる2つのコンタクトアーム48をつなぎ合わせており、クランプ部分50が、コンタクトアーム48を越えてその下側に突出する。コンタクトアーム48は、クランプ部分接続ウエブ52を介してクランプ部分50に一体的に接続される。クランプ部分50と関連するコンタクトアーム48との間の接続は、実際には、表面全体にわたる。しかし、クランプ部分接続ウエブ52を越えて、比較的薄壁の接続が提供され、したがってコンタクトアーム48に対してクランプ部分50は、摺動方向Sに対して実質上平行に延びる図5に示す旋回軸SWの周りで旋回可能である。
【0033】
クランプ部分50を除いて、コンタクトアーム48は、実質上矩形の断面幾何形状を有しており、保持カム54(図3A図3C参照)が、各コンタクトアーム48を越えてその内側に突出しており、スライダ30は、保持カム54を介してコンタクト本体28に接合され、ユニット32を形成する。
【0034】
平面図で、スライダ30は、実質上矩形に形成され、フランク56を接続する上部の両面の屋根面58が、スライダ30の前端でばねリム60に遷移し、ばねリム60は、フランク56に対して横方向に自由に切断されており、屋根面58によって形成される平面に対して内方にずれて配置される。ばねリム60は、その自由端に、ユニット32の接合状態でコンタクト本体28の切下げ64内に係合するラッチ突起62を形成する。
【0035】
フランク56の前端は、凹面状の受容凹部66を備え、受容凹部66は、参照番号68によって識別する軸方向カムの輪郭に適合されて形成されている。軸方向カム68は、コンタクト本体28のフランク表面36とコンタクトアーム48との間の交差部で、コンタクト本体28から突出し、摺動方向Sに対して横断方向に延びる。コンタクト本体28は、外側に設けられた2つの軸方向カム68を有する。受容凹部66は、スライダ30のそれぞれのフランク56の対向面に形成され、具体的には自由パンチ72を介して故意に脆弱化させた端部リム70に形成される。
【0036】
側面図で、スライダ30は、後方端を越えて突出する締付けカム74によって、実質上L字状に形成される。締付けカム74は、凸状に湾曲した斜面76を有する。斜面76は、図4Hに示す端位置で、コンタクトアーム48の自由端と協働する(図6図7参照)。
【0037】
スライダ30は、外側フランク56に対して平行に延びる内側フランク78を有する。内側フランク78間にコンタクトアームレセプタクル80が形成され、接合ユニット32の場合、コンタクトアームレセプタクル80内に、コンタクトアーム48の自由端が主として受け取られる(図3A参照)。コンタクトアームレセプタクル80は、締付けカム74によって区切られたその端部に、コンタクトアーム48をコンタクトアームレセプタクル80から押し出すのに好ましい幾何形状を有し、コンタクトアームレセプタクル80に段を付けた対向支承部81を形成し、接合ユニット32の場合、対向支承部81内に、コンタクトアームの自由端がその端縁部によって受け取られる(図3A参照)。
【0038】
外側フランク56の方を向いている内側フランク78の外面はそれぞれ、内側フランク78の下端に開いているキャッチ開口チャネル82を備えている。キャッチ開口チャネル82は、内側フランク78の主延長方向、したがって摺動方向Sに対して斜めに構成され、キャッチ84につながっており、キャッチ84は、保持カム54を受け取るように適合されて形成される。対応するキャッチ84は、本質的にC字状の構成を有し、図3A図3Cから類推される。
【0039】
図2および図3Aに示すスライダ30およびコンタクト本体28から構成された接合ユニットの場合、保持カム54は、キャッチ84内に位置する。ばねリム60は、そのラッチ突起62によって切下げ64内に支えられる。それぞれのコンタクトアーム48の自由端は、コンタクトアームレセプタクル80内に形成された対向支承部81に形状フィット式に支えられる(図3A参照)。スライダ30とコンタクト本体28との間のユニットは、これらの3つの接点によって、解放可能であるがそれにもかかわらず形状フィット式に接続される。したがって、図4A図4Hで強調するように、ケーブル20に接続されたプラグ要素12とプラグハウジング2との事前組立て後、このユニットを取り扱うことができ、プラグハウジング2内へ摺動させることができる。
このため、スライダ30は、その後方端に、図示しないがこの目的のために形成された工具を受け取るように形成されたスロット工具レセプタクル88を有する。ユニット32は、この工具を介して正確な位置でプラグハウジング2内へ摺動させることができる。
【0040】
この摺動運動の際、スライダ30は、摺動ガイド90内で案内される。図5を参照されたい。摺動ガイド90は、プラグハウジング2によって形成されたプラグ要素受容チャンバ14の上部区切り壁によって区切られる(範囲を定められる)。図5に示すように、プラグ要素受容チャンバ14は、実質上矩形に成形される。参照番号94によって識別する上部区切り壁に加えて、さらなる説明のために、プラグ要素受容チャンバ14の側方区切り壁96および下部区切り壁98について記載する。案内リブ100が、側方区切り壁96を越えて突出する。上部区切り壁94からこの案内リブ100までの距離は、摺動ガイド90を形成するように、外側フランク56の垂直方向の延長に適合されて形成される。図5で、左のプラグ要素受容チャンバ14は、プラグ要素12なしで示されており、ケーブル20が、その自由端でケーブル外装の周りに自由になっている。
プラグ要素受容チャンバ14を形成するすべての区切り壁94、96、98および案内リブ100は、摺動方向Sに対して平行に延びる。支承ウエブ102が下部区切り壁98から突出し、支承ウエブ102は、管状のケーブルレセプタクル18を支承する働きをする。
【0041】
図4Dが示すように、案内リブ100の端部上で案内リブ100と上部区切り壁94との間に、傾斜面104が位置する。ユニット32の摺動の際、コンタクト本体28は、スライダ30とともにプラグ要素12の方向に前方へ摺動する。したがって、くさび案内面46は、コンタクト本体28を変位可能に支承するように、プラグハウジング2によって形成されたコンタクト本体レセプタクル103の外周面によって案内される。ユニット32の摺動方向Sにおけるこの直線運動は、軸方向カム68が傾斜面104に当接した場合、摺動方向Sに対して直角の運動部分を受ける。次いで、コンタクト本体28の頂部領域34は、図4A図4Fに示すように持ち上げられる。
【0042】
軸方向カム68は、最終的に、摺動方向Sに対して横断方向に延びる摺動ガイド90の端部側区切り壁106を押し付け、それによりスライダ30のさらなる摺動の結果、コンタクト本体28に対する動きが生じるはずであり、この際、ユニット32が最初に解除される。
【0043】
コンタクト本体28がハウジング側の止め具に当接した後、次いでスライダ30の変位の結果、スライダ30およびコンタクト本体28の相対運動が生じ、それによって、以下でさらに詳述するように、スライダ30に対するコンタクト本体28の旋回運動が発生する。
【0044】
傾斜面104に対して滑ることによって、くさび部分44によって形成された保持縁部45は、図4Aに示すロック面108の後ろに案内される。ロック面108は、プラグハウジング2によって形成され、摺動方向Sに延びる支承面110の上側で区切られる。したがって、表面108、110は、コンタクト本体レセプタクル103を区切る。この動きは、図3A図3Bのシーケンスにも示されており、プラグハウジング2の案内リブ100および傾斜面104によって形成される案内面FFが、軸方向カム68に対して概略的に加えられている。
【0045】
摺動運動の際、円錐形に先細りするフランク表面36は、プラグハウジング2によって形成された円錐形のレセプタクル内へ押し込まれ、それにより、摺動方向Sに延びるプラグハウジング2によって、中心長手方向軸に対するコンタクト本体28の強制的な中心合わせ(forced centering)を容易にすることができる。
【0046】
したがって、旋回運動中、屋根面42が上部区切り壁94に接近する。同時に、コンタクト本体28の縁部45は、摺動方向に対して横断しかつ直交して起立するプラグハウジング2の表面108に接近し、コンタクト本体28の球状に形成された止め面40およびプラグコンタクト16によって、プラグコンタクト16がプラグハウジング2から引き抜かれないように、ほぼ越えられない障壁を形成する。さらに、コンタクト本体28上に位置するアーム48の表面76の明確なくさび嵌めを行うこと、ならびに上部区切り壁94上に支持されるスライダ30のカム74に関連して、上部区切り面94によって対向支承部として、コンタクト本体28の屋根面42を引っ張ることによって、軸方向カム68および傾斜面104を対にすることが実現される。限界公差位置の場合、軸方向カム68はまた、区切り壁106で支えることができる。
したがってさらに、コンタクト本体28の球状に形成された止め面40とプラグコンタクト16との間の引張りが、縁部45およびプラグハウジング2の表面108を介して実現される。その結果、プラグコンタクト16は、プラグハウジング2にしっかりと接続され、その結果、プラグコンタクト16の耐振動性が大幅に改善される。
【0047】
くさび部分44がこの支承面110に当接した場合、傾斜面104の上の頂部領域34の持上げが終了する。コンタクト本体28を前進させると、コンタクト本体28は摺動し、その頂部領域34が、プラグハウジング2によって長い表面に対応して形成された円錐形のレセプタクルに入る。この結果、端位置で、コンタクト本体28の中心合わせが固定される。コンタクト本体28を前進させると、頂端に位置するコンタクト本体28の前端が、くさび案内面46によってコンタクト本体レセプタクル103の嵌合面へ案内されて、コンタクト本体28を発端から端位置内の中心合わせされた構成へ位置合わせする。
【0048】
ユニット32を弾性変形により解除すると、ばねリム60は、切下げ64内の形状フィット係合を解放する。同時に、保持カム54は、キャッチ84から押し出され、キャッチ開口チャネル82の構成により、摺動方向Sに対する旋回運動が、コンタクト本体28に与えられる。この旋回運動を、図3A図3Cに時計回りで旋回運動SBとして示す。この旋回運動SBの際、コンタクトアーム48の自由端は、対向支承部81から出て、斜面46の方向に旋回する。それに応じて、コンタクトアーム48は、スライダ30の関連するコンタクトアームレセプタクル80を離れる(図3A図3C図4D図4Eのシーケンス参照)。
【0049】
コンタクト本体28の旋回運動SB(図3B図3C参照)の際、スライダ30のさらなる前進中、凸状接触面40が、接触領域16によって形成された摺動方向Sに対して実質上横断方向に延びるプラグ要素12の輪郭に当たる(図4Fおよび図4G)。さらに、コンタクトアーム48の自由端は、コンタクト本体28の旋回運動SBによって、ケーブルレセプタクル18に接近する。クランプ部分50は、ケーブルレセプタクル18とプラグ要素受容チャンバ14の側方区切り壁96との間の残りの間隙内へ押し込まれる(図4F図4H図5)。摺動運動の進行中、締付けカム74およびその中に設けられたスライダ30の輪郭を介してコンタクトアーム48の自由端に作用する押圧力のため、増大した押圧力によって、クランプ部分50が間隙内へ押し込まれる。
【0050】
図5は、例示的な実施形態で実現されるクランプ部分50の断面構成を示す。クランプ部分50の自由端は、コンタクトアーム48の垂直方向の延長に対して実質上平行に延び、クランプウエブ112を形成する。コンタクトアーム48の垂直方向に対して横断方向に延びる接続ウエブ114を介して、クランプウエブ112は、フランク状に形成された実際のコンタクトアーム58内へ遷移する。
【0051】
実際のコンタクトアーム48と接続ウエブ114との間の遷移領域は、ケーブルレセプタクル18の方向におけるコンタクト本体28の旋回運動の際、ケーブルレセプタクル18に対して外方に当たる。その結果、コンタクトアームが広がり、すなわちクランプ部分50の領域内のコンタクトアーム48の距離が増大する。言い換えれば、コンタクトアーム48は、摺動方向Sに対して直角に延びる旋回軸SAの周りで旋回する(図5参照)。それに応じて、それぞれのコンタクトアーム48は、頂部領域34に対して外方に、プラグ要素受容チャンバの幅方向に旋回する。したがって、コンタクトアーム48の自由端は、摺動方向Sに対して横断方向に、締付けカム74の表面の上を滑る。コンタクトアーム48のこの変形は、コンタクト本体28のU字状の構成によって可能になり、この構成は、コンタクトアーム48が自由端ではなく頂部領域34のみを介して互いに接続されることによって保障される。
【0052】
引張り力に応じて、クランプ部分50は、図5に示す旋回軸SWの周りでさらに旋回することができる。この旋回運動は、一方ではケーブルレセプタクル18上および他方では側方区切り壁96上に位置するそれぞれのコンタクトアーム48の支承部間の垂直方向の距離によって生じる。したがって、クランプ部分50は、弾性的に作用するくさびのように、ケーブルレセプタクル18と、ケーブルレセプタクル18の表面に対する嵌合面である隣接する側方区切り壁96との間の間隙内へ押し込まれて、そこで引っ張られる。支承ウエブ102は、ケーブルレセプタクル18をやや直線的に支持し、それによってコンタクトアーム48を介して外方に印加されるクランプ力と、支承ウエブ102に対する追跡力との間にトルクが生じる。
したがって、本明細書に記載する振動保護の引張りの状況では、金属板金から形成される圧着スリーブもまた、制限範囲内で弾性的に変形することができ、これは、プラグ要素12がプラグハウジング2内でさらに締結されることに寄与する。
【0053】
スライダ30のこの摺動運動の終わりに、コンタクト本体28は、図4Hに示すその端位置に到達する。図6および図7に強調するように、軸方向カム68は、この端位置で受容凹部66に支えられる。端部リム70の脆弱化によって、軸方向カム68は、自由パンチ72の方向に旋回し、製造公差に応じて端位置で軸方向カム68とスライダ30との間に生じうる電位を弾性的に遮断することができる。
【0054】
図示の構成により、強い押圧力でプラグハウジング2内にプラグ要素12を静的に締結することが可能になる。これらの押圧力は、特にコンタクト本体28内で弾性変形によって生成され、その弾性によって保持される。コンタクト本体28は、PAまたはPEなどの実用プラスチックから形成される。同じことがスライダ30にも当てはまる。これら2つの構造上の構成要素は、射出成形によって複雑な物体として経済的に形成することができる。
【0055】
図4に示す端位置で、3つの力ベクトルがコンタクト本体28に本質的に作用しており、これらの力ベクトルを図4Hに文字A、B、およびCで示す。Aは、プラグハウジング2から支承面110を介してくさび部分44上へ伝達される力である。Bは、スライダ30を介してプラグハウジング2からコンタクトアーム48の自由端上へ印加される力を示す。Cは、クランプ部分50に対するクランプ力に対応し、したがってケーブルレセプタクル18に対するコンタクト本体28の保持力に対応する。力A-CまたはC-Bの作用線間に認識されるレバーアームは、ケーブルレセプタクル18に作用するクランプ力を設定するように、必要に応じて当業者によって選択することができる。
【0056】
特に図6でスライダ30上に認識される凹部および開口は、スライダ30内に前述の機能表面を成形する射出成形工具の可動コアによって引き起こされるものである。
【符号の説明】
【0057】
2 プラグハウジング
4 シール
6 シールリテーナ
8 レバー
10 接続要素
12 プラグ要素
14 プラグ要素受容チャンバ
16 接触領域
18 ケーブルレセプタクル
20 ケーブル
22 個別導体シール
24 カバーチャンバ
26 ストレインリリーフ
28 コンタクト本体
30 スライダ
32 ユニット
34 頂部領域
36 フランク表面
38 対向面
40 接触面
42 屋根面
44 くさび部分
45 保持縁部
46 くさび案内面
48 コンタクトアーム
50 クランプ部分
52 クランプ部分接続ウエブ
54 保持カム
56 外側フランク
58 屋根面
60 ばねリム
62 ラッチ突起
64 切下げ
66 受容凹部
68 軸方向カム
70 端部リム
72 自由パンチ
74 締付けカム
76 斜面
78 内側フランク
80 コンタクトアームレセプタクル
81 対向支承部
82 キャッチ開口チャネル
84 キャッチ
88 工具レセプタクル
90 摺動ガイド
94 上部区切り壁
96 側方区切り壁/嵌合面
98 下部区切り壁
100 案内リブ
102 支承ウエブ
103 コンタクト本体レセプタクル
104 傾斜面
106 端部側区切り壁
108 ロック面
110 支承面
112 クランプウエブ
114 接続ウエブ
S 摺動方向
SA 旋回軸
SW 旋回軸
FF 案内面
SB 旋回運動
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
図7