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特許7133493生産・輸送計画システム及び生産・輸送計画方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】生産・輸送計画システム及び生産・輸送計画方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220901BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
G06Q10/08
G05B19/418 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019019355
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020126509
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】細田 順子
(72)【発明者】
【氏名】末光 一成
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 慶人
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】原 毅
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-286502(JP,A)
【文献】特開2001-290525(JP,A)
【文献】特開2003-114710(JP,A)
【文献】特開平7-98741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産・輸送計画システムであって、
所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能なメモリとを備え、
前記演算装置は、
入力された要求日が早い順、かつ、ロスコストが小さい順に製品を生産し、前記要求日までに要求量を納品できるように製品の生産計画を複数生成し、
前記生成された生産計画によって生産された製品が前記要求日までに仕向地に届くように製品の輸送計画を複数生成し、
前記生成された輸送計画における輸送率を用いて輸送コストを計算し、
前記生成された生産計画における段取り替えのロスコストを計算し、
前記生成された生産計画及び輸送計画に従った場合の在庫数と在庫単価を乗じて在庫コストを計算し、
前記計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストを加算して、複数の合計コストを計算し、
前記計算された複数の合計コストのうち、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画の組み合わせを選択して出力するものであって、
前記演算装置は、最も早い出発日を選択し、前記生産計画により決定された出荷日が前回の出発日から選択された出発日までの間にある品目のコンテナ占有率と出荷量を乗じて輸送率を決定し、前記決定された輸送率を全ての品目について加算して計算される総輸送率を整数化したコンテナ本数に基づいて、輸送コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産・輸送計画システムであって、
前記演算装置は、前記計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストの各々に定められた重み係数を乗じた値を加算して、合計コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生産・輸送計画システムであって、
前記演算装置は、
前記生成された生産計画における製品の生産コストを計算し、
前記計算された生産コストも加算して合計コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画システム。
【請求項4】
請求項1に記載の生産・輸送計画システムであって、
コストを計算する前提となる生産計画及び輸送計画を生成するためのルールである複数のシナリオを格納し、
前記演算装置は、
複数の前記シナリオに従って、複数の生産計画及び複数の輸送計画を生成し、
前記シナリオ毎に、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力することを特徴とする生産・輸送計画システム。
【請求項5】
請求項1に記載の生産・輸送計画システムであって、
前記演算装置は、在庫コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力することを特徴とする生産・輸送計画システム。
【請求項6】
計算機によって実行される生産・輸送計画方法であって、
前記計算機は、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能なメモリとを有し、
前記方法は、
前記演算装置が、入力された要求日が早い順、かつ、ロスコストが小さい順に製品を生産し、前記要求日までに要求量を納品できるように製品の生産計画を複数生成し、
前記演算装置が、前記生成された生産計画によって生産された製品が前記要求日までに仕向地に届くように製品の輸送計画を複数生成し、
前記演算装置が、前記生成された輸送計画における輸送率を用いて輸送コストを計算し、
前記演算装置が、前記生成された生産計画における段取り替えのロスコストを計算し、
前記演算装置が、前記生成された生産計画及び輸送計画に従った場合の在庫数と在庫単価を乗じて在庫コストを計算し、
前記演算装置が、前記計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストを加算して、複数の合計コストを計算し、
前記演算装置が、前記計算された複数の合計コストのうち、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画の組み合わせを選択して出力するものであって、
前記演算装置は、最も早い出発日を選択し、前記生産計画により決定された出荷日が前回の出発日から選択された出発日までの間にある品目のコンテナ占有率と出荷量を乗じて輸送率を決定し、前記決定された輸送率を全ての品目について加算して計算される総輸送率を整数化したコンテナ本数に基づいて、輸送コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画方法。
【請求項7】
請求項6に記載の生産・輸送計画方法であって、
前記演算装置は、前記計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストの各々に定められた重み係数を乗じた値を加算して、合計コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の生産・輸送計画方法であって、
前記演算装置は、
前記生成された生産計画における製品の生産コストを計算し、
前記計算された生産コストも加算して合計コストを計算することを特徴とする生産・輸送計画方法。
【請求項9】
請求項6に記載の生産・輸送計画方法であって、
前記計算機は、コストを計算する前提となる生産計画及び輸送計画を生成するためのルールである複数のシナリオを格納し、
前記演算装置は、
複数の前記シナリオに従って、複数の生産計画及び複数の輸送計画を生成し、
前記シナリオ毎に、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力することを特徴とする生産・輸送計画方法。
【請求項10】
請求項6に記載の生産・輸送計画方法であって、
前記演算装置は、在庫コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力することを特徴とする生産・輸送計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産・輸送計画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の輸送計画業務では、生産計画と輸送物流計画とは別個に最適化されており、生産計画を生成した後に、生産計画に合わせた輸送物流計画を生成している。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2014-164501号公報)には、需要地に輸送すべき製品の受注量及び納品日の入力を受け付ける受注情報入力部と、輸送計画に基づいて製品の輸送を行うことで納品日に需要地における製品の数が所定の基準を下回る場合または所定の基準を上回る場合に、製品の輸送計画を変更する輸送計画変更部と、生産計画に基づく製品の生産量、受注量、または在庫量に基づいて、サプライチェーンのある地点における製品の数が所定の基準を下回る場合または所定の基準を上回る場合に、製品の生産計画を変更する生産計画変更部とを備える制御装置が記載されている(要約参照)。
【0004】
また、特許文献2(特開2015-60566号公報)には、作業計画と、切替えコスト情報と、追加作業の情報と、を読み込む読込部と、前記作業主体に割り当てられた作業間の区間を区間頂点とし、入力頂点、区間頂点、出口頂点間を辺で張り、前記辺に重み変数を設定してグラフネットワークを作成するグラフネットワーク作成部と、前記グラフネットワークの前記入口頂点から出口頂点へ至る各経路のそれぞれの辺重み総和に基づいて経路を選択する経路選択部と、前記選択された経路に従って前記作業主体間で作業を交換し、当該交換によって創出した区間に前記追加作業を割り当てる作業計画作成部と、を備える作業計画スケジューリング装置が記載されている(要約参照)。
【0005】
また、特許文献3(特開2012-238301号公報)には、依頼主会社からの指示を受けて商品を発注する調達元請会社の端末と、発注に応じて商品を発送する複数の調達先会社の端末と、前記調達先会社から発送される商品の依頼主会社への納品を代行する納品代行会社の端末と、サーバ装置とを通信ネットワークを介して接続し、商品の発注から納品に至る情報を処理することで商品配送の進捗状況がリアルタイムで把握できるようにする商品発注支援装置が記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-164501号公報
【文献】特開2015-60566号公報
【文献】特開2012-238301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、生産コストと輸送コストの間にはトレードオフ関係がある。すなわち、生産設備における段取替えを減らした場合段取替えコストが減少するが、生産ロットが大きくなり、作れる品目数が低減する。需要地へは必要な量のみを輸送するため、多品目を少量ずつ販売する場合には1回の輸送で少ない品目数を少量ずつ輸送することとなる。このため積載率が低下する傾向がある。従って、従来のように、生産計画を生成した後に輸送計画を生成する方法では全体として最適な計画を得られないことがある。
【0008】
前述した特許文献1では、与えられた生産計画及び輸送計画に対する物流シミュレーションを実行する。また、特許文献2では、段取り替えを最適化する。また、特許文献3では、輸送量決定後に輸送頻度を計算する。このように、公知技術では生産計画と輸送計画とを統合した計画が考慮されていなかった。また、公知技術を組み合わせて、個別に最適された生産計画(段取り替え)と輸送計画とを組み合わせたシミュレーションをしても、段取り替えロスコストと輸送コストと在庫コストの合計コストが最小となる計画を生成できない。
【0009】
本発明は、生産計画及び輸送計画を統合して計画することによって、段取り替えロスコストと輸送コストと在庫コストの合計コストが最小となる計画の作成を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、生産・輸送計画システムであって、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能なメモリとを備え、前記演算装置は、入力された要求日が早い順、かつ、ロスコストが小さい順に製品を生産し、前記要求日までに要求量を納品できるように製品の生産計画を複数生成し、前記生成された生産計画によって生産された製品が前記要求日までに仕向地に届くように製品の輸送計画を複数生成し、前記生成された輸送計画における輸送率を用いて輸送コストを計算し、前記生成された生産計画及び輸送計画に従った場合の在庫数と在庫単価を乗じて在庫コストを計算し、前記計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストを加算して、複数の合計コストを計算し、前記計算された複数の合計コストのうち、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画の組み合わせを選択して出力するものであって、前記演算装置は、最も早い出発日を選択し、前記生産計画により決定された出荷日が前回の出発日から選択された出発日までの間にある品目のコンテナ占有率と出荷量を乗じて輸送率を決定し、前記決定された輸送率を全ての品目について加算して計算される総輸送率を整数化したコンテナ本数に基づいて、輸送コストを計算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、生産計画及び輸送計画を統合して最適化された計画ができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】生産・輸送計画システムの構成を示す図である。
図2】生産・輸送計画処理のフローチャートである。
図3】輸送計画作成処理のフローチャートである。
図4】要求量情報の構成例を示す図である。
図5】品目情報の構成例を示す図である。
図6】在庫単価情報の構成例を示す図である。
図7】輸送カレンダ情報の構成例を示す図である。
図8】設備カレンダ情報の構成例を示す図である。
図9】生産情報の構成例を示す図である。
図10】段取り替え情報の構成例を示す図である。
図11】シナリオ情報の構成例を示す図である。
図12】生産計画情報の構成例を示す図である。
図13】段取り替え計画情報の構成例を示す図である。
図14】輸送品目計画情報の構成例を示す図である。
図15】輸送費情報の構成例を示す図である。
図16】在庫情報の構成例を示す図である。
図17】コスト情報の構成例を示す図である。
図18】シナリオ比較画面の例を示す図である。
図19】生産・輸送計画画面の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例の生産・輸送計画システムの構成を示す図である。
【0014】
本発明の実施例の生産・輸送計画システム1は、プロセッサ(CPU)11、通信インターフェース12、入出力インターフェース13及びメモリ14を有する計算機によって構成される。プロセッサ11、通信インターフェース12、入出力インターフェース13及びメモリ14は、バスなどの通信手段によってアクセス可能に接続されている。
【0015】
プロセッサ11は、メモリ14に格納されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ11が、各種プログラムを実行することによって、生産・輸送計画システム1の各種機能が実現される。なお、プロセッサ11がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算デバイス(例えば、ハードウェアによるFPGAやASIC)で実行してもよい。
【0016】
メモリ14は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶デバイスであるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶デバイスであり、プロセッサ11が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータ(例えば、記憶装置2から読み出したデータ)を一時的に格納する。例えば、プロセッサ11が生産計画・輸送計画生成プログラムを実行することによって生産計画・輸送計画生成部15が構成される。生産計画・輸送計画生成部15は、生産計画及び輸送計画を作成し、生成された計画に従って各種コストを計算する。また、プロセッサ11が画面生成プログラムを実行することによって、画面生成部16が構成される。画面生成部16は、生成された計画及び計算されたコストをユーザが視認可能な画面を表示するためのデータを生成する。
【0017】
通信インターフェース12は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0018】
入出力インターフェース13には、ディスプレイ装置17やプリンタ(図示省略)などの出力装置、及びキーボード18、マウス(図示省略)、タッチパネル(図示省略)などの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をユーザが視認可能な形式で出力し、ユーザからの入力を受けるインターフェースである。
【0019】
プロセッサ11が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してサーバに提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性のメモリ14や補助記憶装置に格納される。このため、生産・輸送計画システム1は、ネットワークやリムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0020】
生産・輸送計画システム1は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作するものでもよい。
【0021】
生産・輸送計画システム1は、記憶装置2と接続されている。記憶装置2は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶デバイスを有し、プロセッサ11がプログラムの実行時に使用するデータを格納する。例えば、記憶装置2は、生産・輸送計画システム1が演算処理に使用するデータである要求量情報21、品目情報22、在庫単価情報23、輸送カレンダ情報24、設備カレンダ情報25、生産情報26、段取り替え情報27及びシナリオ情報28を格納する。また、記憶装置2は、生産・輸送計画システム1が演算処理の結果として出力する生産計画情報31、段取り替え計画情報32、輸送品目計画情報33、輸送費情報34、在庫情報35及びコスト情報36を格納する。記憶装置2に格納される情報の詳細は、図4から図17を用いて後述する。なお、記憶装置2は、プロセッサ11が実行するプログラムを格納してもよい。
【0022】
図1に示す構成では、生産・輸送計画システム1とは別に記憶装置2を設けたが、データを格納する不揮発性記憶デバイスである補助記憶装置を生産・輸送計画システム1内に設けてもよい。
【0023】
生産・輸送計画システム1は、通信インターフェース12を介して、他のシステム(例えば、客先POSシステム3、工場生産管理システム4、輸送管理システム5、在庫管理システム6)と接続されているとよい。客先POSシステム3は、販売店における製品の販売を管理するためのシステムであり、販売店が製品を発注するためにも使用される。工場生産管理システム4は、工場における製品の生産を管理するためのシステムである。輸送管理システム5は、輸送業者(例えば、海運会社)が輸送手段の運行を管理するためのシステムである。在庫管理システム6は、工場や倉庫に保管されている在庫を管理するためのシステムである。
【0024】
生産・輸送計画システム1は、物流業者や問屋が製品の流通を管理するためのシステムであり、客先POSシステム3から送信された製品の発注を取り纏めて、工場における製品の生産計画を作成し、生産された製品を工場から販売店まで運搬するための輸送計画を作成する計算機システムである。
【0025】
図2は、生産・輸送計画処理のフローチャートである。
【0026】
まず、生産計画・輸送計画生成部15は、一つシナリオを選択する(101)。シナリオの選択は、以下のような様々な方法がある。
(1)シナリオ情報28から一つシナリオを選択してもよい。例えば、過去に用いられた全てのシナリオを使用してもよい。
(2)シナリオ情報28に定義されたシナリオ内で製品の生産順序をデフォルトの順序から変えることによって複数の子シナリオを生成して、生成された子シナリオを一つずつ選択してもよい。一般に段取り替えにおける前品目と後品目によって段取り替えコストや負荷(生産停止時間)が異なることから、生産順序を変えたシナリオによって生産コストを低減できる。
(3)所定のルールに従ってシナリオを生成して、生成されたシナリオを一つずつ選択してもよい。このように、シナリオ情報28を用いずにシナリオを生成することによって、予めシナリオ情報28を定めておかなくても、生産計画及び輸送計画を生成できる。
【0027】
次に、生産計画・輸送計画生成部15は、選択したシナリオに従って生産計画を作成する(102)。例えば、要求量情報21の要求量の製品を生産するための設備を設備カレンダ情報25から選択し、輸送カレンダ情報24の輸送リードタイムを考慮して生産日を決定する。また、段取り替え情報27を参照して、必要に応じて段取り替えを行って、生産する製品を切り替えて、1日に複数種類の製品を生産するとよい。また、生産情報26を参照して生産単価が低くなる生産設備を選択するとよい。作成された生産計画は生産計画情報31及び段取り替え計画情報32に格納される。
【0028】
次に、生産計画作成処理の具体例を説明する。生産計画は一般的なスケジューリング方式により生成することができる。ここでは、一例を説明する。要求量情報21の要求日から輸送カレンダ情報24の輸送リードタイムを遡った日を工場から出荷する日とする。工場では、出荷日に要求量分出荷できるように、選択したシナリオに従って生産設備と生産日を決定する。
【0029】
例えば、シナリオ1を選択した場合、品目情報22に登録された順番に毎日1設備1品目ずつ生産する。品目情報22に製品A、製品B、製品Cという順番で品目が登録され、設備Xがある場合、生産の初日である2018年10月1日の設備Xには製品Aを、翌日2018年10月2日の設備Xには製品Bを、2018年10月3日の設備Xには製品Cを割り当てる。設備Xの生産能力は150であり、設備Xにおける製品Aの負荷は1であるため、2018年10月1日には設備Xで製品Aを150生産する。製品Aから製品Bへの段取り換え負荷は0であり、設備Xにおける製品Bの負荷は1であるため、2018年10月2日には設備Xで製品Bを150生産する。同様にして、全ての品目と出荷日と出荷量について生産日と生産量を決定する。
【0030】
次に、生産計画・輸送計画生成部15は、生成された生産計画に従って輸送計画を作成する(103)。例えば、生産計画情報31に格納された生産計画、輸送カレンダ情報24の輸送リードタイム及び要求量情報21の要求量に従って輸送日を決定し、品目情報22及び輸送カレンダ情報24を参照して、当該製品を輸送するコンテナ(すなわち、出発日)を決定し、輸送計画を生成する。作成された輸送計画は輸送品目計画情報33及び輸送費情報34に格納される。さらに、生産計画情報31及び輸送品目計画情報33に基づいて、シナリオ毎かつ製品毎の在庫量を計算し、在庫情報35に記録する。在庫情報35は、在庫管理システム6に記録してもよい。
【0031】
次に、図3を参照して、輸送計画作成処理の具体例を説明する。まず、はじめに、輸送カレンダ情報24から計画作成日より後で最も早い出発日を選択する(111)。次に、生産計画作成処理により決定された出荷日が、前回の出発日から検索した出発日までの間にある品目を特定する。特定した品目について、品目情報22に登録されたコンテナ占有率と出荷量を乗じて、今回の出発日に対する品目の輸送率を決定する。特定した全ての品目に対して輸送率を加算して総輸送率を算出する(112)。そして、総輸送率の小数点以下を切り上げた整数値をコンテナ本数とする(113)。その後、当該出発日より後で最も早い出発日を検索する。該当日が無い場合には処理を終了し、該当日がある場合にはステップ111に戻り、処理を繰り返す。
【0032】
次に、生産計画・輸送計画生成部15は、生産コスト、段取り替えコスト、輸送費、在庫コストを計算する(104)。例えば、生産計画情報31の生産量に生産情報26の生産単価を乗じると製品毎の生産コストが計算される。計算された生産コストは生産計画情報31に格納される。また、段取り替えコストの計算については、段取り替え情報27を段取り替え計画情報32を参照して、段取り替え計画情報32に記録されている段取り替えの負荷及びロスコストを記録する。なお、生産計画情報31を参照して、設備の稼動時間外の段取り替えは、製品の生産量に影響を生じないので、負荷を0にするとよい。また、輸送費の計算については、輸送カレンダ情報24の輸送費を、輸送費情報34の輸送費に記録する。また、在庫単価情報23を参照して、在庫コストを計算し、在庫情報35に記録する。
【0033】
最後に、計算された生産コスト、段取り替えコスト、輸送費、在庫コストを合計した合計コストをコスト情報36に記録する。生産コスト、段取り替えコスト、輸送費、在庫コストの合計は各コストに重み付けをして合計してもよい。この重み係数は、ユーザの指示によって決定しても、季節性を考慮して決定してもよい。重み係数を乗じたコストを加算して合計コストを計算することによって、様々な要因を考慮した適切な合計コストを算出できる。例えば、在庫中に劣化したり、価格が低下する製品では、在庫コストの係数を大きくして、在庫が少ない計画のコスト合計が低くなるようにしてもよい。また、キャッシュフローが潤沢な場合は、経営への在庫コストの影響が小さく、在庫コストの係数を小さくしてもよい。
【0034】
ステップ104では、生産コストを含めて合計コストを計算したが、生産コストを含めずに合計コストを計算してもよい。使用する設備によって単位負荷や生産単価が異なる場合、製品の生産順序によって生産コストが異なることから、合計コストに生産コストを含めるとよい。一方、使用する設備によって単位負荷や生産単価が同じ場合、要求量に応じて生産量が決まることから、シナリオによって製品の生産数(すなわち、生産コスト)は変化しない。このような場合には、生産コストを含めずに合計コストを計算すると、計算負荷を軽減できる。
【0035】
次に、生産計画・輸送計画生成部15は、計算された合計コストは暫定解より安いかを判定する(105)。なお、暫定解の初期値は新しいシナリオの選択時に無限大に設定しておく。そして、合計コストが暫定解より安ければ、計算された合計コストを暫定解として保存する(106)。
【0036】
なお、本例では生産計画作成後に輸送計画を作成する方法について説明したが、生産条件、輸送条件および合計コストを一次式として記載し、これらの一次式で構成される連立方程式を混合整数計画法などの一般的な手法により解くことで、生産計画と輸送計画を同時に作成することも可能である。
【0037】
次に、生産計画・輸送計画生成部15は、選択されたシナリオに従って生成された生産計画と輸送計画の全てを用いたコストの計算が終了したかを判定する(107)。選択されたシナリオにおけるコストの計算が終了していなれば、ステップ102に戻り、次の生産計画及び輸送計画を作成し、当該計画に基づくコストの計算を続ける。一方、選択されたシナリオにおける全てのコストの計算が終了していれば、ステップ108に進む(107)。
【0038】
ステップ108では、生産計画・輸送計画生成部15は、シナリオ情報28の全シナリオについてコストの計算が終了したかを判定する。一部のシナリオにおけるコストの計算が終了していなれば、当該シナリオの暫定解をメモリ14に格納し、ステップ101に戻り、別のシナリオを選択し、コストの計算を続ける。一方、全シナリオにおけるコストの計算が終了していれば、ステップ109に進む。
【0039】
その後、画面生成部16は、生成された生産計画及び輸送計画、及び計算されたコストをユーザが視認可能な画面を表示するためのデータを生成する(109)。生成されたデータは、入出力インターフェース13から出力されディスプレイ装置17に表示される。
【0040】
図4は、要求量情報21の構成例を示す図である。要求量情報21は、客先POSシステム3から送信された製品の発注をまとめたデータであり、生産計画の生成時に使用される(図2のステップ102)。要求量情報21は、日付、販売拠点名、品目名、及び要求量のデータを含む。日付は、当該製品を販売地(販売拠点名)に納入すべき日である。本実施例では、ある国の工場で生産された製品を販売地である他国に船積みコンテナで運搬する輸送計画を作成する例を示すが、工場(生産地)や販売店(販売地)は、それらが所在する都市名で定義してもよい。
【0041】
図5は、品目情報22の構成例を示す図である。品目情報22は、工場で生産された製品を販売地に運搬する手段(船積みコンテナ)における物量に関する情報であり、生産計画の生成時及び輸送費の計算時に使用される(図2のステップ102、104)。品目情報22は、品目名及びコンテナ占有率のデータを含む。すなわち、品目情報22には、1個の製品を運搬する際のコンテナの占有率が記録される。例えば、製品Aはコンテナの1000分の1の容積を占有する、換言すると、1個のコンテナで1000個の製品Aが運搬できる。なお、品目情報は、製品の容積ではなく、製品の重量で規定してもよい。
【0042】
図6は、在庫単価情報23の構成例を示す図である。在庫単価情報23は、製品を在庫として保管するためのコストの情報であり、在庫コストの計算時に使用される(図2のステップ104)。在庫単価情報23は、拠点名、品目名、及び在庫保管単価のデータを含む。在庫保管単価は、1日あたりの円コスト(例えば、千円単位)で記録するとよいが、他の期間や単位(1か月あたりの現地通貨単位)で記録してもよい。例えば、製品Aをインドネシア工場で在庫として保管すると1日あたり1千円のコストが生じる。
【0043】
図7は、輸送カレンダ情報24の構成例を示す図である。輸送カレンダ情報24は、製品を運搬するコンテナの輸送に関する情報であり、輸送計画の生成時及び在庫コストの計算時に使用される(図2のステップ103、104)。輸送カレンダ情報24は、出発日、発地名、着地名、コンテナ本数、輸送リードタイム(輸送LT)、及び輸送費を含む。コンテナ本数は、この生産・輸送計画システム1を運用する物流業者や問屋が製品の流通を予約しているコンテナの数である。輸送リードタイムは、発地点から着地点へのコンテナの輸送に要する時間(日数)である。輸送費は、発地点から着地点へのコンテナの輸送に要する費用(例えば、千円単位)である。
【0044】
図8は、設備カレンダ情報25の構成例を示す図である。設備カレンダ情報25は、工場における設備の稼動に関する情報であり、生産計画の生成時に使用される(図2のステップ102)。設備カレンダ情報25は、日付、生産拠点名、設備名、及び生産能力のデータを含む。生産能力は、所定の単位(例えば、ある製品の生産に要する時間である単位負荷)で記録される。例えば、2018年10月1日のインドネシア工場の設備Xの生産能力は150単位であり、設備Yの生産能力は200単位である。
【0045】
図9は、生産情報26の構成例を示す図である。生産情報26は、工場における製品の生産に関する情報であり、生産計画の生成時及び生産コストの計算時に使用される(図2のステップ102、104)。生産情報26は、生産拠点名、設備名、品目名、単位負荷、及び生産単価のデータを含む。単位負荷は、製品を生産するための時間である。生産単価は、材料費や生産設備の償却費を含む、製品を生産するための費用である。例えば、インドネシア工場の設備X及び設備Yで製品Aを生産する単位負荷は1であり、設備Xで製品Aを生産するコストは10千円であり、設備Yで製品Aを生産するコストは15千円である。製品Aは設備Xでも設備Yでも単位負荷(生産時間)は同じであるが、設備Xより設備Yの方が生産コストが高いことが分かる。
【0046】
図10は、段取り替え情報27の構成例を示す図である。段取り替え情報27は、工場における製品の段取り替えに関する情報であり、生産計画の生成時及び生産コストの計算時に使用される(図2のステップ102、104)。段取り替え情報27は、前品目、後品目、ロスコスト、及び負荷のデータを含む。ロスコストは、生産する製品を切り替えるための生産設備の洗浄や金型の交換などに要する費用であり、例えば千円単位で記録される。負荷は、同じ日に複数種類の製品を生産する場合に生じる負荷、すなわち、生産する製品を切り替えるために必要な時間であり、単位負荷によって表される。例えば、製品Aから製品Bに切り替えるコストは1000千円であり、切り替える時間は10単位負荷である。
【0047】
図11は、シナリオ情報28の構成例を示す図である。シナリオ情報28は、コストを計算する前提となる生産計画及び輸送計画を生成するためのルールであり、登録されているシナリオの一つが図2のステップ101で選択される。シナリオ情報28は、シナリオ番号及び投入順序決定ルールのデータを含む。例えば、シナリオ1は、品目情報22に記録された順(製品A、B、Cの順)に1日1品目を生産し、生産設日の稼働時間外に段取り替えをするシナリオである。また、シナリオ2は、要求日が早い順に製品の生産を開始し、段取り替え時間が短い順に要求量ずつ生産するシナリオである。シナリオ3は、品目情報22に記録された順(製品A、B、Cの順)に要求量ずつ生産するシナリオである。
【0048】
図12は、生産計画情報31の構成例を示す図である。生産計画情報31は、シナリオに従って生成された生産計画であり、図2のステップ102、104で生成される。生産計画情報31は、シナリオ、日付、生産拠点名、設備名、投入順序、品目名、生産量、及び生産コストのデータを含む。例えば、シナリオ2を用いると、2018年10月1日にインドネシア工場の設備Xで製品Aを90個生産し(その生産コストは900千円)、その後、設備Xで製品Cを25個生産する(その生産コストは500千円)計画が記録されている。
【0049】
図13は、段取り替え計画情報32の構成例を示す図である。段取り替え計画情報32は、生成された生産計画における段取り替えの情報であり、図2のステップ102、104で生成される。段取り替え計画情報32は、シナリオ、日付、生産拠点名、前品目、後品目、負荷、及びロスコストのデータを含む。例えば、シナリオ1を用いると、2018年10月2日にインドネシア工場の設備Xで製品Aから製品Bへの切り替える計画が記録されており、その負荷は0単位時間で、コストは1000千円であることが記録されている。この場合、日毎に生産する製品が切り替えられ、設備の稼動時間外に段取り替えが行われるので、前後の製品の生産への影響は生じず、負荷は0となる。また、シナリオ2を用いると、2018年10月1日にインドネシア工場の設備Xで製品Aから製品Cへの切り替える計画が記録されており、その負荷は10単位時間で、コストは100千円であることが記録されている。
【0050】
図14は、輸送品目計画情報33の構成例を示す図である。輸送品目計画情報33は、シナリオに従って生成された輸送計画であり、図2のステップ103で生成される。輸送品目計画情報33は、シナリオ、出発日、発地名、着地名、品目名、及び輸送量のデータを含む。例えば、シナリオ1を用いてインドネシア工場で生産される90個の製品Aと70個の製品Bは、2018年10月2日にインドネシアから日本に発送され輸送計画が記録されている。
【0051】
図15は、輸送費情報34の構成例を示す図である。輸送費情報34は、シナリオに従って生成された輸送計画の輸送費の情報であり、図2のステップ103、104で生成される。輸送費情報34は、シナリオ、出発日、発地名、着地名、コンテナ本数、及び輸送費のデータを含む。例えば、シナリオ1を用いてインドネシア工場で生産される製品を2018年10月2日にインドネシアから日本に発送する1本のコンテナの輸送費は2000千円であることが記録されている。
【0052】
図16は、在庫情報35の構成例を示す図である。在庫情報35は、シナリオに従って生成された生産計画及び輸送計画から導出される在庫の情報であり、図2のステップ103、104で生成される。在庫情報35は、シナリオ、日付、生産拠点名、品目名、在庫量、及び在庫コストのデータを含む。例えば、シナリオ1に従ってインドネシア工場で生産される製品Aについて、2018年10月1日の在庫量は150個(在庫コストは150千円)、同月2日及び3日の在庫量は60個(在庫コストは60千円)、2018年10月1日の在庫量は150個(在庫コストは150千円)であることが記録されている。
【0053】
図17は、コスト情報36の構成例を示す図である。コスト情報36は、図2のステップ104で計算された生産コスト、段取替えコスト、輸送費、及び在庫コストの情報であり、図2のステップ104で計算される。なお、生産コストを含めないでコストを比較する場合、生産コストを含めないでコスト合計を計算し、コスト情報36に生産コストを含めなくてもよい。
【0054】
図18は、シナリオ比較画面の例を示す図である。シナリオ比較画面は、入出力インターフェース13から出力されディスプレイ装置17に表示される。シナリオ比較画面では、シナリオ毎のコストが比較できるようにグラフ形式でコストが表示される。なお、コストを数値で表してもよい。また、生産コスト、段取替えコスト、輸送費、及び在庫コストを区別できるように表示し、どのコストがコスト合計の低減に寄与しているかが分かるようになっている。なお、生産コストを含めないでコストを比較する場合、段取替えコスト、輸送費、及び在庫コストを表示する。
【0055】
図19は、生産・輸送計画画面の構成例を示す図である。生産・輸送計画画面は、入出力インターフェース13から出力されディスプレイ装置17に表示される。生産・輸送計画画面では、シナリオ毎に合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画における、日毎及び設備毎の製品の生産計画と発送日とがグラフ形式で表示される。例えば、10月2日に設備Xで生産された製品Bの一部は10月2日に発送されるが、残りは在庫となることが分かる。
【0056】
なお、生産・輸送計画画面では、シナリオ毎に合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力するが、他の条件(在庫コストが最小)で生産計画及び輸送計画を出力してもよい。在庫コストに従って生産計画及び輸送計画を選択することによって、経営への在庫コストの影響が大きいユーザが適切な生産計画及び輸送計画を容易に生成できる。
【0057】
以上に説明したように、生産計画・輸送計画生成部15は、入力された要求日までに要求量を納品できるように製品の生産計画(生産計画情報31)を生成し、生成された生産計画によって生産された製品が要求日までに仕向地に届くように製品の輸送計画(輸送品目計画情報33)を生成し、生成された輸送計画の輸送コスト(輸送費情報34)を計算し、生成された生産計画における段取り替えのロスコスト(段取り替え計画情報32)を計算し、生成された生産計画及び輸送計画に従った場合の在庫コスト(在庫情報35)を計算し、計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストをシナリオ比較画面として出力するので、生産計画及び輸送計画を統合して低コストの計画を生成できる。
【0058】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、シナリオ2を用いて、要求日が早い順に製品の生産を開始し、段取り替え時間が短い順に要求量ずつ生産するので、製品の要求日時を遵守して、低コストの生産計画及び輸送計画を生成できる。
【0059】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストを加算して、合計コストを計算し、合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画を生産・輸送計画画面として出力するので、生成された生産計画及び輸送計画のうち低コストな計画を簡単に選択できる。
【0060】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、計算された輸送コスト、ロスコスト及び在庫コストの各々に定められた重み係数を乗じた値を加算して、合計コストを計算するので、様々な要因を考慮した適切な合計コストを算出できる。
【0061】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、生成された生産計画における製品の生産コストを計算し、計算された生産コストも加算して合計コストを計算するので、製品の生産順序によって生産コストが異なる場合にも、合計コストを適切に計算できる。
【0062】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、複数のシナリオに従って複数の生産計画及び複数の輸送計画を生成し、シナリオ毎に合計コストが最小となる生産計画及び輸送計画を生産・輸送計画画面として出力するので、シナリオ毎に、適切な生産計画及び輸送計画を提示でき、ユーザは低コストな計画を簡単に選択できる。
【0063】
また、生産計画・輸送計画生成部15は、在庫コストが最小となる生産計画及び輸送計画を出力するので、経営への在庫コストの影響を小さくしたいユーザに適した生産計画及び輸送計画を容易に生成できる。
【0064】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0065】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0066】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(olid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0067】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0068】
1 生産・輸送計画システム
2 記憶装置
3 客先POSシステム
4 工場生産管理システム
5 輸送管理システム
6 在庫管理システム
11 プロセッサ
12 通信インターフェース
13 入出力インターフェース
14 メモリ
15 輸送計画生成部
16 画面生成部
17 ディスプレイ装置
18 キーボード
21 要求量情報
22 品目情報
23 在庫単価情報
24 輸送カレンダ情報
25 設備カレンダ情報
26 生産情報
27 段取り替え情報
28 シナリオ情報
31 生産計画情報
32 段取り替え計画情報
33 輸送品目計画情報
34 輸送費情報
35 在庫情報
36 コスト情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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