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  • 特許-空気分離装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】空気分離装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/04 20060101AFI20220901BHJP
【FI】
F25J3/04 103
F25J3/04 104
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022034094
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランシュー マキシム
(72)【発明者】
【氏名】富田 伸二
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-49967(JP,A)
【文献】中国実用新案第204115392(CN,U)
【文献】特開平5-52468(JP,A)
【文献】特開平5-312469(JP,A)
【文献】特開平11-173753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気が導入される第一精留塔と、
前記第一精留塔の塔頂部から導出される窒素ガスを凝縮する第一凝縮部と、
前記前記第一精留塔の精留部の上段または塔頂部から導出される窒素含有液が導入される第二精留塔と、
前記第二精留塔の下段精留部または中間精留部から導出されるアルゴン含有酸素富化物が導入され第三精留塔と、
前記第三精留塔の塔頂部から導出されるガスを凝縮する第二凝縮部と、
前記第三精留塔の精留部または塔頂部から導出されるアルゴン富化物が導入される第四精留塔と、
前記第四精留部の塔頂部から導出されるガスが導入される第三凝縮部と、
前記第三凝縮部から導出されるガスを、前記第二精留塔へ還流させる還流配管と、
前記還流配管から分岐する分岐配管と、
前記第三凝縮部の駆動開始から所定期間は、前記第三凝縮部から導出される排ガスを前記分岐配管へ送るように弁の開閉制御し、所定期間経過後に、前記第三凝縮部から導出されるガスを還流配管へ送るように弁の開閉制御をする制御部と、
を備える、
空気分離装置。
【請求項2】
純アルゴン精留塔の凝縮部から導出されるガスから窒素ガスを回収する方法は、
原料空気が導入される第一精留塔と、前記第一精留塔の塔頂部から導出される窒素ガスを凝縮する第一凝縮部と、前記前記第一精留塔の精留部の上段または塔頂部から導出される窒素含有液が導入される第二精留塔と、前記第二精留塔の下段精留部または中間精留部から導出されるアルゴン含有酸素富化物が導入される第三精留塔と、前記第三精留塔の塔頂部から導出されるガスを凝縮する第二凝縮部と、前記第三精留塔の精留部または塔頂部から導出されるアルゴン富化物が導入される第四精留塔と、前記第四精留部の塔頂部から導出されるガスが導入される第三凝縮部と、を備える空気分離装置において、
前記第三凝縮部から導出されるガスを、前記第二精留塔へ還流させることで、当該ガスから窒素を回収する工程を含む、方法。
【請求項3】
前記第三凝縮部の駆動開始から所定期間は、前記第三凝縮部から導出されるガスを還流せず、所定期間経過後に、前記第三凝縮部から導出されるガスを前記第二精留塔へ還流させる駆動開始時制御工程を含む、
請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気分離装置に関する。特に、粗アルゴン精留塔および純アルゴン精留塔を備える空気分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気分離装置から抽出されたアルゴンを含む酸素富化気液物を、アルゴン精留塔へ送り、高純度の製品アルゴン液を取り出すことが行われている。
特許文献1、2は、第一凝縮器を備える第一精留塔、第二精留塔、第二凝縮器を備える粗アルゴン精留塔、純アルゴン精留塔を備える空気分離装置を開示している。
特許文献3、4、5は、第一凝縮器を備える第一精留塔、第二精留塔、第二凝縮器を備える粗アルゴン精留塔を備える空気分離装置を開示している。
【0003】
特許文献1および2は、純アルゴン精留塔を備えているが、純アルゴン精留塔で使用された排ガスについては記載されていない。特許文献3から5は、いずれも純アルゴン精留塔を備えていない空気分離装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6557763号公報
【文献】特開2021-110466号公報
【文献】特許第6440232号公報
【文献】米国特許公開2019/0293347号公報
【文献】特開2004-251569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高純度窒素と高純度アルゴンを同時に製造する空気分離装置において、純アルゴン精留塔に送られる供給ガス(アルゴン、酸素、窒素含有ガス)からアルゴンを高純度に生成し、その排ガス中に窒素が含まれる。純アルゴン精留塔は、他の精留塔から独立して稼働(始動、停止)できるようになっている場合に、配管が複雑(細いパイプ、行き止りのあるパイプ経路)になる。その結果、空気分離装置において、汚染の危険がある。そのため、排ガスから窒素ガスを回収することには懸念があった。
一方、純アルゴン精留塔の凝縮部から導出されたガス中に含まれる窒素ガスを回収したいとの要望がある。
上記実情に鑑みて、本開示は、純アルゴン精留塔の凝縮部から導出されるガスから窒素の回収を可能とする、粗アルゴン精留塔および純アルゴン精留塔を備える空気分離装置、および純アルゴン精留塔の凝縮部から導出されるガスから窒素を回収する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気分離装置(1)は、
原料空気が導入される第一精留塔(2)と、
前記第一精留塔(2)の塔頂部(25)から導出される窒素ガスを凝縮する第一凝縮部(3)と、
前記前記第一精留塔(2)の精留部(23)の上段または塔頂部(25)から導出される窒素含有液が(上段精留部(44)または中間精留部(43)へ)導入される第二精留塔(4)と、
前記第二精留塔(4)の下段精留部(42)または中間精留部(43)から導出されるアルゴン含有酸素富化物(ガス状、液体状もしくは気液混合であってもよい)が導入される第三精留塔(5)と、
前記第三精留塔(5)の塔頂部(55)から導出されるガスを凝縮する第二凝縮部(6)と、
前記第三精留塔(5)の精留部(53)(中間段から上段)または塔頂部(55)から導出されるアルゴン富化物(ガス状、液体状もしくは気液混合であってもよい)が導入される第四精留塔(7)と、
前記第四精留部(7)の塔頂部(75)から導出されるガスが導入される第三凝縮部(8)と、
前記第三凝縮部(8)から導出されるガス(窒素含有ガス)を、前記第二精留塔(4)(の中間精留部(43)または上段精留部(44))へ還流させる還流配管(L81)を、備える。
第三精留塔は、粗アルゴン精留塔として、第四精留塔は、純アルゴン精留塔として呼ばれてもよい。
【0007】
第一凝縮部(3)は、第一精留塔(2)の上部に設けられていてもよい。第二凝縮部(6)は、第三精留塔(5)の上部に設けられていてもよい。第三凝縮部(8)は、第四精留塔(7)の上部に設けられていてもよい。
【0008】
原料空気(Feed Air)は、主熱交換器(E1)の温端から導入され冷端を通過し、第一精留塔(高圧塔(2))の塔底部(21)に導入されてもよい。原料空気は、主熱交換器(E1)に導入される前に、不純物などを除去する空気精製部で処理されてもよい。
前記還流配管(L81)から分岐する分岐配管(L811)が設けられていてもよい。
還流配管(L81)または/および分岐配管(L811)に弁が設けられていてもよい。分岐する位置に弁(三方弁)が設けられていてもよい。
第三凝縮部(8)の駆動開始から所定期間は、第三凝縮部(8)から導出されるガスを分岐配管(L811)へ送るように弁の開閉制御し、所定期間経過後に、第三凝縮部(8)から導出されるガスを還流配管(L81)へ送るように弁の開閉制御をする制御部(C8)を備えていてもよい。
【0009】
空気分離装置(1)は、前記第一精留塔(2)の精留上段から導出される窒素含有液(LIN)が導入されるリボイラー(9)を備えていてもよい。リボイラー(9)には、リボイラー(9)の下部から液体アルゴン(高純度アルゴン液)を導出する導出配管(L91)が設けられていてもよい。リボイラー(9)は、第四精留塔(7)の下部に設けられていてもよく、塔外部に設けられていてもよい。
前記リボイラー(9)から導出されるガスを前記第三凝縮部(8)へ導入する導入配管(L92)が設けられいてもよい。導入配管(L92)に、減圧手段(V4)が設けられていてもよい。
第一精留塔(2)の塔底部(21)から導出される酸素富化液が、第三精留塔(5)の精留上段もしくは塔頂部、第二凝縮部(6)に導入されてもよい。
第三精留塔(5)は、2つ以上に分離されていてもよく、単一の塔で構成されていてもよい。
第二精留塔(4)は、2つ以上に分離されていてもよく、単一の塔で構成されていてもよい。
【0010】
前記第一精留塔(2)の精留部(23)の上段から塔頂部(25)から導出され、第二精留塔(4)へ導入される窒素含有液と、
前記第一精留塔(2)の塔底部(21)から導出され、第三精留塔(5)の精留上段もしくは塔頂部、第二凝縮部(6)、または追加精留塔(5a)へ導入される酸素富化液と、
前記第二精留塔(4)の塔頂部(45)から導出される高純度窒素ガスと、
前記第二精留塔(4)の上段または中間段から導出される排ガスと、
前記分岐配管(L811)を流通する排ガス(つまり、使用された窒素含有液)と、
のうち2種以上が導入されて、互いに熱交換される、サブクーラ(E2)が設けられていてもよい。
【0011】
制御部(C8)は、空気分離装置の制御装置と兼用されていてもよい。制御部(C8)は、専用装置、情報処理装置(例えば、クラウドサーバ、オンプレミスサーバ、汎用コンピュータなど)、ソフトウエアとハードウエア(メモリ、プロセッサー)との協働の装置、ファームウエアなどで構成されていてもよい。
【0012】
本開示の純アルゴン精留塔の凝縮部で使用される排ガスから窒素ガスを回収する方法は、
第一精留塔(高圧精留塔)、第二精留塔(低圧精留塔)、粗アルゴン精留塔、純アルゴン精留塔、第一凝縮部、第二凝縮部、第三凝縮部、リボイラーを備える空気分離装置において、第三凝縮部から導出されるガスを、第二精留塔へ還流させることで、当該ガスから窒素を回収する工程を含む。
前記第三凝縮部から導出されるガスは、前記第一精留塔の精留上段から導出され、前記リボイラーを介して前記第三凝縮部に導入された窒素含有液(LIN)に基づくガスである。
上記方法は、
第三凝縮部を駆動開始から所定期間は、第三凝縮部から導出されるガスを還流せず、所定期間経過後に、第三凝縮部から導出されるガスを第二精留塔へ還流させる駆動開始時制御工程を含んでいてもよい。
【0013】
(発明の効果)
第三凝縮部(8)から導出されたガスを、第二精留塔(4)へ還流させることで、第二精留塔(4)でガス中の不純物を精製(除去)し窒素を回収することができ、窒素回収率を向上できる。
また、第三凝縮部(8)の駆動開始時におけるガスは、第二精留塔へ送らずに処理することで、第二精留塔(4)の安定運転を待ってからそのガスの精留を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1の空気分離装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の空気分離装置1について、図1を用いて説明する。空気分離装置1は、主熱交換器E1と、第一精留塔(高圧精留塔)2、第二精留塔(低圧精留塔)4、第三精留塔(第一粗アルゴン精留塔)5、第四精留塔7(純アルゴン精留塔)、第一凝縮部3、第二凝縮部6、第三凝縮部8、リボイラー9、サブクーラE2を備える。第一精留塔2は、第二精留塔4よりも圧力が高い状態で精留を行うため高圧精留塔と呼ばれ、第二精留塔4は低圧精留塔と呼ばれることがある。
【0017】
(高圧精留塔)
原料空気は、主熱交換器E1を通過し、配管L1を介して第一精留塔2の塔底部21または精留部23の下段へ導入される。原料空気は、第一精留塔2で酸素富化液と窒素含有液(LIN)に分離される。
第一凝縮部(窒素凝縮器)3は、第一精留塔2の塔頂部25から配管L25cを介して導出される窒素ガスを凝縮(液化)し、第一精留塔2へ戻す。第一凝縮部(窒素凝縮器)3の塔頂部から導出される一部の酸素ガスは、第二精留塔4の塔底部41または下段精留部42へ送られる。第一凝縮部3の頂頂部から導出される他の一部は、配管L32およびその分岐配管L321を介して、主熱交換器E1へ導入され熱交換された後で製品酸素(Oxygen)として取り出すことができる。また、配管L32の分岐配管L322を介して、主熱交換器E1へ導入され熱交換された後で排ガス(Waste gas)として排出される。分岐配管L321と分岐配管L322の両方またはいずれか一方に弁が設けられていてもよい。
酸素富化液は、第一精留塔2の塔底部21から配管L21を介して導出され、サブクーラE2で熱交換された後で、第三精留塔5の精留部または塔頂部に導入される。配管L21に弁V2が設けられ、流量制御弁または開閉の仕切り弁として機能する。
窒素含有液(LIN)は、第一精留塔2の塔頂部25から配管L25bを介して導出され、サブクーラE2で熱交換された後で、第二精留塔4の上段精留部44に導入される。配管L25bに弁V1が設けられ、流量制御弁または開閉の仕切り弁として機能する。弁V1は、制御部C8によって制御されてもよい。
また、窒素含有液(LIN)は、第一精留塔2の塔頂部25から配管L25aを介して導出され、リボイラー9へ導入される。配管L25aに弁V3が設けられ、流量制御弁、開閉の仕切り弁または圧力調整弁として機能する。リボイラー9へ送られる窒素含有液(LIN)についての詳細は後述する。
【0018】
(低圧精留塔)
第二精留塔4の上段精留部44に導入された窒素含有液(LIN)は、第二精留塔4で精留される。第二精留塔4の塔底部41から導出される高純度酸素液は、第一凝縮部3へ送られる。
アルゴン含有酸素富化物(ガス状、液体状もしくは気液混合であってもよい)は、第二精留塔4の下段精留部42または中間精留部43から配管L42を介して導出され、第三精留塔5(第一粗アルゴン精留塔)の塔底部51または精留部53の下段へ導入される。
【0019】
高純度窒素ガス(GAN)は、第二精留塔4の塔頂部45から配管L45を介して導出され、サブクーラE2で熱交換した後で、主熱交換器E1へ導入され熱交換された後で製品窒素(Nitrogen)として排出される。
【0020】
第二精留塔4の上段精留部44または中間精留部43から配管L43を介して導出され、サブクーラE2で熱交換した後で、主熱交換器E1へ導入され熱交換された後で排ガス(Waste gas)として排出される。
本実施形態では、配管L322と配管L43(第三凝縮部8からの配管L811も合流した配管L43)を介して主熱交換器E1に導入された排ガスは、主熱交換器E1の中間からでて、膨張タービンETに送られてタービン駆動に使用された後、再び主熱交換器E1に戻されて排ガス(Waste gas)として排出される。
【0021】
(粗アルゴン精留塔)
第三精留塔5は、アルゴン含有酸素富化物を精留し、アルゴン富化物を得る。アルゴン富化物(ガス状、液体状もしくは気液混合であってもよい)は、配管L55を介して第三精留塔5の精留部53の上段または塔頂部55から導出され、第四精留塔7(純アルゴン精留塔)の精留部73へ導入される。アルゴン含有酸素富化物の精留液は、第三精留塔5の塔底部51から配管L51を介して導出され、第二精留塔4の下段精留部42または中間精留部43へ戻される。アルゴン含有酸素富化物の精留ガス(アルゴンガス)は、第三精留塔5の塔頂部55から配管L52を介して導出され、第二凝縮部6へ送られ、凝縮(液化)された後で塔頂部55へ戻される。
第二凝縮部6の下部から配管L61を介して導出される酸素富化液の精留液は、第二精留塔4の中間精留部43へ導入される。第二凝縮部6の塔頂部から導出される酸素富化液の精留液からのガスは、配管L62を介して第二精留塔4の中間精留部43へ導入される。
【0022】
(純アルゴン精留塔)
第四精留塔7は、第三精留塔5の精留部53または塔頂部55から導出されるアルゴン富化物(ガス状、液体状もしくは気液混合であってもよい)が精留部73へ導入され、精留する。
第三凝縮部8は、第四精留塔7の塔頂部75から導出されるアルゴンガスが導入される。第三凝縮部8で凝縮されたアルゴン液は第四精留塔7へ戻される。第四精留塔7の塔底部71に貯留されるアルゴン液は、リボイラー9へ送られる。リボイラー9からのガスは、第四精留塔7へ導入される。
第一精留塔2の塔頂部25から配管L25aを介して窒素含有液(LIN)がリボイラー9の冷熱として導入される。配管L25aに弁V3で圧力調整されて供給される。リボイラー9で熱交換された窒素含有液(LIN)は、導入配管L92を介して第三凝縮部8へ送られる。導入配管L92に、減圧弁V4が設けられている。第三凝縮部8に導入された窒素含有液(LIN)は、第三凝縮部8で冷熱として利用される。第三凝縮部8の塔頂から、ガス(窒素含有ガス)が、還流配管L81を介して、第二精留塔4の中間精留部43または上段精留部44へ送られる。
リボイラー9の下部から導出配管L91を介して液体アルゴン(高純度アルゴン液LAr)が製品アルゴン液として取り出すことができる。
【0023】
本実施形態では、還流配管L81から分岐する分岐配管L811が設けられている。還流配管L81に仕切弁V8が設けられ、分岐配管L811に仕切弁V7が設けられている。
制御部C8は、第三凝縮部8の駆動開始から所定期間は、第三凝縮部8から導出される窒素含有液(LIN)を分岐配管L811へ送るように仕切弁V7を開け、仕切弁V8を閉じる制御をし、所定期間経過後に、第三凝縮部8から導出される窒素含有液(LIN)を還流配管L81へ送るように仕切弁V8を開け、仕切弁V7を閉じる制御をする。「所定期間」は、例えば、安定駆動されるまでの時間であり、試験運転、経験測などで設定されてもよい。「所定期間」とは、例えば、還流配管L81の窒素ガス濃度を窒素ガス濃度測定部(不図示)で測定した場合、純度99%以上になるまでの時間のことである。「所定期間」の具体的な時間として、例えば、12時間が例示される。
分岐配管L811は、配管L43と合流し、サブクーラE2で熱交換した後で、主熱交換器E1へ導入され熱交換された後で排ガス(Waste gas)として排出される。
【0024】
(別実施形態)
(1)第一精留塔2の塔底部21から導出される酸素富化液は、サブクーラE2で熱交換された後で、第二精留塔4の中間精留部43へ導入されてもよい。
(2)サブクーラはあってもなくてもよい。
(3)主熱交換器E1はあってもなくてもよい。また、主熱交換器E1より上流側に原料空気を清浄化する清浄装置が設けられていてもよい。
(4)各精留塔には、温度計、圧力計、液面レベル計などが設けられていてもよい。
(5)各配管には、温度計、圧力計、流量計、各種弁(例えば、圧力調整弁、流量調整弁、仕切弁)などが設けられいてもよい。
(6)膨張タービンETは、無くてもよい。
(7)分岐配管L811および弁V7は、無くてもよい。
(8)制御部C8は、各種弁(仕切弁V7、仕切弁V8等)のすべてを制御していてもよく、別実施形態として、各種弁を制御する制御部がそれぞれの各種弁に対応して設けられていてもよい。さらに、制御部C8が各種弁を制御する各制御部を制御していてもよい。
【0025】
(実施例)
図1の構成において、還流配管L81での還流を行わず、配管L811で排ガスとして排出した比較例に比べ、還流配管L81で還流をした実施例では、窒素の回収率が1%~2%向上したことをシミュレーションにより確認した。
【符号の説明】
【0026】
1 空気分離装置
2 第一精留塔(高圧精留塔)
3 第一凝縮部
4 第二精留塔(低圧精留塔)
5 第三精留塔(粗アルゴン精留塔)
6 第二凝縮部
7 第四精留塔(純アルゴン精留塔)
8 第三凝縮部
9 リボイラー
E1 主熱交換器
E2 サブクーラ
L81 還流配管
L811 分岐配管
C8 制御部
【要約】
【課題】純アルゴン精留塔の凝縮部から導出されるガスから窒素ガスの回収を可能とする、粗アルゴン精留塔および純アルゴン精留塔を備える空気分離装置を提供する。
【解決手段】空気分離装置1は、第一精留塔2と、第一凝縮部3と、第二精留塔4と、第三精留塔5と、第二凝縮部6と、第四精留塔と、第三凝縮部8と、第三凝縮部8から導出されるガスを、第二精留塔4へ還流させる還流配管L81を備える。また、還流配管L81から分岐する分岐配管L811と、第三凝縮部8の駆動開始から所定期間は、第三凝縮部8から導出されるガスを分岐配管811へ送るように弁の開閉制御し、所定期間経過後に、第三凝縮部8から導出されるガスを還流配管L81へ送るように弁の開閉制御をする制御部C8を備える。
【選択図】図1
図1