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特許7133573車両に着席した乗員の動きを検出するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】車両に着席した乗員の動きを検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20220901BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20220901BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20220901BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20220901BHJP
   H03K 17/955 20060101ALI20220901BHJP
   G01C 21/36 20060101ALN20220901BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W50/12
B60W40/08
B60W60/00
H03K17/955 U
G01C21/36
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019570477
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040878
(87)【国際公開番号】W WO2019010278
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】15/643,379
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518287353
【氏名又は名称】ジョイソン セイフティ システムズ アクイジション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リッセマン、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】チェック、レン
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533302(JP,A)
【文献】特開2013-148435(JP,A)
【文献】特開2006-317421(JP,A)
【文献】特開2014-173931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0253753(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0082951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
H03K 17/955
G01C 21/26 ~ 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の制御モジュールの構成要素を制御するためのシステムであって、
前記車両のハンドル内に配置された電極であって、ボディエリアネットワークを介して、前記車両の乗員を通して、当該電極内の電流を代表する制御信号を伝送するように構成されている、電極と、
前記構成要素の近傍に配置されたアンテナに結合され、伝送された前記制御信号を検出し、前記乗員の付属器官と前記アンテナとの間の近接を示す検出情報に基づいて、前記構成要素に近接する前記乗員の存在の判別を行うように構成された受信器であって、前記乗員の存在の判別がコントローラに提供される、受信器と、
を備え、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記構成要素の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記構成要素を制御することを禁止し、
前記構成要素の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記乗員は前記車両の運転者である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記乗員は前記車両の運転者であり、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記運転者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記運転者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記乗員は前記車両の同乗者であり、前記車両が手動運転モードにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記乗員は前記車両の同乗者であり、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記同乗者が前記構成要素を制御することを許容する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電極は、離散周波数と時間位相周波数のいずれかにわたって前記乗員を通して前記制御信号を伝送する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記受信器は、前記車両のセンターコンソールに配置されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記受信器は、前記車両内の端末装置に配置され、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの接触に基づいて、前記乗員が前記端末装置を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記端末装置の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記端末装置を制御することを禁止し、
前記端末装置の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記端末装置は、携帯電話、タブレット、ウェアラブルな電気機械装置及びラップトップのうちのいずれかである、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
自動運転車両の制御モジュールの構成要素を制御するためのシステムであって、
前記制御モジュール内に配置された電極であって、ボディエリアネットワークを介して、前記車両の乗員を通して、当該電極内の電流を代表する制御信号を伝送するように構成されている、電極と、
前記車両のハンドル内に配置されたアンテナに結合され、前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、伝送された前記制御信号を検出するように構成され、コントローラを含む受信器であって、当該コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記構成要素の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記構成要素を制御することを禁止し、
前記構成要素の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成された、受信器と、
を備える、システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記構成要素と接触している前記乗員が前記車両の運転席に着席しているか否かを示す追加情報を受け取るように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、運転者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラが前記構成要素を制御することを許容する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記構成要素を操作しようとしている乗員が前記車両の同乗者であることを示す情報を受け取るように構成され、前記コントローラは、前記車両が手動運転モードにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記乗員は、前記車両の同乗者であり、前記コントローラは、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記同乗者は前記ハンドルと接触していないとき、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記電極は、離散周波数と時間位相周波数のいずれかにわたって前記乗員を通して前記制御信号を伝送する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御モジュール内に配置された前記電極は、前記車両内の端末装置を通して、前記制御モジュールの周囲にある前記電極内の電流を代表する前記制御信号を伝送するように構成され、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの接触に基づいて、前記乗員が前記車両内の前記端末装置を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記端末装置の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記端末装置を制御することを禁止し、
前記端末装置の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成されている、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記端末装置は、携帯電話、タブレット、ウェアラブルな電気機械装置及びラップトップのうちのいずれかである、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、静電容量感知及び近接検出システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内検出システムは、車両内にいる乗員の存在及び車両内の乗員の動きを検出するための様々な技術を用いる。現在、車両内の装置と作用する乗員を特定するためにカメラベースの検出方法が利用されている。
【0003】
しかし、乗員の動きを検出し、検出された乗員の動きに基づいて車両の制御モジュールの構成要素の状態を変更する向上した能力を備える車両内検出システムの必要性が依然として存在する。車両の制御モジュールの構成要素と作用する乗員の種類(例えば、運転者か同乗者か)を判別することは特に重要である。加えて、車両が手動運転モードにあるとき、乗員を車両の制御モジュールの構成要素と作用するより安全な方法(例えば、音声操作)に向ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明のこれら及びその他の特徴、観点及び利点が後述の記載及び以下で簡潔に説明される図面に示された付属的な例示的な実施の形態から明らかになる。
【0005】
図1】静電容量感知及び近接検出システムを含む、車両の座席にいる乗員の概略側面図である。
図2】感知電極を含むハンドルの概略図である。
図3】乗員の付属器官の近接検出の概略図である。
図4】検出範囲及び振幅の閾値による近接検出のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
車両の座席に着席している乗員が車両の制御モジュールの構成要素を制御してもよいか否かを判別するために、複数の方法及びシステムが提案される。
【0007】
1つの実施の形態によれば、静電容量感知システムと、導電体としての乗員の身体と、静電容量近接検出システムと、その受信器と、が車両の構成要素の状態を変更するため、車両の座席にいる乗員の動きを検出するように利用される。このように、全体としての静電容量システムは、乗員の存在を検出する感知システムと車両の座席に着席しているときの乗員の動きを検出する静電容量近接検出システムを一体化した修正されたハンドルを含む。
【0008】
図1に示すように、静電容量感知システムは、車両のハンドル8に配置された感知電極4を含んでいてもよい。感知電極4は制御モジュール2に配置された電子装置に接続されている。電子装置は、感知電極4に電圧信号を供給する信号発生器を含む。電圧信号は、正弦波又は他の適切なプロファイルであってもよい。加えられる電圧により、感知電極4に電流が流れる。電極内の電流は、感知電極4の近傍に対応する電界を生成する。周囲の物体と電界との相互作用は、感知電極4の実効インピーダンスを変化させる。例えば、感知電極4の電流は、電界の近傍にある物体の存在のため(例えば、ハンドル8に触れている乗員12の手)、変化し得る。
【0009】
図1に示すように、感知電極4に供給されている電気信号は、乗員12から受信器6にかけて流れる、対応電流を引き起こすかもしれない電界を生成する。制御モジュール2は、乗員12の推定インピーダンスに基づいて、感知電極4に伝送される電圧信号の電力レベル(及びこれに対応する伝送される電界の電力)を調節してもよい。このシステムは、身体を通した結合の強度に基づく振幅と位相の変化として、結果として生じる電界の信号の伝送又は結合を測定することのできる電子装置を含む。
【0010】
図2は、感知電極を含むハンドルの概略図である。ハンドル8は、少なくとも1つの感知電極4を含んでいてもよい。ハンドル8は、楕円形、正方形、長方形又は円形の形状であってもよく、その中での少なくとも1つの感知電極4の構成は、対称でも非対称でもよい。
【0011】
静電容量感知システムは、静電容量検出システムとともに用いられる。図1に示したように、静電容量検出システムは、乗員12の身体を通した、伝送された電界の信号を検出するための受信器6を含む。電界の信号は、離散周波数と時間位相周波数のいずれかにわたって乗員を通して伝送されてもよい。受信器6は、コントローラを含み、制御モジュール2に配置されていてもよい。受信器6は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、カメラ、ウェアラブルな電気機械装置、ビデオカメラ、レーダー検出器、独立したナビゲーションユニットを含むが、これらに限られない、車両内の端末装置に配置されていてもよい。受信器6は、アンテナと結合され、又はアンテナを含み、乗員を通して搬送される、伝送された電界の信号を検出するように構成されている。受信器6は、乗員12の付属器官12aとアンテナとの近接又は接触を示す、検出された信号情報に基づいて、伝送された信号及び対応する乗員の存在を検出するように構成されている。
【0012】
アンテナは、乗員によって搬送される信号に対する感度を改善するために適切な形状に構成されてもよく、車両の他の構成要素(例えば、ディスプレイ、計器盤等)と一体化されてもよい。例えば、アンテナは、長方形又は楕円の形状のいずれか一つであってもよい。アンテナは、受信器6に組み込まれていてもよく、受信器6と結合されていてもよい。受信器6は、感知電極4に加えられる電圧及び乗員12とハンドル8との間の接触のため、感知電極4から伝送された電界の信号の変化を検知するように構成されている。
【0013】
図3に示すように、受信器6は、検出された信号の分析に基づき、伝送された電界の信号の変化を検出するようにも構成されている。この分析は、受信器6又はコントローラによる検出条件の判別という結果に帰着する。例えば、その検出条件は、乗員が車両の構成要素に触れており(又は触れておらず)、車両の構成要素を操作しようとしていることを判別することであってもよい。その判別条件は、乗員の付属器官12aの大きさ、乗員の付属器官12aの受信器6への接近速度、乗員の付属器官12aの受信器からの離隔速度、及び乗員の付属器官12aと受信器6との間の検出範囲のうちの少なくとも一つを用いて判別されてもよい。乗員の付属器官12aは、手、指、足、つま先の何れか一つであってもよいが、これらに限定されず、検出範囲は、乗員の付属器官12aと受信器6との間の所定の距離であってもよい。
【0014】
1つの実施の形態において、検出条件は、乗員の付属器官12a(例えば、指)の接近速度D及び乗員の付属器官12aと受信器6との間の検出範囲Dに従って判別される。例えば、図3に示すように、乗員の付属器官12aの接近速度Dは500cm/secであり、検出範囲Dは10cmである。
【0015】
受信器6は、アンテナで受信された信号に基づいて検出情報を生成するようにも構成されている。検出情報は、乗員の付属器官12aと受信器6との間の近接を示してもよい。例えば、図3に示すように、乗員の付属器官12aの接近速度Dが500cm/secであり、検出範囲Dが10cmであるとき、受信器6は、検出情報として、乗員の付属器官12aによる受信器6の表面接触からの時間tを計算する。上記の例においては、受信器は、表面接触からの時間tを.02秒として計算する。同様に、検出情報は、乗員の付属器官12aによる受信器6の表面接触からの時間tであってもよいが、これに限られない。
【0016】
1つの例示的な実施の形態によれば、受信器6は、生成された検出情報を、車両の運転モード(例えば、自動又は手動)及び乗員12とハンドル8との間の接触に基づいて乗員12が車両の制御モジュールの構成要素を制御してもよいか否かを判別するように構成されているコントローラに提供する。別の実施の形態において、受信器は、検出情報を使用して検出条件を判別するように構成され、検出情報が存在するか否か(例えば、接触又は非接触)を示す情報を単にコントローラに伝送する。受信器がコントローラの近傍(例えば、直接な伝導体を介して接続)に配置されていない場合には、受信器からコントローラに供給されるデータと情報は、無線で、例えば、受信器を格納するウェアラブルな電子装置と車両のインストルメンタルパネルに配置されたコントローラとの間のBluetooth接続などを介して伝送されてもよい。
【0017】
1つの実施の形態において、コントローラは、判別に基づいて、車両が手動運転モードにあり、乗員12がハンドル8と接触しているとき、構成要素の接触ベース(touched based)の制御を無効にすることにより、乗員12が構成要素を制御することを禁止する。さらに、コントローラは、構成要素の接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する。例えば、乗員12が車両の運転者であり、混雑した高速道路を運転中に、新しい目的地を探すためナビゲーションシステムを使用しようとするとき、システムは、ナビゲーションシステムを囲んでいる受信器6によって検出されるように、運転者の手を介してハンドル8から電界の信号を伝送する。伝送された電界の信号を検出すると、ナビゲーションシステムが運転者にとって無効にされるべきであるというプロトコルを含むように構成されているコントローラは、ナビゲーションシステムの接触ベースの制御が無効であることを示す音声のプロンプトを生成する。構成要素を制御するシステムは、携帯電話、ウェアラブルな電子的又は電気機械的な装置、タブレット、ラップトップ、カメラ、ビデオカメラ、レーダー検出器及び独立したナビゲーションユニットを含むがこれらに限られない端末装置にまで拡大される。
【0018】
別の実施の形態において、乗員12が車両の運転者である場合で、車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかであり、運転者がハンドル8と接触していないときに、コントローラは、運転者が構成要素を制御することを許容する。このため、システムは、車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかであり、運転者とハンドル8との間の接触が必要ではないと判別するとき、システムへの自然なバイパス(natural bypass)を提供する。
【0019】
別の実施の形態において、乗員12が車両の同乗者である場合で、車両が手動運転モードであり、同乗者がハンドル8と接触していない場合、コントローラは、同乗者が構成要素を制御することを許容する。例えば、運転者が混雑した高速道路を運転中に、乗員12が車両の同乗者であり、同乗者が新しい目的地を探すため車両のナビゲーションシステムを使用しようとするならば、システムは、同乗者がハンドル8と接触していないことを認識しているので、同乗者がナビゲーションシステムを制御することを許容する。
【0020】
また別の実施の形態において、乗員12が車両の同乗者である場合で、車両が準自動運転モードと自動運転モードのいずれかであり、同乗者がハンドル8と接触していないとき、コントローラは、同乗者が構成要素を制御することを許容する。
【0021】
別の実施の形態において、感知電極4が制御モジュール2の中に配置され、ボディエリアネットワークを介して、車両の乗員12を通して電極4の電流を代表する電界の信号を伝送するように、システムが構成されていてもよい。
【0022】
さらに、受信器6は、車両のハンドル8の中に配置されていてもよく、乗員12とハンドル8との間の接触に基づいて伝送される電界の信号を検出するように構成されている。加えて、乗員12が座席10又は座席マットに接触していることにシステムが気づくように、受信器6は、車両の座席10又は車両の座席マットに配置されていてもよい。
【0023】
具体的には、コントローラは、車両の運転モードと、乗員12とハンドル8との間の接触と、に基づいて、乗員が構成要素を制御してもよいか否かを判別するように構成されている。例えば、車両が手動運転モードにあり、乗員12がハンドル8と接触しているとき、乗員の位置の判別に基づいて、コントローラは、構成要素の接触ベースの制御を無効にすることによって、乗員12が構成要素を制御することを禁止してもよい。コントローラは、構成要素の接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプト(聴覚的及び/又は視覚的)を生成するように構成されていてもよい。
【0024】
別の実施の形態において、システムは、車両の動作(例えば、速度の設定又は車線の変更)を独立して制御する第2のコントローラと同時に動作し得る。具体的には、システムと結合され、車両が準自動運転モードと自動運転モードのいずれかにあるとき、運転者とハンドル8との間の接触が必要でないならば、第2のコントローラは、車両の同乗者が車両の制限された制御を行うことを許容するであろう。例えば、緊急の状態において、運転者が無能力化されたならば、第2のコントローラは、車両を安全に減速し、停止させるため、同乗者が車両を制御することを許容するであろう。
【0025】
別の実施の形態において、図4に示すように、検出条件は、乗員を通して搬送され、受信した電界の信号の振幅を振幅の閾値と比較することによって判別されるが、閾値は、乗員の付属器官12aと受信器6との間の所与の検出範囲に対して推測された振幅に基づく。
【0026】
図面においてそれぞれの要素の具体的な形状及び位置が示されたが、それぞれの要素は、その要素によって実現される機能を促進する任意の他の形状又は位置であってもよい。例示的な実施の形態において、感知電極4と受信器6は特定の車両の位置に示された。しかし、他の例示的な実施の形態において、感知電極4と受信器6は、車両の他の部分に配置されていてもよい。例えば、感知電極4は車両の座席10又は車両の座席マットに配置されていてもよい。
【0027】
この開示の目的のために「結合された」(coupled)という語は、2つの構成要素(電気的、機械的又は磁気的)を直接的又は間接的に、互いに結びつけることを意味する。このような結びつけは、本質的に静的であっても、本質的に可動であってもよい。このような結びつけは、2つの要素(電気的又は機械的)と互いに、又は2つの構成要素で、又は2つの構成要素又は2つの構成要素と互いに接続された任意の追加的な部材と、で単一の結合体として一体的に定義される、任意の追加的な中間部材で実現されてもよい。このような結びつけは、本質的に永久であっても、代わりに、本質的に除去可能又は解放可能であってもよい。
【0028】
本開示は、例示的な実施の形態を参照して説明された。しかし、この技術分野における通常の知識を有する者は、開示された主題の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及び詳細を変更してもよいことを認識するであろう。例えば、1つ以上の長所を提供する1つ以上の特徴を含むものとして異なる例示的な実施の形態が記載されたが、記載された特徴は、互いに、又は記載された例示的な実施の形態において、又は他の代替的な実施の形態において、互いに若しくは互いに代替的に結合されて、交換可能であることが企図されている。本開示の技術は比較的複雑であり、このため、技術のすべての変化は予測不可能である。例示的な実施の形態を参照して記載された本開示は可能な限り広いことが明らかに意図されている。例えば、特にそうでないと断られていない限り、単一の特定の要素に言及する例示的な実施の形態は、複数のそのような特定の要素をも含む。
【0029】
例示的な実施の形態は、コンピュータ又はそこに格納された機械実行可能な命令又はデータ構造を運び又は有する機械読み取り可能な媒体を含むプログラム製品を含んでいてもよい。例えば、運転者監視システムは、コンピュータによって駆動されるものであってもよい。図の方法で描かれた例示的な実施の形態は、コンピュータ又はそこに格納された機械実行可能な命令又はデータ構造を運び又は有する機械読み取り可能な媒体を含むプログラム製品によって制御されてもよい。そのようなコンピュータ又は機械読み取り可能な媒体は汎用又は特定用途のコンピュータ又はプロセッサを備える他の機械によってアクセスされ得る任意の可能な媒体であってもよい。例示の方法によって、そのようなコンピュータ又は機械読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光学的ディスク記憶装置、磁気的ディスク記憶装置、又は他の磁気的記憶装置、又は汎用又は特定用途のコンピュータ、又はプロセッサを備える他の機械によってアクセスされ得る機械読み取り可能な命令又はデータ構造の形式で所望のプログラムコードを運び又は格納するために用いられる任意の他の媒体を含み得る。上記の組合せもコンピュータ又は機械読み取り可能な媒体の範囲に含まれる。コンピュータ又は機械読み取り可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、特定用途のコンピュータ、又は特定用途の処理装置にある機能又は機能の集合を実行させることを引き起こす命令及びデータを含む。本発明のソフトウェアの実装は、ルールベースの論理又は様々な結合ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び決定ステップを達成する他の論理を備える標準的なプログラミング技術で達成され得る。
【0030】
例示的な実施の形態において示されたシステムの要素の構成及び配置は単に説明のためのものに過ぎないことに注意することも重要である。本開示において、特定の数の実施の形態だけが記載されたが、本開示に接した当該技術分野における通常の知識を有する者は、記載された主題の新たな教示及び利点から逸脱する資料なしに、多数の変形(例えば、大きさ、次元、構造、形状の変更、様々な要素の比、パラメータの値、積載の配置、材料の使用、色、方向等)が可能であることを迅速に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるものとして示された要素は、複数の部分で構成されてもよく、又は、複数の部分として示された要素は、一体的に形成されてもよく、集合の操作は、反対にされ、若しくはそれ以外に変えられてもよく、構造の長さ若しくは幅、及び/又は、システムの構成要素、コネクタ、若しくは他の要素は変えられてもよく、要素間に提供される調節又は付属の位置は変えられてもよい。システムの要素及び/又は集合は、十分な強度又は耐久性を提供する任意の多様な材料から構成されもよいことに注意されたい。従って、すべてのそのような変形が本開示の範囲内に含まれることが意図されている。任意のプロセス又は方法のステップの順序又は順番は、代替的な実施の形態に従って変えられ、又は並び替えられてもよい。本主題の精神から逸脱することなく、設計、運用条件における他の代替、変形、変更及び省略、例示的な実施の形態の整理がなされてもよい。
【0031】
[付記]
[付記1]
自動運転車両の制御モジュールの構成要素を制御するためのシステムであって、
前記車両のハンドル内に配置された電極であって、ボディエリアネットワークを介して、前記車両の乗員を通して、当該電極内の電流を代表する制御信号を伝送するように構成されている、電極と、
前記構成要素の近傍に配置されたアンテナに結合され、伝送された前記制御信号を検出し、前記乗員の付属器官と前記アンテナとの間の近接を示す検出情報に基づいて、前記構成要素に近接する前記乗員の存在の判別を行うように構成された受信器であって、前記乗員の存在の判別がコントローラに提供される、受信器と、
を備え、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記構成要素の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記構成要素を制御することを禁止し、
前記構成要素の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成されている、
システム。
【0032】
[付記2]
前記乗員は前記車両の運転者である、
付記1に記載のシステム。
【0033】
[付記3]
前記乗員は前記車両の運転者であり、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記運転者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記運転者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
付記1に記載のシステム。
【0034】
[付記4]
前記乗員は前記車両の同乗者であり、前記車両が手動運転モードにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
付記1に記載のシステム。
【0035】
[付記5]
前記乗員は前記車両の同乗者であり、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラは、前記同乗者が前記構成要素を制御することを許容する、
付記1に記載のシステム。
【0036】
[付記6]
前記電極は、離散周波数と時間位相周波数のいずれかにわたって前記乗員を通して前記制御信号を伝送する、
付記1に記載のシステム。
【0037】
[付記7]
前記受信器は、前記車両のセンターコンソールに配置されている、
付記1に記載のシステム。
【0038】
[付記8]
前記受信器は、前記車両内の端末装置に配置され、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの接触に基づいて、前記乗員が前記端末装置を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記端末装置の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記端末装置を制御することを禁止し、
前記端末装置の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
付記1に記載のシステム。
【0039】
[付記9]
前記端末装置は、携帯電話、タブレット、ウェアラブルな電気機械装置及びラップトップのうちのいずれかである、
付記8に記載のシステム。
【0040】
[付記10]
自動運転車両の制御モジュールの構成要素を制御するためのシステムであって、
前記制御モジュール内に配置された電極であって、ボディエリアネットワークを介して、前記車両の乗員を通して、当該電極内の電流を代表する制御信号を伝送するように構成されている、電極と、
前記車両のハンドル内に配置されたアンテナに結合され、前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、伝送された前記制御信号を検出するように構成され、コントローラを含む受信器であって、当該コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの間の接触に基づいて、前記乗員が前記構成要素を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記構成要素の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記構成要素を制御することを禁止し、
前記構成要素の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成された、受信器と、
を備える、システム。
【0041】
[付記11]
前記コントローラは、前記構成要素と接触している前記乗員が前記車両の運転席に着席しているか否かを示す追加情報を受け取るように構成されている、
付記10に記載のシステム。
【0042】
[付記12]
前記コントローラは、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、運転者が前記ハンドルと接触していないとき、前記コントローラが前記構成要素を制御することを許容する、
付記10に記載のシステム。
【0043】
[付記13]
前記コントローラは、前記構成要素を操作しようとしている乗員が前記車両の同乗者であることを示す情報を受け取るように構成され、前記コントローラは、前記車両が手動運転モードにあり、前記同乗者が前記ハンドルと接触していないとき、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
付記10に記載のシステム。
【0044】
[付記14]
前記乗員は、前記車両の同乗者であり、前記コントローラは、前記車両が準自動運転モードと自動運転モードのうちのいずれかにあり、前記同乗者は前記ハンドルと接触していないとき、前記同乗者が前記車両の構成要素を制御することを許容する、
付記10に記載のシステム。
【0045】
[付記15]
前記電極は、離散周波数と時間位相周波数のいずれかにわたって前記乗員を通して前記制御信号を伝送する、
付記10に記載のシステム。
【0046】
[付記16]
前記制御モジュール内に配置された前記電極は、前記車両内の端末装置を通して、前記制御モジュールの周囲にある前記電極内の電流を代表する前記制御信号を伝送するように構成され、
前記コントローラは、
前記車両の運転モード及び前記乗員と前記ハンドルとの接触に基づいて、前記乗員が前記車両内の前記端末装置を制御してもよいか否かの判別を行い、
前記判別に基づいて、前記車両が手動運転モードにあり、前記乗員が前記ハンドルと接触しているとき、前記端末装置の接触ベースの制御を無効にすることにより、前記乗員が前記端末装置を制御することを禁止し、
前記端末装置の前記接触ベースの制御が無効であることを示すプロンプトを生成する、
ように構成されている、
付記10に記載のシステム。
【0047】
[付記17]
前記端末装置は、携帯電話、タブレット、ウェアラブルな電気機械装置及びラップトップのうちのいずれかである、
付記16に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4