(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】オーバーヘッドドアにおけるローラブラケットの補強構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20220901BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
E06B9/02 A
E06B9/17 T
(21)【出願番号】P 2019015097
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高村 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 裕文
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089359(JP,A)
【文献】特開2014-109185(JP,A)
【文献】特開2017-043948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルを幅方向に間隔を存して設けた複数のヒンジによって互いに回動可能に連結してなる扉体と、開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールと、を備え、各パネルの幅方向両端部に設けたガイドローラが前記左右のガイドレールに案内されて昇降することで開口部を開閉するオーバーヘッドドアにおいて、
前記ガイドローラのローラ軸は、パネル面部の幅方向両端部から対向状に突設された一対のブラケットを挿通するパイプ内に受け入れられており、
前記パイプには、前記一対のブラケットの少なくとも一方のブラケットの内側への倒れを規制する補強手段が設けられている、
オーバーヘッドドアにおけるローラブラケットの補強構造。
【請求項2】
前記補強手段は、前記一対のブラケット間に位置して、前記パイプに外装したアウターパイプである、
請求項1に記載のローラブラケットの補強構造。
【請求項3】
上下に隣接するパネルの幅方向両端部を連結するヒンジは、上側のパネル面部に固定した上側プレートと、下側のパネル面部に固定した下側プレートと、上側プレートの下端部位と下側プレートの上端部位を回動可能に連結するヒンジ軸と、からなり、
前記一対のブラケットは、前記上側プレート、前記下側プレートの一方から対向状に立ち上がっており、前記一対のブラケットの基端側には前記ヒンジ軸が設けてある、
請求項1、2いずれか1項に記載のローラブラケットの補強構造。
【請求項4】
上下に隣接するパネルの幅方向両端部には、前記ヒンジがパネル幅方向に並設されており、前記ガイドローラのローラ軸は、2組の一対のブラケットからなる4つのブラケットを挿通するパイプ内に受け入れられており、
前記補強手段は、各ヒンジの一対のブラケット間に位置して、前記パイプに外装されたアウターパイプである、
請求項3に記載のローラブラケットの補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドドアにおけるローラブラケットの補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッドドアは、倉庫やガレージ等の建物の屋外と屋内とを連通する開口部に設置する建具として知られている。オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のセクションすなわちパネルを、ヒンジを介して上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されており、各パネルの幅方向左右両端のガイドローラが開口部の幅方向左右に設けたガイドレールに案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。
【0003】
図8の従来例に示すように、パネル1の室内側面部10の幅方向両端部には2組の一対のブラケット30、31(ローラブラケット3A´)、一対のブラケット32、33(ローラブラケット3B´)が突設されており、ガイドローラ4は、ローラ軸40が4つのブラケット30、31、32、33を挿通するパイプ34内に挿入された状態で、躯体7から持ち出し状に支持されたガイドレール5内に受け入れられている。特許文献1には、類似の構成を備えたローラブラケットが開示されており、ガイドローラは、ローラ軸が、パネル面部の幅方向両端部から対向状に突設された一対のブラケットを挿通するパイプ内に挿入された状態で、ガイドレール内に受け入れられている。
【0004】
開口部全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアにおいて、パネル1に室外側から室内側に向かって風圧力が加わると、パネル1は幅方向中央部位が室内側に膨出するように撓む(
図9上図)。この時、大きい風圧力が作用してパネル1の撓みが大きくなると、パネル1の幅方向端部が傾き(平面視において)ながら、幅方向中央部位に引っ張られ、ローラブラケット3A´、3B´に負荷がかかり、ガイドローラ4のローラ軸40を支持するブラケット30、31、32、33のいずれか1つあるいは複数が変形するおそれがあった。ローラブラケットの変形は、パネルの円滑な昇降動作に影響を与え得るため、大きい風圧力が作用した場合であっても、ローラブラケットの変形を可及的に防止する必要がある。
【0005】
全閉姿勢のパネルが大きく撓んだ時には、その時のパネルの幅方向端部の挙動や力のかかり方にもよるが(風圧力で膨らむように撓んで、戻って、また撓んだりする)、対向状の一対のブラケットの先端が互いに近づく方向に変形する傾向があることがわかった。
図9下図はブラケット30、31、32、33の1つの変形態様を例示しており、特に、内側のローラブラケット3B´の内側のブラケット33が内側に倒れる事象が観察されている。
【文献】特開2001-3657
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ローラブラケットを補強することで、オーバーヘッドドアの耐風圧強度を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
複数枚のパネルを幅方向に間隔を存して設けた複数のヒンジによって互いに回動可能に連結してなる扉体と、開口部の幅方向両側に設けた左右のガイドレールと、を備え、各パネルの幅方向両端部に設けたガイドローラが前記左右のガイドレールに案内されて昇降することで開口部を開閉するオーバーヘッドドアにおいて、
前記ガイドローラのローラ軸は、パネル面部の幅方向両端部から対向状に突設された一対のブラケットを挿通するパイプ内に受け入れられており、
前記パイプには、前記一対のブラケットの少なくとも一方のブラケットの内側への倒れを規制する補強手段が設けられている、
オーバーヘッドドアにおけるローラブラケットの補強構造、である。
【0008】
1つの態様では、前記補強手段は、前記一対のブラケット間に位置して、前記パイプに外装したアウターパイプである。
1つの態様では、前記一対のブラケット間に位置して1つのアウターパイプが外装されており、前記アウターパイプの一端は一方のブラケットの内面に当接ないし近接しており、前記アウターパイプの他端は他方のブラケットの内面に当接ないし近接している。
なお、一対のブラケット間に位置して複数のアウターパイプを密着状に外装しても良く、この場合、一連のアウターパイプセットの一端が一方のブラケットの内面に当接ないし近接し、一連のアウターパイプセットの他端が他方のブラケットの内面に当接ないし近接する。
前記補強手段は、前記一対のブラケットの少なくとも一方のブラケットの内面に隣接して前記パイプに突設した突部(例えば、パイプに固定したリングやパイプに突成したフランジ等の拡径部)でもよい。
【0009】
1つの態様では、前記パイプの周面には、対向する一対のブラケットの一方のブラケットの外側、他方のブラケットの外側にそれぞれ隣接して第1突部、第2突部が形成されており、前記一方のブラケットの外面は前記第1突部に当接ないし近接しており、前記他方のブラケットの外面は前記第2突部に当接ないし近接している。1つの態様では、前記突部は、前記パイプの周面の長さ方向両端部に形成した拡径部(例えば、フランジ)である。
【0010】
1つの態様では、上下に隣接するパネルの幅方向両端部を連結するヒンジは、上側のパネル面部に固定した上側プレートと、下側のパネル面部に固定した下側プレートと、上側プレートの下端部位と下側プレートの上端部位を回動可能に連結するヒンジ軸と、からなり、
前記一対のブラケットは、前記上側プレート、前記下側プレートの一方から対向状に立ち上がっており、前記一対のブラケットの基端側には前記ヒンジ軸が設けてある。
【0011】
1つの態様では、上下に隣接するパネルの幅方向両端部には、前記ヒンジがパネル幅方向に並設されており、前記ガイドローラのローラ軸は、2組の一対のブラケットからなる4つのブラケットを挿通するパイプ内に受け入れられており、
前記補強手段は、各ヒンジの一対のブラケット間に位置して、前記パイプに外装されたアウターパイプである。
【0012】
1つの態様では、前記パイプの周面には、前記4つのブラケットの一端に位置する第1ブラケットの外側、前記4つのブラケットの他端に位置する第4ブラケットの外側にそれぞれ隣接して第1突部、第2突部が形成されており、前記第1ブラケットの外面は前記第1突部に当接ないし近接しており、前記第4ブラケットの外面は前記第2突部に当接ないし近接している。1つの態様では、前記突部は、前記パイプの周面の長さ方向両端部に形成した拡径部(例えば、フランジ)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ローラブラケットの補強手段を設けたことによって、風圧力によってパネルが撓んだ場合であっても、パネル幅方向のローラブラケットの変形を防止し、オーバーヘッドドアの耐風圧強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図である。
【
図2】全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアの側面図である。
【
図3】(A)本実施形態に係るローラブラケットの正面図、(B)本実施形態に係るローラブラケットの側面図、(C)本実施形態に係る補強手段としてのアウターパイプを示す図である。
【
図4】本実施形態に係るローラブラケットの平面図である。
【
図5】
図4の状態からパネルに風圧が作用した状態を示す図である。
【
図6】他の実施形態に係るローラブラケットの平面図である。
【
図7】他の実施形態に係るローラブラケットの平面図である。
【
図9】
図8の状態からパネルに風圧が作用した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]オーバーヘッドドアの全体構成
図1は、全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアを室内側から見た正面図であり、
図2はオーバーヘッドドアの側面図である。オーバーヘッドドアの扉体は、横長方形状の複数枚のパネル1を、ヒンジ2を介して上下方向に互いに回動可能に連結することで構成されている。
【0016】
各パネル1の幅方向左右両端(本実施形態では、室内側面部10の幅方向左右両端)にはヒンジと一体形成されたローラブラケット3が設けてある。ローラブラケット3の詳細な構成については、後述する。ローラブラケット3には、ガイドローラ4が支持されており、扉体は、各パネル1の左右両端のガイドローラ4が開口部の幅方向左右に設けたガイドレール5に案内されながら上昇、下降することで開口部を開閉する。
【0017】
図2に示すように、ガイドレール5は、開口部の高さ方向に延びる第1部位50と、第1部位50の上方から室内側に向かって後方に延びる湾曲状の第2部位51と、第2部位51の後方から天井に沿って後方に延びる第3部位52と、からなる。第1部位50は、下方から上方に向かって室内側へ緩やかに傾斜している。第3部位52は、室内側に向かって上方に緩やかに傾斜している。
【0018】
開口部全閉状態では各パネル1はガイドレール5の第1部位50に位置することで複数枚のパネル1が垂直姿勢となり、最下位のパネル1の下面が床面FLに着床することで、開口部を閉鎖する。開口部全閉状態から、各パネル1が垂直姿勢から第3部位52に位置するほぼ水平姿勢まで引き上げられて、扉体が室内側空間の天井CLに沿って横方向に延びた姿勢となって、開口部全開状態となる。
【0019】
ガイドレール5(第1部位50)は、開口部のほぼ全高に亘って垂直状に延びる支持枠6(
図4等参照)を介して、開口部左右の躯体7から持ち出し状に支持されている。支持枠6は、第1辺60と第2辺61とから断面視L形状を備えた長尺部材であり、第1辺60が躯体7に固定され、第2辺61にガイドレール5(第1部位50)が固定されている。
【0020】
パネル1は、室内側面部10と、室外側面部11と、幅方向左右の側面12を備えており、パネル1の幅方向両端部には縦框12´が設けてある。縦框12´は、パネル1の室内側面部10に密着する第1見付辺120と、パネル1の室外側面部11に密着する第2見付辺121と、見込辺122と、から断面視ほぼコ字状に形成されており、見込辺122がパネル1の側面12となっている。パネル1の上面13は、室内側部位が凸状の段状であり、パネル1の下面14は、室外側部位が下向き凸状の段状であり、開口部全閉状態では、上側に位置するパネル1の段状の下面14に下側に位置するパネル1の段状の上面13が当接するようになっている。
【0021】
本実施形態に係るパネル1の室内側面部10には、縦框12´の第1見付辺120に隣接して、パネル1の高さ方向に延びる縦枠15が設けてある。縦枠15は断面視ハット型を有しており、室内側面部10と略面一の面部150と、断面視L形状の左右の脚部151を備えている。本実施形態に係るパネル1の室内側面部10は凹状部位を備えており、縦枠15の脚部151が凹状部位に固定されることで、面部150が室内側面部10(縦框12´の第1見付辺120)と略面一となっている。
図1、
図3(A)に示すように、パネル1の室内側面部10において、縦框12´の第1見付辺120と、縦枠15の面部150は、僅かな隙間を存して並行状に高さ方向に延びている。第2ローラブラケット3Bを固定するための縦枠15の構成や形状は、図示のものに限定されるものではない。
【0022】
オーバーヘッドドアは、全閉姿勢の扉体の上動を規制する施錠装置を備えている。オーバーヘッドドアの扉体の下から2番目のパネル1の幅方向左右両端には、係止姿勢と退避姿勢の間で移動可能であり、係止姿勢をとるように付勢されている左右のラッチLが設けてある。下降する扉体の下端が床面FLに着床して全閉状態となった時に、左右のラッチLが、ガイドレール5の第1部分50の所定高さ位置に設けられた左右のラッチ掛かり(図示せず)に係止して施錠状態となって扉体の上動が規制される。
図1に示すように、パネル1の幅方向中央部位には、ワイヤW1、W2によって左右のラッチLに連結された解錠操作部8が設けてあり、開口部を開放する際には、解錠操作部8の回動操作によって、施錠状態を解除して、扉体を上昇させる。
【0023】
開口部の上方には、バランススプリング16を備えた回転軸17が配設されており、回転軸17の両端部に軸支したドラム18に一端をそれぞれ固定したワイヤ(図示せず)の他端を、最下位のパネル1の左右両端のワイヤ固定部(図示せず)にそれぞれ接続して、バランススプリング16の巻き上げ方向の付勢力により全閉姿勢にある扉体を開放方向(上方)に付勢するように構成されている。本実施形態に係るオーバーヘッドドアは手動式であるが、本発明に係るオーバーヘッドドアのブラケット構造を採用し得るオーバーヘッドドアは、手動式、電動式を問わない。
【0024】
[B]オーバーヘッドドアのローラブラケット構造
オーバーヘッドドアのローラブラケット3は、各パネル1の室内側面部10の幅方向両端部位に設けてあり、ローラブラケット3によりガイドローラ4が支持されている。本実施形態に係るローラブラケット3には、ヒンジが一体化されており、すなわち、ローラブラケット3が、パネル1の幅方向両端部位のヒンジとして機能する。
【0025】
本実施形態に係るオーバーヘッドドアのローラブラケット3は、パネル1の室内側面部10の幅方向に隣接して設けた外側の第1ローラブラケット3Aと、内側の第2ローラブラケット3Bと、の2つのローラブラケット3A、3Bからなる。第1ローラブラケット3Aのブラケット30、31、第2ローラブラケット3Bのブラケット32、33からなる4つのブラケット30、31、32、33には、ガイドローラ4のローラ軸40が長さ方向に移動可能に支持されており、ローラ軸40の先端に設けたガイドローラ4は、パネル1の側面12から突出しており、ガイドレール5内に受け入れられている(
図4等参照)。
【0026】
本実施形態では、ガイドレール5の第1部位50が下方から上方に向かって室内側へ緩やかに傾斜しているのに対して、開口部全閉状態では各パネル1は垂直姿勢にあるため、パネル1の室内側面部10とガイドレール5の第1部位50との距離は、パネル1が上側に位置するにしたがって大きくなる。したがって、各パネル1の室内側面部10とガイドレール5の第1部位50内を移動するガイドローラ4(ブラケット30、31、32、33におけるローラ軸40)との距離(室内側面部10に対するブラケット30、31、32、33の突出寸法)は、垂直姿勢にあるパネル1の高さ位置によって異なり得る点に留意されたい。例えば、
図3に示すブラケット30、31、32、33の突出寸法と、
図4~
図7に示すブラケット30、31、32、33の突出寸法は異なる。
【0027】
図3に示すように、第1ローラブラケット3Aは、上下に隣接する2枚のパネル1において、上側のパネル1の幅方向両端部の縦框12´の第1見付辺120に固定された第1プレート20と、下側のパネル1の幅方向両端部の縦框12´の第1見付辺120に固定された第2プレート21と、を備えている。第1プレート20は、左右の立ち上がり片200を備えており、第1プレート20の下端にはパイプ22が固定されている。第2プレート21は、左右の立ち上がり状の第1ブラケット30、第2ブラケット31を備えており、ブラケット30、31の基端側かつ上側部位には、第1プレート20に固定されたパイプ22が挿通されており、パイプ22がヒンジ軸となっている。すなわち、上側の第1プレート20と、下側の第2プレート21と、パイプ22とからヒンジが構成されている。パイプ22の長さ方向両端部には、第1ブラケット30、第2ブラケット31の外側に位置して、拡径部220が形成されている。
【0028】
図3に示すように、第2ローラブラケット3Bは、上下に隣接する2枚のパネル1において、上側のパネル1の幅方向両端部の縦框12´の第1見付辺120に隣接した縦枠15の面部150に固定された第1プレート20と、下側のパネル1の幅方向両端部の縦框12´の第1見付辺120に隣接した縦枠15の面部150に固定された第2プレート21と、を備えている。第1プレート20は、左右の立ち上がり片200を備えており、第1プレート20の下端にはパイプ22が固定されている。第2プレート21は、左右の立ち上がり状の第1ブラケット32、第2ブラケット33を備えており、ブラケット32、33の基端側かつ上側部位には、第1プレート20に固定されたパイプ22が挿通されており、パイプ22がヒンジ軸となっている。すなわち、上側の第1プレート20と、下側の第2プレート21と、パイプ22とからヒンジが構成されている。パイプ22の長さ方向両端部には、第1ブラケット32、第2ブラケット33の外側に位置して、拡径部220が形成されている。
【0029】
第1ローラブラケット3Aの第1ブラケット30、第2ブラケット31、第2ローラブラケット3Bの第1ブラケット32、第2ブラケット33には、パイプ22の挿通部分に対して、先端側かつ下側に位置して、パイプ34が挿通されており、パイプ34には、ガイドローラ4のローラ軸40が挿入されている。
図3に示すブラケット30、31、32、33では、側面視において、パイプ34は、基端側かつ上側に位置するパイプ22に対して、やや先端側かつ下側に位置している。
図4~
図7に示すブラケット30、31、32、33では、平面視において、パイプ22は基端側に位置し、パイプ34は先端に位置している。
【0030】
パイプ34の長さ方向両端部には、第1ブラケット30、第2ブラケット33の外側に位置して、突部としての拡径部340が形成されている。パイプ34の長さ方向両端部に形成された拡径部340は、
図4~
図7では省略されている。パイプ34の長さ方向両端部に形成された突部は、パイプ34の端部からブラケット30、33が外れることを規制できるものであれば、パイプ34の全周に形成した拡径部340には限定されず、パイプ34の外面に固定したリングや、パイプ34の周方向に部分的に形成した複数の突起でもよい。
【0031】
パイプ34には、第1ブラケット30と第2ブラケット31の間、第1ブラケット32と第2ブラケット33の間にそれぞれ位置して、アウターパイプ9が外装されている。第1ブラケット30と第2ブラケット31の間に設けたアウターパイプ9の一端90は第1ブラケット30の内面に当接しており、アウターパイプ9の他端91は第2ブラケット31の内面に当接している。第1ブラケット32と第2ブラケット33の間に設けたアウターパイプ9の一端90は第1ブラケット32の内面に当接しており、アウターパイプ9の他端91は第2ブラケット33の内面に当接している。
【0032】
開口部全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアにおいて、パネル1に室外側から室内側に向かって風圧力が加わると、パネル1は幅方向中央部位が室内側に膨出するように撓むが、大きい風圧力が作用してパネル1の撓みが大きくなると、パネル1の幅方向端部が傾き(平面視において)ながら、幅方向中央部位に引っ張られ、ローラブラケット3A、3Bに負荷がかかる。この時に、パイプ34を介してガイドローラ4のローラ軸40を支持する一対のブラケット30、31、一対のブラケット32、33が互いに近づくように変形する力が作用し得るが、第1ローラブラケット3Aのブラケット30の内側への倒れは、ブラケット30の内面がアウターパイプ9の一端90に当接することで規制され、ブラケット31の内側への倒れは、ブラケット31の内面がアウターパイプ9の他端91に当接することで規制される。同様に、第2ローラブラケット3Bのブラケット32の内側への倒れは、ブラケット32の内面がアウターパイプ9の一端90に当接することで規制され、ブラケット33の内側への倒れは、ブラケット33の内面がアウターパイプ9の他端91に当接することで規制される。したがって、補強手段としてアウターパイプ9を設けることで、風圧力によってパネル1が大きく撓んだ時であっても、対向状の一対のブラケット30、31、対向状の一対のブラケット32、33の先端が互いに近づく方向に変形することが規制される。
【0033】
ローラブラケット3A、3Bに負荷がかかった時に、パネル1の幅方向端部の挙動や力のかかり方にもよるが、ガイドローラ4のローラ軸40を支持する一対のブラケット30、31、一対のブラケット32、33のいずれかが外側に倒れるように変形する力が作用する場合もあり得る。本実施形態では、第1ローラブラケット3Aのブラケット30の外側への倒れは、ブラケット30の外面がパイプ34の長さ方向の一端に形成された拡径部340(
図3(A)参照)に当接することで規制され、第2ローラブラケット3Bのブラケット33の外側への倒れは、ブラケット33の外面がパイプ34の長さ方向の他端に形成された拡径部340(
図3(A)参照)に当接することで規制される。
【0034】
図6は、
図3~
図5に示す実施形態の変形例であり、パイプ34には、第1ローラブラケット3Aのブラケット31と第2ローラブラケット3Bのブラケット32の間に位置して、短筒のアウターパイプ9´が外嵌されている。パイプ34にアウターパイプ9´が外嵌されている点を除いて、
図3~
図5に示す実施形態と同様であり、
図3~
図5に示す実施形態の記載を援用することができる。
【0035】
アウターパイプ9´の一端は、第1ローラブラケット3Aのブラケット31の外面に当接しており、アウターパイプ9´の他端は、第2ローラブラケット3Bのブラケット32の外面に当接している。ローラブラケット3A、3Bに負荷がかかった時に、パネル1の幅方向端部の挙動や力のかかり方にもよるが、ガイドローラ4のローラ軸40を支持する一対のブラケット30、31、一対のブラケット32、33のいずれかが外側に倒れるように変形する力が作用する場合もあり得る。この時、第1ローラブラケット3Aのブラケット31の外側への倒れは、ブラケット31の外面がアウターパイプ9´の一端に当接することで規制され、第2ローラブラケット3Bのブラケット32の外側への倒れは、ブラケット32の外面がアウターパイプ9´の他端に当接することで規制される。
【0036】
図3~
図6に示す実施形態において、1本のアウターパイプ9に代えて、複数の短筒のアウターパイプから補強手段を形成してもよい。例えば、第1ローラブラケット3Aの一対のブラケット30、31に外嵌したアウターパイプ9を、複数のアウターパイプをパイプ34の長さ方向に連続して密着状に外装しても良く、この場合、一連の密着状のアウターパイプセットの一端が一方のブラケット30の内面に当接し、一連のアウターパイプセットの他端が他方のブラケット31の内面に当接する。
【0037】
図7に、さらに他の実施形態を示す。パイプ34の外周には、ブラケット30の内側に位置してブラケット30の内面に近接ないし当接してリング92が突設されており、ブラケット31の内側に位置してブラケット31の内面に近接ないし当接してリング93が突設されており、ブラケット31の外側に位置してブラケット31の外面に近接ないし当接してリング94が突設されており、ブラケット32の外側に位置してブラケット32の外面に近接ないし当接してリング95が突設されており、ブラケット32の内側に位置してブラケット32の内面に近接ないし当接してリング96が突設されており、ブラケット33の内側に位置してブラケット33の内面に近接ないし当接してリング97が突設されている。
【0038】
開口部全閉姿勢にあるオーバーヘッドドアにおいて、パネル1に室外側から室内側に向かって風圧力が加わると、パネル1は幅方向中央部位が室内側に膨出するように撓むが、大きい風圧力が作用してパネル1の撓みが大きくなると、パネル1の幅方向端部が傾きながら(平面視において)、幅方向中央部位に引っ張られ、ローラブラケット3A、3Bに負荷がかかる。この時に、ガイドローラ4のローラ軸40を支持する一対のブラケット30、31、一対のブラケット32、33が互いに近づくように変形する力が作用し得るが、第1ローラブラケット3Aのブラケット30の内側への倒れは、ブラケット30の内面がリング92に当接することで規制され、ブラケット31の内側への倒れは、ブラケット31の内面がリング93に当接することで規制される。同様に、第2ローラブラケット3Bのブラケット32の内側への倒れは、ブラケット32の内面がリング96に当接することで規制され、ブラケット33の内側への倒れは、ブラケット33の内面がリング97に当接することで規制される。
【0039】
ローラブラケット3A、3Bに負荷がかかった時に、パネル1の幅方向端部の挙動や力のかかり方にもよるが、ガイドローラ4のローラ軸40を支持する一対のブラケット30、31、一対のブラケット32、33のいずれかが外側に倒れるように変形する力が作用する場合もあり得る。この時、第1ローラブラケット3Aのブラケット31の外側への倒れは、ブラケット31の外面がリング94に当接することで規制され、第2ローラブラケット3Bのブラケット32の外側への倒れは、ブラケット32の外面がリング95に当接することで規制される。
【0040】
第1ローラブラケット3Aのブラケット30の外側への倒れは、ブラケット30の外面がパイプ34の長さ方向の一端に形成された拡径部340(
図3(A)参照)に当接することで規制され、第2ローラブラケット3Bのブラケット33の外側への倒れは、ブラケット33の外面がパイプ34の長さ方向の他端に形成された拡径部340(
図3(A)参照)に当接することで規制される。
【0041】
本実施形態では、パネル幅方向に隣接して2つのローラブラケット3A、3Bを設けたが、これに限定されるものではなく、1つのローラブラケットによってガイドローラ4を支持してもよい。この場合、ローラブラケット3Aのみによってガイドローラ4が支持されることになり、ガイドローラ4のローラ軸40は、パネル1の室内側面部10の幅方向両端部から対向状に突設された一対のブラケット30、31を挿通するパイプ34内に受け入れられており、パイプ34には、一対のブラケット30、31の少なくとも一方のブラケットの内側への倒れを規制する補強手段が設けられている。1つの態様では、前記補強手段は、一対のブラケット30、31間に位置して、パイプ34に外装したアウターパイプ9である。1つの態様では、パイプ34は、
図3~
図7に示すものに比べて短尺であり、パイプ34の外周面には、ブラケット30の外側、ブラケット31の外側に隣接して突部(拡径部)が形成されている。
【0042】
本発明に係る補強手段は、一対のブラケットに限定されず、互いに対向状に突出する3つ以上の複数のブラケットの変形の防止にも適用することができる。この場合、前記ガイドローラのローラ軸は、パネル面部の幅方向両端部から対向状に突設された3つ以上のブラケットを挿通するパイプ内に受け入れられており、前記パイプには、前記3つ以上のブラケットの少なくとも一方のブラケットの内側への倒れを規制する補強手段が設けられる。1つの態様では、前記補強手段は、前記3つ以上のブラケットの隣接するブラケット間に位置して、前記パイプに外装した2つ以上のアウターパイプである。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル
2 ヒンジ
20 第1プレート
21 第2プレート
22 パイプ
3 ローラブラケット
3A 第1ローラブラケット
30 第1ブラケット
31 第2ブラケット
3B 第2ローラブラケット
32 第1ブラケット
33 第2ブラケット
34 パイプ
340 拡径部
4 ガイドローラ
40 ローラ軸
5 ガイドレール
50 第1部位
9 アウターパイプ
9´ アウターパイプ
92~97 リング