(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】波付管用の端末部材、および波付管装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20220901BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20220901BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
F16L33/00 B
(21)【出願番号】P 2019044158
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 和秀
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-238672(JP,A)
【文献】実開昭55-112416(JP,U)
【文献】特開2019-1291(JP,A)
【文献】特開2018-183002(JP,A)
【文献】特開2007-51680(JP,A)
【文献】特開平6-351141(JP,A)
【文献】実開平3-194(JP,U)
【文献】特開平11-41738(JP,A)
【文献】特開平11-266519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 9/06
H02G 9/10
F16L 33/00
F16L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外面に凹凸が連続する波付管の端部に取り付けられる、端末部材であって、
前記波付管は、その外面凸部の頂面および内面凹部の底面が、波付管の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成され、かつ、外面凹部の底面および内面凸部の頂面が、波付管の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成され、
前記端末部材は、前記波付管の内部に挿入される筒状の挿入部と、その挿入部から延設されて前記波付管の端部から突出する延設部とを備え、
前記挿入部は、その周壁が、前記波付管の内面凸部の頂面の断面四角形状に沿った四角筒状を成すように形成され、また、
前記挿入部は、前記波付管の内面凹部に入り込んでその波付管の内面凸部に掛け止まる掛止部を有し、
前記掛止部は、前記挿入部の四角筒状の周壁における角部間の平板状部において、周壁から外方に突出するように形成されている、波付管用の端末部材。
【請求項2】
前記挿入部は、その周壁が、前記延設部とは反対側を基端として、前記挿入部の内外に弾性変形可能な弾性片を有し、その弾性片に前記掛止部が設けられる、請求項1に記載の波付管用の端末部材。
【請求項3】
前記挿入部の四角筒状の周壁における角部外面に、前記波付管の内面凸部の頂面を押圧する突出部が、突出形成されている、請求項1または2に記載の波付管用の端末部材。
【請求項4】
前記延設部は、前記挿入部から先に向けて口が広がるフランジ部からなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の波付管用の端末部材。
【請求項5】
前記フランジ部は、この端末部材が取り付けられた端末部材付きの波付管をその波付管の軸方向と直交する方向に並べたときに、そのフランジ部どうしが干渉することなく前記波付管が当たり合うことが可能となる大きさに形成されている、請求項4に記載の波付管用の端末部材。
【請求項6】
請求項3に記載の端末部材と、前記波付管とからなり、
前記突出部は、前記挿入部の周壁が延びる方向に延びるように形成されている、波付管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、波付管用の端末部材、および波付管装置、詳しくは、波付管への端末部材の取り付けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、断面四角形状の波付管からなる保護管に対し、その端部に、ベルマウスからなる管取着体を取り付けることがあった(例えば、特許文献1参照)。
図17に示すように、保護管は、波付管からなり、その波の凹凸のそれぞれが、断面四角形状を成していた。管取着体22は、拡径状に広がる本体部23と、保護管21の端部から内部に挿入される取着部24とからなっていた。そして、取着部24は、断面正八角形状の取着壁24aと、その取着壁24aの八つある側面のうち一つ置きの側面から突出する係止部24bを備えていた。この係止部24bは、波付管からなる保護管21の内面凹部に入るものであって、これによって、管取着体22が、保護管21に対して抜け止め状態となった。そこで、保護管21への管取着体22の取り付けにあたっては、保護管21の角部21aに係止部24bが位置合わせされた第1位置(
図17参照)で、管取着体22の取着部24を保護管21の内部に挿入して、係止部24bを保護管21の内面凹部21aに対向させる。その後、管取着体22を自身の軸回りに45°回動した第2位置(図示せず)とすることで、係止部24bを、保護管21の内面凹部に進入させることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の保護管21と管取着体22にあっては、管取着体22を第1位置から第2位置へと回動する過程で、管取着体22で保護管21を外方へ押し広げなければならず、この保護管21(波付管)への管取着体22(端末部材)の取り付けに、非常に力を要した。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、端末部材を波付管に簡単に取り付けることができる、波付管用の端末部材、および波付管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る波付管用の端末部材、および波付管装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る波付管用の端末部材は、内外面に凹凸が連続する波付管の端部に取り付けられる。ここで、前記波付管は、その外面凸部の頂面および内面凹部の底面が、波付管の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成され、かつ、外面凹部の底面および内面凸部の頂面が、波付管の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成される。前記端末部材は、前記波付管の内部に挿入される筒状の挿入部と、その挿入部から延設されて前記波付管の端部から突出する延設部とを備える。そこで、前記挿入部は、その周壁が、前記波付管の内面凸部の頂面の断面四角形状に沿った四角筒状を成すように形成される。また、前記挿入部は、前記波付管の内面凹部に入り込んでその波付管の内面凸部に掛け止まる掛止部を有する。この掛止部は、前記挿入部の四角筒状の周壁における角部間の平板状部において、周壁から外方に突出するように形成されている。
【0007】
この端末部材によると、端末部材は、筒状の挿入部と、延設部とを備えて、挿入部が波付管の内部に挿入され、延設部が波付管の端部から突出する。そして、挿入部の周壁から外方に突出する掛止部が、波付管の内面凸部に掛け止まることで、端末部材は、波付管の端部に取り付けられる。ここで、掛止部は、挿入部の四角筒状の周壁における角部間の平板状部に設けられる。このように、掛止部を撓みやすい平板状部に設けることで、端末部材の挿入部を、波付管の内部に挿入する過程で、掛止部が波付管の内面に押されると、その掛止部が設けられた平板状部は、容易に内側に撓むように変形する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る波付管用の端末部材は、請求項1に記載の端末部材において、前記挿入部は、その周壁が、前記延設部とは反対側を基端として、前記挿入部の内外に弾性変形可能な弾性片を有し、その弾性片に前記掛止部が設けられる。掛止部が弾性片に設けられることで、端末部材の挿入部を、波付管の内部に挿入する過程で、掛止部が波付管の内面に押されたとき、平板状部に加えて弾性片が内側に撓むように変形する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る波付管用の端末部材は、請求項1または2に記載の端末部材において、前記挿入部の四角筒状の周壁における角部外面に、前記波付管の内面凸部の頂面を押圧する突出部が、突出形成されている。突出部を設けることで、端末部材に対する波付管のガタツキを防止することができる。特に、突出部が、挿入部の四角筒状の周壁における変形しにくい角部にあることで、端末部材に対する波付管のガタツキを効果的に防止することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る波付管用の端末部材は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の端末部材において、前記延設部は、前記挿入部から先に向けて口が広がるフランジ部からなる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る波付管用の端末部材は、請求項4に記載の端末部材において、前記フランジ部は、この端末部材が取り付けられた端末部材付きの波付管をその波付管の軸方向と直交する方向に並べたときに、そのフランジ部どうしが干渉することなく前記波付管が当たり合うことが可能となる大きさに形成されている。これにより、複数の端末部材付きの波付管を、波付管の軸方向と直交する方向に並べる際に、複数の波付管を互いに近接させて配置することができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る波付管装置は、請求項3に記載の端末部材と、前記波付管とからなり、前記突出部は、前記挿入部の周壁が延びる方向に延びるように形成されている。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る波付管用の端末部材、および波付管装置によれば、端末部材の挿入部を波付管の内部に挿入する過程で、掛止部が波付管の内面に押されると、その掛止部が設けられた平板状部が、容易に内側に撓むように変形することから、この端末部材を波付管に簡単に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施の形態の、波付管の斜視図である。
【
図3】同じく、端末部材を前方から見た斜視図である。
【
図4】同じく、端末部材を後方から見た斜視図である。
【
図6】同じく、端末部材の通し部部分を示す拡大断面図である。
【
図9】同じく、波付管装置を波付管の軸方向と直交する方向の一例である縦方向に並べた斜視図である。
【
図10】同じく、波付管装置を波付管の軸方向と直交する方向の一例である縦方向に並べた断面図である。
【
図13】同じく、波付管端部固定装置と波付管とを組み付けた断面図である。
【
図14】同じく、固定板をフランジ部に固定した、その固定部分を示す拡大断面図である。
【
図15】同じく、端末部材付きの波付管を、固定板を介して型枠板に固定した状態(つまり、波付管を、波付管端部固定装置を用いて型枠板に固定した状態)を示す断面図である。
【
図16】同じく、構造物の壁に、波付管を波付管端部固定装置を用いて接続する施工過程を示す断面図である。
【
図17】従来の保護管および管取着体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明に係る波付管用の端末部材、および波付管装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~
図16は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、内外面に凹凸が連続する波付管を示す。2は、波付管用の端末部材を示す。3は、前記波付管1と前記端末部材2とからなる波付管装置を示す。4は、波付管端部固定装置を示す。
【0017】
波付管1は、その波付管1の外面凸部1dの頂面および内面凹部1aの底面が、波付管1の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成され、かつ、その波付管1の外面凹部1cの底面および内面凸部1bの頂面が、波付管1の軸心に直交する断面において四角形状を成すように形成されている。
【0018】
端末部材2は、波付管1の端部に取り付けられるものであって、波付管1の内部に挿入される筒状の挿入部2aと、その挿入部2aから延設されて波付管1の端部から突出する延設部2bとを備える。挿入部2aは、その周壁2jが、波付管1の内面凸部1bの頂面の断面四角形状に沿った四角筒状を成すように形成されている。この挿入部2aは、波付管1の内面凹部1aに入り込んでその波付管1の内面凸部1bに掛け止まる掛止部2cを有する。この掛止部2cは、挿入部2aの四角筒状の周壁2jにおける角部間の平板状部2xにおいて、周壁2jから外方に突出するように形成されている。詳細には、掛止部2cは、周壁2jにおける角部間の平板状部2xにおいて、その角部間の中央位置に設けられている。
【0019】
延設部2bは、挿入部2aから先に向けて口が広がるフランジ部2yからなる。このフランジ部2yは、その周縁が、波付管1の外面凸部1dの頂面の断面四角形状に沿った四角形状を成すように形成される。そして、フランジ部2yは、端末部材2が取り付けられた端末部材付きの波付管1(つまり、波付管装置3)を、波付管1の軸方向Pと直交する方向に並べたときに、そのフランジ部2y、2yどうしが干渉することなく波付管1、1が当たり合うことが可能となる大きさに形成されている。また、このフランジ部2yには、挿入部2aの外面よりも外側となる位置に(詳しくは、波付管1の外面凹部1cの底面よりも、波付管1の軸心から遠い位置に)、ビスとかボルト等の固定具5が通る通し部2dが形成されている。詳細には、通し部2dは、フランジ部2yの周方向における、4つの角部のうちの少なくとも1つの角部の位置に設けられる。
【0020】
また、フランジ部2yの背面(つまり、挿入部2a側を向く面)と波付管1との間に、前記固定具5におけるフランジ部2yの背面から飛び出す部分を受け入れる受入部2eを確保するように、フランジ部2yの背面には、波付管1の端面に当接可能な受入部形成突部2fが突出形成されている。ここで、当接可能とは、端末部材2を波付管1の端部に取り付けたときに、波付管1の端面に受入部形成突部2fが現実に当接している場合に限らず、当接はしていないが、さらに端末部材2の挿入部2aを波付管1の内部に挿入すれば、当接することができる場合を含むものである(
図8参照)。
【0021】
また、挿入部2aの四角筒状の周壁2jにおける角部外面2zに、波付管1の内面凸部1bの頂面を押圧する突出部2gが、突出形成されている(
図4、
図14参照)。そして、突出部2gは、挿入部2aの周壁2jが延びる方向(挿入部2aの軸方向)に延びるように形成される。詳細には、突出部2gは、挿入部2aの基端側(フランジ部2b側)に設けられ、挿入部2aの先端側ほど高さが低くなった楔状に形成されている。
【0022】
具体的には、波付管1は、例えば、配線・配管材(配線材または配管材)を収容保護するものであって、合成樹脂等からなる。この波付管1は、その波付管1の外面凸部1dの頂面および内面凹部1aの底面が、波付管1の軸心に直交する断面において四角形状(詳しくは、正方形等の矩形形状、図示実施例では、角部に円弧を有する角丸正方形形状)を成すように形成され、かつ、その波付管1の外面凹部1cの底面および内面凸部1bの頂面が、波付管1の軸心に直交する断面において四角形状(詳しくは、正方形等の矩形形状、図示実施例では、角部に円弧を有する角丸正方形形状)を成すように形成されている。そして、波付管1の外面凸部1dの頂面には、断面正方形形状の対向する二つの辺の中央部に、凹み部1eが設けられ、その凹み部1eに対応するように、波付管1の内面凹部1aの底面には、凸状部1fが設けられる。
【0023】
端末部材2は、例えば、合成樹脂等からなる。この端末部材2においては、挿入部2aは、その周壁2jが、波付管1の内面凸部1bの頂面の断面四角形状(詳しくは、断面正方形等の矩形形状、図示実施例では、角部に円弧を有する断面角丸正方形形状)に沿った四角筒状(詳しくは、正方形等の矩形筒状、図示実施例では、角部に円弧を有する角丸正方形筒状)を成すように形成される。一方、フランジ部2yは、その周縁が、波付管1の外面凸部1dの頂面の断面四角形状(詳しくは、断面正方形等の矩形形状、図示実施例では、角部に円弧を有する断面角丸正方形形状)に沿った四角形状(詳しくは、正方形等の矩形形状、図示実施例では、角部に円弧を有する角丸正方形形状)を成すように形成される。そして、フランジ部2yは、挿入部2aから弧状に広がる曲面部2hと、その曲面部2hから、挿入部2aに対し直角に広がる平板部2iとで構成されている。
【0024】
掛止部2cは、フランジ部2y側の面が、周壁2jから直立状に起立した起立面2kとなり、フランジ部2yとは反対側の面が、反フランジ部2y側ほど周壁2jに近づくように傾く傾斜面2mとなっている。そして、この掛止部2cの、波付管1の軸方向P(つまりは、挿入部2aの軸方向)における長さが、対応する波付管1の内面凹部1aの前記軸方向Pにおける長さよりも、短く形成されている。また、挿入部2aは、その周壁2j(詳しくは、前記平板状部2x)が、フランジ部2y(延設部2b)とは反対側を基端として、挿入部2aの内外に弾性変形可能な弾性片2nを有しており、その弾性片2nに前記掛止部2cが設けられる。図示実施の形態においては、周壁2jには、コ字状の溝状孔2pがあけられ、その溝状孔2pで囲まれた内側の部分が、前記弾性片2nとなる。
【0025】
通し部2dは、フランジ部2yの周方向における、4つの角部に設けられる。この通し部2dは、フランジ部2yの表側からあけられた有底の孔からなる。そして、前記固定具5は、ビス(詳しくは、タッピングビス)からなり、この通し部2dに、フランジ部2yの表側(つまり、挿入部2aのある側とは反対側)からねじ込まれる。
【0026】
受入部形成突部2fは、前述したように、フランジ部2yの背面に設けられるが、詳細には、周縁が四角形状を成すフランジ部2yにおいて、そのフランジ部2yの周方向における、4つの角部の位置、つまり、通し部2dがある位置に設けられる。この受入部形成突部2fは、フランジ部2yの背面から突出するとともに、フランジ部2yの周縁から挿入部2aに渡るように形成される。そして、この受入部形成突部2fは、第1受入部形成突部201と第2受入部形成突部202との二種類設けられ、それらが、フランジ部2yの周方向に交互に並ぶように配置される。第1受入部形成突部201は、フランジ部2yの周縁側に開口する凹部を備えた長方形状体に形成され、その凹部内が、前記受入部2eとしての受入空間となる。そして、第2受入部形成突部202は、凹部を備えない長方形状体に形成され、それ自身が前記受入部2eとなっている。
【0027】
突出部2gは、前記受入部形成突部2fから挿入部2aの先端側に向かって延びている。詳細には、突出部2gは、リブ状に形成される。そして、突出部2gは、波付管1が、その波付管1の外面凹部1cの底面および内面凸部1bの頂面の位置が軸方向Pの端部縁となった、その端部側に、端末部材2が取り付けられた際に(
図8参照)、波付管1の端部縁部分での内面凸部1bの頂面の周方向における、角部内面1x(図示実施の形態においては、4つの角部内面)と対面する、挿入部2aの周壁2jにおける角部外面2z(図示実施の形態においては、4つの角部外面)に設けられている(
図14参照)。
【0028】
波付管端部固定装置4は、前記端末部材2と、固定板6とからなる。この固定板6は、端末部材2におけるフランジ部2yに設けられた通し部2dに通される固定具5によりフランジ部2y(ひいては、端末部材2)に固定される固定部6aと、フランジ部2yの内側の開口を閉塞する閉塞部6bと、端末部材2を埋設するコンクリート等の硬化材用の型枠板7を貫通するボルト等の雄ねじ部材8が螺合する雌ねじ部6cとを有する。
【0029】
詳細には、固定板6は、正方形平板状に形成された固定板本体6dと、前記雌ねじ部6cを備えたナット6eとからなる。そして、固定部6aは、固定板6(詳しくは、固定板本体6d)の4つの角部のうちの、対角線上にある2つの角部の位置に設けられ、その固定部6aには、前記固定具5としてのビス(詳しくは、タッピングビス)が通る通孔6fがあけられている。そして、この固定板本体6dの周縁部を除くほぼ全体が、前記閉塞部6bとなる。ナット6eは、固定板本体6dの裏面(つまり、端末部材2がある側の面)に、例えば溶接により固定されている。このナット6eは、固定板本体6dの中央に設けられ、固定板本体6dには、雌ねじ部6cと連通するように孔6gがあけられている。
【0030】
型枠板7は、貫通孔7aを有する。そこで、端末部材2に固定板6が取り付けられた波付板端部固定装置4に対し、その固定板6に型枠板7が宛がわれ、ボルト等の雄ねじ部材8が、型枠板7の貫通孔7aと固定板本体6dの孔6gを通り、ナット6e(雌ねじ部6c)にねじ込まれる。そして、端末部材2の挿入部2aを波付管1の端部に挿入するようにして、端末部材2と波付管1とが組み付けられるが、この組み付けは、端末部材2単品の状態でも、端末部材2に固定板6を取り付けた後であっても、さらには、型枠板7に、固定板6(詳しくは、端末部材付きの固定板6)を取り付けた後であってもよい。
【0031】
図9および
図10は、波付管装置3が、複数、波付管1の軸方向Pと直交する方向の一例である縦方向に並んだ状態を示す。この例において、波付管装置3のそれぞれには、固定板6が取り付けられ、それら固定板6、6が、型枠板7に取り付けられる。また、
図16は、ハンドホール等の構造物の壁9に、波付管1を、波付管端部固定装置4を用いて接続する施工過程を示す。図示実施の形態においては、壁9には、予め、孔9aがあけられており、その孔9aに複数の波付管1、1が接続される。ここで、型枠板7は、複数の固定板6、6に渡るようにしてそれら固定板6、6に宛がわれて、孔9aを壁9の内側から塞ぐように配置される。そして、孔9aの内周面と波付管装置3(端末部材2および波付管1)との間の隙間10が、コンクリート、モルタルあるいはレジンコンクリート等の硬化材(図示せず)で埋められる。そして、硬化材が硬化した後に、ボルト8を外すことで、型枠板7が取り除かれる。その後、波付管1内へのケーブル等の配設の際に、固定具5を外すことで、固定板6が取り除かれる。
【0032】
次に、以上の構成からなる波付管用の端末部材2、およびその端末部材2を備えた波付管装置3の作用効果について説明する。端末部材2は、筒状の挿入部2aと、延設部2b(詳しくは、フランジ部2y)とを備えて、挿入部2aが波付管1の内部に挿入され、延設部2bが波付管1の端部から突出する。そして、挿入部2aの周壁2jから外方に突出する掛止部2cが、波付管1の内面凸部1bに掛け止まることで、端末部材2は、波付管1の端部に取り付けられる。ここで、掛止部2cは、挿入部2aの四角筒状の周壁2jにおける角部間の平板状部2xに設けられる。このように、掛止部2cを撓みやすい平板状部2xに設けることで、端末部材2の挿入部2aを、波付管1の内部に挿入する過程で、掛止部2cが波付管1の内面(詳しくは、内面凸部1b)に押されると、その掛止部2cが設けられた平板状部2xは、容易に内側に撓むように変形する。このため、端末部材2の挿入部2aを、波付管1の内部に容易に挿入することができ、この端末部材2を波付管1に簡単に取り付けることができる。
【0033】
また、掛止部2cが弾性片2nに設けられることで、端末部材2の挿入部2aを、波付管1の内部に挿入する過程で、掛止部2cが波付管1の内面(詳しくは、内面凸部1b)に押されたとき、平板状部2xに加えて弾性片2nが内側に撓むように変形する。このため、端末部材2の挿入部2aを、波付管1の内部に一層容易に挿入することができ、この端末部材2を波付管1に一層簡単に取り付けることができる。
【0034】
また、掛止部2cの、波付管1の軸方向Pにおける長さが、対応する波付管1の内面凹部1aの前記軸方向Pにおける長さよりも、短く形成されている。これにより、端末部材2と波付管1との前記軸方向Pへの相対移動が一定範囲で許容され、その範囲で、端末部材2に対する波付管1の、前記軸方向Pの位置を調整することができる。
【0035】
また、端末部材2において、挿入部2aの周壁2jに突出部2gを設けることで、端末部材2に対する波付管1のガタツキを防止することができる。特に、突出部2gが、挿入部2aの四角筒状の周壁2jにおける変形しにくい角部にあることで、端末部材2に対する波付管1のガタツキを効果的に防止することができる。
【0036】
また、端末部材2に設けられたフランジ部2yは、この端末部材2が取り付けられた端末部材付きの波付管1(波付管装置3)をその波付管1の軸方向Pと直交する方向に並べたときに、そのフランジ部2yどうしが干渉することなく波付管1が当たり合うことが可能となる大きさに形成されている。これにより、複数の端末部材付きの波付管1、1(波付管装置3、3)を、波付管1の軸方向Pと直交する方向に並べる際に、複数の波付管1、1を互いに近接させて配置することができる。そして、フランジ部2yには、通し部2dが形成されており、この通し部2dを通る固定具5により、端末部材2、ひいては波付管装置3を、型枠板7に(図示実施の形態においては、固定板6を介して型枠板7に)固定することができ、複数の波付管1、1を互いに近接させて配置固定することが可能となる。
【0037】
また、固定板6は、フランジ部2yの内側の開口を閉塞する閉塞部6bを有している。このため、端末部材2が、コンクリート等の硬化材に埋設されて、型枠板7が除去された後には、この閉塞部6bを有する固定板6で、端末部材2内、ひいては波付管装置3内(つまり、端末部材付きの波付管1内)に埃等が進入するのを防ぐことができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、挿入部2aの周壁2jは、溝状孔2pで囲まれた弾性片2nを有し、その弾性片2nに掛止部2cが設けられるが、弾性片2nを有することなく、元々の周壁2jに掛止部2cを設けてもよい。
【0039】
また、端末部材2とか波付管装置3は、固定板6を介して型枠板7に固定されなくても、直接、型枠板7に固定されてもよい。すなわち、固定板6を用いることなく、端末部材2側あるいは型枠板7側から、端末部材2の通し部2dを通るとともに型枠板7を通る固定具5により、端末部材2を、直接、型枠板7に固定してもよい。
【0040】
また、波付管装置3を、複数、波付管1の軸方向Pと直交する方向に並べるにあたって、その軸方向Pと直交する方向は、縦方向に限らず、横方向とか、それら縦方向と横方向との間の斜め方向とかであってもよい。
【0041】
また、波付管1を、ハンドホール等の構造物の壁9に接続するにあたって、壁9には予め孔9aがあけられていたが、孔9aをあけることなく、壁9を形成するコンクリート等の硬化材に、波付管装置3(つまり、端末部材2とか波付管1)が、直接、埋設されてもよい。
【0042】
また、硬化材で、端末部材2と波付管1との両方を埋設しなくても、端末部材2を長くして、その先端部分に波付管1を取り付けることで、端末部材2のみを埋設するようにしてもよい。
【0043】
また、端末部材2と波付管1とを、硬化材で埋設することなく、波付管1の端部に端末部材2を取り付けて使用してもよい。この場合であっても、特に突出部2gを、挿入部2aの周壁2jにおける変形し難い角部に設けることで、それら波付管1と端末部材2とのガタツキを効果的に防止することができる。
【0044】
また、通し部2dとか受入部2eの位置と、受入部形成突部2fの位置とは、同じ位置になくても、それらが互いにずれた位置にあってもよい。すなわち、例えば
図4において、受入部2eが、隣り合う受入部形成突部2f、2fの中間位置にあってもよい。
【0045】
また、通し部2dは、有底の孔でなくても、貫通する孔であってもよく、また、底の浅い窪み等が、通し部2dを示す目印となっていてもよい。
【0046】
また、固定具5は、フランジ部2yの表側から通し部2dに通されなくても、フランジ部2yの裏側から通し部2dに通されてもよい。また、この固定具5は、ビスでなくても、ボルトとナットからなっていてもよく、ボルトが、フランジ部2yの表側あるいは裏側から通し部2dに通されて、反対側に設けたナットにねじ込まれてもよい。このとき、受入部形成突部2fは、凹部を備えた第1受入部形成突部201からなり、その凹部内が、ボルトの頭部あるいはナットを受け入れる受入部2eとしての受入空間となる。そして、この場合には、ボルトあるいはナットを回り止めするように、受入部形成突部2f(詳しくは、第1受入部形成突部201)を、ボルトの頭部あるいはナットの周面に係合するように形成するのがよい。
【0047】
また、通し部2dの位置は、正方形のフランジ部2yにあっては、その正方形に内接する内接円の外側、長方形のフランジ部2yにあっては、その長方形の中心を中心としてその長方形に内接する内接円の外側にあるのが好ましい。
【0048】
また、突出部2gとか受入部形成突部2fは、必要でなければ、無くてもよい。
【0049】
また、固定具5は、ビスとかボルトに限らず、釘等であってもよい。
【0050】
また、固定板6において、雌ねじ部6cは、ナット6eの孔からなるが、ナット6eを用いることなく、固定板本体6dに、直接、雌ねじ部6cを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 波付管
1a 内面凹部
1b 内面凸部
1c 外面凹部
1d 外面凸部
2 端末部材
2a 挿入部
2b 延設部
2c 掛止部
2j 周壁
2g 突出部
2n 弾性片
2x 平板状部
2y フランジ部(延設部)
2z 角部外面
3 波付管装置
P 軸方向