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特許7133480腹部の超音波せん断波振動エラストグラフィ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】腹部の超音波せん断波振動エラストグラフィ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
A61B8/08 ZDM
【請求項の数】 76
(21)【出願番号】P 2018568334
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 CA2017050804
(87)【国際公開番号】W WO2018000103
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】62/357,254
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300066874
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サルクディーン、セプティミウ
(72)【発明者】
【氏名】ローリング、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホナルヴァル、モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ロボ、ジュリオ ラウル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ケイトリン マリー
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0119568(US,A1)
【文献】特開2003-230543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330122(US,A1)
【文献】特開2013-081764(JP,A)
【文献】特開2015-181767(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波エラストグラフィのための装置であって、
患者の背中の少なくとも一部を支持するように寸法決めされた概ね平らで剛性の患者接触部材、および前記患者接触部材の振動を駆動するように結合された少なくとも1つの励振器を含む外部振動器と、
超音波トランスデューサ、および前記超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路を含む超音波撮像システムと、
前記超音波エコー信号を処理して、前記外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出し測定するデータプロセッサとを備え、
前記データプロセッサは、測定された組織変位の品質評価値を計算し、前記品質評価値に少なくとも部分的に基づいて前記外部振動器の制御を行うように構成されている、装置。
【請求項2】
前記励振器は、前記患者接触部材に対して慣性反作用力を伝達するように前記患者接触部材に対して移動可能な質量体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記質量体は、前記患者接触部材の面に実質的に平行な方向に移動可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記質量体は、不平衡ロータを含み、前記励振器は、前記ロータの回転を駆動するように接続されたモータを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記質量体は、カウンタウェイトを含み、前記励振器は、前記患者接触部材に対してカウンタウェイトを往復運動させるように接続されたアクチュエータを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記患者接触部材は、前記カウンタウェイトの往復運動の経路に平行な第1の方向において、前記カウンタウェイトの往復運動の経路を横切る第2の方向よりも広い、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記患者接触部材は、前記第2の方向において30cm以下の長さを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記患者接触部材は、40cmから80cmの範囲内にある幅、および10cmから20cmの範囲内にある長さを有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記患者接触部材の上面に突出するカプラを備え、前記カプラは、患者の胸郭の対向する側面に係合可能である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記励振器は、前記カウンタウェイトが前記患者接触部材に対し往復動可能である方向のアライメントが調整可能となるように、前記患者接触部材に対して回転するように取り付けられている、請求項5乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記患者接触部材は、繊維強化プラスチックのシートを有する対向する面に面したコアを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記患者接触部材の下面は、前記患者接触部材が揺動することができるように、湾曲部および中央に位置する支点部のうちの少なくとも一方で形成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記質量体は、前記質量体の動きに起因する前記患者接触部材上の慣性力が前記患者接触部材の揺動を引き起こすように、前記患者接触部材の面に対して実質的に垂直な方向に移動可能である、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記患者接触部材は、コンプライアント支持体上に支持されている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記コンプライアント支持体は、1つまたは複数の枕、1つまたは複数の膨張可能なクッション、および1つまたは複数のバネのうちの少なくとも一つを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの励振器は、複数の励振器を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの励振器は、可変周波数励振器を含む、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記可変周波数励振器は、45Hzから70Hzの範囲内の周波数を有する前記患者接触部材の振動を励振するように動作可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記患者接触部材に取り付けられた1つまたは複数の加速度計をさらに備える、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記患者接触部材に取り付けられたカメラをさらに備える、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記超音波トランスデューサは、前記超音波トランスデューサと前記患者との接触点を変更することなく前記超音波トランスデューサの撮像面の回転を可能にする遠隔の回転中心機構によって支持されている、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記遠隔の回転中心機構は、トランスデューサ支持体に結合された連結部を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記連結部は、平行四辺形の連結部を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記遠隔の回転中心機構の構成を固定するように動作可能なロックを備える、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記トランスデューサは、前記超音波トランスデューサの撮像アレイの要素が配置されている面に略垂直に方向づけられた軸の周りで前記トランスデューサの回転を可能とするように取り付けられている、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの励振器は、センサからのフィードバック制御を用いて前記励振器によって生成される振動の周波数を制御するドライバによって駆動されている、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記超音波撮像システムの動作のタイミングは、前記外部振動器の振動に同期されている、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記超音波撮像システムは、超音波撮像システムクロックをさらに含み、前記少なくとも1つの励振器は、少なくとも1つの励振器クロックをさらに含み、前記超音波撮像システムクロックおよび前記少なくとも1つの励振器クロックは、同期されている、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記プロセッサは、超音波エコーデータを処理して、せん断波の見かけ上の波長を決定し、せん断波の見かけ上の波長を減少させるように前記外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータを調整することによって、前記超音波トランスデューサによる撮像面に対するせん断波の方向を最適化するように構成されている、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータは、前記少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作周波数、前記少なくとも1つの励振器の第1および第2励振器の動作の相対位相、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作の振幅、および少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の振動の方向のうちの1つまたは複数を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記プロセッサは、前記超音波トランスデューサの向きの各々についてのせん断波の見かけ上の波長を最小化するように前記超音波トランスデューサの向きが変更されると、前記外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータをリアルタイムで制御するように構成されている、請求項29乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの励振器のうちの複数の励振器の相対位相を制御して、前記せん断波の見かけ上の波長を最小化するように構成されている、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記データプロセッサは、前記エコー信号を処理して関心ボリューム内に位置するせん断波ノードを識別し、ノードを移動または消滅させるように前記外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されている、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータは、前記少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作周波数、前記少なくとも1つの励振器の第1および第2の励振器の動作の相対位相、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作の振幅、および少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の振動の方向のうちの1つまたは複数を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記データプロセッサは、前記超音波エコー信号を処理して、最大の組織の動きが閾値を下回る関心領域内の所定のサイズおよび形状を有するノードボリュームを識別することによって、前記せん断波ノードを識別するように構成されている、請求項33乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記ノードボリュームは、球形である、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記ノードボリュームは、10mmから25mmの範囲内の直径を有する、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記超音波撮像システムは、前記超音波撮像システムがBモード超音波画像を取得する標準超音波撮像モードと、前記超音波撮像システムがエラストグラフィ撮像のためのデータを取得する超音波エラストグラフィ撮像モードとの間で交互に動作するように構成されている、請求項1乃至37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記品質評価値は、信号対雑音比を含む、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記品質評価値を計算することは、せん断波の測定されたフェーザの大きさが下限閾値を上回り、上限閾値を下回るかどうかを判定することを含む、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記品質評価値を計算することは、関心ボリューム内の点の近傍の組織変位の空間周波数を所定の範囲の空間周波数と比較することを含む、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記品質評価値を計算することは、点における組織変位の時間的シーケンスが所定の波形パターンにどの程度適合するかの評価値を判定することを含む、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記所定の波形パターンは、前記外部振動器の振動周波数に等しい周波数を有する正弦関数である、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
超音波エラストグラフィのための装置であって、
部分的に剛性のベルト、および前記ベルトに結合された少なくとも1つの励振器を含む外部振動器と、
超音波トランスデューサ、および前記超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路を含む超音波撮像システムと、
前記超音波エコー信号を処理して、前記外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出して測定するように構成されたデータプロセッサとを備え、
前記データプロセッサは、測定された組織変位の品質評価値を計算し、前記品質評価値に少なくとも部分的に基づいて前記外部振動器の制御を行うように構成されている、装置。
【請求項45】
前記少なくとも1つの励振器は、複数の励振器を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
超音波エラストグラフィのための装置であって、
3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサ、前記3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路、および前記3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサに結合された少なくとも1つの励振器を含む超音波撮像システムと、前記超音波エコー信号は、物体の関心ボリューム内のセクタに対応しており、
前記超音波エコー信号を処理して、前記少なくとも1つの励振器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出して測定するように構成されたデータプロセッサとを備え、
前記データプロセッサは、測定された組織変位の品質評価値を計算し、前記品質評価値に少なくとも部分的に基づいて前記少なくとも1つの励振器の制御を行うように構成されている、装置。
【請求項47】
前記少なくとも1つの励振器は、前記3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサのトランスデューサアレイを実質的に取り囲んでいる、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記少なくとも1つの励振器は、前記3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサのトランスデューサアレイの周りに円周方向に離間された複数の励振器を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
前記複数の励振器を駆動し、前記複数の励振器によって生成される振動の相対位相を調整するように接続されたコントローラを備え、前記コントローラは、前記3Dマトリックスアレイ超音波トランスデューサによって検出されたエコー信号を処理して、関心ボリュームに位置するせん断波ノードを識別し、前記ノードを移動させるかまたは消滅させるように、前記複数の励振器の1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されている、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記1つまたは複数の動作パラメータは、前記複数の励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作周波数、前記複数の励振器のうちの第1および第2の励振器の相対位相、および前記複数の励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作の振幅のうちの1つまたは複数を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
エラストグラフィを実施する方法であって、
物体が横臥している物体接触部材を振動させることにより、物体内にせん断波を生成し、物体内の関心ボリュームに対応する超音波エコーデータを取得すること、
超音波エコーデータを処理して、関心ボリューム内のせん断波から生じる物体の動きを判定し、前記物体の動きを処理して、前記超音波エコーデータの中心面における前記せん断波の見かけ上の波長を判定すること、
振動の1つまたは複数のパラメータの第1のセットを調整することにより見かけ上の波長を最小化することによって、前記超音波エコーデータの前記中心面における前記せん断波の動きの方向を調整することを含む、方法。
【請求項52】
前記物体は、ヒトまたは動物被検体の腹部内の組織である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記関心ボリュームの全部または一部は、ヒトまたは動物被検体の肝臓内に位置している、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記物体の動きを処理して、前記関心ボリューム内の前記せん断波におけるノードを識別すること、前記振動の1つまたは複数のパラメータの第2のセットを調整することによって前記ノードの1つまたは複数を移動または排除することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記超音波エコーデータを処理して、弾性画像を生成することを含む、請求項51乃至54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
エラストグラフィを実施する方法であって、
物体が横臥している物体接触部材を振動させることによって、第1のセットの振動パラメータに従って物体内にせん断波を発生させ、前記物体の関心ボリュームに対応する超音波エコーデータを取得すること、
超音波エコーデータを処理して、前記関心ボリューム内のせん断波から生じる物体の動きを判定すること、
超音波データの品質評価値を計算すること、
前記品質評価値に基づいて、前記第1のセットの振動パラメータを修正して前記超音波データを調整することを含む、方法。
【請求項57】
前記品質評価値は、信号対雑音比を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記品質評価値を計算することは、せん断波の測定されたフェーザの大きさが下限閾値を上回り、上限閾値を下回るかどうかを判定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記品質評価値を計算することは、関心ボリューム内の点の近傍の組織変位の空間周波数を所定の範囲の空間周波数と比較することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記品質評価値を計算することは、点における組織変位の時間的シーケンスが所定の波形パターンにどの程度適合するかの評価値を判定することを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記所定の波形パターンは、外部振動器の振動周波数に等しい周波数を有する正弦関数である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1のセットの振動パラメータを修正することは、前記物体の振動の周波数を修正すること、前記物体の振動の振幅を修正すること、前記物体の振動の方向を修正することのうちの1つまたは複数を含む、請求項56乃至61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記物体接触部材を振動させることは、前記物体接触部材を2つの振動源で振動させることを含み、前記第1のセットの振動パラメータを修正することは、前記2つの振動源の相対位相を修正することを含む、請求項56乃至62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記超音波エコーデータを処理して弾性画像を生成することを含む、請求項56乃至63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
エラストグラフィを実施する方法であって、
物体が横臥している物体接触部材を振動させることによって、第1のセットの振動パラメータに従って物体内にせん断波を発生させ、前記物体内の関心ボリュームに対応する超音波エコーデータを取得すること、
前記関心ボリューム内に位置するせん断波ノードを識別すること、
前記第1のセットの振動パラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを修正して、前記せん断波ノードを移動または排除することを含む、方法。
【請求項66】
前記せん断波ノードを識別することは、前記超音波エコーデータを処理して、最大の組織の動きが閾値を下回っている関心ボリューム内の所定のサイズおよび形状を有するノードボリュームを識別することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記超音波エコーデータを処理して弾性画像を生成することを含む、請求項65乃至66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
エラストグラフィを実施する方法であって、
a)物体が横臥している物体接触部材を振動させることによって、第1のセットの振動パラメータに従って物体内にせん断波を生成し、前記物体の関心ボリューム内のセクタに対応する超音波エコーデータを取得するステップと、
b)各セクタについての前記超音波エコーデータの品質評価値を計算するステップと、
c)前記品質評価値が閾値を上回っているセクタのうちの1つまたは複数についての超音波エコーデータまたは超音波エコーデータから計算された1つまたは複数の値を記録するステップと、
d)セットの振動パラメータを修正し、超音波データを調整するステップと、
ステップa)からd)を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項69】
前記超音波エコーデータまたは前記超音波エコーデータから計算された値が、関心ボリュームのすべてのセクタについて記録されるまで、ステップa)からd)を繰り返すことを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記セットの振動パラメータを修正することは、所定の群のセットのパラメータから第2のセットの振動パラメータを選択することを含む、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記超音波エコーデータを処理して弾性画像を生成するステップを含む、請求項68乃至70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
エラストグラフィを実施する方法であって、
a)物体が横臥している物体接触部材を振動させることによって、第1のセットの振動パラメータに従って物体内にせん断波を生成し、物体の関心ボリューム内のセクタに対応する超音波エコーデータを取得するステップと、
b)各セクタについての超音波エコーデータの品質評価値を計算するステップと、
c)前記セクタのうちの1つまたは複数についての超音波エコーデータの品質評価値を記録するステップと、
d)前記第1のセットの振動パラメータを修正して、超音波データを調整するステップと、
ステップa)~d)を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項73】
前記第1のセットの振動パラメータを修正することは、所定の群のセットのパラメータから第2のセットの振動パラメータを選択することを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
記録された品質評価値を使用して、最適化されたセットの振動パラメータを識別するステップを含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記物体が横臥している前記物体接触部材を振動させることによって、前記最適化されたセットの振動パラメータに従って前記物体内にせん断波を生成し、最適化された超音波エコーデータを取得するステップと、
前記超音波エコーデータを処理して弾性画像を生成するステップと
を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
請求項1乃至43のいずれか一項に記載の装置を用いたヒト肝臓のエラストグラフィ画像を取得する方法であって、
ヒト被検体の背中の下に前記外部振動器を配置し、前記外部振動器を動作させて、前記ヒト被検体の組織にせん断波を伝達すること、
前記超音波トランスデューサを前記ヒト被検体の肋骨の間に配置し、前記超音波撮像システムを動作させて、ヒト被検体の肝臓の組織内の、前記外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出し測定することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用撮像、特に、せん断波エラストグラフィを適用する医療用撮像に関する。本技術は、肝臓、腎臓、脾臓、膀胱壁などの腹部器官の機械的特性を特徴付ける情報を提供することができる。本技術の応用例には、例えば肝臓を含む腹部の撮像が含まれる。
【背景技術】
【0002】
医療用撮像は、組織の組成を判定するために多くの用途で使用されている。医療用画像において、画像の強度および色のうちの少なくとも一方は、組織組成のいくつかのパラメータの関数であり得る。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)は、体内のX線の吸収をユーザに表示する。超音波は、パルス音波に応答して生成されるエコーパターンを表示する。
【0003】
組織の機械的特性は特に重要である。特定の組織の機械的性質の変化は、疾患を示し得る。組織の機械的特性の変化はまた、治療の成功または失敗を示すことができる。従来型の診断方法は、健康な組織と病気の組織とを区別するために手による触診に依存してきた。例えば、より硬い組織の触診は、しばしば、乳癌および肝硬変などの肝臓疾患の診断の第一歩である。
【0004】
エラストグラフィは、弾性、すなわち組織の機械的特性を示すことを目的とする医療用撮像技術である。弾性は、スティフネス(剛性)、またはコンプライアンスの逆数とも呼称される。高度なエラストグラフィ技術では、粘性および緩和時間などの組織の動的粘弾性特性も測定することができる。弾性イメージングでは、関心組織(例えば、前立腺)の近傍に機械的励振を印加し、結果として生じる組織の変形を測定する。結果として生じる変形は、超音波(超音波エラストグラフィまたはUSE)または磁気共鳴撮像(磁気共鳴エラストグラフィまたはMRE)によって測定することができる。変形は、粘弾性特性(例えば、剛性率(shear modulus)および粘度)などの情報を抽出するために後処理される。変形または組織の歪み、または代替的に、組織の固有の機械的特性が、撮像された物体の剛性(または他の意味のある機械的特性)のマップとして表示される。
【0005】
エラストグラフィのいくつかの臨床用途は、オフィール(Ophir)らによる特許文献1に記載されている。磁気共鳴撮像(MRI)を使用するエラストグラフィは、エーマン(Ehman)らによる特許文献2およびエーマン(Ehman)による特許文献3に記載されている。
【0006】
エラストグラフィは、非特許文献1および非特許文献2により、肝(肝臓)線維症の検出および病期診断の臨床的価値があることが示されている。乳房のエラストグラフィ撮像については、非特許文献3に記載されている。
【0007】
定量的エラストグラフィは、組織の励振およびその領域における結果として生じる動きの測定を受けて関心領域内の剛性を計算するという逆問題を解くエラストグラフィ技術である。逆問題は、1次元(単一点)関心領域、2次元(断面)関心領域、または3次元(体積)関心領域のいずれかについて解くことが可能である。
【0008】
前述の技術の大部分において、外部励振器によって誘発される機械的波は空間および時間の両方において変化する。測定システムは、時間の複数のインスタンスで、関心領域にわたる変位のすべての1つ、2つ、または3つの成分(x,y,z)を測定する。そのような測定は、波の伝搬の数学的表現を形成する。標準的なパルスエコー超音波撮像の有限の音速が与えられると、波の伝搬の定常状態の性質を利用して、波の数周期にわたる複数の測定により数学的表現を構築することが可能である。これは通常、波を作り出している励振器と取得とを同期させ、励振の周期性を仮定することによって実現される。
【0009】
その全体が参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれるバグハニ(Baghani)らの特許文献4は、例えば、xMATRIX(登録商標)(iU22)(Philips Healthcare、Andover、MA)のような、3Dボリュームを形成するために面ビームを電子的に誘導することができるマトリックスアレイのような適切なトランスデューサを用いて体積定量的エラストグラフィ画像を取得する方法、または体積画像を取得するために、立面方向の面に撮像を移動させる4DL14-5/38リニア4D超音波トランスデューサ(Analogic Corporation、Richmond、BC)のような、機械的に掃引される線形超音波撮像トランスデューサを用いる方法を提示している。特許文献4では、機械的に掃引された超音波トランスデューサの掃引動作は、時間および空間において規則的に離間された組織変位推定値の集合を生成するために、組織の動きの既知の周波数と同期される。これらの変位推定値を使用して、局所空間周波数推定器のような当技術分野で知られている技術を用いて弾性画像を計算することができる。このようなエラストグラフィに与えられる一般的な名称は、定量的せん断波振動エラストグラフィである。
【0010】
定量的超音波せん断波振動エラストグラフィ画像が、胸郭の下にある深部組織について必要とされる場合、様々な問題が生じる。一般に、骨が撮像フィールドを妨げるので、任意の超音波画像法を使用する場合、胸郭の存在は困難をもたらす。
【0011】
特に肝臓のような腹部内の器官のエラストグラフィの遂行に有用な実用的な費用効果的装置および方法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第5107837号明細書
【文献】米国特許第5825186号明細書
【文献】米国特許第5977770号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/000779号明細書
【非特許文献】
【0013】
【文献】シンクス(Sinkus)ら、「肝線維症:MRエラストグラフィによる非侵襲的評価(Liver fibrosis: noninvasive assessment with MR elastography)」、生物医学におけるジャーナルNMR(Journal NMR in Biomedicine)、2006年、p.173-179
【文献】エーマン(Ehman)ら、「磁気共鳴エラストグラフィによる肝線維症の評価(Assessment of Hepatic Fibrosis With Magnetic Resonance Elastography)」、臨床消化器および肝臓病学ジャーナル(Journal of Clinical Gastroenterology and Hepatology)、第5巻、第10号、2007年10月、p.1207-1213
【文献】シンクス(Sinkus)ら、「MRエラストグラフィにより測定されたin vivo胸部病変の粘弾性せん断特性(Viscoelastic shear properties of in vivo breast lesions measured by MR elastography)」、磁気共鳴撮像ジャーナル(Journal of Magnetic Resonance Imaging)、23巻、2005年、p.159-165
【発明の概要】
【0014】
本発明は、せん断波エラストグラフィに有用な装置および方法を提供する。胸郭を介して、組織への深く一貫したせん断波伝達を可能にする具体的な例示の機械的および電気的設計が本明細書に記載されている。本発明はまた、障害物が回避され、大きな関心領域または関心ボリュームが見えるように、超音波トランスデューサを確実に支持し固定するのに有用な装置を記載する。
【0015】
本発明の例示的な態様は、限定するものではないが、以下のものを含む。
・患者の体内にせん断波を発生させる装置
・患者の体内にせん断波を伝達する方法
・患者内のせん断波の方向を制御するための方法および装置
・エラストグラフィにおける振動ノードの影響を緩和するための方法および装置
・エラストグラフィにおいて使用するためのせん断波のフィールドを最適化するための方法および装置
・エラストグラフィ画像を生成するための方法および装置
・生きたヒトまたは動物の組織のヤング率、剛性、および粘性のうちの少なくとも一つのような機械的特性を測定するための方法および装置
・生きたヒトまたは動物の肝臓または他の器官における組織の機械的特性を判定するのに有用な方法および装置
開示された実施形態によるシステムは、定常状態のせん断波アブソリュートエラストグラフィを実行して肝臓組織のヤング率を測定するために適用されてもよい。
【0016】
本発明の例示的な態様によれば、患者の背中の少なくとも一部を支持するように寸法決めされた概ね平らで剛性の患者接触部材、および患者接触部材の振動を駆動するように結合された少なくとも1つの励振器を含む外部振動器と、超音波トランスデューサ、および超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路を含む超音波撮像システムと、超音波エコー信号を処理して、外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出し測定するデータプロセッサとを備える、超音波エラストグラフィのための装置が提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、励振器は、患者接触部材に対して慣性反作用力を伝達するために患者接触部材に対して移動可能な質量体を備える。質量体は、患者接触部材の面に実質的に平行な方向に移動可能であってもよい。質量体は、不平衡ロータを含むことができ、励振器は、ロータの回転を駆動するように接続されたモータを含むことができる。質量体は、カウンタウェイトを含むことができ、励振器は、患者接触部材に対してカウンタウェイトを往復運動させるように接続されたアクチュエータを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、患者接触部材は、カウンタウェイトの往復運動の経路に平行な第1の方向において、カウンタウェイトの往復運動の経路を横切る第2の方向よりも広い。患者接触部材は、第2の方向の長さが30cm以下であってもよい。患者接触部材は、40から80cmの範囲内にある幅および10から20cmの範囲内にある長さを有することができる。
【0019】
装置は、患者接触部材の上面に突出するカプラをさらに備え、カプラは、患者の胸郭の対向する側面に係合可能である。励振器は、カウンタウェイトが患者接触部材に対し往復動可能である方向のアライメントが調整可能となるように、患者接触部材に対して回転するように取り付けられてもよい。患者接触部材は、繊維強化プラスチックのシートを有する対向する面に面したコアを含むことができる。患者接触部材の下面は、患者接触部材が揺動することができるように、湾曲部および中央に位置する支点部のうちの少なくとも一方で形成されてもよい。質量体は、質量体の動きに起因する患者接触部材上の慣性力が患者接触部材の揺動を引き起こすように、患者接触部材の面に対して実質的に垂直な方向に移動可能であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、患者接触部材は、コンプライアント支持体上に支持される。コンプライアント支持体は、1つまたは複数の枕、1つまたは複数の膨張可能なクッション、および1つまたは複数のバネのうちの少なくとも一つを備えることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの励振器は、複数の励振器を含む。少なくとも1つの励振器は、可変周波数励振器を含むことができる。可変周波数励振器は、45Hzから70Hzの範囲内の周波数を有する患者接触部材の振動を励振するように動作可能であってよい。装置は、患者接触部材に取り付けられた1つまたは複数の加速度計をさらに備えていてもよい。装置は、患者接触部材に取り付けられたカメラをさらに備えてもよい。
【0022】
超音波トランスデューサは、超音波トランスデューサと患者との接触点を変更することなく、超音波トランスデューサの撮像面の回転を可能にする遠隔の回転中心機構によって支持されることができる。遠隔の回転中心機構は、トランスデューサ支持体に結合された連結部を含むことができる。連結部は、平行四辺形の連結部を含むことができる。装置は、遠隔の回転中心機構の構成を固定するように動作可能なロックをさらに備えていてもよい。トランスデューサは、超音波トランスデューサの撮像アレイの要素が配置されている面に略垂直に方向づけられた軸の周りで、トランスデューサの回転を可能にするように取り付けられることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの励振器が駆動される。
いくつかの実施形態では、超音波撮像システムの動作のタイミングは、外部振動器の振動に同期されている。さらに他の実施形態では、超音波撮像システムは、超音波撮像システムクロックをさらに備え、少なくとも1つの励振器は、少なくとも1つの励振器クロックをさらに備え、超音波撮像システムクロックおよび少なくとも1つの励振器クロックは同期されている。
【0024】
プロセッサは、超音波エコーデータを処理して、せん断波の見かけ上の波長(apparent wavelength)を決定し、せん断波の見かけ上の波長を減少させるように外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータを調整することによって、超音波トランスデューサにより撮像面に対するせん断波の方向を最適化するように構成されることができる。外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータは、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作周波数、少なくとも1つの励振器のうちの第1および第2励振器の動作の相対位相、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作の振幅、および少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の振動の方向のうちの1つまたは複数を含むことができる。プロセッサは、超音波トランスデューサの向きの各々についてのせん断波の見かけ上の波長を最小化するように超音波トランスデューサの向きが変更されると、リアルタイムで外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されてもよい。プロセッサは、少なくとも1つの励振器のうちの複数の励振器の相対位相を制御して、せん断波の見かけ上の波長を最小化するように構成されることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、データプロセッサは、エコー信号を処理して、関心ボリューム内に位置するせん断波ノードを識別し、ノードを移動または消滅させるように外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されている。外部振動器の1つまたは複数の動作パラメータは、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作周波数、少なくとも1つの励振器のうちの第1および第2励振器の動作の相対位相、少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の動作の振幅、および少なくとも1つの励振器のうちの1つまたは複数の励振器の振動の方向のうちの1つまたは複数を含むことができる。データプロセッサは、超音波エコー信号を処理して、最大の組織の動きが閾値未満である関心領域内の所定のサイズおよび形状を有するノードボリュームを識別することによって、せん断波ノードを識別するように構成されてもよい。ノードボリュームは球形であってもよい。ノードボリュームは、10mmから25mmの範囲内の直径を有することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、超音波撮像システムは、超音波撮像システムがBモード超音波画像を取得する標準超音波撮像モードと、超音波撮像システムがエラストグラフィ撮像のためのデータを取得する超音波エラストグラフィ撮像モードとの間で交互に動作するように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、測定された組織変位の品質評価値を計算し、少なくとも部分的に品質評価値に基づいて外部振動器の制御を行うように構成されている。品質評価値は、信号対雑音比を含むことができる。品質評価は、測定されたせん断波のフェーザの大きさが下限閾値を上回り、上限閾値を下回るかどうかを判定することを含むことができる。品質評価値を計算することは、関心ボリューム内の点の近傍の組織変位の空間周波数を所定の範囲の空間周波数と比較することを含むことができる。品質評価値を計算することは、ある点における組織変位の時間的シーケンスが所定の波形パターンにどの程度よく適合するかの評価値を判定することを含むことができる。所定の波形パターンは、外部振動器の振動周波数に等しい周波数を有する正弦関数であってもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、部分的に剛性のベルト、およびベルトに結合された少なくとも1つの励振器を含む外部振動器と、超音波トランスデューサ、および超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路を含む超音波撮像システムと、超音波エコー信号を処理して、外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出して測定するように構成されたデータプロセッサとを備える超音波エラストグラフィのための装置が提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの励振器は、複数の励振器を含む。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、超音波トランスデューサ、超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを送信し、超音波エコー信号を受信するように動作する駆動回路、および超音波トランスデューサに結合された少なくとも1つの励振器を含む超音波撮像システムと、超音波エコー信号を処理して、外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出して測定するように構成されたデータプロセッサとを備える超音波エラストグラフィのための装置が提供される。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの励振器は、超音波トランスデューサを実質的に取り囲んでいる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、物体が横臥している患者接触部材を振動させることによって、物体内にせん断波を発生させ、物体内の関心ボリュームに対応する超音波エコーデータを得ること、超音波エコーデータを処理して、関心ボリューム内のせん断波から生じる物体の動きを判定すること、および物体の動きを処理して、超音波エコーデータに対応する面内のせん断波の見かけ上の波長を判定すること、振動の1つまたは複数のパラメータの第1のセットを調整することによって見かけ上の波長を最小化することによって、超音波エコーデータに対応する面内のせん断波の運動の方向を調整することを含む、エラストグラフィを実行する方法が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態では、物体は、ヒトまたは動物被検体の腹部内の組織である。関心ボリュームの全部または一部は、ヒトまたは動物被検体の肝臓内に位置してもよい。方法は、物体の動きを処理して、関心ボリューム内のせん断波におけるノードを識別すること、振動の1つまたは複数のパラメータの第2のセットを調整することによって、1つまたは複数のノードを移動させるか、または排除することをさらに含むことができる。
【0032】
例示的なシステムは、患者と接触する機械的振動器または励振器と、励振器のためのベルトおよび支持体と、超音波トランスデューサ支持および位置決めシステムと、組織の動きを読み取り、励振信号を制御するように構成されたソフトウェアおよびハードウェアを含む制御システムとを含む。振動器励振器は、撮像領域を振動させるように動作可能である。
【0033】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の装置を使用してヒトの肝臓のエラストグラフィ撮像を行う方法を提供する。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサがヒト被検体の肋骨の間に配置され、方法は、超音波撮像システムを操作して、ヒト被検体の肝臓の組織において外部振動器によって生成されたせん断波に対応する動きを検出することを含む。いくつかの例示的な実施形態では、ヒト被験体は外部振動器の上に横臥する。外部振動器は、拡張された表面を有してもよく、ヒト被検体の肝臓に近接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部振動器の表面は、40Hzから75Hzの範囲内の周波数で水平方向に振動させられる。いくつかの実施形態では、水平方向は、一般に、ヒト被検体の背骨に対して略直角であってよい。いくつかの実施形態では、外部振動器は、ヒト被検体と、ヒト被検体が横臥しているベッドのマットレスとの間に配置されている。
【0034】
さらなる態様および例示の実施形態は、添付の図面に示され、かつ以下の説明で説明されるか、またはそのどちらかで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の例示的な実施形態において、患者と接触する励振器を保持するために使用される半剛性半弾性ベルトを示す図である。
図2】本発明のさらなる例示的な実施形態において、励振器ベルトに沿って配置された、いくつかの励振器を示す図である。
図3A】肋骨の間または胸郭の下のいずれかから肝臓を撮像するために適用され得るトランスデューサの配置を示す図である。
図3B】肋骨の間または胸郭の下のいずれかから肝臓を撮像するために適用され得るトランスデューサの配置を示す図である。
図4A】ショルダーストラップによって支持されたベルトに取り付けられたロック可能な調節可能な支持体を使用する例示的なトランスデューサの支持および位置決めを示す図である。
図4B図4Aのトランスデューサの支持および位置決め構造を示す図である。
図5A】遠隔の回転中心を有するトランスデューサ支持体を示す図である。
図5B図5Aのトランスデューサ支持体の拡大図である。
図6】仰臥位の患者の下に配置可能な大きな平坦な表面を含む別の励振器機構を示す図である。
図7A】2つの励振器に取り付けられたトランスデューサを示す図である。
図7B】4つの励振器に取り付けられたトランスデューサを示す図である。
図8A】振動源として動作する励振器によって取り巻かれた、または取り囲まれたトランスデューサを示す図である。
図8B図8Aのトランスデューサの拡大図である。
図9A】せん断波の方向が超音波画像の面と平行である場合を判定するために、最短のせん断波長をどのように使用することができるかを示す概略図である。
図9B】せん断波の方向が超音波画像の面と平行である場合を判定するために、最短のせん断波長をどのように使用することができるかを示す概略図である。
図10A】本発明の一実施形態による励振器ボード上の患者を示す図である。
図10B】励振器ボードの下に励振器が取り付けられている励振器ボード上の患者を示す図である。
図10C】励振器が水平方向の力を生成し、カプラが肋骨に力を伝達する励振器ボード上の患者を示す図である。
図10D】励振器ボードに取り付けられたカメラがトランスデューサを追跡する励振器ボード上の患者を示す図である。
図11】頂部に取り付けられた励振器を含む外部振動器に横臥している患者を示す図である。
図12】本発明の例示的な実施形態を示すハイレベルブロック図である。
図13図12のコントローラによって実行され得る方法の高レベルフロー図である。
図14】さらなる実施形態による、図12のコントローラによって実行され得る方法の高レベルフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面は、本発明の非限定的な例示的実施形態を示す。
以下の説明を通して、特定の詳細は、本発明のより完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明は、これらの詳細がなくても実施されることが可能である。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の要素については詳細に図示または説明していない。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的なものとみなされるべきである。本明細書で開示される特定の詳細は、限定として解釈されるのではなく、事実上任意の詳細なシステム、構造または方法において本発明をどのように使用するかを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0037】
本発明は、身体の他の部分を撮像するために使用することもできるが、ヒトまたは動物の腹部を撮像するために適用することができる。肝臓は、本発明で撮像することができる臓器の具体例として使用される。
【0038】
本明細書を通して、「励振器」とは、患者と接触する構成要素を有し、振動して組織を揺動させる、または振動させる装置または機構を指す。励振器は、適切な励振信号によって駆動されて、選択された期間中に組織を連続的に揺動させる、または振動させることができる。「トランスデューサ」または「超音波トランスデューサ」は、高周波音波を送信し、エコーを受信して、画像再構成および組織変位トラッキングに適用され得る空間情報を提供することができる圧電結晶のアレイを含むプローブであり、「ベルト」は、患者の周りをしっかりと包み込み、所定の位置に固定することができるバンドである。ベルトは、面ファスナー(例えば、ベルクロ(登録商標))または他のファスナーを使用して、固定することができる。ベルトは、励振器および超音波トランスデューサの両方のための取り付け具および保持具を支持することができる。
【0039】
図1は、励振機構または「励振器」102を保持するために使用され得る半弾性の半剛性ベルト105を示す。ベルト105は、患者の右側の励振器102を所定の位置に固定するために、患者の背中(後方)を包囲する剛性部分103を有する。ベルト105の弾性部分104は、患者の前部(前方)を包み込む。部分104の弾性により、呼吸中に患者の胸郭が拡張および収縮することが可能になる。励振器ベルト105は、肋骨8-12にわたる領域106において、励振器102を患者の皮膚上に位置付けるために使用され、肋骨8-12は、振動し、一定の励振波を肝臓組織に供給する。励振器102は、振動が確実に肋骨に伝達され、肋骨の間の空間に吸収されないように、いくつかの肋骨と同時に接触するように十分に広い。
【0040】
別の実施形態では、励振器102は、ベルト105の非弾性の、ある実施形態では剛性の部分に取り付けられる。他の代替の実施形態では、ベルト105は、その長さのすべてまたはほとんどに沿って弾性である。ベルト105は、1つまたは複数の励振器102のアンカーを提供する。励振器102は、ベルト105上の固定位置にあってもよく、またはベルト105に対して調整可能であってもよく、またはその両方であってもよい。
【0041】
図2は、適切なせん断波強度を提供するための設定の別の可能な実施形態を示す。ここでは、複数の励振器102がベルト105に沿って配置され、波の伝搬およびカバレッジを増加させる。これにより、肝臓または腹部の他の器官の組織のより深いところでの剛性測定が可能になる。
【0042】
超音波トランスデューサ101の適切な配置は、肝臓または他の腹部器官の撮像を容易にする。図3Aおよび図3Bは、肝臓を評価するための2つの異なる方法を示す。図3Aにおいて、トランスデューサ101は、患者の右側の2つの肋骨301の間に配置されている。骨を通して組織を見るときに超音波画像を得ることはできないが、肝臓のような臓器を肋骨の間のより柔らかい組織を通して見ることが可能である。一例として、肝臓は右手側の胸郭302のすぐ内側に位置するので、この方法で容易に評価することができる。他の器官は、肋骨の間で利用可能な他の視野で撮像することができる。図3Bにおいて、トランスデューサ101は、胸郭302の下側(下方)に配置されている。図3Aおよび図3Bの両方において、励振器102の適切な例示的な位置も参照のために示されている。
【0043】
図4Aおよび図4Bは、超音波トランスデューサ101を励振器ベルト105に取り付けるための1つの方法を示す。6自由度の支持体401は、関心のある肝臓または他の組織の良好な画像を得るためにトランスデューサ101を保持し、位置付ける。肝臓が見えるようにトランスデューサ101が位置付けられ、回転されると、支持体401がロックされて、トランスデューサ101を固定した状態に維持する。一旦トランスデューサ101が適所にロックされると、トランスデューサ101の動きを抑制するようにショルダーストラップ402が設けられてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態は、撮像された組織におけるせん断波の特性を測定するために処理することができる3次元超音波データを取得する。3次元超音波データは、例えば、撮像面がボリュームを掃引するように超音波トランスデューサを移動させることによって取得されることが可能である。この移動は、例えば、超音波トランスデューサを画像面内の、または画像面に平行な横軸に対して傾斜させること、超音波トランスデューサを縦軸の周りに回転させること、および超音波トランスデューサを平行移動させることのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0045】
例えば、いくつかの実施形態では、2次元アレイを小さな角度(例えば、10度から20度の範囲の全角度)で掃引することによって3次元画像を取得することができる。しかしながら、そのような掃引の間、トランスデューサ101は、組織の表面に沿って移動する可能性があり、組織が撮像されている位置を変化させる。この位置の変化は通常は問題ではないが、肋骨301(図3A参照)間の撮像のように、小さな窓を通しての撮像を困難にする。
【0046】
撮像を容易にするために、いくつかの実施形態は、撮像面を回転させるが、組織上に同じ接触点を維持するために使用される遠隔の回転中心機構501を提供する。図5Aおよび図5Bは、遠隔の回転中心機構501の一例を示す。図5Aおよび5Bは、遠隔の回転中心機構501がトランスデューサ支持体と一体化された例示的な実施形態を示す。
【0047】
図5Aおよび図5Bに示すように、トランスデューサ101は平行四辺形リンケージ上に取り付けられて、撮像アレイ101Aは、固定ハンドル403またはハンドル403および404を介して適所に固定されることができるスタビライザ機構401によって画定された所与の位置にとどまる。平行四辺形リンケージは、ジョイント502および503を中心に旋回することができ、トランスデューサ101を撮像アレイ101Aの周りで旋回させることができる。スタビライザ機構401は、トランスデューサを移動させるために外部に構築されてもよく、または、トランスデューサハウジングに対してトランスデューサアレイ(例えば、101A)を移動させるために、トランスデューサハウジング内に小型化され構築されてもよい。スタビライザ機構401は、トランスデューサ101を肋骨に平行な軸の周りに回転させることを可能とする。いくつかの実施形態では、回転軸は、2つの隣接する肋骨に平行であり、それらの間にあってもよい。トランスデューサ101は、患者の組織との接触点を通過する軸の周りを回転してもよく、接触点の下の点(例えば、接触点における皮膚の下3cm)を通過する軸の周りを回転してもよい。患者の画像データの肋骨の間を評価する際に、患者の隣接する肋骨に起因する陰影が付された信号を識別して破棄するように処理することができる。
【0048】
スタビライザ機構401は、トランスデューサ101を小さな角度、例えば各方向に5°から10°の範囲内の角度で、または10から20度の合計角度で回転させることができる。他の例示的な実施形態では、トランスデューサは、一方または両方の方向に7°未満または10°を超える角度で回転させることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ101は、長さ方向(長手方向)の軸(例えば、撮像アレイ101Aの要素が配置されている表面に略垂直な軸)の周りを回転することができる。トランスデューサ101を長さ方向軸周りに回転させることにより、操作者はトランスデューサの撮像面とせん断波の位置合わせを改善することができる。
【0050】
図6は、肝臓または他の器官を撮像するために使用され得る異なる例示的な装置を示す。この実施形態では、大きく平らなプレート601を含む励振器600が、仰臥位で横臥する患者の下から組織を振動させるために使用される。励振器600は、患者の背中の下に快適に配置されるように十分に薄くなるように設計されている。励振器600の高さ602を調整するための機構を設けることができる。高さ602は、患者の背中603とせん断波トランスミッションとの良好な接触を確実にするように調整することができる。別の実施形態では、励振器600は、患者が横臥している表面の凹部(図示せず)内に収容される。
【0051】
図7Aおよび図7Bは、複数の構成をどのように組み合わせて、各設計フィーチャからの利益を最大化することができるかを示している。複数の励振器102をトランスデューサ101に直接取り付けることができる。トランスデューサ101は、ベルト105、肩ストラップ402、および6自由度の遠隔の回転中心トランスデューサ支持体401,501を使用して任意に配置し固定することができる。励振器102は、まとめていくつかの肋骨に広がっていてもよい(例えば、7から15cmの距離にわたる)。いくつかの実施形態では、各励振器102は、大きく平らな接地面積を有する。
【0052】
図8Aおよび8Bは、トランスデューサ101を完全にまたは実質的に取り囲む平坦な環またはリング形状を有する異なる励振器801を含む別の構成を示す。励振器801はトランスデューサ101に取り付けられており、トランスデューサ101は、任意に上記の機構のいずれかを使用して支持されることができる。
【0053】
当該システムの任意の実施形態において、励振信号およびパターンは、せん断波による肝臓などの関心組織の適用範囲を最適化するように、任意に制御および操作され得る。励振信号は、1つまたは複数の励振器によって提供されてもよい。各励振器は、1つまたは複数の周波数を含み得る選択された励振信号によって駆動されてもよい。(単数または複数の)励振信号は、トランスデューサによって受信された信号に応答して、手動または自動的に調整されてもよい。例えば、せん断波が小さすぎてトランスデューサによって正確に測定できない場合、1つまたは複数の励振信号の振幅を大きくして組織の動きをより大きくすることができる。
【0054】
2つ以上の励振周波数は、同じ励振器または異なる励振器によって同時に印加されてもよい。2つ以上の励振器は、適切な大きさのボリュームをカバーする3次元パターンを生成するために、異なる相対位相および振幅で患者の組織を励振するように動作させることができる。励振周波数は、患者の大きさ、初期波の振幅および方向に基づいて、または検出された波に基づいて自動的に、選択され得る。
【0055】
2D超音波が使用される場合、操作者は、得られた超音波画像を観察しながらプローブを手動で動かして、適切に大きなボリュームをカバーするせん断波の三次元パターンが得られているかどうかを判定することができる。
【0056】
例示的な実施形態では、システムは、検査中の組織の超音波画像と、リアルタイムでのせん断波の画像を表示する。2D超音波トランスデューサでは、操作者は、トランスデューサの所与の運動範囲に対して実質的に組織の最大断面を提供する、組織を通る面である「中心」面を識別する。
【0057】
所定のせん断波パターンが生成されると、ノードと呼ばれる特定の領域が現れ得る。ノードまたはその近傍には、比較的小さな組織の動きが存在する。ノードは、ほとんど動きのない領域として超音波画像に現れる。組織の動きがなければ、組織の弾性は正確には決定できない。撮像されている関心ボリューム内にこのようなノードが存在すると、弾性評価の信頼性が低くなり得る。
【0058】
組織内のノード領域は、所与の閾値、例えば100ミクロン未満である最大の組織の動きを有する所定の組織領域にわたって、例えば所定の直径、例えば20mmの直径の球にわたって画定され得る。いくつかの実施形態では、超音波データは、そのようなノード領域を自動的に検出するように処理される。
【0059】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の励振器を駆動する信号は、関心ボリューム内のノードを回避すること、およびノードを関心領域の一部から別の領域に移動させることのうちの少なくとも一方がなされるように制御され、これにより関心領域にわたって組織の弾性を測定することが可能となる。これは手動または自動で行うことが可能である。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の励振器を駆動する(単数または複数の)信号は、振動制御ソフトウェアによって制御される。振動制御ソフトウェアは、例えば、1つまたは複数の信号の位相、周波数、および振幅のうちの少なくとも一つを制御して、任意のノードをある場所から別の場所に移動させることができる。これにより、組織の全領域のエラストグラフィ撮像が可能となる。
【0061】
1つまたは複数の励振器の振動の周波数は、組織内の特定の位置に見出されるノード領域が除去されるまで調整することができる。周波数は、一連の周波数を選択することによって調整することができ、または逐次測定または連続測定を使用するフィードバックループに基づいて自動的に調整することができる。
【0062】
例示的な実施形態では、データは、45Hz、50Hz、55Hzおよび60Hzの周波数における励振について収集される。一般に、データは、1,2,3,4またはそれ以上の個数の周波数における励振について収集することができる。より深い腹部の撮像のためには、周波数が50Hzから60Hzの範囲内またはそれに近い場合が一般的である。これらの周波数は、患者のサイズ、および撮像されている器官のサイズまたは構成(例えば、患者の肝臓)のうちの少なくとも一つなどの患者の特性に基づいて調整されることができる。より小さい患者の場合には、70Hzまでの周波数、潜在的には70Hzより高い周波数が適している可能性がある。より大きな患者の場合、45Hz程度の周波数、または45Hzより小さい周波数が適している可能性がある。あるいは、2つ以上の励振器の相対位相は、組織の特定の位置におけるノード領域が、組織の特定の位置において弾性の評価値を得るために除去されるか、または十分に移動されるまで調整され得る。
【0063】
1つまたは複数の励振器による励振から生じるせん断波の方向は、励振器を駆動する励振信号の周波数および位相のうちの少なくとも一方を変更することによって調整することができる。最も正確な弾性評価は、せん断波に関連する組織の動きが撮像面と同じ面にあるときに行うことができる。組織の動きの超音波ベースの測定結果は、組織の動きが超音波伝搬方向と整列していない場合よりも、組織の動きが超音波伝播に平行である場合に、著しく良好な精度を有することができる。ある場合には、分解能は、せん断波の影響下での組織の動きの方向を超音波伝搬方向と整列させることによって、1桁のオーダーの大きさで改善され得る。
【0064】
図9Aおよび図9Bは、励振器102を駆動する励振信号の相対的な位相を変化させることによって制御することができる、例示的なせん断波902およびその方向901を示す。超音波撮像面903に見られる知覚された波長904,905は、せん断波の方向が超音波撮像面に平行である場合に最も短い905と示されている。3Dトランスデューサの場合、超音波撮像面903は、撮像ボリュームの中心面として解釈される。せん断波の推測的な方向901を知らずに、トランスデューサ軸903を波の方向901に(可能であれば)整列させるために、線または面に沿った組織の動きのみを測定するシステムは、その測定が、せん断波の実際の波長より長い波長を提供するので、組織の剛性を過大評価する傾向がある。
【0065】
励振器102のシステムによって伝達されたせん断波は、最短のせん断波長が達成されるまでせん断波の方向を変化させることによって、所定の関心領域内で、撮像面に平行に制御され得る。場合によっては、これは関心ボリュームの異なる部分について別々に行うことができる。
【0066】
いくつかの状況では、1つまたは複数の励振器を再配置すること、または1つまたは複数の励振器の励振信号の周波数および位相の少なくとも一方を修正することのいずれかによって、せん断波の伝搬方向を手動で調整して、所与の患者に対する波の伝播を最適化することが望ましい場合がある。例えば、一部の肥満患者では、せん断波が、修正された方向で身体を伝播するようにすることが望ましい場合がある。
【0067】
せん断波の方向は、一連の測定結果に基づく閉フィードバックループを使用して自動的に制御されることができる。例えば、超音波データは、撮像された組織におけるせん断波の波長および励振信号のパラメータ(例えば、測定される波長の最小値が達成されるまで、周波数、位相および振幅のうちの少なくとも一つが変更され得る)を判定するために処理され得る。最小値に対する系統的探索は、これらの位相、周波数および振幅の小さな変化から推定される一定の間隔または局所的な勾配に沿った位相、周波数および振幅のサンプリングを使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、せん断波がトランスデューサ面から外に直接伝播するように、1つの励振器またはいくつかの励振器をトランスデューサに直接取り付けることができる(図7Aおよび図7Bを参照)。操作者は、トランスデューサを動かして撮像面を組織の最大の動きの方向に整列させることによって撮像面を調整することができる。
【0069】
より低い励振周波数は、より深い浸透性および増大した組織変位振幅を提供する。トレードオフは、より低い周波数では、得られる弾性画像の解像度が低いことである。より高い励振周波数においては、波長が短く、単位距離当たりでより多くの周期のせん断波が測定されることができるので、組織の弾性の測定は、より高い励振周波数においてより高い分解能を提供することができる。所与の患者の最大周波数成分は、励振周波数を調整し、組織変位の振幅を測定して、信号対雑音比が合理的であることを検証することによって見出すことができる。
【0070】
相互相関法を使用して、信号対雑音比を判定することができる。間隔を空けた時間に撮影された超音波画像の対応するパッチは、組織の動きを測定するために、相互相関によって比較されることができる。1.0の相関は、超音波画像が変形しておらず、せん断波の動きによって単にシフトしたことを意味する。相関が低いことは、例えば、ノイズまたは変形の結果として、画像が著しく異なることを示す。合理的な信号対雑音比は、相関が0.9より大きい場合に満たされることが分かっている。
【0071】
別の信号対雑音評価値は、変位測定結果が励振周波数における純粋な正弦波形にどれくらい近似するかを測定するフェーザ(振幅および位相)フィッティングプロセスに対する、間隔をあけた時間で得られた変位測定結果のフィットから判定することができる。完璧なフィットは、サンプルが完全な正弦波をトレースすることを意味するゼロの誤差を与える。この方法により、時間領域変位が実際の変位信号であると仮定する。測定された変位とフィッティングする余弦との間の誤差は、ノイズであり、推定されたノイズのRMSに対する信号のRMSの比は、信号対ノイズ比の評価値である。
【0072】
図10Aから図10Dは、図6と同様の有利な構成を提示する。この構成は、肝臓測定を行う医療従事者が、肝臓の従来の超音波検査法に類似した方法で超音波トランスデューサ101を操作することを可能にし、同時に肝臓および腹部全体にわたるせん断波の強力なフィールドから利益を得ることを可能にする。励振器102を再配置することなく、あるいは、再配置による患者610への干渉なしに、トランスデューサ101は、位置640に配置されて、患者の肋骨の間または位置641において肝臓を撮像して、患者の肝臓を腹部横断的に撮像することが可能である。
【0073】
図10において頭尾軸に沿って示された患者610は、ベッドマットレス612上に配置された励振器ボード611の上に横臥している。ボード611は、患者の背中603の下に配置され、図6に示されるものと同様である。試験され、殆どの患者に適合するボードの寸法は、軸方向(患者の左右方向)が40~60cm、幅が10~20cm(患者の上下方向)である。堅く、軽量のボードは有益である。例えば、ボード611は、ケブラー(Kevlar)(登録商標)または炭素繊維のような繊維強化プラスチック材料のシートでいずれかの面を強化されたハニカムコアを含む構造を含むことができる。励振器ボード611には、振動の振幅を増大させることを可能とする弾性層(図示せず)を取り付けてもよい。
【0074】
一実施形態では、ボード611の動きを駆動する励振器102は、慣性系であり、カウンタウェイトを直線的または回転的に動かすことによって力を生成する。
一実施形態(図10A図10B図10D)では、励振器102によって生成された力は垂直方向にあり、患者の背中に作用するボード611の揺動運動によって力616,617を生成する。
【0075】
いくつかの実施形態(例えば、図10C)では、励振器102によって生成された力は(ボード611の面内で)水平である。力は、例えば、患者の横左右方向に向けられて、患者の肋骨に押し付けられるカプラ619(直線または曲線の)を介して患者に動きが与えられる。カプラ619は、例えば、ボード611の上面に突出した調節可能なボルスタまたは支持体を含むことができ、患者がボード611上に横臥している間に患者の胸郭の側面に当てることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのカプラ619は、既に横臥している患者の下でボード611の揺動を容易にするために取外し可能である。
【0076】
超音波トランスデューサが経腹撮像のために前方にある場合、図10Cの構成は、超音波画像の最大減衰領域において組織の動きの最大振幅を生じさせることを可能とし、せん断波がより減衰する場合には超音波の減衰が最も少なくなるようにすることができる。このファクタの組み合わせにより、撮像面全体にわたる正確な組織の動き測定を容易にすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、励振器102によって生成される力は、斜め方向に向けられている。斜め方向の力は、水平方向の力または垂直方向の力のいずれかを各々印加する1組の励振器102によって、またはそれぞれが斜めに力を与える1つまたは複数の励振器によって付与され得る。
【0078】
さらなる実施形態では、1つまたは複数の励振器によって生成された力が方向を変えることができる。印加された力の方向は、例えば図10Cに示されるような水平方向の力を発生させる1つの励振器102と、図10Bに示されるような垂直方向の力を発生させる第2の励振器102との間の位相差を変化させることによって変更することができる。例えば、このような位相変化を適用して、ボード611に印加される正味の力の方向を回転させるか、またはシフトさせることができる。別の例として、不均衡な回転運動によって回転力を発生させることができる。例えば、励振器は、所望の周波数で回転するように駆動される不平衡ロータを備えることができる。
【0079】
肋骨の動きは、患者の胸郭内の任意の組織の動きを制限または変更し得る。1つまたは複数の励振器のそれぞれによって生成されたせん断波の振幅、位相、周波数または伝播の方向は、胸郭内の組織の動きに影響を及ぼすように変更されてもよい。いくつかの実施形態では、励振器およびトランスデューサのうちの少なくとも一方の位置は、肋骨の形状および屈曲方向を考慮して調整することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、励振器ボード611は、ボード611の面内でのボード611の動きを容易にする支持体上に配置されている。例えば、ボード611は、枕(または一組の枕)625,1つまたは複数の膨張可能なクッション、1つまたは複数のばね等のうちの1つまたは複数によって支持されている。ボード611が比較的容易に動くことを可能にするようにボード611を支持することは、ボード611上に横臥している患者の組織内へのより大きな振幅のせん断波の伝達を促進する。
【0081】
いくつかの実施形態では、枕は、様々なサイズの患者に適応するために膨張可能な枕であってもよく、一方、ベッドにばね様の特徴を提供してもよい。他の実施形態では、枕は病院用枕であってもよい。さらに他の実施形態では、一体化された励振器および枕が提供され得る。一体化された励振器および枕は、得られる振動が、ベッド、マットレスおよび患者の体形に実質的に依存しないことを可能にする。
【0082】
ボード611は、様々な構成を有することができる。例えば、ボード611は、患者を頭尾軸に沿って揺動させるのを容易にするために湾曲620するように形成することができ、または、マットレス612の厚さおよび剛性に応じて、ボード611は、図10Bに示すように、マットレス612に貫通する支点部またはキール621を備えることができ、患者の背中を揺動させて腹部にせん断波を発生させることを容易にする。
【0083】
励振器102は、任意の適切な位置に配置することができる。例えば、(単数または複数の)励振器102は、患者の片側または両側(例えば、図10Aおよび図10Bに示すように患者の左および右のうちの少なくとも一方の側)に配置されてもよい。(単数または複数の)励振器102は、(例えば図10Aのように)ボード611の上、(例えば図10Bのように)ボード611の下、またはボード611の切り抜きの中(図示せず)に取り付けることができる。(単数または複数の)励振器102は、(例えば、図10Aのような)マットレスの上面の上に、または(例えば、図10Bのように)マットレスの面の片側に対して取り付けることができる。
【0084】
励振器ボード611は、患者の肝臓の下の加速度または速度または変位を定量化するために、加速度計などの追加のセンサを収容することができ、または、トランスデューサに取り付けられたターゲット630を追跡することによって超音波トランスデューサ101を位置特定するために使用されることが可能なカメラ631を収容することができる。
【0085】
上述したように、使用される励振周波数は、それらの相対的な位相および振幅とともに、低変位ノードを除去すること、せん断波の方向が撮像面に平行であることを保証すること、および所与の関心領域での適切な全体的な変位を確実にすることのうちの少なくとも一つのために制御され得る。大部分の状況に対して最も信頼性の高い構成を生じさせるために、これらの基準のすべてを考慮に入れて、予め設定された励振信号を生成することができる。任意の所与の励振器に対して、予め設定された信号の異なる周波数の合計は、励振器の増幅器を飽和させるほどに高くすべきではない。
【0086】
より小さい患者の場合、予め設定された信号は、より高い周波数を使用してもよく、その後、より大きな患者に使用されてもよい。より高い周波数は、組織内でより迅速に減衰し、観察の深さが浅いところで最も容易に使用され得る。より小さい患者に対する周波数の組の例は、55Hz、60Hzおよび65Hzであり、これと比較して、より大きい患者に対する周波数の組の例は、45Hz、50Hzおよび55Hzである。
【0087】
励振器がトランスデューサから遠くにあるいくつかの実施形態では、励振器は、より低い周波数のセットおよびより大きな振幅の波のうちの少なくとも一方を使用することができる。肥満患者および接近した肋骨を有する患者にとっては、図4Aおよび図4Bに示すように遠隔の回転中心が使用されて、トランスデューサが肋骨の間を効果的に狙うことが可能となる。
【0088】
いくつかの実施形態では、超音波面内の組織変位およびせん断波長の測定結果のうちの少なくとも一方の品質評価値がリアルタイムで計算され、低変位ノードを排除すること、およびせん断波の方向および振幅を最適化することのうちの少なくとも一方のために励振信号を調整するために使用される。勾配法または他のタイプの探索を使用して、この最適化を実行することができる。このようにして、入力励振信号は、最も正確な結果を得るために制御ループを用いてリアルタイムで特定の患者に対して設定されることができる。
【0089】
品質評価値の2つの例は、先に説明した信号対雑音比の測定結果のいずれかを含む。フェーザの大きさに対して最小および最大の閾値を設定することによって、さらなる品質評価値を確立することができる。測定されたフェーザの大きさが最小閾値を下回る場合、これはノードの存在を示すか、またはせん断波が組織の中に十分に深く侵入していないことを示し得る。さらに、非常に高い振幅は、組織が大きな歪みを受け、望ましくない非線形の応力ひずみ関係で動いている可能性があることを示し得る。別の品質評価値は、各点の周りに窓関数を適用し、次にデータを周波数領域に伝達し、予想される弾性範囲に対応する範囲内にあるはずの信号の空間周波数のコンタクトを見ることによって計算することができる。
【0090】
さらなる品質評価値は、弾性を見出すために空間的にデータにフィットさせるために使用されるフィッティングモデルの誤差であってもよい。この適用に適したフィッティングモデルは、米国特許出願公開第2012/000779号明細書に記載されている。例えば、モデルは、弾力性範囲の制約を伴う波動方程式のFEMモデルであってもよい。良好な波のある領域が検出されたら、次の試みは、結像面で最小の波長を得るように波のパターンを制御することである。この方法の1つの実施形態では、操作者は、個々の励振器で作業し、予め設定された周波数および振幅ステップにわたって掃引して、ROI内のいずれが良好な波を生成するかを見つけることができる。次に、操作者は、これらの周波数と振幅のうち、最小の弾性を生成するもののいずれかを選択することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサおよび1つまたは複数の励振器を同期させることができる。いくつかの実施形態では、トランスデューサと励振器の同期化は、励振器およびトランスデューサの内部クロックを使用して得られ得る。いくつかの実施形態では、励振器およびトランスデューサが共にトリガされて位相ロックされる。
【0092】
いくつかの実施形態は、構造物およびソフトウェアのうちの少なくとも一方によって構成され、以下の1つまたは複数を行う方法を実行するハードウェアコントローラを提供する。
【0093】
・せん断波の方向を最適化する(例えば、超音波撮像面に合わせる)。
・せん断波のフィールドを制御してノードを除去または移動させる。
・撮像タスクのためのせん断波の周波数を最適化する(例えば、撮像の深さと解像度の間の良好なバランスを得る)。
【0094】
・特定の撮像アプリケーションのためにせん断波の振幅を最適化する。
コントローラは、これらの目的を達成するために駆動信号を1つまたは複数の励振器に供給するように接続されてもよい。駆動信号は、撮像システム(例えば、超音波撮像システム)および1つまたは複数の追加のセンサのうちの少なくとも一つを経由して受信されるフィードバックに応答して制御されてもよい。これは、励振器を制御するために品質評価値が使用される閉ループシステムであってもよい。1つまたは複数の追加のセンサの例は、患者の身体の1つまたは複数の点およびボードまたは他の患者接触面のうちの少なくとも一方に取り付けられた1つまたは複数の加速度計であり、それによって振動が患者の身体に伝達される。コントローラは、撮像システム(任意選択的にコントローラと一体化されている)からの画像を処理して画像を生成する。画像は、従来の画像(例えば、Bモード超音波画像)を含むことができる。コントローラは、エラストグラフィ画像を生成するように構成されることができる。エラストグラフィ画像は、撮像された組織が異なる色によって異なる機械的特性(例えば、剛性、ヤング率、および粘度のうちの少なくとも一つ)を有する領域を示すことができる。いくつかの実施形態は、Bモード画像およびエラストグラフィ画像を同時に表示することができる1つまたは複数のディスプレイを提供する。
【0095】
例示的な実施形態では、コントローラは、複数の励振器102を駆動するように接続されている。コントローラは、対象ボリュームの画像をモニタしてせん断波の見かけ上の波長を決定することによって、撮像される組織の対象ボリュームにおけるせん断波の方向を最適化するように構成されている。これは、画像を処理して対象ボリュームの一連の画像内の特徴の位置を比較することによって行うことができる。複数の励振器102の異なる励振器に供給される複数の駆動信号の位相は、決定された見かけ上の波長が最小化されるまで、アルゴリズムまたは探索パターンに従って変化させることができる。一実施形態では、見かけ上の波長が測定され、位相が、トランスデューサの方向における平均検出変位(フェーザ振幅変動)を最大にするように調整され、これにより、せん断波測定の品質評価値が改善される。別の例では、トランスデューサの方向に沿った測定された平均せん断波波長がコスト関数として使用される。次いで、コスト関数を最小化するようにアレイの位相を調整することができる。他の方法の中でも最急降下法のような最適化アルゴリズムを使用して、トランスデューサの方向に沿ったせん断波波長を最小化することができる。
【0096】
別の例示的な実施形態では、コントローラは、一連の画像(例えば、対象ボリュームの超音波画像)を処理して、1つまたは複数の励振器102からのせん断波の影響下にある非常に小さい組織変位の任意の領域を識別するように構成されている。そのような領域が見つかった場合、コントローラは、1つまたは複数の励振器102に供給されている駆動信号の周波数、位相、および振幅のうちの少なくとも一つを自動的に調整して、見込まれたノードがなくなるか、または別の場所に移動されるような駆動信号の周波数、位相、および振幅のうちの少なくとも一つの組が見出されたかどうかを判定する。
【0097】
任意選択的に、このような調整は、条件を満たす領域に対してのみ行われる。コントローラは、組織変位が閾値よりも低い領域を識別し、領域がある閾値サイズよりも大きい場合、上記のような調整を実行することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、コントローラは、駆動信号の2つ以上の異なる周波数、位相、および振幅のうちの少なくとも一つに対するデータのセットを取得し、駆動信号のこれらのセットのそれぞれを使用して取得された画像を処理して、対象エリアのエラストグラフィ画像データのセットを取得し、結果として得られたエラストグラフィ画像データのセットのそれぞれにおける位置の関数としてエラストグラフィ画像データの信頼性の評価を実行し(これは、例えば、測定された組織変位に基づき得る)、次いで、当該評価から得られた信頼性データを使用して、合成画像の各部分における最も信頼性の高いデータを使用して(および/または最も信頼性の低いエラストグラフィデータを除いて)、対象領域の複合エラストグラフィ画像の組み立てをガイドする。
【0099】
一実施形態では、測定は2つ以上の励振周波数で行われ、測定の結果は(例えば、平均化または重み付け平均によって)統合される。さらなる実施形態では、複数の測定結果は、1つまたは複数の重みが1つまたは複数の品質評価値(例えば、本明細書に記載された品質評価値のいずれか)に基づく加重平均を使用して統合される。
【0100】
励振パラメータの2つ以上のセットを使用してデータを取得する場合、励振パラメータの各セットを用いて得られたデータから計算された結果を統合するために使用された重みは、励振パラメータの各セットについて得られた結果の比較に基づいて決定されてもよい。結果が最も一貫性のあるデータセットに基づく結果は、他のデータセットに基づく結果よりも重く重み付けされてもよい。さらなる実施形態では、関心領域内の測定結果の変動性によって重み付けを決定することができる。これは、肝臓組織が、血管の近くや、横隔膜のような境界を除いて、ほとんど均質な弾性マップを有すると予想することができるので、肝臓組織を検査するのに有用であり得る。
【0101】
図12は、本発明の例示的な実施形態による超音波撮像システムの動作を示す。励振パラメータ1202は、信号生成器1204Aおよび信号生成器1204Bに供給される。信号生成器1204Aおよび信号生成器1204Bはそれぞれ、励振器102Aおよび励振器102Bをそれぞれ駆動するドライバ1206Aおよびドライバ1206Bに信号を伝達する。信号生成器、ドライバおよび励振器の2つの組が示されているが、異なる実施形態では、それぞれの1つまたは2つ以上が存在してもよい。いくつかの実施形態では、励振器の数は、ドライバの数または信号生成器の数と異なっていてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、信号生成器1204Aおよび1206Bは、励振器を駆動するための周波数、位相または振幅のいずれか1つまたは複数を決定するためにドライバ1206Aおよび1206Bによって使用され得るデジタル信号を生成するように構成される。ドライバ1206Aおよびドライバ1206Bは、デジタル-アナログ変換器を備えてもよい。初期パラメータ1202は、励振器毎の振動の1つまたは複数の周波数、位相、振幅および方向のセットを含むことができる。
【0103】
励振器102Aおよび励振器102Bは、患者の組織内にせん断波を生成する。せん断波によって生成された組織の動きは、トランスデューサ101によって観察される。トランスデューサ101は、超音波エコーデータを撮像システム1208に出力し、撮像システムはコントローラ1210に撮像システムデータを提供する。いくつかの実施形態では、撮像システム1208はコントローラ1210と一体化されている。コントローラ1210は、撮像システムからの画像を処理して弾性画像1212を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、弾性画像1212および超音波画像データのうちの少なくとも一方が、ユーザインタフェース1214上においてリアルタイムで生成される。
【0104】
コントローラ1210はまた、生成された弾性画像および弾性画像が基づくデータのうちの少なくとも一方に様々な品質評価値のいずれかを適用するように構成されてもよい。様々な状況において、コントローラ1210は、関心ボリュームの全部または一部の品質評価値を改善するために、信号生成器1204Aおよび信号生成器1204Bに提供される励振パラメータ1202を修正するルーチンを実行することができる。
【0105】
図13は、本発明の一実施形態による、図12のコントローラ1210の動作のシステムを示す。励振器(図示せず)は、患者の組織に励振を印加する(1220)。トランスデューサ(図示せず)は、組織を撮像し(1222)、撮像システムデータ1224を生成する。コントローラ1210は、セクタごとに1つまたは複数の品質評価値を適用し(1226)、品質測定結果が許容可能かどうかを判定する(1228)。品質測定結果が許容できない場合、コントローラは励振パラメータを修正し(1230)、これらは励振器(図示せず)を駆動するために適用される。コントローラ1210が、画像の少なくとも1つのセクタのデータが信頼できることを品質評価値が示していると判定した場合、コントローラ1210は、信頼できるセクタデータを記録する(1232)。コントローラ1210が、信頼できるデータが関心ボリューム内のすべてのセクタについて得られたと判定した場合、コントローラ1210は、記録されたセクタデータから合成画像を組み立てる(1236)ことができる。すべてのセクタについて信頼できるデータが得られていない場合、コントローラは励振パラメータ1230をさらに修正することができる。
【0106】
組み立てられた合成画像は、弾性画像1212として出力され、弾性画像1212は、ユーザインターフェース(図12参照)への表示のために格納または送信され、またはその両方が行われ得る。合成画像を組み立てること(1236)は、弾性データまたは超音波画像データに補正を適用して、励振パラメータの違いを解決することを含むことができる。例えば、セクタ間の励振周波数および振幅のうちの少なくとも一方の差から生じる計算された組織剛性の差異を解決するために、周波数補正および振幅補正のうちの少なくとも一方を適用することができる。いくつかの実施形態では、撮像システムデータ1224および弾性画像のうちの少なくとも一方は、リアルタイムでユーザインタフェースに送信されてもよい。セクタは、超音波画像内におけるラインのサブセット、または超音波画像のラインのサブセットのある深さ範囲、または別の適切な選択された関心領域を意味することができる。
【0107】
セクタデータを記録する場合、励振パラメータの複数のセットを用いて、一部または全部のセクタのデータを得ることができる(例えば、1つまたは複数のセクタのデータは、2つ、3つまたはそれ以上の異なる励振周波数を用いて得ることができる)。所与のセクタのためにデータの複数のセットが記録されている場合、コントローラ1210は、そのセクタのデータの全てのセット、またはデータセットのサブセットを使用することができる。いくつかの実施形態では、各セクタについて、そのセクタの画像データに対して最良の品質評価値を提供した励振パラメータに基づいて、データの単一のセットが選択される。所与のセクタに関するデータの複数のセットが使用される場合、コントローラ1210は、複数のデータセットのそれぞれに基づいて組織特性を任意に計算し、その結果を(例えば、平均化または加重平均によって)組み合わせることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、取得された超音波エコーデータに基づいて品質評価値をモニタしながら、励振器の振幅、周波数および位相の実用的な値の範囲にわたって測定が行われる。品質評価値は、リアルタイムで計算することができる。品質評価値は、品質評価値から決定された最良の結果をもたらす各励振器の振幅、周波数および位相のうちの少なくとも一つの最適なセットを判定するために処理されてもよい。いくつかの実施形態では、品質評価値の傾向が、次に試すべき振幅、周波数および位相のうちの少なくとも一つの選択をガイドするために使用される。次いで、励振パラメータの最適化されたセットを適用して、エラストグラフィ画像を生成するように処理されるデータを取得することができる。
【0109】
図14は、図12のコントローラ1210の動作のシステムを示す。一組の最適化されたパラメータが決定される。図13のように、励振器(図示せず)は、患者の組織に励振を印加する(1220)。トランスデューサ(図示せず)は、組織を撮像し(1222)、撮像システムデータ1224を生成する。コントローラ1210は、セクタごとに1つまたは複数の品質評価値を計算し(1226)、品質評価値およびパラメータを記録する(1240)。
【0110】
次に、コントローラ1210は、パラメータのリストの全ての励振パラメータが実行されたかどうかをチェックする(1242)。リスト上のすべてのパラメータが実行されていない場合、コントローラは、リスト内の次のセットの励振パラメータを励振器102(図示せず)に送信する(1244)。リスト内のすべての励振パラメータが実行された場合、コントローラは、記録された品質評価値を使用して、最適化されたパラメータのセットを判定する(1246)。最適化されたパラメータは、励振器102に送られ(1248)、励振器102は、最適化されたパラメータを使用して励振を生成する(1250)。
【0111】
トランスデューサ101は組織から超音波エコーデータを取得して(1252)、撮像システムデータ1254を生成し、これはコントローラ1210によって処理され(1256)、弾性画像1212を生成する。いくつかの実施形態では、弾性画像および中間撮像システムデータは、継続的にユーザインタフェースに送信される(図12参照)。
【0112】
パラメータのリストは、様々な患者のための実用的な値の範囲を含むようにプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、異なるリストが異なるタイプの患者に対して最適化されたパラメータの複数のリストを有することができる。例えば、より大きな患者に対し最適化されたパラメータのリストが存在することができ、そのリストは、励振器に対する低周波数入力のより大きな範囲を含む。いくつかの実施形態では、患者は、最適化されたパラメータで測定が行われている間に固定されてもよい。患者を固定することは、測定が行われる一定期間、患者に息を止めるように求めることを含むことができる。
【0113】
最適化されたパラメータのセットを決定すること(1246)は、関心組織の領域内にノードを生成しないパラメータの1つまたは複数のセットを識別することを含むことができる。一実施形態では、最適化されたパラメータのセットを決定すること(1246)は、すべてのセクタにわたる最小品質評価値結果が、他のパラメータセットの全セクタにわたる最小品質評価値よりも高いパラメータのセットを識別することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態は、撮像面をセクタに分割することを含む、組織を撮像するための方法を提供する。各セクタ内の組織の動きは、超音波エネルギーのパルスをセクタに繰り返し伝達し、セクタ内の構造から超音波エコー信号を受信することによってサンプリングされる。これは、励振周波数の少なくとも1/2サイクル、好ましくは少なくとも1サイクルの時間期間、実施され得る。例えば、撮像面のセクタは、10から30程度の時間的に離間した超音波パルスでピング(ping)されてもよい。これらのパルスから生じるエコー信号は、セクタ内の組織の動きを測定することを可能にする。いくつかの実施形態では、バンドパスサンプリングが、せん断波の動きを分析するために使用される。
【0115】
いくつかの実施形態では、コントローラ1210は、励振器102に取り付けられた加速度計からの信号を受信するように接続されている。このような信号は、励振器102の適切な動作を確認するため、または励振器102の駆動信号の周波数、位相および振幅のうちの少なくとも一方を制御するために、またはその両方のために使用されてもよい。そのような信号はまた、超音波トランスデューサ101における励振器102によって誘起される動きによって引き起こされる組織の動きの測定における誤差を補償するために適用されてもよい。
【0116】
本発明は、撮像モダリティとして超音波撮像を使用するエラストグラフィに限定されない。上に開示された本発明の態様は、MRI撮像のような他の撮像様式での実施であってもよいし、代替として実施されてもよい。
【0117】
文脈上、明らかに別段の必要がない限り、明細書および特許請求の範囲を通じて、
・「備える」、「備えている」などの用語は、排他的または網羅的な意味ではなく包括的な意味で解釈されるべきであり、言い換えれば、「含むが、これに限定されない」という意味であり、
・「接続された」、「結合された」、またはそれらの任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な接続または結合を意味し、要素間の結合または接続は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせとすることができ、
・「本明細書」、「上の」、「下の」および類似の用語は、本明細書を記述するために使用される場合、本明細書を全体として参照するものとし、本明細書の特定の部分を参照とするものではなく、
・「または」は、2つ以上の項目のリストを参照して、リスト内の任意の項目、リスト内のすべての項目、およびリスト中の項目の任意の組み合わせの全ての解釈をカバーし、
・単数形は、任意の適切な複数形の意味をも含む。
【0118】
本明細書および添付の特許請求の範囲(存在する場合)で使用される「垂直」、「横」、「水平」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「内側」、「外側」、「鉛直」、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」などの方向を示す語は、説明および図示された装置の特定の向きに依存する。本明細書に記載される主題は、様々な代替的な向きを想定することができる。したがって、これらの方向性の用語は厳密に定義されておらず、狭義に解釈されるべきではない。
【0119】
本発明の例示的な実施形態における制御システム(例えば、コントローラ1210)は、ソフトウェア(任意に「ファームウェア」を含み得る)の提供によって構成された特別に設計されたハードウェア、構成可能なハードウェア、プログラム可能なデータプロセッサのいずれか1つまたは任意の組み合わせを使用して実装されることができ、当該ソフトウェアは、本明細書で説明する方法で1つまたは複数のステップおよび/またはこれらの2つまたはそれ以上の組合せを実行するように特別にプログラム、構成、または構築されたデータプロセッサ、特殊用途コンピュータまたはデータプロセッサ上で実行可能である。特別に設計されたハードウェアの例は、論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、大規模集積回路(LSI)、超大規模集積回路(VLSI)などである。これらの技術のいずれも、例えば、超音波データを処理して組織の動きを判定し、判定された組織の動きを処理して組織特性を判定し、表示用の画像を生成し、外部振動器を制御して本明細書に記載されるような最適化を実行し、品質評価値を生成し、1つまたは複数の励振器を駆動するためのパラメータに対するフィードバック制御を実施することなどのための、本明細書に記載の機能を提供するように構成されることができる。
【0120】
構成可能なハードウェアの例は、プログラマブルアレイロジック(「PAL」)、プログラマブルロジックアレイ(「PLA」)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などの1つまたは複数のプログラマブルロジックデバイスである。プログラム可能なデータプロセッサの例は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、埋め込みプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、数学コプロセッサ、汎用コンピュータ、サーバコンピュータ、クラウドコンピュータ、メインフレームコンピュータ、コンピュータワークステーションなどである。例えば、デバイスの制御回路内の1つまたは複数のデータプロセッサは、プロセッサにアクセス可能なプログラムメモリ内のソフトウェア命令を実行することによって、本明細書で説明する方法を実装することができる。
【0121】
処理は、集中化されていても分散されていてもよい。処理が分散される場合、ソフトウェアおよびデータの少なくとも一方を含む情報は、集中的にまたは分散されて保持され得る。そのような情報は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはインターネットなどの通信ネットワーク、有線または無線データリンク、電磁気信号、または他のデータ通信チャネルによって、異なる機能ユニット間で交換することができる。
【0122】
プロセスまたはブロックが所定の順序で提示される場合、代替の例は、異なる順序で、ステップを有するルーチンを実行してもよいし、ブロックを有するシステムを使用してもよく、いくつかのプロセスまたはブロックは、代替またはサブコンビネーションを提供するために削除、移動、追加、再分割、結合、および/または修正されてもよい。さらに、要素は、順番に実行されているように示されているが、同時に、または異なる順序で実行されてもよい。これらのプロセスまたはブロックの各々は、様々な異なる方法で実施することができる。また、プロセスまたはブロックは時には順次実行されるように示されているが、これらのプロセスまたはブロックは代わりに並列に実行されてもよく、または異なる時間に実行されてもよい。
【0123】
本発明の特定の態様はまた、プログラム製品の形態で提供されてもよい。プログラム製品は、データプロセッサによって実行された場合にデータプロセッサに本発明の方法を実行させるコンピュータ可読命令のセットを保持する任意の非一時的媒体を含むことができる。本発明によるプログラム製品は、多種多様な形態のいずれであってもよい。プログラム製品は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、CD-ROM、DVDを含む光学データ記憶媒体、ROMを含む電子データ記憶媒体、フラッシュRAM、EPROM、ハードワイヤードまたは予めプログラムされたチップ(例えば、EEPROM半導体チップ)、ナノテクノロジーメモリなどであってもよい。プログラム製品上のコンピュータ可読信号は、任意選択で圧縮または暗号化されてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明はソフトウェアを使用して実装することができる。より明確にするために、「ソフトウェア」は、プロセッサ上で実行される任意の命令を含み、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むことができる(しかしこれらに限定されない)。処理ハードウェアおよびソフトウェアの両方は、当業者に知られているように、全体的または部分的に集中化または分散(またはそれらの組み合わせ)することができる。例えば、ソフトウェアおよび他のモジュールは、ローカルメモリを介して、ネットワークを介して、分散コンピューティング環境内のブラウザまたは他のアプリケーションを介して、または上述の目的に適した他の手段を介してアクセス可能であってよい。
【0125】
(例えば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路などの)構成要素が上記に言及されている場合、他に示されない限り、その構成要素への参照(「手段」への参照を含む)は、本発明の図示された例示的な実施形態において機能を実行する開示された構造と構造的に等価ではない構成要素を含む、記載された構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素の均等物として含むと解釈されるべきである。
【0126】
システム、方法および装置の特定の例は、説明の目的で本明細書に記載されている。これらは例にすぎない。本明細書で提供される技術は、上記の例示的なシステム以外のシステムに適用することができる。本発明の実施の範囲内において、多くの変更、修正、追加、省略、および置換が可能である。本発明は、記載された実施形態の変形例を含み、これらは、当業者には自明であるが、特徴、要素および/または動作を同等の特徴、要素および/または動作に置き換えること、異なる実施形態からの特徴、要素および/または動作を混合およびマッチングすること、要素および/または動作を、他の技術の特徴、要素、および/または行為と組み合わせること、および/または記載された実施形態から特徴、要素および/または動作を組み合わせることを省略することによって得られる変形を含む。
【0127】
したがって、以下の添付の特許請求の範囲および以後導入される特許請求の範囲は、合理的に推論できるそのような改変、置換、追加、省略および部分的な組合せの全てを含むと解釈されることが意図されている。特許請求の範囲は、実施例に記載された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と合致する最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14