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特許7133417スピニングリールの発音機構及びスピニングリール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】スピニングリールの発音機構及びスピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
A01K89/01 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018180502
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020048470
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】落合 浩士
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145735(US,A1)
【文献】特開2009-034005(JP,A)
【文献】特開2006-217849(JP,A)
【文献】実開平04-106981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール及びスプール軸の相対回転によって発音するスピニングリールの発音機構であって、
前記スプールと一体回転可能に構成され、前記スプールの回転方向に間隔を隔てて配置される複数の凹凸部を、有する第1部材と、
前記スプール軸に対して相対回転不能に構成される第2部材と、
前記凹凸部に接触可能に配置されるピン部材と、
前記ピン部材を前記凹凸部に向けて付勢するコイルバネと、
前記第2部材に取り付けられ前記コイルバネを保持する金属製の保持部材と、
を備え
前記第2部材は、前記保持部材が取り付けられる被取付部と、前記被取付部よりも径方向外側に配置され前記第1部材を覆うカバー部とを、有する、
ピニングリールの発音機構。
【請求項2】
前記保持部材は、前記第2部材に取り付けられる取付部と、前記コイルバネを保持する保持部と、前記コイルバネを係止する係止部とを、有し、
前記取付部、前記保持部、及び前記係止部は、一体に形成される、
請求項1に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項3】
前記コイルバネは、前記第2部材及び前記保持部の間の空間に、配置され、
前記係止部は、前記空間の外側で前記コイルバネを係止する、
請求項2に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項4】
前記係止部は、前記凹凸部に対向可能なように、前記保持部と一体に形成される、
請求項2又は3に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項5】
前記保持部は、前記係止部及び前記凹凸部の間において、前記取付部に一体に形成される、
請求項2から4のいずれか1項に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項6】
前記カバー部は、前記第1部材よりも径方向外側に配置される第1筒状部と、前記第1筒状部から径方向内側に延び軸方向において前記第1部材の側方に配置される第1環状壁部とを、有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項7】
前記被取付部は、前記第1環状壁部の内周部に一体に形成される第2筒状部と、前記第2筒状部から径方向内側に延び前記保持部材が取り付けられる第2環状壁部とを、有する、
請求項6に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項8】
前記第2筒状部は、前記ピン部材及び前記コイルバネが配置される窓部を、有する、
請求項7に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項9】
前記保持部材は、前記第2環状壁部に取り付けられる取付部と、前記第2筒状部の径方向内側で前記コイルバネを保持する保持部と、前記第2筒状部の径方向内側で前記コイルバネを係止する係止部とを、有する、
請求項7又は8に記載のスピニングリールの発音機構。
【請求項10】
リール本体と、
前記リール本体に設けられるスプール軸と、
前記スプール軸と相対回転可能に配置されるスプールと、
前記スプール軸と前記スプールとの相対回転によって発音する請求項1から9のいずれか1項に記載の発音機構と、
を備えるスピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピニングリールの発音機構、特に、スプール及びスプール軸の相対回転によって発音するスピニングリールの発音機構に、関する。また、本発明は、本スピニングリールの発音機構を有するスピニングリールに、関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピニングリールの発音機構、例えばドラグ発音機構では、コイルバネを保持する保持部材が、合成樹脂によって形成される(特許文献1を参照)。保持部材は、取付部と、筒状部と、係止突起とを、有する。筒状部は、取付部と一体に形成される。筒状部の内部には、コイルバネが配置される。係止突起は、筒状部の内部に配置される。
【0003】
このタイプのドラグ発音機構では、係止突起を筒状部の内部に配置するために、係止突起を取付部と別体で形成する必要がある。この場合、まず、コイルバネが、筒状部に配置される。次に、係止突起が、コイルバネの基端部に挿通される。この状態で、係止突起が取付部に取り付けられる。これにより、保持部材及びコイルバネが、1ユニットとして組み立てられる。最後に、保持部材及びコイルバネが、カバー部材(凹凸部)と相対回転する部材、例えば第1ディスクに、取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-217849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のドラグ発音機構では、保持部材が合成樹脂によって形成されているので、ドラグ機構の発熱によって保持部材が劣化するおそれがあった。また、従来のドラグ発音機構では、保持部材及びコイルバネを1ユニットとして組み立てるためには、取付部と別体の係止突起を、コイルバネに係止し、取付部に取り付ける必要がある。このため、保持部材及びコイルバネを1ユニットとして組み立てるために必要な工数が、多くなっていた。また、保持部材は小さな部材であるので、係止突起を、コイルバネに係止させたり、取付部に取り付けたりすることが難しかった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、保持部材の劣化を防止できるスピニングリールの発音機構及びスピニングリールを、提供することにある。また、本発明の目的は、保持部材及びコイルバネの組立性を向上できるスピニングリールの発音機構及びスピニングリールを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るスピニングリールの発音機構は、スプール及びスプール軸の相対回転によって発音する機構である。
【0008】
スピニングリールの発音機構は、第1部材と、第2部材と、ピン部材と、コイルバネと、金属製の保持部材とを、備える。第1部材は、スプールと一体回転可能に構成される。第1部材は、スプールの回転方向に間隔を隔てて配置される複数の凹凸部を、有する。
【0009】
第2部材22は、スプール軸に対して相対回転不能に構成される。ピン部材は、上記の凹凸部に接触可能に配置される。コイルバネは、ピン部材を凹凸部に向けて付勢する。金属製の保持部材は、第2部材に取り付けられ、コイルバネを保持する。
【0010】
本スピニングリールの発音機構では、保持部材が金属製であるので、スピニングリールの発音機構の近傍で他の構成が発熱したとしても、保持部材の劣化を防止することができる。
【0011】
本発明の他の側面に係るスピニングリールの発音機構では、保持部材が、第2部材に取り付けられる取付部と、コイルバネを保持する保持部と、コイルバネを係止する係止部とを、有することが好ましい。ここでは、取付部、保持部、及び係止部は、一体に形成される。
【0012】
この場合、保持部材において係止部を取付部に取り付ける必要がない。このため、コイルバネを、保持部材の係止部に係止させ、保持部材の保持部に保持させることによって、保持部材及びコイルバネを1ユニットとして容易に組み立てることができる。このように、本スピニングリールの発音機構では、保持部材及びコイルバネの組立性を向上することができる。
【0013】
本発明の他の側面に係るスピニングリールの発音機構では、コイルバネは、第2部材及び保持部の間の空間に、配置されることが、好ましい。ここでは、係止部は、この空間の外側でコイルバネを係止する。
【0014】
この場合、コイルバネが第2部材及び保持部の間の空間に配置された状態で、この空間の外側で係止されるので、コイルバネを保持部材に容易に取り付けることができる。
【0015】
本発明の他の側面に係るスピニングリールの発音機構では、係止部は、凹凸部に対向可能なように、保持部と一体に形成されることが、好ましい。
【0016】
この場合、コイルバネは、係止部に係止された状態で、ピン部材を凹凸部に向けて確実に付勢することができる。
【0017】
本発明の他の側面に係るスピニングリールの発音機構では、保持部は、係止部及び凹凸部の間において、取付部に一体に形成されることが、好ましい。
【0018】
この場合、コイルバネを、係止部及び凹凸部の間において、保持部によって確実に保持することができる。
【0019】
本発明の他の側面に係るスピニングリールの発音機構では、保持部材は、プレス加工によって成型されることが、好ましい。
【0020】
この場合、保持部材の各構成を、容易に形成することができる。また、保持部材が複雑な形状であったとしても、保持部材を容易に形成することができる。
【0021】
本発明の他の側面に係るスピニングリールは、リール本体と、リール本体に設けられるスプール軸と、スプール軸と相対回転可能に配置されるスプールと、スプール軸とスプールとの相対回転によって発音する上記の構成のいずれか1つの発音機構とを、備える。
【0022】
本スピニングリールは、上記の発音機構を有するので、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スピニングリールの発音機構及びスピニングリールにおいて、保持部材の劣化を防止することができる。また、本発明によれば、スピニングリールの発音機構及びスピニングリールにおいて、保持部材及びコイルバネの組立性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールの側面図。
図2】スピニングリールの断面図。
図3】スピニングリールの部分拡大断面図。
図4】発音機構をリール本体側から見た側面図。
図5】発音機構をスプール側から見た側面図。
図6】発音機構を部分的に拡大した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリール100は、図1に示すように、リール本体2と、ハンドル3と、スプール軸4(図2を参照)と、スプール5と、ロータ6と、ドラグ機構8(図2を参照)と、発音機構9(図2を参照)とを、備える。
【0026】
なお、スプール軸4の軸心を、軸心Xと記す。軸心Xが延びる方向、及び軸心Xに沿う方向を、軸方向と記す。軸心Xを中心として軸心Xまわりの方向を、回転方向(周方向)と記す。軸心Xを中心として軸心Xから離れる方向を、径方向と記す。また、軸方向において、釣り糸が繰り出される方向を“前方”と記し、“前方”とは反対の方向を“後方”と記す。
【0027】
図2に示すように、リール本体2は、リール本体部2aと、円筒部2bと、を有する。リール本体部2aは、内部空間を有する。内部空間には、スプール5を前後方向に移動するためのオシレーティング機構12が、配置される。
【0028】
また、内部空間には、ロータ6を駆動するためのロータ駆動機構(図示しない)の一部が、配置される。リール本体部2aの前部には、円筒部2bが設けられる。円筒部2bには、円筒部2bの内部には、ワンウェイクラッチ14が配置される。なお、オシレーティング機構12及びロータ駆動機構は、従来の構成と実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
ハンドル3は、リール本体2に回転可能に支持される。本実施形態では、ハンドル3がリール本体2の左側に配置される場合の例を示すが、ハンドル3はリール本体2の右側に配置されてもよい。
【0030】
スプール軸4は、リール本体2に支持される。スプール軸4は、軸方向に延びる。スプール軸4は、オシレーティング機構12によって、リール本体2に対して前後方向に往復移動する。スプール5は、ドラグ機構8を介して、スプール軸4に連結される。
【0031】
スプール5は、軸方向において、スプール軸4と一体的に移動可能に構成される。例えば、スプール5は、スプール軸4の先端部に螺合するドラグ操作部15を介して、スプール軸4に装着される。
【0032】
これにより、上述したようにスプール軸4がリール本体2に対して前後方向に往復移動すると、スプール5もリール本体2に対して前後方向に往復移動する。なお、図2では、スプール5が、リール本体2に対して最も後方に移動したときの例を、示す。
【0033】
また、スプール5は、スプール軸4に対して相対回転可能に構成される。例えば、スプール5は、ドラグ機構8を介して、スプール軸4に対して相対回転可能に連結される。
【0034】
スプール5は、糸巻き胴部5aと、フランジ部5bと、スカート部5cと、を有している。糸巻き胴部5aの外周には、釣り糸が巻き付けられる。フランジ部5bは、糸巻き胴部5aの前部に一体に形成される。
【0035】
スカート部5cは、糸巻き胴部5aの後部に一体に形成される。スカート部5cは、軸方向において、フランジ部5bと間隔を隔てて配置される。例えば、スカート部5cは、壁部51cと、筒部52cとを、有する。
【0036】
壁部51cは、糸巻き胴部5aに一体に形成される。壁部51cは、実質的に円環状に形成される。壁部51cは、糸巻き胴部5aの後部から径方向外側に向けて延びる。壁部51cには、ドラグ収納部53cが、設けられる。
【0037】
例えば、ドラグ収納部53cは、筒部52cの径方向内側において、壁部51cと一体に形成される。ドラグ収納部53cは、実質的に円筒状に形成される。ドラグ収納部53cは、壁部51cから軸方向(後方)に延びる。ドラグ収納部53cの径方向内側には、ドラグ機構8が収納される。ドラグ収納部53cの内周面には、複数の第1係合凹部53d(図3を参照)が設けられる。複数の第1係合凹部53dは、周方向に間隔を隔てて配置される。
【0038】
筒部52cは、壁部51cの外周部に一体に形成される。筒部52cは、壁部51cの外周部から軸方向(後方)に延びる。筒部52cの外径は、糸巻き胴部5aの外径より大径である。筒部52cの径方向内側には、発音機構9が配置される。
【0039】
ロータ6は、スプール5に釣り糸を巻き付けるためのものである。ロータ6は、リール本体2に対して回転可能に構成される。ロータ6は、ピニオンギア16と一体回転可能に連結される。ピニオンギア16には、ロータ駆動機構を介して、ハンドル3の回転が伝達される。ピニオンギア16は、筒状に形成される。ピニオンギア16の内周部には、スプール軸4が挿通される。
【0040】
図3に示すように、ドラグ機構8は、ドラグ操作部15(図2を参照)を調整することによって、スプール5にドラグ力を作用させる。ドラグ機構8は、スプール5及びスプール軸4の間に配置される。
【0041】
ドラグ機構8は、複数の第1摩擦ディスク8aと、少なくとも1つ(例えば1枚)の第2摩擦ディスク8bとを、有する。第1摩擦ディスク8a及び第2摩擦ディスク8bは、軸方向において、交互に配置される。第1摩擦ディスク8a及び第2摩擦ディスク8bは、軸方向において互いに接触し、摩擦力を発生させる。
【0042】
第1摩擦ディスク8aは、スプール5に一体回転可能に装着される。第1摩擦ディスク8aの外周部には、複数の第1係合凸部81aが設けられる。複数の第1係合凸部81aそれぞれは、周方向に間隔を隔てて配置される。複数の第1係合凸部81aそれぞれは、ドラグ収納部53cの第1係合凹部53dに係合する。このように、第1摩擦ディスク8aは、スプール5に一体回転可能に構成される。
【0043】
第2摩擦ディスク8bは、スプール軸4に一体回転可能に装着される。例えば、第2摩擦ディスク8bは、連結部材10を介して、スプール軸4に一体回転可能に装着される。第2摩擦ディスク8bの内周部には、複数の第2係合凹部81bが設けられる。複数の第2係合凹部81bそれぞれは、周方向に間隔を隔てて配置される。
【0044】
図3に示すように、連結部材10は、スプール軸4に回転不能に装着される。連結部材10は、複数の第2係合凸部10aと、孔部10bとを、有する。複数の第2係合凸部10aは、連結部材10の外周部に設けられる。複数の第2係合凸部10aそれぞれは、周方向に間隔を隔てて配置される。複数の第2係合凸部10aそれぞれには、第2摩擦ディスク8bの第2係合凹部81bが係合する。このようにして、第2摩擦ディスク8bは、連結部材10に対して回転不能に装着される。
【0045】
孔部10bは、連結部材10の中央部に設けられる。孔部10bは、非円形に形成される。孔部10bには、スプール軸4において外周面が非円形に形成された部分が、挿通される。このようにして、連結部材10は、スプール軸4に対して回転不能に装着される。この状態において、連結部材10は、スプール軸4に対して軸方向に位置決めされる。
【0046】
発音機構9は、スプール5及びスプール軸4の相対回転によって、発音する。
【0047】
図3及び図4に示すように、発音機構9は、第1部材21と、第2部材22と、ピン部材23と、コイルバネ24と、金属製の保持部材25とを、備える。
【0048】
第1部材21は、スプール5に一体回転可能に構成される。第1部材21は、スプール5に対して相対回転不能に構成されると解釈してもよい。例えば、第1部材21は、取付部材26(図2を参照)を介して、スプール5に一体回転可能に取り付けられる。取付部材26は、実質的に円筒状に形成される。取付部材26は、スプール5に一体回転可能に取り付けられる。取付部材26は、ドラグ収納部53cの外周面に固定される。
【0049】
図5に示すように、第1部材21は、本体部21aと、複数の凹凸部21bとを、有する。本体部21aは、実質的に環状に形成される。本体部21aは、取付部材26の内周面に取り付けられる。複数の凹凸部21bは、本体部21aの内周部に形成される。複数の凹凸部21bそれぞれは、スプール5の回転方向に間隔を隔てて配置される。
【0050】
第2部材22は、スプール軸4に対して相対回転不能に構成される。第2部材22は、連結部材10に対して相対回転不能に取り付けられる。例えば、第2部材22は、固定手段例えばネジ部材29によって、連結部材10(図2を参照)に固定される。
【0051】
図3図5に示すように、第2部材22は、カバー部22aと、被取付部22bとを、有する。カバー部22aは、第1部材21を覆う。詳細には、カバー部22aは、第1部材21及び取付部材26を、覆う(図3を参照)。
【0052】
カバー部22aは、第1筒状部22a1と、第1環状壁部22a2とを、有する。第1筒状部22a1は、第1部材21及び取付部材26よりも径方向外側に配置される。第1環状壁部22a2は、第1筒状部22a1の内周面に一体に形成される。第1環状壁部22a2は、第1筒状部22a1の内周面から径方向内側に延びる。第1環状壁部22a2は、軸方向において、第1部材21の側方に配置される。
【0053】
被取付部22bには、保持部材25が取り付けられる。被取付部22bは、カバー部22aの内周部に一体に形成される。被取付部22bは、第1部材21よりも径方向内側に配置される(図3を参照)。
【0054】
被取付部22bは、第2筒状部22b1と、第2環状壁部22b2とを、有する。第2筒状部22b1は、第1環状壁部22a2の内周部に一体に形成される。第2筒状部22b1は、第1環状壁部22a2の内周部から軸方向(前方)に延びる。
【0055】
第2筒状部22b1は、第1部材21よりも径方向内側に配置される。第2筒状部22b1は、径方向おいて、第1部材21と間隔を隔てて配置される。第2筒状部22b1には、窓部22b3が形成されている。窓部22b3は、第2筒状部22b1を径方向に貫通する。窓部22b3には、ピン部材23及びコイルバネ24が、挿通される。
【0056】
第2環状壁部22b2は、第2筒状部22b1に一体に形成される。第2環状壁部22b2は、第2筒状部22b1から径方向内側に延びる。第2環状壁部22b2は、固定手段例えばネジ部材29(図2を参照)によって、連結部材10に固定される。詳細には、第2環状壁部22b2は、シール部材を支持する支持部材28を介して、ネジ部材29によって連結部材10に固定される。
【0057】
図4及び図5に示すように、ピン部材23は、複数の凹凸部21bそれぞれに接触可能に配置される。図6に示すように、ピン部材23は、頭部23aと、軸部23bとを、有する。頭部23aは、複数の凹凸部21bそれぞれに接触する部分である。軸部23bは、頭部23aに設けられる。軸部23bは、コイルバネ24の内周部に配置される。
【0058】
図3図5に示すように、コイルバネ24は、ピン部材23を凹凸部21bに向けて付勢する。図3及び図6に示すように、コイルバネ24は、軸方向において、第2部材22及び保持部材25のバネ保持部25b(後述する)の間の空間Sに、配置される。詳細には、コイルバネ24は、軸方向において、第2環状壁部22b2及びバネ保持部25bの間の空間Sに、配置される。
【0059】
図3図6に示すように、コイルバネ24は、径方向において、第2部材22の第1筒状部22a1及び保持部材25のバネ係止部25c(後述する)の間に、配置される。詳細には、コイルバネ24は、径方向において、凹凸部21b及び保持部材25の係止部の間に、配置される。
【0060】
より詳細には、図6に示すように、コイルバネ24は、ピン部材23の頭部23a及び保持部材25の係止部の間に配置される。コイルバネ24の一端部はピン部材23の頭部23aに当接し、コイルバネ24の他端部は保持部材25のバネ係止部25cに係止される。
【0061】
図4図6に示すように、金属製の保持部材25は、第2部材22に取り付けられ、コイルバネ24を保持する。保持部材25は、プレス加工によって成型される。保持部材25は、1対の取付部25aと、バネ保持部25b(保持部の一例)と、バネ係止部25c(係止部の一例)とを、有する。1対の取付部25a、バネ保持部25b、及びバネ係止部25cは、一体に形成される。
【0062】
1対の取付部25aは、第2部材22に取り付けられる。例えば、1対の取付部25aは、互いに間隔を隔てて配置される。1対の取付部25aそれぞれは、固定手段例えばネジ部材25dによって、第2環状壁部22b2に固定される。
【0063】
バネ保持部25bは、コイルバネ24を保持するためのものである。バネ保持部25bは、1対の取付部25aに一体に形成される。バネ保持部25bは、バネ係止部25c及び凹凸部21bの間において、1対の取付部25aに一体に形成される。
【0064】
バネ保持部25bは、1対の取付部25aを連結する。例えば、バネ保持部25bは、一方の取付部25aから他方の取付部25aに向けて湾曲しながら、1対の取付部25aを連結する。これにより、1対の取付部25aが第2部材22に取り付けられた状態において、バネ保持部25b及び第2環状壁部22b2の間には、コイルバネ24を配置するための空間S(図6を参照)が、設けられる。
【0065】
バネ係止部25cは、コイルバネ24を係止する。例えば、図6に示すように、バネ係止部25cは、係止部は、上記の空間Sの外側で、コイルバネ24の他端部を係止する。バネ係止部25cは、バネ保持部25bに設けられる。例えば、バネ係止部25cは、凹凸部21bに対向可能なように、バネ保持部25bと一体に形成される。詳細には、保持部材25が第2部材22に取り付けられた状態において、バネ係止部25cは、バネ保持部25bから径方向内側に延び、第2部材22例えば第2環状壁部22b2に向けて折り曲げられる。
【0066】
上記の構成を有する発音機構9では、スプール5がドラグ機構8を介してスプール軸4に対して相対回転すると、コイルバネ24に装着されたピン部材23が、凹凸部21bに繰り返し接触する。この接触によって、発音機構9は発音する。
【0067】
このような発音機構9では、保持部材25が金属製であるので、発音機構9の近傍でドラグ機構8が発熱したとしても、保持部材25の劣化を防止することができる。また、取付部25a、バネ保持部25b、及びバネ係止部25cが、一体に形成されるので、保持部材25においてバネ係止部25cを取付部25aに取り付ける必要がない。このため、コイルバネ24を、保持部材25のバネ係止部25cに係止させ、保持部材25のバネ保持部25bに保持させることによって、保持部材25及びコイルバネ24を1ユニットとして容易に組み立てることができる。このように、発音機構9では、保持部材25及びコイルバネ24の組立性を向上することができる。
【0068】
<他の実施形態>
(a)前記実施形態では、第1部材21の本体部21aが取付部材26に取り付けられる場合の例を、示した。これに代えて、第1部材21の本体部21aが、取付部材26と一体に形成されてもよい。この場合、第1部材21は、本体部21aと、複数の凹凸部21bと、第1部材用の取付部26とを、有する。第1部材用の取付部26は、スプール5例えばドラグ収納部53cに、前記実施形態と同様に固定される。
【0069】
(b)前記実施形態では、第2部材22は、支持部材28を介して、スプール軸4に対して相対回転不能である連結部材10に、装着される場合の例を示した。これに代えて、第2部材22は、スプール軸4に対して相対回転不能である連結部材10に、直接的に装着されてもよい。
【0070】
(c)前記実施形態では、第2部材22は、支持部材28を介して、スプール軸4に対して相対回転不能である連結部材10に、装着される場合の例を示した。これに代えて、第2部材22は、スプール軸4に対して相対回転不能に直接的に装着されてもよい。
【0071】
(d)前記実施形態では、バネ係止部25cが、凹凸部21bに対向可能なように、バネ保持部25bに一体に形成される場合の例を示した。これに代えて、図7に示すように、バネ係止部25cは、凹凸部21bに対向可能なように、取付部25aと一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 スピニングリール
4 スプール軸
5 スプール
9 発音機構
21 第1部材
22 第2部材
23 ピン部材
24 コイルバネ
25 保持部材
21b 凹凸部
25a 取付部
25b バネ保持部
25c バネ係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6