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特許7133411CTC採取システム及びCTC採取システムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】CTC採取システム及びCTC採取システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20220901BHJP
   A61M 1/38 20060101ALI20220901BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
A61M1/02 107
A61M1/38
A61M1/02 165
A61M1/02 120
G01N1/04 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018174551
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020044095
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 政嗣
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/108454(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0134416(US,A1)
【文献】特表2018-509994(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056603(WO,A1)
【文献】特開2017-104116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
A61M 1/38
G01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から血液を採取するとともに、採取した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離する血液成分分離装置と、
前記バフィーコートから、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、を備え、
前記CTC分離部は、さらに前記分離フィルタよりも表面積が小さい濃縮フィルタを有し、
前記CTC分離部は、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記濃縮フィルタに付着させた後、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させて前記CTC採取バッグに流し込む、CTC採取システム。
【請求項2】
請求項1記載のCTC採取システムであって、前記血液成分分離装置は、前記赤血球及び前記血漿を患者に送り返しつつ前記血液を採取するCTC採取システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のCTC採取システムであって、前記血液成分分離装置は遠心分離法により前記血液を分離するCTC採取システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のCTC採取システムであって、前記分離フィルタは、フィルタ膜と、前記フィルタ膜を厚み方向に貫通するとともに前記CTCよりも小さな直径の貫通孔が複数形成されているCTC採取システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のCTC採取システムであって、前記血液成分分離装置と前記分離フィルタとが、前記バフィーコートを移送するチューブを介して接続されているCTC採取システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のCTC採取システムであって、前記血液成分分離装置で採取された前記バフィーコートを収容するバフィーコート用容器を備え、前記バフィーコート用容器を介して前記分離フィルタにバフィーコートが供給されるCTC採取システム。
【請求項7】
患者の血液を成分分離して得たバフィーコートを収容したバフィーコート用容器と、
前記バフィーコート用容器から供給された前記バフィーコートから、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、を備え、
前記CTC分離部は、さらに前記分離フィルタよりも表面積が小さい濃縮フィルタを有し、
前記CTC分離部は、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記濃縮フィルタに付着させた後、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させて前記CTC採取バッグに流し込む、CTC採取システム。
【請求項8】
患者から血液を採取するとともに、採取した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離する血液成分分離装置と、
前記バフィーコートから、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、
を備えたCTC採取システムの作動方法であって、
前記血液成分分離装置が、採血針を有する採血・返血部から流入した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離するように作動する血液成分分離工程と、
前記CTC分離部が、前記バフィーコートを、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタに通過させて、CTCを分離フィルタに付着させるように作動するCTC分離工程と、
前記CTC分離部が、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCを回収するように作動するCTC回収工程と、を有し、
前記CTC回収工程は、
前記CTC分離部が、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記分離フィルタよりも面積の小さい濃縮フィルタに前記CTCを付着させるように作動する工程と、
前記CTC分離部が、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させてCTC採取バッグに前記CTCを回収するように作動する工程と、
を有するCTC採取システムの作動方法。
【請求項9】
請求項8記載のCTC採取システムの作動方法であって、前記血液成分分離装置、前記血液成分分離工程の合間に、前記赤血球及び前記血漿を前記採血・返血部に送り返すように作動する工程を有するCTC採取システムの作動方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載のCTC採取システムの作動方法であって、前記血液成分分離装置は遠心分離機を備え、前記血液成分分離工程では前記遠心分離機が遠心分離法により、前記血液を分離するように作動するCTC採取システムの作動方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載のCTC採取システムの作動方法であって、前記血液成分分離装置が血液成分分離工程で分離された前記バフィーコートをバフィーコート用容器に収容するように作動する工程を有し、前記CTC分離工程では、前記CTC分離部が、前記バフィーコート用容器のバフィーコートを前記分離フィルタに通過させるように作動するCTC採取システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液中を循環している末梢血循環腫瘍細胞の採取に好適なCTC採取システム及びCTC採取システムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍細胞が増殖する過程で、腫瘍細胞が血管に浸潤し、その一部が剥がれて血液内に流入することで血液中を循環することがある。このような血中を循環する腫瘍細胞は、末梢血循環腫瘍細胞(CTC:Circulating Tumor Cells、以下CTCと呼ぶ。)ともよばれる。CTCを検出することにより、腫瘍の早期発見や、腫瘍の悪性度の診断を行うことができる。
【0003】
しかし、血液中に含まれるCTCは非常に微量である。初期段階の腫瘍では、採取した血液において、全血球細胞中のCTCの割合は10-6~10-8程度と非常に少ない。そのため、多数の血球細胞の中から微量のCTCを選別して採取することが求められる。
【0004】
このような微量の末梢血循環腫瘍細胞を識別又は採取する方法として、CTCに含まれる特有の抗原に反応する抗体(例えば、EpCAM等)を利用する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-104116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の抗体を利用するCTCの採取方法では、抗体が結合していないCTCを採取することが困難である。また、腫瘍細胞の中でも、特定の抗原を発現したCTCしか検出することができず、検出漏れを生ずるおそれがある。さらに、得られるCTCの数が少数であることから、測定結果に誤差が生じやすいといった問題がある。
【0007】
本発明は、抗体が付着していないCTCを大量に採取可能なCTC採取システム及びCTC採取システムの作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点は、患者から血液を採取するとともに、採取した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離する血液成分分離装置と、前記バフィーコートから白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、を備え、前記CTC分離部は、さらに前記分離フィルタよりも表面積が小さい濃縮フィルタを有し、前記CTC分離部は、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記濃縮フィルタに付着させた後、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させて前記CTC採取バッグに流し込む、CTC採取システムにある。
また、本発明の別の一観点は、患者の血液を成分分離して得たバフィーコートを収容したバフィーコート用容器と、前記バフィーコート用容器から供給された前記バフィーコートから、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、を備え、前記CTC分離部は、さらに前記分離フィルタよりも表面積が小さい濃縮フィルタを有し、前記CTC分離部は、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記濃縮フィルタに付着させた後、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させて前記CTC採取バッグに流し込む、CTC採取システムにある。
【0009】
また、本発明の別の一観点は、 患者から血液を採取するとともに、採取した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離する血液成分分離装置と、前記バフィーコートから、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタを有し、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCをCTC採取バッグに流し込むCTC分離部と、を備えたCTC採取システムの作動方法であって、前記血液成分分離装置が、採血針を有する採血・返血部から流入した血液を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離するように作動する血液成分分離工程と、前記CTC分離部が、前記バフィーコートを、白血球を通過させる一方でCTCの通過を阻止する分離フィルタに通過させて、CTCを分離フィルタに付着させるように作動するCTC分離工程と、前記CTC分離部が、前記分離フィルタに付着した前記CTCを洗浄液で離脱させて、離脱した前記CTCを回収するように作動するCTC回収工程と、を有し、前記CTC回収工程は、前記CTC分離部が、前記分離フィルタに付着した前記CTCを第1の量の洗浄液を逆流させて離脱させて前記分離フィルタよりも面積の小さい濃縮フィルタに前記CTCを付着させるように作動する工程と、前記CTC分離部が、前記第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で前記濃縮フィルタに付着した前記CTCを離脱させてCTC採取バッグに前記CTCを回収するように作動する工程と、を有するCTC採取システムの作動方法にある。
【発明の効果】
【0010】
上記観点のCTC採取システム及びCTC採取システムの作動方法によれば、血液成分を赤血球とバフィーコートと血漿とに分離する。CTCは、バフィーコートの部分に集められるため、バフィーコートのみを分離フィルタに通過させることにより、抗体の付着していないCTCを効率よく採取できる。また、不要な赤血球及び血漿を患者の体内に戻すことができるため、患者の負担を増加させることなく採血量を増大させることができ、大量のCTCを採取できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るCTC採取システムの概略構成図である。
図2図1のCTC採取システムの血液採取動作を示す説明図である。
図3図1のCTC採取システムの血液分離動作を示す説明図である。
図4図1のCTC採取システムの返血動作を示す説明図である。
図5図1のCTC採取システムのCTC分離動作を示す説明図である。
図6図1のCTC採取システムのCTC濃縮動作を示す説明図である。
図7図1のCTC採取システムのCTC回収動作を示す説明図である。
図8】第2の実施形態に係るCTC採取システムの概略構成図である。
図9図8のCTC採取システムのCTC分離動作を示す説明図である。
図10図8のCTC採取システムのCTC回収動作を示す説明図である。
図11】第3の実施形態に係るCTC採取システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態に係るCTC採取システム10は、図1に示すように、血液成分分離装置12と、CTC分離部14とを備えている。血液成分分離装置12は、患者から血液を採取し、これを遠心分離して比重の差により、血漿、バフィーコート及び赤血球に分離する。血液成分分離装置12は、バフィーコートをCTC分離部14に供給するように構成されている。バフィーコートには、白血球及び血小板とともに、CTC(末梢血循環腫瘍細胞)80が含まれている。CTC分離部14は、バフィーコートの中からCTC80を分離回収するように構成されている。以下、CTC採取システム10の各部についてさらに説明する。
【0014】
血液成分分離装置12は、患者から血液(全血)を採取して遠心分離することにより、バフィーコートを採取し、残りの血液成分を患者に戻すシステムとして構成されている。
【0015】
血液成分分離装置12は、遠心分離装置15と、血液処理部16と、ACD液用バッグ18と、採血針20を有する採血・返血部22と、リザーバ24とを有する。血液処理部16は、遠心分離装置15に脱着可能に装着され、その遠心分離装置15からの遠心力によって血液成分を分離するように構成されている。ACD液用バッグ18には、抗凝固剤であるACD液が収容されている。
【0016】
採血・返血部22は、コネクタ32及びチューブ42を介して血液処理部16に接続されるとともに、コネクタ32及びチューブ40を介してACD液用バッグ18に接続されている。
【0017】
血液処理部16は、遠心分離装置15の遠心ロータに装着可能であり、血液が導入、流動及び流出するように容器状に形成されている。血液処理部16は、赤血球移送チューブ44及び血漿移送チューブ46を介してリザーバ24に接続されている。また、血液処理部16は、バフィーコート移送チューブ50を介してCTC分離部14に接続されている。
【0018】
リザーバ24は、赤血球移送チューブ44及び血漿移送チューブ46を介して血液処理部16と接続されている。リザーバ24には、血液処理部16から送り出された赤血球及び血漿が貯留される。また、リザーバ24は、チューブ48及びコネクタ32を介して採血・返血部22に接続されている。チューブ48にはリザーバ24に蓄えられた赤血球及び血漿を採血・返血部22に送り返す返血ポンプ65が設けられている。
【0019】
チューブ40には、ACD液用バッグ18のACD液を送り出すACDポンプ64が設けられている。また、チューブ42には、採血・返血部22で採取した血液をACD液とともに血液処理部16に向けて移送する採血ポンプ66が設けられている。
【0020】
ACDポンプ64は、ACD液用バッグ18から、血液処理部16へACD液を移送するポンプであり、チューブ40を押圧することによりACD液を流動するように構成されている。採血ポンプ66は、患者から血液を吸引し、血液処理部16に血液を送り込むポンプであり、チューブ42を押圧することにより血液を流動させるように構成されている。返血ポンプ65は、リザーバ24に一時的に貯留された血液成分を患者へと戻すポンプであり、チューブ48を押圧することにより血液成分を流動させるように構成されている。
【0021】
血漿移送チューブ46には、血漿ポンプ68が設けられている。血漿ポンプ68は、血液処理部16で分離された血漿をリザーバ24に向けて送り込むポンプであり、血漿移送チューブ46を押圧することにより血漿を流動させる。
【0022】
CTC分離部14は、バフィーコート移送チューブ50を介して血液成分分離装置12に接続されている。そのCTC分離部14は、排液収容部26と、洗浄液バッグ28と、CTC採取バッグ30と、分離フィルタ60と、濃縮フィルタ62とを有している。バフィーコート移送チューブ50には、バフィーコート移送ポンプ69が設けられており、そのバフィーコート移送ポンプ69を介して、血液成分分離装置12で分離されたバフィーコートが送り込まれる。
【0023】
バフィーコート移送ポンプ69は、ジョイント34及びチューブ51を介して分離フィルタ60と接続されている。分離フィルタ60は、チタン、ステンレス、又はニッケル等よりなる金属薄板(フィルタ膜)に、複数の微細孔(貫通孔)を均質に空けた多孔板を用いることができる。具体的には、分離フィルタ60には、典型的なCTC80のサイズである10μmよりも小さな径の貫通孔が形成されている。このような分離フィルタ60の貫通孔は、例えば、リソグラフィ法及びエッチング処理にて作製される。
【0024】
分離フィルタ60は、比較的変形しやすい白血球や、貫通孔よりも径の小さい血小板を通過させる一方で、血球細胞よりも硬めで貫通孔に引っ掛かりやすいCTC80の通過を阻止する。分離フィルタ60は、分離されたCTC80を、非貫通面(貫通孔の外)で捕捉し、CTC80は分離フィルタ60に離脱可能に付着するように構成されている。分離フィルタ60の下流側には、チューブ52、ジョイント36及びチューブ53を介して排液収容部26に接続されている。また、分離フィルタ60の下流側には、チューブ52、ジョイント36及びチューブ54を介して洗浄液バッグ28が接続されている。
【0025】
洗浄液バッグ28には、分離フィルタ60を洗浄し、CTC80を濃縮するための洗浄液が収容されている。洗浄液バッグ28とジョイント36との間のチューブ54には、洗浄液を送り出すための洗浄液ポンプ70が設けられている。
【0026】
濃縮フィルタ62は、分離フィルタ60と同様の多孔板よりなる。濃縮フィルタ62は、分離フィルタ60から洗浄液とともに離脱したCTC80の通過を阻止するように構成されている。但し、濃縮フィルタ62は、分離フィルタ60よりも小さな表面積に設定されており、分離フィルタ60よりも少量の洗浄液で付着したCTC80を捕捉できるように構成されている。
【0027】
濃縮フィルタ62の一端は、チューブ55を介してジョイント34に接続され、濃縮フィルタ62の他端はチューブ56を介してジョイント38に接続されている。ジョイント38は、チューブ57を介してジョイント36に接続されるとともに、チューブ58を介して排液収容部26に接続されている。すなわち、濃縮フィルタ62は、チューブ56、チューブ57、及びチューブ54を経由する経路で洗浄液バッグ28と接続され、チューブ56及びチューブ58を介した経路で排液収容部26に接続される。
【0028】
CTC採取バッグ30は、チューブ59を介してジョイント34に接続されている。すなわち、CTC採取バッグ30は、チューブ59、ジョイント34及びチューブ55を経由する経路で濃縮フィルタ62と接続されている。
【0029】
CTC分離部14には、その流路開閉機構であるクランプ72~76が設けられている。すなわち、クランプ72~76が動作するとクランプが設けられた流路であるチューブが閉塞される。クランプ72は、CTC採取バッグ30とジョイント34とを接続するチューブ59に設けられている。クランプ73は、分離フィルタ60とジョイント36とを接続するチューブ52に設けられている。クランプ74は、ジョイント36と排液収容部26とを接続するチューブ53に設けられている。クランプ75は、ジョイント38と排液収容部26とを接続するチューブ58に設けられている。クランプ76は、ジョイント36とジョイント38とを接続するチューブ57に設けられている。
【0030】
CTC採取システム10のポンプ64、65、66、68、69、70及びクランプ72、73、74、75、76、及び遠心分離装置15は、不図示の制御装置の制御の下に動作する。
【0031】
次に、本実施形態に係るCTC採取方法について、上記のCTC採取システム10の動作とともに説明する。
【0032】
図1に示すCTC採取システム10を用いて患者からCTC80を採取するための準備として、血液処理部16が遠心分離装置15の遠心ロータに装着される。また、採血針20は、患者に穿刺される。
【0033】
次に、CTC採取システム10に対して、ユーザの操作により動作開始が指示されると、図2に示すように動作する。まず、ACDポンプ64が動作して、ACD液による遠心分離装置15のプライミングが実行される。
【0034】
次に、遠心分離装置15の遠心ロータを回転させることにより血液処理部16に遠心力を付与するとともに、採血ポンプ66を動作させることにより、患者から血液(全血)を取り出して血液処理部16内に血液を導入する。血液処理部16内に導入された血液は、遠心力によって、赤血球(濃厚赤血球)、バフィーコート及び血漿に分離する。CTC80はバフィーコートに集められる。
【0035】
次に、図3に示すように、血液処理部16内で分離された赤血球は、赤血球移送チューブ44を介してリザーバ24に移送される。また、血液処理部16内で分離された血漿は、血漿移送チューブ46を介してリザーバ24に移送される。
【0036】
図4に示すように、血液成分分離装置12は、遠心分離中、リザーバ24に一時的に貯留した血液成分を患者に返還する。図2及び図3に示す患者から血液を採取する採血動作と、図4に示す患者に血液成分を戻す返血動作を複数回繰り返す。採血動作及び返血動作は、血液処理部16内に十分な量のバフィーコートが集まるまで行う。赤血球及び血漿を患者に返還するので患者の負担を軽減でき、全血を採取する場合の限度(例えば400cc)よりも多く血液からバフィーコートの採取を行える。
【0037】
血液処理部16内に十分な量のバフィーコートが集まったら、図5に示すように、血液処理部16内のバフィーコートをCTC分離部14に移送する。バフィーコートは、バフィーコート移送ポンプ69の動作の下に、バフィーコート移送チューブ50を介してCTC分離部14に移送され、分離フィルタ60によりCTC80が分離される。その際に、CTC分離部14では、クランプ72、クランプ75及びクランプ76を閉じ、クランプ73及びクランプ74を開放し、洗浄液ポンプ70を停止させる。このとき、血液成分分離装置12は、患者から採血、返血動作を繰り返し、バフィーコートをCTC分離部14に移送するとともに、赤血球及び血漿を患者に返還する動作を行う。なお、図示の例では、採血動作を示しているが、採血動作と返血動作を交互に行っている。また、図6においても同様である。
【0038】
バフィーコート移送ポンプ69により送り出されたバフィーコートは、バフィーコート移送チューブ50、ジョイント34及びチューブ51を流れて分離フィルタ60に送り込まれる。分離フィルタ60では、バフィーコートに含まれる血小板及び白血球が通過し、CTC80が阻止される。その結果、分離フィルタ60の表面に、CTC80が付着して残留する。また、分離フィルタ60を通過したバフィーコートは、チューブ52、ジョイント36及びチューブ53の経路を通じて排液収容部26に流れ込む。分離フィルタ60は、十分な表面積を有するように形成されているため、目詰まりを起こすことなくバフィーコートを通過させる。
【0039】
バフィーコートの移送及び分離フィルタ60による分離動作が完了した後、図6に示すようにCTC80の濃縮動作を行う。この工程では、CTC分離部14のクランプ72、クランプ74、及びクランプ76を閉じ、クランプ73及びクランプ75を開放する。また、バフィーコート移送ポンプ69を停止させるとともに、洗浄液ポンプ70を動作させる。このとき、血液成分分離装置12は、並行して採血及び返血動作を行う。
【0040】
洗浄液バッグ28の洗浄液は、洗浄液ポンプ70の動作の下に、チューブ54、ジョイント36及びチューブ52を経由して分離フィルタ60を逆流する。その結果、CTC80が分離フィルタ60から離脱し、洗浄液とともに流出する。CTC80を含んだ洗浄液は、チューブ51、ジョイント34、チューブ55を経由して濃縮フィルタ62に流れ込む。濃縮フィルタ62では、洗浄液に含まれるCTC80が阻止され、濃縮フィルタ62にCTC80が付着する。濃縮フィルタ62を通過した洗浄液は、チューブ56、ジョイント38及びチューブ58を介して排液収容部26に回収される。分離フィルタ60の洗浄は、分離フィルタ60に付着したCTC80を流すのに十分な第1の量の洗浄液によって行われる。すなわち、洗浄液ポンプ70は、第1の量の洗浄液を送り出すまでの間動作する。
【0041】
その後、CTC分離部14は、図7に示すように、濃縮フィルタ62に付着したCTC80を洗浄液とともにCTC採取バッグ30に移送するCTC回収動作を行う。この工程では、CTC分離部14のクランプ73、74、75を閉じるとともに、クランプ72、76を開放する。また、バフィーコート移送ポンプ69を停止させ、洗浄液ポンプ70を動作させる。
【0042】
洗浄液バッグ28の洗浄液は、洗浄液ポンプ70の動作の下に、チューブ54、ジョイント36、チューブ57、ジョイント38及びチューブ56をこの順に経由して濃縮フィルタ62に送り込まれる。濃縮フィルタ62を洗浄液が逆流することにより、CTC80が洗浄液とともに離脱する。そして、CTC80は洗浄液とともに、チューブ55、ジョイント34及びチューブ59を経由してCTC採取バッグ30に流れ込む。濃縮フィルタ62は、分離フィルタ60よりも表面積が小さいため、分離フィルタ60の洗浄に要する第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液でCTC80を回収できる。すなわち、濃縮フィルタ62を用いることにより、分離フィルタ60から直接CTC80を回収する場合よりも、CTC80の濃度を高めることができる。以上により、CTC採取バッグ30にCTC80が採取され、本実施形態のCTC採取システム10によるCTC80の採取が完了する。
【0043】
以上に説明したCTC採取システム10及びCTC採取方法によれば、以下の効果が得られる。
【0044】
CTC採取システム10において、血液成分分離装置12は、赤血球及び血漿を患者に送り返しつつ血液を採取する。これにより、患者の負担を増加させることなく採血量を増大させることができ、大量のCTC80を採取できる。
【0045】
CTC採取システム10において、血液成分分離装置12は遠心分離法により血液を分離してもよい。これにより、広く普及している遠心分離装置を用いることができるため、コストをかけずにCTC採取システム10を構築することができる。
【0046】
CTC採取システム10において、CTC分離部14は洗浄液を分離フィルタ60に逆流させることにより、分離フィルタ60に付着したCTC80を離脱させてもよい。これにより、簡単な操作でバフィーコートから分離されたCTC80を採取できる。
【0047】
CTC採取システム10において、さらに分離フィルタ60よりも表面積が小さい濃縮フィルタ62を設けてもよい。この場合、CTC分離部14は、分離フィルタ60に付着したCTC80を第1の量の洗浄液で離脱させて濃縮フィルタ62に付着させた後、第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で濃縮フィルタ62に付着したCTC80を離脱させてCTC採取バッグ30に流し込むように構成してもよい。これにより、CTC採取バッグ30に採取されるCTC80の濃度を高めることができる。また、分離フィルタ60の表面積を大きくすることができるため、目詰まりすることなく多量のバフィーコートを処理することができる。
【0048】
CTC採取システム10において、分離フィルタ60は、フィルタ膜と、前記フィルタ膜を厚み方向に貫通するとともにCTC80よりも小さな直径の貫通孔が複数形成されている構造のものを用いることができる。このような分離フィルタ60によれば、平面的なフィルタ膜の表面にCTC80が付着するだけなので、洗浄液によるCTC80の離脱が容易となる。その結果、分離フィルタ60から効率よくCTC80を回収することができる。
【0049】
CTC採取システム10において、血液成分分離装置12と分離フィルタ60とが、バフィーコートを移送するチューブ50を介して接続されていてもよい。これにより、血液成分分離装置12で採取されたバフィーコートを効率よく分離フィルタ60に送り込むことができる。
【0050】
また、CTC採取方法において、血液成分分離工程の合間に、赤血球及び血漿を患者に送り返す返血工程を有してもよい。これにより、患者の負担を増加させることなく採血量を増大させることができ、大量のCTC80を採取できる。
【0051】
CTC採取方法において、血液成分分離工程では遠心分離法により血液を分離してもよい。これにより、広く普及している遠心分離装置を用いることができるため、コストをかけずにCTC採取方法を実施できる。
【0052】
CTC採取方法において、CTC回収工程では洗浄液を分離フィルタ60に逆流させることにより、分離フィルタ60に付着したCTC80を離脱させてもよい。これにより、簡単な操作でバフィーコートから分離されたCTC80を採取できる。
【0053】
CTC採取方法において、CTC回収工程は、分離フィルタ60に付着したCTC80を第1の量の洗浄液で離脱させて分離フィルタ60よりも面積の小さい濃縮フィルタ62にCTC80を付着させる工程と、第1の量よりも少ない第2の量の洗浄液で濃縮フィルタ62に付着したCTC80を離脱させてCTC採取バッグ30にCTC80を回収する工程と、を有してもよい。これにより、CTC採取バッグ30に採取されるCTC80の濃度を高めることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るCTC採取システム10Aは、図8に示すように、血液成分分離装置12と、CTC分離部14Aとを備えている。なお、CTC採取システム10Aにおいて、図1のCTC採取システム10と同様の構成には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。図示のように、血液成分分離装置12は、図1のCTC採取システム10と同様である。本実施形態においては、第1の実施形態におけるCTC分離部14よりもさらに簡略化されたCTC分離部14Aを備えている。
【0055】
CTC分離部14Aは、排液収容部26、洗浄液バッグ28、CTC採取バッグ30及び分離フィルタ60を備える。血液成分分離装置12とCTC分離部14Aとはバフィーコート移送チューブ50で接続されている。バフィーコート移送チューブ50には、バフィーコート移送ポンプ69が設けられている。
【0056】
バフィーコート移送チューブ50は、ジョイント34及びチューブ51を介して分離フィルタ60に接続される。ジョイント34には、チューブ59を介してCTC採取バッグ30が接続されている。分離フィルタ60は、チューブ52、ジョイント36及びチューブ53を介して排液収容部26に接続されるとともに、チューブ52、ジョイント36及びチューブ54を介して洗浄液バッグ28に接続されている。
【0057】
ジョイント34とCTC採取バッグ30との間に接続されたチューブ59には、クランプ72が設けられている。また、ジョイント36と排液収容部26との間に接続されたチューブ53にはクランプ74が設けられている。さらに、ジョイント36と洗浄液バッグ28とを接続するチューブ54には、洗浄液ポンプ70が設けられている。
【0058】
次に、本実施形態に係るCTC採取方法について、上記のCTC採取システム10Aの動作とともに説明する。
【0059】
まず、血液成分分離装置12により、患者から血液(全血)を採取し、バフィーコートのみを採取する。バフィーコート以外の血液成分は患者に返血する。ここまでの動作は、図2図4を参照しつつ説明した動作と同じであるのでその説明は省略する。
【0060】
その後、CTC採取システム10Aは、図9に示すように、バフィーコート移送ポンプ69の動作下に、バフィーコートをCTC分離部14Aに移送して、バフィーコートからCTC80を分離する動作を行う。その際に、クランプ72を閉じ、クランプ74を開放するとともに、洗浄液ポンプ70は停止させる。バフィーコートは、ジョイント34及びチューブ51を介して分離フィルタ60に送られる。分離フィルタ60において、CTC80が阻止され、バフィーコートからCTC80が分離される。
【0061】
その後、図10に示すように、分離フィルタ60に洗浄液を逆流させてCTC80の回収を行う。すなわち、クランプ74を閉じ、クランプ72を開放する。また、バフィーコート移送ポンプ69を停止させ、洗浄液ポンプ70を動作させる。洗浄液バッグ28の洗浄液は、洗浄液ポンプ70の動作下にチューブ54、ジョイント36及びチューブ52を経由して分離フィルタ60に送り込まれる。洗浄液が分離フィルタ60を逆流することにより、分離フィルタ60に付着したCTC80を離脱させる。CTC80を含んだ洗浄液は、チューブ51、ジョイント34及びチューブ59を介してCTC採取バッグ30に回収される。洗浄液は、分離フィルタ60に付着したCTC80の離脱に十分な量(第1の量)だけ供給される。以上の動作により、CTC80の採取が完了する。
【0062】
以上に説明した本実施形態に係るCTC採取システム10Aによれば、CTC分離部14Aのフィルタが分離フィルタ60のみで構成されるため、装置構成が簡素化される。また、本実施形態に係るCTC採取方法によれば、濃縮動作が不要となるため、CTCの採取動作を簡略化できる。
【0063】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るCTC採取システム10Bは、CTC分離部14を備える。CTC分離部14の構成は、図1に示すCTC採取システム10のCTC分離部14と同様である。
【0064】
本実施形態のCTC採取システム10Bにおいては、CTC分離部14に、バフィーコートを収容したバフィーコート用容器82が接続される。バフィーコート用容器82内のバフィーコートは、予め血液成分分離装置12(図1参照)で患者の血液から採取される。すなわち、血液成分分離装置12とCTC分離部14とが、バフィーコート用容器82を介して接続される。
【0065】
バフィーコート用容器82は、接続チューブ50Bを介してジョイント34に接続される。バフィーコート用容器82は、接続チューブ50Bに取り付けられたバフィーコート移送ポンプ69を介してCTC分離部14に送り込まれるように構成されている。なお、CTC分離部14は、図5図7を参照しつつ説明したのと同様の動作により、CTC80をCTC採取バッグ30に採取する。
【0066】
本実施形態に係るCTC採取システム10Bによれば、血液成分分離装置12で採取されたバフィーコートを収容するバフィーコート用容器82を備え、バフィーコート用容器82を介して分離フィルタ60にバフィーコートが供給される。これにより、血液成分分離装置12とCTC採取システム10Bとを分離して設置することができる。そのため、例えば、別施設の血液成分分離装置12を用いて患者から採取したバフィーコートをバフィーコート用容器82に収容しておき、そのバフィーコート用容器82を本実施形態に係るCTC採取システム10Bが設置された施設に持ち運んでCTC80の採取を行うことも可能となる。
【0067】
また、本実施形態のCTC採取方法によれば、血液成分分離装置12で分離されたバフィーコートをバフィーコート用容器82に収容する工程を有し、CTC分離工程では、バフィーコート用容器82のバフィーコートを分離フィルタ60に通過させる。このように、バフィーコート用容器82を用いることにより、CTC分離工程を、血液成分分離工程と異なる場所及び異なる時間に行うことができる。
【0068】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
10、10A、10B…CTC採取システム
12…血液成分分離装置 14、14A…CTC分離部
15…遠心分離装置 16…血液処理部
18…ACD液用バッグ 22…採血・返血部
24…リザーバ 26…排液収容部
28…洗浄液バッグ 30…CTC採取バッグ
60…分離フィルタ 62…濃縮フィルタ
図1
図2
図3
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図5
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図11