(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 17/10 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
D06F17/10 A
(21)【出願番号】P 2018180098
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185134(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107177949(CN,A)
【文献】特開平9-28969(JP,A)
【文献】特開2014-230554(JP,A)
【文献】特開平10-328468(JP,A)
【文献】米国特許第5927105(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に配置されるパルセータと、
前記パルセータを駆動する駆動部と、を備え、
前記パルセータは、
ベース部と、
前記ベース部の表面に設けられた配置面に配置され、当該配置面から突出する突出高さが変更可能な羽根部と、
前記パルセータの回転方向に応じて前記羽根部の前記突出高さを可変させる可変機構部と、
前記ベース部の裏側に設けられ、前記ベース部の中心側から外周側へと放射状に延びる複数の揚水羽根と、を含み、
前記洗濯槽の底部には、前記揚水羽根が収容される収容室が形成され、
前記収容室に循環水路が繋がり、
前記循環水路には、前記揚水羽根の回転による揚水作用により前記循環水路内に送られてきた水を前記洗濯槽内へと戻すための出口が形成され、
前記揚水羽根は、前記羽根部が低くなる回転方向に前記パルセータが回転したときに水を掻く水掻き面が、その回転方向と反対方向に凹むような形状を有する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
複数の前記羽根部を備え、
前記羽根部が低くなる回転方向に前記パルセータが回転したとき、前記突出高さの高い前記羽根部が無くなるまたは少なくなる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記揚水羽根は、前記ベース部の中心側から外周側へ真っ直ぐ延び、その途中から前記羽根部が低くなる回転方向側へ曲げられた形状を有する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記羽根部は、第1の位置と、当該第1の位置より前記突出高さが高くなる第2の位置との間で動くことができるよう、前記ベース部に保持され、
前記可変機構部は、
前記ベース部の裏面側に配置され、前記駆動部により前記ベース部に対して相反する第1の方向と第2の方向とに回転駆動される回転部と、
前記回転部における前記羽根部に対応する位置に設けられ、前記回転部の前記第1の方向への回転に伴って前記羽根部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、前記回転部の前記第2の方向への回転に伴って前記羽根部を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる移動部と、を含み、
前記ベース部は、前記羽根部が前記第2の位置へ移動したときに前記回転部が当たる第1の当接部と、前記羽根部が前記第1の位置へ移動したときに前記回転部が当たる第2の当接部とを含み、
前記回転部が前記第1の当接部および前記第2の当接部に当たると前記ベース部が前記回転部と一体的に回転して、前記パルセータが、ぞれぞれ、前記第1の方向および前記第2の方向へ回転する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記揚水羽根は、前記ベース部の裏面において、前記回転部の可動領域から外れた領域に設けられる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項4または5に記載の洗濯機において、
前記移動部には、傾斜面が設けられ、
前記羽根部には、前記傾斜面に接触し、前記羽根部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するときに前記傾斜面を上り、前記羽根部が前記第2の位置から前記第1の位置へ移動するときに前記傾斜面を下る昇降部が設けられる、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる渦巻き式の洗濯機は、洗濯脱水槽の底部にパルセータを回転自在に備える。パルセータが回転することにより洗濯脱水槽内に水流が発生し、この水流により洗濯物が撹拌される。また、パルセータ自身が洗濯物に接触することによって、洗濯物が撹拌されたり擦られたりする。こうして、洗濯脱水槽内で洗濯が行われる。洗濯時、パルセータは、右方向への回転と左方向への回転とを繰り返す。
【0003】
パルセータに近い洗濯脱水槽の下部では、洗濯物が、強い水流を受けやすく、また、パルセータに接触しやすい。このため、洗濯脱水槽内に比較的多くの洗濯物が投入された場合、下側の洗濯物は洗浄されやすいが上側の洗濯物は洗浄されにくい。
【0004】
洗濯脱水槽内での洗濯物の動きが比較的に規則的であったり単調であったりした場合には、上側の洗濯物と下側の洗濯物とが入れ替わりにくくなる。よって、この場合、洗濯物に洗浄むらが生じたり、下側に留まる洗濯物に偏って洗浄力が付与されることで洗濯物に布傷みが生じたりしやすくなる。
【0005】
そこで、従来の洗濯機では、たとえば、パルセータの右方向への回転時と左方向への回転時とで、パルセータのオン時間を変えたり、パルセータが発生させる水流の強さを変えたりすることで、洗濯物の動きが比較的に不規則あるいは複雑になるようにし、洗濯物の上下の入れ替えが行われやすいようにしていた。
【0006】
なお、特許文献1には、パルセータの羽根における一方の回転方向に臨む側の面を絶壁面とし、他方の回転方向に臨む面を傾斜面とすることにより、一方の回転方向の回転時と他方の回転方向の回転時とで、パルセータが発生させる水流の強さを変える洗濯機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、洗濯機においては、従来より、右方向への回転と左方向への回転とが繰り返されたときに、洗濯脱水槽内での洗濯物の動きが、一層、不規則あるいは複雑になることにより、洗濯物の上下の入れ替えが促進されやすくなり、洗浄むらや布傷みを低減でき得るパルセータの開発が求められている。
【0009】
そこで、本発明は、従来とは異なるパルセータの構成にて、洗浄むらや布傷みを低減でき、洗浄性能の向上を図ることができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記洗濯槽の底部に配置されるパルセータと、前記パルセータを駆動する駆動部と、を備える。ここで、前記パルセータは、ベース部と、前記ベース部の表面に設けられた配置面に配置され、当該配置面から突出する突出高さが変更可能な羽根部と、前記パルセータの回転方向に応じて前記羽根部の前記突出高さを可変させる可変機構部と、前記ベース部の裏側に設けられ、前記ベース部の中心側から外周側へと放射状に延びる複数の揚水羽根と、を含む。前記洗濯槽の底部には、前記揚水羽根が収容される収容室が形成され、前記収容室に循環水路が繋がる。前記循環水路には、前記揚水羽根の回転による揚水作用により前記循環水路内に送られてきた水を前記洗濯槽内へと戻すための出口が形成される。前記揚水羽根は、前記羽根部が低くなる回転方向に前記パルセータが回転したときに水を掻く水掻き面が、その回転方向と反対方向に凹むような形状を有する。
【0011】
たとえば、複数の前記羽根部が備えられる場合には、前記羽根部が低くなる回転方向に前記パルセータが回転したとき、前記突出高さの高い前記羽根部が無くなるまたは少なくなる。
【0012】
上記の構成によれば、パルセータの回転方向に応じて羽根部の突出高さが可変する。これにより、洗濯槽内で洗濯物が不規則あるいは複雑に動きやすくなるので、洗濯物の上下の入れ替えが行われやすくなる。これにより、洗浄むらや布傷みが低減されることが期待される。
【0013】
また、羽根部が低くなる回転方向にパルセータが回転したときは、その反対方向にパルセータが回転したときに比べて、パルセータの回転数や回転量が増加しやすく、揚水羽根の回転数や回転量が増加しやすい。上記の構成によれば、揚水羽根は、羽根部が低くなる回転方向にパルセータが回転したときに水を掻く水掻き面が、その回転方向と反対方向に凹むような形状を有するので、その回転方向にパルセータが回転したときに、揚水羽根が収容室内の水を掻きやすくなり、揚水羽根の回転数や回転量が増加することと相まって、揚水羽根による揚水作用が大きく増加する。これにより、パルセータが回転したときの循環水路と洗濯槽との間での循環水量を大きく増加させることができる。
【0014】
本態様に係る洗濯機において、前記揚水羽根は、前記ベース部の中心側から外周側へ真っ直ぐ延び、その途中から前記羽根部が低くなる回転方向側へ曲げられた形状を有するような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、揚水羽根は、その形状が単純であるので形成しやすい。よって、パルセータの製造が容易になる。
【0016】
本態様に係る洗濯機において、前記羽根部は、第1の位置と、当該第1の位置より前記突出高さが高くなる第2の位置との間で動くことができるよう、前記ベース部に保持されるような構成とされ得る。この場合、前記可変機構部は、前記ベース部の裏面側に配置され、前記駆動部により前記ベース部に対して相反する第1の方向と第2の方向とに回転駆動される回転部と、前記回転部における前記羽根部に対応する位置に設けられ、前記回転部の前記第1の方向への回転に伴って前記羽根部を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、前記回転部の前記第2の方向への回転に伴って前記羽根部を前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させる移動部と、を含むような構成とされ得る。また、前記ベース部は、前記羽根部が前記第2の位置へ移動したときに前記回転部が当たる第1の当接部と、前記羽根部が前記第1の位置へ移動したときに前記回転部が当たる第2の当接部とを含むような構成とされ得る。そして、前記回転部が前記第1の当接部および前記第2の当接部に当たると前記ベース部が前記回転部と一体的に回転して、前記パルセータが、ぞれぞれ、前記第1の方向および前記第2の方向へ回転する。
【0017】
上記の構成によれば、羽根部の突出高さの切り替えとパルセータの回転とを駆動部により共に行うことができるので、部品コストの低減などを図ることができる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記揚水羽根は、前記ベース部の裏面において、前記回転部の可動領域から外れた領域に設けられ得る。
【0019】
このような構成とされれば、複数の揚水羽根が回転部に干渉せず、回転部の動きが妨げられない。
【0020】
上記の構成とされた場合、さらに、前記移動部には、傾斜面が設けられ得る。この場合、前記羽根部には、前記傾斜面に接触し、前記羽根部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するときに前記傾斜面を上り、前記羽根部が前記第2の位置から前記第1の位置へ移動するときに前記傾斜面を下る昇降部が設けられる。
【0021】
このような構成とされれば、回転部の第1の方向への回転に伴って昇降部が移動部の傾斜面を上ることにより羽根部の突出高さが高くなり、回転部の第2の方向への回転に伴って昇降部が移動部の傾斜面を下ることにより羽根部の突出高さが低くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、洗浄むらや布傷みを低減でき、洗浄性能の向上を図ることができる洗濯機を提供できる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機の上部の背面斜視図である。
【
図3】
図3(a)および(b)は、実施の形態に係る、上方から見たパルセータの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、上方から見たパルセータの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、下方から見たパルセータの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、ベース部の裏側の正面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施の形態に係る、前方上方から見た可動羽根部の斜視図であり、
図7(b)は、実施の形態に係る、後方上方から見た可動羽根部の斜視図であり、
図7(c)は、実施の形態に係る、前方下方から見た可動羽根部の斜視図であり、
図7(d)は、実施の形態に係る、昇降棒の斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、実施の形態に係る、2つの可動羽根部が配置面から突出しない状態のパルセータを示す、一方の可動羽根部の周辺の断面図であり、
図8(b)は、本実施の形態に係る、2つの可動羽根部が配置面から突出した状態のパルセータを示す、一方の可動羽根部の周辺の断面図である。
【
図9】
図9は、変更例に係る、パルセータの構成について説明するための図である。
【
図10】
図10(a)および(b)は、変更例に係る、パルセータの構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯乾燥機1について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の側面断面図である。
図2は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の上部の背面斜視図である。
【0027】
全自動洗濯乾燥機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物を投入するための外側投入口14が形成される。外側投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
【0028】
筐体10内には、外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20は、上面が開口するほぼ円筒状の外槽本体22aと、外槽本体22aの上面を覆うことにより、外槽20の上面を構成する外槽カバー22bとを含む。外槽20の上面、即ち外槽カバー22bには、外側投入口14に対応する位置に、洗濯物を投入するための内側投入口22cが形成される。内側投入口22cは、外槽蓋23により開閉可能に覆われる。
【0029】
外槽20内には、上面が開放されたほぼ円筒状の洗濯脱水槽24が配される。洗濯脱水槽24の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔24aが形成される。洗濯脱水槽24の上部には、バランスリング25が設けられる。なお、洗濯脱水槽24は、本発明の洗濯槽に相当する。
【0030】
洗濯脱水槽24の底部には、パルセータ26が配される。また、洗濯脱水槽24の底部には、パルセータ26の裏側に設けられた複数の揚水羽根114が収容される収容室24bが設けられる。収容室24bには、洗濯脱水槽24の内周面に沿うように上下方向に延びる循環水路27が繋がる。循環水路27の上端部には、水の出口27aが設けられる。なお、この出口27aにリントフィルタが装着される場合がある。また、この出口27aとは別の出口が循環水路27に設けられ、この別の出口にリントフィルタが装着される場合がある。
【0031】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽24およびパルセータ26を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、本発明の駆動部に相当する。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32と、翼軸33と、脱水槽軸34とを含む。翼軸33はパルセータ26に接続され、脱水槽軸34は洗濯脱水槽24に接続される。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクを翼軸33のみに伝達してパルセータ26のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクを翼軸33および脱水槽軸34に伝達してパルセータ26および洗濯脱水槽24を一体的に回転させる。なお、伝達機構部32は減速機構を有し、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31の回転が減速機構の減速比に従って減速され、翼軸33に伝達される。
【0032】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽24および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0033】
筐体10内の後部には、外槽20の上方に乾燥装置50と給水装置60とが配置される。乾燥装置50と給水装置60は、胴体部11の上面後部に配置された固定板16に取り付けられ、上面板12により覆われる。
【0034】
乾燥装置50は、洗濯脱水槽24内に収容された洗濯物を乾燥させる。乾燥装置50はヒータと送風ファンが配置された循環風路50aを含み、循環風路50aが、吸気ダクト71および排気ダクト72によって外槽20の内部と接続される。吸気ダクト71および排気ダクト72は、フレキシブルなダクトであり、ゴム等の弾性材料で形成され、中間部分に図示しない蛇腹部を有する。ヒータおよび送風ファンの動作により生成した温風が、循環風路50aから排出され、吸気ダクト71を通じて外槽20内に導入される。さらに、外槽20から排出された温風が、排気ダクト72を通じて循環風路50a内に導入される。こうして、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環する。
【0035】
乾燥装置50は、温風の循環による循環乾燥動作と、それに続く、循環する温風の一部を外部へ排出させる排気乾燥動作とを行う。上面板12には、多数の排気孔で構成され、温風が排出される排気口51が設けられる。
【0036】
給水装置60は、外部に露出する給水口61が、水栓から延びる図示しない外部給水ホースに接続される。給水装置60は給水バルブおよび洗剤容器を含み、給水バルブが開放されることにより、水栓からの水道水が洗剤容器内に収容された洗剤とともに外槽20内に供給される。給水装置60は、風呂水ポンプを含んでいてもよい。
【0037】
全自動洗濯乾燥機1では、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転または乾燥運転が行われる。洗濯運転は、洗濯のみを行う運転であり、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯乾燥運転は、洗濯から乾燥までを連続的に行う運転であり、最終脱水工程に続いて乾燥工程が実行される。乾燥運転は、乾燥のみを行う運転であり、乾燥工程のみが実行される。
【0038】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽24内に水が溜められた状態で、パルセータ26が左方向および右方向に回転する。パルセータ26の回転により発生した水流等の作用によって洗濯脱水槽24内の洗濯物が洗われる、あるいは、すすがれる。
【0039】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽24およびパルセータ26が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽24に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0040】
乾燥工程では、最初に内気循環乾燥工程が行われ、それに続いて外気導入乾燥工程が行われる。内気循環乾燥工程では、乾燥装置50により循環乾燥動作が行われ、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環する。乾燥風の循環により、洗濯脱水槽24内の温度が速やかに上昇する。パルセータ26が回転し、洗濯物が撹拌されつつ、循環する温風により乾燥される。洗濯脱水槽24内の温度上昇が進み、洗濯物から水分が蒸発して温風に水分が多く含まれるようになると、外気導入乾燥工程に切り替えられる。外気導入乾燥工程では、乾燥装置50により排気乾燥動作が行われ、循環風路50aに外気が導入されるとともに、循環風路50aから循環する温風の一部が排気される。洗濯物から蒸発した水分が、効果的に外槽20内から筐体10の外に排出され、外槽20内が除湿されやすくなるため、洗濯物の乾燥が促進される。
【0041】
次に、パルセータ26の構成にいて詳細に説明する。
【0042】
図3(a)および(b)は、本実施の形態に係る、上方から見たパルセータ26の斜視図である。
図3(a)は、パルセータ26が、上方から見て左方向に回転しているときの形態を示し、
図3(b)は、パルセータ26が、上方から見て右方向に回転しているときの形態を示す。
【0043】
パルセータ26は、ベース部100と、2つの可動羽根部200と、可変機構部300とを備える。ベース部100には、2つの固定羽根部130が設けられ、各固定羽根部130の天面である配置面100aに、それぞれ、配置面100aから突出する突出高さが変更可能となるように可動羽根部200が配置される。可変機構部300は、パルセータ26の回転方向に応じて各可動羽根部200の突出高さ可変させる。なお、可動羽根部200は、本発明の羽根部に相当する。
【0044】
本実施の形態では、
図3(a)および(b)のように、パルセータ26の回転方向に応じて、パルセータ26の形態が、双方の可動羽根部200が配置面100aから突出する形態と、双方の可動羽根部200が配置面100aから突出しない形態とに切り替わる。可動羽根部200が配置面100aから突出したとき、突出高さは、所定高さH1、たとえば、30mm程度の高さとなり、可動羽根部200が配置面100aから突出しないとき、突出高さは、ほぼ0となる。
【0045】
図4は、本実施の形態に係る、上方から見たパルセータ26の分解斜視図である。
図5は、本実施の形態に係る、下方から見たパルセータ26の分解斜視図である。
図6は、本実施の形態に係る、ベース部100の裏側の正面図である。
【0046】
ベース部100は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成され、ほぼ円盤状を有する本体部110と、可変機構部300が装着される装着部120と、2つの固定羽根部130とを含む。装着部120と固定羽根部130は、本体部110と一体形成される。
【0047】
本体部110の表面には、平坦な外周面111の内側に円形の凹み面112が形成される。凹み面112には、表裏を貫通する多数の水抜孔113が形成される。洗濯脱水槽24、即ち外槽20からの排水の際、凹み面112に溜まった水が水抜孔113から排出される。
【0048】
本体部110の裏面には、装着部120と2つの固定羽根部130とを除く部位に、中央側から外周側へと放射状に延びる複数の揚水羽根114が設けられる。上述のとおり、複数の揚水羽根114は、洗濯脱水槽24内の収容室24bに収容される。各揚水羽根114は、パルセータ26が右方向に回転したときに水を掻く右水掻き面114aと、パルセータ26が左方向に回転したときに水を掻く左水掻き面114bとを有する。右水掻き面114aは、本発明の水掻き面に相当する。各揚水羽根114は、中心側から外周側へ真っ直ぐ延びて、その途中からパルセータ26の右方向の回転方向側へ円弧を描くように曲げられた形状を有する。これにより、各揚水羽根114は、右水掻き面114aが、全体として、その回転方向と反対方向、即ち左方向に凹むような形状となる。右方向は、2つの可動羽根部200が低くなる、即ち、その突出長が0となる回転方向である。
【0049】
装着部120は、本体部110の中央部において凹み面112から上方に隆起する。これにより、装着部120には、その裏側に、上方へ凹むほぼ円形の装着凹部121が形成される。装着部120の天面には、中央部に円形の開口部122が形成され、開口部122の周囲に円環状の溝部123が形成される。装着凹部121には、溝部123の裏側の位置に環状の摺動リブ124が形成される。また、装着凹部121の外側には、本体部110の裏面に、装着凹部121と同心の円弧状に形成された摺動壁部115が設けられる。
【0050】
2つの固定羽根部130は、本体部110の凹み面112に、装着部120を挟んで対峙するよう設けられる。ベース部100上において、2つの固定羽根部130の向きは、反対向き、即ちベース部100の周方向には同じ向きとされる。各固定羽根部130は、ほぼ台形柱状を有し、裏側が中空となるように形成される。各固定羽根部130は、ベース部100の周方向側の第1側面130aと第2側面130bとが、第1側面130aが第2側面130bよりも急嵯となるように傾斜する。
【0051】
各固定羽根部130の天面は、ほぼ長方形の平坦面に形成されて配置面100aを構成する。配置面100aの高さ位置は、本体部110の外周面111の高さ位置と同じとなる。配置面100aには、配置面100aのほぼ全体を占めるほぼ長方形の開口部131が形成される。開口部131の4つの縁部には、縁部に沿って所定間隔で並ぶ複数のリブ132aによって、縁部に沿って連続する複数の凹凸からなる固定側凹凸群132が設けられる。
【0052】
各固定羽根部130の裏側には、開口部131における第2側面130b側の縁部近傍に、軸孔133aを有する一対の軸受部133が設けられる。中央側の軸受部133では、軸孔133aが軸受部133を貫通せず、外周側の軸受部133では、軸孔133aが軸受部133を貫通する。
【0053】
各固定羽根部130の第1側面130aから少し離れた位置における本体部110の裏面には、中央側から外周側へ延びる第1ストッパリブ116が設けられる。また、各固定羽根部130の第2側面130bから少し離れた位置における本体部110の裏面には、中央側から外周側へ延びる第2ストッパリブ117が設けられる。ベース部100の裏面では、第1ストッパリブ116と第2ストッパリブ117との間の領域が後述する回転部310の可動領域となる。複数の揚水羽根114は、ベース部100の裏面における、この可動領域以外の領域に設けられることになる。なお、第1ストッパリブ116は、本発明の第1の当接部に相当し、第2ストッパリブ117は、本発明の第2の当接部に相当する。
【0054】
図7(a)は、本実施の形態に係る、前方上方から見た可動羽根部200の斜視図であり、
図7(b)は、本実施の形態に係る、後方上方から見た可動羽根部200の斜視図であり、
図7(c)は、本実施の形態に係る、前方下方から見た可動羽根部200の斜視図であり、
図7(d)は、本実施の形態に係る、昇降棒250の斜視図である。
【0055】
2つの可動羽根部200は、ポリプロピレン等の樹脂材料により、裏側が中空となるほぼ三角柱状に形成される。各可動羽根部200は、ほぼ三角形状の2つの側面210と、2つの側面210の間に設けられる第1傾斜面220および第2傾斜面230とを含み、2つの側面210の間のもう一つの一面が開放されている。第1傾斜面220は第2傾斜面230よりも急嵯にされる。可動羽根部200の2つの側面210の裏側には、第1傾斜面220と接しない角部に、軸孔241を有する一対の軸取付部240が設けられる。軸孔241は、軸取付部240と側面210とを貫通する。
【0056】
2つの側面210には、第1傾斜面220から軸孔241へ向かう方向に沿って、この方向と交差する方向に延びる複数のリブ211が所定間隔で形成されることにより、複数の凹凸からなる可動側凹凸群212が設けられる。また、各側面210には、下縁部に、側方に張り出すように、ストッパ部213が設けられる。さらに、各側面210には、軸孔241を囲むように、固定羽根部130の軸受部133に対応する形状のリブ214が形成される。
【0057】
第1傾斜面220は、軸孔241を曲率中心とする曲面に形成される。第1傾斜面220には、傾斜方向に延びる複数のリブ221が、傾斜方向と直交する方向に沿って所定間隔で形成されることにより、複数の凹凸からなる可動側凹凸群222が設けられる。また、第1傾斜面220には、可動羽根部200の頂部の近傍に、表裏を貫通する複数の孔部223が形成される。洗濯脱水槽24への給水時において、可動羽根部200の位置まで水が溜められたときに、可動羽根部200の裏側に溜まった空気が孔部223から抜かれる。これにより、可動羽根部200の裏側に残留した空気による浮力で不所望に可動羽根部200が突出してしまうことが防止される。
【0058】
第2傾斜面230は、下端部分が軸孔241の曲率中心とする曲面に形成され、その他の部分が平坦面に形成される。第2傾斜面230の下端部分には、傾斜方向に延びる複数のリブ231が、傾斜方向と直交する方向に沿って所定間隔で形成されることにより、複数の凹凸からなる可動側凹凸群232が設けられる。
【0059】
可動羽根部200の裏側には、可動羽根部200の頂部のほぼ真下位置に、第1傾斜面220と平行となるように、昇降棒250が取り付けられる。昇降棒250は、金属製、たとえば、ステンレス製の丸棒を折り曲げ加工することにより形成され、直線状に延びる昇降部251と、昇降部251の両側に設けられたL字状の差込部252とを含む。昇降棒250は、可動羽根部200よりも摩擦係数が小さい。可動羽根部200の裏側には、昇降棒250が取り付けられる取付部260が設けられる。取付部260は、昇降棒250の差込部252が差し込まれる2つの差込穴部261と、これら差込穴部261の間において昇降部251を支える支持部262とで構成される。
【0060】
図4および
図5に戻り、2つの可動羽根部200がベース部100に取り付けられる際には、可動羽根部200の一対の軸取付部240の軸孔241が固定羽根部130の一対の軸受部133の軸孔133aに合されて、これら軸孔241、133aに、外周側から金属製、たとえばステンレス製のシャフト270が通される。このとき、可動羽根部200の各側面210のリブ214の内側に軸受部133の先端部が下方から嵌め込まれることで、容易に軸孔241、133a同士を合せることができ、容易にシャフト270の取り付けが行える。シャフト270が通された後に、外周側の軸受部133の軸孔133aに抜け止めネジ280が取り付けられ、これにより、シャフト270の抜け止めがなされる。可動羽根部200は、ベース部100に対して、シャフト270を中心に回動可能となり、配置面100aから突出しない非突出位置と、配置面100aから突出した突出位置との間で移動可能となる。なお、非突出位置は、本発明の第1の位置に相当し、突出位置は、本発明の第2の位置に相当する。
【0061】
可動羽根部200が回動する範囲において、可動羽根部200の可動側凹凸群212、222、232と固定羽根部130の固定側凹凸群132とが噛み合う。これにより、可動羽根部200と固定羽根部130の開口部131との隙間に硬貨などの異物が挟まり込んだり、洗濯物が噛み込んだりしにくくなる。
【0062】
可変機構部300は、回転部310と、ホルダ320と、キャップ330と、下ワッシャ340と、上ワッシャ350とを備える。回転部310、ホルダ320およびキャップ330は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成される。
【0063】
回転部310は、中央のハブ部311と、ハブ部311から相反する方向へ延びる2つのアーム部312とが一体に形成された構成を有する。ハブ部311は、天面が閉鎖されたほぼ円筒体であり、その裏側が円形に凹み、ボス装着部313となる。ボス装着部313には、金属製の取付ボス360が装着される。取付ボス360に、翼軸33が取り付けられる。取付ボス360の上端は、ハブ部311の天面を貫通し、僅かに上方に突出する。ハブ部311の天面には、ベース部100の装着部120の開口部122の内径とほぼ等しい外径を有する環状リブ314が形成される。また、ハブ部311の天面には、環状リブ314の内側に、複数のネジ孔315が形成される。ハブ部311の下部には、アーム部312が形成されていない部分に、円弧状の摺動壁部316が形成され、この摺動壁部316の表面に金属製、たとえばステンレス製の摺動板370が取り付けられる。摺動板370は、回転部310よりも摩擦係数が小さい。
【0064】
2つのアーム部312には、それぞれ、2つの可動羽根部200に対応する位置に、移動カム317が設けられる。移動カム317には、傾斜面318と、傾斜面318の頂上から水平方向に延びる平坦な支え面319とが形成される。2つのアーム部312の移動カム317は、それらの傾斜面318が反対方向を向く。なお、移動カム317は、本発明の移動部に相当する。
【0065】
ホルダ320は、ほぼ円盤状に形成される。ホルダ320には、中央部に、円形に凹む凹部321が形成される。凹部321の裏側は下方に突出する。凹部321の底面には、中央部に、取付ボス360の先端部が挿入される開口部322が形成され、開口部322の周りに、複数のネジ孔323が形成される。また、ホルダ320の裏面には、外周部に環状の摺動リブ324が形成される。
【0066】
キャップ330は、ほぼ円盤状に形成され、ホルダ320の凹部321の内径とほぼ等しい外径を有する。下ワッシャ340および上ワッシャ350は、金属製の環状板である。下ワッシャ340は回転部310よりも摩擦係数が小さく、上ワッシャ350はホルダ320よりも摩擦係数が小さい。
【0067】
可変機構部300がベース部100に取り付けられる際には、まず、回転部310が、下方からベース部100の裏面側に装着される。ハブ部311が装着凹部121に挿入され、ハブ部311の天面と装着凹部121の上面との間に下ワッシャ340が挟み込まれる。装着凹部121の上面の摺動リブ124が下ワッシャ340に当接する。また、ハブ部311の天面の環状リブ314が装着部120の開口部122に嵌め込まれる。ハブ部311における環状リブ314の内側の天面が、開口部122を通じて上方に臨む。次に、ハブ部311における環状リブ314の内側の天面に、上方からホルダ320が取り付けられる。このとき、ホルダ320の凹部321の裏面とハブ部311の天面とが接触し、ネジ孔323、315同士が一致する。2つのネジ孔323、315に図示しないネジが止められ、ホルダ320がハブ部311に固定される。ホルダ320と装着部120の天面の溝部123との間に上ワッシャ350が挟み込まれる。ホルダ320の裏面の摺動リブ324が上ワッシャ350に当接する。最後に、ホルダ320の凹部321にキャップ330が取り付けられ、凹部321がキャップ330で覆われる。
【0068】
回転部310は、ベース部100に対し、ベース部100の裏面に設けられた2つの第1ストッパリブ116と2つの第2ストッパリブ117に当たらない範囲、即ち可動領域において、ベース部100の中心軸を中心に回転可能となる。ベース部100に対して回転部310が回転するとき、ベース部100の裏側では、ハブ部311の摺動壁部316の摺動板370がベース部100の摺動壁部115の内面を摺動するとともに、装着凹部121の上面の摺動リブ124が下ワッシャ340の表面を摺動する。また、ベース部100の表側では、ホルダ320の裏面の摺動リブ324が上ワッシャ350の表面を摺動する。これにより、回転部310は、ベース部100に対してスムーズに回転する。
【0069】
次に、固定羽根部130の天面、即ち配置面100aに対する可動羽根部200の突出高さが可変機構部300によって可変される動作について説明する。
【0070】
図8(a)は、本実施の形態に係る、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出しない状態のパルセータ26を示す、一方の可動羽根部200の周辺の断面図であり、
図8(b)は、本実施の形態に係る、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出した状態のパルセータ26を示す、一方の可動羽根部200の周辺の断面図である。
【0071】
図8(a)に示すように、可動羽根部200が配置面100aから突出しない非突出位置にあるとき、可動羽根部200では、昇降棒250の昇降部251が移動カム317の傾斜面318の下の位置において移動カム317と接触する。パルセータ26では、ベース部100ではなく、可変機構部300の回転部310に翼軸33が接続されている。よって、この状態から駆動モータ31が正転すると、駆動モータ31のトルクが翼軸33を介して回転部310に伝達され、回転部310が、上方から見て左方向に回転する。ベース部100に対して回転部310が左方向に回転し、実線矢印に示すように、回転部310のアーム部312が第1ストッパリブ116に向かう方向へ移動する。アーム部312の移動により可動羽根部200が移動カム317に押されるが、ベース部100は洗濯脱水槽24内の水の抵抗等が加わることで回転しにくいため、破線矢印に示すように、昇降部251が傾斜面318を上り、これに伴って、可動羽根部200がシャフト270を中心に上方に回動し、一点鎖線に示すように、可動羽根部200が配置面100aから突出する。ここで、昇降部251は、可動羽根部200よりも摩擦係数が小さい部材で形成されている。よって、昇降部251が傾斜面318をスムーズに昇降しやすく、可動羽根部200がスムーズに回動しやすい。
【0072】
図8(b)のように、アーム部312が第1ストッパリブ116に当接したとき、昇降部251は移動カム317の支え面319に到達する。これにより、可動羽根部200は、突出位置に達し、配置面100aに対して最も突出した状態となる。この状態になると、可動羽根部200のストッパ部213が配置面100aの裏側に当り、これ以上の可動羽根部200の上方への回動が止められる。また、昇降部251が、支え面319によって、上方、即ち突出方向に支えられる。これにより、下方に押されても、可動羽根部200が配置面100a側に引っ込んでしまうことが防止される。アーム部312が第1ストッパリブ116に当接した後は、ベース部100が回転部310と一体となって左方向に回転する。即ち、
図3(a)のように、パルセータ26が左方向に回転する。なお、他方の可動羽根部200も配置面100aから突出した状態となる。左方向は、本発明の第1の方向に相当する。
【0073】
次に、
図8(b)のように、可動羽根部200が突出位置にある状態において、駆動モータ31が逆転すると、回転部310が、上方から見て右方向に回転する。ベース部100に対して回転部310が右方向に回転し、実線矢印に示すように、アーム部312が第2ストッパリブ117へ向かう方向へ移動する。破線矢印に示すように、昇降部251が傾斜面318を下り、これに伴って、可動羽根部200が下方へ回動し、一点鎖線に示すように、可動羽根部200が配置面100a側に引っ込んでいく。
図8(a)のように、昇降部251が傾斜面318を完全に下ると、可動羽根部200が配置面100aから突出しない状態となる。このとき、可動羽根部200の第2傾斜面230が配置面100aとほぼ面一となる。
【0074】
アーム部312が第2ストッパリブ117に当接し、ベース部100が回転部310と一体となって右方向に回転する。即ち、
図3(b)のように、パルセータ26が右方向に回転する。なお、他方の可動羽根部200も配置面100aから突出しない状態となる。右方向は、本発明の第2の方向に相当する。
【0075】
さて、パルセータ26が左方向と右方向とに交互に回転すると、
図3(a)のような、2つの可動羽根部200の何れもが配置面100aから突出する形態と、
図3(b)のような、2つの可動羽根部200の何れもが配置面100aから突出しない形態とが交互に繰り返される。
【0076】
2つの可動羽根部200が配置面100aから突出する場合は、2つの固定羽根部130および可動羽根部200により洗濯脱水槽24内の水が撹拌される。一方、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出しない場合は、2つの固定羽根部130のみにより洗濯脱水槽24内の水が撹拌される。よって、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出しない場合は、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出する場合に比べて、洗濯脱水槽24内に発生する水流が極端に弱くなる。よって、パルセータ26を左方向と右方向とに回転させたとき、洗濯脱水槽24内では、水流の強さに極端な差が生じることになる。これにより、洗濯物は、パルセータ26の左右方向への回転に伴って、左右方向に規則的あるいは単調に動くのではなく、不規則あるいは複雑に動きやすくなるので、洗濯物の上下の入れ替えが行われやすくなる。これにより、洗浄むらや布傷みが低減されることが期待される。
【0077】
パルセータ26が左右方向に回転すると、揚水羽根114が左右方向に回転する。揚水羽根114が回転すると、揚水作用により収容室24b内の水が循環水路27へと送られる。循環水路27に送られた水は、出口27aから洗濯脱水槽24の内側に向かって放出される。これにより、洗濯脱水槽24内の上側に位置する洗濯物に循環水が掛けられる。なお、循環水路27にリントフィルタが備えられる場合は、循環水に含まれるリントがリントフィルタに捕集される。
【0078】
パルセータ26が右方向に回転する場合、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出しないため、左方向に回転する場合に比べて、水や洗濯物の接触によりパルセータ26に加わる負荷が小さくなる。これにより、駆動モータ31を左右方向において同じようにオンオフ制御したときに、右方向では左方向に比べて、全体的にパルセータ26の回転数が高くなりやすく、また、回転量が多くなりやすい。よって、右方向では左方向に比べて、揚水羽根114の回転数が高くなりやすく、また、回転量が多くなりやすい。
【0079】
本実施の形態では、揚水羽根114は、パルセータ26が右方向に回転したときに水を掻く右水掻き面114aが左方向に凹むような形状となっている。このため、パルセータ26が右方向に回転したときに、揚水羽根114は、オールのように水を捉えやすくなり、水を掻きやすくなる。このため、パルセータ26が右方向に回転したときには、揚水羽根114の回転数や回転量が増加することと相まって、揚水羽根114による揚水作用が大きく増加する。したがって、パルセータ26が左右方向に回転したときに、全体として循環水量を大きく増加させることができ、循環水路27から放出された循環水によって洗濯脱水槽24内の洗濯物を十分に濡らすことができ、また、循環水で洗濯物をたたき洗う効果を十分に発揮できる。また、循環水路27にリントフィルタが備えられている場合は、リントの捕集効果が高まる。
【0080】
なお、揚水羽根114が水を掻きやすくなると、揚水羽根114への水の抵抗が大きくなってパルセータ26への負荷が増加する。しかしながら、この負荷は、2つの可動羽根部200が突出しないことにより洗濯物や水から受けなくなる負荷に比べて十分に小さいため、パルセータ26が右方向に回転したときの回転数や回転量の増加の妨げにはなりにくい。
【0081】
また、本実施の形態では、揚水羽根114は、ベース部100の中心側から外周側へ真っ直ぐ延び、その途中から2つの可動羽根部200が突出しない回転方向、即ち右方向側への曲げられた形状に形成されており、その形状が単純である。よって、揚水羽根114を形成しやすくなるので、パルセータ26を製造しやすくなる。
【0082】
さらに、本実施の実施では、回転部310が左方向に回転すると、各移動カム317により2つの可動羽根部200が突出位置に移動され、そして、回転部310が第1ストッパリブ116に当たって回転部310がベース部100と一体となり、パルセータ26が左方向に回転する。一方、回転部310が右方向に回転すると、各移動カム317により2つの可動羽根部200が非突出位置に移動され、そして、回転部310が第2ストッパリブ117に当たって回転部310がベース部100と一体となり、パルセータ26が右方向に回転する。このように、可動羽根部200の高さの切り替えとパルセータ26の回転とを駆動ユニット30により共に行うことができるので、部品コストの低減などを図ることができる。
【0083】
さらに、複数の揚水羽根114は、ベース部100の裏面における、回転部310の可動領域以外の領域に設けられているので、回転部310に干渉せず、その動きを妨げるようなことがない。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0085】
たとえば、
図9、
図10(a)および(b)に示すように、ベース部100の裏面に形成される複数の揚水羽根114の形状を変更できる。
【0086】
図9の例では、各揚水羽根114は、中心側から外周側へ真っ直ぐ延びて、その途中からパルセータ26の右方向の回転方向側へ折り曲げられて真直ぐに延びる形状を有する。これにより、上記実施の形態と同様、各揚水羽根114は、パルセータ26が、2つの可動羽根部200が配置面100aから突出しない右方向に回転したときに水を掻く右水掻き面114aが、全体として、その回転方向と反対方向、即ち左方向に凹むような形状となる。
【0087】
図10(a)の例では、各揚水羽根114は、中心側から外周側へ真っ直ぐ延びる直線状部114cと、直線状部114cに続く円弧状部114dとを含むような形状を有する。これにより、上記実施の形態と同様、各揚水羽根114は、右水掻き面114aが、外周側の円弧状部114dの部分において左方向に凹むような形状となる。
【0088】
図10(b)の例では、各揚水羽根114は、中心側から外周側へ真っ直ぐ延びる直線状部114cと、直線状部114cに続くV字状部114eとを含むような形状を有する。これにより、上記実施の形態と同様、各揚水羽根114は、右水掻き面114aが、外周側のV字状部114eの部分において左方向に凹むような形状となる。
【0089】
また、上記実施の形態のパルセータ26では、ベース部100の凹み面112に固定羽根部130が設けられ、この固定羽根部130の天面が、可動羽根部200が配置される配置面100aとされた。しかしながら、ベース部100の表面を凹まさずに平坦面とし、固定羽根部130を設けず、この平坦面の一部の領域を可動羽根部200が配置される配置面100aとするような構成が採られてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態のパルセータ26では、2つの可動羽根部200が設けられたが、可動羽根部200が1つあるいは3つ以上設けられてもよい。可動羽根部200が3つ以上設けられる場合、複数の可動羽根部200は、第1可動羽根部と、第1可動羽根部より個数の少ない第2可動羽根部とで構成される。そして、可変機構部300により、パルセータ26が左方向に回転するときには、第1可動羽根部が突出し、第2可動羽根部が突出しない形態に切り替えられ、パルセータ26が右方向に回転するときには、第2可動羽根部が突出し、第1可動羽根部が突出しない形態、即ち、突出長が高い可動羽根部200の数が少ない形態に切り替えられる。これにより、パルセータ26は、右方向に回転するとき、左方向に回転するときに比べて、回転数が高くなりやすく、回転量が多くなりやすい。
【0091】
さらに、上記実施の形態のパルセータ26では、その表面に形成される複数の羽根部の全てが、固定羽根部130と可動羽根部200とからなる羽根部により構成された。しかしながら、パルセータ26は、複数の羽根部の一部が、固定羽根部130と可動羽根部200とからなる羽根部、あるいは可動羽根部200のみからなる羽根部により構成されるようにされてもよい。
【0092】
さらに、上記実施の形態のパルセータ26では、可動羽根部200の昇降部251が移動カム317の傾斜面318をスムーズに移動するように、摩擦係数の小さな昇降棒250が用いられた。しかしながら、可動羽根部200に昇降部としてローラを設け、ローラが傾斜面318を転がるような構成とすることもできる。また、昇降棒250のような別部材で昇降部を構成するのではなく、可動羽根部200の一部が、昇降部として、傾斜面318を移動するような構成とされてもよい。
【0093】
さらに、上記実施の形態では、衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、衣類の乾燥機能が搭載されていない全自動洗濯機に本発明を適用することもできる。
【0094】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 全自動洗濯乾燥機(洗濯機)
24 洗濯脱水槽(洗濯槽)
24b 収容室
26 パルセータ
27 循環水路
27a 出口
30 駆動ユニット(駆動部)
100 ベース部
100a 配置面
114 揚水羽根
114a 右水掻き面(水掻き面)
116 第1ストッパリブ(第1の当接部)
117 第2ストッパリブ(第2の当接部)
200 可動羽根部(羽根部)
251 昇降部
300 可変機構部
310 回転部
317 移動カム(移動部)
318 傾斜面