(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】モニタリング及び刺激モジュール
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2018534207
(86)(22)【出願日】2016-09-20
(86)【国際出願番号】 IL2016051036
(87)【国際公開番号】W WO2017051408
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-08-30
(32)【優先日】2015-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517286135
【氏名又は名称】ジヴ ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジヴ,アーモス
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534041(JP,A)
【文献】特開2000-316824(JP,A)
【文献】特表2004-535235(JP,A)
【文献】特開昭58-165821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0202435(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0231574(US,A1)
【文献】特表2006-501921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0296723(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2540221(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1690565(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の心臓パラメータのモニタリング、並びに1つ以上の末梢神経の、及び被験者の非接触の電気神経刺激のための携帯モジュールであって、前記携帯モジュールが、
前記携帯モジュールの上面内/上に取り付けられたモニタリング電極と、
前記携帯モジュールの底面内/上に取り付けられた刺激電極及び二重機能電極と、
電気活動をモニタするためのモニタリング部と、
電気信号を誘発するための刺激部と、
制御部と、
前記制御部によって操作されるように構成されたコンピュータ可読コードをその中に記憶している非一過性メモリと、
を備え、
前記電極のそれぞれが少なくとも部分的に露出され、
前記制御部が、前記携帯モジュールの少なくとも2つの動作モード、つまり
前記モニタリング部が前記モニタリング電極及び前記二重機能電極と機能上関連付けられる第1のモードと、
前記刺激部が前記刺激電極及び前記二重機能電極と機能上関連付けられる第2のモードと
を制御可能に切り替えることを可能にするように構成され、
前記
携帯モジュールが、
(i)前記被験者の標的体部位と前記二重機能電極との間に、及び
(ii)前記標的体部位に対向した体部位と前記モニタリング電極との間に
皮膚接触を同時に確立するように構成され、それによって、前記第1のモードで、前記二重機能電極及び前記モニタリング電極で電気的活動をモニタすることによって前記被験者の心臓パラメータを得ることを可能にし、
前記非一過性メモリが、前記第1のモードで得られた心臓パラメータを記憶するように構成され、前記
携帯モジュールが、前記標的体部位と、前記二重機能電極と前記刺激電極の両方との間に皮膚接触を確立するようにさらに構成され、それによって、前記第2のモードで、前記二重機能電極と前記刺激電極との間で電気信号を誘発することによって、前記非一過性メモリに記憶された心臓パラメータに基づいて、前記標的体部位内の少なくとも1つの末梢神経を電気的に神経刺激することを可能にする、
携帯モジュール。
【請求項2】
前記1つ以上の心臓パラメータが心拍数及び/又は心拍変動性(HRV)を含む、請求項1に記載の
携帯モジュール。
【請求項3】
前記モニタリング部が、前記被験者の心電図検査(ECG)を実行するように構成される、請求項1及び2のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項4】
前記
携帯モジュールが、前記標的体部位に対して独立して保持されるように構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項5】
前記標的体部位が、手首、腕、前腕、脚、又は首の内側部分である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの末梢神経が前記手首、前記腕、又は前記前腕の正中神経である、請求項5に記載の
携帯モジュール。
【請求項7】
前記刺激電極が、第1の刺激信号を適用するように構成された第1の刺激電極であり、
前記
携帯モジュールが、少なくとも部分的に露出されるために、及び前記二重機能電極が前記第1の刺激電極と、前記底面内/上に取り付けられた第2の刺激電極との間に位置決めされるように、前記第2の刺激電極をさらに備え、
前記
携帯モジュールが、前記標的体部位と前記第2の刺激電極との間に皮膚接触を確立するようにさらに構成され、それによって前記第2のモードで、任意選択で前記第1の刺激信号と同時に又は交互に、前記二重機能電極と前記第2の刺激電極との間で第2の刺激信号を誘発することを可能にし、それによって前記標的体部位内で前記少なくとも1つの末梢神経を電気的に神経刺激する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項8】
前記刺激電極が
、第1の刺激信号を適用するように構成された第1の刺激電極であり
、
前記
携帯モジュールが、少なくとも部分的に露出されるために前記底面内/上に取り付けられた第2の刺激電極及び第3の刺激電極をさらに備え、前記第1の刺激電極、前記二重機能電極、前記第3の刺激電極、及び前記第2の刺激電極がそれぞれ線形に順序付けられ、
前記
携帯モジュールが、前記標的体部位と前記第2の刺激電極と前記第3の刺激電極との間に皮膚接触を確立するようにさらに構成され、それによって前記第2のモードで、任意選択で前記第1の刺激信号と同時に又は交互に、前記第3の刺激電極と前記第2の刺激電極の間で第2の刺激信号を誘発することを可能にし、それによって前記標的体部位の第2の末梢神経を電気的に神経刺激する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項9】
前記標的体部位が手首の内側部分であり、前記少なくとも1つの末梢神経が前記手首の正中神経であり、前記第2の末梢神経が前記手
首の尺骨神経である、請求項8に記載の携帯モジュール。
【請求項10】
前記刺激
電極が、前記第1のモードで得られる心臓パラメータに基づいて決定される刺激パラメータによって特徴付けられる
刺激信号を適用するように構成される、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項11】
前記刺激パラメータが、電圧信号及び/又は電流信号の周波数、強度、振幅、持続時間、波形、間欠性、及び極性から成るグループから選択される、請求項10に記載の
携帯モジュール。
【請求項12】
前記
携帯モジュールが、ウェアラブルデバイス
に取外し可能
に取付け
られるように構成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項13】
前記ウェアラブルデバイスが、処理回路網を含むスマートバンド又はスマートウォッチであり、前記
携帯モジュール及び前記ウェアラブルデバイスが機能上関連付けられる、請求項12に記載の
携帯モジュール。
【請求項14】
前記ウェアラブルデバイスのユーザインタフェースを介して制御可能であるようにさらに構成される、請求項13に記載の
携帯モジュール。
【請求項15】
前記モニタリング電極が前記ウェアラブル
デバイスの外面に少なくとも部分的に露出され、前記二重機能電極及び前記刺激電極が前記ウェアラブル
デバイスの内面に少なくとも部分的に露出される、請求項13及び14のいずれか1項に記載の
携帯モジュール。
【請求項16】
請求項
1に記載の
携帯モジュール、及び前記被験者の手足又は首の回りに着用されるように構成されたバンドを備えるウェアラブルデバイスであって、前記バンドが内面及び外面を有し、
前記モニタリング電極が前記外面で少なくとも部分的に露出され、前記二重機能電極及び前記刺激電極が前記内面で少なくとも部分的に露出され、
前記標的体部位が前記手足又は前記首の中に位置する、ウェアラブルデバイス。
【請求項17】
前記バンドが、前記
携帯モジュールの動作に対する制御を容易にするように構成されたユーザインタフェースをさらに備える、請求項16に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項18】
前記ユーザインタフェースが、前記
携帯モジュールの動作に関係する図形表示を提供するように構成されたディスプレイを備える、請求項17に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項19】
前記図形表示が、前記第1のモードが前記第1のモードで得られた心臓パラメータ及び/又は前記第2のモードで得られた刺激パラメータを備える、請求項18に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項20】
前記ユーザインタフェースが、前記第2のモード中に前記被験者のECG/HR/HRV示度を表示するように構成される、請求項19に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項21】
前記ウェアラブルデバイスの動作を持続するために電力を提供するための電池をさらに備える、請求項16乃至20のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一部の実施形態では、心臓パラメータをモニタし、取り扱うための装置の分野に関し、より詳細には心臓パラメータをモニタし、取り扱うためのウェアラブルデバイスに関するが、それに限らない。
【背景技術】
【0002】
心拍変動性(HRV)は、正常な心拍間の時間間隔の変動の現象(非不整脈(non‐arrhythmic heart beats)を指す。正常な健康な状態では、連続する心拍間の時間間隔は、休息中又は自律神経系と心臓血管系との間の健康且つ柔軟な相互作用を示す活動(例えば、座位から立ち上がること)の変化に応えて大幅に変わる場合がある。連続する正常な心拍間の時間間隔の標準偏差(NN間隔の標準偏差、つまりSDNN)及び連続する正常な心拍間の時間間隔の2乗の平均の平方根(連続差異の二乗平均平方根、つまりrMSSD)等のHRVパラメータのより高い値はより良い健康及び安寧を示す。HRVパラメータのより低い値は、特定の病状だけではなく、高いストレス、不十分な休息又は睡眠を示す場合もある。スポーツ及びフィットネスでは、トレーニング前のより高いHRVはトレーニングでのより優れたパフォーマンスを誘発することが示された。心臓学では、心筋梗塞後のより低いHRVを有する患者が、心不整脈のより高い発生率を有し、全死因死亡率を増加させたことが示された。欧州心臓病学会及び北米ペーシング電気生理学会の共同プロジェクトチーム[Eu.Heart Journal、17、354~381:1966年]は、HRVをモニタすることの重要性を強調する指針声明を発行し、HRV改善の臨床的利点を概説した。いくつかの研究報告書[Circulation Journal 102:1239-1244、2000]は、2分の心電図記録からのHRV測定値が心血管疾患の有病率及び心血管死亡率の増加するリスクを決定するために十分であることを示した。他の研究報告書はHRVと心房細動(AF)等の心不整脈との密接な関係性を報告し[Journal of Cardiovascular Electrophysiology 25(7):719-24;2014]、心不整脈を防ぐためにHRVをモニタすることの重要性を強調している。
【0003】
神経修飾、すなわち神経刺激は、鬱病等の精神疾患から慢性痛等の生理学的状態に及ぶ多様な状態を治療するために使用され得る。特に、末梢神経の神経修飾は、自律神経系を調節するために使用され得る。例えば、前腕の正中神経及び尺骨神経の神経修飾は、迷走神経の副交感神経活性を強化し、心臓神経の交感神経活動を弱め、それによって心拍数を削減し、心調律を調節し、心不整脈を補正し、防ぐために使用され得る。また、正中神経及び尺骨神経の神経修飾は、神経ホルモンの反応、つまりエンドルフィンの分泌、ストレス関係ホルモンの減少を誘発し、それによってストレスを削減し、睡眠を改善するために使用されてもよい。
【0004】
多様な生理学的状態をモニタし、治療するための携帯機器は、重篤な危機に応えてであるのか、それとも健康の一般的な状態及び改善された心的状態を達成するためであるのかに関わりなく、リアルタイム治療を可能にする。近年では、心拍数又は血圧等の生存兆候を追跡するように設計された装置からウェアラブルフィットネストラッカー等のレクリエーション用ウェアラブルデバイスまで、生理学的状態をモニタするように設計された消費者ウェアラブルデバイスの数の急激な上昇が見られてきた。これらの装置の多くはモニタリングを目的としており、治療を提供するように設計されていない。具体的には、医療用であるのかそれともレクリエーション用であるのかに関わりなく、心臓の活動及び機能(例えば、心拍数、HRV)をモニタするための市場の多くのウェアラブルデバイスは、治療を提供しない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、生理学的機能をモニタする及び/又は治療するための携帯機器に関する。より詳細には、本開示の態様は、その一部の実施形態では、神経ホルモンのバランス及び自律神経系の制御に影響を及ぼし、それによって心拍数、心調律、心拍変動性(HRV)、及び全体的な健康に影響を及ぼすためだけではなく、心機能をモニタする及び/又は心機能に影響を与えるためのウェアラブルデバイスにも関する。
【0006】
上述されたように、心機能をモニタするための多くの市販の携帯機器は治療を提供しない。モニタされている心臓活動の突然の変化に対応する緊急の現場での治療の提供は、機器が、後に例えば病院における包括的治療が行われなければならない初期治療を提供できるにすぎないとしても重篤な心臓危機の場合きわめて重要であることが判明する場合がある。したがって、単一の装置で刺激機能及びモニタリング機能を提供し、有利なことに所望される治効を得るための閉ループ動作を可能にする、連続的なモニタリング及び日常的な予防治療を提供する在宅治療機能を有するウェアラブル医療機器に対する必要性がある。医学的用途を超えて、神経系‐心血管系の相互作用を強化するだけではなく、心機能のモニタと治療の両方も可能なウェアラブルデバイスは、(a)心臓活動と健康の状態との間の上述された相互関係による健康補助器具として、及び(b)例えばスポーツのパフォーマンス及び回復を改善し、したがって全体的なフィットネスパフォーマンス及び目標を強化するだけではなくケガの可能性も削減するために、ユーザが、運動のセッション前、セッション中、及びセッション後に自分の心臓活動及びHRVに影響を与えることができるフィットネス補助器具としての有用性を有してもよい。一部の実施形態によると、刺激パラメータは、高速調整ループを提供するために最近に取得された測定データに基づいて調整されてよく、長期ループを提供するために取得された測定データの履歴に基づいて調整されてもよい。
【0007】
したがって、本明細書に説明される一部の実施形態での本開示の態様は、心機能をモニタし、治療するための小型で携帯用のモジュールを含む。モジュールは、心拍数、HRVを測定するために、及びユーザの心臓の心電図検査(ECG)を行うために、及びしたがってモニタされた心臓パラメータに基づいて、例えば正中神経等の1つ以上の末梢神経の低レベル電気刺激を提供して心拍数、心調律を調節し、HRVを改善し、神経‐心臓バランスを最適化するために使用されてよい。さらに、モジュールは、例えばストレスを削減するため及び睡眠を改善するために等、健康の目的のためにも使用されてよい。
【0008】
有利なことに、モジュールは、モニタリング及び治療がモジュールの中の異なった別個のユニットによって実施されるのではなく、単一のユニットによって実施されるという意味で統合されている。単一のユニットは、モニタリングと治療の両方を実施するために使用される共同構成要素を有し、それによってスペースを節約し、モジュールの全体的なサイズを削減する。具体的には、モジュールは心臓パラメータをモニタするため及び電気神経刺激のための両方に使用される少なくとも1つの二重機能電極を含む。
【0009】
一部の実施形態では、モジュールは、手首、腕、前腕、首、脚、及び/又は腿に着用されるように設計されたバンド等、例えばウェアラブル要素の形をとり、スタンドアロンであってよい。一部の実施形態では、モジュールは例えばスマートウォッチ若しくはスマートバンド等のスマートウェアデバイスに取り付け可能(且つスマートウェアデバイスから取り外し可能)であってよい、又はスマートウェアデバイスの一体部分として設計されてよい。後者の2つの実施形態は、モジュールが、ユーザインタフェース、ディスプレイ、無線通信部、電池、及び計算要素(例えば、プロセッサ)等のスマートウェアデバイスに一体の構成要素を利用し、それによってモジュールのサイズをさらに削減する設計を容易にしてよい。
【0010】
また、モジュールは、ユーザのスマートフォン等の外部装置と併せて使用されてもよく、モジュールは外部装置から情報を送信する/受信するように構成されている。例示的な神経刺激セッションは、本明細書の教示に従って、(モジュールを使用して実行される)以下のステップ、つまり(a)HRV等の心機能/心臓活動を示す電気信号を測定するステップ、(b)ユーザのスマートフォンに測定データを送信するステップであって、測定データが次の治療のために電気的な刺激パラメータを得るために処理される、測定データを送信するステップ、(c)(スマートフォンから送られる)電気刺激パラメータを受信するステップ、及び(d)得られた電気刺激パラメータに従って、神経刺激を適用するステップを含む場合がある。
【0011】
したがって、一部の実施形態の態様によると、1つ以上の末梢神経の非侵襲性電気神経刺激及び被験者の1つ以上の心臓パラメータのモニタリングのための携帯モジュールが提供される。携帯モジュールは、
‐携帯モジュールの上面内/上に取り付けられたモニタリング電極と、
‐携帯モジュールの底面内/上に取り付けられた刺激電極及び二重機能電極と、
‐電気活動をモニタするためのモニタリング部と、
‐電気信号を誘導するための刺激部と、
‐制御部と、
‐制御部によって操作されるように構成されたコンピュータ可読コードをその中に記憶している非一過性メモリと
を含む。
【0012】
電極のそれぞれは少なくとも部分的に露出される。制御部は、携帯モジュールの少なくとも2つの動作モード、つまり
‐モニタリング部がモニタリング電極及び二重機能電極と機能上関連付けられる第1のモードと、
‐刺激部が刺激電極及び二重機能電極と機能上関連付けられる第2のモードと
を制御可能に切り替えることを可能にするように構成される。
【0013】
モジュールは、被験者の標的体部位と二重機能電極との間に、及び(標的体部位に)対向した体部位とモニタリング電極との間に皮膚接触を同時に確立することを容易にするように構成され、それによって第1のモードで、二重機能電極及びモニタリング電極で電気的活動をモニタすることによって被験者の心臓パラメータを得ることを可能にする。
【0014】
モジュールは、標的体部位と、二重機能電極と刺激電極の両方との間に皮膚接触を確立することを容易にするようにさらに構成され、それによって、第2のモードで、二重機能電極と刺激電極との間で電気信号を誘発することによって標的体部位の少なくとも1つの末梢神経を電気的に神経刺激することを可能にする。
【0015】
一部の実施形態では、1つ以上の心臓パラメータは、心拍数及び/又は心拍変動性(HRV)を含む。
【0016】
一部の実施形態では、モニタリング部は、被験者の心電図検査(ECG)を実行するように構成される。
【0017】
一部の実施形態では、モジュールは、標的体部位に対して独立して保持されるように構成される。
【0018】
一部の実施形態では、標的体部位は、手首、腕、首、脚、及び/又は前腕の内側部分である。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも1つの末梢神経は手首の正中神経である。
【0020】
一部の実施形態では、刺激電極は第1の刺激電極であり、刺激信号は第1の刺激信号であり、モジュールは、例えば少なくとも部分的に露出されるために、及び二重機能電極が第1の刺激電極と第2の刺激電極との間に位置決めされるように、底面内/上に取り付けられた第2の刺激電極をさらに含む。
【0021】
モジュールは、標的体部位と第2の刺激電極との間で皮膚接触を確立することを容易にするようにさらに構成され、それによって第2のモードで、任意選択で第1の刺激信号と同時に又は交互に、二重機能電極と第2の刺激電極との間で第2の刺激信号を誘発することを可能にし、それによって標的体部位の少なくとも1つの末梢神経を電気的に神経刺激する。
【0022】
一部の実施形態では、刺激電極は第1の刺激電極であり、刺激信号は第1の刺激信号であり、モジュールは、例えば少なくとも部分的に露出されるために底面内/上に取り付けられた第2の刺激電極及び第3の刺激電極をさらに含み、第1の刺激電極、二重機能電極、第3の刺激電極、及び第2の刺激電極は実質的にそれぞれ線形に順序付けられる。
【0023】
モジュールは、標的体部位と第2の刺激電極と第3の刺激電極との間に皮膚接触を確立することを容易にするようにさらに構成され、それによって第2のモードで、任意選択で第1の刺激信号と同時に又は交互に、第3の刺激電極と第2の刺激電極の間で第2の刺激信号を誘発することを可能にし、それによって標的体部位の第2の末梢神経を電気的に神経刺激する。
【0024】
一部の実施形態では、標的体部位は手首の内側部分であり、少なくとも1つの末梢神経は手首の正中神経であり、第2の末梢神経は手首の尺骨神経である。
【0025】
一部の実施形態では、刺激信号は、第1のモードで得られた心臓パラメータに基づいて決定された刺激パラメータによって特徴付けられる。
【0026】
一部の実施形態では、刺激パラメータは、電圧信号及び/又は電流信号の周波数、強度、振幅、持続時間、波形、間欠性、及び極性から成るグループから選択される。一部の実施形態では、モジュールは、例えばウェアラブルデバイスに対する取外し可能な取付けを可能にするためにモジュール式である。一部の実施形態では、ウェアラブルデバイスは、処理回路網を含むスマートバンド又はスマートウォッチであり、モジュール及びウェアラブルデバイスは機能上関連付けられる。一部の実施形態では、モジュールは、ウェラブルデバイスのユーザインタフェースを介して制御可能となるようにさらに構成される。一部の実施形態では、モニタリング電極はウェアラブル要素の外面に少なくとも部分的に露出され、二重機能電極及び刺激電極はウェアラブル要素の内面に少なくとも部分的に露出される。
【0027】
一部の実施形態の態様によると、上述されたモジュール、及び被験者の手足の回りに着用されるように構成されたバンドを含むウェアラブルデバイスが提供される。バンドは内面及び外面を有する。モニタリング電極は外面に少なくとも部分的に露出され、二重機能電極及び刺激電極は内面に少なくとも部分的に露出される。標的体部位は手足の中に位置する。
【0028】
一部の実施形態では、バンドは、モジュールの動作に対する制御を容易にするように構成されたユーザインタフェースをさらに含む。一部の実施形態では、ユーザインタフェースは、モジュールの動作に関係する図形表示を提供するように構成されたディスプレイを含む。一部の実施形態では、図形表示は第1のモードで得られる心臓パラメータ及び/又は第2のモードで得られる刺激パラメータを含む。一部の実施形態では、ユーザインタフェースは第2のモードの間に被験者のECG/HR/HRV示度を表示するように構成される。一部の実施形態では、ウェアラブルデバイスは、その動作を持続するために電力を提供するための電池をさらに含む。一部の実施形態では、バンドは、例えばスマートフォン、コンピュータ、クラウドサーバ等の外部モジュール又は計算要素とのデータ通信を容易にする、及び/又は通信を制御するように構成された通信部をさらに含む。
【0029】
一部の実施形態の態様によると、
‐被験者の手首の回りにウェアラブル要素を固締し、これにより刺激電極及び二重機能電極が手首の内側部分と皮膚接触し、二重機能電極が手首の正中神経及び/又は尺骨神経に近接して位置するステップと、
‐第1の動作モードを選択し、対向した体部位をモニタリング電極と接触させるステップと、
‐モニタリング電極と二重機能電極との間の電気活動をモニタすることによって被験者の心臓関係活動を測定するステップと、
‐処理部によってモニタされたデータを分析し、そこから心臓パラメータを決定するステップと、
‐心臓パラメータに基づいて刺激パラメータを決定するステップと、
‐第2の動作モードを選択し、刺激電極と二重機能電極との間で刺激信号を発生させることによって手首の内側部分で電気刺激を適用するステップと
を含む、上記に開示されたウェアラブルデバイスを操作するための方法が提供される。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、第2の動作モードを選択する該ステップに続いて、第1の動作モードを選択する該ステップ、心臓関係活動を測定する該ステップ、及び刺激パラメータを決定する該ステップを再適用し、それによって更新された心臓パラメータを得て、相応して刺激パラメータを調整することをさらに含む。
【0031】
本発明の特定の実施形態は、上記の優位点のいくつか、すべてを含んでよい、又はどれも含まない場合がある。追加の優位点は、本明細書に含まれる図、説明、及び請求項から当業者に容易に明らかになり得る。本発明の態様及び実施形態は、以下の明細書に、及び添付の特許請求の範囲にさらに説明される。
【0032】
本明細書の方法及び/又は装置の実施形態は、手動で、自動的に、又はその組合せで選択されたタスクを実行する又は完了することを含んでよい。一部の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はその組合せを含む構成要素の使用により実施される。一部の実施形態では、一部の構成要素は、汎用のコンピュータ又はプロセッサ等の汎用の構成要素である。一部の実施形態では、一部の構成要素は、汎用コンピュータ又は汎用プロセッサ等の汎用構成要素である。一部の実施形態では、一部の構成要素は、回路、集積回路、又はソフトウェア等の専用の構成要素又はカスタム構成要素である。
【0033】
例えば、一部の実施形態では、実施形態の一部は、例えば汎用コンピュータ又はカスタムコンピュータの一部であるデータプロセッサによって実行される複数のソフトウェア命令として実施されてよい。一部の実施形態では、データプロセッサ又はコンピュータは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリ、並びに/又は例えば命令及び/若しくはデータを記憶するための磁気ハードディスク及び/又は取外し可能な媒体等の不揮発性記憶装置を含んでよい。一部の実施形態では、実施態様はネットワーク接続を含む。一部の実施形態では、実施態様は、概して(例えば、コマンド及び/又はパラメータの入力を可能にする)入力装置及び(例えば、動作及び結果のパラメータを報告することを可能にする)出力装置の1つ以上を含むユーザインタフェースを含む。
【0034】
本開示の一部の実施形態は、添付図面を参照して本明細書に説明される。説明は、図とともに、一部の実施形態がどのようにして実施され得るのかを当業者に明らかにする。図は例示的な説明のためであり、本発明の根本的な理解のために必要である以上により詳細に実施形態の構造上の詳細を示そうとする試みは、なされない。明確にするために、図中に示される一部の物体は正確な縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1a】一部の実施形態に従って、本開示のモジュール実施形態の側面図を概略で示す図である。
【
図1b】一部の実施形態に従って、
図1aのモジュールの上面図を概略で示す図である。
【
図1c】一部の実施形態に従って、
図1aのモジュールの下面図を概略で示す図である。
【
図2】一部の実施形態に従って、
図1a~
図1cのモジュールを操作する方法を概略で示す図である。
【
図3】一部の実施形態に従って、本開示のモジュール実施形態の内部回路網を概略で示す図である。
【
図4a】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用されるように構成された本開示のウェアラブル要素の実施形態を概略で示す図である。
【
図4b】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用された
図4aのウェアラブル要素を概略で示す図である。
【
図4c】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用された
図4aのウェアラブル要素を概略で示す図である。
【
図5a】単一の被験者で
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前後に心臓パラメータをモニタした結果を示す図である。
【
図5b】単一の被験者で
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前後に心臓パラメータをモニタした結果を示す図である。
【
図5c】22人の被験者のグループで
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用するモニタリング及び治療の結果を示す図である。
【
図5d】22人の被験者のグループで
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用するモニタリング及び治療の結果を示す図である。
【
図5e】22人の被験者のグループで
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用するモニタリング及び治療の結果を示す図である。
【
図5f】単一の被験者で
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前後のECG記録の結果を示す図である。
【
図5g】単一の被験者で
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前後のECG記録の結果を示す図である。
【
図6】52人の被験者のグループで
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用するモニタリング及び治療の結果を概略で示す図である。
【
図7a】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用されるように構成された、本開示のウェアラブル要素実施形態を概略で示す図である。
【
図7b】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用される
図7aのウェアラブル要素を概略で示す図である。
【
図8a】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用されるように構成された、本開示のウェアラブル要素の実施形態を概略で示す図である。
【
図8b】一部の実施形態に従って、ユーザの手首の回りに着用される
図8aのウェアラブル要素を概略で示す図である。
【
図9a】一部の実施形態に従って、本開示のスマートウォッチ実施形態の正面図を概略で示す図である。
【
図9b】一部の実施形態に従って、
図9aの背面図を概略で示す図である。
【
図10】一部の実施形態に従って、モニタリング及び治療装置のブロック図を概略で示す図である。
【
図11】一部の実施形態に従って、再帰的な治療及びモニタリングのための方法を概略で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特別の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術的な用語及び科学的な用語は、本発明が関連する技術の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。相反する場合、定義を含む特許明細書が支配する。本明細書に使用されるように、不定冠詞「a」及び「an」は、文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて「少なくとも1つの」又は「1つ以上」を意味する。
【0037】
本開示の教示の原則、使用、及び実施態様は、添付の説明及び図を参照してよりよく理解され得る。本明細書に存在する説明及び図を熟読すると、当業者は過度の努力又は実験なしに本明細書の教示を実施できる。図中、終始、類似する参照番号は類似する部分を指してよい。
【0038】
本明細書に使用されるように、「治療」は、1つ以上の生理学的な条件、状態、特性、特徴、機能、及び/又は活動のための改変行為、修正行為、達成行為、調節行為、及び/又は処理行為を指す場合がある。「心機能」及び「心臓活動」は交換可能に用いられる。「心機能パラメータ/心臓活動パラメータ/心臓パラメータ」は、以下に詳説されるように、心拍数及び心拍変動性を評価する/推定する/数値で表す、及び/又はECGを得る/測定するために使用されるパラメータを指す場合がある。
【0039】
本明細書に使用されるように、「電気神経修飾」は用語「神経修飾」及び「神経刺激」と取替え可能であってよく、神経構造又は神経を「電気的に/電磁力で/電気機械的に、非侵襲的に/非接触で神経修飾すること、つまり低レベルの電気的神経刺激を指してよい。
【0040】
本明細書に使用されるように、2つ以上の要素(例えば、2つの電極、電極及び処理回路網、測定装置及びプロセッサ等)間の用語「関連付け」は、物理的な接続、機能上の関連付け、電気的な関連付け、機械的な関連付け、及び/又は要素間の電気機械的な関連付け等、及び/又は任意のその組合せを指してよい。
【0041】
本明細書に使用されるように、用語「ウェアラブル要素」及び「ウェアラブルデバイス」は交換可能に用いられてよい。
【0042】
ここで使用されるように、用語「ユーザ」、「被験者」、及び「患者」は交換可能に用いられてよい。
【0043】
本開示の第1の実施形態は、本明細書に説明されるように、
図1a~
図1cに概略で示される。
図1aは、一部の実施形態に従って、モジュール100の側面図を概略で示す。モジュール100はモジュール本体110を含む。モジュール本体110は2つの対向する表面、つまり内面114(底面)及び外面118(上面)を含む。刺激電極122及び二重機能電極126は、内面114でモジュール本体110内/上に取り付けられ、これにより刺激電極122の外面142及び二重機能電極126の外面146はともに露出される。モニタリング電極132は外面118上のモジュール本体110内/上に取り付けられ、これによりモニタリング電極132の外面152が露出される。一部の実施形態では、刺激電極122及び二重機能電極126は内面114から突出する、及び/又はモニタリング電極132は外面118から突出する。
【0044】
図1b及び
図1cは、一部の実施形態に従って、それぞれ外面118及び内面114を示す、モジュール100の上面図及び下面図を概略で示す。
【0045】
モジュール100は2つの動作モードの切替えを可能にするように構成される。第1の動作モード(「モニタリングモード」)で、モニタリング電極132及び二重機能電極126は電気的に関連付けられる。第2の動作モード(「刺激モード」)で、刺激電極122及び二重機能電極126は電気的に関連付けられ、それぞれ反対の極性を有してよい。
【0046】
一部の実施形態では、モジュール100は、刺激電極122及び二重機能電極126がともに標的体部位と皮膚接触するように、及びユーザが、モニタリング電極132に対向した体部位で触れることによってモニタリング電極132との皮膚接触を同時に行い得るようにユーザの標的体部位に対して保持される又は標的体部位上に置かれるように構成される。
【0047】
本明細書に使用されるように、導電性の対象と体部位との間の「皮膚接触」は、導電性の対象を体部位と電気的に関連付けることを可能にする、体部位上の皮膚と導電性の対象との間の(例えば、対象と体部位との間のゲル層、食塩水等、又は係る液体を運ぶ媒体又は係る液体を吸い込んだ媒体を介した)間接的な接触だけではなく、体部位上の皮膚と導電性の対象との間の直接的な接触を指してもよい。
【0048】
(例えば、右腕及び左脚、1対の前腕、右の指及び左の指、又は右の指及び左前腕等の)2つの体部位、つまり「第1の体部位」及び「第2の体部位」は、例えばそれぞれ第1の体部位及び第2の体部位から電気信号を得ることによって(例えば、左手首(第1の体部位)と右人さし指(第2の体部位)との間の電位差をモニタすることによって)ユーザに対してECGを実行することを可能にするために、それぞれユーザの心臓の左側に及び心臓の右側に位置するとき「対向した」と言われてよい。「2つの異なった体部位」は、(「第1の体部位」と交互に用いられてよい)「標的体部位」及び(「第2の体部位」)と交互に用いられてよい)「対向した体部位」を指してよい。
【0049】
第1の動作モードで、ユーザに対するECGは二重機能電極126及びモニタリング電極132をそれぞれ第1の体部位及び第2の体部位と皮膚接触させ、以下に詳説されるように、例えばそれと関連付けられた電圧計/電位差計を使用し、例えば二重機能電極126とモニタリング電極132との間の電位差の時間的変動をモニタすることによって実行されてよい。
【0050】
第2の動作モードで、刺激電極122及び二重機能電極126は、それぞれ電源の2つの反対の(極性の)端子に接続される。電流は、以下に詳説されるように、刺激電極122と二重機能電極126との間に電位差を確立することによって標的体部位を通して、特に標的神経を通して又は標的神経の近くで誘導されてよい。
【0051】
一部の実施形態では、モジュール本体110は可撓である。一部の実施形態では、外面118は内面114に平行である。一部の実施形態では、モジュール本体110は曲がっている又は窪んでいる。一部の実施形態では、モニタリング電極132は二重機能電極126と反対に位置する。一部の実施形態では、電極のそれぞれは異なる直径を有する。一部の実施形態では、モジュール本体110はプラスチック又は他の高分子基材から作られる。一部の実施形態では、電極は、例えばステンレス鋼合金等の非腐食性金属から作られる。一部の実施形態では、電極は付着防止導体塗料材料でコーティングされてよい。
【0052】
一部の実施形態では、モジュール100はウェアラブルである、つまりウェアラブルデバイス/要素と機械的に関連付けられる/ウェアラブルデバイス/要素に設置されるように構成される。(モジュールがウェアラブルである実施形態での)モジュール又はウェアラブルデバイスは、例えばブレスレット、バンド、カフ、指輪、ベルト、カラー、又はチェーンとして成形されてよい。一部の実施形態では、モジュールは、シャツ及び/若しくはズボンの中に(例えば、シャツの袖に)又は手袋若しくは靴下の中に埋め込まれてよい。一部の実施形態では、モジュールは、刺激電極122及び二重機能電極126が第1の体部位と皮膚接触し、外面152が露出し、第2の体部位によって到達可能であり続けるように取り付けられた取外し可能なパッチ、ステッカー、又はガーゼ付きばんそうこうを使用し、独立して保持されてよい。
【0053】
本明細書に使用されるように、対象は‐体部位に対するその設置又は体部位へのその取付けに続き、対象がユーザの部分に対するいずれの処置もなく定位置に保たれるとき、体部位に対して「独立して保持され」ていると呼ばれてよい。したがって、例えば、腕時計は、手首の回りに固締されているため手首から滑り落ちるのを妨げられるときに手首の回りに独立して保持されていると言われてよい。対照的に、手の中に保持され(手首の回りに固締されていない)腕時計は、独立して保持されていない。本明細書で使用されるように、用語「保持される」及び「独立して保持される」は文脈に従って置き換え可能であってよい。
【0054】
一部の実施形態では、モジュール100は(それに対するモニタリングを実行するだけではなく)異なる体部位、特に異なった形状の体部位に対して治療を行う(及び異なる部位に対して独立して保持される)ことも容易にするように構成される。一部の係る実施形態では、モジュール100は可撓であり、その可撓性が電極122と126と(例えば腕及び背中等の)異なった形状の体部位との間に皮膚接触を確立することを可能にする。
【0055】
図2は、一部の実施形態に従ってモジュール100を操作する方法200を提示する。ステップ210で、刺激電極122及び二重機能電極126は、標的体部位に対して内面114を持ち出すことによって標的体部位(第1の体部位)と皮膚接触させられる。
【0056】
ステップ220で、第1の動作モードが選択される。
【0057】
ステップ230で、ユーザは、例えば指又は(標的体部位に対向した)前腕の内側部分等、対向した体部位(第2の体部位)をモニタリング電極132の上に置く。モニタリング電極132と二重機能電極126との間の電位差が測定され、それによってユーザに対してECGを実行する。(一部の実施形態では、モジュール100に含まれるユーザインタフェース又はそれと関連付けられた外部エージェント、外部装置上のユーザインタフェースによって図表を用いて及び/又は聞こえるように示されてよい)ECGが完了するとき、ユーザはモニタリング電極132から対向した体部位を外す。例えば心拍数及びHRV等のモニタされた心機能パラメータ(略して「心臓パラメータ」)の値は、以下に詳説されるように、電位差の測定された時間的変動から得られる。
【0058】
ステップ240で、例えば交流電流の電流強度、持続時間、及び/又は周波数等の標的体部位で印加されるフォローアップ神経修飾の電気刺激パラメータ(略して「刺激パラメータ」)は、以下に詳説されるように、モニタされる心臓パラメータの得られた値に基づいて決定される。
【0059】
ステップ250で、第2の動作モードが選択される。
【0060】
ステップ260で、標的体部位の少なくとも1つの神経(例えば、左手首の正中神経)の神経修飾は、(それぞれ反対の極性を有する)刺激電極122と二重機能電極126との間に電気刺激信号(略して「刺激信号」)を印加することによって達成される。より詳細には、電流は、刺激電極122、二重機能電極126、及び少なくとも1つの神経のセグメント近くの若しくはセグメントを(おそらく部分的に)含む部位を含む伝導路を介して伝導される。デフォルトで、刺激信号は、ステップ240で決定された刺激パラメータによって特徴付けられるが、ユーザは、刺激パラメータを手作業で修正すること又は異なる刺激パラメータを選択することを決定してよい。
【0061】
用語「刺激信号」は、電気神経刺激に関して、(例えば、その中の少なくとも1つの神経、標的体部位を電気的に神経刺激するために、標的体部位に取り付けられた)1対の電極の間に印加される電圧/電流信号を指す。用語「刺激パラメータ」は、刺激信号に関して、刺激信号が一連のパルスを含むときに、波形及びパルス間時間間隔だけではなく、持続時間、振幅、最大強度、周波数も含む刺激信号を特徴付けるパラメータを指す。用語「刺激パラメータ」が、1つ以上の時間依存的関数も包含するために広義に使用されることに留意されたい。例えば、正弦波関数は、その振幅、周波数及び位相によって特徴付けられてよいが、用語「刺激パラメータ」は、離散関数だけではなくより複雑な波形を有する関数もカバーするために使用される。
【0062】
一部の実施形態では、ステップ260は、間欠刺激信号(つまり、電圧/電流信号)、すなわち、一連の電気パルス(各電気パルスが本質的に短い持続時間の刺激信号である)の印加を含んでよい。一部の実施形態では、連続電気パルス(「刺激パルス」)の時間間隔及び各パルスの形状(つまり、調節、波形)は、自動的に又は手作業でのどちらかで制御可能に変えられてよい。一部の実施形態では、刺激パルスは二相であってよい。つまり、パルスの正の電圧の後に、実質的に即座にパルスの負の電圧部分が続く。一部の実施形態では、(伝導電荷を示す)正の電圧によってカバーされる領域は、負の部分によってカバーされる領域に実質的に等しく、それによってパルス幅が十分に狭い(例えば、1msecよりも小さい)ときに、(流体を含む(標的体部位の)身体組織を通る電流の流れから生じる場合がある)電気分解の発生を妨げる/最小限に抑える。
【0063】
一部の実施形態では、ステップ260は、さらに又は代わりに連続刺激信号の印加を含む。
【0064】
一部の実施形態では、心拍数を測定するためにはわずか15秒が必要とされ、ECG示度を得るためにはわずか30秒が必要とされ、HRVを測定するためにはわずか60秒が必要とされる。一部の実施形態では、わずか1分の心臓修飾が、心機能に影響を及ぼす又は健康状態を達成するために十分であってよい。モニタリングと神経修飾の両方を含む刺激セッション(すなわち、モジュール100等のモジュールを使用する、方法200等の方法の適用)は、約6~7分かかる場合がある。より長い又はより短い持続時間のモニタリング及び治療も適用されてよい(例えば、期間は連続モニタリング及び治療のために秒、分、日、週、月、又は年単位であってよい)。
【0065】
本明細書に使用されるように、「心拍数」は、ECG細片又はパルス示度におけるRRピークの数によって測定される単位時間あたりの鼓動の数として定められる。「RR間隔」(RR)はECG信号の連続ピーク間の間隔である。「心拍変動性」(HRV)は、連続する正常な心拍の間の時間間隔の変動の現象(非不整脈)を指し、以下に定義されるSDNN、rMSSD、又はpNN50によって数値で表されてよい。
【0066】
一部の実施形態では、以下のデータのセット、つまりHRV、RR、AVNN、SDNN、rMSSD、pNN50、LF、及びHFは、ステップ230でのECG又は心拍数測定から得られてよい。時間領域HRV分析パラメータは以下を含む。「NN間隔」(「正常対正常の間隔」)は、(msec単位の)連続する正常な脈拍間の時間間隔として定義される。「平均NN」(AVNN)は、NN間隔の集合の平均として定義される。「NNの標準偏差」(SDNNms)は、NN間隔の集合の標準偏差として定義され、自律神経系の副交感神経(沈静化)活性を表す。「逐次差分の二乗平均平方根」(rMSSD msec)は、NN間隔の集合の隣接する(連続)NN間隔間の差の二乗の平均の平方根として定義され、自律神経系の副交感神経(沈静化)活性も表す。「NN50」は、NN間隔の集合で50msecより多く異なる、連続NN間隔の対の数として定義される。「NN50の割合及び/又は比率」(pNN50)は、集合中のNN間隔の総数連続で除算されるNN50として定義される。周波数領域HRVパラメータは以下を含む。「低周波活動」(LF ms2)は、低周波フーリエ係数の総累乗、つまりECG示度の0.04~0.15Hzとして定義され、自律神経系の副交感神経活性を表し、又は光学測定、圧力測定、若しくは任意の他のタイプの測定及び方法に基づいたモニタリングシステムを含む、心拍数トラッカー等の任意の他の心拍数モニタリングシステムの示度では、総累乗は範囲内のすべてのフーリエ係数の二乗された絶対値の合計として定義される。「高周波活動」(HFms2)は、心拍数モニタリングシステムの示度の高周波フーリエ係数、つまり0.15~0.4Hzの総累乗として定義され、自律神経系の交感神経(加速)活性を表す。また、LF及びHFは、n.u.で計算され、提示されてもよい。LF対HFの比率(LF/HF比)は、それが交感神経系と副交感神経系との間のバランス及び心拍数及び心調律に対するその直接的な影響を伝えるので、神経系によって計算される要な測定値である。TP(ms2)及びVLF(ms2)等の他の周波数領域パラメータも計算されてよい。
【0067】
一部の実施形態では、モジュール100は、神経修飾を実施することなくモニタリングを実施するため、及びその逆のために使用されてよい。例えば、(ステップ230で得られた)モニタされた心臓パラメータの値に基づいて、ユーザは神経修飾を省略することを決定してよい、又はモニタされた心臓パラメータの値に基づいて、神経修飾が必要とされないことがステップ240で判断されてよい。
【0068】
一部の実施形態では、ユーザは刺激パラメータを手作業で選択し、ステップ210から240を省略してよい。例えば、ユーザは以前のセッションの保存された刺激パラメータを選択してよい。一部の実施形態では、ユーザがいくつかのデフォルト刺激設定値から刺激設定値を選択し、ステップ210から240を省略してよい。デフォルトの刺激設定値のそれぞれは、刺激パラメータの異なる集合に基づいてよい。
【0069】
一部の実施形態では、モジュール100は、無線通信によって又は有線通信によって(例えば、USBケーブルによって)例えばユーザのスマートフォン、スマートウォッチ、ホームハブ等の外部エージェント(外部装置)に情報を送信し、また情報を受信するように構成される。例えば、二重機能電極126とモニタリング電極132との間の電位差の測定された変動等の測定データは、スマートフォン、コンピュータ、クラウドサーバ等の外部エージェントに送信され、測定データはステップ230でモニタされる心臓パラメータの値を得るために処理される。また、ステップ240での刺激パラメータの決定も、モニタされた心臓パラメータの得られた値を使用し、外部エージェントによって実行される。モニタされた心臓パラメータの得られた値(略して「取得されたデータ」)及び刺激パラメータは、以下に説明されるように、将来の参照のために外部エージェント上のメモリに記憶されてよい。また、刺激パラメータは、所望される生理学的効果を達成するために、例えば特定の刺激連隊/プロトコルの事前に設定されたパラメータ等の取得されたデータとは無関係に、外部エージェントからモジュール100に直接送信されてもよい。
【0070】
一部の実施形態では、方法200は、刺激モードとモニタリングモードの切替え/交替を含んでよい。(事前に設定された)刺激期間に続き、モジュールは、モニタされた心臓パラメータの更新された値を得るために自動的にモニタリングモードに切り替わって戻ってよい。刺激パラメータは相応して調整される(つまり、更新された値を考慮に入れる)。モジュールは、次いで刺激モードに切り替わって戻り、刺激を適用することを再開する等であってよい。
【0071】
一部の実施形態では、刺激パラメータは、特定の生理学的状態に応えて外部モニタリング装置によって取得されるデータに従って調整されてよい。モジュールはモニタリングモード中モジュールから又はさらに/代わりに外部モニタリング装置から取得される情報に従って自動刺激フィードバック応答を提供してよい。例えば、モジュールは、得られたHRV示度が低い(例えば、上述された心臓学ガイドラインによって示される正常値よりも低い)ときに低周波数、つまり0.1~5.0Hzを有する電流信号を管理し、HRV示度が高いときに、例えば5~200Hz等、高周波を有する電気刺激電流を管理する、又はその逆となるようにプログラムされ、それによってそれぞれHRVを増加及び減少させ、このようにしてモニタされる心機能パラメータの更新された値に基づいて刺激パラメータを最適化するための自動フィードバック応答方法を提供してよい。他の刺激パラメータ及びモニタされた心臓パラメータも使用されてよい。
【0072】
一部の係る実施形態では、方法200は、24時間体制のモニタリング及び治療を含み、モジュール100は係る動作モードを可能にするように構成される。モニタリングは、医療サービス提供者によって忠告されるように、例えば所定の分数又は時間数ごとに、連続してよい又はスケジュールされてよい。一部の実施形態では、各刺激セッションで使用される、モニタリングモードから取得されたデータ及び電気刺激パラメータの値は記録されてよく、成功した個別電気刺激パラメータのパターン及びシーケンスは、将来の治療のために例えば外部装置のメモリに記憶されてよく、係る外部装置はスマートフォン、スマートウォッチ、コンピュータ、クラウドサーバ等であってよい。一部の実施形態では、外部装置は、モジュール100等のモジュールが成功した刺激セッションを識別し、このようにして治療を、個人的な個別のニーズにカスタマイズし、最適化することを可能にする人工学習機能を含み、一部の実施形態では、人工学習機能はクラウドサーバに記憶され、分析されるデータに基づく。
【0073】
一部の実施形態では、モジュール100は、電極間を通過する電流、磁気、インピーダンス変化等の電極間の電位差を超える追加の量を測定するように構成される。一部の実施形態では、ステップ230で、電極間の電位差を超える追加の量が測定されてよく、ステップ240で決定される刺激パラメータは追加の量の測定データも考慮に入れて決定される。ECGの代わりに、モジュール100は、動脈での血流のパルス波によって被られるインピーダンスの変動を測定することによって心拍数を得ることを容易にしてよい。
【0074】
一部の実施形態では、モジュール100は、例えば光学測定又は血圧測定を実施することによって心機能をモニタするように構成された1つ以上の追加の心機能モニタ構成要素をさらに含む。二重機能電極126及びモニタリング電極132を使用し、モニタされる心機能の少なくとも1つの値は、1つ以上の追加の心機能モニタリング構成要素の測定データも考慮に入れることによって得られ、それによって改善された心臓パラメータ決定/推定をできる限り可能にしてよい。
【0075】
有利なことに、モジュールつまり装置は、神経系‐心臓血管系の相互作用を強化するだけではなく、心機能をモニタすることと治療することの両方も可能であってよく、(a)心臓活動と健康の状態との間の上述された相互関係による健康補助器具として、及び(b)例えばスポーツのパフォーマンス及び回復を改善し、したがって全体的なフィットネスパフォーマンス及び目標を強化するだけではなくケガの可能性も削減するために、ユーザが、運動のセッション前、セッション中、及びセッション後に自分の心臓活動及びHRVに影響を与えることができるフィットネス補助器具としての有用性を有してもよい。一部の実施形態によると、刺激パラメータは、高速調整ループを提供するために最近に取得された測定データに基づいて調整されてよく、長期ループを提供するために取得された測定データの履歴に基づいて調整されてもよい。
【0076】
ここで、一部の実施形態に従って、モジュール300の内部回路網を概略で示す
図3が参照される。モジュール300は、モジュール100の例の実施形態を提供する(及び(
図1a~
図1cに示される)そのすべての番号を付けられた構成要素を含む)。モジュール300はさらに、制御部310、通信部320、電圧計/電位差計(不図示)を含む心機能モニタリング部334(略して「モニタリング部334」)、電源(不図示)を含む電気刺激誘発部338(略して「刺激部338」)、第1のスイッチ344、及び第2のスイッチ348をさらに含む。
【0077】
本明細書に使用されるように、「電圧計」又は「電位差計」は、検流計を含むアナログ電圧計、デジタル電圧計、電界効果トランジスタ電圧計(FET‐VM)、オシロスコープ等、少なくとも2つの場所の間の電位差を測定するための装置を指してよい。一部の実施形態では、測定は連続及び/又は間欠であってよい。一部の実施形態では、電位差は個々にサンプリングされてよい。本明細書に使用されるように、「電源」は、電池、EMF源、直流(DC)源、交流(AC)電源、電磁誘導を介して電流を生成する装置等を含む、2つの場所間で電流及び/又は電位差を誘発できる装置を指してよい。本明細書に使用されるように、用語「スイッチ」はモジュール又はそのパーツのより多くの機能及び/又はパラメータの1つの制御のために制御及び/又はシグナリングを容易にするための要素を指してよい。一部の実施形態では、スイッチは、モジュールの少なくとも2つのパーツの間での制御可能な電気関連付けを容易にしてよい。
【0078】
通信部320、モニタリング部334、刺激部338、第1のスイッチ344、及び第2のスイッチ348は制御部310と関連付けられる。刺激部338は、刺激電極122と及び第2のスイッチ348とさらに関連付けられる。二重機能電極126は、スイッチ344と及び第2のスイッチ348とさらに関連付けられる。モニタリング部334は、第1のスイッチ344と及びモニタリング電極132とさらに関連付けられる。関連付けられた要素は、まっすぐな実線(番号は付けられていない)によって接続されて示されている。本明細書に説明される関連付けのアーキテクチャは例示的であり、他の関連付けアーキテクチャが適用してよい。
【0079】
一部の実施形態では、制御部310等の制御部は処理回路網及びメモリ(ともに不図示)を含む。処理回路網は、特定用途向け集積回路(ASIC)、FPGA等のプログラム可能処理回路網、ファームウェア等であってよい。一部の実施形態では、メモリは非一過性のメモリである。メモリはソリッドステートメモリ、磁気メモリ、フォトニックメモリ等を含んでよい。一部の実施形態では、メモリは一過性メモリである。制御部は、電気信号をフィルタにかけるように構成された少なくとも1つのフィルタ、少なくとも1つの電圧及び/若しくは電流増幅器、少なくとも1つのアナログ/デジタル電気信号変換器、並びに/又は少なくとも1つのデジタル/アナログ電気信号変換器(不図示)をさらに含んでよい。
【0080】
第1のスイッチ344は、モニタリング部334及び二重機能電極126を制御自在に電気的に関連付ける及び切り離し、それによってモニタリング電極132及び二重機能電極126を制御自在に関連付ける及び切り離すように構成される。第2のスイッチ348は、刺激部338及び二重機能電極126を制御自在に電気的に関連付ける及び切り離し、それによって刺激電極122及び二重機能電極126を制御自在に関連付ける及び切り離すように構成される。第1のスイッチ344及び第2のスイッチ348は、制御部310によって制御される。
【0081】
第1の動作モードでは、二重機能モジュール126は刺激部338から電気的に切り離され、モニタリング部334と電気的に関連付けられ、それによってモニタリング電極132と二重機能電極126との間の電位差の測定を容易にする。第2の動作モードでは、二重機能電極126はモニタリング部334から電気的に切り離され、刺激部338と電気的に関連付けられ、それによって基本的に
図2の説明で上述されるように、刺激電極122と二重機能電極126との間に電流を誘発することによって標的体部位の少なくとも1つの神経を電気的に神経刺激することを容易にする。
【0082】
モニタリング部334は、例えば測定された電位差等、測定データを制御部310に伝送する/送信するように構成される。一部の実施形態では、制御部310は、モニタされる心臓パラメータ(例えば、心拍数、HRV)及び次の/フォローアップ神経修飾のための刺激パラメータの値を得るために測定データを処理するように構成される。一部の実施形態では、測定データの処理は、モジュール100、方法200の説明で説明され、以下にさらに詳説されるように、外部エージェントで実行される。一部の実施形態では、モニタリング部334は、モジュール300のユーザに対してECGを実行するように構成される。
【0083】
刺激部338は、第2の動作モードで、刺激電極122と二重機能電極126との間で電気信号(例えば、電圧信号又は電流信号)を生成するように構成される。刺激部338は、例えば刺激パラメータ等、コマンドを制御部310から得るようにさらに構成される。刺激パラメータは、生成された電気信号の時間依存性を指定してよい。
【0084】
特に、一部の実施形態では、刺激部338は、例えば所望される電流振幅及び/又は最大強度を達成するために、刺激電極122と二重機能電極126との間で印加される電圧及び周波数を自動的に調整するように構成される。本明細書に使用されるように、刺激信号の「最大強度」は、最高ピークとその最低トラフの絶対値との間での大きい方を指す。
【0085】
刺激部338は、例えば、AC電流源又は電気信号発生器を含んでよく、これにより(連続電圧/電流パルス、間欠電圧/電流パルス、及びバーストモードを含む電圧/電流を特徴付けるパラメータを含む)刺激部338によって生成される電圧/電流の強度、周波数、及び波形は、刺激パラメータに従って制御可能に変えられ、それによって上記に、及び
図2の説明の中で説明されるように標的体部位の少なくとも1つの神経の神経修飾を達成してよい。
【0086】
通信部320は、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートバンド、タブレット、及び/又はパーソナルコンピュータ等の外部エージェントに情報を送信する及び/又は外部エージェントから情報を受信するように構成される。情報(例えば、モニタされる心臓パラメータ、決定された刺激パラメータ)の送信及び受信は、無線で及び/又は有線で実施されてよい。通信部320は、セルラーネットワーク、及び/又はWi‐Fiによって(例えば、ユーザのクラウドストレージ、ユーザのパーソナルコンピュータ、ユーザの医療サービス提供者のコンピュータシステム、及び/又はユーザの医師/介護者のパーソナルコンピュータへの)長距離通信のために構成されてよい。代わりに又はさらに、通信部320は、例えばブルートゥース、NFC(近距離無線通信)技術、及び/又はWi‐Fiによって(例えば、ユーザのスマートフォン又はタブレットへの)短距離通信のために構成されてよい。
【0087】
特に、一部の実施形態では、通信部320は、制御部310からユーザのスマートフォン/スマートウォッチに情報を中継するために、及びユーザのスマートフォン/スマートウォッチから制御部310にコマンドを中継するために使用され、それによってモジュール300をスマートフォン/スマートウォッチによって制御及び操作することを容易にしてよい。
【0088】
一部の実施形態では、モニタされる心臓パラメータの値を決定するためのステップ230でのモニタリング部334測定データの処理、及びステップ240での刺激パラメータの決定は、例えばユーザのスマートフォン等の外部エージェントで実施されてよい。一部の係る実施形態では、制御部310はプロセッサを含まず、それによって制御部310の構成要素の数及び制御部310のサイズ、及び結果的にモジュール300のサイズを削減する。
【0089】
本開示の別の実施形態は、
図4a~
図4cに概略で示される。
図4a~
図4cは、一部の実施形態に従ってウェアラブル要素400(すなわちウェアラブルデバイス)を概略で示す。ウェアラブル要素400はモジュール100の例の実施形態を提供し、ユーザの手首、腕、又は前腕(及び一部の実施形態では、首又は脚)の回りに着用され、手首の正中神経の神経修飾を達成するように構成される。一部の実施形態では、ウェアラブル要素400はバンド又はブレスレットとして成形される。
【0090】
図4aに示されるように、ウェアラブル要素400は、ウェアラブル要素400の内周(番号は付けられていない)に沿って伸長する内面414、及びウェアラブル要素400の外周(番号は付けられていない)に沿って伸長する外面418を含む。ウェアラブル要素400は、手首の回りのウェアラブル要素400の締め付けること及び緩めること、ウェアラブル要素400のその上への設置、及びウェアラブル要素400のそこからの取外しを容易にする固締具/クラスプ(不図示)をさらに含んでよい。ウェアラブル要素400がバンドとして成形される一部の実施形態では、バンドは弾性的であってよい。一部の係る実施形態では、ウェアラブル要素400は固締具を含まない。
【0091】
モニタリング電極、つまりモニタリング陰極420は外面418内/上に埋め込まれ、これによりモニタリング陰極420の外面は露出される。二重機能電極、つまり二重機能陽極424は内面414内/上に埋め込まれ、これにより二重機能陽極424の外面は露出され、モニタリング陰極420の反対に位置する。刺激電極、つまり刺激陰極432は内面414内/上に埋め込まれ、これにより刺激陰極432の外面は露出される。一部の実施形態では、二重機能陽極424及び刺激陰極432は内面414から突出する、及び/又はモニタリング陰極420は外面418から突出する。
【0092】
ウェアラブル要素400は、刺激部440(つまり、電気刺激誘発部)、モニタリング部450、タイマ454、タッチスクリーン等のグラフィックユーザインタフェースを含むディスプレイ460、通信部474、及び電池480をさらに含む。
【0093】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素400は、1つ以上のノブ464464(例えばボタン)をさらに含む。一部の実施形態では、ディスプレイ460はタッチスクリーンを含まず、ノブ464はウェアラブル要素400の動作を制御するために使用される。一部の実施形態では、ウェアラブル要素400は電池480を充電するための充電器ソケット494をさらに含む。一部の実施形態では、電池480は無線で充電されてよく、取外し可能であってもよい。
【0094】
ウェアラブル要素400の中の上記の番号が付けられた構成要素(例えば、モニタリング部450、タイマ454)の位置決めは例示的であり、ウェアラブル要素400の中の構成要素の他の位置決めが適用してよいことに留意されたい。
【0095】
図4bは、一部の実施形態に従って、側面視野から手首484の回りに固締されたウェアラブル要素400を概略で示し、手首内側部分486は目に見える(すなわち、手首484の内側部分)。さらに示されているのは、手482(手首484に隣接している)であり、これによって手482の掌(番号は付けられていない)が目に見える。正中神経488は手482から離れて手首484に沿って伸長する。
【0096】
図4cは、手首484及びウェアラブル要素400を含む、
図4bの一部分の拡大図を示す。モニタリング陰極420は図示されていない。内面414だけに露出され、二重機能陽極424及び刺激陰極432は、ウェアラブル要素400が着用されるとき目に見えず、したがってそれぞれは(可視電極を示すために、
図1a~
図1cで及び
図4bで使用されるパターンが塗りつぶされた円と対照的に)破線によって表現される空の円によって概略で示される。二重機能陽極424及び刺激陰極432がともに手首内側部分486と皮膚接触し、二重機能陽極424が手首484で正中神経488に近接して位置するように、ウェアラブル要素400は手首484の回りに十分にきつく固締されてよい。刺激陰極432は、二重機能陽極424よりも手482の親指498により近く位置してよい。
【0097】
ウェアラブル要素400は、実質的に
図2に説明されるように操作される。モニタリングモードでは、ユーザは、例えばモニタリング陰極420の上に対向した指(例えば、
図4bに示されるように、ウェアラブル要素400が左手首の回りに着用されるときは右の指)を置き、モニタリング陰極420と二重機能陽極424との間の電圧の時間的変動がモニタされ、それによって以下に及び
図2の説明で詳説されるように心拍数の測定を達成する。
【0098】
モニタリング部450は刺激部440と、タイマ454と、ノブ464と、通信部474と、電池480と、及び/又は他の構成要素と関連付けられる。モニタリングモード(つまり、第1のモード)で、モニタリング部450は、モニタリング陰極420と、刺激陰極432から電気的に切り離される二重機能陽極424の両方と電気的に関連付けられる。モニタリング部450は電圧計(不図示)を含み、モニタリングモードで(例えば、ステップ230で)モニタリング陰極42と二重機能陽極424との間の電位差をモニタする(連続的に測定する又は間欠的に測定する)ように構成され、それによって心拍数測定を達成し、このことが
図2の説明で詳説されるように、心臓パラメータの予測/計算(及び/又はECG/HRV示度を得ること)を可能にする。
【0099】
モニタされた心臓パラメータの値は、保存され、日付を付けられ、記録され、分類され、それによって例えば安静時に、体力トレーニング後、及び第2の動作モードで提供される治療後等の異なるときに及び異なる状態で得られる心臓パラメータ間の比較を容易にしてよい。一部の実施形態では、予測/計算はウェアラブル要素400と通信で関連付けられた外部エージェントによって実行される。一部の実施形態では、モニタリング部450は、プロセッサ及びメモリ(すべて不図示)を含む計算部をさらに含み、予測/計算は計算部によって実行されてよい。
【0100】
刺激部440は、モニタリング部450と、タイマ454と、ノブ464と、通信部474と、電池480と、及び/又は他の構成部品と関連付けられる。刺激モード(つまり、第2のモード)では、刺激部440は刺激陰極432と、モニタリング陰極420から電気的に切り離される二重機能陽極424の両方と電気的に関連付けられる。(二重機能陽極424及び刺激陰極432は、刺激モードで反対の極性を有するように構成される。)刺激部440は、AC電流源若しくはDC電流源等の電源を含んでよい、又は電池480によって電力を供給されてよい電気信号発生器を含む。刺激部440は、刺激モードで電気刺激信号を生成するように構成される。(例えば、ステップ240で)モニタされた心臓パラメータの値に基づいて決定された(刺激信号を特徴付ける)刺激パラメータは、正中神経488の神経修飾を達成するために刺激部440によって使用されてよい。神経修飾は、二重機能陽極424、刺激陰極432、及び正中神経488のセグメント近くの若しくはセグメントを(おそらく部分的に)含む部位を含む伝導路を介して電流を伝導することによって達成される。第2の動作モードで提供される電気神経刺激が、伝導路及び誘発される電流が手首484の内側部分に実質的に制限されるという意味で局所的であることに留意されたい。正中神経488のこの局所的な電気刺激は、神経ホルモンのバランス及び自律神経系の制御に影響を及ぼし、結果的に神経刺激関係のホルモンの分泌及びストレス関係のホルモンの分泌の減少を引き起こし、それによって心拍数、心調律、HRV、及び/又は心的状態に影響を及ぼす場合がある。正中神経488の制御可能な電気刺激は、このようにして非接触の電極(つまり、二重機能陽極424及び刺激陰極432)を使用し、心拍数及びHRVの間接的な制御可能な影響を可能にしてよい。
【0101】
一部の実施形態では、通信部474は、刺激部440、モニタリング部450、及び/又はタイマ454と関連付けられる。通信部320と同様に、一部の実施形態では、通信部474は、1つ以上の外部エージェントに情報を送信する及び1つ以上の外部エージェントから情報を受信するように構成される。外部エージェントは、基本的に上記に及び方法200及びモジュール300の説明で説明されるように、データ処理の一部又はすべてを実行する及び/又はウェアラブル要素400を制御するために使用されてよい。
【0102】
一部の実施形態では、タイマ454は、刺激セッション及び/若しくはモニタリングセッションの持続時間、又は刺激パルスの持続時間、並びに連続刺激パルス間の時間間隔の持続時間等に関係する動作のために使用されてよい時間情報を提供するように構成されてよい。
【0103】
ディスプレイ460は、第1の動作モードで得られる心臓パラメータを表示するように構成される。一部の実施形態では、ノブ464は、表示される1つ以上の心機能パラメータ、又は異なる測定で得られる同じ心機能パラメータのグループの1つ以上を選択することを容易にし、それによって異なるとき及び条件での心機能の比較を容易にするように構成される。また、ディスプレイ460は、第1の動作モードの間の心機能パラメータを表示するように構成されてもよい。例えば、ディスプレイ460は、ユーザの心臓のリアルタイムECG示度又はほぼリアルタイムECG示度を表示してよい。
【0104】
一部の実施形態では、
図4aに例証されず、ウェアラブル要素400はディスプレイ460又は任意のタイプのディスプレイを含まない。モニタされる心臓パラメータの値は、ウェアラブル要素400から(例えば、Wi‐Fi、NFC、及び/又はブルートゥースによって)情報を受信してよい、ユーザのスマートフォン上に及び/又は例えばスマートウォッチ、タブレット等の他の外部装置上に表示されてよい。
【0105】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素400は、例えばスマートフォン及び/又はスマートウォッチ等の外部エージェント(複数可)を介して部分的に又は完全に制御されてよい(例えば、オン及びオフに切り替えられてよい、モニタリングを開始又は停止させられてよい)。一部の実施形態では、ウェアラブル要素400は、ノブ464又は任意の他のタイプのユーザインタフェースを含まず、外部エージェント(複数可)を介してのみ制御されてよい。
【0106】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素400は、ユーザの左手首の回りに着用されるように構成される。一部の実施形態では、ウェアラブル要素400はユーザの左手首と右手首の両方の回りに着用されてよい(及び、その中のそれぞれの神経を電気的に刺激するために使用されてよい)。
【0107】
図5a~
図5bは、単一の被験者に対する
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前及び後に心臓パラメータをモニタした結果を示す。刺激治療の前に、
図5aに示されるように、SSDNパラメータは37.69であり、rMSSDパラメータは26.46であり、心拍数は73bpmであった。刺激セッション後、
図5bに示されるように、SSDNパラメータは71.58であり、rMSSDパラメータは48.93であり、心拍数は63bpmであり、HRV関係のパラメータと心拍数の両方での著しい改善を示す。
【0108】
図5c~
図5eは、22人の被験者に対する
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する、モニタリング及び治療の結果を示す。
図5cは、22人の参加者のSSDNパラメータを、それが刺激セッションの前及び後で、大幅に平均で改善したので示す。
図5dは、22人の参加者のrMSDDパラメータを、それが刺激セッションの前及び後で、大幅に平均で改善したので示す。
図5dは、22人の参加者の心拍数を、それが刺激セッションの前及び後で、大幅に平均で改善したので示す。
【0109】
図5c~
図5eに示されるデータの要約は以下の表に示される。
【表1】
【0110】
図5f~
図5gは、単一の被験者に対する
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の前及び後のECG記録の結果を示す。
図5fで、心臓の不整脈は非常に明確に通知である場合があり、5分間にわたる総鼓動が326拍動に達し、それらの5分間での総VPCは42であり(総鼓動の12.8%に達し)、平均心拍数は65bpmであった。刺激セッション後、
図5gに示されるように、5分間にわたる総鼓動が300鼓動であり、それらの5分間の総VPCが8であり(総鼓動の2.6%に達し)、平均心拍数が60bpmであったので、不整脈は劇的に改善した。
【0111】
SDNN、rMSSD、pNN50、及びLF/HFはHRVを分析するために当該技術で使用される異なるパラメータであることに留意されたい。上記パラメータの低示度によって数値で表されるように、低いHRVは、上述されたように、心臓血管系に対する自律神経系の不十分な伝達及び制御を示すと見なされる。低HRVの相関現象は、心臓血管の健康の不良、高ストレス状態、睡眠不足、又は不十分な身体的回復能力を示す場合がある。実験の結果は、このようにして治療に続くHRVの著しい改善を示し、上記の条件について開示された実施形態のいくつかの潜在的な利点を強調している。
【0112】
図4aのウェアラブル要素の第2世代のモデルを使用する治療の効能及び効果を評価するための研究が実施され、その結果は以下の表及び対応する
図6に提供される。
【表2】
【0113】
図6は、治療前の34.6から治療後の43.6へのグループ平均SDNNの改善、及び治療前のグループ平均の29.3から治療後の42.4へのrMSSDの改善を示す結果を概略で示す。
【0114】
減少する心拍数は、速度制御及びリズム制御を含む心臓学の不整脈治療戦略の一部である。また、結果は、不整脈に対する感受性の減少及びアスリートの心拍数回復時間の減少も表す場合がある5%に近い減少した心拍数を示す。
【0115】
一部の実施形態では、例えばウェアラブル要素400(並びにモジュール100及び300)等のモジュール又はウェアラブル要素は、フィットネス装置として使用され得る。モニタリングモードで得られたHRVデータは、(体力)トレーニングセッションの前の身体の準備を決定し、改善されたトレーニングセッション計画の確立に役立つために使用されてよい。さらに、長時間(例えば、数日、数週間、又は数カ月)に亘る繰り返されるモニタリングから得られるHRVデータは、フィットネスの進歩をモニタする/評価するために、並びにトレーニング計画、及び/又はトレーニングセッションの前、間、及び/又は後に行われる治療(つまり、本明細書に開示される装置及び方法を使用し、行われる神経修飾)に対して調整を提供するために使用されてよく、相応して作成できるだろう。さらに本開示の一態様、つまり神経修飾能力は、HRVパラメータを改善することによってトレーニングセッションの身体的なパフォーマンス及び回復を直接的に強化してよい。トレーナはこのようにして、トレーニングの前、間、及び後のモニタリングのため、及びトレーニングでのパフォーマンスを改善するための両方にモジュールを使用できるだろう。
【0116】
本明細書に開示される装置及び方法の一部の実施形態に係る治療だけではなくモニタリングに基づいた例のトレーニングセッションは、以下のステップのいくつか又はすべてを含んでよい。
‐手首の上にモジュールを付け、モニタリングモードを選択するステップと、
‐上述されたように、HRVを測定するステップと、
‐刺激モードを選択し、トレーニングセッション目標(例えば、軽度、中度、強度、及び/又は有酸素又は強度、及び抵抗トレーニング等)を決定するステップ。トレーニングセッションの目標は、HRV示度を考慮して決定されてよい。
‐モジュール、又はモジュールと通信する外部エージェントは、モニタリングモードで取得されるデータに従って、及びトレーニングセッションの目標に従って刺激パラメータの値を自動的に決定してよい。例えば、処理部アルゴリズムは、モニタされる取得データパラメータ及び所望されるセッション目標又は治療目標に従って、低周波刺激(0.5~5Hz)又は高周波刺激(例えば、100Hz)を出力するようにプログラムされてよい。他のモニタリングパラメータ及び刺激パラメータも活用できるだろう。代わりに、トレーナは手作業で刺激パラメータを選択してよい。
‐モジュールは刺激モードとモニタリングモードとを自動的に切り替えてよく、これにより更新されたHRV示度を得るために刺激の期間の後にはモニタリングの期間が続いてよい。モジュールは、更新されたHRV示度に従って刺激パラメータの値を自動的に調整してよい。
‐トレーニングセッションが完了すると、フィットネス回復を最適化するための低周波刺激が手作業で選択されてよい、又はモジュールによって自動的に提案され、実行されてよい。
‐任意選択で、刺激パラメータは、クラウドサーバ、又は他のユーザに関係するデータ分析並びに/又は以前の刺激及び測定に基づいて刺激パラメータを決定するように構成された外部計算部によって提供されてよい。
【0117】
本開示の別の実施形態は、
図7a~
図7cに概略で示される。
図7aは、一部の実施形態に係るウェアラブル要素700を示す。ウェアラブル要素700は、モジュール100の例の実施形態を提供する。ウェアラブル要素700はウェアラブル要素400に基本的に類似しているが、追加の刺激電極をさらに含むことで異なる。ウェアラブル要素700の電極をウェアラブル要素400の対応する電極と区別するために、ウェアラブル要素700のすべての電極は新しい番号を割り当てられる。一方、ウェアラブル要素700のすべての他の要素は、ウェアラブル要素400のそのそれぞれの対応物の番号を保持する。
【0118】
ウェアラブル要素700は、モニタリング電極720、二重機能陽極724、第1の刺激陰極732、及び第2の刺激陰極736を含む。モニタリング陰極720は、外面418内/上に埋め込まれる。二重機能陽極724は、モニタリング陰極720と反対に、内面414内/上に埋め込まれる。第1の刺激陰極732及び第2の刺激陰極736は、内面414内/上に埋め込まれる。第1の刺激陰極732、二重機能陽極724、及び第2の刺激陰極736は、ウェアラブル要素700の内周に沿って連続して配置される。すなわち、二重機能陽極724は、第1の刺激陰極732と第2の刺激陰極736との間に位置し、第1の刺激陰極732は親指498に最も近く位置する。すべての電極のそれぞれの外面(番号が付けられていない)が露出される。
【0119】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素700の要素間の関連付けは、以下に詳説されるように、(ウェアラブル要素400で対応物を有さない)第2の刺激陰極736を含む余分な関連付けは別として、ウェアラブル要素400でのそのそれぞれの対応物の関連付けと同一である。
【0120】
図7bは、一部の実施形態に従って、ウェアラブル要素700がその上に着用された手首484の内側部分の図を概略で示す。内面414だけに露出され、二重機能陽極724及び刺激陰極732及び736は、ウェアラブル要素700が着用されるとき目に見えず、したがってそれぞれは破線によって表現される空の円によって概略で示される。モニタリング陰極720は図示されていないが、(基本的に
図4bのモニタリング陰極420と同様に)二重機能陽極724と反対に外面418内/上に位置決めされると理解される。ウェアラブル要素700は、二重機能陽極724、並びに刺激陰極732及び736が手首内側部分486とすべて同時に皮膚接触し、二重機能陽極724が正中神経488に近接して位置するように、手首484の回りで十分にきつく固締することを容易にするように構成される。ウェアラブル要素700の第1の動作モードは、基本的にウェアラブル要素400の第1の動作モードに類似し、モニタリング陰極720及び二重機能陽極724は、それぞれモニタリング陰極420及び二重機能陽極424に類似する役割を果たす。
【0121】
ウェアラブル要素700の第2の動作モードは、ウェアラブル要素400の第2の動作モードに類似しているが、2つの代わりに3つの電極が神経修飾のために使用され、電極が二重機能陽極724並びに刺激陰極732及び736である点で異なる。正中神経488の神経修飾は、2つの伝導路を同時に閉じることによって達成される。(ウェアラブル要素400の第2の動作モードで閉じられる伝導路に類似する)第1の伝導路は、二重機能陽極724、第1の刺激陰極732、及び正中神経488の第1のセグメント近くの若しくは第1のセグメントを(おそらく部分的に)含む部位を含む第1の領域を通過する。第2の伝導路は、二重機能陽極724、第2の刺激陰極736、及び正中神経488の第2のセグメント近くの若しくは第2のセグメントを(おそらく部分的に)含む部位を含む第2の領域を通過する。一部の実施形態では、正中神経488の第1のセグメント及び第2のセグメントは同じである。
【0122】
追加の動作モードが適用してよい。例えば、動作モードは、正中神経に対する、手首の回りでのウェアラブル要素700の置き違えを補償するために刺激陰極732及び736の活用を改変することによって反復刺激を含んでよい。
【0123】
第2の刺激陰極(第2の刺激陰極736)の存在が、刺激モードで、刺激陰極732及び736の結合された表面積が刺激陰極432の表面積よりも潜在的に大きいために、二重機能陽極424を通して便利に/安全に伝導できる最大電流よりも大きい電流を、二重機能陽極724を通して伝導することを容易にしてよいことに留意されたい。
【0124】
一部の実施形態では、第1の刺激陰極732も二重機能である。刺激モードで、第1の刺激陰極732機能は変わらないままである(すなわち、第1の刺激陰極732は上述されたように機能する)。しかしながら、モニタリングモードで、第1の刺激陰極732はもはや受動的ではなく、モニタリング電極の機能を果たす。より詳細には、モニタリングモードで、第1の刺激陰極732及び二重機能陽極724は、例えば等電位面を形成するために電気的に関連付けられ、それによって単一電極の機能を効果的に果たす。心臓パラメータのモニタリングは、モニタリング電極720と、第1の刺激陰極732及び二重機能陽極724によって形成される実質的に等電位面との間の電位差の時間的変動をモニタすることによって実行される。第1の刺激陰極732によって提供される刺激接触の増加は、潜在的にECG示度の改善を達成することを可能し得る。
【0125】
本開示の別の実施形態は、
図8a~
図8cに概略で示される。
図8aは、一部の実施形態に係るウェアラブル要素800を示す。ウェアラブル要素800は、モジュール100の例の実施形態を提供する。ウェアラブル要素800はウェアラブル要素700に基本的に類似しているが、以下に詳説されるように、追加の陽極をさらに含むことで、及び任意選択で電極の空間的配置で異なる。ウェアラブル要素800の電極をウェアラブル要素700の対応する電極と区別するために、ウェアラブル要素800のすべての電極は新しい番号を割り当てられる。一方、ウェアラブル要素800の他のすべての要素は、ウェアラブル要素700のそのそれぞれの対応物の番号を保持する。
【0126】
ウェアラブル要素800は、モニタリング陰極820、二重機能陽極824、第1の刺激陰極832、第2の刺激陰極836、及び刺激陽極878を含む。モニタリング陰極820は、外面418内/上に埋め込まれる。二重機能陽極824は、モニタリング陰極820と反対に、内面414内/上に埋め込まれる。第1の刺激陰極832、第2の刺激陰極836、及び刺激陽極878は、内面414内/上に埋め込まれる。第1の刺激陰極832、二重機能陽極824、刺激陽極878、及び第2の刺激陰極836は、ウェアラブル要素800の内周に沿って連続して配置される。すなわち、二重機能陽極824は、刺激陰極832と刺激陽極878との間に位置し、刺激陽極878は二重機能陽極824と第2の刺激陰極836との間に位置し、第1の刺激陰極832は親指498に最も近く位置する。すべての電極のそれぞれの外面(番号は付けられていない)が露出されている。一部の実施形態では、内面内/上の電極のいずれか1つ以上は二重機能電極であってよい。
【0127】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素800の要素間の関連付けは、以下に詳説されるように、(ウェアラブル要素700で対応物を有さない)刺激陽極878を含む余分な関連付けは別として、ウェアラブル要素700でそのそれぞれの対応物の関連付けと同一である。
【0128】
図8bは、一部の実施形態に従って、ウェアラブル要素800がその上に着用された手首484の内側部分の図を概略で示す。内面414だけに露出され、陽極824及び878並びに陰極832及び836は、ウェアラブル要素800が着用されるとき目に見えず、したがってそれぞれは破線によって表現される空の円によって概略で示される。モニタリング陰極820は図示されていないが、(基本的に
図4bのモニタリング陰極420と同様に)例えば二重機能陽極824と反対に外面418内/上に位置決めされると理解される。ウェアラブル要素800は、陽極824及び878並びに陰極832及び836が手首内側部分486とすべて同時に皮膚接触し、二重機能陽極824が正中神経488、492に近接して位置し、刺激陽極878が尺骨神経890に近接して位置するように、手首484の回りで十分にきつく固締することを容易にするように構成される。第3のウェアラブル要素800の第1の動作モードは、基本的にウェアラブル要素700の第1の動作モードに類似し、モニタリング陰極820及び二重機能陽極824は、それぞれモニタリング陰極720及び二重機能陽極724に類似する役割を果たす。
【0129】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素800の第2の動作モードで、正中神経488と尺骨神経890の両方とも同時に電気的に刺激される。正中神経488の神経修飾は、二重機能陽極824、第1の刺激陰極832、及び正中神経488のセグメント近くの若しくはセグメントを(おそらく部分的に)含む第1の部位を通る第1の伝導路を閉じることによって達成されてよい。尺骨神経890の神経修飾は、刺激陽極878、第2の刺激陰極836、及び尺骨神経890のセグメント近くの若しくはセグメントを(おそらく部分的に)含む第2の部位を通る第2の伝導路を閉じることによって達成されてよい。
【0130】
追加の動作モードが適用してよい。例えば、正中神経488及び尺骨神経890の1つだけが選択的に神経修飾されてよい、又は正中神経488及び尺骨神経890は交互に神経修飾されてよい。さらに、動作モードは、第3のウェアラブル要素800の置き違えを補償するために刺激陰極832及び836の活用を改変することによって反復刺激を含んでよい。
【0131】
一部の実施形態では、内面414での電極の配置は異なってよい。一部の実施形態では、二重機能陽極824は刺激陰極832と836との間に位置し、第2の刺激陰極836は陽極824と刺激陽極836との間に位置し、これにより第1の刺激陰極832、二重機能陽極824、第2の刺激陰極836、及び刺激陽極878は第3のウェアラブル要素800の内周に沿って連続して配置される。係る配置は、より幅広い手首を有する、したがって正中神経488及び尺骨神経890のより大きい分離を有するユーザにとってより適していてよい。
【0132】
一部の実施形態では、刺激陽極878及び第2の刺激陰極836の役割は制御可能に逆転されてよい。すなわち、ウェアラブル要素800はさらに、ユーザが第1の構成と第2の構成を制御可能に切り替えることを可能にするスイッチ(不図示)をさらに含む。第1の構成では、二重機能陽極824及び第1の刺激陰極832は、上述されたように機能する。第2の構成では、二重機能陽極824及び刺激陰極832の極性は逆転される。第1の構成と第2の構成の切替えは、正中神経488と尺骨神経890の間の分離(つまり、距離)のユーザ毎の変動を補償してよい。狭い手首、したがって神経間のより小さい分離を有するユーザは、第1の構成を選択することを望む場合がある。幅広い手首、したがって神経間のより大きい分離を有するユーザは、神経間のより大きい分離のために、第2の刺激陰極836が刺激陽極878よりも尺骨神経890により近くてよい(二重機能陽極824は第1の刺激陰極832よりも正中神経488により近いままである)、第2の構成を選択することを望む場合がある。
【0133】
一部の実施形態では、刺激陽極878も二重機能であり、二重機能陽極824と同様に、刺激とモニタリングの両方のために使用されてよい。二重機能陽極824と刺激陽極878の両方を使用して達成されるモニタリングは、手首と皮膚接触する陽極外部表面積の増加(つまり、二重機能陽極424の外部表面積に比較する、二重機能陽極824及び刺激陽極878の結合された外部表面積)のために、1つの陽極だけを使用し、達成されるモニタリングと比較して改善されたECG信号につながる場合がある。
【0134】
一部の実施形態では、ウェアラブル要素400、700、及び800は、例えば前腕の正中神経及び/又は尺骨神経の神経修飾を達成するために、前腕の中間部又は前腕の近位部の回りに着用されてよい。一部の実施形態では、ウェアラブル要素は、例えば上腕の正中神経及び/又は尺骨神経の神経修飾を達成するために、上腕の回りで着用されてよい。一部の実施形態では、ウェアラブル要素は弾性的であってよく、例えば上述されたように神経修飾を達成するために、腕の任意の部分の回りに着用されるように調整されてよい。一部の実施形態では、ウェアラブル要素は、例えば脚部の1つ以上の末梢神経の神経修飾を誘発するために、例えば、腿の回り等、脚の回りに着用されてよい。一部の実施形態では、ウェアラブル要素400、700、及び800はユーザの脚又は首の回りに着用されて、その中の神経の神経修飾を達成してよい。
【0135】
本開示の別の実施形態は、
図9a~
図9bに概略で示される。
図9a及び
図9bは、一部の実施形態に従って、それぞれスマートウォッチ900の正面図及び背面図を概略で示す。スマートウォッチ900は、前面914及び後面918を有する腕時計本体910を含む。腕時計本体910は‐プロセッサ及びメモリを含む‐計算部及び電池(すべて不図示)を含む。スマートウォッチ900は、ストラップ外面924及びストラップ内面928を有する腕時計ストラップ920をさらに含む。前面914は、例えば(ディスプレイとしても機能する)タッチスクリーン等の腕時計ユーザインタフェース932を含む。
【0136】
スマートウォッチ900は、腕時計ストラップ920に埋め込まれたスマートモジュール950を含む。スマートモジュール950は、モジュール100の例の実施形態を提供する。一部の実施形態では、スマートモジュール950は、腕時計ストラップ920でのモジュール式長穴(不図示)での容易な設置及びモジュール式長穴からの取外しを容易にするという意味でモジュール式である。一部の実施形態では、モジュール式長穴は、異なるスマートモジュールを収容するように構成され、それによってユーザが所望される通りにスマートモジュールを交換できるようにする。スマートモジュール950は、モニタリング電極、つまりモニタリング陰極954をその外面(番号は付けられていない)に、並びに二重機能電極、つまり二重機能陽極958、及び刺激電極、つまり刺激陰極962をその内面(番号は付けられていない)に含む。モニタリング陰極954の外面(番号は付けられていない)は、ストラップ外面924に露出される。二重機能陽極958の外面(番号は付けられていない)及び刺激陰極962の外面(番号は付けられていない)はストラップ内面928に露出される。
【0137】
スマートウォッチ900は、二重機能陽極958が手首の正中神経に近接して位置するようにユーザの手首の回りに着用されるように構成される。腕時計ストラップ920は、例えば手首の内側部分と二重機能陽極958と刺激陰極962との間に皮膚接触を確立するために、固締され、締め付けられてよい。一部の実施形態では、手首は左手首である。有利なことに、左手首の刺激は、迷走神経に対する左正中神経の解剖生理学的関係により、右手首を刺激することに比較して強化された刺激効果を提供してよい。
【0138】
スマートモジュール950は、制御部、モニタリング部、及び刺激部(すべて不図示)を含む。モニタリング部は制御部と関連付けられ、制御部によって制御され、さらにモニタリング陰極954と関連付けられ、二重機能陽極958と選択的に関連付けられる。刺激部は制御部と関連付けられ、制御部によって制御され、さらに刺激陰極962と関連付けられているだけではなく、二重機能陽極958とさらに選択的に関連付けられる。制御部は、腕時計本体910の計算部によって制御され、計算部に情報を送信する、及び計算部から情報を受信するように構成される。モジュール950は、このようにして腕時計ユーザインタフェース932を通して制御され得る。特に、腕時計ユーザインタフェースは、心臓パラメータ及びECG示度(ECG示度990)を表示してよい。
【0139】
一部の実施形態では、本明細書に開示される装置及び方法は、心臓血管病理学の予測、予防、及び治療のために使用されてよい。より詳細には、上記の実施形態のモニタリングモードでの繰り返されるHR/HRV又はECGの測定は、神経‐心臓バランスの劣化をユーザに示し、心臓血管事象を予測してよい。例えば、LF又はLF/HF率の突然の機能障害は、心房細動(AF)履歴を有する患者のAF症状の発現の近づきつつある始まりを暗示する場合がある。刺激モードを操作することによって、HRパラメータ及びHRVパラメータは改善し、このようにしてAF症状の発現の発生を予防し得る。さらに、スケジュールされている予防的治療は刺激モードで活用されてよい。さらに、上記の実施形態は心臓事象の初期段階の間に使用されてよく、例えば病院での包括的治療の前の重大な緊急基本治療であることが判明する場合があることを提供する。また、上記の実施形態は、心臓血管手術又は事象の後に心臓血管パラメータを改善するために使用されてもよい。例えば、減少したHRVパラメータは、EU及び米国の心臓学学会(上記、発明の概要を参照すること)によって言及されるように、長期生存を改善するために、心筋梗塞後に対応されてよい。さらに、特定の心臓血管手術の後に上記の実施形態により適用されるスケジュールされる刺激連隊が後に続いてよい。例えば、心不整脈のアブレーション手術の前及び後のHRV減少が対処され、このようにして手術の結果をおそらく改善してよい。
【0140】
(
図5a及び
図5bの第2世代のプロトコルによって明示されるようなVPB(「心室性期外収縮」(VPC)としても知られる心室期外収縮)、APB(「心房性期外症候群」(APC)としても知られる心房性期外収縮、PAF(発作性心房細動)、CAF(慢性心房細動)、PsAF(持続性心房細動)、SVT(上室頻拍)、及び心房頻拍等の心不整脈は、上記の実施形態のモニタリング能力及び刺激能力から恩恵を受けてよい。冠血流減少、(心不全等の)心筋収縮性疾患、及び高血圧等の他の心臓血管疾患も対応されてよい。
【0141】
(モジュール100及び300、並びにウェアラブル要素400、700、及び800、並びにスマートウォッチ900等の)モジュール及びウェアラブル要素の一部の実施形態では、電極の半径は約1mmから約10mmに及んでよく、一部の実施形態によると約4mmから約6mmに及んでよい。それぞれ反対の極性を有する隣接する電極間の距離は、(内面114又は内面414等の同じ表面上の)隣接する電極のそれぞれの中心間の距離を介して数値化されるように、約3mmから約10mmに及んでよく、一部の実施形態に従って約15mmから約25mm又は約18mmから約22mmにも及んでよい。(モジュール100及び300、並びにウェアラブル要素400,700、及び800、並びにスマートウォッチ900等の)モジュール及びウェアラブル要素の一部の実施形態では、電極は約3~10mmの半径を有し、反対の極性を有する隣接する電極間の距離は10から20mmに及んでよい。
【0142】
一部の実施形態では、電極は、上述された範囲に類似する範囲にあるサイズ及び表面積を有する正方形、楕円形、又は任意の他の普通の若しくは普通ではない形状であってよい。
【0143】
電極の寸法は、電極が置かれる標的体部位に従って変わってよい。したがって、(モジュール100及び300、並びにウェアラブル要素400、700、及び800、並びにスマートウォッチ900等の)モジュール及びウェアラブル要素の一部の実施形態では、電極のサイズ及び表面積、並びに電極間の距離は、上記の範囲を超えて変わってよい。
【0144】
(モジュール100及び300、並びにウェアラブル要素400、700、及び800、並びにスマートウォッチ900等の)モジュール及びウェアラブル要素の一部の実施形態では、第2の動作モードでの伝導路(複数可)を介して伝導される電流(複数可)は、10μA(つまり、マイクロアンペア)から5Aに及んでよく、好ましくは100μAから500mA(つまり、ミリアンペア)に及んでよい。好ましい実施形態では、電流は1mAから15mAに及んでよい。正中神経及び尺骨神経を神経修飾するために使用される電気刺激信号の周波数は0.05Hzから1000Hzに及んでよく、好ましくは0.25Hzから100Hzに及んでよい。本明細書に使用されるように、用語「スマートウェア」及び「スマートバンド」は、ウェアラブル電子機器を指してよい。
【0145】
ここで、一部の実施形態に従ってモニタリング及び治療装置1000のブロック図を概略で示す
図10が参照される。一部の実施形態では、装置1000は、ECGモニタリング部1050等の心臓モニタリング部、及び電気刺激誘発部1040等の刺激誘発部を制御するように構成された、制御回路網1010等のコントローラを含む。一部の実施形態では、ECGモニタリング部1050は、例えばECG電極1020等のモニタリング電極に接続され、スイッチ1092等のスイッチング素子を通して二重機能電極1024にも接続される。一部の実施形態では、電気刺激誘発部1040は刺激電極1032に接続され、スイッチ1092を通して二重機能電極1024にも接続される。
【0146】
一部の実施形態では、制御回路網1010は、二重機能電極1024の接続をECGモニタリング部1050又は電気刺激誘発部1040のどちらかに制御可能に切り替えるためにスイッチ1092にも接続される。一部の実施形態では、制御要素1010は、電気刺激誘発部1040及び制御スイッチ1092が二重機能電極1024を電気刺激誘発部1040に接続するのを可能にする/オンにするために指示/信号を提供するように構成され、それによって電気刺激部1040は電流を駆動する又は刺激電極1032と二重機能電極1024との間の電位差を誘発するように構成される刺激モードを可能にする/開始する。
【0147】
一部の実施形態では、制御回路網1010は、ECGモニタリング部1050及び制御スイッチ1092が二重機能電極1024をECGモニタリング部1050に接続することを可能にする/オンにするために指示/信号を提供するようにさらに構成され、それによってECGモニタリング部1050がECG電極1020及び二重機能電極1024から電気(差異‐電気)信号を得るように構成されるモニタリングモードを可能にする/開始する。
【0148】
ここで、一部の実施形態に従って再帰的な治療及びモニタリングのための方法1100を概略で示す、
図11を参照する。一部の実施形態では、方法1100は、ユーザの心臓パラメータ(複数可)をモニタすることによって開始され(ステップ1102)、次いで心臓パラメータ(複数可)を分析し(ステップ1103)、パラメータ(複数可)に目標/標的を決定/設定し(ステップ1104)、決定された目標に基づいて刺激を提供する(ステップ1106)ことによって開始される。次いで、心臓パラメータ(複数可)は、刺激後に再度モニタされ(ステップ1108)、最近モニタされたパラメータ(複数可)が決定された目標及びモニタされたパラメータ(複数可)の以前の値と比較して分析される(ステップ1110)。分析に従って、新しい目標が設定されてよい、又は刺激パラメータが目標を達成するために修正されてよい。
【0149】
一部の実施形態によると、モニタリング及び治療装置は、特定の条件下での刺激に対する多様なパラメータの反応を研究し、刺激条件を適応させて、将来の治療/刺激セッションのための目標をよりよく満たすために機械学習アルゴリズムを含む/活用する。
【0150】
一部の実施形態によると、刺激パラメータ及び条件は、以前の刺激セッションの前に実行される測定に基づいて修正され、このようにして所望される効能を得るために閉ループ刺激及び調整サイクルを実行する。一部の実施形態によると、システムの閉ループサイクルは、刺激、測定を含み、分析コンピュータに測定を送信し、データを分析し、相応して刺激条件/パラメータを調整し、測定及び刺激装置に送り返し、調整されたパラメータを使用し、刺激を提供してよい。
【0151】
一部の実施形態によると、モニタリング及び治療装置は、モニタリング部の測定エラーを補正するためのエラー補正部又はアルゴリズムを含む。
【0152】
明確にするために、別々の実施形態との関連で説明される本発明の特定の特色は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡略に表現するために、単一の実施形態との関連で説明される本発明の多様な特色も、別々に又は任意の適切なサブコンビネーションで又は本発明の任意の他の説明される実施形態で適切として提供されてもよい。実施形態との関連で説明される特色は、そのようなものとして明示的に指定されない限り、その実施形態の基本的な特色と見なされない。
【0153】
一部の実施形態に係る方法のステップは特定の順序で説明されてよいが、本発明の方法は異なる順序で実施される説明されたステップの一部又はすべてを含んでよい。本発明の方法は、説明されたステップのすべて又は説明されたステップのいくつかだけを含んでよい。開示された方法の特定のステップは、そのようなものとして明示的に指定されない限り、その方法の必須のステップと見なされない。
【0154】
本発明はその特定の実施形態と併せて説明されるが、当業者にとって明らかである多数の代替策、変更形態、及び変形形態が存在する場合があることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に入る係るすべての代替策、変更形態、及び変形形態を包含する。本発明が、その適用において、必ずしも本明細書に説明される構成要素及び/又は方法の構成及び配置の詳細に制限されないことが理解される。他の実施形態が実施されてよく、実施形態は多様に実施されてよい。
【0155】
本明細書で利用される表現及び用語は説明のためであり、制限的と見なされてはならない。本願での任意の参考文献の引用又は識別は、係る参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能である旨の承認として解釈されないものとする。項見出しは、明細書の理解を容易にするために本明細書で使用され、必然的に制限的と解釈されるべきではない。