(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-31
(45)【発行日】2022-09-08
(54)【発明の名称】飛行体用エンジン発電機ユニット及び飛行体
(51)【国際特許分類】
B64D 27/24 20060101AFI20220901BHJP
B64D 27/26 20060101ALI20220901BHJP
B64D 27/04 20060101ALI20220901BHJP
B64D 27/10 20060101ALI20220901BHJP
【FI】
B64D27/24
B64D27/26
B64D27/04
B64D27/10
(21)【出願番号】P 2022518148
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2021017177
(87)【国際公開番号】W WO2021221156
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/018334
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/018335
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】野口 純
(72)【発明者】
【氏名】小島 惇
(72)【発明者】
【氏名】中村 智
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534821(JP,A)
【文献】特開2019-059362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0152596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/24
B64D 27/26
B64D 27/04
B64D 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンのクランク軸に連結される発電機と、
前記エンジンまたは前記発電機の稼働に必要な少なくとも一つの補機と、
を備えた、飛行体用エンジン発電機ユニットであって、
前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方を支持し、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の少なくとも一部を覆う支持構造体と、
前記飛行体の機体
に前記支持構造体を
取り付ける連結部と、を有し、
前記支持構造体は、
前記一つの補機の
少なくとも一部を
兼ねる、
飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、
前記補機は、
サイレンサー、エアクリーナー、燃料タンク、冷却水タンク、オイルタンク及び電力変換装置のいずれか一つである、飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、
前記支持構造体は、
前記発電機が発電した電流を変換する前記電力変換装置の少なくとも一部を含む、飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項4】
請求項2または3に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、
前記電力変換装置の筐体は、支持構造体の剛性を維持する剛性構造体を含む、飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、
前記支持構造体は、
前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の下面の少なくとも一部を覆う下部剛性構造体と、
前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の上面の少なくとも一部を覆う上部剛性構造体とを有し、
前記電力変換装置は、
平面視で前記発電機と前記エンジンのシリンダとの間に位置し、前記上部剛性構造体と前記下部剛性構造体とを連結している、飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、
前記上部剛性構造体及び前記下部剛性構造体のうち少なくとも一方は、前記燃料タンクの少なくとも一部を含む、飛行体用エンジン発電機ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の飛行体用エンジン発電機ユニットと、
前記エンジン発電機ユニットで生じた電力によって駆動力を生じるモータと、
前記モータによって回転することにより揚力を生じるプロペラと、
前記エンジン発電機ユニット、前記モータ及び前記プロペラを支持するフレームと、
を有する、飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体用エンジン発電機ユニット及び飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のロータを有する機体にエンジン発電機ユニットが搭載された飛行体が知られている。特許文献1に開示されている飛行体は、無人のマルチコプターである。前記飛行体は、機体と、6台のロータと、6つのプロペラと、各ロータを駆動させる電動モータと、バッテリーと、発電モジュール(発電機)と、エンジンモジュール(発電機用のエンジン)と、を備えている。前記機体は、前記バッテリー、前記発電モジュール及び前記エンジンモジュールが搭載されている前記機体の本体部分と、前記ロータ及び前記電動モータが積載されている6本のアーム部分とを有している。前記6本のアーム部は、前記機体の本体部分に放射状に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第108609168号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のロータを有するマルチコプター型の飛行体は、機動性を向上させるために機体の小型化が求められている。特許文献1に開示される飛行体では、前記発電モジュールと前記エンジンモジュールとが前記機体の下部に配置されている。また、前記飛行体では、燃料タンクが前記機体の上部に配置されている。前記発電モジュールと前記エンジンモジュールとは、減衰アッセンブリを含むサポート部材によって機体に吊り下げられている。このように、エンジンモジュールを機体に吊り下げることによって、飛行体の機体フレームは小型化される。
【0005】
特許文献1に開示される飛行体では、振動源である前記エンジンモジュールは、複雑な構造の前記減衰アッセンブリ及び前記サポート部材を介して、前記機体に連結されている。また、前記飛行体では、前記エンジンモジュールの稼働に必要な前記燃料タンク等を連結する部分を、前記エンジンモジュールとは別に設ける必要がある。つまり、小型の前記飛行体では、前記発電モジュール、前記エンジンモジュール及び前記燃料タンク等の前記発電モジュールと前記エンジンモジュールとが必要とする装置を搭載するために、前記機体の構造が複雑になる場合があった。よって、飛行体用エンジン発電機ユニットにおいて、飛行体の機体構造を複雑にすることなく、様々な飛行体の機体に容易に搭載可能な構成が求められている。
【0006】
本発明は、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能な飛行体用エンジン発電機ユニットの構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能な飛行体用エンジン発電機ユニットの構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明の一実施形態に係る飛行体用エンジン発電機ユニットは、エンジンと、前記エンジンのクランク軸に連結される発電機と、前記エンジンまたは前記発電機の稼働に必要な少なくとも一つの補機と、を備えた、飛行体用エンジン発電機ユニットである。
【0009】
飛行体用エンジン発電機ユニットは、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方を支持し、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の少なくとも一部を覆う支持構造体と、前記飛行体の機体と前記支持構造体とを連結する連結部と、を有している。前記支持構造体は、前記一つの補機の一部を少なくとも含む。
【0010】
上述の構成では、前記飛行体用エンジン発電機ユニットの前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方が支持構造体に支持され、且つ前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の少なくとも一部が前記支持構造体によって覆われている。よって、前記エンジンと前記発電機とは、前記支持構造体を介して、飛行体の機体に容易に連結される。
【0011】
また、前記支持構造体は、前記エンジン及び前記発電機の稼働に必要な前記補機の一部を少なくとも含んでいる。つまり、前記支持構造体は、前記補機の一部を兼ねている。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方を支持している前記支持構造体が補機の機能を有しているのでコンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記補機は、前記エンジンのサイレンサー、エアクリーナー、燃料タンク、冷却水タンク、オイルタンク及び電力変換装置のいずれか一つである。
【0013】
上述の構成では、前記エンジン及び発電機に必要な機能を発揮する装置のうち前記エンジンまたは発電機に固定する必要がない補機の一部は、前記支持構造体の一部を有している。すなわち、前記支持構造体は、前記補機であるサイレンサー、エアクリーナー、燃料タンク、冷却水タンク、オイルタンク及びインバータ装置のうち少なくとも一つの補機の一部を少なくとも含む。つまり、前記飛行体用エンジン発電機ユニットでは、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方を支持する支持構造体が前記補機の一部を兼ねている。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持構造体は、前記発電機が発電した電流を変換する前記電力変換装置の少なくとも一部を含む。
【0015】
上述の構成では、発電機の機能を発揮するために必要な前記電力変換装置の少なくとも一部は、前記支持構造体の一部を有している。つまり、前記飛行体用エンジン発電機ユニットでは、支持構造体が電力変換装置の一部を兼ねている。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記電力変換装置の筐体は、支持構造体の剛性を維持する剛性構造体を含む。
【0017】
上述の構成では、前記エンジンを支持する前記支持構造体の一部が電力変換装置の例えば金属製の筐体を有している。つまり、前記電力変換装置は、発電機が発電した電力を変換するだけでなく、前記支持構造体を構成する剛性構造体としての役割も有している。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記支持構造体は、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の下面の少なくとも一部を覆う下部剛性構造体と、前記エンジン及び前記発電機の少なくとも一方の上面の少なくとも一部を覆う上部剛性構造体とを有する。前記電力変換装置は、平面視で前記発電機と前記エンジンのシリンダとの間に位置し、前記上部剛性構造体と前記下部剛性構造体とを連結している。
【0019】
上述の構成では、前記インバータ装置は、前記支持構造体の前記上部剛性構造体と前記下部剛性構造体とを連結する支持構造体の一部を有しつつ、エンジンの近傍から発電機が発電した電力を出力する。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記上部剛性構造体及び前記下部剛性構造体の少なくとも一方は、前記燃料タンクの少なくとも一部を含む。
【0021】
上述の構成では、燃料タンクは、支持構造体に含まれている。また、前記燃料タンクは、エンジンの下面または上面の少なくとも一方に配置されている。つまり、前記燃料タンクは、平面視で前記燃料タンクの慣性中心とエンジン発電機ユニットの慣性中心とが一致するように配置されている。従って、前記エンジン発電ユニットは、燃料の残量が変動しても、前記エンジン発電ユニットの重量バランスが変動しない。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、コンパクトで汎用性が高く且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る飛行体は、上述の構成を有する前記エンジン発電機ユニットで生じた電力によって駆動力を生じるモータと、前記モータによって回転することにより揚力を生じるプロペラと、前記エンジン発電機ユニット、前記モータ及び前記プロペラを支持するフレームと、を有する。
【0023】
これにより、前記モータの出力に応じた発電能力を有するように少なくとも一台のエンジン発電機ユニットが搭載された飛行体が得られる。
【0024】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0025】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0026】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0027】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。
【0028】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0029】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0030】
本発明の説明においては、いくつもの技術および工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0031】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0032】
本明細書では、本発明に係る飛行体用エンジン発電機ユニット及び飛行体の実施形態について説明する。
【0033】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0034】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0035】
[エンジン発電機ユニット]
本明細書において、エンジン発電機ユニットとは、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの各種のレシプロエンジンによって、ダイナモ等の発電機を稼働して発電する装置である。前記エンジン発電機ユニットは、外部からの電力発電要求に応じて、前記エンジンの回転数を制御して発電する。本実施例において、前記エンジン発電機ユニットは、水平対向エンジンを有している。
【0036】
[水平対向エンジン]
本明細書において、水平対向エンジンとは、少なくとも2つのシリンダがクランク軸の軸線方向から見て、第1方向と前記第1方向の反対方向である第2方向とに前記シリンダの軸線が延びるように配置されているエンジンである。前記水平対向エンジンは、前記シリンダ内に配置されているピストン同士が互いに近接または離隔するように移動するレシプロエンジンである。水平対向エンジンは、クランク軸の軸線及ピストンの軸線が水平になるように配置される。
【0037】
[飛行体]
本明細書において、飛行体は、複数の電動ロータ、複数のプロペラ、バッテリー、エンジン発電機ユニット等を有する。飛行体は、複数の電動ロータによって回転される複数のプロペラを有するマルチコプターである。飛行体は、バッテリーに蓄電されている電力によって電動ロータを回転させる。バッテリーは、エンジン発電機ユニットによって充電される。つまり、飛行体は、エンジン発電機ユニットの動力によって直接ロータを回転させていない。
【0038】
[剛性構造体]
本明細書において、剛性構造体とは、所定の構造体の剛性を維持するために必要な剛性を有する構造体である。剛性構造体は、エンジンを支持する支持構造体を構成する構造体である。剛性構造体は、支持構造体の剛性を維持できる材質及び形状を有している。
【0039】
[マウント部材]
本明細書において、マウント部材とは、エンジン発電機ユニットを支持するとともに、前記マウント部材によって支持されている発電機用エンジンから外部に伝達される運動エネルギー(振動)を減衰させる部材である。
【0040】
[慣性中心]
本明細書において、慣性中心とは、重量質量の中心(重心)、または慣性質量の中心である。重力質量とは、物体が重力によって引かれる強さを基にして定義される質量である。慣性質量とは、物体の加速度を基に定義される質量である。重量質量と慣性質量とは等価である。慣性中心は、物体の各部分の質量が重心位置に集約している質量中心とみなせる。
【0041】
[電力変換装置]
本明細書において、電力変換装置とは、電力における電圧、電流の種類、周波数等を変換する装置である。電力変換装置は、直流電流の電圧を変換するDC-DC変換装置、交流電流を可変電圧の直流電流に変換するAC-DC変換装置、直流電流を可変電圧及び可変周波数の交流電流に変換するDC-AC変換装置、及び交流電流の電圧及び周波数を変換するAC-AC変換装置を含む。
【0042】
[補機]
本明細書において、補機とは、エンジン発電機ユニットが外部に電力を供給するために必要な付属機器である。補機は、エンジンを稼働させるために必要なサイレンサー、エアクリーナー、燃料タンク、冷却水タンク、オイルタンク、発電機から電力を供給するために必要な電力変換装置のいずれか一つである。
【発明の効果】
【0043】
本発明の一実施形態によれば、汎用性を高めて取り扱いを容易にしつつコンパクトな、飛行体用エンジン発電機ユニットの構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットを示す斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットにおける水平対向エンジンと発電機との平面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットにおける水平対向エンジンと発電機との左側面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットの平面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットの左側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットの正面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットの背面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニットの下面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態1に係るエンジン発電機ユニット同士が連結された状態を示す概略図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態2に係るエンジン発電機ユニットを飛行体に搭載した場合の一例の模式図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態3に係るエンジン発電機ユニットにおける4つの接続部の配置を表す平面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態3に係るエンジン発電機ユニットの左側面図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態4に係るエンジン発電機ユニットを飛行体に搭載した場合の一例の模式図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の他の実施形態に係るエンジン発電機ユニットにおける2つの接続部の配置及び3つの接続部の配置を表す平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0046】
[実施形態1]
<エンジン発電機ユニットの全体構成>
図1から
図9を用いて本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットの実施形態1に係るエンジン発電機ユニット1について説明する。
図1は、エンジン発電機ユニット1を示す斜視図である。
図2は、エンジン発電機ユニット1における水平対向エンジン2及び発電機の平面図である。
図3は、エンジン発電機ユニット1における水平対向エンジン2及び発電機の左側面図である。
図4は、エンジン発電機ユニット1の平面図である。
図5は、エンジン発電機ユニット1の左側面図である。
図6は、エンジン発電機ユニット1の正面図である。
図7は、エンジン発電機ユニット1の背面図である。
図8は、エンジン発電機ユニット1の下面図である。
図9は、エンジン発電機ユニット1同士が連結された状態を示す概略図である。
【0047】
図1に示すように、エンジン発電機ユニット1は、エンジンの駆動力で発電機を稼働させて発電する装置である。エンジン発電機ユニット1は、エンジンである水平対向エンジン2と、第1発電機23及び第2発電機24(
図2参照)と、電力変換装置である第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26を含む補機と、支持構造体27と、連結部34とを有する。
【0048】
図2と
図3とに示すように、エンジン発電機ユニット1のエンジンである水平対向エンジン2は、水冷の水平対向2気筒レシプロエンジンである。水平対向エンジン2は、2つのシリンダである第1シリンダ4と第2シリンダ7とを有している。水平対向エンジン2は、第1シリンダ4がクランク軸8の回転軸線C0の方向に見て第1方向に第1シリンダ4の軸線C1を向けて配置されている。また、水平対向エンジン2は、第2シリンダ7が前記第1方向の反対方向である第2方向に第2シリンダ7の軸線C2を向けて配置されている。
【0049】
以下の実施形態において、水平対向エンジン2のクランク軸8の回転軸線C0が延びる方向をエンジン発電機ユニット1における前後方向と規定する。また、クランク軸8の回転軸線C0に垂直、且つ第1シリンダ4の軸線C1または第2シリンダ7の軸線C2に垂直な方向に見て、第1シリンダ4の軸線C1の方向または第2シリンダ7の軸線C2の方向をエンジン発電機ユニット1における左右方向と規定する。また、クランク軸8の回転軸線C0と第1シリンダ4の軸線C1または第2シリンダ7の軸線C2に垂直な方向をエンジン発電機ユニット1における上下方向と規定する。また、着地している飛行体に搭載されたエンジン発電機ユニット1において、水平対向エンジン2における重力方向の面を下面、前記下面の反対方向の面を上面と規定する。
【0050】
水平対向エンジン2は、第1シリンダブロック3、第2シリンダブロック6、第1シリンダヘッド11、第2シリンダヘッド14、クランク軸8、第1コンロッド10、第2コンロッド13、第1ピストン9及び第2ピストン12を有する。
【0051】
第1シリンダブロック3は、第1シリンダ4とクランクケース5の一部とを含む部材である。第1シリンダブロック3は、例えばアルミニウム合金によって形成されている。第1シリンダブロック3には、第1ピストン9を収容する第1シリンダ4が形成されている。第1シリンダ4の基端部には、クランク軸8を収容するクランクケース5の一部が形成されている。クランクケース5には、クランク軸8を支持する軸受部の一部が形成されている。第1シリンダ4の軸線C1は、クランク軸8の回転軸線C0に直交している。第1シリンダ4の基端は、クランクケース5内に連通している。
【0052】
第2シリンダブロック6は、第2シリンダ7とクランクケース5の一部とを含む部材である。第2シリンダブロック6は、例えばアルミニウム合金によって形成されている。第2シリンダブロック6には、第2ピストン12を収容する第2シリンダ7が形成されている。第2シリンダ7の基端部には、クランク軸8を収容するクランクケース5の一部が形成されている。クランクケース5には、クランク軸8を支持する軸受部の一部が形成されている。第2シリンダ7の軸線C2は、クランク軸8の回転軸線C0に直交している。第2シリンダ7の基端は、クランクケース5内に連通している。
【0053】
第1シリンダブロック3と第2シリンダブロック6とは、互いのクランクケース5の一部を対向させた状態において連結されている。これにより、第1シリンダブロック3と第2シリンダブロック6は、クランクケース5を含んでいる。つまり、第1シリンダ4と第2シリンダ7との間には、クランクケース5が位置している。クランクケース5は、クランク軸8を支持する図示しない軸受部を有している。前記軸受部の軸線は、クランク軸8の回転軸線C0と一致する。
【0054】
第1シリンダ4は、クランク軸8の回転軸線C0の方向に見て第1方向であるクランク軸8の右に配置されている。第2シリンダ7は、クランク軸8の回転軸線C0の方向に見て第2方向であるクランク軸8の左に配置されている。つまり、水平対向エンジン2は、クランク軸8の回転軸線C0に垂直、且つ第1シリンダ4及び第2シリンダ7の移動方向に垂直な方向に見て、クランク軸8の左右に第1シリンダ4と第2シリンダ7とがそれぞれ配置されている。第1シリンダ4の軸線C1と第2シリンダ7の軸線C2とは、略平行である。また、第1シリンダ4と第2シリンダ7とは、クランク軸8に連結される第1コンロッド10と第2コンロッド13とが干渉しないようにクランク軸8の回転軸線C0の方向にずれて配置されている。
【0055】
クランク軸8は、第1ピストン9及び第2ピストン12の往復運動を回転運動に変換する軸である。クランク軸8は、クランクケース5の軸受部に回転自在に支持されている。クランク軸8の回転軸線C0は、第1シリンダ4の軸線C1及び第2シリンダ7の軸線C2に直交している。クランク軸8の両端部は、出力軸としてクランクケース5から外部に延びている。
【0056】
第1ピストン9は、第1シリンダ4内において発生した燃料の燃焼によるエネルギーをクランク軸8に伝達する部品である。第1ピストン9は、第1シリンダ4内を摺動可能な外径を有する円筒状に形成されている。第1ピストン9は、第1シリンダ4に収容されている。第1ピストン9には、第1コンロッド10の一端部が揺動自在に連結されている。第1コンロッド10の他端部には、クランク軸8が揺動自在に連結されている。つまり、第1ピストン9は、第1コンロッド10を介してクランク軸8に揺動自在に連結されている。第1シリンダ4の先端部には、第1シリンダヘッド11が連結されている。これにより、第1シリンダ4の内部には、第1シリンダヘッド11と第1ピストン9とによって囲まれた燃焼室が構成されている。
【0057】
第2ピストン12は、第2シリンダ7内において発生した燃料の燃焼によるエネルギーをクランク軸8に伝達する部品である。第2ピストン12は、第2シリンダ7内を摺動可能な外径を有する円筒状に形成されている。第2ピストン12は、第2シリンダ7に収容されている。第2ピストン12には、第2コンロッド13の一端部が揺動自在に連結されている。さらに、第2コンロッド13の他端部には、クランク軸8が揺動自在に連結されている。つまり、第2ピストン12は、第2コンロッド13を介してクランク軸8に揺動自在に連結されている。第2シリンダ7の先端部には、第2シリンダヘッド14が連結されている。これにより、第2シリンダ7の内部には、第2シリンダヘッド14と第2ピストン12とによって囲まれた燃焼室が構成されている。
【0058】
複数のマウント部材15は、エンジン発電機ユニット1を支持し、且つエンジン発電機ユニット1の振動を減衰させる。複数のマウント部材15は、例えば、ゴムを用いたゴムマウントを含む。ゴムマウントは、例えば、天然ゴム、ブチルゴムまたはクロロプレンゴム等のゴムから構成されている。複数のマウント部材15は、入力される振動を弾性変形することによって減衰させる。複数のマウント部材15は、本実施形態において、同じ耐荷重及び振動特性の4個のマウント部材15によって水平対向エンジン2の第1シリンダ4と第2シリンダ7の軸線が略水平な状態になるように水平対向エンジン2を支持している。複数のマウント部材15は、支持構造体27が有する下部剛性構造体28に連結されている。
【0059】
図4から
図8に示すように、水平対向エンジン2は、補機としてエアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20、オイルタンク21及び燃料タンク22を有する。
【0060】
図4から
図6に示すように、第1シリンダ4及び第2シリンダ7(
図2参照)には、吸気管16(
図5参照)を介して吸気中の粉塵を除去するエアクリーナー17が接続されている。エアクリーナー17は、後述する支持構造体27の上部剛性構造体30に設けられている。更に、第1シリンダ4及び第2シリンダ7には、排気管18を介して排気音を抑制するサイレンサー19が接続されている。サイレンサー19は、後述する支持構造体27の下部剛性構造体28に含まれている。
【0061】
図5から
図8に示すように、ラジエータ20は、水平対向エンジン2の冷却水を冷却する冷却装置である。また、ラジエータ20は、冷却水を貯留する冷却水タンクでもある。ラジエータ20は、第1シリンダブロック3及び第1シリンダヘッド11と第2シリンダブロック6及び第2シリンダヘッド14(
図2参照)とに設けられている図示しないウォータージャケットに接続されている。ラジエータ20は、図示しない冷却水ポンプによって循環される冷却水を空冷する。ラジエータ20は、後述する支持構造体27の下部剛性構造体28に含まれている。
【0062】
図5、
図7及び
図8に示すように、オイルタンク21は、水平対向エンジン2の第1シリンダ4と第1ピストン9との間、第2シリンダ7と第2ピストン12との間、クランク軸8と第1コンロッド10との間及びクランク軸8と第2コンロッド13との間(
図2参照)を潤滑するエンジンオイルを貯留する。オイルタンク21には、図示しないオイルポンプが連結されている。オイルタンク21内のエンジンオイルは、オイルポンプによって循環される。オイルタンク21は、後述する支持構造体27の下部剛性構造体28に含まれている。
【0063】
図4から
図7に示すように、燃料タンク22は、水平対向エンジン2の燃料であるガソリン等を貯留する。燃料タンク22は、図示しない燃料噴射装置を介して第1シリンダ4と第2シリンダ7(
図2参照)とに連結されている。燃料タンク22は、後述する支持構造体27の上部剛性構造体30に含まれている。
【0064】
このように構成される水平対向エンジン2は、クランク軸8の回転軸線C0を軸線方向に見てクランク軸8の左右に第1ピストン9と第2ピストン12とが位置している。第1ピストン9の軸線と第2ピストン12の軸線は、略水平な方向に延び、且つクランク軸8の回転軸線C0に対して垂直である。水平対向エンジン2は、第1ピストン9と第2ピストン12とが180度反転した状態において互いに逆方向に往復移動することでクランク軸8を回転させる。
【0065】
図4から
図8に示すように、第1発電機23及び第2発電機24は、電力を発生する装置である。第1発電機23及び第2発電機24は、ダイナモ等を有する。第1発電機23は、水平対向エンジン2のクランクケース5におけるクランク軸8の回転軸線C0が延びる方向の前端部に固定されている(
図2参照)。第2発電機24は、水平対向エンジン2のクランクケース5におけるクランク軸8の回転軸線C0が延びる方向の後端部に固定されている(
図2参照)。つまり、エンジン発電機ユニット1は、発電機を2台有している。これにより、第1発電機23及び第2発電機24は、クランク軸8の回転により同時に発電する。
【0066】
第1発電機23及び第2発電機24は、補機として、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26を有する。
【0067】
第1インバータ装置25は、第1発電機23が発電した交流電流を直流電流に変換し、または交流電流の周波数及び電圧を異なる周波数及び電圧に変換する。同様に、第2インバータ装置26は、第2発電機24が発電した交流電流を直流電流に変換し、または交流電流の周波数及び電圧を異なる周波数及び電圧に変換する。第1インバータ装置25は、第1発電機23に電気的に接続されている。第2インバータ装置26は、第2発電機24に電気的に接続されている。第1インバータ装置25と第2インバータ装置26とは、電力を取り出す接続端子32を有している。第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、変換した交流電流または直流電流を接続端子32から出力する。
【0068】
第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、例えば空冷のインバータ装置である。第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、支持構造体の剛性を維持することができる剛性を有する剛性構造体である。第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、剛性構造体としての剛性を有するアルミニウム合金等からなる金属製の筐体25b、26bを有している。金属製の筐体25b、26bには、放熱フィンが設けられている。第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、金属製の筐体25b、26bから放熱することで冷却される。第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、後述する支持構造体27の下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とに連結されている。
【0069】
このように構成されるエンジン発電機ユニット1は、クランク軸8の左右に第1シリンダ4と第2シリンダ7とが略水平に配置され、且つクランク軸8の前後に第1発電機23及び第2発電機24がそれぞれ配置されている。これにより、エンジン発電機ユニット1は、左右方向、前後方向、上下方向の重量配分がほぼ均等である。エンジン発電機ユニット1は、複数のマウント部材15によって支持構造体27に支持されている。エンジン発電機ユニット1は、水平対向エンジン2によって第1発電機23及び第2発電機24を稼働させる。エンジン発電機ユニット1は、第1発電機23及び第2発電機24が発電した電力を第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26によって変換する。
【0070】
<支持構造体の構成>
次に、
図4から
図8を用いて、支持構造体27について具体的に説明する。支持構造体27は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の少なくとも一方を下方から支持または上方から支持する構造体である。本実施形態において、支持構造体は、水平対向エンジン2を下方から支持する。支持構造体27は、少なくとも一つの剛性構造体を含む。本実施形態において、支持構造体27は、下部剛性構造体28、側部剛性構造体29及び上部剛性構造体30を含む。支持構造体27は、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とが側部剛性構造体29によって連結されている。下部剛性構造体28、側部剛性構造体29及び上部剛性構造体30は、アルミニウム合金等の金属、エンジニアリングプラスチック、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等の樹脂材料の構造部材を含む。
【0071】
下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の下面の一部を覆う。下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2を支持可能な剛性を有する板状部材である。下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の下方に配置されている。下部剛性構造体28の上面には、側部剛性構造体29が連結されている。また、下部剛性構造体28の上面には、水平対向エンジン2を支持する複数のマウント部材15が連結されている。つまり、下部剛性構造体28は、複数のマウント部材15を介して水平対向エンジン2を支持している。水平対向エンジン2は、第1発電機23及び第2発電機24を含めた水平対向エンジン2の慣性中心と下部剛性構造体28の慣性中心とが一致するように配置されている。
【0072】
下部剛性構造体28には、水平対向エンジン2の稼働に必要な一つの補機であるラジエータ20が組み込まれている。下部剛性構造体28は、ラジエータ20の筐体を兼ねている。また、下部剛性構造体28の下面は、ラジエータ20用の冷却フィンを有している。このように、下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2の稼働に必要なラジエータ20を含んでいる。ラジエータ20は、下部剛性構造体28の冷却フィンによって冷却水の熱交換を行う。つまり、下部剛性構造体28は、ラジエータ20の機能の一部である冷却機能を有している。
【0073】
更に、下部剛性構造体28の後端部には、水平対向エンジン2の稼働に必要な一つの補機であるサイレンサー19が組み込まれている。サイレンサー19は、下部剛性構造体28の後端部に連結されている。下部剛性構造体28は、サイレンサー19の筐体を兼ねている。また、下部剛性構造体28は、後端部に、サイレンサー19用の排出口を有している。このように、下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2の稼働に必要なサイレンサー19を含んでいる。サイレンサー19は、排気管18からの排気を消音して排出口から外部に排出する。つまり、下部剛性構造体28は、サイレンサー19の機能の一部である排気消音機能を有している。
【0074】
更に、下部剛性構造体28には、水平対向エンジン2の補機であるオイルタンク21が組み込まれている。オイルタンク21は、下部剛性構造体28の中央部付近に連結されている。下部剛性構造体28は、オイルタンク21の筐体を兼ねている。このように、下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2の稼働に必要なオイルタンク21を含んでいる。オイルタンク21は、水平対向エンジン2の内部を潤滑するオイルが貯留されている。オイルタンク21は図示しないオイルポンプによって貯留しているオイルが水平対向エンジン2の内部に供給される。つまり、下部剛性構造体28は、オイルタンク21の機能の一部である潤滑維持機能を有している。
【0075】
なお、下部剛性構造体28は、内部に、補機である、ラジエータ20、サイレンサー19及びオイルタンク21を含んでいる。しかしながら、下部剛性構造体28は、一つの補機の一部を少なくとも含んでいればよい。下部剛性構造体28は、例えばラジエータ20の一部である冷却フィン部分だけを含んでいてもよい。また、下部剛性構造体28は、例えばサイレンサー19の一部である排気口部分だけを含んでいてもよい。また、下部剛性構造体28は、例えばオイルタンク21の一部であるオイルの供給口部分だけを含んでいてもよい。
【0076】
側部剛性構造体29は、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを連結する。本実施形態において、支持構造体27は、4本の側部剛性構造体29によって下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを連結している。4本の側部剛性構造体29は、下部剛性構造体28の上面に連結されている。4本の側部剛性構造体29のうち2本の側部剛性構造体29は、第1インバータ装置25と第2インバータ装置26とを含む。このように、側部剛性構造体29は、第1発電機23の稼働に必要な第1インバータ装置25及び第2発電機24の稼働に必要な第2インバータ装置26を含んでいる。つまり、側部剛性構造体29は、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26のそれぞれの機能の一部である電流変換機能を有している。
【0077】
なお、側部剛性構造体29は、第1インバータ装置25と第2インバータ装置26とを含んでいる。しかしながら、側部剛性構造体29は、例えば第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26の少なくとも一方の一部である冷却フィンだけを含んでいてもよい。
【0078】
第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26におけるアルミニウム合金等の金属製の筐体25b、26bは、連結した下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを一体の剛性構造体とみなせる程度の剛性を有している。4本の側部剛性構造体29のうち第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26でない2本の側部剛性構造体29は、アルミニウム合金等の金属製の構造部材または炭素繊維強化プラスチック等の樹脂系材料の構造部材を含む。これにより、4本の側部剛性構造体29は、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを一体の剛性構造体とみなせる程度の剛性を有する柱状部材である。
【0079】
第1インバータ装置25である側部剛性構造体29は、上方からの平面視で第1シリンダヘッド11と第1発電機23との間に配置されている。第2インバータ装置26である側部剛性構造体29は、上方からの平面視で第2シリンダヘッド14と第2発電機24との間に配置されている。つまり、第1インバータ装置25は、水平対向エンジン2の右方に配置されている。第2インバータ装置26は、水平対向エンジン2の左方に配置されている。金属製の構造部材を有する2本の側部剛性構造体29は、上方からの平面視で第1シリンダヘッド11と第2発電機24との間、及び第2シリンダヘッド14と第1発電機23との間に配置されている。このように、4本の側部剛性構造体29は、水平対向エンジン2を囲むように配置されている。
【0080】
上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の上面の一部を覆う。上部剛性構造体30は、下部剛性構造体28と同等の剛性を有する板状部材である。上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の上方に配置されている。上部剛性構造体30の下面には、側部剛性構造体29が連結されている。つまり、上部剛性構造体30は、側部剛性構造体29によって下部剛性構造体28と連結されている。これにより、下部剛性構造体28と側部剛性構造体29と上部剛性構造体30とは、一体の剛性構造体である支持構造体27として構成されている。また、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30との間には、第1発電機23、第2発電機24及び水平対向エンジン2が配置されている。
【0081】
上部剛性構造体30は、上部剛性構造体30の慣性中心と下部剛性構造体28の慣性中心とが一致するように配置されている。つまり、上部剛性構造体30、側部剛性構造体29及び下部剛性構造体28を有する支持構造体27の慣性中心と第1発電機23及び第2発電機24を含む水平対向エンジン2の慣性中心とが略一致している。
【0082】
上部剛性構造体30には、水平対向エンジン2の補機である一つの燃料タンク22が組み込まれている。燃料タンク22は、燃料タンク22の慣性中心と上部剛性構造体30の慣性中心とが一致するように配置されている。上部剛性構造体30は、燃料タンク22の筐体を兼ねている。これにより、上部剛性構造体30には、上部剛性構造体30の慣性中心から全体に広がるように燃料を貯留する空間を有する。このように、上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2の稼働に必要な燃料タンク22を含んでいる。燃料タンク22は、水平対向エンジン2の燃料を貯留する。つまり、上部剛性構造体30は、燃料タンク22の機能の一部である燃料貯留機能を有している。
【0083】
更に、上部剛性構造体30には、水平対向エンジン2の補機であるエアクリーナー17が組み込まれている。エアクリーナー17は、上部剛性構造体30の前端部に連結されている。上部剛性構造体30は、エアクリーナー17の筐体を兼ねている。上部剛性構造体30の前端部には、エアクリーナー17用の吸気口を有している。このように、上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2の稼働に必要なエアクリーナー17を含んでいる。エアクリーナー17は、外気の粉塵等を除去する。エアクリーナー17によって粉塵等が除去された外気は、吸気管16を介して第1シリンダ4及び第2シリンダ7に供給される。つまり、上部剛性構造体30は、エアクリーナー17の機能の一部である吸気浄化機能を有している。
【0084】
更に、上部剛性構造体30には、制御スイッチ33が組み込まれている。制御スイッチ33は、起動スイッチ、出力切り替えスイッチ等が含まれる。
【0085】
なお、上部剛性構造体30は、内部に補機である燃料タンク22及びエアクリーナー17を含んでいる。しかしながら、上部剛性構造体30は、一つの補機の一部を少なくとも含んでいればよい。上部剛性構造体30は、例えば燃料タンク22の一部である給油口だけを含んでいてもよい。また、上部剛性構造体30は、例えばエアクリーナー17の一部である吸気口部分だけを含んでいてもよい。
【0086】
支持構造体27で囲まれた空間内には、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24が配置されている。下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の下面の一部を覆っている。上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の上面の一部を覆っている。
【0087】
連結部34は、飛行体の機体と支持構造体27とを連結する部材である。連結部34は、下部剛性構造体28、側部剛性構造体29及び上部剛性構造体30の少なくとも一つと飛行体の機体とを連結する。つまり、支持構造体27に支持されている水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24は、連結部34によって、飛行体の機体に連結される。連結部34は、ブラケット、ネジ孔等を含む。また、連結部34は、他の支持構造体27に接続可能である。つまり、エンジン発電機ユニット1は、連結部34を介して他のエンジン発電機ユニット1が有する支持構造体27と連結することができる。
【0088】
このように構成されるエンジン発電機ユニット1では、支持構造体27によって囲まれた空間内に、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24が配置されている。また、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の上面の一部及び下面の一部は、支持構造体27によって覆われている。つまり、エンジン発電機ユニット1では、複雑な構造の前記水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24が略直方体状の支持構造体27によって囲われている。
【0089】
また、支持構造体27の連結部34を介して、エンジン発電機ユニット1と飛行体の機体との連結及びエンジン発電機ユニット1同士の連結が可能である。このように、支持構造体27によって囲まれたエンジン発電機ユニット1は、支持構造体27を1つのユニットとして飛行体に搭載することができるので、汎用性が高く飛行体の機体に搭載する際の取り扱いが容易である。
【0090】
また、支持構造体27は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の稼働に必要な補機のうち一つの補機の一部を少なくとも含む。本実施形態において、支持構造体27の下部剛性構造体28には、ラジエータ20及びサイレンサー19が含まれている。また、支持構造体27の側部剛性構造体29は、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26が含まれている。また、支持構造体27の上部剛性構造体30は、燃料タンク22及びエアクリーナー17が含まれている。
【0091】
このように、エンジン発電機ユニット1は、水平対向エンジン2が機能を発揮するために必要な補機の一部と、第1発電機23及び第2発電機24が機能を発揮するために必要な補機の一部とを支持構造体27が兼ねている。従って、支持構造体27を含むエンジン発電機ユニット1は、水平対向エンジン2の補機であるエアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20及び燃料タンク22と、第1発電機23及び第2発電機24の補機である第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26とを、飛行体の機体に別途設ける必要がない。これにより、エンジン発電機ユニット1は、飛行体に対する配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0092】
また、支持構造体27の側部剛性構造体29は、第1発電機23及び第2発電機24の機能を発揮するために必要な第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26を含む。金属製の筐体25b、26bを有する第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、エンジン発電機ユニット1において支持構造体27が占有する部分に、支持構造体27における剛性構造体の一部として配置されている。つまり、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、第1発電機23及び第2発電機24が発電した電力を変換するだけでなく支持構造体27としての役割を有している。また、空冷の第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、飛行体のプロペラからの風によって強制冷却される。これにより、エンジン発電機ユニット1は、汎用性を高めて飛行体への配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0093】
また、支持構造体27の上部剛性構造体30は、一つの燃料タンク22が組み込まれている。燃料タンク22は、上部剛性構造体30の内部に配置されている。燃料タンク22は、平面視で平対向エンジンの慣性中心から左右方向及び前後方向に均等に燃料タンク22が広がるように位置している。つまり、一つの燃料タンク22内の燃料は、平面視で均一に減少していく。従って、エンジン発電機ユニット1の左右方向及び前後方向の重量バランスは、燃料の貯留量の増減に関わらず変動しない。これにより、エンジン発電機ユニット1は、汎用性を高めて飛行体に対する配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0094】
また、支持構造体27が占有する空間内には、水平対向エンジン2の補機であるエアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20、オイルタンク21及び燃料タンク22と、第1発電機23及び第2発電機24の補機である第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26とが配置されている。このように、エンジン発電機ユニット1は、支持構造体27によって所定の空間内に補機を集約して配置することができる。これにより、エンジン発電機ユニット1は、飛行体に対する配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0095】
また、支持構造体27は、十分な剛性を有する下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とが複数の側部剛性構造体29によって連結されている。このように、複数の剛性構造体が互いに連結されている支持構造体27は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24を支持するために十分な剛性を有する。従って、本実施形態において、支持構造体27は、補機であるエアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20、オイルタンク21、燃料タンク22、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26のうち少なくとも一つの補機の一部を兼ねることができる。これにより、エンジン発電機ユニット1は、支持構造体27が補機の一部を兼ねることで軽量化することができる。また、エンジン発電機ユニット1は、飛行体に対する配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0096】
図9に示すように、エンジン発電機ユニット1は、連結部34を用いて支持構造体27と飛行体の機体とを連結することができる。また、エンジン発電機ユニット1は、連結部34を用いてエンジン発電機ユニット1同士を連結することができる。飛行体に複数のエンジン発電機ユニット1を搭載する場合、エンジン発電機ユニット1は、飛行体の機体との連結だけでなく互いに連結することができる。このように、エンジン発電機ユニット1は、飛行体との取り付けにおいて汎用性が高く、且つ飛行体に対する配置が容易である。
【0097】
[実施形態2]
次に、
図10を用いてエンジン発電機ユニット1を搭載した飛行体について説明する。
図10は、エンジン発電機ユニット1を飛行体100に搭載した場合の一例を模式的に示す図である。飛行体100は、例えば、複数のプロペラを有するマルチコプターである。
【0098】
なお、飛行体100は、1つのプロペラ及びモータを有する飛行体であってもよいし、1つまたは複数のプロペラ及びモータを有する有人飛行体であってもよい。また、飛行体100は、エンジン発電機ユニット1で生じる直流電力によって駆動する、プロペラ及びモータ以外の推進装置を有していてもよい。
【0099】
飛行体100において、エンジン発電機ユニット1以外の構成は、従来の飛行体の構成と同様である。よって、以下では、飛行体100の構成を簡単に説明する。
【0100】
飛行体100は、複数のモータ101と、複数のプロペラ102と、機体である本体フレーム103(フレーム)及び複数のアーム104とを有する。
【0101】
飛行体100は、複数のモータ101及び複数のプロペラ102を有する飛行体である。すなわち、飛行体100は、いわゆるマルチコプターである。本体フレーム103には、複数のアーム104の基端部が接続されている。複数のアーム104には、それぞれ、モータ101及びプロペラ102が設けられている。
【0102】
モータ101には、エンジン発電機ユニット1から直流電力が供給される。複数のモータ101は、図示しないモータ制御部によって駆動制御される。前記モータ制御部には、エンジン発電機ユニット1から出力される直流電力が供給される。プロペラ102は、直流電力によって駆動するモータ101によって回転し、揚力を発生する。
【0103】
エンジン発電機ユニット1は、例えば、飛行体100に対して着脱可能に取り付けられる。特に図示しないが、飛行体100は、本体フレーム103に、エンジン発電機ユニット1を装着可能な装着部を有する。エンジン発電機ユニット1の支持構造体27は、連結部34によって、機体である本体フレーム103の装着部に連結される。このように、支持構造体27に支持されている水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24は、連結部34によって本体フレーム103に連結されている。
【0104】
また飛行体100は、モータ101が必要な電力に応じて、複数台のエンジン発電機ユニット1を本体フレーム103に搭載することができる。このように、エンジン発電機ユニット1は、飛行体の出力に応じて、搭載する数を選択することができる。これにより、エンジン発電機ユニット1は、汎用性を高めて飛行体に対する配置を容易にしつつコンパクトに構成することができる。
【0105】
マルチコプター型の飛行体では、複数の前記駆動モータ毎に前記駆動用の電力線と前記制御用の電力線とを配策する必要がある。このため、前記マルチコプター型の飛行体では、ロータの数が増えるほど発電システムに接続される電力線の本数が増大するため、配線が複雑になる場合があった。よって、飛行体の配線を複雑にすることなく、様々な飛行体の機体に容易に搭載可能な飛行体用エンジン発電機ユニットが求められている。
【0106】
本発明者は、配線をし易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能な飛行体用エンジン発電機ユニットの構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0107】
本発明の一実施形態に係る飛行体用エンジン発電機ユニットは、エンジンと、前記エンジンのクランク軸に連結される発電機と、前記発電機が発電した電力を変換するインバータ装置と、を備えた、飛行体用エンジン発電機ユニットである。
【0108】
前記エンジンは、前記インバータ装置で変換された電力を出力する複数の接続部を有している。前記複数の接続部は、平面視で前記エンジン発電機ユニットの重心を中心として4等分、6等分または8等分した中心角によって定まる領域のうち周方向に互いに隣り合わない領域にそれぞれ位置している。
【0109】
上述の構成では、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、発電した電力を出力する複数の前記接続部を有している。前記複数の接続部は、平面視で4等分、6等分または8等分された中心角によって定まる領域のうち互いに隣り合わない領域に位置している。つまり、前記複数の接続部は、前記エンジン発電機ユニットの重心を囲むようにして周方向に分散して配置されている。従って、前記エンジン発電機ユニットは、前記エンジン発電機ユニットの周囲に配置されている装置の近傍に前記接続部が位置している。また、前記エンジン発電機ユニットは、周囲の装置と前記接続部の位置関係を考慮して前記飛行体の機体に搭載する必要がない。これにより、前記エンジン発電機ユニットは、配線し易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0110】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の接続部は、平面視で前記エンジン発電機ユニットの重心を中心として6等分または8等分した中心角によって定まる領域のうち周方向に互いに隣り合わない3つ以上の領域にそれぞれ位置している。
【0111】
上述の構成では、前記複数の接続部は、平面視で4等分、6等分または8等分された領域のうち互いに隣り合わない領域に前記接続部が3つ以上配置されている。従って、前記エンジン発電機ユニットは、前記エンジン発電機ユニットの周囲に配置されている装置のより近傍に接続部が位置している。これにより、前記エンジン発電機ユニットは、配線をし易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0112】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記エンジンは、支持構造体に支持され、前記接続部は、前記支持構造体に設けられている。
【0113】
上述の構成では、前記接続部は、前記支持構造体を介して前記エンジンと一体の構造体として設けられている。また、前記接続部は、前記エンジンの近傍に設けられている。これにより、前記エンジン発電機ユニットは、配線をし易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0114】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記接続部には、電力線を接続する接続端子が複数設けられている。
【0115】
上述の構成では、前記接続部には、複数の電力線を接続することができる。従って、前記エンジン発電機ユニットは、前記エンジン発電機ユニットの周囲に複数の装置がまとまって配置されていても近傍の前記接続部に複数の装置からの前記電力線を接続することができる。
【0116】
他の観点によれば、本発明の飛行体用エンジン発電機ユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記接続部は、前記インバータ装置と一体に設けられている。
【0117】
上述の構成では、前記インバータ装置が変換した電力が前記接続部から出力される。従って、前記エンジン発電機ユニットは、インバータ装置の筐体に接続部を設けることで、別途接続部を設ける必要がない。つまり、前記エンジン発電機ユニットは、コンパクトに構成されている。これにより、前記飛行体用エンジン発電機ユニットは、配線をし易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0118】
本発明の一実施形態に係る飛行体は、上述の構成を有する前記エンジン発電機ユニットで生じた電力によって駆動力を生じるモータと、前記モータによって回転することにより揚力を生じるプロペラと、前記エンジン発電機ユニット、前記モータ及び前記プロペラを支持するフレームと、を備える。
【0119】
[実施形態3]
図11と
図12を用いて、本発明の実施形態3に係るエンジン発電機ユニット1について説明する。
図11は、本発明の実施形態3に係るエンジン発電機ユニットにおける4つの接続部の配置を表す平面図である。
図12は、本発明の実施形態3に係るエンジン発電機ユニットの左側面図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0120】
図11と
図12に示すように、エンジン発電機ユニット1は、電力線が接続される接続部である第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c、第4接続部31dを有する。
【0121】
第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、発電した電力を外部に出力する。第1接続部31aは、後述する第1側部剛性構造体29aに含まれる第1インバータ装置25に組み込まれている。第2接続部31bは、後述する第2側部剛性構造体29bに含まれる第2インバータ装置26に組み込まれている。第3接続部31cは、後述する第3側部剛性構造体29cに組み込まれている。第4接続部31dは、後述する第4側部剛性構造体29dに組み込まれている。第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、それぞれ複数の接続端子32を有している。各接続部の接続端子32は、エンジン発電機ユニット1の周囲に向けて配置されている。各接続部の接続端子32には、飛行体のバッテリー、駆動モータ、補機、制御装置等からの電力線が接続可能である。
【0122】
第1接続部31a及び第3接続部31cは、第1インバータ装置25が変換した交流電流または直流電流を各接続端子32から出力可能である。第2接続部31b及び第4接続部31dは、第2インバータ装置26が変換した交流電流または直流電流を各接続端子32から出力可能である。
【0123】
エンジン発電機ユニット1は、水平対向エンジン2によって第1発電機23及び第2発電機24を駆動させる。エンジン発電機ユニット1は、第1発電機23が発電した電力を第1インバータ装置25によって変換する。同様に、エンジン発電機ユニット1は、第2発電機24が発電した電力を第2インバータ装置26によって変換する。エンジン発電機ユニット1は、変換した電力を第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dから出力する。
【0124】
<支持構造体の構成>
支持構造体27の側部剛性構造体29は、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dを含む。支持構造体27は、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とが第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dによって連結されている。下部剛性構造体28、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c、第4側部剛性構造体29d及び上部剛性構造体30は、アルミニウム合金等の金属、エンジニアリングプラスチック、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等の樹脂材料の構造部材を含む。
【0125】
第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dは、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを連結する。本実施形態において、支持構造体27は、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dによって、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを連結している。第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dは、下部剛性構造体28の上面に連結されている。
【0126】
第1側部剛性構造体29aは、第1インバータ装置25を含む。第2側部剛性構造体29bは、第2インバータ装置26を含む。このように、第1側部剛性構造体29a及び第2側部剛性構造体29bは、第1発電機23及び第2発電機24に必要な装置の一部を含む。つまり、第1側部剛性構造体29a及び第2側部剛性構造体29bは、第1発電機23及び第2発電機24の稼働に必要な機能の一部である電流変換機能を有している。
【0127】
第1側部剛性構造体29aには、第1接続部31aが組み込まれている。第2側部剛性構造体29bには、第2接続部31bが組み込まれている。第3側部剛性構造体29cには、第3接続部31cが組み込まれている。第4側部剛性構造体29dには、第4接続部31dが組み込まれている。つまり、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、支持構造体27に含まれている。第1側部剛性構造体29a及び第3側部剛性構造体29cは、第1発電機23の機能を発揮するために必要な機能の一部である電力出力機能を有している。第2側部剛性構造体29b及び第4側部剛性構造体29dは、第2発電機24の機能を発揮するために必要な機能の一部である電力出力機能を有している。
【0128】
第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26のアルミニウム合金等の金属製の筐体25b(
図6参照)、26bは、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを一体の剛性構造体とみなせる程度の剛性を有している。第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dは、アルミニウム合金等の金属製の構造部材または炭素繊維強化プラスチック等の樹脂系材料の構造部材を含む。これにより、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dは、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを一体の剛性構造体とみなせる程度の剛性を有する柱状部材を含む。
【0129】
第1インバータ装置25を含む第1側部剛性構造体29aは、上方からの平面視で第1シリンダヘッド11と第1発電機23との間に配置されている。第2インバータ装置26を含む第2側部剛性構造体29bは、上方からの平面視で第2シリンダヘッド14と第2発電機24との間に配置されている。金属製の構造部材を含む第3側部剛性構造体29cは、上方からの平面視で第1シリンダヘッド11と第2発電機24との間に配置されている。金属製の構造部材を含む第4側部剛性構造体29dは、上方からの平面視で第2シリンダヘッド14と第1発電機23との間に配置されている。
【0130】
このように、第1側部剛性構造体29a、第3側部剛性構造体29c、第2側部剛性構造体29b及び第4側部剛性構造体29dは、平面視で時計回りに水平対向エンジン2を囲むように、第1側部剛性構造体29a、第3側部剛性構造体29c、第2側部剛性構造体29b、第4側部剛性構造体29dの順に配置されている。
【0131】
上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2の上面の一部を覆う。上部剛性構造体30は、下部剛性構造体28と同等の剛性を有する板状部材である。上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2の上方に配置されている。上部剛性構造体30の下面には、側部剛性構造体29が連結されている。つまり、上部剛性構造体30は、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c及び第4側部剛性構造体29dによって、下部剛性構造体28と連結されている。
【0132】
これにより、下部剛性構造体28、第1側部剛性構造体29a、第2側部剛性構造体29b、第3側部剛性構造体29c、第4側部剛性構造体29d及び上部剛性構造体30は、一体の剛性構造体である支持構造体27である。また、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30との間には、第1発電機23、第2発電機24及び水平対向エンジン2が配置されている。
【0133】
<接続部の構成>
次に、
図11を用いて、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dの配置について説明する。
【0134】
図11に示すように、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、互いに離隔した状態で位置している。第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、上方向からの平面視で、エンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として45度毎に8等分した中心角θ1によって定まる領域にそれぞれ含まれるように位置している。また、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、8等分された領域のうち、エンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として周方向に隣り合わない領域(網掛け部分)にそれぞれ位置している。
【0135】
つまり、第1接続部31aが組み込まれている第1側部剛性構造体29aと第3接続部31cが組み込まれている第3側部剛性構造体29cとは、8等分された領域の一つ分離隔している。同様に、第1側部剛性構造体29aと第4接続部31dが組み込まれている第4側部剛性構造体29dとは、8等分された領域の一つ分離隔している。第3側部剛性構造体29cと第2接続部31bが組み込まれている第2側部剛性構造体29bとは、8等分された領域の一つ分離隔している。第2側部剛性構造体29bと第4側部剛性構造体29dとは、8等分された領域の一つ分離隔している。
【0136】
このように構成されるエンジン発電機ユニット1は、上方からの平面視で8等分された中心角θ1によって定まる領域のうち互いに隣り合わない領域に第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dが位置している。つまり、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dは、エンジン発電機ユニット1の重心Gを囲むようにして周方向に分散して位置している。
【0137】
エンジン発電機ユニット1を飛行体の機体に搭載した場合、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dのうち少なくとも1つは、エンジン発電機ユニット1の周囲に配置されているセンサ、補機、制御装置等を含む各種装置の近傍に位置している。従って、エンジン発電機ユニット1は、周囲に配置されている各種装置からの動力線を第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dのうち配線に最も適した位置の接続部に接続することができる。
【0138】
さらに、各接続部は、複数の接続端子32を有しているので複数の電力線を接続することができる。よって、エンジン発電機ユニット1は、飛行体の各種装置と各接続部との位置関係を考慮して飛行体の機体にエンジン発電機ユニット1を搭載する必要がない。これにより、エンジン発電機ユニット1は、周辺の装置からの配線をし易くすることで汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0139】
[実施形態4]
次に、
図13を用いてエンジン発電機ユニット1を搭載した飛行体について説明する。
図13は、エンジン発電機ユニット1を飛行体200に搭載した場合の一例を模式的に示す図である。飛行体200は、例えば、8つのプロペラを有するマルチコプターである。
【0140】
なお、飛行体200は、1以上のプロペラ及びモータを有する飛行体であってもよいし、1つまたは複数のプロペラ及びモータを有する有人飛行体であってもよい。また、飛行体200は、エンジン発電機ユニット1で生じる直流電力によって駆動される、プロペラ及びモータ以外の推進装置を有していてもよい。
【0141】
飛行体200において、エンジン発電機ユニット1以外の構成は、従来の飛行体の構成と同様である。よって、以下では、飛行体200の構成を簡単に説明する。
【0142】
飛行体200は、第1モータ201a、第2モータ201b、第3モータ201c、第4モータ201d、第5モータ201e、第6モータ201f、第7モータ201g及び第8モータ201h(複数のモータ201)と、8つのプロペラ202と、本体フレーム203(フレーム)と、8本のアーム204とを有する。
【0143】
本体フレーム203には、8本のアーム204の基端部が接続されている。8本のアーム204には、任意に選んだ1本のアーム204から上方向に見て時計回りに、それぞれ第1モータ201a、第2モータ201b、第3モータ201c、第4モータ201d、第5モータ201e、第6モータ201f、第7モータ201g及び第8モータ201hが設けられている。複数のモータ201には、プロペラ202が設けられている。
【0144】
複数のモータ201には、エンジン発電機ユニット1から直流電力が供給される。複数のモータ201は、図示しないモータ制御部によって駆動制御される。前記モータ制御部には、エンジン発電機ユニット1から出力される直流電力が供給される。プロペラ202は、直流電力によって駆動する複数のモータ201によって回転し、揚力を発生する。
【0145】
エンジン発電機ユニット1は、例えば、飛行体200に対して着脱可能に取り付けられる。特に図示しないが、飛行体200は、本体フレーム203に、エンジン発電機ユニット1を装着可能な装着部を有する。エンジン発電機ユニット1は、連結部34によって支持構造体27を本体フレーム203の装着部に連結する。
【0146】
エンジン発電機ユニット1には、飛行体200の第1モータ201aと第8モータ201hとの間に第1接続部31aが位置するように搭載されている。必然的に、エンジン発電機ユニット1の第3接続部31cは、飛行体200の第2モータ201bと第3モータ201cとの間に位置している。エンジン発電機ユニット1の第2接続部31bは、飛行体200の第4モータ201dと第5モータ201eとの間に位置している。エンジン発電機ユニット1の第4接続部31dは、飛行体200の第6モータ201fと第7モータ201gとの間に位置している。
【0147】
第1接続部31aには、第1モータ201a及び第8モータ201hに接続された電力線Pが接続されている。第1モータ201aと第8モータ201hとは、第1接続部31aから電力が供給される。第3接続部31cは、第2モータ201b及び第3モータ201cに接続された電力線Pが接続されている。第2モータ201bと第3モータ201cとは、第3接続部31cから電力が供給される。第2接続部31bには、第4モータ201d及び第5モータ201eに接続された電力線Pが接続されている。第4モータ201dと第5モータ201eとは、第2接続部31bから電力が供給される。第4接続部31dには、第6モータ201f及び第7モータ201gに接続された電力線Pが接続されている。第6モータ201fと第7モータ201gとは、第4接続部31dから電力が供給される。
【0148】
このように、エンジン発電機ユニット1を搭載した飛行体200は、第1モータ201a、第2モータ201b、第3モータ201c、第4モータ201d、第5モータ201e、第6モータ201f、第7モータ201g及び第8モータ201hに接続された電力線Pを、配線に最も適した位置の接続部に接続することができる。これにより、エンジン発電機ユニット1は、配線をし易くすることによって汎用性を高め、且つ飛行体に容易に搭載可能に構成することができる。
【0149】
また飛行体200は、複数のモータ201が必要な電力に応じて、複数台のエンジン発電機ユニット1を本体フレーム203に搭載することができる。このように、エンジン発電機ユニット1は、飛行体の出力に応じて、搭載する数を選択することができる。更に、飛行体200は、エンジン発電機ユニット1の各接続部に飛行体200以外の外部の機器を電気的に接続することができる。これにより、飛行体200は、エンジン発電機ユニット1から外部の機器に電力を供給することができる。
【0150】
なお、上述の実施形態3において、接続部は、第1接続部31a、第2接続部31b、第3接続部31c及び第4接続部31dを含む。しかしながら、接続部は、上述の実施形態の構成に限定されない。
図14は、エンジン発電機ユニット1における2つの接続部の配置及び3つの接続部の配置を示す平面図である。
【0151】
図14に示すように、2つの接続部である第1接続部31a及び第2接続部31bは、上方からの平面視でエンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として90度毎に4等分した中心角θ2によって定まる領域にそれぞれ含まれるように位置している。更に、第1接続部31a及び第2接続部31bは、4等分された領域のうち、エンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として周方向に互いに隣り合わない領域にそれぞれ位置している。
【0152】
また、3つの接続部である第1接続部31a、第2接続部31b及び第3接続部31cは、上方からの平面視でエンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として60度毎に6等分した中心角θ3によって定まる領域にそれぞれ含まれるように位置している。更に、第1接続部31a、第2接続部31b及び第3接続部31cは、6等分された領域のうち、エンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として周方向に互いに隣り合わない3つ以上の領域にそれぞれ位置している。また、第1接続部31a、第2接続部31b及び第3接続部31cは、上方からの平面視でエンジン発電機ユニット1の重心Gを中心として8等分した中心角θ1によって定まる領域(
図11参照)のうち周方向に互いに隣り合わない3つ以上の領域にそれぞれ位置していればよい。
【0153】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、クランク軸8の両端部に第1発電機23及び第2発電機24が連結されている。しかしながら、エンジン発電機ユニット1は上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、エンジン発電機ユニット1は、クランク軸8の端部に1台の発電機だけを有していてもよい。
【0154】
また、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、エンジンとして水平対向エンジン2を有している。しかしながら、エンジンは上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、エンジンは、単気筒エンジン、V型エンジン、直列エンジン等のエンジンでもよい。
【0155】
また、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、2気筒の水平対向エンジン2を有している。しかしながら、水平対向エンジン2は上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、エンジン発電機ユニット1は、複数の気筒を有する水平対向エンジン2を有していてもよい。
【0156】
また、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、4個のマウント部材15によって支持されている。しかしながら、エンジン発電機ユニット1の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、エンジン発電機ユニット1は、2個以上のマウント部材によって支持されていればよい。
【0157】
また、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、ゴムマウントによって支持されている。しかしながら、エンジン発電機ユニット1の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、エンジン発電機ユニット1は、液封入式マウント、油圧式マウント、電磁式マウント、負圧式マウントまたはピエゾ式マウントによって支持されていればよい。
【0158】
また、上述の実施形態において、支持構造体27の側部剛性構造体29は、4本の側部剛性構造体29を含む。しかしながら、側部剛性構造体29は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、側部剛性構造体29は、下部剛性構造体28と上部剛性構造体30とを一体の構造体として連結できる本数であればよい。側部剛性構造体29は、3本または5本でもよい。
【0159】
また、上述の実施形態において、支持構造体27の下部剛性構造体28には、ラジエータ20とサイレンサー19が組み込まれている、しかしながら、下部剛性構造体28は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、下部剛性構造体28が水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の稼働に必要な機能の一部を有する場合、下部剛性構造体28には、ラジエータ20、サイレンサー19、第1インバータ装置25、第2インバータ装置26、燃料タンク22及びエアクリーナー17のうち、少なくとも一つの補機の一部が少なくとも含まれていればよい。また、下部剛性構造体28は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24に必要な機能の一部を有さなくてもよい。
【0160】
また、上述の実施形態において、支持構造体27の側部剛性構造体29には、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26が組み込まれている。しかしながら、側部剛性構造体29は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、側部剛性構造体29が水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の稼働に必要な機能の一部を有する場合、側部剛性構造体29には、エアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20、オイルタンク21、燃料タンク22、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26のうち、少なくとも一つの補機の一部が少なくとも含まれていればよい。また、側部剛性構造体29は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24に必要な機能の一部を有さなくてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態において、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、金属製の筐体25b、26bを有する。しかしながら、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、樹脂製または陶器性等の筐体でもよい。
【0162】
また、上述の実施形態において、支持構造体27の上部剛性構造体30には、サイレンサー19と燃料タンク22が組み込まれている、しかしながら、上部剛性構造体30には、上述の実施形態の構成に限定されない。例えば、上部剛性構造体30が水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24の稼働に必要な機能の一部を有する場合、上部剛性構造体30は、エアクリーナー17、サイレンサー19、ラジエータ20、オイルタンク21、燃料タンク22、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26のうち、少なくとも一つの補機の一部が含まれていればよい。また、上部剛性構造体30は、水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24に必要な機能の一部を有さなくてもよい。
【0163】
また、上述の実施形態において、第1インバータ装置25及び第2インバータ装置26は、空冷の電力変換装置である。しかしながら、電力変換装置は、空冷に限定されない。電力変換装置は、例えば、水冷、油冷等の電力変換装置でもよい。
【0164】
また、上述の実施形態において、支持構造体27では、水平対向エンジン2の下方に位置する下部剛性構造体28と、水平対向エンジン2の上方に位置する上部剛性構造体30とが、側部剛性構造体29によって連結されている。しかしながら、支持構造体は、例えば、水平対向エンジン2の左方に位置する左部剛性構造体と水平対向エンジン2の右方に位置する右部剛性構造体とを有していてもよい。この場合、前記左部剛性構造体と前記右部剛性構造体とは、例えば、側部剛性構造体によって互いに連結されている。水平対向エンジン2、第1発電機23及び第2発電機24は、前記左部剛性構造体と前記右部剛性構造体に支持されている。
【0165】
また、上述の実施形態において、エンジン発電機ユニット1は、連結部34によって機体である飛行体100の本体フレーム103に連結されている。つまり、エンジン発電機ユニット1は、本体フレーム103に搭載されている。しかしながら、エンジン発電機ユニット1は、複数のモータと複数のプロペラとを支持している機体である複数のアーム104が連結部34によって支持構造体に連結されてもよい。この際、エンジン発電機ユニット1は、飛行体の本体フレームを兼ねている。エンジン発電機ユニット1は、支持構造体に連結された複数のアームの各モータに電力を供給する。
【0166】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 エンジン発電機ユニット
2 水平対向エンジン
17 エアクリーナー
19 サイレンサー
20 ラジエータ
21 オイルタンク
22 燃料タンク
23 第1発電機
24 第2発電機
25 第1インバータ装置
26 第2インバータ装置
27 支持構造体
28 下部剛性構造体
29 側部剛性構造体
29a 第1側部剛性構造体
29b 第2側部剛性構造体
29c 第3側部剛性構造体
29d 第4側部剛性構造体
30 上部剛性構造体
31a 第1接続部
31b 第2接続部
31c 第3接続部
31d 第4接続部
32 接続端子
33 制御スイッチ
34 連結部