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特許7133593軟質ポリウレタンフォーム及び軟質ポリウレタンフォームの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】軟質ポリウレタンフォーム及び軟質ポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220901BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20220901BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20220901BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220901BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/65 011
C08G18/66 074
C08G101:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020146718
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041492
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003425
【氏名又は名称】株式会社東洋クオリティワン
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397077760
【氏名又は名称】株式会社林原
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】木下 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】松下 佳嗣
(72)【発明者】
【氏名】木南 龍太
(72)【発明者】
【氏名】石井 竜也
(72)【発明者】
【氏名】山田 純平
(72)【発明者】
【氏名】林 淳
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/040163(WO,A1)
【文献】特開2012-236988(JP,A)
【文献】特開2014-185335(JP,A)
【文献】特開2018-178099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08J 9/00-9/42
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレハロース(A)と、トレハロース(A)以外のポリオール(B)と、有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)の反応物であり、前記トレハロース(A)の含有量が、前記ポリオール(B)の含有量に基づいて1~20重量%であり、かつ、前記ポリオール(B)がオキシアルキレン基を有するポリオールを含むものであり、下記の(1)~(2)の条件を満たす軟質ポリウレタンフォーム:
(1)ポリオール(B)の水酸基価が80~160mgKOH/gである;
(2)ポリオール(B)の数平均官能基数が2.5~3.5である。
【請求項2】
前記ポリオール(B)が少なくともオキシエチレン基を含むオキシアルキレン基を有するポリオールを含み、オキシエチレン基の合計重量がポリオール(B)の合計重量に基づいて5~40重量%である、請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記混合物(H)が、更に発泡剤(E)、触媒(F)及び整泡剤(G)からなる群から選択される少なくとも1つを含有する請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
吸湿率及び放湿率が5~50%であり、反発弾性率が20%以下である請求項1~のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
イソシアネート指数が80~120である請求項1~のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法であり、
トレハロース(A)とトレハロース(A)以外のポリオール(B)との混合物(C)を得る工程と、
前記混合物(C)と有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)を得る工程と、
前記混合物(H)を反応させる工程と、
を有し、
前記混合物(H)中のトレハロース(A)の含有量が、ポリオール(B)の含有量に基づいて1~20重量%であり、前記ポリオール(B)がオキシアルキレン基を有するポリオールを含む、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームに関する。詳しくは、低反発弾性と吸湿性及び放湿性に優れた軟質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームは、家具や寝具、自動車用シートクッション、衣料用等に広く使用されている。特に寝具用の枕やマットレスには、風合いや触感の観点から低反発弾性のものが好まれている。
【0003】
軟質ポリウレタンフォームとしては、ポリエステルトリオールを含有するポリオール組成物を用いて、有機ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、及び整泡剤の存在下に反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームが知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の軟質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物では室温で優れた低反発弾性を発現しているが、フォームが独立気泡であるため、蒸れやすく快適性の観点で課題がある。
【0005】
軟質ポリウレタンフォームの蒸れを改善する方策として、ポリオール組成物の水酸基価、オキシエチレン基単位の含有量、平均官能基数を調整することで、通気性を向上している(例えば特許文献2)。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の軟質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物においても蒸れの改善には不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-185335号公報
【文献】特開2018-178099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、吸湿性及び放湿性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、トレハロース(A)と、トレハロース(A)以外のポリオール(B)と、有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)の反応物であり、下記の(1)~(2)の条件を満たす軟質ポリウレタンフォームである。
(1)ポリオール(B)の水酸基価が80~160mgKOH/gである;
(2)ポリオール(B)の数平均官能基数が2.5~3.5である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の軟質ポリウレタンフォーム及び本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法で製造された軟質ポリウレタンフォームは吸湿性及び放湿性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、トレハロース(A)と、トレハロース(A)以外のポリオール(B)と、有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)の反応物である。
【0012】
トレハロースとは、2分子のD-グルコースが1,1結合した形の非還元二糖類の一種であり、3種類の異性体(α,α-トレハロース、α,β-トレハロース、β,β-トレハロース)が存在する。本発明に用いるトレハロース(A)の種類は特に限定されず、「トレハ」[登録商標、(株)林原製]等の市販されているものを適宜用いることができる。
これらのうち、軟質ポリウレタンフォームの吸湿性及び放湿性の観点から、α,α-トレハロースを用いることが好ましい。
トレハロース(A)は、1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0013】
本発明におけるトレハロース(A)の粒度は、軟質ポリウレタンフォームの風合いの観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下が特に好ましい。
本発明におけるトレハロース(A)の粒度は、JIS Z8815に準拠して測定される。
【0014】
混合物(H)中のトレハロース(A)の含有量は、吸湿性及び放湿性と軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、後述のポリオール(B)の含有量に基づいて、好ましくは1~20重量%である。
【0015】
本発明のポリオール(B)とは、上記トレハロース(A)以外のポリオールであり、トレハロース(A)以外の多価アルコール(B1)、ポリエステルポリオール(B2)、ポリエーテルポリオール(B3)及びポリマーポリオール(B4)等が挙げられる。
ポリオール(B)は、1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0016】
トレハロース(A)以外の多価アルコール(B1)としては、炭素数2~20の2価アルコール、炭素数3~20の3価アルコール及び炭素数4~20の4~8価アルコール等が挙げられる。
【0017】
炭素数2~20の2価アルコールとしては、脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)及び脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)が挙げられる。
【0018】
炭素数3~20の3価アルコールとしては、脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)が挙げられる。
【0019】
炭素数4~20の4~8価アルコールとしては、脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)が挙げられる。
【0020】
ポリエステルポリオール(B2)としては、多価水酸基含有化合物とポリカルボン酸又はその酸無水物の縮合反応生成物[多価水酸基含有化合物とポリカルボン酸の低級アルキルエステルとのエステル交換反応生成物を含む](B21)、多価水酸基含有化合物にアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加したポリエーテルポリオールにさらにポリカルボン酸又はカルボン酸無水物を付加したエステル基含有反応生成物(B22)、ポリラクトンポリオール(B23)[例えばトレハロース(A)又は上記の多価アルコール(B1)を開始剤としてラクトン(ε-カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの]、ポリカーボネートポリオール(B24)[例えばトレハロース(A)又は上記の多価アルコール(B1)とアルキレンカーボネートとの反応物]、及びこれらの(B21)~(B24)に更にAOを付加した反応物等が挙げられる。
【0021】
ポリエステルポリオール(B2)の製造に用いる多価水酸基含有化合物としては、トレハロース(A)、上記多価アルコール(B1)及び多価アルコール(B1)以外の多価水酸基含有化合物が挙げられる。
【0022】
多価アルコール(B1)以外の多価水酸基含有化合物としては、多価フェノール(ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン及び1-ヒドロキシピレン等)、ポリブタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール、水酸基含有単量体の重合体[水酸基数が2~100のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等]、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック等)及び米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0023】
多価水酸基含有化合物としては、多価アルコール(B1)が好ましく、更に好ましくはプロピレングリコール及びグリセリンである。
【0024】
ポリエステルポリオール(B2)の製造に用いるポリカルボン酸及びその酸無水物としては、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸及びこれらの分子内で脱水縮合して生成した環状酸無水物が挙げられる。
【0025】
脂肪族ポリカルボン酸としては、コハク酸、フマル酸、セバシン酸及びアジピン酸等が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2’-ビベンジルジカルボン酸、トリメリット酸、ヘミリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレン-1,4ジカルボン酸、ナフタレン-2,3,6-トリカルボン酸、ジフェン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、2,3,6-アントラセントリカルボン酸及びピレンジカルボン酸等の炭素数8~18の芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
【0026】
ポリカルボン酸及びその酸無水物としては、耐加水分解性の観点から、芳香族ジカルボン酸及びその酸無水物が好ましく、更に好ましいのは無水フタル酸である。
【0027】
ポリカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、脂肪族ポリカルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸と炭素数1~4の脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられる。
ポリカルボン酸の低級アルキルエステルにおける炭素数1~4の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールが挙げられ、ポリカルボン酸の低級アルキルエステルの具体例としては、フタル酸ジメチルエステル及びテレフタル酸ジメチルエステル等が挙げられる。
【0028】
ポリエステルポリオール(B2)の製造に用いるAOとしては炭素数2~4のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド及び1,4-ブチレンオキサイドが挙げられ、反応性の観点から、EO及びPOが好ましく、更に好ましいのはPOである。
AOを2種以上使用する場合の付加形式としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
AOの付加モル数は、ポリエステルポリオール(B2)の粘度の観点から、多価水酸基含有化合物が有する1つの水酸基に対して、3~16モルが好ましい。
【0029】
ポリエステルポリオール(B2)の製造に用いるアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1、2-プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、1,3-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、1,3-ペンチレンカーボネート、1,4-ペンチレンカーボネート、1,5-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、2,4-ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
【0030】
これらのポリエステルポリオール(B2)のうち、フォーム硬さの観点から、エステル基含有反応生成物(B22)が好ましく、3官能のポリエーテルポリオールに芳香族ジカルボン酸無水物とPOとを付加した反応生成物がより好ましい。
【0031】
ポリエステルポリオール(B2)のエステル基濃度は、ポリエステルポリオール(B2)のハンドリングの観点から、ポリエステルポリオール(B2)の重量に基づいて0.5~10.0mmol/gが好ましく、更に好ましくは0.5~7.0mmol/gである。
なお、ポリエステルポリオール(B2)中のエステル基濃度は、ポリエステルポリオール(B2)の赤外線分光分析(IR)を測定し、エステル基に由来するピークの強度と、エステル基濃度が既知のサンプルを用いて作成したピーク強度とエステル基濃度との検量線とを用いて算出することができる。
【0032】
ポリエステルポリオール(B2)の水酸基価は、ポリオール(B)としてポリエステルポリオール(B2)のみを用いる場合は80~160mgKOH/gであり、ポリオール(B)としてポリエステルポリオール(B2)以外と併用する場合は、フォーム硬さの観点から30~300mgKOH/gが好ましい。
なお、本明細書において、ポリエステルポリオール(B2)を含むポリオール(B)の水酸基価はJIS K-1557-1に準拠して測定される。
【0033】
ポリオール(B)中のポリエステルポリオール(B2)の含有量は、ポリオール(B)の合計重量を基準として、7~65重量%が好ましい。
【0034】
ポリエーテルポリオール(B3)としては、上記多価水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物及びリン酸基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の活性水素基含有化合物のAO付加物が挙げられる。
なお、活性水素とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子等に結合した水素原子を意味し、活性水素含有化合物とは、分子内に活性水素含有官能基(水酸基、アミノ基、チオール基及びリン酸基等)を有する化合物を意味する。
【0035】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン及びアミノアルコール等が挙げられる。
具体的には、アンモニア、炭素数1~20のアルキルアミン(ブチルアミン等)、アニリン、脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等)、複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN-アミノエチルピペラジン等)、脂環式ポリアミン(ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)、ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1-シアノグアニジン等)及びジシアンジアミド等が挙げられる。
【0036】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が挙げられる。ポリチオール化合物としては、2~8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエタンジチオール及び1、6-ヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0037】
リン酸基含有化合物としてはリン酸、亜リン酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0038】
活性水素基含有化合物のうち、フォーム硬さ及び反発弾性の観点から、多価水酸基含有化合物が好ましく、多価アルコール(B1)がより好ましく、脂肪族トリオール単独並びに、脂肪族ジオール及び脂肪族トリオールの併用が更に好ましい。
【0039】
ポリエーテルポリオール(B3)のAOとしては炭素数2~6のAO、例えば、EO、PO、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド及び1,4-ブチレンオキサイドが挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましい。ポリエーテルポリオール(B3)のAOとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
AOを2種以上使用する場合の付加形式としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0040】
ポリエーテルポリオール(B3)の水酸基価は、ポリオール(B)としてポリエステルポリオール(B3)のみを用いる場合は80~160mgKOH/gであり、ポリオール(B)としてポリエステルポリオール(B3)以外と併用する場合は、フォーム硬さと反発弾性の観点から24~300mgKOH/gが好ましい。
【0041】
ポリオール(B)中のポリエーテルポリオール(B3)の含有量は、ポリオール(B)の合計重量を基準として、7~65重量%が好ましい。
【0042】
ポリマーポリオール(B4)は、エチレン性不飽和化合物を構成単量体とする重合体粒子(J)を含むポリオールである。重合体粒子(J)は、ポリエーテルポリオール(B3)中で、ラジカル重合開始剤の存在下でエチレン性不飽和化合物を重合させて得られる。
【0043】
重合体粒子(J)のエチレン性不飽和化合物の構成単量体としては、特開2016-176071号公報に記載のビニルモノマーを用いることができ、生産性の観点から、スチレン及びアクリロニトリルを含むことが好ましい。
スチレン及びアクリロニトリルを併用する場合、スチレンの重量割合は軟質ポリウレタンフォームの難燃性及びフォーム硬さの観点から、好ましくはスチレン及びアクリロニトリルの合計重量に基づいて30~80重量%である。
【0044】
ポリマーポリオール(B4)中に含まれる重合体粒子(J)の含有割合は、フォームの硬さ等の観点から、ポリマーポリオール(B4)の合計重量に基づいて20~55重量%が好ましく、更に好ましくは30~50重量%である。
なお、ポリマーポリオールに含まれる重合体粒子(J)の含有量は、下記の方法で測定される。
【0045】
<重合体粒子(J)の含有量>
遠心分離用50ml遠沈管に、ポリマーポリオール(B4)約5gを精秤し、重量(W1)とする。メタノール50gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:H-9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、5℃にて遠心分離し、ガラス製ピペットを用いて上澄み液を除去する。残留沈降物にメタノール50gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、3~4kPaで80℃×3時間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とする。次式で算出した値を、重合体粒子(J)の含有量(重量%)とする。
重合体粒子(J)の含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
【0046】
ポリオール(B)中のポリマーポリオール(B4)の含有量は、ポリオール(B)の合計重量を基準として、7~65重量%が好ましい。
【0047】
ポリオール(B)中に含まれる上記重合体粒子(J)の含有量割合は、フォームの硬さ等の観点から、上記ポリオール(B)の重量に基づいて、0~10.0重量%が好ましく、更に好ましくは1.3~4.2重量%である。ポリオール(B)中に含まれる重合体粒子(J)の含有量は、上記の重合体粒子(J)の含有量の測定方法において用いるポリマーポリオール(B4)に代えてポリオール(B)を用いることで測定される。
【0048】
本発明におけるポリオール(B)の水酸基価は、軟質ポリウレタンフォームの通気性、成形時のハンドリング(粘度)及び反発弾性の観点から、80~160mgKOH/gであり、好ましくは100~150mgKOH/gである。
またポリオール(B)が複数種のポリオールを含む場合の水酸基価は、それぞれのポリオールの水酸基価に、それぞれの重量比による含有比率を掛け算して得られた値の合計値である。なお、このポリオール(B)の重量には重合体粒子(J)の重量も含める。
ポリオール(B)の水酸基価は、それぞれのポリオールの含有量を調整することにより、この範囲に調整することができる。
【0049】
本発明におけるポリオール(B)は、吸湿性、放湿性、通気性及び反応性の観点から、少なくともオキシエチレン基を含むオキシアルキレン基を有するポリオールを含むことが好ましく、ポリオール(B)がオキシエチレン基を含むオキシアルキレン基を有するポリオールを含む場合のオキシエチレン基単位の合計重量の割合は、ポリオール(B)の合計重量に基づいて、好ましくは5~40重量%であり、更に好ましくは6~20重量%である。
ポリオール(B)のオキシエチレン基単位の合計重量は、上記(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)それぞれのポリオールのオキシエチレン基単位の重量含有率にそれぞれの重量比による含有比率を掛け算して得られた値の合計値である。このポリマーポリオール(B4)の重量には重合体粒子(J)の重量も含める。
そして、ポリオール(B)に含まれる上記(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)それぞれのポリオールの含有量を調整することにより、オキシエチレン基単位の合計重量をこの範囲に調整することができる。
ポリオール(B)は、含まれるオキシエチレン基単位の合計重量の割合が所定の範囲にあることが好ましいが、上記(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)それぞれのポリオールが有するオキシエチレン基単位の重量割合に制限はない。
上記ポリオール(B)に含まれるオキシエチレン基単位の量は、上記ポリオール(B)のH-NMRを測定し、オキシエチレン基単位に由来するシグナルの積分比から算出することができる。
【0050】
本発明におけるポリオール(B)の数平均官能基数は2.5~3.5であり、軟質ポリウレタンフォームの通気性及び耐久性の観点から、好ましくは2.5~3.3である。
数平均官能基数は、ポリオール(B)に含まれる上記(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)それぞれのポリオールの官能基数に、それぞれのモル比による含有比率を掛け算して得られた値の合計値であり、ポリオール(B)に含まれるそれぞれのポリオールの含有量を調整することにより、数平均官能基数をこの範囲に調整することができる。
上記ポリオール(B)の数平均官能基数は、上記ポリオール(B)に含まれるポリオール1分子あたりの数平均官能基数であり、上記ポリオール(B)の13C-NMRから算出することができる。
【0051】
本発明のポリオール(B)は、2種以上を用いる場合、トレハロース(A)以外の多価アルコール(B1)、ポリエステルポリオール(B2)、ポリエーテルポリオール(B3)、ポリマーポリオール(B4)を混合することにより容易に得られる。混合する際の混合方法は公知の方法を用いることができる。混合する際の混合装置は公知の混合装置(撹拌装置付き容器等)を用いることができる。また、保存安定性等の観点から、混合する際には容器内部の酸素濃度を下げておくことが好ましい。
【0052】
本発明の有機ポリイソシアネート(D)としては、軟質ポリウレタンフォームに使用される公知の有機ポリイソシアネートはすべて使用でき、芳香族ポリイソシアネート(D1)、脂肪族ポリイソシアネート(D2)、脂環式ポリイソシアネート(D3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(D4)、これらの変性物である変性ポリイソシアネート(D5)(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)等が挙げられる。
有機ポリイソシアネート(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
芳香族ポリイソシアネート(D1)としては、イソシアネート基中の炭素を除く炭素数(以下のポリイソシアネートにおいて、炭素数と記載した場合にはイソシアネート基中の炭素を除くものとする)が6~16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6~20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、粗製MDIと略記)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート及びトリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート等が挙げられる。
【0054】
脂肪族ポリイソシアネート(D2)としては、炭素数6~10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
脂環式ポリイソシアネート(D3)としては、炭素数6~16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
芳香脂肪族ポリイソシアネート(D4)としては、炭素数8~12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネート(D5)の具体例としては、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0057】
これらの有機ポリイソシアネート(D)の中で、反応性及び反発弾性の観点から、芳香族ポリイソシアネート(D1)が好ましく、更に好ましくは、TDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物、特に好ましくは、TDI、MDI及び粗製MDIである。
【0058】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、トレハロース(A)と、ポリオール(B)と、有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)の反応物である。本発明の軟質ポリウレタンフォームは、トレハロース(A)及びポリオール(B)と有機ポリイソシアネート(D)とを反応することで得られ、原料中の活性水素原子に対するイソシアネート基の割合を調整することで軟質ポリウレタンフォームの物性が調整される。
本発明の軟質ポリウレタンフォームにおいては、活性水素原子に対するイソシアネート基の割合[イソシアネート指数(インデックス)ともいう]は、反発弾性の観点から、80~120が好ましく、更に好ましくは82~98、特に好ましくは85~95である。
イソシアネート指数(インデックス)は、トレハロース(A)以外のポリオール(B)中の活性水素原子含有基の当量に対する有機ポリイソシアネート(D)中のイソシアネート基の当量の比率(%)として計算される。
【0059】
本発明における混合物(H)は、軟質ポリウレタンフォームの成形性の観点から、更に発泡剤(E)、触媒(F)及び整泡剤(G)を少なくとも1つ含有することが好ましい。
【0060】
発泡剤(E)としては、水、液化炭酸ガス及び沸点が-5~70℃の低沸点化合物等が挙げられる。
発泡剤(E)は、1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0061】
低沸点化合物としては、水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素等が挙げられる。水素原子含有ハロゲン化炭化水素及び低沸点炭化水素の具体例としては、塩化メチレン、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(HCFC-123、HCFC-141b及びHCFC-142b等);HFC(ハイドロフルオロカーボン)(HFC-134a、HFC-152a、HFC-356mff、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-245fa及びHFC-365mfc等)、ブタン、ペンタン及びシクロペンタン等が挙げられる。
【0062】
これらのうち、成形性の観点から、水、液化炭酸ガス、塩化メチレン、シクロペンタン、HCFC-141b、HFC-134a、HFC-356mff、HFC-236ea、HFC-245ca、HFC-245fa、HFC-365mfc又はこれらの2種以上の混合物を発泡剤として使用するのが好ましい。
【0063】
発泡剤(E)としての水の使用量は、フォーム密度の観点から、ポリオール(B)100重量部に対して、0.1~8.0重量部が好ましく、更に好ましくは1.5~4.0重量部である。
低沸点化合物の使用量は、成形性の観点から、ポリオール(B)100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、更に好ましくは5~25重量部である。
液化炭酸ガスは、ポリオール(B)100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、更に好ましくは1~25重量部である。
【0064】
触媒(F)としては、ウレタン化反応を促進するすべての触媒を使用できるが、成形性の観点から、3級アミン{トリエチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、N,N-ジメチルアミノエタノール、ビスジメチルアミノエチルエーテル及びN-(N’,N’,-2-ジメチルアミノエチル)モルフォリン等}及びカルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等)が挙げられる。
3級アミンの具体例としては、エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO-33LX」及び「DABCO-BL22」、カルボン酸金属塩の具体例としては、日東化成(株)製「ネオスタンU-28」(オクチル酸第一スズ)等が挙げられる。
これらの中でフォーム硬さ及び反発弾性の観点から、トリエチレンジアミン、オクチル酸第一スズ及びジラウリル酸ジブチル第二スズが好ましい。
触媒(F)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0065】
触媒(F)の使用量は、成形性の観点から、ポリオール(B)100重量部に対して、0.01~5.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.05~2.0重量部である。
【0066】
整泡剤(G)としては、軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知の整泡剤(シリコーン系整泡剤及び非シリコーン系整泡剤等)が使用でき、ダウ・東レ社製の「SZ-1959」、「SF-2904」、「SZ-1142」、「SZ-1720」、「SZ-1675t」、「SF-2936F」、「SZ-3601」、「SRX-294A」、「SH-193」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「L-540」、「L-3601」、「L-626」、エボニックデグサジャパン(株)社製「B8715LF2」等として市場から入手できるものが挙げられる。
整泡剤(G)の使用量は、成形性及び反発弾性の観点から、ポリオール(B)100重量部に対して、0.1~5.0重量部が好ましく、更に好ましくは0.4~3.0重量部である。
【0067】
本発明の混合物(H)は、更に以下に述べる助剤を含有していてもよい。
助剤としては、着色剤(染料及び顔料)、可塑剤(フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)及び酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)等の公知の補助成分が挙げられる。
【0068】
これら助剤の添加量としては、ポリオール(B)100重量部に対して、下記に記載のとおりである。
着色剤は、1重量部以下が好ましい。
可塑剤は、10重量部以下が好ましく、更に好ましくは5重量部以下である。
有機充填剤は、50重量部以下が好ましく、更に好ましくは30重量部以下である。
難燃剤は、30重量部以下が好ましく、更に好ましくは2~20重量部である。
老化防止剤は、1重量部以下が好ましく、更に好ましくは0.01~0.5重量部である。
酸化防止剤は、1重量部以下が好ましく、更に好ましくは0.01~0.5重量部である。
助剤の合計使用量は、50重量部以下が好ましく、更に好ましくは0.2~30重量部である。
助剤は、1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
【0069】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは公知の方法で製造できる。
一例を示せば、まず、トレハロース(A)及びポリオール(B)、並びに必要により発泡剤(E)、触媒(F)、整泡剤(G)及び助剤を所定量混合し、混合物(C)を得る。
次いでポリウレタンフォーム発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物(C)と有機ポリイソシアネート(D)とを急速混合し、混合物(H)を得る。
得られた混合物(H)(発泡原液)を連続発泡して軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
また、密閉型又は開放型のモールド(木材製、金属製又は樹脂製)に混合物(H)を注入し、ウレタン化反応を行い、所定時間硬化後、脱型して軟質ポリウレタンフォームを得ることもできる。
【0070】
トレハロース(A)及びポリオール(B)、並びに必要により用いる発泡剤(E)、触媒(F)、整泡剤(G)及び助剤を混合する際の混合方法に特に限定はないが、軟質ポリウレタンフォームの生産性の観点から、トレハロース(A)は、トレハロース(A)以外のポリオール(B)と混合して混合物(C)として他の原料と混合し、混合物(H)を得ることが好ましい。すなわち、軟質ポリウレタンフォームの製造方法としては、トレハロース(A)とトレハロース(A)以外のポリオール(B)との混合物(C)を得る工程を有することが好ましい。
トレハロース(A)とトレハロース(A)以外のポリオール(B)との混合物(C)を得る工程と、上記混合物(C)と有機ポリイソシアネート(D)とを含む混合物(H)を得る工程と、混合物(H)を反応させる工程と、を有する本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法もまた、本発明の一つである。
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法において、混合物(H)を得る工程と、混合物(H)を反応させる工程とは、別に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0071】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの吸湿率及び放湿率は、就寝時の快適性の観点から、5~50%が好ましく、更に好ましくは6~20%である。
【0072】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの反発弾性率は、座り心地及び寝心地の観点から、20%以下が好ましく、更に好ましくは12%以下である。
【0073】
本発明の軟質ポリウレタンフォームのコア密度は、座り心地及び寝心地、製造コストの観点から、20~100kg/mが好ましい。
【0074】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの40%ILD(硬さ)は、座り心地及び寝心地の観点から、20~100N/314cmが好ましい。
【0075】
本発明の軟質ポリウレタンフォームの通気性は、快適性の観点から、20~200cc/cm/sが好ましい。
軟質ポリウレタンフォームの吸湿率、放湿率、反発弾性率、コア密度、40%ILD及び通気性は、後述の実施例に記載の方法で測定した値である。
【0076】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、家具や寝具用枕、寝具用マットレス、自動車用シートクッション、衣料用等に使用される。
【実施例
【0077】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0078】
製造例1<ポリエステルトリオール(B2-1)の製造>
反応容器内で、でグリセリン100重量部(1モル)に対してPO1817重量部(27.7モル)を、触媒として水酸化カリウム5重量部を用いて反応温度95℃~130℃にて反応付加した後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理と濾過を行って水酸化カリウムを除去し、水酸基価が95mgKOH/gであるグリセリンのPO付加物を得た。
次いで、無水フタル酸965重量部(6モル)を加えてエステル化反応を1時間行った。更にPO373重量部を加えて付加反応を行い、ポリエステルトリオール(B2-1)を得た。ポリエステルトリオール(B2-1)は、水酸基価が56mgKOH/g、官能基数3、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%、エステル基濃度は4.0mmol/gであった。
【0079】
製造例2<ポリエーテルポリオール(B3-1)の製造>
反応容器内で、グリセリン100重量部(1モル)に対してPO713重量部(11.3モル)を、触媒として水酸化カリウム5重量部を用いて反応温度95℃~130℃にて反応付加した後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理と濾過を行って水酸化カリウムを除去し、ポリエーテルポリオール(B3-1)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-1)は、水酸基価225mgKOH/g、官能基数3、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%であるグリセリンのPO11.3モル付加物であった。
【0080】
製造例3<ポリエーテルポリオール(B3-2)の製造>
製造例2において、PO713重量部をPO3161重量部(50.1モル)に代える以外は製造例2と同様にして、ポリエーテルポリオール(B3-2)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-2)は、水酸基価56mgKOH/g、官能基数3、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%であるグリセリンのPO50.1モル付加物であった。
【0081】
製造例4<ポリエーテルポリオール(B3-3)の製造>
製造例2において、PO713重量部を、PO391重量部(6.2モル)とEO1143重量部(23.9モル)に代える以外は製造例2と同様にして、ポリエーテルポリオール(B3-3)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-3)は、水酸基価112mgKOH/gであり、官能基数3、オキシエチレン基単位の重量割合が70重量%であるグリセリンのPO6.2モル・EO23.9モルランダム付加物であった。
【0082】
製造例5<ポリエーテルポリオール(B3-4)の製造>
製造例2において、グリセリンをプロピレングリコールに、PO713重量部をPO5172重量部(67.8モル)に代える以外は製造例2と同様にして、ポリエーテルポリオール(B3-4)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-4)は、水酸基価28mgKOH/g、官能基数2、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%であるプロピレングリコールのPO67.8モル付加物であった。
【0083】
製造例6<ポリエーテルポリオール(B3-5)の製造>
製造例2において、グリセリンをプロピレングリコールに、PO713重量部をPO427重量部(5.6モル)に代える以外は製造例2と同様にして、ポリエーテルポリオール(B3-5)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-5)は、水酸基価280mgKOH/g、官能基数2、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%であるプロピレングリコールのPO5.6モル付加物であった。
【0084】
製造例7<ポリエーテルポリオール(B3-6)の製造>
製造例2において、グリセリンをペンタエリスリトールに、PO713重量部をPO369重量部(12.2モル)に代える以外は製造例2と同様にして、ポリエーテルポリオール(B3-6)を得た。ポリエーテルポリオール(B3-6)は、水酸基価250mgKOH/g、官能基数4、オキシエチレン基単位の重量割合が0重量%であるペンタエリスリトールのPO12.2モル付加物であった。
【0085】
製造例8<ポリマーポリオール(B4-1)の製造>
製造例4において、POを2940重量部(46.6モル)に、EOを220重量部(5モル)に変える以外は製造例4と同様にして、水酸基価56mgKOH/g、官能基数3であり、オキシエチレン基単位の重量割合が7重量%であるグリセリンのPO・EOランダム付加物であるポリエーテルポリオールを得た。
このポリエーテルポリオール中でスチレンとアクリロニトリル(スチレン/アクリロニトリルの重量比=70/30)を共重合させてポリマーポリオール(B4-1)を得た。得られたポリマーポリオール(重合体含量44.0%)の重合体粒子の体積平均粒子は0.5~0.7μmであった。
【0086】
<実施例1~8及び比較例1~6>
表1に示した配合処方に従って、トレハロース(A)とポリオール(B)とを混合して得た混合物(C)に、発泡剤(E)、触媒(F)及び整泡剤(G)を混合し、更に有機ポリイソシアネート(D)を混合して混合物(H)を得た。得られた混合物(H)を下記の発泡条件により発泡して、実施例1~8及び比較例1~6にかかる軟質ポリウレタンフォームを作製した。
なお、表1における各成分の数値のうち、有機ポリイソシアネート(D)を除く原料の数値は重量部を意味し、有機ポリイソシアネート(D)については、イソシアネート指数を意味し、そのイソシアネート指数に対応する量の有機ポリイソシアネート(D)を用いた。
【0087】
<発泡条件>
型サイズ : 250mm×250mm×250mm
材質 : 木材
ミキシング方法: ハンドミキシング(必要試薬を所定の容器に必要量仕込んだ後、攪拌羽を容器中に挿入し、回転数4500回転/分で6秒間攪拌させる発泡方法)
ミキシング時間: 6秒
撹拌羽回転数 : 4500回転/分
【0088】
【表1】
【0089】
なお、表1に記載した各成分はそれぞれ下記の通りである。
<トレハロース(A)>
トレハロース(A-1):(株)林原製「トレハ」粒度:840μm以下
トレハロース(A-2):(株)林原製「トレハ微粉」粒度:425μm以下
【0090】
<発泡剤(E)>
発泡剤(E-1):水
【0091】
<触媒(F)>
触媒(F-1):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO-33LX」
触媒(F-2):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO-BL22」
触媒(F-3):日東化成(株)製「ネオスタンU-28」
【0092】
<整泡剤(G)>
整泡剤(G-1):ダウ・東レ社製シリコーン整泡剤「SF-2904」
【0093】
<有機ポリイソシアネート成分(D)>
有機ポリイソシアネート(D-1):2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(混合比率:80/20)(TDI)[製品名:東ソー(株)製「コロネートT-80」(イソシアネート基含有量=48.3重量%)]
【0094】
得られた軟質ポリウレタンフォームを、温度23℃、湿度50%にて24時間静置した後、それぞれの軟質ポリウレタンフォームの吸湿率、放湿率、コア密度、40%ILD、反発弾性率、通気性及び風合いを下記測定方法に基づいて測定し、結果を表1に示した。
【0095】
<吸湿率・放湿率>
得られた軟質ポリウレタンフォームの内部を100mm×100mm×50mmに切り出して試験片とした。
23℃、50%RHの条件で3時間静置後、初期重量(Wi)を測定した試験片を、40℃、95%RHにて7時間静置後、吸湿後の試験片の重量(Wa)を測定して、下記の計算式で吸湿率を算出した。
吸湿率(%)=(Wa-Wi)/Wi×100
続いて、吸湿率測定後の試験片を23℃、50%RHにて3時間静置後、放湿後の重量(Wb)を測定し、下記の計算式で放湿率を算出した。
放湿率(%)=(Wa-Wb)/Wi×100
【0096】
<コア密度>
JIS K6400に準拠して測定した(単位はkg/m
<40%ILD>
JIS K6400に準拠して測定した(単位はN/314cm)。
<反発弾性率>
JIS K6400に準拠して測定した(単位は%)。
<通気性>
JIS K6400に準拠して測定した(単位はcc/cm/s)。
【0097】
<風合い>
得られた軟質ポリウレタンフォームの内部を100mm×100mm×50mmに切り出して試験片とし、手のひらの感触による官能評価で評価した。
◎:柔らかくなめらかな触感
〇:柔らかな触感
×:こしが強く硬い触感
【0098】
表1から明らかなように、実施例1~8の軟質ポリウレタンフォームはいずれも吸湿率と放湿率が良好であり、また、反発弾性率が低く、通気性も良好であった。
その一方、比較例1~3の軟質ポリウレタンフォームは吸湿率と放湿率が低かった。また、比較例3はフォームが硬く、風合いも悪かった。
なお、比較例4及び6は発泡後の静置中に収縮してしまい、比較例5は、一度は発泡による見掛け体積の増加はあったが直ぐに潰れてしまったため、軟質ポリウレタンフォームとしての物性測定が行えなかった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、吸湿性及び放湿性に優れるため、寝具用枕や寝具用マットレス等に好適に使用できるため極めて有用である。