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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】鉄道車両の構体
(51)【国際特許分類】
   B61F 1/10 20060101AFI20220901BHJP
   B61D 15/06 20060101ALI20220901BHJP
   B61G 11/16 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B61F1/10
B61D15/06
B61G11/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021526082
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022577
(87)【国際公開番号】W WO2020250861
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】62/859,335
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521475989
【氏名又は名称】川崎車両株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 淳
(72)【発明者】
【氏名】畑 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 裕二
(72)【発明者】
【氏名】生島 一義
(72)【発明者】
【氏名】佐野 敦司
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-62817(JP,A)
【文献】特開2004-90825(JP,A)
【文献】特開2000-168551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0168782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0250965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 1/10
B61D 15/06
B61G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠本体と、前記台枠本体の車両長手方向の一方の端部に設けられ車幅方向に延びた端梁と、を有する台枠と、
前記台枠と屋根構体とを接続する隅柱と、
前記端梁と前記台枠本体との間に配置され衝突エネルギーの一部を吸収するエネルギー吸収体と、
前記端梁から前記車両長手方向の外方に向けて突出して車幅方向に延びたアンチクライマーと
を備え、
前記端梁は、端梁本体部と、前記隅柱から前記車両長手方向の内方に向かって延びる隅柱後方領域において前記端梁本体部を前記台枠本体に接続する側連結部と、を有し、
前記アンチクライマーは、衝突が起き、衝突荷重によって前記端梁が折れるときに、前記端梁の折れの起点となる起点部を有し、前記起点部が車幅方向において前記エネルギー吸収体の前端と前記隅柱との間の位置に対応する箇所に設けられている、鉄道車両の構体。
【請求項2】
前記起点部は、前記アンチクライマーが、その車幅方向の一部に形成された切欠である、請求項1に記載の鉄道車両の構体。
【請求項3】
前記端梁は、前端において、前記アンチクライマーの切欠に対応する領域に、前記端梁の壁を前記車両長手方向に貫通する前側穴を有する、請求項2に記載の鉄道車両の構体。
【請求項4】
前記アンチクライマーは、互いに鉛直方向に間隔をあけて並んだ、上段アンチクライマー、中段アンチクライマー及び下段アンチクライマーを含み、
前記切欠は、前記中段アンチクライマーに形成されている、請求項2または3に記載の鉄道車両の構体。
【請求項5】
前記起点部は、車幅方向において前記端梁の前記エネルギー吸収体の前端と前記隅柱との間の中心よりも車体の中央側の位置に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体。
【請求項6】
前記端梁は、前記隅柱に隣接し前記隅柱の後方の第1部分と、前記第1部分よりも後方の第2部分とを有し、
前記端梁の前記第1部分の車両長手方向の剛性は、前記端梁の前記第2部分の車両長手方向の剛性よりも大きい、請求項1から5のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体。
【請求項7】
前記端梁の車両前側の部分は、車幅方向中央部が車両長手方向外方に突出している、請求項1から6のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体。
【請求項8】
前記端梁は、前記端梁本体部の上部に取り付けられ、貫通穴を含む上板部を有し、
前記上板部は、前記貫通穴を囲む縁部に沿って、連続隅肉溶接によって前記端梁本体部に取り付けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体。
【請求項9】
前記端梁は、前記端梁本体部の下部に取り付けられ、貫通穴を含む下板部を有し、
前記下板部は、前記貫通穴を囲む縁部に沿って、連続隅肉溶接によって前記端梁本体部に取り付けられている、請求項1から8のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突が起こったときに変形して衝突エネルギーの吸収を行う鉄道車両の構体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝突したときに比較的変形が許容されるクラッシャブルゾーンと、乗員等が収容され衝突したときに比較的変形が許容されないサバイバルゾーンとを備えた鉄道車両の構体が用いられている。特許文献1の鉄道車両の構体では、衝突時に、構体の前端部のクラッシャブルゾーンが圧壊することにより衝突エネルギーがそこで吸収され、サバイバルゾーンに伝達される衝突エネルギーが少なく抑えられ、サバイバルゾーンの変形が少なくなる。特許文献1の構成では、クラッシャブルゾーンにエネルギー吸収梁が設けられ、衝突時にはエネルギー吸収梁が圧壊することにより衝突エネルギーがそこで吸収される。また、車両の前端部において、側梁の前端同士を接続する端梁の前面には、前方に向かって突出するアンチクライマーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-52984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、衝突の起こり方によって端梁が折れる場所が変わり得る。端梁の変形挙動が異なると、端梁に接続されたエネルギー吸収梁の圧壊挙動も異なることになる。エネルギー吸収梁による衝突エネルギーの吸収効果を安定的に高めるには、衝突発生時における端梁の変形挙動を安定させることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、衝突時の変形の挙動が安定した鉄道車両の構体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉄道車両の構体は、台枠本体と、前記台枠本体の車両長手方向の一方の端部に設けられ車幅方向に延びた端梁と、を有する台枠と、前記台枠と屋根構体とを接続する隅柱と、前記端梁と前記台枠本体との間に配置され衝突エネルギーの一部を吸収するエネルギー吸収体と、前記端梁から前記車両長手方向の外方に向けて突出して車幅方向に延びたアンチクライマーとを備え、前記端梁は、端梁本体部と、前記隅柱から前記車両長手方向の内方に向かって延びる隅柱後方領域において前記端梁本体部を前記台枠本体に接続する側連結部と、を有し、前記アンチクライマーは、衝突が起き、衝突荷重によって前記端梁が折れるときに、前記端梁の折れの起点となる起点部を有し、前記起点部が車幅方向において前記エネルギー吸収体の前端と前記隅柱との間の位置に対応する箇所に設けられている。
【0007】
上記構成の鉄道車両の構体では、アンチクライマーが、端梁の折れの起点となる起点部を有しているので、衝突が起こったときに、アンチクライマーの起点部を起点として端梁が安定してそこで折れるように構体を構成することができ、構体の変形の態様をより安定させることができる。従って、構体の変形の挙動を予測することができ、予測された変形の挙動に応じて構体の形状を決定することができる。また、起点部が車幅方向においてエネルギー吸収体の前端と隅柱との間の位置に対応する箇所に設けられているので、衝突が起こったときに、端梁が起点部に対応する位置で折れ、端梁の折れた部分が車両長手方向の内方に向かって移動し、折れた端梁のうちの幅方向外側の部分が隅柱を中心とした回転移動を行う。これにより、衝突エネルギーの一部が折れた端梁の回転移動に用いられ、より大きな衝突エネルギーを端梁で吸収することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衝突が起こったときに構体をより安定して変形させることができるので、衝突が起こったときの構体の変形の態様を予測することができ、想定された変形に対応して衝突エネルギーをより吸収するように構体の形状を決定することができる。また、端梁でより大きな衝突エネルギーを吸収することができるので、端梁及びエネルギー吸収体よりも後方の空間で生じる変形をより少なく抑えることができる。従って、より安全性の高い鉄道車両の構体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両の構体を上方から見た斜視図である。
図2図1の構体の車幅方向の一方のみについて拡大して示した斜視図である。
図3図2の構体についての平面図である。
図4図1の構体を下方から見た斜視図である。
図5】(a)は図3のVA-VA線に沿う断面図であり、(b)は図3のVB-VB線に沿う断面図である。
図6図1の構体が衝突後に圧壊した状態において、車幅方向の一方のみについて拡大して示した斜視図である。
図7図6の構体についての平面図である。
図8図1の構体に衝突が起こったときの端梁に作用する圧壊荷重と端梁の変形ストロークとの間の関係について示したグラフである。
図9】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両の構体の、車幅方向の他方のみについて拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る鉄道車両の構体について、添付図面を参照して説明する。図1に、第1実施形態に係る鉄道車両1の先頭車2の構体3の前部を斜め前方から見た斜視図を示す。図2に、構体3の車幅方向の一方のみを拡大した斜視図を示す。図3に、構体3の車幅方向の一方のみを拡大し上方から見た平面図を示す。
【0011】
鉄道車両1は、複数の車両が互いに連結されてなるが、図1はそのうち先頭車2の構体3を示している。図1に示すように、構体3は、台枠4と、台枠4の上方に配置された屋根構体5と、台枠4の車両長手方向端部から屋根構体5に延びる一対の衝突柱6及び一対の隅柱7と、台枠4の内部に設けられ衝突が起こったときに台枠4に作用する衝突エネルギーの一部を吸収するエネルギー吸収体8と、アンチクライマー9とを備える。
【0012】
台枠4は、台枠本体10と、台枠本体10の車両長手方向の前方に設けられた端梁11とを有している。台枠本体10は、構体3の車幅方向両側において車両長手方向に延びる一対の側梁16と、一対の側梁16同士を接続するフレーム12と、一対の中梁13とを有している。端梁11は、一対の側梁16の車両長手方向端部同士を接続し、車幅方向に延びている。一対の中梁13は、側梁16よりも車幅方向の内側の位置に設けられている。
【0013】
エネルギー吸収体8は、フレーム12と端梁11とを接続している。本実施形態では、エネルギー吸収体8は、二対が構体3に設けられている。エネルギー吸収体8は、車幅方向の内側に設けられた一対の内側エネルギー吸収体14と、車幅方向の外側に設けられた一対の外側エネルギー吸収体15とを備えている。内側エネルギー吸収体14は、車両長手方向に直交する面の断面積が車両長手方向に一定である。また、外側エネルギー吸収体15は、車両長手方向に直交する面の断面積が車両長手方向の内側に向かうにつれて大きくなっている。
【0014】
端梁11は、端梁本体部17と、隅柱7から車両長手方向の内方に向かって延びる隅柱後方領域R1において端梁本体部17を台枠本体10のフレーム12に接続する側連結部18と、を有している。端梁11は、隅柱後方領域R1において、隅柱7に隣接し隅柱7の後方の第1部分26と、第1部分26よりも後方の第2部分27とを有している。第2部分27は、側連結部18を含んでいる。図3に示されるように、側連結部18における端梁11の車両長手方向に直交する面についての断面積をA1とする。また、側連結部18よりも車両妻側の位置において、端梁11の車両長手方向に直交する面の断面積をA2とする。このとき側連結部18の車両長手方向に直交する面の断面積A1が、端梁11の側連結部18よりも車両妻側の位置の面での車両長手方向に直交する面の断面積A2よりも小さい。また、端梁11の第1部分26の車両長手方向の剛性は、端梁の第2部分27の車両長手方向の剛性よりも大きい。つまり、端梁11の第2部分27の方が第1部分26よりも車両長手方向に変形し易く、潰れやすい。
【0015】
図1-3に示されるように、端梁11は、車両長手方向の先端部が、車両幅方向の中央部で車両長手方向の外側に最も突出し、車両幅方向の外側に向かうにつれて車両長手方向の内側に位置するように構成されている。つまり、端梁11は、その車両妻側であって車幅方向中央部が車両長手方向外方に最も突出している。
【0016】
端梁11は、端梁本体部17の上部に上板部19を有している。上板部19は、端梁本体部17に対し溶接によって接合されている。また、上板部19には、厚さ方向に貫通するように貫通穴21が設けられている。
【0017】
端梁11は、端梁本体部17の下部に下板部20を有している。図4に、構体3を下方から見た斜視図を示す。下板部20は、端梁本体部17に対し溶接によって接合されている。下板部20には、厚さ方向に貫通するように貫通穴22が設けられている。下板部20の、上板部19に設けられた貫通穴21に対応する位置に貫通穴22が設けられている。
【0018】
端梁11の上側では、貫通穴21を囲む上板部19の縁部19a(図2)に沿って連続隅肉溶接により(いわゆるスロット溶接により)、上板部19と端梁本体部17とが接合されている。端梁11の下側では、貫通穴22を囲む下板部20の縁部20a(図4)に沿ってスロット溶接により上板部19と端梁本体部17とが接合されている。
【0019】
図1-3に示されるように、本実施形態では、上板部19及び下板部20は、車両長手方向の最も外側の位置の部分(先端部)が、櫛歯形に構成されている。上板部19と端梁本体部17との溶接部24が櫛歯形になるように構成されているので、溶接部24は車両幅方向だけでなく車両長手方向にも長さを有する。従って、溶接部24の長さを、上板部19の先端部が単に車幅方向にまっすぐに延びる形態よりも長くすることができる。同様に、図4に示されるように、下板部20と端梁本体部17との溶接部25が櫛歯形になるように構成されているので、溶接部25が車両幅方向だけでなく車両長手方向にも長さを有する。従って、溶接部25の長さを、下板部20の先端部が単に車幅方向にまっすぐに延びる形態よりも長くすることができる。
【0020】
図1に示されるように、アンチクライマー9は、端梁11の前方に設けられ、端梁11から車両長手方向の外方に向けて突出すると共に、車幅方向に延びている。図5に、端梁11及びアンチクライマー9の断面図を示す。図5(a)は、図3におけるVA-VA線に沿う端梁11及びアンチクライマー9の断面図を示し、図5(b)は、図3におけるVB-VB線に沿う端梁11及びアンチクライマー9の断面図を示す。図5(a)には後述する切欠の形成されていない部分についての端梁11及びアンチクライマー9の断面図が示されており、図5(b)には切欠の形成されている部分についての端梁11及びアンチクライマー9の断面図が示されている。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態では、アンチクライマー9は、切欠を除き、車両幅方向において、側梁16同士の間の全体に亘って設けられている。本実施形態では、アンチクライマー9は、上下方向に複数設けられており、本実施形態では、上下方向に3つ設けられている。本実施形態では、上下方向に複数設けられたアンチクライマー9は、それぞれフランジ状に構成され、車両長手方向の外側に向かって突出している。高さ方向の上側に設けられたアンチクライマーを上段アンチクライマー9aとし、高さ方向の中段の位置に設けられたアンチクライマーを中段アンチクライマー9bとし、下側に設けられたアンチクライマーを下段アンチクライマー9cとする。
【0022】
アンチクライマー9は、車幅方向にその一部が切り欠かれた切欠23(起点部)を有している。本実施形態では、切欠23は、中段アンチクライマー9bに形成されている。切欠23は、中段アンチクライマーの車幅方向の一部を切断することで車幅方向に並んだ複数の板材同士のギャップでもよいし、中段アンチクライマー9bの車幅方向の一部の前端寄りの領域のみが切り欠かれて形成されたものでもよい。図5(b)に示されるように、端梁11の先端部付近の車両幅方向に直行する面の断面において、切欠23の形成された部分には、中段アンチクライマー9bが形成されてなく、上段アンチクライマー9a及び下段アンチクライマー9cのみが形成されている。
【0023】
図3に示されるように、本実施形態では、切欠23は、中段アンチクライマー9bにおいて、車両長手方向から見て、車幅方向において、エネルギー吸収体8のうちの外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の位置に対応する箇所に設けられている。前端15aと、隅柱7との間の領域を領域R2とする。切欠23は、領域R2の内部に形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、切欠23は、車幅方向における外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心よりも車幅方向の車体中央側の位置に対応する箇所に設けられている。図3に、外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心を通り、車両長手方向に延びる直線L1を示す。図3に示されるように、本実施形態では、切欠23は、直線L1よりも車幅方向の車体中央側の位置に対応する箇所に設けられている。
【0025】
図1-3に示されるように、一対の隅柱7は、端梁11の車幅方向の端部付近の位置から屋根構体5に向かって上方に突出している。一対の隅柱7は、車両幅方向において左右対称に配置されている。一対の衝突柱6は、車幅方向において一対の隅柱7の間に配置され、端梁11から屋根構体5に向かって上方に突出している。一対の衝突柱6は、車両幅方向において左右対称に配置されている。衝突柱6及び隅柱7は、下端が台枠4の端梁9に溶接で接合され、上端が屋根構体5に溶接で接合されている。衝突柱6は、台枠4と屋根構体5とを接続する複数の柱部材のうちで最も車両長手方向外側に配置されている。図1-3の例では、衝突柱6は隅柱7よりも車両長手方向外側に配置されているが、衝突柱6は隅柱7と同じ車両長手方向位置に配置されてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、上板部19がスロット溶接によって端梁本体部17に接合されているので、上板部19と端梁本体部17との溶接部での破断が抑制され、上板部19が端梁本体部17に対し剥離することを抑えることができる。また、下板部20がスロット溶接によって端梁本体部17に接合されているので、下板部20と端梁本体部17との溶接部での破断が抑制され、下板部20が端梁本体部17に対し剥離することを抑えることができる。
【0027】
また、上板部19及び下板部20の車両長手方向の最も外側の位置の部分が櫛歯形に構成されることにより上板部19と端梁本体部17との溶接部24及び下板部20と端梁本体部17との溶接部25が長くなるので、上板部19と端梁本体部17との溶接の強度及び下板部20と端梁本体部17との溶接の強度を強くすることができる。
【0028】
また、構体3がアンチクライマー9を備えているので、鉄道車両同士の衝突が起こったときに、衝突が起こった鉄道車両のアンチクライマー同士が噛み合い、一方の鉄道車両が他方の鉄道車両上に乗り上げることを抑えることができる。これにより鉄道車両の安全性を向上させている。
【0029】
次に、鉄道車両1の構体3において、衝突が起こったときの構体3の変形の態様について説明する。図6に、構体3に衝突が起こり、圧壊した状態の構体3の斜視図を示す。図7に、構体3に衝突が起こり、圧壊した状態の構体3の平面図を示す。
【0030】
構体3は、フレーム12の前方の領域が衝突の起こったときに比較的変形が許容されるクラッシャブルゾーンとして構成され、フレーム12の後方の領域が衝突の起こったときに比較的変形が許容されないサバイバルゾーンとして構成されている。衝突が起こったときには、構体3のクラッシャブルゾーンを積極的に圧壊させることにより衝突エネルギーをそこで吸収させている。
【0031】
構体3に衝突が起こったときには、構体3には前方から荷重が作用する。本実施形態では、端梁11は車幅方向の中央部が最も前方に突出しているので、衝突が起こったときには、衝突荷重は車幅方向の中央部の先端に作用する。構体3の前方に衝突荷重が作用すると、内側エネルギー吸収体14及び外側エネルギー吸収体15が車両前後方向に圧壊する。また、隅柱7の後方領域R1では、端梁11における隅柱7と側連結部18との間の部分(隅柱後方領域R1)が車両前後方向に圧壊する。内側エネルギー吸収体14、外側エネルギー吸収体15及び端梁11における隅柱後方領域R1が圧壊することにより、内側エネルギー吸収体14、外側エネルギー吸収体15及び端梁11が衝突エネルギーを吸収する。
【0032】
また、それと並行して、アンチクライマー9bには切欠23が設けられているので、切欠23を起点として、それに対応する位置にある端梁11が折れる。端梁11が折れると、端梁11の折れた箇所が塑性ヒンジとなるように、端梁11が塑性変形する。具体的には、折れた端梁11における切欠23よりも車幅方向の外側の外側端梁11aが隅柱7を中心に回転移動し、折れた端梁11における切欠23よりも車幅方向の内側の内側端梁11bが衝突柱6を中心に回転移動する。図7に、外側端梁11aの回転方向D1及び内側端梁11bの回転方向D2を示す。
【0033】
外側端梁11aが隅柱7を中心に回転方向D1に回動するので、衝突エネルギーの一部が外側端梁11aの回転移動に消費される。また、内側端梁11bが衝突柱6を中心に回転方向D2に回動するので、衝突エネルギーの一部が内側端梁11bの回転移動に消費される。従って、衝突荷重のピーク値を少なく抑えることができる。
【0034】
図8に、端梁に作用する圧壊荷重と変形ストロークとの間の関係についてのグラフを示す。本実施形態の端梁11の変形ストロークを実線で示し、比較例の変形ストロークを二点鎖線で示し、エネルギー吸収体8の変形ストロークを破線で示す。比較例では、アンチクライマーに切欠が形成されていない場合の端梁の変形ストロークが示されている。
【0035】
比較例では、エネルギー吸収体が本実施形態の構体3と同様に圧壊する。ところが、比較例では、アンチクライマーに切欠が形成されてなく、端梁が折れ難い。端梁が折れないので、端梁が衝突エネルギーを十分に吸収しきれず、エネルギー吸収体が圧壊した後も圧壊荷重が上昇し続ける。エネルギー吸収体が圧壊した後、点P1で圧壊荷重がピーク値を取る。圧壊荷重がピーク値を取り端梁が十分に変形すると、端梁に作用する圧壊荷重は減少し、減少しきったところで再び上昇する。
【0036】
これに対し本実施形態の構体3では、中段アンチクライマー9bが切欠23を有しているので、衝突が起こったときに、図6及び7に示されるように、中段アンチクライマー9bの切欠23を起点として端梁11が安定して切欠23に対応する位置で折れるように構体3を構成することができる。従って、構体3の変形の態様をより安定させることができる。これにより、構体3の変形の挙動を予測することができ、予測された変形の挙動に応じて構体3の形状を決定することができる。
【0037】
また、本実施形態では、アンチクライマー9bに切欠23が設けられているので、衝突が起こったときに、切欠23に対応する位置で端梁11が確実に折れる。端梁11が折れると外側端梁11a及び内側端梁11bが回転移動するので、衝突で生じた衝突エネルギーが外側端梁11a及び内側端梁11bの回転移動に消費され、衝突エネルギーをそこで吸収することができる。これにより、端梁11に作用する衝突荷重のピーク値を小さく抑えることができる。また、フレーム12よりも後方のサバイバルゾーンに伝達される衝突荷重を少なく抑えることができ、サバイバルゾーンの変形量を少なく抑えることができる。
【0038】
また、端梁11に作用する衝突荷重のピーク値を小さく抑えることができるので、図8のグラフの実線で示されるように、本実施形態の端梁11の変形ストロークの傾きを緩やかにすることができる。図8のグラフでは、本実施形態の端梁11の変形は、変形ストロークが単純に且つ緩やかに上昇していく。これにより、衝突が生じたときに、端梁11の変形の態様を安定させることができる。
【0039】
その一方、比較例のように、アンチクライマーに切欠が形成されていない場合には、端梁の変形の態様が安定せず、端梁の変形の態様を予測することができない。そのため、端梁は意図しない態様で変形する可能性があり、局所的に大きな荷重が作用する可能性がある。
【0040】
また、本実施形態では、上板部19と端梁本体部17とが貫通穴21を用いたスロット溶接によって接合されているので、衝突が起きたときには、図6及び7に示されるように、端梁本体部17の変形に追随して上板部19が確実に変形する。従って、端梁本体部17の塑性変形に伴い上板部19が塑性変形する。外側端梁11aが隅柱7を中心に回転方向D1に回動する際には、外側端梁11aの回動に伴って外側端梁11aに対応する部分の上板部19が変形する。また、内側端梁11bが衝突柱6を中心に回転方向D2に回動する際には、内側端梁11bの回動に伴って内側端梁11bに対応する部分の上板部19が変形する。これにより、衝突で生じた衝突エネルギーの一部が上板部19の塑性変形で消費される。そのため、衝突荷重のピーク値をさらに小さく抑えることができると共に、サバイバルゾーンの変形量をさらに少なく抑えることができる。同様に、下板部20と端梁本体部17とが貫通穴22を用いたスロット溶接によって接合されているので、構体3で衝突が起きたときには、端梁本体部17の変形に追随して下板部20が確実に変形する。端梁本体部17の塑性変形に伴い下板部20が塑性変形する。外側端梁11aが隅柱7を中心に回転方向D1に回動する際には、外側端梁11aの回動に伴って外側端梁11aに対応する部分の下板部20が変形する。また、内側端梁11bが衝突柱6を中心に回転方向D2に回動する際には、内側端梁11bの回動に伴って内側端梁11bに対応する部分の下板部20が変形する。これにより、衝突で生じた衝突エネルギーの一部が下板部20の塑性変形で消費される。そのため、衝突荷重のピーク値をさらに小さく抑えることができると共に、サバイバルゾーンの変形量をさらに少なく抑えることができる。
【0041】
また、上板部19と端梁本体部17との溶接部24が櫛歯形になるように構成されることにより、上板部19と端梁本体部17との溶接の強度が強く構成されているので、外側端梁11a及び内側端梁11bが移動したときには、それに追随して上板部19が確実に変形する。従って、衝突エネルギーをさらに効率的に吸収することができ、衝突荷重のピーク値をさらに小さく抑えることができる。同様に、下板部20と端梁本体部17との溶接部25が櫛歯形になるように構成されることにより、下板部20と端梁本体部17との溶接の強度が強く構成されているので、外側端梁11a及び内側端梁11bが移動したときには、それに追随して下板部20が確実に変形する。従って、衝突エネルギーをさらに効率的に吸収することができ、衝突荷重のピーク値をさらに小さく抑えることができる。
【0042】
本実施形態では、貫通穴21を用いたスロット溶接によって上板部19と端梁本体部17とが溶接されると共に、上板部19の先端部が櫛歯形になるように構成されることにより、上板部19と端梁本体部17との溶接の強度が強く構成されている。また、貫通穴22を用いたスロット溶接によって下板部20と端梁本体部17とが溶接されると共に、下板部20の先端部が櫛歯形になるように構成されることにより、下板部20と端梁本体部17との溶接の強度が強く構成されている。上板部19や下板部20が端梁本体部17から剥離することが抑えられるので、端梁本体部17のみに大きな衝突エネルギーが作用することを抑えることができる。これにより、端梁本体部17へのピークの衝突荷重を小さくすることができる。また、衝突によって端梁本体部17に作用する衝突荷重のピーク値を小さくすることができるので、端梁本体部17の変形を緩やかにすることができる。従って、端梁本体部17を安定した挙動で変形させると共に、エネルギー吸収体8を適切に機能させることができる。本実施形態では、結果的に、図8に示されるように端梁11に作用する圧壊荷重のピーク値がなくなり、荷重が単調増加して変形が終了する。
【0043】
また、本実施形態では、端梁11の側連結部18での車両長手方向に直交する面の断面積A1が、端梁11の側連結部18よりも車両妻側の位置の面での車両長手方向に直交する面の断面積A2よりも小さいので、隅柱後方領域R1において、端梁11の車両長手方向についての剛性が側連結部18の付近の位置で小さくなる。隅柱後方領域R1において、端梁11の第1部分26の車両長手方向の剛性が、端梁の第2部分27の車両長手方向の剛性よりも大きく、端梁11の第2部分27の方が第1部分26よりも潰れやすい。これにより、衝突が起こったときに、端梁11における第1部分26よりも側連結部18の付近の位置である第2の部分27で隅柱後方領域R1が圧壊し、そこが外側端梁11aによる隅柱7を中心とした回転移動の起点になる。これにより、外側端梁11aの隅柱7を中心とする回転移動を確実に生じさせることができ、端梁11の変形の態様を安定させることができる。
【0044】
また、端梁11の隅柱後方領域R1において、側連結部18の付近の位置が確実に圧壊するので、それに並行して配置されたエネルギー吸収体8を確実に圧壊させることができる。従って、エネルギー吸収体8を確実に機能させることができ、端梁11の変形の態様をより安定させることができる。
【0045】
また、アンチクライマー9bに設けられた切り欠き23は、車幅方向に関し、外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心L1よりも車体の中央側の位置に設けられている。これにより、切欠23と隅柱7との間の距離が長く確保され、結果的に端梁11における塑性ヒンジの起点となる位置と隅柱7との間の距離が長くなり、外側端梁11aの長さを長く確保することができる。構体3がこのように構成されているので、衝突が起こったときに、外側端梁11aに作用する回転モーメントを大きくすることができる。そのため、外側端梁11aの回転移動によってより効率的に衝突エネルギーを吸収することができ、衝突荷重をさらに小さく抑えることができる。
【0046】
また、端梁11は、その車幅方向中央部が車両長手方向外方に突出した形状となるように構成されているので、衝突が起こったときには、衝突荷重は車幅方向の中央部の先端に作用し易く、構体3の変形の態様をより安定させることができる。構体3が安定した挙動で変形するので、構体3の変形の態様に応じて構体3の形状を決定することができる。
【0047】
なお、上記の実施形態では、切欠23は、中段アンチクライマー9bの車両幅方向の一部が車両長手方向の全体に亘って切り欠かれて形成される形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。切欠は、中段アンチクライマーの車両長手方向の一部が部分的に切り欠かれ、中段アンチクライマーが部分的に車両長手方向の長さを短くすることにより形成されてもよい。また、切欠の形成される部分は、中段アンチクライマーでなくてもよい。上段アンチクライマーに形成されてもよいし下段アンチクライマーに形成されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、アンチクライマーが上下方向に3つ形成されている形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。アンチクライマーは、上下方向に1つあるいは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。その場合、切欠は、上下方向に複数設けられたアンチクライマーのいずれかに設けられていればよい。また、切欠は、上下方向に複数設けられたアンチクライマーのうちの1つだけに形成される形態に限定されない。例えば上下方向の3つのアンチクライマーのうちの2つのアンチクライマーに切欠が設けられてもよいし、3つのアンチクライマーの全てに切欠が設けられてもよい。つまり、上下方向に複数設けられたアンチクライマーのうち、複数のアンチクライマーに切欠が設けられてもよい。アンチクライマーの一部に切欠が設けられることによって衝突が起こったときの端梁の変形の態様が安定するのであれば、アンチクライマーにどのように切欠が設けられていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、切欠23は、中段アンチクライマー9bにおいて、車幅方向において、端梁11の外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心L1よりも車体の中央側の位置に設けられている形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。切欠23は、車幅方向において、端梁11の外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心L1よりも外側の位置に設けられてもよい。切欠23が、車幅方向において、エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の位置に対応する箇所に設けられていれば、端梁11の外側エネルギー吸収体15の前端15aと隅柱7との間の中心L1よりも車体の中央側の位置でなくてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る鉄道車両の構体について説明する。なお、上記第1実施形態と同様に構成される部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。第1実施形態では、アンチクライマーに切欠が設けられ、衝突が起こったときに、アンチクライマーの切欠を起点として端梁が安定してそこで折れるように、鉄道車両の構体3が構成されている。これに対し、第2実施形態の鉄道車両の構体3aにおいては、アンチクライマーに切欠が設けられていることに加えて、端梁の前端におけるアンチクライマーの切欠きに対応する位置に穴が設けられている点で第1実施形態とは異なる。
【0050】
図9に示されるように、第2実施形態における中段アンチクライマー9bに設けられた切欠23の周辺についての斜視図を示す。図9は、中段アンチクライマー9bに設けられた2つの切欠23のうちの一方の切欠23のみの周辺について示している。図9に示されている部分は、鉄道車両の構体3aのうちの一方のみが示されており、図2に示されている部分とは車幅方向についての逆側の部分である。
【0051】
中段アンチクライマー9bは、切欠23を挟んで、中央側中段アンチクライマー9dと外側中段アンチクライマー9eとを有している。中央側中段アンチクライマー9dは、車幅方向の外側端部である外端9fを有し、外側中段アンチクライマー9eは、車幅方向の中央側端部である内端9gを有している。中央側中段アンチクライマー9dの外端9fと外側中段アンチクライマー9eの内端9gとの間の領域を、切欠領域R3とする。
【0052】
端梁11は、車両長手方向の前端を構成する壁である前壁11cを有している。前壁11cにおける切欠領域R3に対応した領域には、前壁11cを車両長手方向に貫通する前側穴28が設けられている。前側穴28は、車幅方向中央側の端部28aと、車幅方向外側の端部28bと、上下方向の上側の端部28cと、上下方向の下側の端部28dとを有している。前壁11cにおける切欠領域R3に対応した領域は、車幅方向において、前壁11cの、中央側中段アンチクライマー9dの外端9fと外側中段アンチクライマー9eの内端9gとの間の領域のことである。本実施形態では、車幅方向において、前側穴28の車幅方向の中央側の端部28aが中央側中段アンチクライマー9dの外端9fよりも外側に位置し、前側穴28の車幅方向の外側の端部28bが外側中段アンチクライマー9eの内端9gよりも内側に位置している。本実施形態では、前側穴28の上下方向の全体に亘って、車幅方向において、前側穴28が、中央側中段アンチクライマー9dの外端9fと外側中段アンチクライマー9eの内端9gとの間の領域に収まるように、前壁11cに設けられている。また、本実施形態では、上下方向において、前側穴28は、上段アンチクライマー9aと下段アンチクライマー9cとの間に設けられている。前側穴28の上側の端部28cが上段アンチクライマー9aよりも下方に位置し、前側穴28の下側の端部28dが下段アンチクライマー9cよりも上方に位置している。本実施形態では、前側穴28の車幅方向の全体に亘って、前側穴28が、上段アンチクライマー9aと下段アンチクライマー9cとの間の領域に収まるように前壁11cに設けられている。
【0053】
鉄道車両の構体3aは、車幅方向に左右対称に構成されている。そのため、車幅方向において、図9に示されている側とは逆側にも同様に切欠23が設けられている。また、前壁11cにおける切欠領域R3に対応した領域に、前側穴28が設けられている。
【0054】
第2実施形態においては、端梁11の前壁11cを車両長手方向に貫通する前側穴28が設けられているので、鉄道車両の構体3aは、衝突が起こったときに、中段アンチクライマー9bの切欠23と、端梁11の前側穴28との両方を起点としてそこで折れるように構成されている。従って、衝突が起こったときに、中段アンチクライマー9bの切欠23及び端梁11の前側穴28を起点として端梁11がより安定して切欠23及び前側穴28に対応する位置で折れるように構体3aを構成することができる。従って、構体3aの変形の態様をより安定させることができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、鉄道車両1の構体3に衝突が起き衝突荷重によって端梁11が折れるときに、端梁11の折れの起点となる起点部として、アンチクライマー9に切欠23が形成される形態について説明したが、上記実施形態に限定されない。鉄道車両1の構体3に衝突が起きたときに端梁11が折れる起点となる起点部は、切欠以外のものであってもよい。例えば、アンチクライマーの一部に、他の部分よりも強度の低い領域が設けられ、その部分が、端梁11が折れるときの端梁11の折れの起点となる起点部として機能してもよい。例えば、前記強度の低い領域として、切欠の代わりに、孔が用いられてもよいし薄肉部が用いられてもよい。また、起点部として、切欠の代わりに孔や薄肉部等の構成が用いられたときに、これと合わせて、第2実施形態で説明したような端梁の前端の壁を車両長手方向に貫通する穴が端梁に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
3 構体
4 台枠
5 屋根構体
7 隅柱
8 エネルギー吸収体
9 アンチクライマー
9a 上段アンチクライマー
9b 中段アンチクライマー
9c 下段アンチクライマー
10 台枠本体
11 端梁
17 端梁本体部
18 側連結部
19 上板部
20 下板部
19a、20a 縁部
21、22 貫通穴
23 切欠
26 第1部分
27 第2部分
28 前側穴
R1 隅柱後方領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9