(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】赤血球除去装置、単核球回収器、細胞培養装置、細胞培養システム、細胞培養方法、及び単核球の回収方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/02 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
A61M1/02 140
(21)【出願番号】P 2021526114
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022843
(87)【国際公開番号】W WO2020250929
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517123221
【氏名又は名称】アイ ピース,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田邊 剛士
(72)【発明者】
【氏名】平出 亮二
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 清典
(72)【発明者】
【氏名】伴 一訓
(72)【発明者】
【氏名】木下 聡
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/154788(WO,A1)
【文献】実開昭57-007547(JP,U)
【文献】実開昭57-005240(JP,U)
【文献】特開2010-200693(JP,A)
【文献】特開2012-034725(JP,A)
【文献】国際公開第2013/175797(WO,A1)
【文献】特開昭47-008441(JP,A)
【文献】特表2017-524525(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131605(WO,A1)
【文献】特表2016-524987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
C12N 5/0786
A61K 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を収容する血液容器と、
前記血液容器から血液を受け、前記血液から赤血球を少なくとも部分的に除去する赤血球除去器と、
前記赤血球除去器から前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、前記処理血液から単核球を回収する単核球回収器と、
を備える赤血球除去装置であって、
前記単核球回収器が、前記単核球を含む溶液を収容する回収容器を備え、
前記回収容器の底部が漏斗状であり、
前記回収容器の前記漏斗状の底部の先端に蓄積した前記単核球を吸引するための流路を備える、
赤血球除去装置。
【請求項2】
前記血液容器から前記赤血球除去器に前記血液を送るための流路をさらに備え、
前記血液容器から前記赤血球除去器に前記血液を送るための前記流路の内部が外気から閉鎖可能である、請求項1に記載の赤血球除去装置。
【請求項3】
前記赤血球除去器から前記単核球回収器に少なくとも前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流路をさらに備える、請求項1又は2に記載の赤血球除去装置。
【請求項4】
前記血液容器の内部及び前記赤血球除去器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項1から3のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項5】
前記単核球回収器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項6】
前記血液容器の内部及び前記赤血球除去器の内部を含む閉鎖空間が、外部と気体の交換をしない、請求項1から5のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項7】
前記赤血球除去器内で、前記血液と、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と、が混合される、請求項1から6のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項8】
前記血液と、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と、を混合する混合器をさらに備え、
前記赤血球除去器が、前記混合器から、前記赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と混合された処理血液を受ける、請求項1から6のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項9】
前記赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を収容する赤血球処理剤容器と、
前記赤血球処理剤容器から前記赤血球除去器に少なくとも前記赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を送るための流路と、
をさらに備える、請求項7に記載の赤血球除去装置。
【請求項10】
前記血液容器から前記赤血球除去器に少なくとも前記血液を送るための流体機械をさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項11】
前記赤血球除去器内で、前記赤血球が沈降し、前記赤血球除去器内の上澄みが前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液として前記単核球回収器に送られる、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項12】
前記単核球回収器内で、前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液が希釈される、請求項1から11のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項13】
前記単核球回収器内で、前記単核球が沈降する、請求項1から12のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項14】
前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を希釈するための希釈用液を収容する希釈用液容器をさらに備える、請求項1から13のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項15】
前記単核球回収器内で前記単核球が沈降した後、前記単核球回収器内の上澄みが除去される、請求項1から14のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項16】
前記単核球回収器の前記漏斗状の底部の先端に第1開口が設けられており、
前記単核球回収器の前記漏斗状の底部の側面に第2開口が設けられており、
前記単核球を吸引するための流路が前記第1開口に接続されており、
前記第2開口に流路が接続されている、
請求項1から15のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項17】
前記第1開口から前記単核球を吸引する単核球吸引装置をさらに備える、請求項16に記載の赤血球除去装置。
【請求項18】
前記血液容器から前記赤血球除去器に少なくとも前記血液を送るための流体機械、及び前記赤血球除去器内の流体を前記血液容器に送るための流体機械の少なくも一方をさらに備える、請求項1から17のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項19】
前記単核球回収器内の流体を前記赤血球除去器に送るための流路をさらに備える、請求項1から18のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項20】
前記赤血球除去器から前記単核球回収器に少なくとも前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流体機械、及び前記単核球回収器内の流体を前記赤血球除去器に送るための流体機械の少なくも一方をさらに備える、請求項1から19のいずれか1項に記載の赤血球除去装置。
【請求項21】
単核球を含む溶液を収容する回収容器を備える単核球回収器であって、
前記回収容器の底部が漏斗状であり、
前記漏斗状の底部の先端に第1開口が設けられており、
前記漏斗状の底部の側面に第2開口が設けられており、
前記第1開口に接続された流路であって、前記回収容器の前記漏斗状の底部の先端に蓄積した前記単核球を吸引するための流路と、
前記第2開口に接続された流路と、
を備える、単核球回収器。
【請求項22】
前記回収容器に前記溶液が導入されると、前記漏斗状の底部の先端に前記単核球が蓄積し、前記第2開口から前記溶液が排出される、請求項21に記載の単核球回収器。
【請求項23】
前記第2開口から排出される前記溶液が血小板を含む、請求項21又は22に記載の単核球回収器。
【請求項24】
請求項21から23のいずれか1項に記載の単核球回収器と、
前記単核球回収器から前記単核球を受ける細胞培養器と、
を備える、
細胞培養システム。
【請求項25】
前記単核球回収器が赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、前記処理血液から単核球を回収する、請求項
24に記載の細胞培養システム。
【請求項26】
前記単核球回収器に前記赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を供給するための赤血球除去器をさらに備える、請求項
25に記載の細胞培養システム。
【請求項27】
前記赤血球除去器に前記赤血球を少なくとも部分的に除去される前の血液を供給するための血液容器をさらに備える、請求項
26に記載の細胞培養システム。
【請求項28】
前記細胞培養器に接続された容積可変容器を備え、
前記細胞培養器内の流体が前記容積可変容器に移動すると、前記容積可変容器の容積が膨張する、請求項
24から
27のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項29】
前記単核球回収器の内部及び前記細胞培養器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項
24から
28のいずれか1項に記載の細胞培養システム。
【請求項30】
前記赤血球除去器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項
26に記載の細胞培養システム。
【請求項31】
前記血液容器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項
27に記載の細胞培養システム。
【請求項32】
前記容積可変容器の内部が、外気から閉鎖可能である、請求項
28に記載の細胞培養システム。
【請求項33】
前記容積可変容器の内部が、外部と気体の交換をしない、請求項
28又は
32に記載の細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞技術に関し、赤血球除去装置、単核球回収器、細胞培養装置、細胞培養システム、細胞培養方法、及び単核球の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胚性幹細胞(ES細胞)は、ヒトやマウスの初期胚から樹立された幹細胞である。ES細胞は、生体に存在する全ての細胞へと分化できる多能性を有する。現在、ヒトES細胞は、パーキンソン病、若年性糖尿病、及び白血病等、多くの疾患に対する細胞移植療法に利用可能である。しかし、ES細胞の移植には障害もある。特に、ES細胞の移植は、不成功な臓器移植に続いて起こる拒絶反応と同様の免疫拒絶反応を惹起しうる。また、ヒト胚を破壊して樹立されるES細胞の利用に対しては、倫理的見地から批判や反対意見が多い。
【0003】
このような背景の状況の下、京都大学の山中伸弥教授は、4種の遺伝子:OCT3/4、KLF4、c-MYC、及びSOX2を体細胞に導入することにより、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立することに成功した。これにより、山中教授は、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した(例えば、特許文献1、2参照。)。iPS細胞は、拒絶反応や倫理的問題のない理想的な多能性細胞である。したがって、iPS細胞は、細胞移植療法への利用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4183742号公報
【文献】特開2014-114997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
iPS細胞は血液細胞から誘導される場合がある。iPS細胞を誘導する用途に限らず、血液細胞を効率的に処理可能な技術が望まれている。また、iPS細胞に限らず、様々な細胞を効率よく培養可能な装置が望まれている。そこで、本発明は、赤血球除去装置、単核球回収器、細胞培養装置、細胞培養システム、細胞培養方法、及び単核球の回収方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、血液を収容する血液容器と、血液容器から血液を受け、血液から赤血球を少なくとも部分的に除去する赤血球除去器と、血液容器から赤血球除去器に少なくとも血液を送るための流路と、を備える赤血球除去装置が提供される。
【0007】
上記の赤血球除去装置において、血液容器から赤血球除去器に血液を送るための流路の内部が外気から閉鎖可能であってもよい。
【0008】
上記の赤血球除去装置が、赤血球除去器から赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、処理血液から単核球を回収する単核球回収器と、赤血球除去器から単核球回収器に少なくとも赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流路と、をさらに備えていてもよい。
【0009】
上記の赤血球除去装置において、赤血球除去器が内部の気体を除去可能であってもよい。
【0010】
上記の赤血球除去装置が、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液が流れる流路をさらに備え、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液が流れる流路の内部が外気から閉鎖可能であってもよい。
【0011】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器が内部の気体を除去可能であってもよい。
【0012】
上記の赤血球除去装置において、血液容器の内部及び赤血球除去器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0013】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0014】
上記の赤血球除去装置において、血液容器の内部及び赤血球除去器の内部を含む閉鎖空間が、外部と気体の交換をしなくてもよい。
【0015】
上記の赤血球除去装置において、血液容器及び赤血球除去器が、包埋されていてもよい。
【0016】
上記の赤血球除去装置において、血液容器の少なくとも一部及び/又は赤血球除去器の少なくとも一部が、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。
【0017】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器が包埋されていてもよい。
【0018】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器の少なくとも一部が部材に彫り込まれて形成されていてもよい。
【0019】
上記の赤血球除去装置において、赤血球除去器内で、血液と、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と、が混合されてもよい。
【0020】
上記の赤血球除去装置が、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を収容する赤血球処理剤容器をさらに備え、赤血球除去器が、赤血球処理剤容器から赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を受けてもよい。
【0021】
上記の赤血球除去装置が、血液と、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と、を混合する混合器をさらに備え、赤血球除去器が、混合器から、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方と混合された血液を受けてもよい。
【0022】
上記の赤血球除去装置において、混合器が、血液と赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方との混合液が流れる、折れ曲がり流路を備えていてもよい。
【0023】
上記の赤血球除去装置が、血液容器から赤血球除去器に少なくとも血液を送るための流路をさらに備えていてもよい。
【0024】
上記の赤血球除去装置が、血液容器から赤血球除去器に少なくとも血液を送るための流路に接続された、内部を真空にすることができる真空容器を備えていてもよい。
【0025】
上記の赤血球除去装置が、赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を収容する赤血球処理剤容器と、赤血球処理剤容器から赤血球除去器に赤血球沈降剤及び赤血球除去剤の少なくとも一方を送るための流路と、をさらに備えていてもよい。
【0026】
上記の赤血球除去装置が、血液容器から赤血球除去器に少なくとも血液を送るための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0027】
上記の赤血球除去装置において、血液容器が当該血液容器の容積を変更可能であってもよい。
【0028】
上記の赤血球除去装置において、赤血球除去器が当該赤血球除去器の容積を変更可能であってもよい。
【0029】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器が当該単核球回収器の容積を変更可能であってもよい。
【0030】
上記の赤血球除去装置において、赤血球処理剤容器が当該赤血球処理剤容器の容積を変更可能であってもよい。
【0031】
上記の赤血球除去装置において、赤血球除去器内で、赤血球が沈降し、赤血球除去器内の上澄みが赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液として単核球回収器に送られてもよい。
【0032】
上記の赤血球除去装置が、赤血球除去器から単核球回収器に少なくとも赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流路をさらに備えていてもよい。
【0033】
上記の赤血球除去装置が、赤血球除去器から単核球回収器に少なくとも赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0034】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器内で、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液が希釈されてもよい。
【0035】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器内で、単核球が沈降してもよい。
【0036】
上記の赤血球除去装置において、処理血液の希釈液中で血小板が浮遊してもよい。
【0037】
上記の赤血球除去装置において、処理血液の希釈液中で、赤血球除去剤により赤血球が溶血してもよい。
【0038】
上記の赤血球除去装置が、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を希釈するための希釈用液を収容する希釈用液容器をさらに備えていてもよい。
【0039】
上記の赤血球除去装置において、希釈用液が緩衝液であってもよい。
【0040】
上記の赤血球除去装置において、希釈用液容器が当該希釈用液容器の容積を変更可能であってもよい。
【0041】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器内で単核球が沈降した後、単核球回収器内の上澄みが除去されてもよい。
【0042】
上記の赤血球除去装置において、上澄みを除去することにより、上澄み中に浮遊している血小板が除去されてもよい。
【0043】
上記の赤血球除去装置において、上澄みを除去することにより、上澄み中に浮遊している溶血した赤血球の成分が除去されてもよい。
【0044】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器の底部に第1開口が設けられており、重力方向において第1開口より高い位置に第2開口が設けられていてもよい。
【0045】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器の底部が漏斗状であり、漏斗状の底部の先端に第1開口が設けられており、漏斗状の底部の側面に第2開口が設けられていてもよい。
【0046】
上記の赤血球除去装置において、単核球回収器に赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液が導入されると、底部に単核球が蓄積し、第2開口から上澄みが排出されてもよい。
【0047】
上記の赤血球除去装置において、上澄みが排出されることにより、上澄み中に浮遊している血小板が除去されてもよい。
【0048】
上記の赤血球除去装置において、上澄みが排出されることにより、上澄み中に浮遊している溶血した赤血球の成分が除去されてもよい。
【0049】
上記の赤血球除去装置が、第1開口から単核球を吸引する単核球吸引装置をさらに備えていてもよい。
【0050】
上記の赤血球除去装置において、第1開口の大きさが、単核球が単核球吸引装置で吸引されない場合に、単核球が第1開口に詰まるよう設定されていてもよい。
【0051】
上記の赤血球除去装置が、赤血球除去器内の流体を血液容器に送るための流路をさらに備えていてもよい。
【0052】
上記の赤血球除去装置が、血液容器から赤血球除去器に少なくとも血液を送るための流体機械、及び赤血球除去器内の流体を血液容器に送るための流体機械の少なくも一方をさらに備えていてもよい。
【0053】
上記の赤血球除去装置が、単核球回収器内の流体を赤血球除去器に送るための流路をさらに備えていてもよい。
【0054】
上記の赤血球除去装置が、赤血球除去器から単核球回収器に少なくとも赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流体機械、及び単核球回収器内の流体を赤血球除去器に送るための流体機械の少なくも一方をさらに備えていてもよい。
【0055】
本発明の態様によれば、単核球を含む溶液を収容する回収容器を備える単核球回収器であって、回収容器の底部が漏斗状であり、漏斗状の底部の先端に第1開口が設けられており、漏斗状の底部の側面に第2開口が設けられている、単核球回収器が提供される。
【0056】
上記の単核球回収器において、回収容器に溶液が導入されると、漏斗状の底部の先端に単核球が蓄積し、第2開口から溶液が排出されてもよい。
【0057】
上記の単核球回収器が、漏斗状の底部の先端に蓄積した単核球を吸引する単核球吸引装置をさらに備えていてもよい。
【0058】
上記の単核球回収器において、第1開口の大きさが、単核球が単核球吸引装置で吸引されない場合に、単核球が第1開口に詰まるよう設定されていてもよい。
【0059】
本発明の態様によれば、細胞を培養するための細胞培養器と、細胞培養器に接続された容積可変容器と、を備え、細胞培養器及び容積可変容器内を流体が移動可能である、細胞培養装置が提供される。
【0060】
上記の細胞培養装置が、容積可変容器として、少なくとも第1容積可変容器及び第2容積可変容器を備えていてもよい。
【0061】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内の流体が第1容積可変容器内に移動すると、第1容積可変容器の容積が膨張し、第2容積可変容器の容積が収縮してもよい。
【0062】
上記の細胞培養装置において、第1容積可変容器内の流体が細胞培養器内に移動すると、第1容積可変容器の容積が収縮し、第2容積可変容器の容積が膨張してもよい。
【0063】
上記の細胞培養装置において、第2容積可変容器内の流体が細胞培養器内に移動すると、第2容積可変容器の容積が収縮し、第1容積可変容器の容積が膨張してもよい。
【0064】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器の内部、第1容積可変容器の内部、及び第2容積可変容器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0065】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器、第1容積可変容器、及び第2容積可変容器が、包埋されていてもよい。
【0066】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器の少なくとも一部、第1容積可変容器の少なくとも一部、及び第2容積可変容器の少なくとも一部が、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。
【0067】
上記の細胞培養装置において、第1容積可変容器が物質を収容し、流体の移動により、細胞に物質が接触してもよい。
【0068】
上記の細胞培養装置において、物質が誘導因子であり、流体の移動により、細胞に誘導因子が導入されてもよい。
【0069】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内の流体を第1容積可変容器に移動させるための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0070】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内の流体を第2容積可変容器に移動させるための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0071】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0072】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞を供給するための流路に接続された、培養液を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0073】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内に細胞を供給するための流路内で細胞と培養液が混合し、細胞を含む培養液が細胞培養器内に供給されてもよい。
【0074】
上記の細胞培養装置において、細胞を供給するための流路から細胞培養器内に細胞が導入される際に、第1容積可変容器及び第2容積可変容器の少なくとも一方の容積が膨張してもよい。
【0075】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞を供給するための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0076】
上記の細胞培養装置において、細胞が体細胞又は幹細胞であってもよい。
【0077】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に供給される流体を収容する流体容器をさらに備えていてもよい。
【0078】
上記の細胞培養装置において、流体が、体細胞培地又は幹細胞培地であってもよい。
【0079】
上記の細胞培養装置において、幹細胞培地が、誘導培養培地、拡大培養培地、又は維持培養培地であってもよい。
【0080】
上記の細胞培養装置において、流体容器から細胞培養器内に流体が供給される際に、第1容積可変容器及び第2容積可変容器の少なくともいずれかの容積が膨張してもよい。
【0081】
上記の細胞培養装置が、流体を細胞培養器内に供給するための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0082】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内の温度を調節する温度調節部をさらに備えていてもよい。
【0083】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内で細胞が接着培養されてもよい。
【0084】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内が細胞接着性コーティング剤でコートされていてもよい。
【0085】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内で細胞が浮遊培養されてもよい。
【0086】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に配置された中空糸膜をさらに備えていてもよい。
【0087】
上記の細胞培養装置において、中空糸膜の内側で細胞が培養されてもよい。
【0088】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器内の細胞を容積可変容器に移動可能であってもよい。
【0089】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器に接続された流路と、当該流路に設けられた流体機械と、をさらに備え、流体機械が、細胞培養器内の細胞を流路に吸引し、流路内の細胞を細胞培養器内に戻すことにより、細胞の継代及び拡大培養の少なくとも一方を行ってもよい。
【0090】
上記の細胞培養装置において、流路が、細胞塊を分割する構造を有していてもよい。
【0091】
本発明の態様によれば、血液から単核球を回収する単核球回収器と、単核球回収器から単核球を受ける細胞培養器と、を備える、細胞培養システムが提供される。
【0092】
上記の細胞培養システムにおいて、単核球回収器が赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、処理血液から単核球を回収してもよい。
【0093】
上記の細胞培養システムが、単核球回収器に赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を供給するための赤血球除去器をさらに備えていてもよい。
【0094】
上記の細胞培養システムが、赤血球除去器に赤血球を少なくとも部分的に除去される前の血液を供給するための血液容器をさらに備えていてもよい。
【0095】
上記の細胞培養システムが、細胞培養器に接続された容積可変容器を備え、細胞培養器内の流体が容積可変容器に移動すると、容積可変容器の容積が膨張してもよい。
【0096】
上記の細胞培養システムが、細胞培養器に接続された第1容積可変容器と、細胞培養器に接続された第2容積可変容器と、を備え、細胞培養器内の流体が第1容積可変容器に移動すると、第1容積可変容器の容積が膨張し、第2容積可変容器の容積が収縮してもよい。
【0097】
上記の細胞培養システムにおいて、単核球回収器の内部及び細胞培養器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0098】
上記の細胞培養システムにおいて、赤血球除去器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0099】
上記の細胞培養システムにおいて、血液容器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0100】
上記の細胞培養システムにおいて、第1容積可変容器の内部及び第2容積可変容器の内部が、外気から閉鎖可能であってもよい。
【0101】
上記の細胞培養システムにおいて、血液容器、赤血球除去器、単核球回収器、及び細胞培養器が、包埋されていてもよい。
【0102】
上記の細胞培養システムにおいて、血液容器の少なくとも一部、赤血球除去器の少なくとも一部、単核球回収器の少なくとも一部、及び細胞培養器の少なくとも一部が、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。
【0103】
上記の細胞培養システムにおいて、第1容積可変容器及び第2容積可変容器が、包埋されていてもよい。
【0104】
上記の細胞培養システムにおいて、第1容積可変容器の少なくとも一部及び第2容積可変容器の少なくとも一部が、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。
【0105】
上記の細胞培養システムにおいて、第1容積可変容器の内部及び第2容積可変容器の内部が、外部と気体の交換をしなくともよい。
【0106】
本発明の態様によれば、細胞培養器内で細胞に因子を導入し、細胞培養器と同一の細胞培養器内で因子を導入された細胞を培養する、細胞の培養方法が提供される。
【0107】
上記の細胞の培養方法において、細胞に因子を導入し、因子を導入された細胞を培養している間、細胞培養器が閉鎖されていてもよい。
【0108】
上記の細胞の培養方法において、細胞培養器に容積可変容器が接続されており、細胞培養器及び容積可変容器内を流体が移動してもよい。
【0109】
上記の細胞の培養方法において、容積可変容器から因子が供給されてもよい。
【0110】
上記の細胞の培養方法において、同一の細胞培養器内で因子を導入された第1の状態の細胞を第2の状態の細胞に誘導してもよい。
【0111】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態が分化状態であり、第2の状態が未分化状態であってもよい。
【0112】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態が脱分化状態であり、第2の状態が分化状態であってもよい。
【0113】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態が脱分化状態であり、第2の状態が第1の状態とは異なる脱分化状態であってもよい。
【0114】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が体細胞であってもよい。
【0115】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が血液細胞であってもよい。
【0116】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が単核球であってもよい。
【0117】
上記の細胞の培養方法において、第2の状態の細胞が幹細胞であってもよい。
【0118】
上記の細胞の培養方法において、第2の状態の細胞がiPS細胞であってもよい。
【0119】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が幹細胞であってもよい。
【0120】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞がiPS細胞であってもよい。
【0121】
上記の細胞の培養方法において、第2の状態の細胞が体細胞であってもよい。
【0122】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が体細胞であり、第2の状態の細胞が第1の状態の細胞とは異なる体細胞であってもよい。
【0123】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が、赤血球を少なくとも部分的に除去された血液細胞であってよい。
【0124】
上記の細胞の培養方法において、第1の状態の細胞が、血小板を少なくとも部分的に除去された血液細胞であってもよい。
【0125】
上記の細胞の培養方法において、因子が、第1の状態の細胞を第2の状態の細胞に誘導する因子であってもよい。
【0126】
上記の細胞の培養方法において、因子が、特定の細胞の状態を誘導する因子であってもよい。
【0127】
上記の細胞の培養方法において、因子が初期化因子であってもよい。
【0128】
上記の細胞の培養方法において、因子が分化誘導因子であってもよい。
【0129】
上記の細胞の培養方法において、因子を導入された細胞を細胞培養器から回収し、当該細胞培養器と同一の細胞培養器に細胞を戻して、細胞を継代又は拡大培養してもよい。
【0130】
本発明の態様によれば、血液を処理して、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を作製することと、処理血液を希釈することと、希釈された処理血液に含まれる単核球を沈降させることと、希釈された処理血液の上澄みを除去することと、単核球を回収することと、を含む、単核球の回収方法が提供される。
【0131】
上記の単核球の回収方法において、赤血球除去器内で処理血液を作製し、単核球回収器内で処理血液の希釈、単核球の沈降、及び上澄みの除去がなされ、赤血球除去器及び単核球回収器が閉鎖されていてもよい。
【0132】
上記の単核球の回収方法において、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤で血液を処理してもよい。
【0133】
上記の単核球の回収方法において、処理血液をリン酸緩衝液で希釈してもよい。
【0134】
上記の単核球の回収方法において、希釈された処理血液の上澄みが血小板を含んでいてもよい。
【0135】
上記の単核球の回収方法において、回収された単核球において、赤血球が少なくとも部分的に除去されていてもよい。
【0136】
上記の単核球の回収方法において、回収された単核球において、血小板が少なくとも部分的に除去されていてもよい。
【発明の効果】
【0137】
本発明によれば、赤血球除去装置、単核球回収器、細胞培養装置、細胞培養システム、細胞培養方法、及び単核球の回収方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】第1実施形態に係る細胞培養システムの模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る単核球回収器の模式図である。
【
図3】第2実施形態に係る赤血球除去装置の模式図である。
【
図4】第3実施形態に係る赤血球除去装置の模式図である。
【
図6】実施例1に係るiPS細胞のフローサイトメトリーの結果を示すヒストグラムである。
【
図7】実施例2に係る蛍光活性化セルソーティングの分析結果である。
【
図8】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の処理血液の顕微鏡写真(a)と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液の顕微鏡写真(b)である。
【
図9】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の処理血液における血小板の数と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液における血小板の数と、を示すグラフである。
【
図10】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の血小板を含む処理血液入れた培養液の写真(a)と、血小板を除去された単核球を含む溶液を入れた培養液の写真(b)である。
【
図11】実施例3に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図12】実施例3に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図13】実施例4に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図14】実施例4に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図15】実施例5に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図16】実施例5に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図17】実施例6に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図18】実施例6に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0139】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0140】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る赤血球除去装置100は、血液を収容する血液容器10と、血液容器10から血液を受け、血液から赤血球を少なくとも部分的に除去する赤血球除去器11と、を備える。
【0141】
血液容器10は、内部に血液を収容する。血液容器10は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。血液容器10の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体の交換をしないよう構成され得る。血液容器10は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。血液容器10の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。血液容器10の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。血液容器10は、当該血液容器10の容積を変更可能であってもよい。
【0142】
赤血球除去器11は、例えば、内部に赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を収容する。赤血球除去器11は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。赤血球除去器11の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。赤血球除去器11は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。赤血球除去器11の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。赤血球除去器11の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。赤血球除去器11は、当該赤血球除去器11の容積を変更可能であってもよい。
【0143】
血液容器10と、赤血球除去器11と、の間には、血液容器10から赤血球除去器11に血液を送るための流路13が設けられている。流路13は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路13の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路13は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路13の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路13の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0144】
また、血液容器10と、赤血球除去器11と、の間には、赤血球除去器11から血液容器10に空気等の気体等の流体を送るための流路12が設けられている。流路12は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路12の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路12は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路12の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路12の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0145】
血液容器10と、流路12、13のそれぞれと、は、コネクターで接続されてもよい。コネクターは無菌コネクターであってもよい。コネクターは、ニードルレスコネクターであってもよい。ニードルレスコネクターは、スプリットセプタム型であってもよいし、メカニカルバルブ型であってもよい。
【0146】
流路13には、流路13内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械14が設けられている。なお、流路12に流体機械が設けられていてもよいし、流路12と流路13の両方に流体機械が設けられていてもよい。なお、本開示において、流体とは気体及び液体の両方を含む。
【0147】
流体機械14としては、容積式ポンプが使用可能である。容積式ポンプの例としては、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、及びダイヤフラムポンプを含む往復ポンプ、あるいは、ギアポンプ、ベーンポンプ、及びネジポンプを含む回転ポンプが挙げられる。ダイヤフラムポンプの例としては、チュービングポンプ及び圧電(ピエゾ)ポンプが挙げられる。チュービングポンプは、ペリスタルティックポンプと呼ばれる場合もある。また、様々な種類のポンプを組み合わせたマイクロ流体チップモジュールを用いてもよい。本開示における他の流体機械についても同様である。ペリスタルティックポンプ、チュービングポンプ、及びダイヤフラムポンプ等の密閉型ポンプを用いると、流路内部の流体にポンプが直接接触することなく、流体を送ることが可能である。
【0148】
予め赤血球除去器11内に気体と赤血球沈降剤が充填されている場合、流体機械14が流路13を介して血液容器10内の血液を吸引し、吸引した血液を赤血球除去器11内に供給すると、赤血球除去器11内の気体は、圧力に押され、流路12を介して、血液容器10内に送られる。このように、血液容器10内の血液を、赤血球除去器11内に送り、赤血球除去器11内の気体を血液容器10内に送ることにより、血液容器10内と赤血球除去器11内の圧力を平均化することが可能である。
【0149】
なお、流体機械14が流路13を介して赤血球除去器11内の気体を吸引し、吸引した気体を血液容器10内に供給してもよい。この場合、血液容器10内の血液は、気圧に押され、流路12を介して、赤血球除去器11内に送られる。このように、赤血球除去器11内の気体を除去することによっても、血液容器10内の血液を、赤血球除去器11内に送ることが可能である。
【0150】
赤血球除去器11内に送り込まれた血液は、赤血球除去器11内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と接触する。流体機械14は、赤血球除去器11内から流体の吸引と、赤血球除去器11内への流体の送り出しを繰り返して、血液を攪拌してもよい。赤血球除去器11内に赤血球沈降剤が収容されている場合、赤血球除去器11内で赤血球が沈降し、血液から、赤血球が少なくとも部分的に除去される。赤血球除去器11内に赤血球除去剤が収容されている場合、赤血球除去器11内で赤血球が溶血し、血液から、赤血球が少なくとも部分的に除去される。
【0151】
赤血球除去装置100は、赤血球除去器11から、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、処理血液から単核球を回収する単核球回収器15をさらに備えていてもよい。単核球回収器15は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。単核球回収器15の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。単核球回収器15は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。単核球回収器15の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。単核球回収器15の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。単核球回収器15は、当該単核球回収器15の容積を変更可能であってもよい。
【0152】
図2に示すように、例えば、単核球回収器15の底部には第1開口115が設けられており、単核球回収器15の側面には第2開口116が設けられている。第1開口115の位置は、重力方向において第2開口116より下である。
【0153】
単核球回収器15の第1開口115には流路19が接続されている。流路19は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路19の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路19は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路19の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路19の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0154】
単核球回収器15の第2開口116には流路117が接続されている。流路117は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路117の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路117は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路117の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路117の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
図1に示すように、流路117には、流路117内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械21が設けられている。
【0155】
図2に示すように、単核球回収器15の底部が漏斗状であってもよい。この場合、例えば、単核球回収器15の漏斗状の底部の先端に第1開口115が設けられ、漏斗状の底部の側面に第2開口116が設けられる。第2開口116には、単核球が通過することができないフィルターが設けられていてもよい。
【0156】
単核球回収器15は、内部に、緩衝液等の希釈液を収容可能である。希釈液は、希釈用液を収容する
図1に示す希釈用液容器61から流路60を介して、単核球回収器15内に導入されてもよい。希釈用液容器61は、当該希釈用液容器の容積を変更可能であってもよい。また、例えば、流路19及び流路117内部は、希釈液で充填される。
【0157】
希釈用液容器61及び流路60の少なくともいずれかは、内部を外気から閉鎖可能な構造を有していてもよい。希釈用液容器61及び流路60の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。希釈用液容器61及び流路60は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。希釈用液容器61及び流路60の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。希釈用液容器61及び流路60の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0158】
赤血球除去器11と、単核球回収器15と、の間には、赤血球除去器11から単核球回収器15に赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流路17が設けられている。流路17は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路17の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路17は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路17の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路17の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0159】
また、赤血球除去器11と、単核球回収器15と、の間には、単核球回収器15から赤血球除去器11に空気等の気体等の流体を送るための流路16が設けられている。流路16は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路16の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路16は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路16の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路16の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0160】
流路17には、流路17内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械18が設けられている。なお、流路16に流体機械が設けられていてもよいし、流路16と流路17の両方に流体機械が設けられていてもよい。
【0161】
予め単核球回収器15内に気体と希釈液が充填されている場合、流体機械18が流路17を介して赤血球除去器11内の赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を吸引し、吸引した赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を単核球回収器15内に供給すると、単核球回収器15内の気体は、圧力に押され、流路16を介して、赤血球除去器11内に送られる。このように、赤血球除去器11内の赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を単核球回収器15内に送り、単核球回収器15内の気体を赤血球除去器11内に送ることにより、赤血球除去器11内と単核球回収器15内の圧力を平均化することが可能である。希釈液は希釈用液容器61から繰り返し供給されてもよい。
【0162】
なお、流体機械18が流路17を介して単核球回収器15内の気体を吸引し、吸引した気体を赤血球除去器11内に供給してもよい。この場合、赤血球除去器11内の赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液は、気圧に押され、流路16を介して、単核球回収器15内に送られる。このように、単核球回収器15内の気体を除去することによっても、赤血球除去器11内の赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を、単核球回収器15内に送ることが可能である。
【0163】
赤血球除去器11内で、赤血球を沈降させた場合、赤血球除去器11内の上澄みが赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液として単核球回収器15に送られる。
【0164】
単核球回収器15に送り込まれた、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液は、
図2(a)に示すように、希釈液で希釈される。希釈された処理血液溶液中において、血小板は浮遊し、単核球は、単核球回収器15の底に向かって沈降する。なお、希釈液が赤血球除去剤を含んでいてもよい。この場合、処理血液溶液中に残存する赤血球が溶血する。
【0165】
図2(b)に示すように、沈降した単核球は、単核球回収器15の漏斗状の底部の先端に蓄積する。希釈された処理血液溶液中において単核球が沈降した後、
図2(c)に示すように、単核球回収器15の第2開口116に接続された流路117に設けられた
図1に示す流体機械21が、上澄みである希釈された処理血液溶液を吸引する。上澄みを吸引する吸引力は、
図2(c)に示す沈降した単核球を吸引しにくいように設定される。上澄みは、血小板及び溶血した赤血球を含んでいる。したがって、上澄みを単核球回収器15内から吸引除去することにより、血小板及び赤血球から単核球を分離することが可能である。吸引された上澄みは、
図1に示す赤血球除去器11内あるいは血液容器10内に送られてもよい。また、単核球回収器15内から吸引された上澄みと同程度の容積の気体を、赤血球除去器11内あるいは血液容器10内から単核球回収器15内に送ってもよい。
【0166】
流路19には、単核球回収器15の底部に蓄積した単核球を吸引する単核球吸引装置20が設けられている。単核球吸引装置20としては、ポンプ等の流体機械が使用可能である。
図2に示す第1開口115の大きさは、例えば、単核球吸引装置20が単核球を吸引していない場合に単核球が第1開口115に詰まり、単核球吸引装置20が単核球を吸引している場合に単核球が第1開口115を通過できるよう設定されている。単核球吸引装置20が単核球を吸引すると、単核球は、単核球回収器15内から流路19に移動する。
【0167】
なお、単核球回収器15内を加圧することにより、単核球回収器15内の単核球を流路19に移動させてもよい。この場合、流路19に単核球吸引装置20が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0168】
図1に示すように、第1実施形態に係る細胞培養装置200は、細胞を培養するための細胞培養器22を備える。細胞培養器22は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。細胞培養器22の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。細胞培養器22は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。細胞培養器22の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。細胞培養器22の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0169】
細胞培養器22内で、細胞を接着培養してもよいし、細胞を浮遊培養してもよい。細胞を接着培養する場合、細胞培養器22内を、マトリゲル、コラーゲン、ポリリジン、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、及びラミニン等の細胞接着用コーティング剤でコーティングしてもよい。以下においては、浮遊培養を例に挙げて説明する。細胞培養器22内部は、細胞は透過できないが、培地成分及び老廃物は透過可能な培地成分透過部材で区切られていてもよい。細胞培養器22の内壁には、細胞が接着しないよう、poly-HEMA(poly 2-hydroxyethyl methacrylate)等の細胞非接着性物質をコーティングして、細胞培養器22の内壁を細胞非接着性にしてもよい。細胞培養器22には、内部を観察可能な窓が設けられていてもよい。窓の材料としては、例えば、ガラス及び樹脂が使用可能である。
【0170】
細胞培養器22には、窓を加熱及び冷却するための、温度調節部が設けられていてもよい。温度調節部は、窓に配置され、窓を加熱する透明導電膜等の透明ヒーターであってもよい。あるいは、細胞培養器22には、筐体を加熱及び冷却するための温度調節部を備えていてもよい。筐体を温度調節部で温度調節することにより、細胞培養器22内の培地を温度調節することが可能である。細胞培養器22には、細胞培養器22内の培地の温度を測る温度計をさらに備えていてもよい。温度計は、培地に接触することなく細胞培養器22の温度に基づいて培地の温度を測ってもよいし、培地に接触して培地の温度を直接測ってもよい。この場合、培地の温度が所定の温度となるよう、温度調節部がフィードバック制御されてもよい。培地の温度は、例えば、20℃から45℃に調節される。
【0171】
細胞培養器22には流路19が接続されている。流路19を介して、細胞培養器22内に細胞が送られる。流路19には、流路23が接続されている。流路23は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路23の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路23は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路23の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路23の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路23には、流路23内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械24が設けられている。
【0172】
流路23には、例えば分化細胞培地等の体細胞培地を収容する流体容器である第1培地容器25が接続されている。体細胞培地は、ゲルであってもよいし、液体であってもよい。
【0173】
培地がゲル状である場合、培地は、高分子化合物を含んでいてもよい。高分子化合物は、例えば、ジェランガム、脱アシル化ジェランガム、ヒアルロン酸、ラムザンガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、カラギーナン、フコイダン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、ケラト硫酸、コンドロイチン硫酸、デルタマン硫酸、ラムナン硫酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。また、培地は、メチルセルロースを含んでいてもよい。メチルセルロースを含むことにより、細胞同士の凝集がより抑制される。
【0174】
あるいは、培地は、poly(glycerol monomethacrylate) (PGMA)、poly(2-hydroxypropyl methacrylate) (PHPMA)、Poly (N-isopropylacrylamide) (PNIPAM)、amine terminated、carboxylic acid terminated、maleimide terminated、N-hydroxysuccinimide (NHS) ester terminated、triethoxysilane terminated、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylamide)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-butylacrylate)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid-co-octadecyl acrylate)、及びN-Isopropylacrylamideから選択される少なくの温度感受性ゲルを含んでいてもよい。
【0175】
なお、本開示において、ゲル状の培地あるいはゲル培地とは、ポリマー培地を包含する。
【0176】
流路19から細胞培養器22内に送られる細胞が体細胞である単核球である場合、体細胞培地としては、例えば、血液細胞培地が使用可能である。第1培地容器25は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第1培地容器25の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第1培地容器25は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第1培地容器25の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第1培地容器25の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第1培地容器25は、当該第1培地容器25の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第1培地容器25は、体細胞培地を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の体細胞培地を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第1培地容器25は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0177】
単核球回収器15から流路19に単核球が送られると、流体機械24は、第1培地容器25から流路19に、流路23を介して体細胞培地を送る。第1培地容器25は、体細胞培地を収容可能な容積を減少させる。なお、第1培地容器25は、能動的に容積を収縮させてもよいし、流路23内部からの吸引力により、受動的に容積を収縮させてもよい。流路23を介して流路19に送られてきた体細胞培地と、流路19内の単核球と、が混合し、細胞培養器22内に送られる。
【0178】
第1培地容器25には、第1培地容器25内の培地の温度を調節する温度調節装置が設けられていてもよい。
【0179】
細胞培養器22には、例えば、流路26を介して第1容積可変容器27が接続されている。流路26は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路26の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路26は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路26の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路26の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路26には、流路26内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械28が設けられていてもよい。
【0180】
第1容積可変容器27は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第1容積可変容器27の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第1容積可変容器27は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第1容積可変容器27の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第1容積可変容器27の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第1容積可変容器27は、当該第1容積可変容器27の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第1容積可変容器27は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第1容積可変容器27は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0181】
細胞培養器22には、例えば、流路29を介して第2容積可変容器30が接続されている。流路29は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路29の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路29は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路29の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路29の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路29には、流路29内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械が設けられていてもよい。
【0182】
第2容積可変容器30は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第2容積可変容器30の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第2容積可変容器30は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第2容積可変容器30の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第2容積可変容器30の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第2容積可変容器30は、当該第2容積可変容器30の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第2容積可変容器30は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第2容積可変容器30は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0183】
流路19から細胞培養器22内に単核球と体細胞培地が送り込まれると、細胞培養器22内の空気等の気体は、例えば、第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた気体を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0184】
第1容積可変容器27は、例えば、内部に、誘導因子等の第1の状態の細胞を第2の状態の細胞に誘導する因子等の物質を収容する。誘導因子はRNAであってもよいし、タンパク質であってもよいし、化合物であってもよい。RNAは、修飾RNAであってもよいし、非修飾RNAであってもよい。第1容積可変容器27は、例えば、リポフェクション試薬を収容していてもよい。誘導因子は、プラスミドベクター、あるいはレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、又はセンダイウイルスベクター等のウイルスベクターあるいはウイルスに含まれていてもよい。本開示において、誘導とは、リプログラミング、初期化、形質転換、分化転換(Transdifferentiation or Lineage reprogramming)、分化誘導及び細胞の運命変更(Cell fate reprogramming)等を指す。リプログラミング因子は、例えば、OCT3/4、SOX2、KLF4、c-MYCを含む。単核球細胞にリプログラミング因子等の誘導因子を導入し、iPS細胞を作製する際には、流体機械28が、細胞培養器22内の単核球を含む体細胞培地を、流路26を介して、第1容積可変容器27内に移動させる。また、第1容積可変容器27は容積を膨張させ、単核球細胞を含む体細胞培地を受け入れる。なお、第1容積可変容器27は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。気体を収容している第2容積可変容器30は容積を収縮させ、収容している気体が細胞培養器22内に送り込まれる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を収縮させてもよいし、細胞培養器22内部からの吸引力により、受動的に容積を収縮させてもよい。
【0185】
単核球は、細胞培養器22内から第1容積可変容器27内へ移動することにより、第1容積可変容器27内の誘導因子と接触し、単核球に誘導因子が導入される。なお、第1容積可変容器27は、容積の膨張と収縮を繰り返し、単核球と誘導因子を含む体細胞培地を攪拌させてもよい。
【0186】
所定の期間経過後、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を導入された単核球を含む体細胞培地を、流路26を介して、細胞培養器22内に移動させる。第1容積可変容器27は容積を収縮させる。また、第2容積可変容器30は容積を膨張させ、細胞培養器22内から気体を受け入れる。
【0187】
あるいは、単核球細胞にリプログラミング因子等の誘導因子を導入し、iPS細胞を作製する際には、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を、流路26を介して、細胞培養器22内に移動させてもよい。この際、第1容積可変容器27は容積を収縮させ、第2容積可変容器30は容積を膨張させてもよい。誘導因子は、第1容積可変容器27内から細胞培養器22内へ移動することにより、細胞培養器22内の単核球と接触し、単核球に誘導因子が導入される。なお、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を、流路26を介して、細胞培養器22内に、複数回に分けて移動させてもよい。これにより、単核球に誘導因子が、複数回に分けて導入される。
【0188】
細胞培養器22には、例えば、流路31を介して、例えば幹細胞培地や体細胞培地等の培地を収容する流体容器である第2培地容器32が接続されている。以下においては、第2培地容器32が幹細胞培地を収容している例を説明する。幹細胞培地は、ゲルであってもよいし、液体であってもよい。幹細胞培地としては、誘導培養培地、拡大培養培地、及び維持培養培地が使用可能である。
【0189】
流路31は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路31の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路31は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路31の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路31の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路31には、流路31内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械33が設けられていてもよい。
【0190】
第2培地容器32は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第2培地容器32の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第2培地容器32は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第2培地容器32の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第2培地容器32の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第2培地容器32は、当該第2培地容器32の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第2培地容器32は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第2培地容器32は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0191】
第2培地容器32には、第2培地容器32内の培地の温度を調節する温度調節装置が設けられていてもよい。
【0192】
細胞培養器22には、例えば、流路34を介して、第3容積可変容器35が接続されている。流路34は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路34の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路34は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路34の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路34の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0193】
第3容積可変容器35は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第3容積可変容器35の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第3容積可変容器35は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第3容積可変容器35の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第3容積可変容器35の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第3容積可変容器35は、当該第3容積可変容器35の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第3容積可変容器35は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第3容積可変容器35は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0194】
単核球に誘導因子が導入されてから所定の期間経過後、流体機械33が、第2培地容器32内の幹細胞培地を、流路31を介して、細胞培養器22内に移動させる。幹細胞培地は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に接し、細胞が存在しない区画に入れられてもよい。内部から幹細胞培地を吸引された第2培地容器32は、容積を収縮させる。なお、第2培地容器32は、能動的に容積を収縮させてもよいし、受動的に容積を収縮させてもよい。第3容積可変容器35は容積を膨張させ、幹細胞培地の流入により細胞培養器22内の余剰となった流体を流路34を介して受け入れる。流路34は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に接し、細胞が存在しない区画に接続していてもよい。なお、第3容積可変容器35は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0195】
あるいは、流路34は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に接していてもよい。この場合、細胞培養器22内の余剰な細胞を、流路34を介して第3容積可変容器35に送り出してもよい。
【0196】
細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画の培地と、細胞が存在しない区画の培地と、は、例えば浸透圧により、培地成分や老廃物を交換する。培養成分透過部材としては、例えば、半透膜、メッシュ、及び中空糸膜が使用可能である。半透膜は、透析膜を含む。
【0197】
培養成分透過部材が半透膜である場合、半透膜の分画分子量は、例えば、0.1KDa以上、10KDa以上、あるいは50KDa以上である。半透膜は、例えば、セルロースエステル、エチルセルロース、セルロースエステル類、再生セルロース、ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエステル系ポリマーアロイ、ポリカーボネート、ポリアミド、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、銅アンモニウムレーヨン、鹸化セルロース、ヘモファン膜、フォスファチジルコリン膜、及びビタミンEコーティング膜等からなる。
【0198】
培養成分透過部材がメッシュである場合、メッシュは、細胞培養器22内で培養される細胞よりも小さい孔を有する。メッシュの材料は、例えば樹脂及び金属であるが、特に限定されない。培養成分透過部材の表面は、細胞非接着性であってもよい。
【0199】
培養成分透過部材が中空糸膜である場合、中空糸膜は、細胞培養器22内で培養される細胞よりも小さい孔を有する。例えば、中空糸膜の内側で細胞が培養されてもよい。
【0200】
細胞培養器22内で細胞を培養している間、所定のタイミングで、流体機械33が、第2培地容器32内の幹細胞培地を、流路31を介して、細胞培養器22内に移動させてもよい。第3容積可変容器35は容積を膨張させ、新鮮な幹細胞培地の流入により細胞培養器22内の余剰となった使用済み幹細胞培地を受け入れてもよい。流体機械33は、例えば、培地の状態、培地中の細胞塊の状態、細胞数、細胞塊数、培地の濁度、及びpHの変化に応じて、培地の送液量を制御したり、培地の送液の開始及び終了をしたりしてもよい。
【0201】
細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画には、流路36を介してポンプ等の流体機械37が接続されていてもよい。流路36は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路36の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路36は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路36の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路36の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0202】
例えば、流体機械37は、細胞の凝集を制御するために、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち細胞が存在する区画と、流路36と、の間で培地を循環させる。流体機械37は、常時培地を循環させてもよいし、任意のタイミングで培地を循環させてもよい。あるいは、流体機械37は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち細胞が存在する区画と、流路36と、の間で培地を往復運動させ、培地を攪拌してもよい。流体機械37は、常時培地を攪拌してもよいし、任意のタイミングで培地を攪拌してもよい。流体機械37は、例えば、培地の状態、培地中の細胞塊の状態、細胞数、細胞塊数、培地の濁度、及びpHの変化に応じて、培地の送液量を制御したり、培地の送液の開始及び終了をしたりしてもよい。
【0203】
細胞培養器22内の細胞を流路36内に吸引し、細胞を細胞培養器22内に戻すことによって、細胞を継代及び拡大培養してもよい。流路36内は、細胞塊を分割する構造を有していてもよい。例えば、流路36内が、蛇行する構造や、径が増減する構造を有することにより、流路36内を流れる細胞塊を分割することが可能である。
【0204】
細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在しない区画には、流路38を介してポンプ等の流体機械39が接続されていてもよい。流路38は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路38の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路38は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路38の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路38の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0205】
例えば、流体機械39は、培地成分透過部材に培地が接触する機会を増やすために、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち細胞が存在しない区画と、流路38と、の間で培地を循環させる。流体機械39は、常時培地を循環させてもよいし、任意のタイミングで培地を循環させてもよい。あるいは、流体機械39は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち細胞が存在しない区画と、流路38と、の間で培地を往復運動させ、培地を攪拌してもよい。流体機械39は、常時培地を攪拌してもよいし、任意のタイミングで培地を攪拌してもよい。流体機械39は、例えば、培地の状態、培地中の細胞塊の状態、細胞数、細胞塊数、培地の濁度、及びpHの変化に応じて、培地の送液量を制御したり、培地の送液の開始及び終了をしたりしてもよい。
【0206】
例えば、細胞培養器22内で誘導因子を導入された単核球からiPS細胞が作製され、拡大培養された後、iPS細胞が細胞培養器22内から回収される。iPS細胞は、細胞培養器22内で細胞塊(コロニー)を形成してもよい。
【0207】
本発明者らの知見により、細胞は、完全に閉鎖された密閉空間で培養可能であるため、細胞培養器22内に、二酸化炭素ガス、窒素ガス、及び酸素ガス等を積極的に供給しなくともよい。そのため、細胞培養器22をCO2インキュベーター内に配置しなくともよい。また、密閉されている細胞培養器22内に、細胞培養器22外に存在する細胞、微生物、ウイルス、及び塵等が進入しないため、細胞培養器22内の清浄度が保たれる。そのため、細胞培養器22をクリーンルーム内に配置しなくともよい。ただし、細胞が存在する閉鎖系内に二酸化炭素ガス、窒素ガス、及び酸素ガス等を供給することは、必ずしも妨げられない。
【0208】
実施形態に係る細胞培養装置200によれば、例えば、完全閉鎖系で細胞が培養されるため、培養装置からの細胞の漏れ出しによるクロスコンタミネーションのリスクを低減することが可能である。また、例えば、細胞がHIV肝炎ウイルス等のウイルスに感染している場合であっても、細胞の漏れ出しによるオペレーターへの感染のリスクを低減することが可能である。さらに、細胞培養器内の培地が、細胞培養器外の空気中の細菌、ウイルス及びカビ等にコンタミネーションするリスクを低減することが可能である。またさらに、実施形態に係る細胞培養器によれば、CO2インキュベーターを用いることなく、細胞を培養することも可能である。
【0209】
(第2実施形態)
図3に示すように、第2実施形態に係る赤血球除去装置101は、血液を収容する血液容器50と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を収容する赤血球処理剤容器53を備える。
【0210】
血液容器50は、内部に血液を収容する。血液容器50は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。血液容器50の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。血液容器50は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。血液容器50の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。血液容器50の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。血液容器50は、当該血液容器50の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、血液容器50は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、血液容器50は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0211】
赤血球処理剤容器53は、内部に赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を収容する。赤血球処理剤容器53は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。赤血球処理剤容器53の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。赤血球処理剤容器53は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。赤血球処理剤容器53の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。赤血球処理剤容器53の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。赤血球処理剤容器53は、当該赤血球処理剤容器53の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、赤血球処理剤容器53は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、赤血球処理剤容器53は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0212】
第2実施形態に係る赤血球除去装置101は、例えば、血液と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、を混合する混合器57をさらに備える。混合器57は、例えば、血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液が流れる、折れ曲がり流路を備える。折れ曲がり流路は、らせん状に折れ曲がっていてもよい。折れ曲がり流路において流路が蛇行していてもよい。折れ曲がり流路において、断面積が増減を繰り返していてもよい。混合器57は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。混合器57の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。混合器57は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。混合器57の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。混合器57の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0213】
血液容器50には、少なくとも血液を血液容器50から混合器57に送るための流路51が接続されている。赤血球処理剤容器53には、少なくとも赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を赤血球処理剤容器53から混合器57に送るための流路54が接続されている。流路51と流路54は流路56に合流する。流路56は混合器57に接続されている。混合器57には、混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液を赤血球除去器11内に送るための流路58が接続されている。
【0214】
流路51には、流路51内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械52が設けられていてもよい。流路54には、流路54内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械55が設けられていてもよい。
【0215】
流路51、54、56、58は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路51、54、56、58の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路51、54、56、58は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路51、54、56、58の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路51、54、56、58の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0216】
赤血球除去器11に血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液を送る際、流体機械52が、血液容器50内の血液を、流路51、56を介して混合器57内に移動させる。また、流体機械55が、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を、流路54、56を介して混合器57内に移動させる。なお、流路51、54に流体機械を設けず、流路56に流体機械を設け、流路56に設けられた流体機械が、血液容器50内の血液と、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、を、混合器57内に移動させてもよい。混合器57内で、血液と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、が混合する。混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液は、流路58を介して赤血球除去器11に送られる。赤血球除去器11内で、赤血球が沈降するか、あるいは溶血するのは、第1実施形態と同様である。また、第2実施形態に係る赤血球除去装置101の他の構成要素は、第2実施形態に係る赤血球除去装置100と同様であってもよい。
【0217】
(第3実施形態)
図4に示すように、第3実施形態に係る赤血球除去装置101は、血液容器50から混合器57に少なくとも血液を送るための流路51に設けられた、内部を真空にすることができる真空容器70を備える。
【0218】
真空容器70は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。真空容器70の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。真空容器70は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。真空容器70の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。真空容器70の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。真空容器70は、当該真空容器70の容積を変更可能であってもよい。真空容器70は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0219】
第3実施形態に係る赤血球除去装置101は、赤血球処理剤容器53から混合器57に少なくとも赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を送るための流路54に設けられた、内部を真空にすることができる真空容器71を備える。
【0220】
真空容器71は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。真空容器71の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。真空容器71は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。真空容器71の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。真空容器71の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。真空容器71は、当該真空容器71の容積を変更可能であってもよい。真空容器71は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0221】
予め真空容器70内を真空にした状態で、流路51に血液容器50を接続すると、血液容器50内の血液が真空容器70内に移動し、さらに血液が流路51、56を介して混合器57内に移動する。また、予め真空容器71内を真空にした状態で、流路54に赤血球処理剤容器53を接続すると、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤が真空容器71内に移動し、さらに血液が流路54、56を介して混合器57内に移動する。
【0222】
第3実施形態に係る赤血球除去装置101の他の構成要素は、第2実施形態と同様であってもよい。
【0223】
(第4実施形態)
図4に示した真空容器70、71を省略し、赤血球除去器11を予め真空にしてもよい。予め赤血球除去器11内を真空にした状態で、流路51に血液容器50を接続し、流路54に赤血球処理剤容器53を接続すると、血液容器50内の血液が流路51、56を介して混合器57内に移動し、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤が流路54、56を介して混合器57内に移動する。さらに、混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤が、流路58を介して赤血球除去器11内に移動する。
【0224】
あるいは、流路51及び流路54を弁等で閉塞し、赤血球除去器11内を真空にし、流路51及び流路54の弁を開放すると、血液容器50内の血液が流路51、56を介して混合器57内に移動し、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤が流路54、56を介して混合器57内に移動する。さらに、混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤が、流路58を介して赤血球除去器11内に移動する。
【0225】
(他の実施形態)
上記のように、本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図1に示す細胞培養器22に送られる細胞は、単核球に限定されない。細胞培養器22に送られる細胞は、幹細胞、線維芽細胞、あるいは他の体細胞であってもよい。細胞培養器22に送られる細胞は、任意である。
【0226】
さらに、第1実施形態では、細胞培養器22内で単核球からiPS細胞を作製する例を説明したが、細胞培養器22内で幹細胞から神経細胞等の分化細胞を作製してもよい。幹細胞は、iPS細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞あるいは他の人工的に誘導された幹細胞等であってもよい。この場合は、例えば、第1容積可変容器27は、内部に分化誘導因子を収容する。このように、本発明は様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【実施例】
【0227】
(実施例1)
本実施例においては、完全に閉鎖された環境下において、培地交換及びガス交換をすることなく、細胞を培養可能である例を示す。増殖因子を培地(StemSpan H3000、登録商標、STEMCELL Technologies Inc.)に添加し、さらに培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。
【0228】
用意したゲル培地を15mLチューブに入れ、ゲル培地に2×105個の血液細胞を播種した。その後、15mLチューブをCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞(単核球)を培養した。その後、ゲル培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)が10.0となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0229】
ゲル培地にセンダイウイルスを添加した後、ゲル培地に15mLのゲル化した幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)を添加し、そのうち15mLのセンダイウイルスに感染した細胞を含む培地を密閉可能な細胞培養器に入れ、ゲル培地を細胞培養器に注入した。その後、細胞培養器内部を密閉し、細胞培養器の内部と外部とで、ガス交換が完全に生じないようにした。
【0230】
細胞培養器内で初期化因子を導入された細胞の浮遊培養を開始した。その後、2日に一度、培地保持槽40内の2mLのゲル培地を、2mLの新鮮なゲル培地に交換した。
【0231】
15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図5に示すように、ES細胞様コロニーを形成していることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図6に示すように、90%以上TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、完全に閉鎖された環境下において、培地交換及びガス交換をすることなく、幹細胞以外の体細胞からiPS細胞を誘導できることが示された。
【0232】
(実施例2)
血液を赤血球沈降剤で処理し、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を得た。処理血液を表面細胞マーカー抗体で処理し、蛍光活性化セルソーティング(FACS)で分析した結果を
図7に示す。処理血液は、CD3陽性細胞、CD14陽性細胞、CD31陽性細胞、CD33陽性細胞、CD34陽性細胞、CD19陽性細胞、CD41陽性細胞、CD42陽性細胞、及びCD56陽性細胞を含んでいた。
【0233】
赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を
図2に示したような単核球回収器に入れ、緩衝液で希釈し、上澄みを除去した。その後、単核球回収器から単核球を回収した。
図8(a)に示すように、単核球回収器に入れる前の処理血液は、血小板を多く含んでいた。一方、
図8(b)に示すように、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液は、血小板がほぼ除去されていた。同一面積あたりにおける、単核球回収器に入れる前の処理血液における血小板の数と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液における血小板の数と、を示すグラフを
図9に示す。
【0234】
単核球回収器に入れる前の血小板を含む処理血液を培養液に入れると、
図10(a)に示すように、凝集した。これに対し、単核球回収器から回収された、血小板を除去された単核球を含む溶液を培養液に入れると、
図10(b)に示すように、凝集しなかった。
【0235】
(実施例3)
血液培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。用意したゲル培地をラミニンコートした6ウェルディッシュに入れ、2×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、6ウェルディッシュを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0236】
細胞を6ウェルディッシュに入れたまま、血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後に、500μLの幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットを利用して培地交換した。
【0237】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図11に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図12に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0238】
(実施例4)
血液培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。用意したゲル培地をラミニンコートしたフラスコに入れ、5×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0239】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後、フラスコ内に空気が残らないように、幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットでフラスコを完全に満たし、外部とのガス交換が生じないように、フラスコのキャップを閉め、細胞、微生物、及び不純物等が透過しないよう、フラスコの内部を閉鎖した。
【0240】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図13に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図14に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の閉鎖された細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0241】
(実施例5)
ゲル状ではない液体の血液増殖培地をラミニンコートした6ウェルディッシュに入れ、2×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、6ウェルディッシュを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0242】
細胞を6ウェルディッシュに入れたまま、血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後に、500μLの幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットを利用して培地交換した。
【0243】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図15に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図16に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0244】
(実施例6)
ゲル状ではない液体の血液増殖培地をラミニンコートしたフラスコに入れ、5×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、フラスコを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0245】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後、フラスコ内に空気が残らないように、幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットでフラスコを完全に満たし、外部とのガス交換が生じないように、フラスコのキャップを閉め、細胞、微生物、及び不純物等が透過しないよう、フラスコの内部を閉鎖した。
【0246】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図17に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図18に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の閉鎖された細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【符号の説明】
【0247】
10・・・血液容器、11・・・赤血球除去器、12・・・流路、13・・・流路、14・・・流体機械、15・・・単核球回収器、16・・・流路、17・・・流路、18・・・流体機械、19・・・流路、20・・・単核球吸引装置、21・・・流体機械、22・・・細胞培養器、23・・・流路、24・・・流体機械、25・・・培地容器、26・・・流路、27・・・容積可変容器、28・・・流体機械、29・・・流路、30・・・容積可変容器、31・・・流路、32・・・培地容器、33・・・流体機械、34・・・流路、35・・・容積可変容器、36・・・流路、37・・・流体機械、38・・・流路、39・・・流体機械、40・・・培地保持槽、50・・・血液容器、51・・・流路、52・・・流体機械、53・・・赤血球処理剤容器、54・・・流路、55・・・流体機械、56・・・流路、57・・・混合器、58・・・流路、60・・・流路、61・・・希釈用液容器、70・・・真空容器、71・・・真空容器、100・・・赤血球除去装置、101・・・赤血球除去装置、115・・・開口、116・・・開口、117・・・流路、200・・・細胞培養装置