(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】倉庫の棚において貯蔵される品物の保管および運搬システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
B65G1/04 555
B65G1/04 561
B65G1/04 505A
(21)【出願番号】P 2019569696
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2018070551
(87)【国際公開番号】W WO2019072432
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-01-18
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518127451
【氏名又は名称】エグゾテック
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ムーラン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】エツ,ルノー
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519123(JP,A)
【文献】特開2002-249211(JP,A)
【文献】特表2018-517646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫の棚(32)において貯蔵されることを目的とした少なくとも1つの品物の、前記倉庫内での保管および運搬システム(10)であって、
-前記品物を収容するのに適し、また、前記棚に収まるのに適した少なくとも1つの容器(12、31)、
-電動カート(11)であって、前記カートが前記棚に沿って上がることを可能にするために前記棚と協働するのに適した登り手段を含み、前記カート(11)が前記容器の把握および取外し装置を含む電動カート、
を含む倉庫内での保管および運搬システムであって、
前記把握および取外し装置が、
スライド可能に取り付けられた置き台を含み、
また該置き台が前記カートのシャシに対して、
-前記置き台が、前記シャシと整列した状態から
完全に外れて前記カートの横縁で
前記シャシの一方の横側から伸びる
第一の展開された位置と、
-前記置き台が前記シャシと向かい合って収められる格納位置
と、
-前記置き台が、前記シャシと整列した状態から完全に外れて前記シャシのもう一方の横側から伸びる第二の展開された位置、
との間で
スライド可能にのみ取り付けられ、
前記置き台が、厚板(13)、枠または棒のような構造要素と、前記構造要素に対して固定し突き出た少なくとも1つの上の方に向けられた爪(15
1、15
2、15
3、15
4)とを含むことを特徴とし、
また前記容器(12、31)の底部に、前記爪(15
1、15
2、15
3、15
4)の少なくとも一部を収めることができるように構成された窪み(21
1、21
2、21
3、21
4)が少なくとも1つあることを特徴とする、
倉庫内での保管および運搬システム
。
【請求項2】
前記置き台が、長方形の模様にしたがって互いに対して配置された4つの爪(15
1、15
2、15
3、15
4)を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の保管および運搬システム。
【請求項3】
前記置き台が、前記カート(11)の前進方向と直角に交わる方向に伸びる、レール上を案内されるガイドレール(14)に連動していることを特徴とする、請求項1
または2に記載の保管および運搬システム。
【請求項4】
前記置き台が、一体形成されることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【請求項5】
前記電動カート(11)が、自動誘導式電動カートであることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【請求項6】
前記シャシが、垂直の止め具(16)を有し、該止め具が、前記把握および取外し装置が前記格納位置にあり、また、前記容器(12、31)を支えているとき、前記容器(12、31)が前記止め具の方向に滑り落ちるのを防ぐことを目的としていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【請求項7】
前記容器(12、31)が、射出成形されたプラスチック材料製であることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【請求項8】
前記容器の底部が、少なくとも2つの窪み(21
1、21
2、21
3、21
4)を有し、該窪みが、前記爪(15
1、15
2、15
3、15
4)の少なくとも一部を収めることができるようにそれぞれ構成され、また前記底部の対称軸に対して対称に配置されることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【請求項9】
前記登り手段が、前記カートの走行輪の軸にほぼ直交している軸の電動歯車を少なくとも2つ含み、該電動歯車が、ほぼぴんと張られたローラーチェーンの環と、または前記棚(32)の支柱に沿って伸びるラックの歯と噛み合うのに適していることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一つに記載の保管および運搬システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、倉庫での製品の流れ、また、とりわけ、部品または製品の荷役および運搬の分野である。
【0002】
本発明は、より詳細には、倉庫の棚において貯蔵されることを目的とした少なくとも1つの品物の、前記倉庫内での保管および運搬システムに関している。
【0003】
本発明は、とりわけ、製品の流れ作業における注文準備用倉庫内部での用途を見出す。
【背景技術】
【0004】
製品保管倉庫では、棚の棚板において特定の製品を含む容器を取り出して、それらの製品を別の場所、例えば、注文準備用位置まで運搬するためにロボットを利用することが知られている。
【0005】
高所に位置する棚の棚板において容器を取り出す、または、置くために、ロボットに、支柱上をスライドする伸縮式フォークを装備することを考えた。容器を取り出すために、フォークは、容器の下部のちょうど下に位置する高さの位置に達するまで支柱に沿って移動し、そして、展開しながら容器の下に滑り込む。ロボットはそのとき、フォークを少し上げることによって、容器が置かれている棚板から容器を持ち上げて、容器を移動させることができる。
【0006】
この伸縮式フォーク技術は、しかしながら、容器の運搬の際に、容器がフォークの上で不安定になるという不都合を有し、このことはロボットを不安定にし得る。また、取り出される容器の下に位置する容器にフォークがぶつからないために、負荷を受けてもたわまないフォークを準備する必要があり、このことはロボットの全体の重量を増す。
【0007】
また、容器を取り出すために、容器を引くことを可能にする爪が突き出している、容器の側面に滑り込む2つのアームを利用することも提案された。
【0008】
この既知の技術の不都合は、アームを滑り込ませるために容器間の間隔を準備しなければならないことであり、このことは、棚上に保管されることができる容器の数を減少させる。
【0009】
この既知の技術の別の不都合は、該技術が、各爪用に作動機を準備しなければならないことから実施が複雑であるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、したがって、上に引用された背景技術の不都合を緩和することをとりわけ目的とする。
【0011】
本発明は、より具体的には、実施するのが簡単な、倉庫内での品物の保管および運搬技術を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の目的は、とりわけ、棚において互いに間隔のあまり開いていない容器の中に製品が保管される倉庫内で実施されることができるそのような技術を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、軽量なそのような技術を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、また、低原価のそのような技術を提案することでもある。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、頑丈で信頼できるそのような技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的、ならびに後で明らかになるであろう他の目的は、倉庫の棚において貯蔵されることを目的とした少なくとも1つの品物の、前記倉庫内での保管および運搬システムを使って達成され、該システムは、
-前記品物を収容するのに適し、また、前記棚に収まるのに適した少なくとも1つの容器、
-電動カートであって、前記カートが前記棚に沿って上がることを可能にするために前記棚と協働するのに適した登り手段を含み、前記カートが前記容器の把握および取外し装置を含む電動カート、
を含む。
【0017】
本発明によると、前記把握および取外し装置は、置き台を含み、該置き台は前記カートのシャシに対して、
-前記置き台が、前記シャシと整列した状態から外れて前記カートの横縁で少なくとも部分的に伸びる展開位置と、
-前記置き台が、前記シャシと向かい合って収められる格納位置、
との間で可動に取り付けられ、
前記置き台は、厚板、枠または棒のような構造要素と、前記構造要素に対して固定し突き出た少なくとも1つの上の方に向けられた爪とを含み、
また、前記容器の底部には、前記爪の少なくとも一部を収めることができるように構成された窪みが少なくとも1つある。
【0018】
本発明は、このように、未発表のまたとりわけ創意に富んだ仕方で、容器を持ち上げる、および、引くことができるように、容器の底部に形成される窪みの中に単数または複数の爪を少なくとも部分的に入れることによって、下から、棚において製品保管容器を取り出すまたそれぞれに置くことを提案する。
【0019】
本発明の範囲内で、前記置き台は、厚板、枠、棒、または単数もしくは複数の突き出た前記爪が上に乗っていることができる他のあらゆる既知の構造物を含み得る。
【0020】
また、「上の方に向けられた」という表現で、突き出た爪が、ほぼ垂直の方向に向いており、また、床の方向と反対の向きに突き出ていることを意味する。
【0021】
有利には、前記置き台は、前記置き台が前記シャシの一方の横側から伸びる第一の展開された位置と、前記置き台が前記シャシのもう一方の横側から伸びる第二の展開された位置とを取ることができるように、前記シャシに対して可動に取り付けられる。
【0022】
このように、棚において、カートの一方の側から、または、他方の側から容器を取り出すことが可能である。
【0023】
本発明の特定の局面によると、前記置き台は、長方形を形成するように互いに対して配置される4つの爪を含む。
【0024】
本発明のこの実施形態の変形例において、前記置き台は、整列する2つの爪、または三角形を形成するように互いに対して案配される3つの爪を含むことができる。
【0025】
本発明の有利な実施形態によると、前記置き台は、前記カートの前進方向と直角に交わる方向に伸びる、レール上を案内されるガイドレールに連動している。
【0026】
本発明の特定実施形態において、前記置き台は、一体形成される。
【0027】
本発明のとりわけ有利な実施形態において、前記電動カートは、自動誘導式電動カートである。
【0028】
有利には、前記シャシは垂直の止め具を有し、該止め具は、前記把握および取外し装置が前記格納位置にあり、また、前記容器を支えているとき、前記容器が前記止め具の方向に滑り落ちるのを防ぐことを目的としている。
【0029】
本発明の好ましい局面によると、前記容器は、射出成形されたプラスチック材料製である。
【0030】
好ましくは、前記容器の底部は、少なくとも2つの窪みを有し、該窪みは、前記爪の少なくとも一部を収めることができるようにそれぞれ構成され、また前記底部の対称軸に対して対称に配置される。
【0031】
このように、容器が棚の上に置かれている向きがどうであろうと、棚において容器を取り出すことが可能である。
【0032】
本発明の有利な実施形態によると、前記登り手段は、前記カートの走行輪の軸にほぼ直交している軸の電動歯車を少なくとも2つ含み、該電動歯車は、ほぼぴんと張られたローラーチェーンの環と、または前記棚の支柱に沿って伸びるラックの歯と噛み合うのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特徴および利点は、説明に役立つまた非制限的な単なる例として与えられる本発明の実施形態の以下の説明および以下の添付の図面を読むことによって、よりはっきりと明らかになるであろう。
【0034】
【
図1】本発明による品物の保管および運搬システムの実施形態例の斜視図であって、該図において、容器の把握および置き装置の厚板は展開されている。
【
図2】
図1に関連して示された、本発明による品物の保管および運搬システムの容器のうちの1つの底面図である。
【
図3A】
図1に関連して示された、本発明による品物の保管および運搬システムの電動カートであって、床にあるときの電子カートを示している。
【
図3B】
図1に関連して示された、本発明による品物の保管および運搬システムの電動カートであって、容器に接近しているときの電子カートを示している。
【
図3C】
図1に関連して示された、本発明による品物の保管および運搬システムの電動カートであって、そのスライド式厚板が容器の下に展開されているときの電子カートを示している。
【
図3D】
図1に関連して示された、本発明による品物の保管および運搬システムの電動カートであって、そのスライド式厚板が容器に連動しているときの電子カートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1で、本発明による倉庫での品物の保管および運搬システム10の実施形態例を示した。
【0036】
このシステム10は、自動誘導式電動カート11と、製品を保管することを可能にするほぼ直方体形状(
図1で点線で概略的に示されている)のポリプロピレン製容器12とを含む。
【0037】
カート11は、倉庫の床の上で移動することができるための走行輪(
図1では表示されていない)を4つと、向かい合っている2つの棚の間で棚の支柱に沿ってカートが登ることを可能にするためにカートの側面に展開することができる、走行輪と直角に交わる軸の歯車(
図1では隠されている)を4つ、とを備えている。
【0038】
カート11はその上面に、厚板13を有し、該厚板は、容器12を支えることを可能にし、レール上の2つのガイドレール14に取り付けられるものであり、
図1にカート11の側面で展開された位置において表示されている。
図1で見ることができるように、厚板13は、厚板が完全に展開されるとき、カートの左横縁にカート11の前記シャシと整列した状態から完全に外れて伸びている。ガイドレール14(
図1では表示されていない)を作動させることを可能にするモータのおかげで、厚板13はまた、厚板13がカート11のシャシの上に張り出す格納位置にまでシャシの方へスライドすることもできる。格納位置において、容器12が、転落を防止するためにカート11のシャシの突き出ている2つの垂直な受け具16で止まるようになることができることに注目するべきである。
【0039】
4つの爪151~154は、厚板13にねじで固定されており、長方形の厚板13の2つの対称軸13Aおよび13Bに対して対称な位置において、それぞれが厚板13の上部隅のうちの1つのすぐ近くに固定されている。
【0040】
図2で見ることができるように、容器12の底面図において、容器12の底部は、厚板13の爪15
1~15
4によって形成される長方形と同一の形の長方形の隅を形成するほぼ円筒形の4つの窪んだ型21
1~21
4を有する。
【0041】
以下、
図3A~
図3Dに関連して、カート11が倉庫の棚32において容器12と同一である容器31を取り出すようになることを可能にするさまざまなステップが記述される。この例において、容器31は、棚32の三段目の高さに保管されており、棚32の2つのL形鋼34の上にその縁で乗っている。
【0042】
図3Aで示される第一のステップにおいて、カート11は、床で前進し、容器31を含む棚32の前で、容器31をその左側に残した状態で停止する。
【0043】
カート11はそのとき、歯車のついた4つのアーム35を横に展開して、歯車が、棚31の支柱の上および該棚と向かい合って位置する棚32の支柱の上でぴんと張られたチェーン36と噛み合うようになるようにし、そして、歯車の回転を操作することによって、容器12の底部の表面の高さより数センチ低い高さのところに厚板13の上面が位置する、
図3Bに示される位置にまで、棚に沿って登る。
【0044】
カート11は次に、
図3Bで示される格納位置から、
図3Cで示される完全な展開された位置にまで、容器12の下に厚板13を展開するように、そのシャシの左側に、ガイドレール14をスライドさせることを可能にするモータを作動させる。
【0045】
図3Dで示される最後のステップにおいて、カート11は、容器の底部の窪み21
1~21
4に爪15
1~15
4の上部分を入り込ませるように、支柱に沿って数センチ改めて上がり、ついで、形鋼34より少し上に容器を持ち上げるように、さらに2センチ上がる。
【0046】
従って、カート11は、棚32、33の支柱に沿って容器31とともに降りることができるように、矢印37の向きにガイドレール14をスライドさせることによって厚板13をその格納位置に戻すだけでよい。
【0047】
本発明は特定の実施形態と関連して記述されてはいるが、本発明はそこに限定されるものでは全くなく、記述された手段の技術的等価物のすべて、ならびに本発明の範囲内に含まれるという条件でそれらの組合せにまで及ぶ。
【符号の説明】
【0048】
10 保管および運搬システム
11 電動カート
12 容器
13 厚板
151 爪
152 爪
153 爪
154 爪
211 窪み
212 窪み
213 窪み
214 窪み
31 容器
32 棚