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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】部品補給システムおよび部品補給方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020557060
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2018042796
(87)【国際公開番号】W WO2020105112
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-039881(JP,A)
【文献】特開2012-142519(JP,A)
【文献】特開2003-110296(JP,A)
【文献】特開2018-073966(JP,A)
【文献】特開2014-075423(JP,A)
【文献】特開2018-164018(JP,A)
【文献】特開2008-066404(JP,A)
【文献】特開2017-224721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を行う指示装置と、
前記指示装置による前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え
前記提示装置は、前記保管庫を含み、
前記保管庫は、前記前処理を行うために前記部品が出庫される複数のステージを有し、
前記保管庫は、前記前処理に応じて、前記部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前記前処理識別情報を提示するように構成されている、部品補給システム。
【請求項2】
前記提示装置は、表示装置を含み、
前記表示装置は、前記前処理識別情報を表示することにより、前記前処理識別情報を提示するように構成されている、請求項1に記載の部品補給システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記前処理の方法を示す情報、前記部品供給装置の種類を示す情報、または、前記前処理を行う際の前記部品の出庫先を示す情報を、前記前処理識別情報として表示するように構成されている、請求項2に記載の部品補給システム。
【請求項4】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を行う指示装置と、
前記指示装置による前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え、
前記前処理は、前記出庫指示が行われた前記部品の補給先である前記部品供給装置と、前記出庫指示が行われた前記部品の包装仕様とに基づいて、決定されている、部品補給システム。
【請求項5】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を行う指示装置と、
前記指示装置による前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え、
前記指示装置は、複数の前記部品が出庫される場合、配送先毎に、出庫される前記複数の部品の仕分けを行うように、仕分け指示を行うように構成されている、部品補給システム。
【請求項6】
前記部品の仕分けを行う仕分け装置をさらに備える、請求項に記載の部品補給システム。
【請求項7】
前記提示装置は、前記部品実装装置に取り付けられるべき前記部品供給装置が取り付けられていない場合、前記前処理識別情報に加えて、前記部品実装装置への前記部品供給装置の取り付けに関する情報も提示するように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の部品補給システム。
【請求項8】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を行う指示装置と、
前記指示装置による前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え、
前記前処理が行われたことを、前記前処理が行われた前記部品と関連付けて記憶可能に構成されている、部品補給システム。
【請求項9】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を行う指示装置と、
前記指示装置による前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え、
前記部品の包装材は、テープ部材であり、
前記前処理は、前記テープ部材の始端側の前記部品がない部分であるリーダ部に対する処理であ、部品補給システム。
【請求項10】
部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給方法であって、
保管庫からの前記部品の出庫指示を指示装置により行うステップと、
前記指示装置により前記出庫指示が行われた前記部品の包装材に対する前記部品供給装置への前記部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示装置により提示するステップと、を備え
前記提示装置は、前記保管庫を含み、
前記保管庫は、前記前処理を行うために前記部品が出庫される複数のステージを有し、
前記保管庫は、前記前処理に応じて、前記部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前記前処理識別情報を提示するように構成されている、部品補給方法。
【請求項11】
前記前処理識別情報を提示するステップは、前記前処理識別情報を表示装置に表示することにより、前記前処理識別情報を提示するステップを含む、請求項1に記載の部品補給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品補給システムおよび部品補給方法に関し、特に、部品の包装材に対する前処理を行うための部品補給システムおよび部品補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する部品実装装置が知られている。このような部品実装装置には、一般的に、部品を供給する部品供給装置が装着されている。部品供給装置が部品を供給し続けると、供給すべき部品が不足するため、部品供給装置に対して部品の補給が行われる。補給用の部品は、保管庫に保管されているため、作業者は、保管庫から補給用の部品を取り出して、保管庫から部品供給装置まで配送する。そして、作業者は、部品の包装材に対する前処理を行った後、補給用の部品を部品供給装置に取り付けて補給する。
【0003】
従来、このような部品の包装材に対する前処理を行う治具が知られている。このような治具は、たとえば、特開2016-36003号公報に開示されている。上記特開2016-36003号公報には、キャリアテープ(部品の包装材)に対する前処理として切断処理を行うテープ切断治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-36003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特開2016-36003号公報には明記されていないが、部品の包装材に対する前処理は、部品供給装置に応じて異なる場合がある。たとえば、部品供給装置には自動で部品のローディング動作を行うオートロード方式の部品供給装置と、オートロード方式ではない部品供給装置とがあるが、オートロード方式の部品供給装置と、オートロード方式ではない部品供給装置とでは、部品の包装材に対する前処理が異なる。また、部品供給装置がどのメーカ製であるかによっても、部品の包装材に対する前処理が異なる。
【0006】
一方、作業者は、部品の補給先である部品供給装置がどの方式であるかやどのメーカ製であるかを把握してない場合、保管庫から部品実装装置の位置まで行って、部品の補給先である部品供給装置を確認して、確認した部品供給装置に応じた前処理をその場において行う。このため、複数の部品の包装材に対する前処理を行う場合、作業者は、複数の部品供給装置間を移動しつつ複数の部品の包装材に対する前処理を行う場合がある。この場合、部品の包装材に対する前処理に要する負担が増えるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことが可能な部品補給システムおよび部品補給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による部品補給システムは、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、保管庫からの部品の出庫指示を行う指示装置と、指示装置による出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備え、提示装置は、保管庫を含み、保管庫は、前処理を行うために部品が出庫される複数のステージを有し、保管庫は、前処理に応じて、部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。なお、本願明細書では、前処理識別情報とは、前処理を提示する情報を意味し、たとえば、文字、音声、画像、位置などを含む。また、本願明細書では、前処理とは、部品の包装材に対して何もしない処理も含む広い概念である。
【0009】
この発明の第1の局面による部品補給システムでは、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫から部品実装装置の位置まで行って部品の補給先である部品供給装置を確認しなくても、部品の包装材に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置において、複数の部品の包装材に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置に、部品の包装材に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品の包装材に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、この発明の第1の局面による部品補給システムでは、提示装置は、保管庫を含み、保管庫は、前処理を行うために部品が出庫される複数のステージを有し、保管庫は、前処理に応じて、部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。このように構成すれば、出庫先であるステージを知ることにより、簡単かつ直感的に前処理の内容を認識することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品補給システムにおいて、好ましくは、提示装置は、表示装置を含み、表示装置は、前処理識別情報を表示することにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。このように構成すれば、視覚的に容易に前処理識別情報を認識することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、表示装置は、前処理の方法を示す情報、部品供給装置の種類を示す情報、または、前処理を行う際の部品の出庫先を示す情報を、前処理識別情報として表示するように構成されている。このように構成すれば、前処理の方法を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された前処理の方法により前処理の内容自体を直接的に認識することができる。また、部品供給装置の種類を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された部品供給装置の種類を知ることにより前処理の内容を間接的に認識することができる。また、前処理を行う際の部品の出庫先を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された出庫先を知ることにより前処理の内容を間接的に認識することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による部品補給システムは、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、保管庫からの部品の出庫指示を行う指示装置と、指示装置による出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備える。
この発明の第2の局面による部品補給システムでは、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫から部品実装装置の位置まで行って部品の補給先である部品供給装置を確認しなくても、部品の包装材に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置において、複数の部品の包装材に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置に、部品の包装材に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品の包装材に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、上記第の局面による部品補給システムでは、前処理は、出庫指示が行われた部品の補給先である部品供給装置と、出庫指示が行われた部品の包装仕様とに基づいて、決定されている。このように構成すれば、出庫指示が行われた部品の補給先である部品供給装置と、出庫指示が行われた部品の包装仕様とに基づいて、行うべき前処理を正確に判断して決定することができる。
【0014】
この発明の第3の局面による部品補給システムは、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、保管庫からの部品の出庫指示を行う指示装置と、指示装置による出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備える。
この発明の第3の局面による部品補給システムでは、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫から部品実装装置の位置まで行って部品の補給先である部品供給装置を確認しなくても、部品の包装材に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置において、複数の部品の包装材に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置に、部品の包装材に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品の包装材に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、上記第の局面による部品補給システムでは、指示装置は、複数の部品が出庫される場合、配送先毎に、出庫される複数の部品の仕分けを行うように、仕分け指示を行うように構成されている。このように構成すれば、配送先毎に複数の部品が仕分けされるので、部品供給装置への部品の配送を容易に行うことができる。
【0015】
この場合、好ましくは、部品の仕分けを行う仕分け装置をさらに備える。このように構成すれば、仕分け装置により部品の仕分けを自動で行うことができるので、作業者が部品の仕分けを行う場合と異なり、作業者が部品の仕分けを行う手間を省くことができる。
【0016】
上記第1~第3の局面による部品補給システムにおいて、好ましくは、提示装置は、部品実装装置に取り付けられるべき部品供給装置が取り付けられていない場合、前処理識別情報に加えて、部品実装装置への部品供給装置の取り付けに関する情報も提示するように構成されている。このように構成すれば、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるだけでなく、部品実装装置への部品供給装置の取り付けに関する情報により取り付けられるべき部品供給装置に関しても知ることができる。その結果、補給すべき部品と共に、取り付けるべき部品供給装置も準備することができるので、部品と部品供給装置との準備に要する負担を減らすことができる。
【0017】
この発明の第4の局面による部品補給システムは、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、保管庫からの部品の出庫指示を行う指示装置と、指示装置による出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備える。
この発明の第4の局面による部品補給システムでは、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫から部品実装装置の位置まで行って部品の補給先である部品供給装置を確認しなくても、部品の包装材に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置において、複数の部品の包装材に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置に、部品の包装材に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品の包装材に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、上記第の局面による部品補給システムでは、前処理が行われたことを、前処理が行われた部品と関連付けて記憶可能に構成されている。このように構成すれば、前処理後、部品実装装置へ配送中の部品の状態(前処理の有無)を把握することができるので、前処理が完了してから部品実装装置へ配送されるまでの部品の管理を容易に行うことができる。この効果は、前処理後、部品実装装置が停止した場合など、前処理が完了してから部品実装装置へ配送されるまでの期間が長い場合に、配送中の部品への前処理の有無を確認できる点で、有効である。
【0018】
この発明の第5の局面による部品補給システムは、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給システムであって、保管庫からの部品の出庫指示を行う指示装置と、指示装置による出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示する提示装置と、を備える。
この発明の第5の局面による部品補給システムでは、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫から部品実装装置の位置まで行って部品の補給先である部品供給装置を確認しなくても、部品の包装材に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置において、複数の部品の包装材に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品の保管庫の近くの位置などの定位置に、部品の包装材に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品の包装材に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、上記第の局面による部品補給システムでは、部品の包装材は、テープ部材である。このように構成すれば、多様な前処理を有する包装材がテープ部材である部品について、部品の包装材に対する前処理を予め認識することができる。
また、上記第5の局面による部品補給システムでは、前処理は、テープ部材の始端側の部品がない部分であるリーダ部に対する処理である。このように構成すれば、前処理を要する部分であるリーダ部に対する部品の包装材に対する前処理を予め認識することができる。
【0020】
この発明の第の局面による部品補給方法は、部品実装装置に装着された部品供給装置に部品を補給するための部品補給方法であって、保管庫からの部品の出庫指示を指示装置により行うステップと、指示装置により出庫指示が行われた部品の包装材に対する部品供給装置への部品の補給前の処理である前処理を識別するための前処理識別情報を提示装置により提示するステップと、を備え、提示装置は、保管庫を含み、保管庫は、前処理を行うために部品が出庫される複数のステージを有し、保管庫は、前処理に応じて、部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。
【0021】
この発明の第の局面による部品補給方法では、上記のように構成することによって、上記第1~第5の局面による部品補給システムと同様に、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことが可能な部品補給方法を提供することができる。また、上記第1の局面による部品補給システムと同様に、工場に配置される部品の包装材に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
また、この発明の第6の局面による部品補給方法では、提示装置は、保管庫を含み、保管庫は、前処理を行うために部品が出庫される複数のステージを有し、保管庫は、前処理に応じて、部品の出庫先であるステージを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。このように構成すれば、出庫先であるステージを知ることにより、簡単かつ直感的に前処理の内容を認識することができる。
【0022】
上記第の局面による部品補給方法において、好ましくは、前処理識別情報を提示するステップは、前処理識別情報を表示装置に表示することにより、前処理識別情報を提示するステップを含む。このように構成すれば、容易かつ確実に前処理識別情報を提示することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、部品の包装材に対する前処理に要する負担を減らすことが可能な部品補給システムおよび部品補給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1~第4実施形態による部品補給システムの全体構成を示した模式的な図である。
図2】(A)は、装置情報を説明するための図であり、(B)は、補給要求を説明するための図であり、(C)は、出庫指示を説明するための図である。
図3】(A)は、部品を収納したテープ部材を説明するための図であり、(B)は、部品を収納したテープ部材のリーダ部を説明するための図である。
図4】(A)は、オートロード方式の部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理前の状態のテープ部材を示した図であり、(B)は、オートロード方式の部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理後の状態のテープ部材を示した図でありであり、(C)は、オートロード方式の部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の曲げ処理後の状態のテープ部材を示した図である。
図5】(A)は、オートロード方式の部品供給装置にエンボステープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理前の状態のテープ部材を示した図であり、(B)は、オートロード方式の部品供給装置にエンボステープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理後の状態のテープ部材を示した図でありであり、(C)は、オートロード方式の部品供給装置にエンボステープであるテープ部材を取り付ける場合の曲げ処理前の状態のテープ部材を示した図であり、(D)は、オートロード方式の部品供給装置にエンボステープであるテープ部材を取り付ける場合の曲げ処理後の状態のテープ部材を示した図である。
図6】(A)は、オートロード方式ではない部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の剥離処理前の状態のテープ部材を示した図であり、(B)は、オートロード方式ではない部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の剥離処理後の状態のテープ部材を示した図でありであり、(C)は、オートロード方式ではない部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理前の状態のテープ部材を示した図であり、(D)は、オートロード方式ではない部品供給装置に紙テープであるテープ部材を取り付ける場合の切断処理後の状態のテープ部材を示した図である。
図7】第1実施形態による部品の保管庫が保管装置である場合の前処理識別情報の提示を説明するための図である。
図8】(A)は、第1実施形態による前処理識別情報の表示を説明するための図であり、(B)は、第1実施形態による前処理識別情報と部品供給装置の取り付けに関する情報との表示を説明するための図である。
図9】第1実施形態による前処理を選択するための情報を説明するための図である。
図10】第1実施形態による部品名と使用可能フィーダー(部品供給装置)の対応を示すデータを説明するための図である。
図11】第1実施形態による前処理識別情報の表示を説明するための図である。
図12】第1実施形態による部品の保管庫が保管棚である場合の前処理識別情報の提示を説明するための図である。
図13】第1実施形態による部品補給処理を説明するためのフローチャートである。
図14】第1実施形態の第1変形例による部品の保管庫が保管装置である場合の前処理識別情報の提示を説明するための図である。
図15】第1実施形態の第2変形例による部品の保管庫が保管棚である場合の前処理識別情報の提示を説明するための図である。
図16】第2実施形態による部品の保管庫が保管装置である場合の前処理識別情報の提示と、配送先毎の部品の仕分けを説明するための図である。
図17】第2実施形態による部品の保管庫が保管棚である場合の前処理識別情報の提示と、配送先毎の部品の仕分けを説明するための図である。
図18】第2実施形態による部品の保管庫が保管棚である場合の前処理識別情報の提示と、配送先毎の部品の仕分けを説明するための図である。
図19】第3実施形態による複数の部品の保管庫に対する前処理識別情報の提示と、配送先毎の部品の仕分けを説明するための図である。
図20】第4実施形態による部品の保管庫が保管装置である場合の前処理識別情報の提示と、配送先毎の部品の仕分けを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1図13を参照して、第1実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0027】
(部品実装システムの構成)
図1に示すように、部品実装システム100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板に実装(搭載)して、部品Eが実装(搭載)された基板を生産するためのシステムである。部品実装システム100は、基板生産工場に設けられている。また、部品実装システム100は、実装ライン10と、部品補給システム20とを備えている。
【0028】
(実装ラインの構成)
実装ライン10は、部品Eが実装された基板の生産を行うための装置群である。具体的には、実装ライン10は、基板ローダ10aと、印刷装置10bと、部品実装装置10cと、リフロー装置10dと、検査装置10eと、基板アンローダ10fとを備えている。基板ローダ10aと、印刷装置10bと、部品実装装置10cと、リフロー装置10dと、検査装置10eと、基板アンローダ10fとは、基板搬送方向の上流側から下流側に向かって、この順に並んで配置されている。また、各装置の間には、それぞれ、装置間において基板を搬送して受け渡す受渡コンベア(図示せず)が配置されている。受渡コンベアは、基板を基板搬送方向に搬送して、上流側の装置から下流側の装置に受け渡す。
【0029】
基板ローダ10aは、基板を印刷装置10bに供給する基板供給作業を行う。印刷装置10bは、基板ローダ10aから供給された基板に、はんだなどの接合材をスクリーン印刷する印刷作業を行う。部品実装装置10cは、印刷装置10bにより印刷作業が行われた基板に、部品Eを実装する実装作業を行う。部品実装装置10cには、部品Eを供給する複数の部品供給装置11が装着されている。リフロー装置10dは、基板に印刷された接合材を溶融させて固化させることにより、部品実装装置10cにより実装作業が行われた基板に、部品Eを接合するリフロー作業を行う。検査装置10eは、リフロー装置10dによりリフロー作業が行われた基板を検査する検査作業を行う。基板アンローダ10fは、検査装置10eにより検査作業が行われた基板を収納する基板収納作業を行う。
【0030】
なお、第1~第4実施形態では、説明の便宜上、実装ライン10が3つ設けられている例について説明する。しかしながら、実装ライン10は、1つまたは3つ以外の複数設けられていてもよい。また、第1~第4実施形態では、説明の便宜上、複数(3つ)の実装ライン10が同様の装置群により構成されている例について説明する。しかしながら、複数の実装ライン10は、互いに異なる装置群により構成されていてもよい。
【0031】
(部品補給システムの構成)
部品補給システム20は、部品実装装置10cに装着された部品供給装置11に部品Eを補給するためのシステムである。具体的には、部品補給システム20は、データ集計装置21と、指示装置22と、提示装置23とを備えている。データ集計装置21は、実装ライン10のデータを集計するためのコンピュータである。データ集計装置21は、通信部21aと、制御部21bとを含んでいる。通信部21aは、通信用のインターフェースであり、データ集計装置21と、実装ライン10の各装置および指示装置22とを通信可能に接続する。制御部21bは、CPUなどのプロセッサ、メモリなどを含んでおり、データ集計装置21の動作を制御する。
【0032】
データ集計装置21の制御部21bは、通信部21aを介して、部品実装装置10cから、部品実装装置10cの装置情報(図2(A)参照)を取得する制御を行うように構成されている。部品実装装置10cの装置情報は、装置関連情報と、部品関連情報と、部品供給装置関連情報(フィーダ関連情報)とを含んでいる。装置関連情報は、実装ライン10の情報と、装置番号(マシンNo.)の情報と、基板データの情報とを含んでいる。部品関連情報は、部品名の情報と、取付位置(セット位置)の情報と、残数の情報とを含んでいる。部品供給装置関連情報は、仕様の情報と、取付位置(セット位置)の情報と、段取り状態の情報とを含んでいる。部品供給装置11の仕様の情報は、オートロード方式、剥離巻取り方式(オートロード方式ではない方式)などの部品供給装置11のテープ処理方式の情報を含んでいる。
【0033】
尚、基板への部品Eの実装運転中、装置情報はその時点での実際の部品実装装置10cの状態を示しており、現時点でのセット位置毎の部品名、部品残数及び部品供給装置11の種類等が保存される。そして、図2(A)のような表示が、データ集計装置21のモニタにも表示されることとなる。ただし、当該部品実装装置10cが属する実装ライン10にて現行の基板への部品Eの実装運転を止め、生産する基板の品種を変更する場合には実際に装着されている部品供給装置11とは異なる表示となる。即ち、基板の品種を変更する場合、先ず基板データ名を次に生産する基板に対応するものに変更するが、基板データの変更に伴い部品関連情報の部品名及びセット位置が新たな基板データで指定されているものに変更される。また、フィーダ関連情報の供給装置及びセット位置のデータも新たな基板データで指定されているものに変更される。
【0034】
この時点でいままで装着されている部品供給装置11及びその供給する部品E(部品名)が、新たな基板データで指定されている部品供給装置11及び供給する部品E(部品名)と一致している場合には、段取り状態が「済み」とされ、部品関連情報の残数のデータもそのまま現実のデータとなる。現時点で装着されている部品供給装置11または供給する部品E(部品名)が、新たな基板データで指定されている部品供給装置11及び供給する部品E(部品名)と一致しない場合には段取り状態が「未完了」とされ、部品関連情報の残数のデータは図2(A)に示されるように「0」となる。図2(A)では、部品残数が「0/5000」と表示されているが、分子の「0」が残数を示し、分母の「5000」は予定されるリールRの満杯の場合の部品数を示す。そして、段取り状態が「未完了」のセット位置に新たな基板データで示される正しい部品供給装置11及び正しい部品名の部品Eが装着されると段取り状態が「済み」になり、残数も装着された実際の部品Eの数量が保存され表示される。基板データで指定されたすべてのセット位置で正しい部品供給装置11及び正しい部品名の部品Eが装着されると段取り状態が指定されたすべてのセット位置で「済み」となり新たな基板の生産運転が開始可能となる。新たに取り付ける部品供給装置11が間違っている場合には「済み」とはならず正しい部品供給装置11が取り付けられるまで生産運転はできない。
【0035】
図2(B)の補給要求のデータは、図2(A)の装着情報のデータと同期しており、図2(A)の装置情報のデータが変更されると、対応するデータが同期して同じ内容になるように変更される。図2(A)の装置情報の「セット位置」と、図2(B)の補給要求の「場所」が対応しており、また、図2(A)の装着情報の「段取り状態」と、図2(B)の「フィーダ段取り状態」が対応している。図2(A)の装置情報の「段取り状態」が「済み」に変更されると、図2(B)の補給要求の「フィーダ段取り状態」は「完了」となる。
【0036】
また、データ集計装置21の制御部21bは、通信部21aを介して、指示装置22に部品Eの補給要求(図2(B)参照)を送信する制御を行うように構成されている。補給要求の情報は、部品名の情報と、部品供給装置11の仕様の情報と、部品E(部品供給装置11)の取付位置の情報(場所の情報)と、部品供給装置11の段取り状態の情報とを含んでいる。
【0037】
指示装置22は、保管庫30からの部品Eの出庫指示を行うためのコンピュータである。指示装置22は、通信部22aと、制御部22bとを含んでいる。通信部22aは、通信用のインターフェースであり、指示装置22と、データ集計装置21および提示装置23とを通信可能に接続する。制御部22bは、CPUなどのプロセッサ、メモリなどを含んでおり、指示装置22の動作を制御する。
【0038】
指示装置22は、通信部22aを介して、提示装置23(保管庫30の保管装置31および携帯端末W1)に出庫指示(図2(C)参照)を送信する制御を行うように構成されている。出庫指示の情報は、部品名の情報と、前処理の情報と、部品E(部品供給装置11)の取付位置の情報(場所の情報)とを含んでいる。
【0039】
ここで、保管庫30からの部品Eの出庫から、部品実装装置10cの部品供給装置11への部品Eの補給までについて説明する。
【0040】
部品Eは、基板生産工場に設けられた保管庫30に保管されている。具体的には、部品Eは、包装材E1(図3(A)(B)参照)であるテープ部材に包装された状態で、保管庫30に保管されている。より具体的には、部品Eは、包装材E1がリールR(図3(A)参照)に巻き回された状態で、保管庫30に保管されている。リールRには、部品Eを識別するための識別情報R1が付されている。識別情報R1は、たとえば、バーコードである。また、保管庫30は、保管装置31(ストレージ)と、保管棚32とを含んでいる。保管装置31は、複数のリールR(複数の部品E)を保管可能であるとともに、保管されている部品Eを自動で出庫可能な装置である。保管装置31は、指示装置22による出庫指示に基づいて、保管されている部品Eのうちから出庫すべき部品Eを選択して、自動出庫機構(図示せず)により自動で出庫する。保管棚32は、複数のリールR(複数の部品E)を保管可能な棚であり、自動出庫機構を有していない。
【0041】
なお、出庫すべき部品Eとは、基板への部品実装運転中の部品切れあるいは部品残数減少による補充すべき部品Eである場合と、基板品種の切り替えにより装着すべき新たな部品Eの場合がある。基板品種の切り替えの場合には、新たな部品Eとともに、その新たな部品Eが装填される部品供給装置11を新たに出庫する必要がある場合もある。これらは、図2(A)の装着情報の部品Eの「残数」または「段取り状態」の情報に基づきデータ集計装置21及び指示装置22により選択・指示される。
【0042】
作業者Wは、指示装置22から携帯する携帯端末W1への出庫指示に基づいて、保管装置31または保管棚32から補給すべき部品Eを取り、補給を要する部品供給装置11まで配送する。そして、作業者Wは、補給を要する部品供給装置11に、補給すべき部品Eを取り付けて補給する。
【0043】
また、作業者Wは、部品供給装置11への部品Eの補給前に、部品Eの包装材E1に対して前処理を行う。
【0044】
図3図6を参照して、部品Eの包装材E1であるテープ部材に対する前処理について説明する。まず、図3(A)(B)を参照して、部品Eの包装材E1であるテープ部材の構成について説明する。
【0045】
図3(A)(B)に示すように、部品Eの包装材E1であるテープ部材は、部品Eを保持するキャリアテープE1aと、キャリアテープE1a上に貼付されたカバーテープE1bとを含んでいる。キャリアテープE1aは、部品Eを保持(収納)するための凹状のポケットE1cを有している。
【0046】
また、部品Eの包装材E1であるテープ部材は、新品で未使用の状態において、始端側の部品Eがない部分であるリーダ部E1dを有している。リーダ部E1dは、部品Eを保持していない空のポケットE1cを有している。なお、「JIS C 0806-3」では、リーダ部E1dは、長さ400mm以上とし、そのうち部品Eを収納していない長さ100mm以上の部分は、カバーテープE1bでシールしたテープとすることが定められているとともに、リーダ部E1dの全てが、カバーテープE1bでシールした部品Eを収納していないテープであってもよいと定められている。
【0047】
また、部品Eの包装材E1であるテープ部材には、紙製のテープである紙テープと、樹脂製のテープであるエンボステープとがある。紙テープは、図4(A)~(C)に示すように、ポケットE1cが突出することがない、扁平なテープとして形成されている。一方、エンボステープは、図5(A)~(D)に示すように、ポケットE1cがカバーテープE1b側からカバーテープE1b側とは反対側に向かって突出するようなテープとして形成されている。
【0048】
次に、図4図6を参照して、部品Eの包装材E1であるテープ部材が新品である場合における部品Eの包装材E1であるテープ部材に対する前処理について説明する。なお、部品Eの包装材E1であるテープ部材が新品である場合、リーダ部E1dに対して前処理が行われる。
【0049】
図4(A)~(C)に示す例では、オートロード方式の部品供給装置11(テープフィーダ)に補給する部品Eの紙テープであるテープ部材に対する前処理が行われている。この場合、図4(A)(B)に示すように、まず、空のポケットE1cが決められた数だけ残るように、リーダ部E1dが前処理用の工具である切断治具(図7参照)により切断される。そして、図4(C)に示すように、カバーテープE1b側に折れ曲がるように、リーダ部E1dの切断端部E1e(部品Eを有する側のテープ部材の先端部)が前処理用の工具であるクランプ治具(図7参照)に挟持される。なお、オートロード方式の部品供給装置11では、カッタ(図示せず)をリーダ部E1dの切断端部E1eから挿入することにより、カッタによりカバーテープE1bを切り開く。このため、カッタがリーダ部E1dの切断端部E1eに挿入容易になるように、リーダ部E1dの切断端部E1eが、カバーテープE1b側に折り曲げられる。
【0050】
図5(A)~(D)に示す例では、オートロード方式の部品供給装置11(テープフィーダ)に補給する部品Eのエンボステープであるテープ部材に対する前処理が行われている。この場合、図5(A)(B)に示すように、まず、空のポケットE1cが決められた数だけ残るように、リーダ部E1dが前処理用の工具である切断治具(図7参照)により切断される。そして、図5(C)(D)に示すように、キャリアテープE1aとカバーテープE1bとの間が開くように、リーダ部E1dの切断端部E1e(部品Eを有する側のテープ部材の先端部)が前処理用の工具であるクランプ治具(図7参照)に挟持される。なお、図5(C)(D)は、リーダ部E1dの切断端部E1eを切断端部E1e側から見た図である。また、オートロード方式の部品供給装置11では、上記の通り、カッタをリーダ部E1dの切断端部E1eから挿入することにより、カッタによりカバーテープE1bを切り開く。このため、カッタがリーダ部E1dの切断端部E1eに挿入容易になるように、リーダ部E1dの切断端部E1eにおいて、キャリアテープE1aとカバーテープE1bとの間が開かれる。
【0051】
図6(A)~(D)に示す例では、剥離巻取り方式の部品供給装置11(テープフィーダ)に補給する部品Eの紙テープであるテープ部材に対する前処理が行われている。この場合、図6(A)(B)に示すように、まず、部品供給装置11の巻き取りローラ(図示せず)まで届く長さになるように、リーダ部E1dのカバーテープE1bがキャリアテープE1aから剥離される。なお、剥離巻取り方式の部品供給装置11では、巻取りローラによりカバーテープE1bを引っ張って巻取ることにより、カバーテープE1bをキャリアテープE1aから剥離させる。このため、巻き取りローラまで届く長さになるように、リーダ部E1dのカバーテープE1bがキャリアテープE1aから剥離される。そして、図6(C)(D)に示すように、キャリアテープE1aが所定の長さになるように、リーダ部E1dのキャリアテープE1aが前処理用の工具である切断治具(図7参照)により切断される。なお、テープ部材がエンボステープである場合にも、テープ部材が紙テープである場合と同様の前処理が行われる。
【0052】
以上のように、部品供給装置11の仕様(オートロード方式、剥離巻取り方式など)、および、テープ部材の包装仕様(紙テープ、エンボステープなど)によって、部品Eの包装材E1に対する前処理が異なる。
【0053】
また、オートロード方式あるいは剥離巻き取り方式の部品供給装置11であってもさらに異なる種類に細分化され得るが、細分化された夫々の方式の部品供給装置11でも部品Eの包装材E1に対する前処理が異なることがあり得る。例えばオートロード方式の部品供給装置11には、カバーテープE1bをキャリアテープE1aの送り方向に切って開いて部品Eの露出を行う切り開き方式(図4および図5を参照して説明した方式)のもののみでなく、カバーテープE1bとキャリアテープE1aのポケットE1cの両側方でキャリアテープE1aの長手方向に延びる接着(溶着)部分(図5(C)(D)参照)の片側のみを剥離してカバーテープE1bを開き部品Eの露出を行う所謂片剥離方式のものもある。この片剥離方式の部品供給装置11では、切り開き方式の部品供給装置11とは異なる前処理を行うことがあり得る。
【0054】
そこで、第1実施形態では、図7図12に示すように、提示装置23は、指示装置22による出庫指示が行われた部品Eの包装材E1に対する前処理を識別するための前処理識別情報を提示するように構成されている。提示装置23は、保管庫30の保管装置31を含んでいる。また、提示装置23は、作業者Wが携帯する携帯端末W1を含んでいる。なお、前処理は、出庫指示が行われた部品Eの補給先である部品供給装置11と、出庫指示が行われた部品Eの包装仕様とに基づいて、決定されている。具体的には、前処理タイプは、データ集計装置21または指示装置22に保存されている図9の前処理選択情報(前処理選択テーブル)に基づき決定することができる。この前処理選択情報は、フィーダタイプで示される部品供給装置11の種類と部品種類で示される部品種及びそれを収納するキャリアテープE1aの種類との組み合わせにより必要な前処理タイプを指示するものである。保管庫30の保管装置31および携帯端末W1は、請求の範囲の「表示装置」の一例である。
【0055】
図7に示すように、保管庫30の保管装置31は、前処理を行うために部品Eが出庫される複数のステージ31aを有している。ステージ31aは、出庫された部品Eを搬送可能なベルトコンベアを含んでいる。保管庫30の保管装置31は、前処理を行う際の部品Eの出庫先であるステージ31aを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。具体的には、保管庫30の保管装置31は、前処理を行う際の部品Eの出庫先であるステージ31aの位置を、前処理識別情報として提示するように構成されている。保管庫30の保管装置31は、指示装置22による出庫指示に基づいて、対応する出庫先であるステージ31aに、部品Eを出庫するように構成されている。
【0056】
図7に示す例では、前処理A用のステージ31aと、前処理B用のステージ31aと、前処理C用のステージ31aとの3つのステージ31aが設けられている。前処理A~Cは、互いに異なる前処理である。前処理A用のステージ31aには、前処理Aを行う部品Eが出庫される。前処理B用のステージ31aには、前処理Bを行う部品Eが出庫される。前処理C用のステージ31aには、前処理Cを行う部品Eが出庫される。
【0057】
また、保管庫30の保管装置31には、部品Eの前処理用の治具を配置するための治具配置部31bが設けられている。治具配置部31bは、前処理に応じて複数設けられている。図7に示す例では、前処理A用の治具配置部31bと、前処理B用の治具配置部31bと、前処理C用の治具配置部31bとの3つの治具配置部31bが設けられている。前処理A用の治具配置部31bには、前処理Aを行う治具が配置される。前処理B用の治具配置部31bには、前処理Bを行う治具が配置される。前処理C用の治具配置部31bには、前処理Cを行う治具が配置される。また、治具配置部31bは、部品供給装置11を配置可能に構成されている。なお、部品供給装置11は、部品E用の保管庫30とは別の保管庫に保管されている。
【0058】
また、第1実施形態では、保管庫30の保管装置31は、情報を表示可能な表示部31cを有している。表示部31cは、たとえば液晶モニタを含んでいる。図7および図8(A)(B)に示すように、保管庫30の保管装置31は、前処理識別情報を表示部31cに表示することにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。具体的には、保管庫30の保管装置31は、前処理の方法を示す情報、または、部品供給装置11の種類を示す情報を、前処理識別情報として表示部31cに表示するように構成されている。なお、図8(A)(B)では、前処理の方法を示す情報を、前処理識別情報として表示する例を示している。
【0059】
具体的には、図8(A)では、「前処理A用ジグで部品を処理せよ」という、使用すべき前処理用の治具の種類を示す情報を、前処理の方法を示す情報として表示している。同様に、図8(B)では、「前処理C用ジグで部品を処理せよ」という、使用すべき前処理用の治具の種類を示す情報を、前処理の方法を示す情報として表示している。しかしながら、前処理の方法を示す情報としては、使用すべき前処理用の治具の種類を示す情報だけでなく、図4図6を参照して説明したような、より詳細な情報を表示してもよい。たとえば、使用すべき前処理用の治具の種類を示す情報に加えて、部品Eの包装材E1に対する切断処理を行う際の切断位置を示す情報を、前処理の方法を示す情報として表示してもよい。
【0060】
たとえば、キャリアテープE1aの先端に空のポケットE1cを2個に加えて1個の半分残した切断位置で切断処理を行う必要がある場合、図8(A)の表示に、「空のポケットが2つと半分だけ残るように、リーダ部を切断せよ」という表示をさらに加えてもよい。この際、さらに、切断処理後の処理を示す「切断端面を前処理A用のクランプ治具で挟み曲げよ」等の表示を付け加えてもよい。
【0061】
また、たとえば、キャリアテープE1aの先端に空のポケットE1cを6個に加えて1個の半分残した切断位置で切断処理を行う必要がある場合、図8(B)の表示に、「キャリアテープの先端に空ポケット6個分とさらに空ポケット半分が残るように、リーダ部のキャリアテープを切断せよ」という表示をさらに加えてもよい。この際、さらに、切断処理の前の処理を示す「巻き取りローラまで届く長さになるように、リーダ部のカバーテープをキャリアテープから剥離する」等の表示を付け加えてもよい。
【0062】
また、表示部31cがタッチパネルなどにより構成されている場合、タッチパネルである表示部31cに表示された詳細ボタン部を押すことにより、詳細な表示が表示されるようにしてもよい。たとえば、「前処理A用ジグで部品を処理せよ」という概略な表示が表示されている状態で、表示部31cに表示された詳細ボタン部を押すことにより、「空のポケットが2つと半分だけ残るように、リーダ部を切断せよ」という表示、「切断端面を前処理A用のクランプ治具で挟み曲げよ」という表示などの詳細な表示がさらに表示されてもよい。
【0063】
また、前処理の方法を示す情報は、図8(A)(B)に示すような、文字情報として表示されるだけでなく、図形情報(イラスト)として表示されてもよい。たとえば、図4(A)~(C)または図6(A)~(D)に示すような、前処理の手順を示す図形情報(イラスト)が、前処理の方法を示す情報として表示されてもよい。また、前処理の方法を示す情報は、文字情報と、図形情報との組み合わせにより表示されてもよい。また、表示部31cがタッチパネルなどにより構成されている場合、タッチパネルである表示部31cに表示された詳細ボタン部を押すことにより、詳細な表示として、前処理の手順を示す図形情報が表示されてもよい。
【0064】
また、前処理を行わない場合もあり得る。この場合には、前処理を実施しないことが、前処理の方法を示す情報として表示されてもよい。
【0065】
保管庫30の保管装置31には、部品Eを識別するための識別情報R1(図3(A)参照)を読み取る読取部31dが設けられている。読取部31dは、たとえば、バーコードリーダである。読取部31dにより識別情報R1が読み取られた場合、保管庫30の保管装置31は、識別情報R1が読み取られた部品Eの前処理識別情報を、表示部31cに表示するように構成されている。この際、保管庫30の保管装置31は、識別情報R1が読み取られた部品Eの前処理識別情報に加えて、ステージ31aの情報、部品名の情報も表示部31cに表示するように構成されている。
【0066】
テープ部材である包装材E1が巻き回されたリールRには、識別情報R1とは別に個別のリールRを識別するためのリールIDを表す識別表示が付されることが多い。この識別表示は例えばバーコードであるが、識別情報R1と異なる位置に設けてある場合もあるが、バーコードリーダの1回の読み取りで両者とも読み込めるように一体の表示としてある場合もあり得る。リールIDにより収納する部品Eの部品種は同じであっても個々のリールRが識別できるようになる。リールRにリールIDが付されている場合、読取部31dにより読み込んだ個別のリールIDを、当該リールIDが付されたリールRのテープ部材である包装材E1への前処理が終わった段階で前処理の内容等と関連付けをしてもよい。この場合、部品補給システム20は、前処理が行われたこと、および、行われた前処理の内容を、前処理が行われたテープ部材である包装材E1が巻き回されたリールRのリールIDと関連付けて記憶するように構成されている。たとえば、保管庫30の保管装置31は、前処理後に、読取部31dにより識別情報R1と同時にリールIDが読み取られた場合、リールIDが読み取られたリールRのテープ部材である包装材E1の前処理が行われたことを、データ集計装置21または指示装置22に送信する。また、たとえば、表示部31cがタッチパネルなどにより構成されている場合、タッチパネルである表示部31cに表示された前処理終了ボタンが押された場合に、保管庫30の保管装置31は、リールIDが読み取られたリールRのテープ部材である包装材E1の前処理が行われたことを、データ集計装置21または指示装置22に送信する。そして、データ集計装置21または指示装置22は、前処理が行われたこと、および、行われた前処理の内容を、前処理が行われたテープ部材である包装材E1が巻き回されているリールRのリールIDと関連付けて記憶する。
【0067】
また、前処理が行われたテープ部材である包装材E1が巻き回されているリールRのリールIDと、図2(C)の出庫指示のデータの指示番号とを関連付けて記憶しておくことが考えられる。たとえば、前処理が行われたテープ部材である包装材E1が巻き回されているリールRのリールIDと、部品処理指示(部品処理方式;出庫指示1のタイプAなど)とが関連付けて記憶される。また、たとえば、前処理が行われたテープ部材である包装材E1が巻き回されているリールRのリールIDと、場所(出庫指示1の「ライン1,マシン1,SetNo.1」など)が関連付けて記憶される。このようにしておけば、リールRを部品実装装置10cの取り付けるべき部品供給装置11に取り付けるべく作業者Wが運んでいった場合に間違えることがないようにできる。即ち、部品供給装置11に取り付ける際に取り付けようとする部品供給装置11に付された当該部品供給装置11に対応する識別表示(バーコード等)を読み取り、さらに取り付けようとするリールRの識別情報R1を読み取ることで記憶されている関連付けと同一であるかが照合され、間違っていた場合には警告することができる。この関連付けは図2(C)の出庫指示において場所のみでもよいし、部品処理指示(部品処理方式)のみでもよい。また、その処理がされるべき部品供給装置11のタイプ(オートロード方式または剥離巻取り方式など)と関連付けられてもよい。部品処理方式または部品供給装置11のタイプとの関連付けであれば部品種が同じ他の取付場所に代替で取り付ける場合が発生しても対応ができる。
【0068】
尚、リールRを部品実装装置10cの部品供給装置11に取り付ける際に部品供給装置11に付された識別表示を読み取ることで当該部品供給装置11の取り付ける場所(SetNo)が識別できるよう、取り付ける場所と個別の部品供給装置11の識別表示との関連付けができていることが前提である。または、部品供給装置11の識別表示とその部品供給装置11に対する部品処理指示(部品処理方式)との関連付け、もしくは、部品供給装置11の識別表示と部品供給装置11のタイプ(オートロード方式または剥離巻取り方式)との関連付けがされていることが必要である。
【0069】
また、前処理が終了した後のリールRを作業者Wによらずにロボットが自動的に取り付けるべき部品供給装置11に取り付ける場合であれば前処理が終了した個別のリールIDと取り付けるべき部品供給装置11の場所(SetNo)を関連付けて記憶しておきロボットがその関連付けに基づきリールRの部品供給装置11への取付をすることが考えられる。
【0070】
また、第1実施形態では、図8(B)に示すように、保管庫30の保管装置31は、部品実装装置10cに取り付けられるべき部品供給装置11が取り付けられていない場合、前処理識別情報に加えて、部品実装装置10cへの部品供給装置11の取り付けに関する情報も提示するように構成されている。具体的には、保管庫30の保管装置31は、前処理識別情報と部品供給装置11の取り付けに関する情報とを表示部31cに表示することにより、前処理識別情報と部品供給装置11の取り付けに関する情報とを提示するように構成されている。
【0071】
尚、「部品実装装置10cに取り付けられるべき部品供給装置11が取り付けられていない場合」とは、「部品供給装置11を装着すべきセット位置にいずれの部品供給装置11も取り付けられていない場合」、「出庫される部品Eに対応していない部品供給装置11が取り付けられている場合」、「出庫される部品Eの包装材E1に対応していない部品供給装置11が取り付けられている場合」等がある。部品Eを収納するために複数の形態の包装材E1(テープ部材)が用意されていることがあるが、いずれの包装材E1を用いても部品Eを供給することができない部品供給装置11は部品Eに対応していないと言える。例えば、テープ幅が8mmでは入りきらない大きな部品Eは適用テープ幅が12mmや16mmといった幅広テープ用の部品供給装置11でなければ対応できない。また、同一種類の部品Eに対して紙テープやエンボステープ等複数形態の包装材E1(テープ部材)が用意されているが、紙テープのみしか供給できない部品供給装置11は出庫される部品Eがエンボステープに収納されているならば「部品Eの包装材E1に対応していない」と言える。
【0072】
図10は、基板の品種毎に部品実装のプログラムが格納された基板データに含まれる部品名と使用可能フィーダ(部品供給装置11)の対応を示すデータを例示したものである。この中の「部品3」の場合のように基板データにてタイプCにしか対応しない部品Eが設定してある場合には、タイプC以外の部品供給装置11が当該セット位置に装着されている場合には出庫される部品Eの包装材E1に対応しない部品供給装置11が取り付けられていることとなる。このようなことは基板データの切り替え前の基板品種用の部品供給装置11が基板品種切り替え後の部品供給装置11と異なる場合に起こり得る。
【0073】
図10の基板データの例では、「部品1」及び「部品2」では使用可能フィーダが2種類ある。これは例えば、包装材E1が同じ部品Eをオートロード方式の部品供給装置11でも剥離巻取り方式の部品供給装置11でも供給可能な場合である。このような場合では、使用可能フィーダの欄のいずれの方式の部品供給装置11が取り付けられても図2の装置情報のフィーダ関連情報の段取り情報は「済み」となる。その後は取り付けた部品供給装置11の方式に従って、図9の前処理選択情報により前処理タイプが選択される。さらには、基板データには、使用可能フィーダの欄に複数種類の方式が可能とされていても、例えば、あらかじめデータ集計装置21等で複数方式のうちいずれかの方式を選択することにより、図2のフィーダ関連情報の供給装置の欄のデータを1つのみにすることもできる。このようにすれば計画的に部本供給装置11の方式を決めて、それ以外の部品供給装置11が取り付けられないようにできる。
【0074】
また、使用可能フィーダの欄に複数種類の方式が可能とされている場合、図11に示すように、あらかじめデータ集計装置21で選択するのではなく、たとえば保管庫30の保管装置31の表示部31cに、使用可能な部品供給装置11のうちいずれの部品供給装置11を使用するかを選択するための情報を表示してもよい。この場合、作業者Wが使用する部品供給装置11を選択することができる。また、使用する部品供給装置11を選択するための情報を表示する場合、選択された部品供給装置11に対応する前処理識別情報をさらに表示してもよい。図11では、前処理識別情報として、「タイプBを選択した場合、前処理Bを行うこと」、および、「タイプCを選択した場合、前処理Cを行うこと」という情報が表示されている。
【0075】
図7および図8(A)(B)に示す例では、まず、指示装置22による出庫指示に基づいて、保管庫30の保管装置31のステージ31aに補給すべき部品Eが出庫される。この際、前処理に応じて、出庫すべきステージ31aに部品Eが出庫される。そして、作業者Wは、部品Eが配置されたステージ31aの位置に基づいて、前処理を識別する。あるいは、作業者Wは、読取部31dにより識別情報R1を読み取ることにより、部品Eの前処理識別情報を表示部31cに表示させて、表示部31cに表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、前処理を識別すると、作業者Wは、治具配置部31bに配置された治具を用いて、ステージ31aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを部品Eの補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0076】
図12に示すように、携帯端末W1は、情報を表示可能な表示部W1aを有している。表示部W1aは、たとえば液晶モニタを含んでいる。携帯端末W1は、前処理識別情報を表示部W1aに表示することにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。具体的には、携帯端末W1は、前処理の方法を示す情報、部品供給装置11の種類を示す情報、または、前処理を行う際の部品Eの出庫先(後述する仕分け箱32b)を示す情報を、前処理識別情報として表示部W1aに表示するように構成されている。表示部W1aには、たとえば、図8(A)(B)に示すような情報が表示される。このため、携帯端末W1は、部品実装装置10cに取り付けられるべき部品供給装置11が取り付けられていない場合、前処理識別情報に加えて、部品実装装置10cへの部品供給装置11の取り付けに関する情報も提示するように構成されている。また、この場合にも、リールIDを前処理が終わった段階で前処理の内容や、出庫指示のデータの指示番号等と関連付けをしてもよい。
【0077】
図12に示す例では、まず、作業者Wは、指示装置22による出庫指示に基づいて、保管庫30の保管棚32から補給すべき部品Eを出庫する。そして、作業者Wは、部品Eの前処理用の治具を配置するための治具配置部32aに部品Eを配送する。治具配置部32aには、前処理に応じた治具が配置されているとともに、前処理に応じて部品Eを仕分けするための仕分け箱32bが配置されている。また、治具配置部32aは、保管庫30の保管棚32の近くに設けられている。治具配置部32aに部品Eを配送すると、作業者Wは、携帯端末W1の表示部W1aに表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、作業者Wは、識別した前処理に応じて、対応する仕分け箱32bに部品Eを仕分ける。そして、作業者Wは、治具配置部32aに配置された治具を用いて、治具配置部32aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを部品Eの補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0078】
次に、図13を参照して、第1実施形態の部品補給処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0079】
図13に示すように、まず、ステップS1において、データ集計装置21による装置情報の取得が行われる。
【0080】
そして、ステップS2において、データ集計装置21による部品Eの補給を行うか否かの判断が行われる。部品Eの補給を行わないと判断された場合、ステップS8に進む。また、部品Eの補給を行うと判断された場合、データ集計装置21から指示装置22への補給要求の送信が行われて、ステップS3に進む。
【0081】
そして、ステップS3において、指示装置22による出庫指示が行われる。これにより、保管庫30の保管装置31または携帯端末W1により、作業者Wに前処理識別情報が提示される。
【0082】
そして、ステップS4において、作業者Wによる部品Eの包装材E1に対する前処理が行われる。
【0083】
そして、ステップS5において、作業者Wによる部品Eの配送先毎の仕分けが行われる。なお、ステップS4の処理と、ステップS5の処理とは、いずれの処理が先に行われてもよい。
【0084】
そして、ステップS6において、作業者Wによる配送先への部品Eの配送が行われる。
【0085】
そして、ステップS7において、作業者Wによる配送先における部品Eのセット(取付)が行われる。
【0086】
そして、ステップS8において、実装ライン10による基板の生産が行われる。そして、部品補給処理が終了される。
【0087】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
第1実施形態では、上記のように、前処理識別情報を提示することによって、前処理識別情報により補給する部品Eの包装材E1に対する前処理を予め認識することができるので、保管庫30から部品実装装置10cの位置まで行って部品Eの補給先である部品供給装置11を確認しなくても、部品Eの包装材E1に対する前処理を行うことができる。その結果、たとえば部品Eの保管庫30の近くの位置などの定位置において、複数の部品Eの包装材E1に対する前処理をまとめて行うことができるので、部品Eの包装材E1に対する前処理に要する負担を減らすことができる。また、この場合、たとえば部品Eの保管庫30の近くの位置などの定位置に、部品Eの包装材E1に対する前処理に必要な工具(いわゆる「治具」)を配置しておけばよいので、実装ライン毎に部品Eの包装材E1に対する前処理に必要な工具を配置する必要がない。その結果、工場に配置される部品Eの包装材E1に対する前処理に必要な工具の数を減らすことができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、提示装置23を、表示装置である保管庫30の保管装置31および携帯端末W1を含むように構成する。また、保管庫30の保管装置31および携帯端末W1としての表示装置を、前処理識別情報を表示することにより、前処理識別情報を提示するように構成する。これにより、視覚的に容易に前処理識別情報を認識することができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、保管庫30の保管装置31および携帯端末W1としての表示装置を、前処理の方法を示す情報、部品供給装置11の種類を示す情報、または、前処理を行う際の部品Eの出庫先を示す情報を、前処理識別情報として表示するように構成する。これにより、前処理の方法を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された前処理の方法により前処理の内容自体を直接的に認識することができる。また、部品供給装置11の種類を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された部品供給装置11の種類を知ることにより前処理の内容を間接的に認識することができる。また、前処理を行う際の部品Eの出庫先を示す情報を前処理識別情報として表示する場合、表示された出庫先を知ることにより前処理の内容を間接的に認識することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、提示装置23を、保管庫30の保管装置31を含むように構成する。また、保管庫30の保管装置31を、前処理を行うために部品Eが出庫される複数のステージ31aを有するように構成する。また、保管庫30の保管装置31を、前処理に応じて、部品Eの出庫先であるステージ31aを異ならせることにより、前処理識別情報を提示するように構成する。これにより、出庫先であるステージ31aを知ることにより、簡単かつ直感的に前処理の内容を認識することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、前処理は、出庫指示が行われた部品Eの補給先である部品供給装置11と、出庫指示が行われた部品Eの包装仕様とに基づいて、決定されている。これにより、出庫指示が行われた部品Eの補給先である部品供給装置11と、出庫指示が行われた部品Eの包装仕様とに基づいて、行うべき前処理を正確に判断して決定することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、提示装置23を、部品実装装置10cに取り付けられるべき部品供給装置11が取り付けられていない場合、前処理識別情報に加えて、部品実装装置10cへの部品供給装置11の取り付けに関する情報も提示するように構成する。これにより、前処理識別情報により補給する部品Eの包装材E1に対する前処理を予め認識することができるだけでなく、部品実装装置10cへの部品供給装置11の取り付けに関する情報により取り付けられるべき部品供給装置11に関しても知ることができる。その結果、補給すべき部品Eと共に、取り付けるべき部品供給装置11も準備することができるので、部品Eと部品供給装置11との準備に要する負担を減らすことができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、部品補給システム20を、前処理が行われたことを、前処理が行われた部品Eと関連付けて記憶可能に構成する。これにより、前処理後、部品実装装置10cへ配送中の部品Eの状態(前処理の有無)を把握することができるので、前処理が完了してから部品実装装置10cへ配送されるまでの部品Eの管理を容易に行うことができる。この効果は、前処理後、部品実装装置10cが停止した場合など、前処理が完了してから部品実装装置10cへ配送されるまでの期間が長い場合に、配送中の部品Eへの前処理の有無を確認できる点で、有効である。
【0095】
また、第1実施形態では、上記のように、部品Eの包装材E1を、テープ部材であるように構成する。これにより、多様な前処理を有する包装材E1がテープ部材である部品Eについて、部品Eの包装材E1に対する前処理を予め認識することができる。
【0096】
また、第1実施形態では、上記のように、前処理は、テープ部材の始端側の部品Eがない部分であるリーダ部E1dに対する処理である。これにより、前処理を要する部分であるリーダ部E1dに対する部品Eの包装材E1に対する前処理を予め認識することができる。
【0097】
[第1実施形態の第1変形例]
次に、図14を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例では、保管庫の保管装置が複数のステージを有している上記第1実施形態とは異なり、保管庫の保管装置が1つのステージのみを有している例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0098】
本発明の第1実施形態の第1変形例による保管庫40の保管装置41は、図14に示すように、1つのステージ41aのみを備えている。
【0099】
ステージ41aは、前処理を行うために部品Eが出庫されるステージである。ステージ41aは、出庫された部品Eを搬送可能なベルトコンベアを含んでいる。ステージ41aには、情報を表示可能な表示部41bが設けられている。表示部41bは、たとえば液晶モニタを含んでいる。
【0100】
保管庫40の保管装置41は、前処理識別情報を表示部41bに表示することにより、前処理識別情報を提示するように構成されている。具体的には、保管庫40の保管装置41は、前処理の方法を示す情報、または、部品供給装置11の種類を示す情報を、前処理識別情報として表示部41bに表示するように構成されている。表示部41bには、たとえば、図8(A)(B)に示すような情報が表示される。また、保管庫40の保管装置41は、読取部31dにより識別情報R1が読み取られた場合、識別情報R1が読み取られた部品Eの前処理識別情報を、表示部41bに表示するように構成されている。
【0101】
図14に示す例では、まず、指示装置22による出庫指示に基づいて、保管庫40の保管装置41のステージ41aに補給すべき部品Eが出庫される。そして、作業者Wは、読取部31dにより識別情報R1を読み取ることにより、部品Eの前処理識別情報を表示部41bに表示させて、表示部41bに表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、前処理を識別すると、作業者Wは、治具を用いて、ステージ41aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを部品Eの補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0102】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
[第1実施形態の第2変形例]
次に、図15を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第1実施形態の第2変形例では、治具配置部に提示装置が設けられていない上記第1実施形態とは異なり、治具配置部に提示装置が設けられている例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0104】
本発明の第1実施形態の第2変形例による治具配置部32aには、図15に示すように、提示装置23である表示装置50が設けられている。表示装置50は、情報を表示可能に構成されている。表示装置50は、たとえば液晶モニタを含んでいる。また、表示装置50には、部品Eを識別するための識別情報R1(図3(A)参照)を読み取る読取部51が設けられている。読取部51は、たとえば、バーコードリーダである。読取部51により識別情報R1が読み取られた場合、表示装置50は、識別情報R1が読み取られた部品Eの前処理識別情報を、表示するように構成されている。表示装置50には、たとえば、図8(A)(B)に示すような情報が表示される。
【0105】
図15に示す例では、まず、作業者Wは、指示装置22による出庫指示に基づいて、保管庫30の保管棚32から補給すべき部品Eを出庫する。そして、部品Eの前処理用の治具を配置するための治具配置部32aに部品Eを配送する。治具配置部32aに部品Eを配送すると、作業者Wは、読取部51により識別情報R1を読み取ることにより、部品Eの前処理識別情報を表示装置50に表示させて、表示装置50に表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、作業者Wは、治具配置部32aに配置された治具を用いて、治具配置部32aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを部品Eの補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0106】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0107】
[第2実施形態]
次に、図1および図16図18を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態に加えて、配送先毎に部品の仕分けを行う例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0108】
(部品実装システムの構成)
本発明の第2実施形態による部品実装システム200は、図1に示すように、部品補給システム120を備える点で、上記第1実施形態による部品実装システム100と相違する。また、部品補給システム120は、図1および図16に示すように、指示装置122と、仕分け装置124とを備える点で、上記第1実施形態による部品補給システム20と相違する。また、指示装置122は、制御部122bを含む点で、上記第1実施形態による指示装置22と相違する。
【0109】
第2実施形態では、図16に示すように、指示装置122の制御部122bは、複数の部品Eが出庫される場合、配送先毎に、出庫される複数の部品Eの仕分けを行うように、仕分け指示を行うように構成されている。配送先毎の部品Eの仕分けとは、たとえば、実装ライン10毎の部品Eの仕分け、配送順毎の部品Eの仕分けなどである。指示装置122の制御部122bは、通信部22aを介して、仕分け装置124および携帯端末W1に仕分け指示を送信する制御を行うように構成されている。
【0110】
仕分け装置124は、部品Eの仕分けを自動で行う装置である。仕分け装置124は、保管庫30の保管装置31のステージ31aから部品Eを受け取り可能なように設けられている。仕分け装置124は、保管庫30の保管装置31のステージ31aから受け取った部品Eを、配送先毎に仕分けるように構成されている。具体的には、仕分け装置124は、読取部124aと、仕分け部124bと、ステージ124cとを含んでいる。読取部124aは、部品Eを識別するための識別情報R1(図3(A)参照)を読み取るために設けられている。読取部124aは、たとえば、バーコードリーダである。読取部124aは、仕分け部124bにより仕分けされる前の部品Eの識別情報R1を読み取るように設けられている。
【0111】
仕分け部124bは、部品Eを配送先毎に仕分けるために設けられている。仕分け部124bは、駆動機構部124dと、昇降ステージ124eとを有している。駆動機構部124dは、昇降ステージ124eを昇降させるように構成されている。駆動機構部124dは、モータと、ボールねじ軸とを含んだボールねじ軸機構部である。昇降ステージ124eは、保管庫30の保管装置31のステージ31aから部品Eを受け取り可能に構成されている。また、昇降ステージ124eは、部品Eを受け取った状態で、駆動機構部124dにより昇降されるように構成されている。また、昇降ステージ124eは、受け取った部品Eをステージ124cに受け渡し可能に構成されている。ステージ124cは、受け渡しされた部品Eを搬送可能なベルトコンベアを含んでいる。ステージ124cは、配送先に応じて複数設けられている。
【0112】
仕分け装置124は、ステージ124cを異ならせることにより、配送先毎の部品Eの仕分けを行うように構成されている。仕分け装置124は、指示装置122による仕分け指示に基づいて、対応するステージ124cに、部品Eを仕分けるように構成されている。具体的には、仕分け装置124は、読取部124aにより読み取った部品Eの識別情報R1と、指示装置122による仕分け指示の補給先情報とに基づいて、仕分け後の配置箇所であるステージ124cを決定する制御を行うように構成されている。また、仕分け装置124は、決定されたステージ124cに部品Eを仕分けるように、仕分け部124bの昇降ステージ124eを駆動する制御を行うように構成されている。
【0113】
図16に示す例では、配送先1用のステージ124cと、配送先2用のステージ124cと、配送先3用のステージ124cとの3つのステージ124cが設けられている。配送先1~3は、互いに異なる配送先であり、たとえば、3つの実装ライン10のそれぞれである。配送先1用のステージ124cには、配送先1に配送される部品Eが配置される。配送先2用のステージ124cには、配送先1に配送される部品Eが配置される。配送先3用のステージ124cには、配送先3に配送される部品Eが配置される。
【0114】
また、詳細な説明は省略するが、図16に示す例では、まず、作業者Wは、上記第1実施形態と同様に、ステージ31aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを仕分け装置124に受け渡す。そして、仕分け装置124により部品Eが配送先毎に仕分けられる。そして、作業者Wは、配送先毎に仕分けられた部品Eを、補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0115】
図17および図18に示すように、携帯端末W1は、指示装置122による仕分け指示の補給先情報を表示するように構成されている。作業者Wは、補給先情報に基づいて、配送先毎に、部品Eの仕分けを行うことが可能である。
【0116】
図17に示す例では、まず、作業者Wは、指示装置122による仕分け指示の補給先情報に基づいて、配送先毎に仕分けされるように、保管庫30の保管棚32から補給すべき部品Eを出庫する。たとえば、作業者Wは、配送先単位で部品Eを1つの箱により運ぶように、部品Eを出庫する。そして、作業者Wは、部品Eの前処理用の治具を配置するための治具配置部32aに部品Eを配送する。そして、詳細な説明は省略するが、作業者Wは、上記第1実施形態の第2変形例と同様に、治具配置部32aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理が行われた部品Eを、配送先単位にまとめた後、補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0117】
図18に示す例では、詳細な説明は省略するが、まず、作業者Wは、上記第1実施形態と同様に、治具配置部32aを作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、指示装置122による仕分け指示の補給先情報に基づいて、配送先毎に仕分ける。たとえば、作業者Wは、配送先単位で部品Eを1つの箱により運ぶように、部品Eを仕分ける。そして、作業者Wは、前処理が行われた部品Eを配送先単位に仕分けた状態で、補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0118】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0119】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0120】
第2実施形態では、上記のように、指示装置122を、複数の部品Eが出庫される場合、配送先毎に、出庫される複数の部品Eの仕分けを行うように、仕分け指示を行うように構成する。これにより、配送先毎に複数の部品Eが仕分けされるので、部品供給装置11への部品Eの配送を容易に行うことができる。
【0121】
また、第2実施形態では、上記のように、部品補給システム120を、部品Eの仕分けを行う仕分け装置124を備えるように構成する。これにより、仕分け装置124により部品Eの仕分けを自動で行うことができるので、作業者Wが部品Eの仕分けを行う場合と異なり、作業者Wが部品Eの仕分けを行う手間を省くことができる。
【0122】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0123】
[第3実施形態]
次に、図1および図19を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、複数の保管庫に対して1つの仕分け装置が設けられている例について説明する。なお、上記第2実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0124】
(部品実装システムの構成)
本発明の第3実施形態による部品実装システム300は、図1に示すように、部品補給システム220を備える点で、上記第2実施形態による部品実装システム200と相違する。また、部品補給システム220は、図19に示すように、仕分け装置224と、ステージ225とを備える点で、上記第2実施形態による部品補給システム120と相違する。
【0125】
第3実施形態では、図19に示すように、複数の保管庫30(保管装置31および保管棚32)に対して、1つのステージ225と、1つの仕分け装置224とが設けられている。ステージ225は、前処理を行うための作業台である。ステージ225は、部品Eを搬送可能なベルトコンベアを含んでいる。提示装置23である表示装置250が設けられている。表示装置250は、情報を表示可能に構成されている。表示装置250は、たとえば液晶モニタを含んでいる。また、表示装置250には、部品Eを識別するための識別情報R1(図3(A)参照)を読み取る読取部251が設けられている。読取部251は、たとえば、バーコードリーダである。読取部251により識別情報R1が読み取られた場合、表示装置250は、識別情報R1が読み取られた部品Eの前処理識別情報を、表示するように構成されている。表示装置250には、たとえば、図8(A)(B)に示すような情報が表示される。仕分け装置224は、ステージ225から部品Eを受け取り可能なように設けられている点を除き、上記第2実施形態の仕分け装置124と同様の構成である。
【0126】
図19に示す例では、まず、作業者Wは、指示装置122による出庫指示に基づいて、保管庫30の保管装置31および保管棚32から補給すべき部品Eを出庫する。そして、ステージ225に部品Eを配送する。ステージ225に部品Eを配送すると、作業者Wは、読取部251により識別情報R1を読み取ることにより、部品Eの前処理識別情報を表示装置250に表示させて、表示装置250に表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、作業者Wは、治具を用いて、ステージ225を作業台として前処理を行う。そして、作業者Wは、前処理を行った部品Eを仕分け装置224に受け渡す。そして、仕分け装置224により部品Eが配送先毎に仕分けられる。そして、作業者Wは、配送先毎に仕分けられた部品Eを、補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0127】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0128】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0129】
第3実施形態では、上記のように、複数の保管庫30(保管装置31および保管棚32)に対して、1つのステージ225と、1つの仕分け装置224とを設ける。これにより、前処理を行う場所(ステージ225)と、仕分け装置224との数を減らすことができるので、前処理を行う場所(ステージ225)と、仕分け装置224とを向上に容易に設けることができる。
【0130】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0131】
[第4実施形態]
次に、図1および図20を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、仕分け装置の代わりに仕分け補助装置が設けられている例について説明する。なお、上記第2実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0132】
(部品実装システムの構成)
本発明の第4実施形態による部品実装システム400は、図1に示すように、部品補給システム320を備える点で、上記第2実施形態による部品実装システム200と相違する。また、部品補給システム320は、図20に示すように、仕分け補助装置326を備える点で、上記第2実施形態による部品補給システム120と相違する。なお、保管庫の保管装置は、上記第1実施形態の第1変形例の保管庫40の保管装置41の構成を有している。
【0133】
第4実施形態では、図20に示すように、仕分け補助装置326は、部品Eの配送先を示す情報を提示することにより、配送先毎の部品Eの仕分けを補助する装置である。仕分け補助装置326は、ランプ部326aと、ランプ制御部326bとを含んでいる。ランプ部326aは、点灯および消灯可能に構成されている。ランプ部326aは、配送先に応じて複数設けられている。また、ランプ部326aの前方には、配送先に応じて部品Eを仕分けするための仕分け箱326cが配置されている。ランプ制御部326bは、CPUなどのプロセッサ、メモリなどを含んでおり、ランプ部326aの点灯および消灯を制御する。
【0134】
仕分け補助装置326のランプ制御部326bは、指示装置122による仕分け指示に基づいて、対応するランプ部326aを点灯させることにより、配送先毎の部品Eの仕分けを補助する制御を行うように構成されている。具体的には、仕分け補助装置326のランプ制御部326bは、保管庫40の保管装置41の読取部31dにより読み取られた部品Eの識別情報R1と指示装置122による仕分け指示の補給先情報とに基づいて、点灯させるランプ部326aを決定し、点灯させる制御を行うように構成されている。
【0135】
図20に示す例では、まず、指示装置122による出庫指示に基づいて、保管庫40の保管装置41のステージ41aに補給すべき部品Eが出庫される。そして、作業者Wは、読取部31dにより識別情報R1を読み取ることにより、部品Eの前処理識別情報を表示部41bに表示させて、表示部41bに表示させた前処理識別情報(文字)に基づいて、前処理を識別する。そして、前処理を識別すると、作業者Wは、治具を用いて、ステージ41aを作業台として前処理を行う。また、読取部31dにより読み取った識別情報R1に基づいて、対応するランプ部326aが点灯される。そして、作業者Wは、点灯したランプ部326aの前方の仕分け箱326cに、前処理を行った部品Eを仕分ける。作業者Wは、出庫すべき部品Eの分だけ、これらの作業を行う。そして、作業者Wは、前処理を行いかつ配送先毎に仕分けられた部品Eを、部品Eの補給を要する部品供給装置11に配送する。
【0136】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0137】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0138】
第4実施形態では、上記のように、部品補給システム320を、部品Eの配送先を示す情報を提示することにより、配送先毎の部品Eの仕分けを補助する仕分け補助装置326を備えるように構成する。これにより、作業者Wが仕分けを行う場合にも、仕分け補助装置326により仕分け作業を容易に行うことができるので、仕分け作業に要する負担を減らすことができる。
【0139】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0140】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0141】
たとえば、本発明では、上記第1~第4実施形態に記載された構成のうち、互いに適用可能な構成同士を組み合わせてもよい。
【0142】
また、上記第1~第4実施形態では、作業者が、部品の包装材に対する前処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の包装材に対する前処理を行う自動前処理装置が、部品の包装材に対する前処理を行ってもよい。この場合、保管庫の保管装置が、自動前処理装置であってもよい。
【0143】
また、上記第1~第4実施形態では、作業者が、部品供給装置への部品の配送を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給装置への部品の配送を行う自動配送装置が、部品供給装置への部品の配送を行ってもよい。この場合、AGV(Automatic Guided Vehicle)が、自動配送装置であってもよい。
【0144】
また、上記第1~第4実施形態では、部品の包装材が、テープ部材である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品の包装材が、テープ部材以外であってもよい。たとえば、部品の包装材が、トレイ部品を保持するトレイであってもよい。
【0145】
また、上記第1~第4実施形態では、前処理が、部品の包装材であるテープ部材のリーダ部に対する前処理である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、前処理が、部品の包装材であるテープ部材のリーダ部に対する前処理以外の前処理であってもよい。
【0146】
また、上記第1~第4実施形態では、データ集計装置と、指示装置とが互いに独立して設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、データ集計装置と、指示装置とが一体的に設けられていてもよい。
【0147】
また、上記第1~第4実施形態では、提示装置が、前処理識別情報に加えて、部品供給装置の取り付けに関する情報も提示するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、提示装置が、必ずしも部品供給装置の取り付けに関する情報を提示するように構成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0148】
10c 部品実装装置
11 部品供給装置
20、120、220、320 部品補給システム
22、122 指示装置
23 提示装置
30、40 保管庫(提示装置)
31、41 保管装置(提示装置、表示装置)
31a ステージ
50、250 表示装置
124、224 仕分け装置
E 部品
E1 包装材
E1d リーダ部
W1 携帯端末(提示装置、表示装置)
図1
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図20