(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】投射光学系および画像投射装置
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
G02B17/08 A
(21)【出願番号】P 2018160596
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】宮 健二
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-114609(JP,A)
【文献】特開2009-134254(JP,A)
【文献】特開2013-242594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示素子に表示された画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系であって、
縮小側から拡大側に向かって順次、第1屈折光学系、反射光学系、第2屈折光学系を、
結像光束の光路上に配してなり、
前記反射光学系は
1面の凹面鏡を有し、
前記第1屈折光学系は、
系内に絞りを有し、前記画像表示素子に表示された画像の中間像を前記凹面鏡の前記縮小側に結像する機能を持ち、
前記第2屈折光学系は
1以上の非球面を有するレンズ系であり、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸
として、前記画像表示素子から前記凹面鏡に向かう結像光束は前記基準光軸に対して傾き、前記凹面鏡は、入射する前記結像光束を前記基準光軸に対して傾く方向へ向けて反射させて前記第2屈折光学系に入射させ、
前記第2屈折光学系は、その光軸を前記基準光軸に合致させて、前記第1屈折光学系と前記凹面鏡との間に位置するとともに、前記第1屈折光学系から前記凹面鏡に向かう結像光束の通過する部分を切り欠かれており、前記凹面鏡により反射された結像光束を前記被投射面に向けて透過させ、
前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、
前記最外角主光線が前記凹面鏡に入射する位置から前記基準光軸までの光路長さ:DM、前記第2屈折光学系において最も拡大側に配置されたレンズの入射面への前記最外角主光線の入射位置から前記基準光軸までの光路長さ:DR、が、条件:
(1)
0.9≦DR/DM<3.0
を満足する投射光学系。
【請求項2】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、
前記第2屈折光学系における最も拡大側のレンズの入射面への最外角主光線の入射位置の前記基準光軸からの高さ:Y
LB、前記反射光学系の凹面鏡の鏡面上における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:Y
MRが、条件:
(2) 0.2<Y
LB/Y
MR<3.5
を満足する投射光学系。
【請求項3】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、
前記基準光軸と有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、
最も画像表示面側のレンズ面から前記凹面鏡の鏡面までの前記基準光軸上の距離:OALが、条件:
(3) 5.0<OAL/Yi<30.0
を満足する投射光学系。
【請求項4】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の焦点距離:f
1A、全系の焦点距離:fが、条件:
(4) 0.04<f/f
1A<0.5
を満足する投射光学系。
【請求項5】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、
前記基準光軸から前記有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、前記凹面鏡における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:Y
MRが、条件:
(5) 1.5<Y
MR/Yi<5.0
を満足する投射光学系。
【請求項6】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線、前記第1屈折
光学系で最も拡大側のレンズ頂点から各像高での主光線と上光線又は下光線が交差する位置でより前記画像表示
素子に近い方までの距離により前記中間像を定義するとき、
前記有効画像表示領域で最も前記基準光軸に近い像高での中間像:TAと最も遠い像高における中間像位置:TBが、条件:
(6) 0.10<TB/TA<0.80
を満足する投射光学系。
【請求項7】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸、前記画像表示素子における有効画像表示領域に
おいて前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、
前記凹面鏡に反射された前記最外角主光線の、前記基準光軸に対する角:θが、条件:
(7)1.5<tanθ<10.0
を満足する投射光学系。
【請求項8】
請求項1記載の投射光学系であって、
前記第2屈折光学系における最も拡大側のレンズの入射面への最外角主光線の入射位置の前記基準光軸からの高さ:Y
LB
、前記反射光学系の凹面鏡の鏡面上における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:Y
MR
、前記基準光軸と有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、最も前記画像表示面側のレンズ面から前記凹面鏡の鏡面までの前記基準光軸上の距離:OAL、前記第1屈折光学系の焦点距離:f
1A
、全系の焦点距離:f、前記基準光軸から前記有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、前記凹面鏡における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:Y
MR
、前記有効画像表示領域で最も前記基準光軸に近い像高での中間像:TAと最も遠い像高における中間像位置:TB、前記凹面鏡に反射された前記最外角主光線の、前記基準光軸に対する角:θが、条件:
(2) 0.2<Y
LB
/Y
MR
<3.5
(3) 5.0<OAL/Yi<30.0
(4) 0.04<f/f
1A
<0.5
(5) 1.5<Y
MR
/Yi<5.0
(6) 0.10<TB/TA<0.80
(7)1.5<tanθ<10.0
の任意の2以上を満足する投射光学系。
【請求項9】
画像表示素子と、該画像表示素子に表示される画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系とを有し、
前記投射光学系として請求項1ないし8の何れか1項に記載の投射光学系を有する画像投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は投射光学系および画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「画像投射装置」はプロジェクタ装置等として広く知られ、種々のものが提案されている。
画像投射装置に用いられ、画像表示素子に表示された画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系も種々のものが提案されているが、その1タイプとして、屈折光学系と屈折力を持つ反射光学系とを含み、画像表示素子側に配した屈折光学系から射出する結像光束を反射光学系により反射させて被投射面上に結像させるものが知られている(特許文献1等)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、屈折光学系と反射光学系を有する新規な投射光学系の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の投射光学系は、画像表示素子に表示された画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系であって、縮小側から拡大側に向かって順次、第1屈折光学系、反射光学系、第2屈折光学系を、結像光束の光路上に配してなり、前記反射光学系は1面の凹面鏡を有し、前記第1屈折光学系は、系内に絞りを有し、前記画像表示素子に表示された画像の中間像を前記凹面鏡の前記縮小側に結像する機能を持ち、前記第2屈折光学系は1以上の非球面を有するレンズ系であり、前記第1屈折光学系の光軸を基準光軸として、前記画像表示素子から前記凹面鏡に向かう結像光束は前記基準光軸に対して傾き、前記凹面鏡は、入射する前記結像光束を前記基準光軸に対して傾く方向へ向けて反射させて前記第2屈折光学系に入射させ、前記第2屈折光学系は、その光軸を前記基準光軸に合致させて、前記第1屈折光学系と前記凹面鏡との間に位置するとともに、前記第1屈折光学系から前記凹面鏡に向かう結像光束の通過する部分を切り欠かれており。、前記凹面鏡により反射された結像光束を前記被投射面に向けて透過させ、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、前記最外角主光線が前記凹面鏡に入射する位置から前記基準光軸までの光路長さ:DM、前記第2屈折光学系において最も拡大側に配置されたレンズの入射面への前記最外角主光線の入射位置から前記基準光軸までの光路長さ:DR、が、条件:
(1) 0.9≦DR/DM<3.0
を満足する。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、屈折光学系と反射光学系を有する新規な投射光学系を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】投射光学系の実施例1を説明するための図である。
【
図2】投射光学系の実施例2を説明するための図である。
【
図3】投射光学系の実施例3を説明するための図である。
【
図4】投射光学系の実施例4を説明するための図である。
【
図5】投射光学系の実施例5を説明するための図である。
【
図6】投射光学系の実施例6を説明するための図である。
【
図7】投射光学系の実施例7を説明するための図である。
【
図8】投射光学系の実施例8を説明するための図である。
【
図9】投射光学系の実施例9を説明するための図である。
【
図37】実施例1ないし実施例9における条件のパラメータの値を一覧として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
具体的な実施の形態を説明するに先立って、この発明の構成を説明する。
この発明の投射光学系は、以下の如き「基本構成」を備えている。
即ち、画像表示素子に表示された画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系であって、縮小側から拡大側に向かって順次、第1屈折光学系、反射光学系、第2屈折光学系を結像光束の光路上に配してなり、「反射光学系」は1面の凹面鏡を有する。
「第1屈折光学系」は、系内に絞りを有し、画像表示素子に表示された画像の中間像を凹面鏡の縮小側に結像する機能を持つ。
「第2屈折光学系」はレンズ系であって、1以上の非球面を有する。
第2屈折光学系はレンズ系であるので、1枚以上のレンズで構成することができる。
なお、縮小側は画像表示素子側、拡大側は被投射面側である。
第2屈折光学系は第1屈折光学系の光軸を基準光軸とする。前記画像表示素子から前記凹面鏡に向かう結像光束は前記基準光軸に対して傾き、前記凹面鏡は、入射する前記結像光束を前記基準光軸に対して傾く方向へ向けて反射させて前記第2屈折光学系に入射させる。
第2屈折光学系は、その光軸を前記基準光軸に合致させて、前記第1屈折光学系と前記凹面鏡との間に位置するとともに、第1屈折光学系から前記凹面鏡に向かう結像光束の通過する部分を切り欠かれている。そして、凹面鏡により反射されて入射する結像光束を被投射面に向けて透過させる。
前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を最外角主光線として、前記最外角主光線が前記凹面鏡に入射する位置から前記基準光軸までの光路長さ:DM、前記第2屈折光学系において最も拡大側に配置されたレンズの入射面への前記最外角主光線の入射位置から前記基準光軸までの光路長さ:DR、が、条件:
(1) 0.9≦DR/DM<3.0
を満足する。
【0008】
この基本構成において、上述のように前記第1屈折光学系の光軸を「基準光軸」、前記画像表示素子における有効画像表示領域において前記基準光軸から最も離れた位置を物点とする主光線を「最外角主光線」とする。
【0009】
「有効画像表示領域」は画像表示素子の表示面において「投射光学系により拡大画像として投射されるべき画像」が表示される面積領域である。
【0010】
そして、基本構成では、上記条件(1)が満足される。
【0011】
この基本構成において、最も拡大側のレンズの入射面への最外角主光線の入射位置の前記基準光軸からの高さ:YLB、前記反射光学系の凹面鏡の鏡面上における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:YMRが、条件:
(2) 0.2<YLB/YMR<3.5
を満足することができる。この構成を「構成2」という。
【0012】
前記基本構成において、前記基準光軸と有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、最も画像表示面側のレンズ面から前記凹面鏡の鏡面までの前記基準光軸上の距離:OALが、条件:
(3) 5.0<OAL/Yi<30.0
を満足することができる。この構成を「構成3」という。
【0013】
基本構成において、前記第1屈折光学系の焦点距離:f1A、全系の焦点距離:fが、条件:
(4) 0.04<f/f1A<0.5
を満足することができる。この構成を「構成4」という。
【0014】
基本構成において、前記基準光軸から前記有効画像表示領域までの最大高さ:Yi、前記凹面鏡における前記最外角主光線の前記基準光軸からの高さ:YMRが、条件:
(5) 1.5<YMR/Yi<5.0
を満足することができる。この構成を「構成5」という。
【0015】
基本構成において、前記第1屈折光学系で最も拡大側のレンズ頂点から各像高での主光線と上光線又は下光線が交差する位置でより前記画像表示素子に近い方までの距離により前記中間像を定義するとき、前記有効画像表示領域で最も前記基準光軸に近い像高での中間像:TAと最も遠い像高における中間像位置:TBが、条件:
(6) 0.10<TB/TA<0.80
を満足することができる。この「構成6」という。
【0016】
基本構成において、前記凹面鏡に反射された前記最外角主光線の、前記基準光軸に対する角:θが、条件、
(7) 1.5<tanθ<10.0
を満足することができる。この「構成7」という。
【0017】
基本構成において、前記条件(2)ないし(7)の任意の2以上を満足することができる。この構成を「構成8」という。
【0018】
この発明の画像投射装置は、画像表示素子と、該画像表示素子に表示される画像を被投射面上に拡大画像として投射する投射光学系とを有し、前記投射光学系として上記構成1ないし8の何れか構成を有するものが用いられる。
条件(1)ないし(7)の意義を以下に説明する。
条件(1)のパラメータ:DR/DMが、下限値を超えると、第2屈折光学系と凹面鏡とが近接するため、像面湾曲、歪曲収差等の「収差補正」上不利となる。また上限値を超えると、第2屈折光学系と凹面鏡の距離が長くなり、収差補正上は有利であるが、第2屈折光学系、ひいては投射光学系が大型化し易い。
【0019】
条件(2)のパラメータ:YLB/YMRが、下限値を超えると、第2屈折光学系と凹面鏡とが近接するため、像面湾曲、歪曲収差等の「収差補正」上不利となる。また上限値を超えると、第2屈折光学系が光軸から離れる方向となり、収差補正上は有利であるが、第2屈折光学系、ひいては投射光学系が大型化し易い。
【0020】
条件(3)のパラメータ:OAL/Yiが、下限値を超えると、イメージサイズに対する投射レンズ全長が短くなり像面湾曲等の収差補正が難しくなる。また、上限値を超えた場合、収差補正には有利だが、第1屈折光学系の入射面から凹面鏡までの距離が増大して、投射光学系が大型化し易い。
【0021】
条件(4)のパラメータ:f/f1Aが、下限値を超えると、第1屈折光学系の焦点距離:f1Aが、全系の焦点距離:fに対して大きくなり、広角化が難しくなる。上限値を超えると第1屈折光学系の焦点距離:f1Aが、全系の焦点距離:fに対して小さくなり、広角化には有利だが第1屈折光学系から射出した光線が凹面鏡の手前で中間像として結像するため、凹面鏡の鏡面サイズが大きくなり、投射光学系全体の大型化し易い。
【0022】
条件(5)のパラメータ:YMR/Yiが、下限値を超えると、有効画像表示領域に対して凹面鏡のサイズが小さく、凹面鏡の小型化には有利となるが、凹面鏡のパワーが弱くなり、収差補正、広角化の面で不利になる。上限値を超えると、凹面鏡のサイズが大きくなり、収差補正には有利だが投射光学系が大型化し易い。
【0023】
条件(6)のパラメータ:TB/TAが、下限値を超えると、最外角主光線における中間像位置が、基準光軸に近い像高の中間像位置に対して離れ、これによって凹面鏡の鏡面上では光束径が広くなり、収差補正に対しては有利であるが、凹面鏡のサイズが大きくなり易い。上限値を超えると、最外角主光線における中間像位置が光軸に近い像高の中間像位置に対して近づき、凹面鏡の小型化には有利であるが、凹面鏡上での光束径が狭くなり収差補正に対しては不利となる。
【0024】
条件(7)は、投射光学系の広角化に有利な条件であり、パラメータ:tanθの値は、条件(7)の範囲が適している。
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1ないし
図9に、画像投射装置の要部、即ち、画像表示素子における画像表示面と有効画像表示領域および投射光学系の構成を示す。
図1ないし
図9は、図示の順に、後述する実施例1ないし実施例9に対応している。
繁雑を避けるために、
図1ないし
図9において符号を共通化する。
即ち、投射光学系につき、第1屈折光学系を符号Iで示し、符号IIにより反射光学系を示し、符号IIIにより第2屈折光学系を示す。実施例1ないし実施例9において、第2屈折光学系IIIとして「1枚のレンズによる構成」を示しているが、これに限らず、第2屈折光学系IIIは2枚以上のレンズ系として構成してもよい。
第2屈折光学系IIIは、その光軸が、第1屈折光学系の光軸である基準光軸に合致しているが、その光軸を含み、第1屈折光学系からの結像光束が通過する部分は切りかかれており、第1屈折光学系からの結像光束は、第2屈折光学系の「切り欠かれた部分」を通って反射光学系IIに入射する。
図1ないし
図9において、符号10は、画像表示素子における「画像表示面」を示し、この画像表示面10に表示される画像の「有効画像表示領域」を符号EImで示す。
【0025】
図1ないし
図9に示す実施の形態では、被投射面(一般には「スクリーン」であり、以下においてスクリーンということもある。)に「カラー拡大画像」を投射する場合が想定され、画像表示素子としては3枚の液晶パネルが想定されている。
画像表示素子は液晶パネルに限らず、DMD(デジタルミラーデバイス)等を用いることができることは言うまでもない。
画像表示素子として想定された3枚の液晶パネルには、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の画像に相当する色成分画像が個別に表示され、それぞれの色の光により照明されて透過光束もしくは反射光束が各色画像光となる。
これら各色画像光は、図中に符号11で示す「色合成プリズム」により合成され、合成されたカラー結像光束が第1屈折光学系Iに入射し、第1屈折光学系Iから射出すると、「中間像」として結像したのち、反射光学系IIである「凹面鏡」に入射し、反射されると第2屈折光学系IIIに入射し、第2屈折光学系IIIから射出すると投射光束となって、図示を省略されたスクリーン上に「カラー拡大画像」を結像する。
以下、具体的な実施例9例挙げる。
実施例1ないし9とも、第1屈折光学系Iは系内に「絞り」を有している。
各実施例のデータにおいて、「i」は画像表示面10の面を0、色合成プリズム11の入射面を1として、拡大側に数えた面(絞りの面を含む)の面番号を示し、「IMG」はスクリーン面を示す。
「R」は各面の曲率半径、「D」は面間隔、「j」は光学素子の番号、「Nd」は「光学素子の材質のd線の屈折率」、「νd」は「d線のアッベ数」を示す。
また、各実施例に採用されている非球面は、周知の次式で表される。
【0026】
【0027】
若干付言すると、各実施例において、画像表示素子の画像表示面10に設定された有効画像表示領域EImは、図面に直交する方向を長手方向とする矩形形状であり、長手方向の中心は、図の面内にあって、第1結像光学系の光軸即ち「基準光軸」と同一面にある。
【0028】
図の上下方向、即ち「短手方向」においては、矩形形状の有効画像表示領域は、全体として、基準光軸よりも、図における上方に位置している。
実施例中の数値の単位は
「mm」である。
「実施例1」
実施例1のデータを
図10に示す。また、実施例1の非球面データを
図11に示す。
「非球面データ」において、例えば「7.582571E-17」とあるのは、指数表示で「7.582571×10
-17」を表す。以下の実施例2ないし実施例9における非球面データにおいても同様である。
【0029】
実施例1の収差図を
図12に示す。
収差図は、上の図が左から順に「球面収差」、「非点収差」および「歪曲収差」を示す。
【0030】
非点収差の図における「S」はサジタル、「T」はタンジェンシアルである。収差図の下の図は「コマ収差」の図である。収差図の表記は、以下に挙げる実施例2ないし実施例9に関する収差図において同様である。
「各種諸特性」
焦点距離 3.62
NA 0.278
有効画像表示領域最大高さ 13.195
「実施例2」
実施例2のデータを
図13に示す。また、実施例2の非球面データを
図14に示す。
実施例2の収差図を
図15に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.46
NA 0.278
有効画像表示領域最大高さ 13.2
「実施例3」
実施例3のデータを
図16に示す。また、実施例3の非球面データを
図17に示す。
実施例3の収差図を
図18に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 2.28
NA 0.250
有効画像表示領域最大高さ 13.20
「実施例4」
実施例4のデータを
図19に示す。また、実施例4の非球面データを
図20に示す。
実施例4の収差図を
図21に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.70
NA 0.250
有効画像表示領域最大高さ 13.20
「実施例5」
実施例5のデータを
図22に示す。また、実施例5の非球面データを
図23に示す。
実施例5の収差図を
図24に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.53
NA 0.278
有効画像表示領域最大高さ 13.20
「実施例6」
実施例6のデータを
図25に示す。また、実施例6の非球面データを
図26に示す。
実施例6の収差図を
図27に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.73
NA 0.278
有効画像表示領域最大高さ 13.20
「実施例7」
実施例7のデータを
図28に示す。また、実施例7の非球面データを
図29に示す。
実施例7の収差図を
図30に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.96
NA 0.278
有効画像表示領域最大高さ 13.20
「実施例8」
実施例8のデータを
図31に示す。また、実施例8の非球面データを
図32に示す。
実施例8の収差図を
図33に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 4.22
NA 0.313
有効画像表示領域最大高さ 13.15
「実施例9」
実施例9のデータを
図34に示す。また、実施例9の非球面データを
図35に示す。
実施例9の収差図を
図36に示す。
「各種諸特性」
焦点距離 3.64
NA 0.227
有効画像表示領域最大高さ 11.7
前述した条件(1)ないし条件(7)の各パラメータの、実施例1ないし実施例9における値を一覧として
図37に示す。
【0031】
収差図に見られるように、実施例1ないし実施例9の投射光学系は何れも、性能良好であり、特に歪曲収差が良好に補正されている。これは、第2屈折光学系IIIのレンズ面に採用した非球面による補正効果が大きい。
【0032】
以上、発明の好ましい実施の形態について説明したが、この発明は上述した特定の実施形態・実施例に限定されるものではなく、上の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
第2屈折光学系を構成するレンズに、画像投射装置における「カバーガラス」の機能を持たせることもできる。
【0033】
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
10 画像表示素子の画像表示面
EIm 有効画像表示領域
11 色合成プリズム
I 第1屈折光学系
II 反射光学系(凹面鏡)
III 第2屈折光学系
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】