(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】例えばタップ付きリニアドライバ用の、MOSFET回路、及びサージ保護方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/48 20200101AFI20220901BHJP
【FI】
H05B45/48
(21)【出願番号】P 2022508836
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072219
(87)【国際公開番号】W WO2021028330
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/100214
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(74)【代理人】
【識別番号】100216390
【氏名又は名称】竹尾 もえ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ チェングー
(72)【発明者】
【氏名】ハン シャオウェイ
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158106(JP,A)
【文献】特開2013-207553(JP,A)
【文献】特開2001-245466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/48
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧に接続されるドレインと、ゲートと、ソースとを含む第1MOSFET、
前記ソースと、前記ゲートを使用して前記第1MOSFETのスイッチングを制御するゲート制御ノードとの間に接続される一方向性回路構成要素、及び
前記ゲート制御ノードと基準電圧との間に接続される閾値回路を有するMOSFET回路であって、
前記閾値回路が、前記ソースにおける電圧が、電圧閾値レベルを
超えるときに、前記ゲート制御ノードにおける電圧をクランプ電圧レベルにクランプし、
前記一方向性回路構成要素を前記ソースから前記ゲート制御ノードへの方向において導通状態にさせ、前記閾値回路の導通を可能にさせ、それによって、前記ゲート制御ノードを、前記第1MOSFETをオフにするような電圧に保持するよう適合されるMOSFET回路。
【請求項2】
前記一方向性回路構成要素が、前記ソースと前記ゲート制御ノードとの間に、前記一方向性回路構成要素の順方向導通方向で接続され、前記閾値回路が、前記ソースにおける電圧が電圧閾値レベルを超えるときに、前記ソースから前記ゲート制御ノードへの前記一方向性回路構成要素を介した順方向導通を可能にすることによって、前記ゲート制御ノードにおける電圧をクランプ電圧レベルにクランプするように適合され、
前記閾値回路が、前記入力電圧からデカップリングされる請求項1に記載のMOSFET回路。
【請求項3】
前記第1MOSFETが、Nチャネルであり、前記ゲート制御ノードが、前記ゲートであり、前記一方向性回路構成要素を介した導通、及び前記閾値回路の導通が、前記ゲートを、前記ソースにおける電圧より低い電圧に保持する請求項1又は2に記載のMOSFET回路。
【請求項4】
前記第1MOSFETが、Pチャネルであり、前記第1MOSFETが、Nチャネルのゲート駆動MOSFETを含むゲート駆動回路を有し、前記ゲート制御ノードが、前記ゲート駆動MOSFETのゲートであり、前記一方向性回路構成要素を介した導通、及び前記閾値回路の導通が、前記ゲート駆動MOSFETをオフにし、それによって、前記第1MOSFETをオフにする請求項1又は2に記載のMOSFET回路。
【請求項5】
前記一方向性回路構成要素が、ダイオードを有し、且つ/又は
前記閾値回路が、ツェナーダイオードを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のMOSFET回路。
【請求項6】
前記MOSFET回路が、前記第1MOSFETを含む複数のMOSFETの直列接続を有し、
前記回路が、各々が前記MOSFETのうちのそれぞれの1つのソースとゲート制御ノードとの間に接続される複数の一方向性回路構成要素を有し、
各MOSFETの前記ゲート制御ノードと前記基準電圧との間に前記閾値回路が接続され、
前記閾値回路が、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにおける電圧を、それぞれのMOSFETの前記ソースにおける電圧が、それぞれの電圧閾値レベルを超え、それによって、それぞれの一方向性回路構成要素を介した順方向導通、及び前記閾値回路の導通を可能にするときに、前記クランプ電圧レベルにクランプし、それによって、それぞれのMOSFETをオフにするよう適合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載のMOSFET回路。
【請求項7】
前記閾値回路が、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにそれぞれの更なる一方向性回路構成要素を介して接続される共有ツェナーダイオードを有する請求項6に記載のMOSFET回路。
【請求項8】
LEDセクションのセットを直列に含むLEDストリングと、
請求項6又は7に記載のMOSFET回路であって、各LEDセクションが、前記
複数のMOSFETのうちのそれぞれの1つに関連付けられ、各MOSFETが、関連する前記LEDセクションにバイパス電流経路を供給するMOSFET回路と、
前記入力電圧の瞬時振幅に一致する、バイパスされていない前記LEDセクションの順方向電圧を与えるよう、前記LEDセクションのうちの少なくとも1つをバイパスするために、前記入力電圧の前記瞬時振幅に依存して前記MOSFETのゲート電圧を制御するためのコントローラとを有するタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項9】
各LEDセクションと並列のそれぞれのコンデンサ、並びに関連する前記MOSFETと前記コンデンサ及び前記LEDセクションの並列回路との間のダイオードを更に有する請求項8に記載のタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項10】
整流器を更に有し、前記整流器が、AC電圧を受け取るための入力を有し、前記整流器の出力が、前記MOSFET回路のための前記入力電圧を有する請求項8又は9に記載のタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項11】
前記LEDストリングと直列に電流源回路を更に有し、前記コントローラが、更に、前記電流源回路を制御する
よう構成される請求項8乃至10のいずれか一項に記載のタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項12】
前記入力電圧と接地との間にコンデンサ構成を更に有する請求項8乃至11のいずれか一項に記載のタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項13】
前記コンデンサ構成が、前記LEDストリング全体と並列の第1コンデンサ、及び前記電流源回路と並列の第2コンデンサを有する請求項12に記載のタップ付きリニアLEDドライバ。
【請求項14】
MOSFET回路のためのサージ保護方法であって、前記MOSFET回路が、
入力電圧に接続されるドレインと、ゲートと、ソースとを含む第1MOSFET、
前記ソースと、前記ゲートを使用して前記第1MOSFETのスイッチングを制御するゲート制御ノードとの間に接続される一方向性回路構成要素、及び
前記ゲート制御ノードと基準電圧との間に接続され、前記入力電圧からデカップリングされる閾値回路を有し、
前記方法が、
前記閾値回路を使用して、前記ソースにおける電圧が、閾値電圧レベルを
超えるときに、前記ゲート制御ノードにおける電圧の、クランプ電圧レベルへの電圧クランプを実施し、
前記一方向性回路構成要素を前記ソースから前記ゲート制御ノードへの方向において導通状態にさせ、前記閾値回路の導通を可能にさせ、それによって、前記ゲート制御ノードを、前記第1MOSFETをオフにするような電圧に保持するステップを有するサージ保護方法。
【請求項15】
タップ付きリニアLEDドライバに適用され、前記タップ付きリニアドライバが、LEDセクションのセットを含むLEDストリングを有し、各LEDセクションが、前記MOSFET回路のそれぞれのMOSFETに関連付けられ、前記方法が、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにおける電圧の、クランプ電圧レベルへの電圧クランプを、前記入力電圧におけるサージ事象の場合にそれぞれのMOSFETの前記ソースにおける電圧がそれぞれの閾値電圧レベルを超えるときに、実施するステップを有する請求項14に記載のサージ保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、MOSFET回路に関し、例えばLED照明負荷を駆動するための、タップ付きリニアドライバ回路にとってとりわけ興味深い。
【背景技術】
【0002】
背景技術
【0003】
LEDのためのタップ付きリニアドライバ(TLD)はよく知られている。それらは、スイッチモードドライバとは異なり、ドライバの電磁干渉(EMI)性能を劣化させる高周波スイッチング要素を含まない。
【0004】
スタック構成(stacked arrangement)においては、駆動されるべきLEDが、直列ストリングに配設され、ストリングのセクションが、それぞれのバイパススイッチによって選択的にバイパスされる。各セクションは、一般に、一連の個別のLEDを有する。スイッチング動作は、主電源周期中の様々な時点における主電源電圧を、必要とされるLED順方向電圧と一致させることを目的とする。そうすることによって、TLDは、スイッチモードドライバに匹敵する高い効率を維持する。
【0005】
TLDのための多くのトポロジが知られている。一般に、TLDに完全に整流された入力を供給するために入力に整流器が設けられる。
【0006】
基本的なスタックトポロジ(stacked topology)は、単一の電流源を使用し、それぞれのLED又はLEDのグループの周りにバイパススイッチを有する。
【0007】
バイパススイッチの制御は、電圧ベースの制御を使用して達成されてもよい。これは、瞬時入力電圧を測定し、入力電圧とLED電圧とが一致させられるようにスイッチを制御することを含む。他の例においては、スイッチの電流ベースの制御は、スイッチが、通常は閉じられており、電流が或る特定の予め設定されたレベルを超える場合にのみ開くという原理に基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TLDへの入力における電圧サージの事象において、及び広くはMOSFET回路のサージ事象がある場合に、問題が生じる。サージ事象は、回路ノードにおける電圧の上昇を引き起こし、これらの上昇した電圧は、1つ以上のMOSFETなどの回路構成要素によって許容される必要がある。
【0009】
より低い定格の構成要素でサージ事象に耐えることができることは望ましいだろう。
【0010】
US20140265861A1は、サージ制御回路が、BUS上の入力電圧を検出してMOSFETをオフにするMOSFET及びサージ制御回路を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の概念は、例えばソースとドレインとの間の電圧サージ事象に応答して、(MOSFETがオンであったことを意味する)ソース電圧が閾値レベルを超えるときにMOSFETをオフにするようMOSFETゲート電圧をクランプするMOSFET回路を提供することにある。それ故、サージ電圧はMOSFETの両端には印加されず、MOSFETは保護される。NMOSの或る特定の例においては、このようなサージ事象の間は、MOSFETをオフにするよう、ゲートが、ソースにおける電圧より低い電圧に保持されるが、通常動作の間は、そうではない。これは、入力電圧の望ましくない上昇からの自動的な保護を提供する。
【0012】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0013】
本発明によれば、
入力電圧に接続されるドレインと、ゲートと、ソースとを含む第1MOSFET、
前記ソースと、前記ゲートを使用して前記第1MOSFETのスイッチングを制御するゲート制御ノードとの間に接続される一方向性回路構成要素、及び
前記ゲート制御ノードと基準電圧との間に接続される閾値回路を有するMOSFET回路であって、
前記閾値回路が、前記ソースにおける電圧が、電圧閾値レベルを超え、前記一方向性回路構成要素及び前記閾値回路を順方向導通させるときに、前記ゲート制御ノードにおける電圧をクランプ電圧レベルにクランプし、それによって、前記ゲート制御ノードを、前記第1MOSFETをオフにするような電圧に保持するよう適合されるMOSFET回路が提供される。
【0014】
このMOSFET回路は、前記入力電圧の望ましくない上昇からの保護を提供する。MOSFETがオンにされるとき、前記入力電圧の上昇に応じてソース電圧が上昇する。これらの上昇した電圧から前記MOSFETを保護するために、前記MOSFETは自動的にオフにされる。これは、前記ソースにおける電圧が、前記一方向性回路構成要素が導通するほど十分に高いときに、前記ゲート制御ノードが前記閾値回路の前記クランプ電圧レベルに達したことから、起こる。これは、例えばNチャネルMOSFETの場合には、前記ゲートを前記ソース電圧より低く保持することによって、前記MOSFETをオフにする。従って、ゲート電圧をクランプすることによって、前記ソース電圧がクランプされ、前記MOSFETがオフにされる。
【0015】
このやり方においては、前記MOSFETがさらされる電圧(又は電圧差)が低減されることができる。これは、より低電圧の構成要素が使用され得ることを意味する。
【0016】
実施形態においては、前記閾値回路(D17、R4、D13)は、前記入力電圧からデカップリング(decouple)される。この実施形態は、入力電圧検出に基づくサージ保護を除外する。
【0017】
前記一方向性回路構成要素は、例えば、前記ソースと前記ゲート制御ノードとの間に、前記一方向性回路構成要素の順方向導通方向(forward conduction direction)で接続され、前記閾値回路は、前記ソースにおける電圧が電圧閾値レベルを超えるときに、前記ソースから前記ゲート制御ノードへの前記一方向性回路構成要素を介した順方向導通(forward conduction)を可能にすることによって、前記ゲート制御ノードにおける電圧をクランプ電圧レベルにクランプするように適合される。
【0018】
従って、この一方向性回路構成要素は、前記ソース電圧が、前記閾値回路によって設定される最大ゲート制御ノード電圧を超えて上昇するときに、前記ソースから前記ゲート制御ノードへの導通経路を供給する。
【0019】
例の第1セットにおいては、前記第1MOSFETは、Nチャネルであり、前記ゲート制御ノードは、前記ゲートであり、前記一方向性回路構成要素を介した導通、及び前記閾値回路の導通は、前記ゲートを、前記ソースにおける電圧より低い電圧に保持する。従って、前記ゲートは、ローにプル(pull)されて、NチャネルのMOSFETをオフにすることができる。
【0020】
例の第2セットにおいては、前記第1MOSFETは、Pチャネルであり、前記第1MOSFETは、Nチャネルのゲート駆動MOSFETを含むゲート駆動回路を有し、前記ゲート制御ノードは、前記ゲート駆動MOSFETのゲートであり、前記一方向性回路構成要素を介した導通、及び前記閾値回路の導通は、前記ゲート駆動MOSFETをオフにし、それによって、前記第1MOSFETをオフにする。
【0021】
PチャネルのMOSFETのゲートのプルダウンは、トランジスタをオンにする。従って、プルダウンされた電圧が前記PチャネルのMOSFETをオフにするために使用されることができるように、ゲート駆動回路が使用される。前記ゲート駆動MOSFETは、インバータとして機能する。
【0022】
前記一方向性回路構成要素は、ダイオードを有してもよい。
【0023】
このダイオードは、前記ソース電圧が、前記閾値回路によって設定される最大ゲート制御ノード電圧を超えて上昇するときに、前記ソースと前記ゲート制御ノードとの間の導通経路を供給する。
【0024】
前記閾値回路は、前記入力電圧のサージ事象に応答して、前記ゲート制御ノードにおける電圧をクランプするよう適合されてもよい。従って、前記MOSFETは、最大許容サージ事象の電圧に耐える必要はない。
【0025】
前記閾値回路は、例えば、ツェナーダイオードを有する。前記閾値回路は、前記ツェナーダイオードと直列に電流制限抵抗器も有してもよい。前記電流制限抵抗器は、前記閾値回路の構成要素を保護する。
【0026】
前記回路は、例えば、前記第1MOSFETを含む複数のMOSFETの直列接続を有し、前記回路は、各々が前記MOSFETのうちのそれぞれの1つのソースからゲート制御ノードへその順方向導通方向で接続される複数の一方向性回路構成要素を有し、各MOSFETの前記ゲート制御ノードと前記基準電圧との間に前記閾値回路が接続され、前記閾値回路は、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにおける電圧を、それぞれのMOSFETの前記ソースにおける電圧が、それぞれの電圧閾値レベルを超え、それによって、それぞれの一方向性回路構成要素を介した順方向導通、及び前記閾値回路の導通を可能にするときに、前記クランプ電圧レベルにクランプし、それによって、それぞれのMOSFETをオフにするよう適合される。
【0027】
この場合には、前記閾値回路は、前記入力電圧の上昇を、複数のMOSFETに分けることを可能にし、故に、各個別のMOSFETの電圧処理能力は更に下げられることができる。
【0028】
前記閾値回路は、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにそれぞれの更なる一方向性回路構成要素を介して接続される共有ツェナーダイオードを有してもよい。
【0029】
前記更なる一方向性回路構成要素(例えば、ダイオード)は、前記ゲート間に絶縁を供給し、故に、前記MOSFETは、独立して駆動され得る。しかしながら、前記閾値回路は、前記クランプ電圧を設定するために共有ツェナーダイオードを使用する。従って、追加の回路のオーバーヘッドは低レベルに保たれる。
【0030】
本発明は、
LEDセクションのセットを直列に含むLEDストリングと、
上記で規定されているようなMOSFET回路であって、各LEDセクションが、前記MOSFETのうちのそれぞれの1つに関連付けられ、各MOSFETが、関連する前記LEDセクションにバイパス電流経路を供給するMOSFET回路と、
前記入力電圧の瞬時振幅に一致する、バイパスされていない前記LEDセクションの順方向電圧を与えるよう、前記LEDセクションのうちの少なくとも1つをバイパスするために、前記入力電圧の前記瞬時振幅に依存して前記MOSFETのゲート電圧を制御するためのコントローラとを有するタップ付きリニアLEDドライバも提供する。
【0031】
タップ付きのリニアドライバ(TLD)、とりわけバイナリTLDは、前記MOSFET回路の或る好ましい用途である。
【0032】
前記タップ付きリニアLEDドライバは、各LEDセクションと並列のそれぞれのコンデンサ、並びに関連する前記MOSFETと前記コンデンサ及び前記LEDセクションの並列回路との間のダイオードを更に有してもよい。
【0033】
前記タップ付きリニアLEDドライバは、整流器を更に有してもよく、前記整流器は、AC電圧を受け取るための入力を有し、前記整流器出力の出力は、前記MOSFET回路のための前記入力電圧を有する。
【0034】
従って、前記入力電圧は、整流されたAC信号である。それは、時間と共に変化する電圧を有する。前記コントローラは、既知のやり方で、予め整流されたAC入力の特定の位相に対応する、この入力電圧のレベルに依存して、前記MOSFETを制御し、従って、バイパス機能を制御する。
【0035】
前記タップ付きリニアLEDドライバは、前記LEDストリングと直列に電流源回路を更に有してもよく、前記コントローラは、更に、前記電流源回路を制御するためのものである。コンデンサ構成が、例えば、前記入力電圧と接地との間にある。
【0036】
このコンデンサ構成は、瞬間的なサージ電流を吸収し、従って、MOSFETからそらすことを可能にすることによって、電磁両立性(EMC)の向上を提供する。
【0037】
前記コンデンサ構成は、前記LEDストリング全体と並列の第1コンデンサ、及び前記電流源回路と並列の第2コンデンサを有してもよい。
【0038】
前記第1コンデンサが、瞬間的なサージ電流を吸収し、従って、MOSFETからそらすことを可能にすることによって、電磁両立性(EMC)の向上を提供する。前記第2コンデンサは、前記第1コンデンサと共に分圧器として機能し、それによって、サージ事象があるときに前記電流源の両端の電圧を設定する。前記第2コンデンサはまた、EMCを向上させると共に、全高調波歪みを低減させる可能性がある。
【0039】
本発明は、MOSFET回路のためのサージ保護方法であって、前記MOSFET回路が、
入力電圧に接続されるドレインと、ゲートと、ソースとを含む第1MOSFET、
前記ソースと、前記ゲートを使用して前記第1MOSFETのスイッチングを制御するゲート制御ノードとの間に接続される一方向性回路構成要素、及び
前記ゲート制御ノードと基準電圧との間に接続される閾値回路を有し、
前記方法が、
前記閾値回路を使用して、前記ソースにおける電圧が、閾値電圧レベルを超え、前記ソースと前記ゲート制御ノードとの間の前記一方向性回路構成要素、及び前記閾値回路を順方向導通させるときに、前記ゲート制御ノードにおける電圧の、クランプ電圧レベルへの電圧クランプを実施し、それによって、前記ゲート制御ノードを、前記第1MOSFETをオフにするような電圧に保持するステップを有するサージ保護方法も提供する。
【0040】
これは、上記で規定されている前記MOSFET回路によって実施される方法である。
【0041】
前記サージ保護方法は、タップ付きリニアLEDドライバに適用されてもよく、前記タップ付きリニアドライバは、LEDセクションのセットを含むLEDストリングを有し、各LEDセクションは、前記MOSFET回路のそれぞれのMOSFETに関連付けられ、前記方法は、各MOSFETの前記ゲート制御ノードにおける電圧の、前記クランプ電圧レベルへの電圧クランプを、前記入力電圧におけるサージ事象の場合にそれぞれのMOSFETの前記ソースにおける電圧がそれぞれの閾値電圧レベルを超えるときに、実施するステップを有する。
【0042】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について詳細に説明する。
【
図1】既知のタップ付きリニアドライバアーキテクチャを簡略された形態で示す。
【
図3】例として、サージ事象の前後のコントローラの出力電圧のうちの1つを示す。
【
図4】本発明の例による、NチャネルのMOSFETをベースとした、
図2の回路の修正例を示す。
【
図6】
図2の回路及び
図4の回路についての電流源の両端の電圧を示す。
【
図7】本発明の例による
図2の回路のPチャネルのバージョンへの修正例を示す。
【
図8】本発明が適用された、ハーフブリッジをベースとした共振コンバータ回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図を参照して本発明について説明する。
【0045】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0046】
本発明は、例えばソースとドレインとの間の電圧サージ事象に応答して、ソース電圧が閾値レベルを超えるときに(直接、又はゲート制御回路を介して)MOSFETゲート電圧をクランプするMOSFET回路を提供する。とりわけ、このようなサージ事象の間は、ゲートが、第1MOSFETをオフにするための、ソースを基準とする電圧に保持されるが、通常動作の間は、そうではない。これは、特にMOSFETがスイッチング中にオン状態にあるときの、入力電圧の望ましくない上昇からの自動的な保護を提供する。ゲート(又はゲート制御ノード)と基準電圧との間には閾値回路が接続される。ソースにおける電圧が、電圧閾値レベルを超えるときは、ソースとゲート(又はゲート制御ノード)との間の導通が許され、閾値回路の導通も許される。
【0047】
図1は、一般的な動作原理を説明するために、タップ付きリニアドライバの基本的なスタックトポロジを簡略化された概略的な形態で示している。リニアドライバ回路は、入力として全波整流主電源信号を受信する。整流器は、示されていないが、一般に、ダイオードブリッジ回路を有する。単一の電流源10が、セクションD1、D2、D3、D4を有するLEDストリングを通る電流を引き出す。各セクションは、1つ以上のLEDを直列に有し、場合により、抵抗器も有する。
【0048】
各セクション内のLEDの数は、他のセクションと同じであってもよく、又は異なっていてもよく、各々、(異なるセクションは異なる色である)同じ色のLEDの集合体であってもよい。他の例においては、全てのLEDが同じ色であってもよく、セクションが異なる色のLEDを有してもよい。
【0049】
セクションD1から最後のセクションD4の全てのセクションが、示されているようにそれぞれの並列バイパススイッチS1、S2、S3、S4を有する(但し、D1については、D1が常に接続されるバージョンにおいては、並列バイパススイッチは省略されてもよい)。
【0050】
スイッチは、LEDストリング(即ち、バイパスされていないセクション)の両端の電圧を、主電源電圧サイクルの各整流された半周期の間の特定の時点における主電源電圧に合わせるよう動作される。電流源10は、LEDに供給されるべきである電力に対応する必要とされる電流(好ましくは、低い全高調波歪みのための正弦波)をLEDに供給する。
【0051】
瞬時整流主電源電圧と、接続されているセクションのLED電圧との間の差は、電流源10を通して小さくされる。このやり方においては、電流源10を通してエネルギが消散される。
【0052】
スイッチS1乃至S4を制御するための或る手法は、コントローラ12を使用してスイッチの電圧ベースの制御を提供するものである。瞬時入力電圧が、コントローラ12によって測定され、入力電圧と、合計LEDセクション電圧とを合わせるために、スイッチが切り替えられる。そうすることによって、線形電流源103における損失は最小限に抑えられる。
【0053】
スイッチS1乃至S4を制御するための他の手法は、バイパススイッチが通常は閉じられている電流ベースの制御を使用するものである。前記スイッチは、電流が或る特定の予め設定されたレベルを超えるときに開く。このやり方においては、電圧情報が必要とされず、スイッチを流れる電流に基づいてスイッチングが行われる。
【0054】
同様に、インダクタ又はコンデンサのような電力転流構成要素(power commutation component)を備えるスイッチモード電源の場合は、スイッチ又はスイッチ構成が、電力転流を制御するよう高周波でオン及びオフに切り替えられる。これについては、
図8を参照することによって、より詳細に説明する。
【0055】
要するに、スイッチがオンである瞬間がある。その瞬間にサージが来るときには、スイッチの両端にサージが印加され、これはスイッチに損傷を与え得る。
【0056】
図2は、
図1の回路の、バイパススイッチの電圧ベースの制御での実施例をより詳細に示している。
【0057】
各LEDセクションD1乃至D4は、この例においてはNチャネルのMOSFET M1乃至M4として実施されている、関連する並列バイパススイッチを有する。
【0058】
TLD回路、とりわけスタックTLDの問題は、LEDに脈動DC電流を供給することによる光のちらつきである。その脈動の周波数は、主電源電圧の周波数の2倍、即ち、100Hz又は120Hzである。この脈動が、光のちらつきとして見られる。
【0059】
この問題に対処するために、電解コンデンサC1乃至C4が、各LEDセクションと並列に1つずつ追加される。そうすることによって、LEDの低いリップルと高い力率との両方が維持される。
【0060】
並列コンデンサC1乃至C4は、ダイオードD5乃至D8によってデカップリングされる。これらは、隣接する2つのLEDセクション間の接合部に1つのデカップリングダイオードが存在するように、主発光ダイオードセクションD1乃至D4と直列にある。例えば、デカップリングダイオードD6は、LEDセクションD1及びD2の間に直列にある。
【0061】
関連するスイッチが非導通状態にあるときは、電流源によって引き出される駆動電流が、LEDセクションと並列のコンデンサを充電し、スイッチが導通状態にあるときは、コンデンサが、LEDセクションへ放電される。このやり方においては、電流の脈動は低減され、従って、光のちらつきは低減される。
【0062】
各スイッチと直列にあるデカップリングダイオードD5乃至D8は、スイッチが導通状態にあり、LEDセクションがバイパスされているときに、コンデンサがスイッチM1乃至M4を介して放電するのを防止する。
【0063】
前記回路は、MOSFET M1乃至M4の直列接続を有する。各MOSFETは、ソース、ドレイン及びゲートを有する。第1MOSFET M1は、入力電圧BUSに接続されるそのドレインを有する。最後のMOSFET M4は、電流源10に接続されるそのソースを有し、電流源10は、コントローラ12によって制御されるそのゲート電圧を有する更なるMOSFET M5として実施されている。
【0064】
各MOSFETのゲートは、その導通状態を制御する。より広くは、制御信号が印加されるゲート制御ノードが存在する。
図2の場合には、ゲート制御ノードは、実際のゲートであるが、以下に説明するように、MOSFETの制御のためのコマンド信号と実際のゲートとの間のインターフェースとなる回路が各MOSFETのためにあってもよい。
【0065】
各バイパススイッチMOSFET M1乃至M4は、ソースからゲートへ(より広くは、ソースとゲート制御ノードとの間に)その順方向導通方向で接続される一方向性回路構成要素、とりわけダイオードを有する。これらのダイオードは、D18乃至D21として示されている。これらのダイオードは、追加される回路構成要素であってもよく、又はMOSFETパッケージの一部であってもよい。
【0066】
図2は、更に、ダイオードD9乃至D12のフルダイオードブリッジ整流器として形成され、ライブ及びニュートラル主電源入力を受け取り、整流されたバス電圧BUSをドライバ回路に供給する入力整流器を示している。
【0067】
分圧器R2、R3、及びフィルタコンデンサC5は、コントローラ12によって、バイパススイッチM1乃至M4の動作のタイミングを計るために使用される、瞬時入力電圧の検出を提供する。電流検出抵抗器R1は、所望の電流を供給するための電流源M5の制御を可能にするためにコントローラ12に供給されるフィードバック電圧を生成するために使用される。
【0068】
この回路の問題は、構成要素、とりわけバイパススイッチM1乃至M4が、起こり得るサージ事象を考慮に入れるよう設計される必要があることである。
【0069】
屋外の10kVサージアプリケーションの場合は、一般に、照明器具にサージ保護デバイスが設けられる。これは、ドライバへの残留電圧入力を、2kVの残留電圧入力に制限する。既知のドライバ設計においては、この残留電圧は、
図2において示されているように、電圧依存抵抗器VDRを使用してバスラインにおいて794Vにクランプされる。
【0070】
このトポロジにおいては、MOSFET M1乃至M4は、バイナリ規則(binary rule)に従ってオン及びオフに切り替えている。スイッチング期間中、MOSFET M1乃至M4のオン状態は、状態「1」と定義されることができ、オフ状態は状態「0」と定義されることができる。入力主電源電圧の位相が、0°から90°(最大)へ進み、次いで、90°から180°へ進むにつれて、MOSFET M1乃至M4は、バイナリ状態「0000」からバイナリ状態「1111」へ切り替わり、次いで、バイナリ状態「1111」からバイナリ状態「0000」へ戻る。主電源入力の整流により、180°から360°までの主電源電圧の位相に対しては同じプロセスが生じる。
【0071】
MOSFET M1乃至M4の、オンにされるときのドレイン・ソース間電圧は、VM1on乃至VN4onと示され得る。M5のドレイン・ソース間電圧は、VM5と示される。
【0072】
サージ事象の間の残留バス電圧は、Vbusと示され得る。
【0073】
ダイオードの順方向電圧は、デカップリングダイオードについてはVD5乃至VD8と示されることができ、ソース・ゲート間ダイオードについてはVD18乃至VD21と示されることができる。
【0074】
コントローラ12の出力制御ピンにおける電圧は、Vout1乃至Vout4であり、これらの電圧は、MOSFET M1乃至M4のゲートに印加される。
【0075】
MOSFET M1乃至M4の如何なる状態でもサージ事象は生じ得る。最も悪い状態は、M1乃至M4の各々がオンにされている「1111」である。このような場合には、回路における電圧は、
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
であり得る。
【0076】
従って、電流源MOSFET M5の電圧は、0V(位相角ゼロにおける主電源)からサージ限界近く、この例においては794Vまで、Vbusに追従する。
【0077】
M5のドレイン・接地間接続は、通常、大きな寄生コンデンサを有するので、i(t)=C*(dv/dt)により、バイパスMOSFET M1乃至M4は、非常に大きな瞬時衝撃電流を有する。
【0078】
従って、MOSFET及びICピンの電圧は、残留サージ電圧Vbusに近く、非常に大きな瞬時衝撃電流がトランジスタM1乃至M4を流れることが分かる。
【0079】
この問題に対処するための既知の手法は、残留サージ電圧に耐えることができるコントローラ及びMOSFETを使用し、サージ電流に耐えることができるMOSFETを選択するものである。これは、コストを増大させ、より多くのスペースを必要とする。
【0080】
図3は、例として、サージ事象の前後の電圧Vout1を示している。
【0081】
サージ事象はピンVout1に残留サージ電圧(例えば794V)をもたらすことが分かる。
【0082】
図4は、本発明の例による
図2の回路の修正例を示している。
図2と同じ構成要素には、同じ参照符号が付与されており、説明は繰り返さない。
【0083】
図2と比較した修正点は、各バイパスMOSFET M1乃至M4のゲート(従って、より広くは、上記で説明したようなゲート制御ノード)と、基準電圧Vrefとの間に閾値回路を追加することである。
【0084】
閾値回路は、基準電圧に接続するツェナーダイオードD13、及びツェナーダイオードと直列の電流制限抵抗器R4を有する。D13は、例えば、350Vの閾値電圧を有する。R4は、10kオーム未満の抵抗値を持ち、サージ抵抗器である。抵抗器R4の、ツェナーダイオードD13の反対側の端子においてノードN1が定義されている。このノードN1は、各バイパスMOSFET M1乃至M4のゲートに、それぞれの更なる一方向性回路構成要素、例えばダイオードD14乃至D17を介して接続する。これらは、以下の記載においてはクランプダイオードと呼ばれる。
【0085】
従って、閾値回路全体が、各バイパスMOSFET M1乃至M4のゲートと、基準電圧Vrefとの間に接続される。閾値回路は、各MOSFETのゲートにおける電圧を、(主に、ツェナーダイオードD13の閾値に依存する、即ち、R4の影響を無視する)クランプ電圧レベルにクランプする。このクランプは、それぞれのMOSFETのソースにおける電圧がそれぞれの電圧閾値レベルを超えるときに行われる。この閾値電圧レベルは、関連するソース・ゲート間ダイオードD18乃至D21がソースからゲートへの方向に導通状態になり、関連するクランプダイオードD14乃至D17が導通状態になるのに十分である。従って、各ソースは、同じ極性で、即ち、ソースからノードN1への順方向導通方向で直列にある2つのダイオード(例えば、D18及びD17)を介してノードN1に接続する。
【0086】
閾値回路は、とりわけ、入力電圧のサージ事象に応答してゲートにおける電圧をクランプするよう適合される。しかしながら、回路の通常の動作電圧は、クランプダイオードD14乃至D17をオンにするのに十分であるソース電圧をもたらさない。
【0087】
それぞれの一方向性回路構成要素(D18乃至D21)と、閾値回路、とりわけ、それぞれのクランプダイオード(D14乃至D17)及び共有ツェナーダイオードD13の導通とを通して、順方向導通が可能にされる。これは、ゲートが(ダイオードD18乃至D21の両端の電圧降下に対応する量だけ)ソースよりも低い電圧にあることから、それぞれのMOSFETをオフにする。
【0088】
サージ事象時に導通している如何なるMOSFETも、非導通状態に切り替わる。従って、スイッチの状態の初めの組み合わせが何であれ、サージ事象に応答して全てのMOSFETがオフにされる。
【0089】
閾値回路は、入力電圧の上昇を、(電流源MOSFET M5を含む)複数のMOSFETに分けることを可能にし、故に、各個別のMOSFETの電圧処理能力は下げられることができる。それは、低コストで、省スペースの解決策を提供し、前記解決策は、EMI(電磁干渉)性能、THD(全高調波歪み)及び高電位性能も改善することができる。
【0090】
図4は、入力電圧BUSと接地との間のコンデンサ構成も示している。コンデンサ構成は、LEDストリング全体と並列の第1コンデンサC6、及び電流源回路M5と並列の第2コンデンサC7を有する。
【0091】
コンデンサC6は、バイパス及びEMCコンデンサである。サージ事象が引き起こされるとき、C6は、瞬時衝撃電流を低減させるようMOSFET M1乃至M4からの電流をバイパスすることができる。通常動作の間、C6は、EMCを向上させるために充電及び放電される。
【0092】
C7は、C6と入力電圧を分圧するために使用される。サージ事象が引き起こされるとき、この分圧は、VM5が、Vbus-VD1-VD2-VD3-VD4近くになることができることを意味し、それと同時に、それはまた、M1乃至M5を通る電流を減少させる。Vbusの最大電圧は既知であり、これに基づいてC6及びC7のための適切な容量値が設定され得る。
【0093】
C7は、EMC及びTHDも改善することができる。MOSFET M1乃至M4のオン及びオフへの切り替えは、インパルス電圧及び電流を生じさせ、故に、C7は、電流及び電圧の変化率を制限するよう、吸収コンデンサとして機能する。
【0094】
回路は、サージ事象があるときはトランジスタをオフにするように動作する。回路動作を分析するために、上記の定義に加えて、バイパスMOSFET M1乃至M4の、オフにされるときのドレイン・ソース間電圧は、VM1off乃至VN4offと定義されることができ、コンデンサC1乃至C4の両端の電圧は、VC1乃至VC4と定義される。これは、
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
を与える。
【0095】
ドライバが正常に動作しているときは、ノードN1における電圧は、D13を通る電流がないように350V未満である。
【0096】
サージ事象が引き起こされるとき、その瞬間にM1がオンである場合には、M1のソース電圧はすぐに350Vを超えて上昇する。M1のゲート電圧はすぐに350Vを超えて上昇し、故に、M1のゲートから接地への電流経路が存在するような、D18、D17、R4、D13の、接地への経路がつながる。この電流が流れるとすぐに、ゲート電圧はソース電圧よりも下がり、故に、MOSFET M1はオフになる。
【0097】
同じやり方で、
D16、R4、D13が、M2のためのオフにする経路を提供し、
D15、R4、D13が、M3のためのオフにする経路を提供し、
D14、R4、D13が、M4のためのオフにする経路を提供する。
【0098】
いずれの場合にも、オフにする経路は、それぞれのMOSFETのソース電圧が閾値電圧を越えて上昇するときに、アクティブになる。この閾値電圧は、例えば、2つのダイオードの順方向電圧の分だけツェナーダイオードD13の閾値電圧より高い、即ち、350V+1.4Vである。
【0099】
抵抗器は、接地への電流を制限し、それによって、ループ内の構成要素が壊されないことを確実にし、MOSFET M1乃至M4のゲートからソースの電圧は、ブレークダウン電圧を超えない。
【0100】
従って、(M1乃至M4のゲート電圧に対応する)Vout1乃至Vout4が(ダイオードD14乃至D17の順方向閾値よりも高いことによって)クランプ電圧を超えるとき、D14乃至D17が導通し、電流がR4及びD13を介して接地へ流れ、MOSFET M1乃至M4はオフに切り替わる。
【0101】
オフに切り替えられるとき、以下の電圧が生じる。
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【0102】
230VACの入力電圧、及び794Vのサージ残留電圧と仮定すると、これは、
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
を与え、従って、
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
を与える。
【0103】
図5は、
図3と同じプロットをプロット50として示している。プロット52は、
図4の回路を使用するVout1のためのものである。
【0104】
図6は、
図2の回路のための電圧VM5をプロット60として示しており、
図4の回路のための電圧VM5をプロット62として示している。
【0105】
本発明は、電圧依存抵抗器VDRによって提供されるクランプ電圧を減少させる必要性をなくす。これは、その場合、通常の主電源電圧により構成要素が故障する可能性がある場合があることから、望ましくない。クランプ電圧が低ければ低いほど、必要とされる構成要素は多くなる。
【0106】
上記の分析から、異なるMOSFETは異なる電圧定格を有し得ることが分かる。
【0107】
例えば、MOSFET M1は、D5、(並列の)C1及びD1でクランプされ、M2は、D6、C2及びD2でクランプされ、以下同様にクランプされる。ダイオードD1乃至D4は、異なる電圧を有する。
【0108】
例として、230VACの入力電圧の場合、ソース・ドレイン間電圧定格は、M1については200V、M2については100V、M3については60V、M4については30Vとすることができる。
【0109】
上記の例は、入力電圧の瞬時振幅に従ってLEDを切り替えるタップ付きリニアドライバを使用して、本発明について説明している。本発明は、LEDが、切り替えられず、固定される単純なリニアドライバにも適用されることができることに留意されたい。
【0110】
上記の例は、NチャネルのMOSFET回路をベースにしている。しかしながら、
図7において示されているように、同じ概念がPチャネルのMOSFET回路に適用され得る。
【0111】
図4と同じ構成要素には、同じ参照符号が付与されており、説明は繰り返さない。MOSFET M1乃至M4は、ここでは、Pチャネルのデバイスである。
【0112】
これは、ゲートがロー基準にプルされる場合に、PチャネルのMOSFETがオンになることを意味し、これは、望まれている機能とは逆の機能である。従って、各MOSFET M1乃至M4は、MOSFETのゲートに接続するゲート制御回路を有する。ゲート制御回路は、小さなNチャネルのMOSFET Q1乃至Q4と、プルアップ抵抗器R5乃至R8とを有する。プルアップ抵抗器は、それぞれのPチャネルのMOSFETのドレインとゲートとの間にある。ゲート制御回路に対する入力は、ゲート制御ノードであり、閾値回路のダイオードD14乃至D17が、このゲート制御ノードと基準電圧との間を接続する。ダイオードD18乃至D21は、ソースとそれぞれのゲート制御ノードとの間を接続する。
【0113】
ソースがハイにプルされるとき、この場合も先と同様に、2つのダイオードを通る、例えば、M1のソースから、ダイオードD18を通り、ダイオードD17を通る導通経路が存在する。これは、Q1のゲートをプルダウンし、このことは、Q1をオフにする。その場合、プルアップ抵抗器R8が、MOSFET M1のゲートをドレイン電圧までプルアップし、このことは、PチャネルのMOSFET M1をオフにする。
【0114】
その他の点では、回路機能は上記の通りである。従って、本発明の概念は、NチャネルのMOSFET回路及びPチャネルのMOSFET回路に適用され得ることが分かる。
【0115】
上記では、NチャネルのTLD回路及びPチャネルのTLD回路に関連して、本発明について説明している。しかしながら、本発明は、より広く、電圧サージにさらされ得るMOSFET回路に適用され、とりわけ、MOSFETの直列接続がある場合に適用される。その場合、本発明は、回路ノードに現れる残留電圧を低減することを可能にする、且つ/又は残留電圧を複数のMOSFET間で分けることを可能にする。
【0116】
図8は、本発明の概念が適用された、ハーフブリッジをベースとしたスイッチモード電源の例に示している。回路は、プルアップ型のNチャネルのMOSFET(pull up n-channel MOSFET) M100と、プルダウン型のNチャネルのMOSFET M200とを含むハーフブリッジを有する。2つのMOSFETは、入力BUSと接地との間に直列にある。これらの2つのMOSFET間の接合部は、コンデンサC300及びインダクタL100から成るLC回路に接続する。インダクタL100は、絶縁変圧器の一次側である。二次側は、負荷(図示せず)に接続する。
【0117】
MOSFETのゲートに印加される通常の制御信号を生成するための回路は、示されていない。前記通常の制御信号は、高周波のスイッチング信号である。
図8は、サージ保護のために追加される回路構成要素しか示していない。基本的には、2つのMOSFETは、交互にオン/オフにされる。
【0118】
MOSFET M100がオンにされているときにサージが来るときは、サージは、MOSFET M100に損傷を与え得る。プルアップ型のMOSFET M100は、ソースとゲートとの間に接続される一方向性回路構成要素、例えばダイオードD300を含む、上記と同じ閾値回路を有する(この回路においては、ゲート自体がゲート制御ノードである)。ツェナーダイオードD400及び抵抗器R100から成る閾値回路が、ゲートと、基準電圧として機能する接地との間に接続されている。プルアップ型のMOSFETは、サージ事象に応答して、上記で説明したのと同じやり方で、D300及びD400を介した導通によって、オフにされる。
【0119】
MOSFET M100が、オン状態にあっても、オフ状態にあっても、プルダウン型のMOSFET M200もサージ事象によってオフにされる。ソースが、固定基準、即ち、接地に接続されることから、異なるシャットダウン回路が使用される。プルダウン型のMOSFET M200のゲートは、オペアンプU100によって制御される。反転入力には、抵抗分割器R200、R300によって、入力電圧BUSのスケーリングされたもの(scaled version)が供給される。入力BUSがハイであるとき、反転入力は、非反転入力における基準電圧を超えて上昇し、故に、オペアンプU100の出力は、ローにプルされ、プルダウン型のMOSFET M200をオフにする。
【0120】
サージ事象が発生した場合、入力電圧BUSは、2つの部分に分けられ、故に、2つのMOSFETのドレイン・ソース間電圧は、残留サージ電圧の半分に制限され、従って、より低電圧の構成要素が使用され得る。
【0121】
MOSFETは、各々、サージ事象の間、導通経路を供給するための、ダイオード及びコンデンサD100、C100、D200、C200を並列に有する。
【0122】
図8は、タップ付きリニアドライバ回路ではないMOSFET回路の一例としてのスイッチモード電源回路の簡略化されたほんの一例に過ぎない。このことは、本発明が、サージ事象に耐えるよう設計されるMOSFET回路に一般的に適用可能であることを示している。
【0123】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。