IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図1
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図2
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図3
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図4
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図5
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図6
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図7
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図8
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図9
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図10
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図11
  • 特許-清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/10 20060101AFI20220901BHJP
   A47L 13/10 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A47K11/10
A47L13/10 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018104937
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019208618
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】和泉 慎也
(72)【発明者】
【氏名】奥岡 拓也
(72)【発明者】
【氏名】金丸 佳央理
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074943(JP,A)
【文献】実開平02-075061(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0129296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00-11/12
A47L 13/10
A47L 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具であって、
前記ヘッド部と、前記ヘッド部が着脱自在に取り付けられる柄部と、を備え、
前記ヘッド部は、水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体により、断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように形成され
前記柄部は、長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、備え、
前記ヘッド部は、前記柄部に、前記本体部の前記一端部近傍における軸方向と直交する方向側の両端部同士が近づくように湾曲及び/又は屈曲した状態で取り付けられていることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記ヘッド部には水溶性バインダーが添加されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記ヘッド部に添加されている前記水溶性バインダーはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項2に記載の清掃具。
【請求項4】
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体に、水溶性バインダーを含むバインダー溶液を含浸させる含浸工程と、
前記積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記含浸工程及び前記曲げ工程を経た前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする清掃具用ヘッド部の製造方法。
【請求項5】
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記曲げ工程を経た前記積層体に孔を開ける孔開け工程と
を含むことを特徴とする清掃具用ヘッド部の製造方法。
【請求項6】
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記曲げ工程を経た前記積層体に圧力をかける加圧工程と
を含むことを特徴とする清掃具用ヘッド部の製造方法。
【請求項7】
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体に水を含浸させる含浸工程と、
前記積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記含浸工程及び前記曲げ工程を経た前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする清掃具用ヘッド部の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具及び清掃具用ヘッド部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレに設置された便器の清掃に用いられるクリーニングブラシ等の清掃具が普及している。この清掃具は、使用者が柄を持ち、そのヘッド部により便器の内面を擦って汚れを落とすように使用されるので、繰り返し使用する場合、ヘッド部の清潔性が損なわれ、臭いやカビ等が発生する原因となる。
そこで、清掃具のヘッド部を複数の水解紙を積層させて形成し、このヘッド部を柄に着脱自在に保持させ、使用後、ヘッド部を柄から外して便器に流すことを可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4482559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の清掃具においては、水解性シートによって形成されたヘッド部が平面状のままで固定されることから、トイレの便器の内面等の清掃面に押し付けられた際に折れ易く、清掃面に対し十分に力を加えて清掃を行うことが困難であった。
【0005】
本発明の課題は、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部及び清掃時にヘッド部が折れ難い清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具であって、
前記ヘッド部と、前記ヘッド部が着脱自在に取り付けられる柄部と、を備え、
前記ヘッド部は、水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体により、断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように形成され
前記柄部は、長尺に形成された本体部と、前記本体部の一端部に備えられ、前記ヘッド部を着脱自在に保持する取付部と、備え、
前記ヘッド部は、前記柄部に、前記本体部の前記一端部近傍における軸方向と直交する方向側の両端部同士が近づくように湾曲及び/又は屈曲した状態で取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、清掃時にヘッド部が折れ難い清掃具を提供することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の清掃具であって、
前記ヘッド部には水溶性バインダーが添加されていることを特徴とする。
本発明によれば、清掃時にヘッド部が折れ難い清掃具を提供することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の清掃具であって、
前記ヘッド部に添加されている前記水溶性バインダーはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする。
本発明によれば、清掃時にヘッド部が折れ難い清掃具を提供することができる。
【0010】
請求項に記載の発明は、清掃具用ヘッド部の製造方法であって、
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体に、水溶性バインダーを含むバインダー溶液を含浸させる含浸工程と、
前記積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記含浸工程及び前記曲げ工程を経た前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部を提供することができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、清掃具用ヘッド部の製造方法であって、
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記曲げ工程を経た前記積層体に孔を開ける孔開け工程と
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部を提供することができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、清掃具用ヘッド部の製造方法であって、
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記曲げ工程を経た前記積層体に圧力をかける加圧工程と
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部を提供することができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、清掃具用ヘッド部の製造方法であって、
水解性を有するシート体を2層以上重ね合わせた積層体に水を含浸させる含浸工程と、
前記積層体を断面が湾曲及び/又は屈曲した形状となるように曲げる曲げ工程と、
前記含浸工程及び前記曲げ工程を経た前記積層体を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、清掃時に折れ難い清掃具用ヘッド部及び清掃時にヘッド部が折れ難い清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係る清掃具の斜視図である。
図2】第一実施形態に係る清掃具の正面図である。
図3】第一実施形態に係る清掃具の側面図である。
図4】第二実施形態に係る清掃具の側面図である。なお、柄部の上部の記載を省略している。
図5】第二実施形態に係る清掃具の側面図である。なお、柄部の上部の記載を省略している。
図6】第三実施形態に係る清掃具の平面図である。
図7】第三実施形態に係る清掃具の側面図である。
図8】第四実施形態に係る清掃具の平面図である。
図9】第四実施形態に係る清掃具の側面図である。
図10】第五実施形態に係る清掃具の斜視図である。なお、柄部の上部の記載を省略している。
図11】第五実施形態に係る清掃具の側面図である。
図12】変形例に係る清掃具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である清掃具の具体的な態様について、図1から図12に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、柄部1の取付部11が形成されていない側の端部が向く方向を「上」、その反対側を「下」、柄部1が屈曲する方向を「右」、その反対側を「左」、柄部1が屈曲する方向側(右側)を向いた際の右手側を「前」、柄部1が屈曲する方向側(右側)を向いた際の左手側を「後」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0017】
[第1実施形態]
第一実施形態に係る清掃具100について、図1から図3に基づいて説明する。
【0018】
{実施形態の構成}
清掃具100は、トイレに設置された便器の清掃などに用いられるものであり、図1から図3に示すように、清掃具100の使用者が把持する柄部1と、柄部1に着脱自在に取り付けられるヘッド部2と、から構成される。
【0019】
(柄部)
柄部1は、その本体をなす本体部12と、ヘッド部2を着脱自在に取り付ける取付部11と、からなる。
柄部1を形成する材料は、取付部11にヘッド部2を取り付けて清掃を行うことができることができる強度を有するものであれば任意であるが、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)、CNF(セルロースナノファイバー)、木材、金属等を用いることができる。
(本体部)
本体部12は、図1に示すように長尺な棒状に形成され、一端部が屈曲し、当該端部の先端に取付部11が備えられている。図1から図3においては、本体部12のZ軸方向に沿う部分が、断面(XY面に沿う切断面)が円形となる棒状に形成され、Y軸に沿う屈曲部分が、断面(XZ面に沿う切断面)が矩形状となる棒状に形成される場合につき図示したが、本体部12の具体的な形状は、使用者が把持して清掃を行うことが可能であればよく、その他の形状とすることも可能である。
例えば、本体部12は、Y軸に沿う屈曲部分も断面が円形となる棒状に形成されていてもよい。また、屈曲部分を有せず、使用者が把持可能な程度の長さを有する全体が直線状の棒状であってもよいし、所定の曲率で湾曲するアーチ状の棒状であってもよい。また、清掃具100の未使用時に、これを吊り下げるための孔などが形成されていてもよい。
【0020】
(取付部)
取付部11は、棒状の柄部1の一端部に形成された、柄部1にヘッド部2を着脱自在に取り付けるための部分であり、図1から図3に示すように、同一方向へと延出する第一延出部111と、第二延出部112と、を備える。
第一延出部111と第二延出部112との間隔は、後述の凹部111a及び凸部112aが形成されていない部分において、5mmから30mmであることが好ましく、10mmから20mmであることがさらに好ましい。
第一延出部111と第二延出部112との間隔を、使用するヘッド部2の厚みよりも僅かに狭く形成し、ヘッド部2を圧縮しつつ第一延出部111と、第二延出部112との間に挟み込むようにすることで、ヘッド部2を柄部1に取り付けることができる。
【0021】
(第一延出部)
第一延出部111は、図1から図3に示すように、柄部1の一端部(図1から図3においては右下に位置する端部)の、上縁部に形成された、柄部1の当該端部近傍における軸方向(図1から図3においては右方向)へと板状に延出する部分であり、図1及び図3に示すように、X方向における中央部に、凹部111aを備える。
第一延出部111は、柄部1の一端部から、15mmから40mm延出するように形成されることが好ましく、20mmから30mm延出するように形成されることがさらに好ましい。
【0022】
(凹部)
凹部111aは、図1及び図3に示すように、第一延出部111のX方向中央部に形成された上方へと凹となる凹みである。凹部111aは、X方向の幅が15mmから30mmであることが好ましく、20mmから25mmであることがさらに好ましい。また、Y方向に第一延出部111全体に亘る長さを有することが好ましい。また、Z方向に、深さ5mmから20mmとなるように形成されることが好ましく、深さ10mmから15mmとなるように形成されることがさらに好ましい。
【0023】
(第二延出部)
第二延出部112は、図3に示すように、柄部1の一端部(図1から図3においては右下に位置する端部)の、下縁部に形成された、柄部1の当該端部近傍における軸方向(図1から図3においては右方向)へと板状に延出する部分であり、図3に示すように、X方向における中央部に、凸部112aを備える。
第二延出部112は、柄部1の一端部から、15mmから40mm延出するように形成されることが好ましく、20mmから30mm延出するように形成されることがさらに好ましい。
【0024】
(凸部)
凸部112aは、図3に示すように、第二延出部112のX方向中央部に形成された上方へと凸となる突出部である。凸部112aは、X方向の幅が15mmから30mmであることが好ましく、20mmから25mmであることがさらに好ましい。また、Y方向に第二延出部112全体に亘る長さを有することが好ましい。また、Z方向に、高さ8mmから17mmとなるように形成されることが好ましく、高さ10mmから15mmとなるように形成されることがさらに好ましい。
【0025】
上記のように第一延出部111に凹部111aが形成され、第二延出部112に凸部112aが形成されていることで、これらの間に挟み込まれたヘッド部2は、図1及び図3に示すように、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(図1から3においてはY方向)と直交する方向側の両端部(図1から図3においては前端部及び後端部)同士が近づき、X方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1に固定される。
【0026】
なお、図1から図3においては、凹部111aを有する第一延出部111を上側に設け、凸部112aを有する第二延出部112を下側に設けた場合につき図示したが、第一延出部111及び第二延出部112は、同一方向へと延出し、凹部111aと凸部112aとが対向するように配置されていればよく、具体的な配置はこれに限られない。例えば、第一延出部111を下側に、第二延出部112を上側に設けてもよい。
【0027】
(ヘッド部)
ヘッド部2は、図1から図3に示すように、取付部11によって柄部1に着脱自在に取り付けられて、便器の内面などの被清掃面に押し付けられてその清掃を行うための部材である。
【0028】
ヘッド部2としては、可撓性を有するものであれば、平面状のものであっても柄部1に取り付けることで曲げられた状態とすることができるが、予め取付部11の形状に合わせて曲げられたものであることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る清掃具100に取り付けられて用いられる場合には、ヘッド部2は、図1から図3に示すように、短手方向の両端部(図1から図3においては前端部及び後端部)同士が近づくように、V字状に屈曲した断面形状となるように曲げられている。
【0029】
また、ヘッド部2は、水解性を有する材料により形成され、清掃後、柄部1の取付部11から外して便器に流すことが可能であることが好ましい。
具体的には、例えばヘッド部2は、水解性を有する一枚のシート体を折り畳むことで2層以上重ね合わされた積層体により形成される。一枚のシート体を折り畳んでヘッド部2を形成することで、その製造を容易にすることができる。
なお、製造の容易性は低下するものの、複数枚のシート体を重ね合わせることで2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。また、複数枚のシート体を重ね合わせた上で、これをさらに折り畳むことによって、2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。
このようにヘッド部2を積層体とすることで、便器に流す際に水に対してほぐれやすくすることができる。
【0030】
また、ヘッド部2に用いられる水解性を有するシート体としては、例えば、湿式抄紙法により作製される水解紙や、エアレイド不織布などを用いることができる。このようなシート体の原料には、バージンパルプが用いられることが好ましい。古紙再生パルプには樹脂や石灰等の異物が混入することがあり、これによって、清掃時に被清掃面に傷がつき易くなる、流した際に所望の水解性が得られず詰まり易くなるといったリスクが生じるためである。
【0031】
このような水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体によってヘッド部2が形成されている場合、これを予め所定の形状に曲げられた状態とする方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。
【0032】
まず、水溶性のバインダーを用いる方法である。水溶性バインダーとしては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、PEO(ポリエチレンオキサイド)等を用いることができる。このうち、CMCを用いることが、ヘッド部2の強度を向上させるため最も好ましい。
これらの水溶性バインダーを水に溶解させたバインダー溶液を、水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体に含浸させた上で、これを所定の形状に曲げられた状態とし、当該状態のままで乾燥させることによって、ヘッド部2を予め曲げられた状態となるように形成することができる。また、積層体を所定の形状に曲げられた状態とした上で、これに水溶性バインダーを水に溶解させたバインダー溶液を含浸させてもよい。
【0033】
次に、水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体を曲げた上で、孔を開ける方法である。積層体を曲げて、紙の積層がずれひずみが生じた状態とした上で、これに孔を開けることによって、孔の周囲においてシート体が圧縮され、かつ、開けられた孔において前後のシート体が挿通した状態となるため、曲げられた状態を固定化することができる。小型の孔をヘッド部2の端部近傍に複数開けることが好ましい。
【0034】
次に、圧力をかけることによって、所定の形をつける方法である。具体的には、水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体を所定の曲げられた形状の型に入れた上で、これを加圧することで、積層体を所定の形状に曲げられた状態とすることができる。
【0035】
次に、水をかけた後、これを乾燥させる方法である。水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体に水を含浸させた上で、これを所定の形状に曲げられた状態とし、当該状態のままで乾燥させることによって、ヘッド部2を予め曲げられた状態となるように形成することができる。また、積層体を所定の形状に曲げられた状態とした上で、これに水を含浸させてもよい。
水溶性バインダーを水に溶解させたバインダー溶液を含浸させた場合と比較して強度は低下するものの、単なる水の含浸及び乾燥によっても、積層体の曲げられた形状をある程度固定化することができる。
【0036】
また、水解性を有するシート体が2層以上重ね合わされた積層体を用いることなく、例えばパルプモールドによって所定の曲げられた形状となるように、ヘッド部2を作成することも可能である。
【0037】
ヘッド部2は、これが曲げられていない状態において、長辺40mmから60mm、短辺35mmから55mmの矩形状に形成され、厚みが10mmから20mmとなるように形成されることが好ましい。
また、ヘッド部2は、柄部1に対し、取付部11の先端から、20mmから40mm突出するように取り付けられることが好ましく、30mm突出するように取り付けられることが最も好ましい。
【0038】
また、ヘッド部2は、長辺方向の一端部近傍において、圧縮されてシート体同士が固定されており、長辺方向の他端部近傍においては、圧縮されず、シート体同士が固定されないように構成されていてもよい。なお、シート体同士が固定されていない前記他端部側には、さらに複数の切れ目が形成されていてもよい。また、シート体同士が固定されている前記一端部側においては、さらに、水溶性の接着剤等によって、シート体同士が強固に固定されていてもよい。
これによって、シート体同士が固定された前記一端部側を取付部11に取り付けることで、ヘッド部2の柄部1への取り付けが容易となり、かつ、シート体同士が固定されていない前記他端部側を清掃に用いることで、汚れの除去力も高めることができる。
【0039】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る清掃具100によれば、取付部11の第一延出部111に凹部111aが形成され、第二延出部112に凸部112aが形成されている。
これによって、ヘッド部2を、図1から図3に示すように、本体部12の取付部11が備えられた端部近傍における軸方向(図1から3においてはY方向)と直交する方向側の両端部(図1から図3においては前端部及び後端部)同士が近づき、X方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1に対して固定することが可能となる。
これによって、ヘッド部2が、図1から図3における上方又は下方へと折れ難くなることから、ヘッド部2の先端を便器等に対して強く押し付けることが可能となり、便器等の被清掃面の汚れを落とし易くなる。
【0040】
また、ヘッド部2が曲げられた状態で取付部11に取り付けられ、X方向にコンパクトになることから、狭いスペースに入れ易くなり、狭いスペースの清掃が容易となる。
【0041】
また、ヘッド部2の強度が長時間維持され、かつ、図1から図3に示すように、シート体が積層されたヘッド部2の側面の断面が広がることで、ヘッド部2の清掃に使うことができる面積が増加することから、ヘッド部2による清掃可能面積を増加させることができる。
【0042】
特に、ヘッド部2として、予め取付部11の形状に合わせて曲げられたものが用いられる場合、ヘッド部2を曲げられた状態で柄部1に対して取り付け易くなる。また、ヘッド部2の曲げられた形状が、取付部11に固定された部分から離れた先端部に到るまで維持され易くなることから、ヘッド部2が、図1から図3における上方又は下方へとさらに折れ難くなる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る清掃具100A及び100Bについて、図4及び図5に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
{実施形態の構成}
清掃具100Aは、図4に示すように、取付部の構成を、Y方向から見て下面側(第二延出部112Aと対向する側)全面がU字状に凹となるように形成された第一延出部111Aと、Y方向から見て上面側(第一延出部111Aと対向する側)全面がU字状に凸となるように形成された第二延出部112Aとからなる取付部11Aとしたものである。
ヘッド部2は、第一延出部111Aと、第二延出部112Aとの間に形成されたU字状の隙間に挟み込まれて固定される。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0045】
なお、取付部の構成は、図5に示すように、Y方向から見て下面側(第二延出部112Bと対向する側)全面がV字状に凹となるように形成された第一延出部111Bと、Y方向から見て上面側(第一延出部111Bと対向する側)全面がV字状に凸となるように形成された第二延出部112Bとからなる取付部11Bとしてもよい。この場合、ヘッド部2は、第一延出部111Bと、第二延出部112Bとの間に形成されたV字状の隙間に挟み込まれて固定される。
【0046】
上記のように第一延出部111A又は111Bの下面側全面がU字状又はV字状に凹となるように形成され、第二延出部112A又は112Bの上面側全面がU字状又はV字状に凸となるように形成されていることで、これらの間に挟み込まれたヘッド部2は、図4又は図5に示すように、本体部12の取付部11A又は11Bが備えられた端部近傍における軸方向(図4又は図5においてはY方向)と直交する方向側の両端部(図4又は図5においては前端部及び後端部)同士が近づき、X方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1A又は1Bに固定される。
【0047】
この場合、ヘッド部2は、予め取付部11A又は11Bの形状に合わせて曲げられたものが用いられることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る清掃具100Aに取り付けられて用いられる場合には、図4に示すように、短手方向の両端部(図4においては前端部及び後端部)同士が近づくように、U字状に湾曲した断面形状となるように曲げられていることが好ましい。また、本実施形態に係る清掃具100Bに取り付けられて用いられる場合には、図5に示すように、短手方向の両端部(図5においては前端部及び後端部)同士が近づくように、V字状に屈曲した断面形状となるように曲げられていることが好ましい。
ヘッド部2を予め所定の形状に曲げられた状態とする方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0048】
{実施形態の効果}
本実施形態によれば、ヘッド部2を上記のように柄部1A又は1Bに対して固定することによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る清掃具100Cについて、図6及び図7に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
{実施形態の構成}
清掃具100Cは、図6及び図7に示すように、取付部の構成を、3本の爪部、すなわち第一爪部113と、第二爪部114と、第三爪部115と、からなる取付部11Cとしたものである。
なお、清掃具100Cにおいては、図7に示すように、本体部を、取付部11Cが備えられた端部近傍における断面形状が円形となる本体部12Aとした場合につき図示したが、本体部の形状はこれに限られない。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
(爪部)
第一爪部113は、図6及び図7に示すように、柄部1の一端部(図6及び図7においては右下に位置する端部)の下側のX方向中央部から、右下方へと突出するように形成されている。
第二爪部114は、図6及び図7に示すように、柄部1の一端部(図6及び図7においては右下に位置する端部)の前側から、右前方へと突出するように形成されている。
第三爪部115は、図6及び図7に示すように、柄部1の一端部(図6及び図7においては右下に位置する端部)の後側から、右後方へと突出するように形成されている。
なお、各爪部の配置及び形状は、ヘッド部2を3点で支え、これを曲げられた状態で柄部1に対して固定できるものであればよく、図示したものには限られない。
【0052】
第一爪部113、第二爪部114及び第三爪部115は、いずれも、図6及び図7に示すように、本体部12Aの取付部11Cが備えられた端部近傍における軸方向(図6及び図7においては右方向)から見て先端が徐々に外側へと広がるように形成されている。
また、第一爪部113、第二爪部114及び第三爪部115は、それぞれが好ましくは15mmから40mm、さらに好ましくは20mmから30mmの長さを有する。この場合、ヘッド部2を曲げられた状態で取付部11Cに取り付け易くなる。
【0053】
なお、4本以上の爪部を備え、これらによって、ヘッド部2を4点以上の点で支えることで、曲げられた状態で柄部に対して固定できるようにすることも可能である。
【0054】
上記のように取付部11Cが3本の爪部(第一爪部113、第二爪部114及び第三爪部115)によって形成されていることで、これらの間に挟み込まれたヘッド部2は、図7に示すように、本体部12Aの取付部11Cが備えられた端部近傍における軸方向(図6及び図7においてはY方向)と直交する方向側の両端部(図6及び図7においては前端部及び後端部)同士が近づき、X方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1に固定される。
【0055】
この場合、ヘッド部2は、予め取付部11Cの形状に合わせて曲げられたものが用いられることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る清掃具100Cに取り付けられて用いられる場合には、例えば、図7に示すように、短手方向の両端部(図7においては前端部及び後端部)同士が近づくように、U字状に湾曲した断面形状となるように曲げられていることが好ましい。また、この場合V字状に屈曲した断面形状となるように曲げられていてもよい。
ヘッド部2を予め所定の形状に曲げられた状態とする方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0056】
{実施形態の効果}
本実施形態によれば、ヘッド部2を上記のように柄部1Cに対して固定することによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、図7示すように、ヘッド部2を、Y方向から見て、第二爪部114及び第三爪部115よりも上方に突出し、第一爪部113よりも下方に突出するように取り付けることが可能となることから、便器等の被清掃面に取付部が触れてしまい、これを傷つけてしまう可能性を低減できる。
【0058】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る清掃具100Dについて、図8及び図9に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
{実施形態の構成}
清掃具100Dは、図8及び図9に示すように、取付部の構成を、三角柱状に形成され、柄部1Dの取付部11Dが備えられた端部近傍における軸方向(図8及び図9においてはY方向)から見て、上側に凸となる三角形状の断面形状を有する第一爪部113Aと、三角柱状の第一爪部113Aの側面の一つと対向し、Y方向から見て、第一爪部113Aの前側に沿う板状の断面形状を有する第二爪部114Aと、三角柱状の第一爪部113Aの側面の他の一つと対向し、Y方向から見て、第一爪部113Aの後側に沿う板状の断面形状を有する第三爪部115Aと、からなる取付部11Dとしたものである。
なお、清掃具100Dにおいては、図8に示すように、本体部を、取付部11Dが備えられた端部近傍における断面形状が右方へと徐々に太くなる本体部12Bとした場合につき図示したが、本体部の形状はこれに限られない。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0060】
上記のように取付部11Dが3本の爪部(第一爪部113A、第二爪部114A及び第三爪部115A)によって形成されていることで、これらの間に挟み込まれたヘッド部2は、図9に示すように、本体部12Bの取付部11Dが備えられた端部近傍における軸方向(図8及び図9においてはY方向)と直交する方向側の両端部(図8及び図9においては前端部及び後端部)同士が近づき、X方向中央部が上方へと凸となるように曲げられた状態で、柄部1に固定される。
【0061】
この場合、ヘッド部2は、予め取付部11Dの形状に合わせて曲げられたものが用いられることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る清掃具100Dに取り付けられて用いられる場合には、図9に示すように、短手方向の両端部(図9においては前端部及び後端部)同士が近づくように、V字状に屈曲した断面形状となるように曲げられていることが好ましい。
ヘッド部2を予め所定の形状に曲げられた状態とする方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0062】
{実施形態の効果}
本実施形態によれば、ヘッド部2を上記のように柄部1Dに対して固定することによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、図9に示すように、ヘッド部2を、Y方向から見て、第二爪部114A及び第三爪部115Aよりも上方に突出し、第一爪部113Aよりも下方に突出するように取り付けることが可能となることから、便器等の被清掃面に取付部が触れてしまい、これを傷つけてしまう可能性を低減できる。
【0064】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る清掃具100Eについて、図10及び図11に基づいて説明する。なお、第1実施形態に係る清掃具100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
{実施形態の構成}
清掃具100Eは、取付部の構成を、図10及び図11に示すように一端部が開口部となった円筒状の取付部11Eとしたものである。
なお、清掃具100Eにおいては、図10及び図11に示すように、本体部を、取付部11Eが備えられた端部近傍における断面形状が円形となり、取付部11Eと段差なく接続される本体部12Cとした場合につき図示したが、本体部の形状はこれに限られない。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0066】
取付部11Eには、図11に示すように、右方に円形の開口部を有する円筒状の凹部である保持空間116が形成されている。保持空間116にヘッド部2を丸めながら押し込むことで、ヘッド部2を柄部1に対して固定することができる。
保持空間116は、Y方向から見て、直径が、23mmから32mmであることが好ましく、25mmから30mmであることがさらに好ましい。
また、Y方向の深さは、20mmから35mmであることが好ましく、25mmから30mmであることがさらに好ましい。
【0067】
上記のように取付部11Eに、右方に円形の開口部を有する円筒状の凹部である保持空間116が形成されていることで、保持空間116に丸めながら押し込まれたヘッド部2は、図10及び図11に示すように、本体部12Cの取付部11Eが備えられた端部近傍における軸方向(図10及び図11においてはY方向)と直交する方向の両端部(図8及び図9においては前端部及び後端部が近づく場合につき図示したが、具体的な方向はヘッド部2の押し込み方によって変化する。)同士が近づくように曲げられた状態で、柄部1に固定される。
【0068】
この場合、ヘッド部2は、予め取付部11Eの形状に合わせて曲げられたものが用いられることが好ましい。具体的には、本実施形態に係る清掃具100Eに取り付けられて用いられる場合には、図10及び11に示すように、短手方向の両端部(図10及び図11においては前端部及び後端部)同士が近づくように、一部が途切れた略円形状に湾曲した断面形状となるように曲げられていることが好ましい。
ヘッド部2を予め所定の形状に曲げられた状態とする方法としては、第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0069】
{実施形態の効果}
本実施形態によれば、ヘッド部2を上記のように柄部1Eに対して固定することによって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
[変形例]
以下、上記実施形態の変形例につき説明する。
【0071】
{変形例1}
第1実施形態においては、柄部は、図12に示す柄部1Fのように、外殻部130と摺動部140と、からなり、摺動部140を外殻部130に対してスライドさせることで、ヘッド部2を着脱できるように構成されていてもよい。
【0072】
外殻部130は、図12に示すように、柄部1の外殻をなし、内部が中空となるように形成されている。また、一端部(図12においては右下に位置する端部)には、上方に第一延出部外側131が形成され、下方に第二延出部外側132が形成されている。第一延出部外側131と、第二延出部外側132との上下方向の間隔は、その先端側、すなわち右方に行くほど広くなるように形成されている。
また、前記一端部と別の端部の近傍には、開口部133と、第一歯部134とが形成されている。
【0073】
摺動部140は、図12に示すように外殻部130に収納され、一端部(図12においては右下に位置する端部)には、上方に第一延出部内側141が形成され、下方に第二延出部内側142が形成されている。第一延出部内側141は、先端側、すなわち右側へ行くほど上方へと突出するように形成され、第二延出部内側142は、先端側、すなわち右側に行くほど下方へと突出するように形成されている。
すなわち、第一延出部外側131及び第一延出部内側141によって第一延出部111Cが形成され、第二延出部外側132及び第二延出部内側142によって第二延出部112Cが形成されている。また、第一延出部111C及び第二延出部112Cによって、取付部11Fが構成されている。
そして、この場合、第1実施形態の変形例としては、第一延出部内側141に凹部111aを備え、第二延出部内側142に凸部112aを備えることとなる。
【0074】
また、外殻部130の第一延出部外側131及び第二延出部外側132以外の部分と、摺動部140の第一延出部内側141及び第二延出部内側142以外の部分とによって、本体部12Dが構成される。
【0075】
また、摺動部140には、図12に示すように、前記一端部と別の端部の近傍に、突起部143と、第二歯部144と、ばね145とが備えられている。
【0076】
摺動部140を、突起部143に指を掛け、ばね145を押圧しつつ摺動させ、第一歯部134と、第二歯部144との掛止位置を変えることで、第一延出部111Cにおける第一延出部外側131と第一延出部内側141との位置関係、及び第二延出部112Cにおける第二延出部外側132と第二延出部内側142との位置関係を変えることができる。
そして、第一延出部外側131及び第二延出部外側132に対して、第一延出部内側141及び第二延出部内側142を右方へと摺動させると、第一延出部111Cと第二延出部112Cとの間隙が広くなり、第一延出部外側131及び第二延出部外側132に対して、第一延出部内側141及び第二延出部内側142を左方へと摺動させると、第一延出部111Cと第二延出部112Cとの間隙が狭くなる。
【0077】
したがって、この場合、第一延出部外側131及び第二延出部外側132に対して、第一延出部内側141及び第二延出部内側142を右方へと摺動させ、第一延出部111Cと第二延出部112Cとの間隙を広げた状態で、ヘッド部2を着脱し、清掃時には、ヘッド部2を取り付けた後、第一延出部外側131及び第二延出部外側132に対して、第一延出部内側141及び第二延出部内側142を左方へと摺動させ、第一延出部111Cと第二延出部112Cとの間隙を狭くすることで、ヘッド部2の着脱の容易性と、清掃時の固定強度の両者を向上できる。
【0078】
なお、同様の構造は、第2実施形態においても用いることができる。
【0079】
{変形例2}
ヘッド部2として、予め曲げられた形状とされたものを用いる場合、柄部としては、必ずしも第1から第5実施形態において説明した、ヘッド部2を柄部に取り付けることによって曲げることを可能としたものを用いることを要しない。
この場合、柄部に備えられる取付部としては、ヘッド部2を、柄部の取付部が備えられた端部近傍における軸方向と直交する方向の両端部が近づくように曲げられた形状のままで取り付けることが可能であれば、任意のものを用いることができる。例えば、ヘッド部2の湾曲又は屈曲した形状を伸ばさない細身のクリップを用い、これに挟み込むことによって、ヘッド部2を柄部に固定するようにしてもよい。
【0080】
また、この場合、ヘッド部2の断面形状は、柄部の取付部の形状に合わせて曲げられたものであることを要しない。したがって、柄部の取付部が備えられた端部近傍における軸方向と直交する方向の両端部が近づくように曲げられた形状で柄部1に取り付けることが可能であれば、任意の断面形状となるように形成することができる。
例えば、任意の角度で屈曲したV字状の断面形状となるように形成されていてもよいし、任意の曲率で湾曲したU字状の断面形状となるように形成されていてもよい。また、これらが複合した断面形状となるように形成されていてもよい。
【0081】
{変形例3}
第1実施形態においては、第一延出部111に凹部111aが形成され、第二延出部112に凸部112aが形成されている場合につき説明し、第2実施形態においては、第一延出部111A又は111Bの下面側全面がU字状又はV字状に凹となるように形成され、第二延出部112A又は112Bの上面側全面がU字状又はV字状に凸となるように形成されている場合につき説明したが、第一延出部と第二延出部との対向面の形状は、これらには限られない。
例えば、ヘッド部2が単純なU字状又はV字状ではなく、これらを組み合わせた複雑な形状に湾曲及び/又は屈曲している場合には、これに応じた面形状となるように形成されていることが好ましい。
【実施例
【0082】
以下、ヘッド部につき、そのままの状態、曲げられた状態の両状態で剛度を測定した結果について説明する。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
[実施例及び比較例の構成]
以下のヘッド部を用意した。
(ヘッド部I)
成分としてNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)を100%用いて形成されたエアレイド不織布を24枚重ね、平面視において50mm四方の正方形状となり、厚みがドライ状態で20mmとなるように形成されたものである。また、質量は4.5gである。なお、一辺の近傍が、柄部の取付部に装着させる部分として、シート体同士が固定された状態となっている。
(ヘッド部II)
内層として、NBKPを100%用いて形成されたシート体を8枚重ねたものに、外層として最上面及び最下面にレーヨンを100%用いて形成されたシート体を各一枚重ね、平面視において50mm四方の正方形状となり、厚みがドライ状態で20mmとなるように形成されたものである。また、質量は6.0gである。なお、一辺の近傍が、柄部の取付部に装着させる部分として、シート体同士が固定された状態となっている。
【0084】
ヘッド部Iにつき、円筒状の筒(内径25mm、内部空間の高さ10mm)に、丸めた状態で挿入することによって曲げたものを実施例1とし、平面状のままのものを比較例1とした。
また、ヘッド部IIにつき、円筒状の筒(内径25mm、内部空間の高さ10mm)に、丸めた状態で挿入することによって曲げたものを実施例2とし、平面状のままのものを比較例2とした。
【0085】
[試験内容]
上記実施例及び比較例のヘッド部につき、水の含浸率を変えながら剛度を測定した。なお、剛度の測定には、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ社製のFORCE MEASUREMENT DS2-200N)を用いた。
なお、水の含浸率とは、水を含浸する前のヘッド部の質量と、含浸させる水の質量とを測定し、水を含浸する前のヘッド部の質量に対する含浸させる水の質量の割合を算出したものをいう。
また、測定時には、上方から押圧し、実施例又は比較例の高さが、40mm(20%減少)又は30mm(40%減少)となった状態で測定した。
具体的には、平面状の比較例1及び比較例2については、ヘッド部I又はヘッド部IIにつき、ドライ状態の場合を除き所定の含浸率で水を含浸させた後、柄部の取付部に装着させる部分を上にし、プッシュプルゲージで真上から抑え、高さが40mm又は30mmとなるまで圧縮し、当該状態において測定された力の最大値を記録した。
また、曲げられた実施例1及び実施例2については、ヘッド部I又はヘッド部IIにつき、ドライ状態の場合を除き所定の含浸率で水を含浸させた後、柄部の取付部に装着させる部分を上にして上下方向に沿った軸で丸め、当該状態で、柄部の取付部に装着させる部分と反対側の端部を下にして、上方に開口部が来るように立てた状態の上記円筒状の筒に、内部空間の最奥部(挿入した開口部と反対側の端部)に到るまで挿入し、当該状態のままで、プッシュプルゲージで真上から抑え、高さが40mm又は30mmとなるまで圧縮し、当該状態において測定された力の最大値を記録した。
【0086】
測定結果を表Iに示す。
【0087】
【表1】
【0088】
(評価)
実施例1と比較例1との比較及び実施例2と比較例2との比較により、ヘッド部の圧縮状態や、薬液の含浸率を問わず、これを曲げることによって剛度を向上できることが分かる。
【符号の説明】
【0089】
100、100A、100B、100C、100D、100E 清掃具
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 柄部
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F 取付部
111、111A、111B、111C 第一延出部
111a 凹部
112、112A、112B、112C 第二延出部
112a 凸部
113、113A 第一爪部
114、114A 第二爪部
115、115A 第三爪部
116 保持空間
12、12A、12B、12C、12D 本体部
2 ヘッド部(清掃具用ヘッド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12