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  • 特許-管内洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】管内洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/032 20060101AFI20220902BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20220902BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B08B9/032 321
B08B3/10 Z
E03C1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022037862
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512158468
【氏名又は名称】日本リニューアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】工藤 秀明
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-534454(JP,A)
【文献】特表2019-537657(JP,A)
【文献】特表2004-504868(JP,A)
【文献】米国特許第06019117(US,A)
【文献】特開平04-305240(JP,A)
【文献】特開2008-150461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/00-9/032
A61L 2/16
B08B 3/10
E03C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール水溶液を冷却することで、粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下である洗浄液を生成する洗浄液生成工程と、
圧縮された空気と共に前記洗浄液を樹脂管に供給する洗浄工程と、を備え
前記洗浄液生成工程では、前記エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、前記エタノール水溶液を冷却す
管内洗浄方法。
【請求項2】
前記エタノール水溶液は、重量パーセント濃度が30%以上90%以下である
請求項1に記載の管内洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液生成工程の前に、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、前記粉状のドライアイスを生成するドライアイス生成工程を備えている
請求項1又は2に記載の管内洗浄方法。
【請求項4】
前記樹脂管は、給水用又は給湯用である
請求項1~3のいずれかに記載の管内洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住戸等における給水管や給湯管には、従来、鋼管や銅管等の金属配管が用いられていたが、今はポリエチレン管やポリブデン管等の樹脂管が用いられている(例えば、特許文献1参照)。樹脂管であれば、金属配管のような錆びは生じず、また耐久性が高く、結果として漏水は起こりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6959625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、樹脂管の内表面には、微生物によるバイオフィルムが形成され、それを放置することで、緑膿菌やレジオネラ菌の培養の巣と化す。したがって、定期的な管内洗浄によって、バイオフィルムの除去及び殺菌を行うことが望まれる。
【0005】
このようなバイオフィルムの問題点は、給水用や給湯用の樹脂管の場合に限定されず、水分が影響する設備配管の場合に共通して存在する。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、樹脂管の内表面に形成されているバイオフィルムの除去及び殺菌を行うことができる管内洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、エタノール水溶液を冷却することで、粘度が300mPa・s以上20000Pa・s以下である洗浄液を生成する洗浄液生成工程と、圧縮された空気と共に前記洗浄液を樹脂管に供給する洗浄工程と、を備え、前記洗浄液生成工程では、前記エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、前記エタノール水溶液を冷却する管内洗浄方法である。
【0008】
本発明によれば、粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下で、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を用いるので、低粘度でサラッとした洗浄液を用いる場合と比較して、樹脂管の中で洗浄液が滞留する時間が長くなると共に、バイオフィルムを物理的に押し出す力が強くなる。これにより、洗浄能力を高めることができる。
また、本発明によれば、エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、エタノール水溶液を冷却するので、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【0009】
(2)本発明はまた、前記エタノール水溶液は、重量パーセント濃度が30%以上90%以下である上記(1)に記載の管内洗浄方法である。
【0010】
本発明によれば、重量パーセント濃度が30%以上90%以下であるエタノール水溶液を用いるので、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【0013】
)本発明はまた、前記洗浄液生成工程の前に、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、前記粉状のドライアイスを生成するドライアイス生成工程を備えている上記(又は(2)に記載の管内洗浄方法である。
【0014】
本発明によれば、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、粉状のドライアイスを生成するので、粉状のドライアイスを容易に生成することができ、ひいては、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記(1)~(4)に記載の管内洗浄方法によれば、樹脂管の内表面に形成されているバイオフィルムの除去及び殺菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る管内洗浄方法の工程の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る管内洗浄方法について、詳細に説明する。
【0018】
まず、図1を用いて、管内洗浄方法の工程の流れについて説明する。図1は、管内洗浄方法の工程の流れを説明するフローチャートである。
【0019】
図1に示す管内洗浄方法は、マンション等の建物内に配置された給水用又は給湯用の樹脂管(例えば、ポリエチレン管やポリブデン管等)を洗浄する方法である。具体的に、管内洗浄方法は、ドライアイス生成工程S1と、洗浄液生成工程S2と、洗浄工程S3と、を備えている。
【0020】
管内洗浄方法によって樹脂管を洗浄するに際し、調査や建物の養生等を行うと共に、必要な資機材を準備する。また、洗浄する樹脂管内の湯水を抜くと共に、樹脂管の必要箇所を開放する。
【0021】
ドライアイス生成工程S1では、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、粉状のドライアイスを生成する。これは、液化炭酸ガスのサイフォン付きボンベから空気中に炭酸ガスを液体として放出することで、低温の炭酸ガス(気体)と共に粉状のドライアイス(固体)が生成される性質を利用している。
【0022】
洗浄液生成工程S2では、エタノール水溶液を冷却することで、粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下で、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を生成する。この洗浄液生成工程S2では、エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、エタノール水溶液を冷却する。
【0023】
エタノール水溶液は、重量パーセント濃度が30%以上90%以下であることが好ましく、また、重量パーセント濃度が30%以上50%以下であることがより好ましい。洗浄液の粘度は、300mPa・s以上3000mPa・s以下であることが好ましく、また、300mPa・s以上1000mPa・s以下であることがより好ましい。なお、常温20℃において、卵黄の粘度が300mPa・s以上1000mPa・s以下程度であり、スキンケアクリームの粘度が1500mPa・s以上3000mPa・s以下程度であり、はちみつの粘度が8000mPa・s以上20000mPa・s以下程度である。
【0024】
洗浄工程S3では、圧縮された空気と共に洗浄液を樹脂管に供給する。
【0025】
このような管内洗浄方法によれば、粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下で、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を用いるので、低粘度でサラッとした洗浄液を用いる場合と比較して、樹脂管の中で洗浄液が滞留する時間が長くなると共に、バイオフィルムを物理的に押し出す力が強くなる。これにより、洗浄能力を高めることができる。
【0026】
また、管内洗浄方法によれば、重量パーセント濃度が30%以上90%以下であるエタノール水溶液を用いるので、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【0027】
また、管内洗浄方法によれば、エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、エタノール水溶液を冷却するので、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【0028】
また、管内洗浄方法によれば、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、粉状のドライアイスを生成するので、粉状のドライアイスを容易に生成することができ、ひいては、つきたての餅のようなドロッとした洗浄液を容易に生成することができる。
【0029】
このように、管内洗浄方法によれば、樹脂管の内表面に形成されているバイオフィルムの除去及び殺菌を行うことができる。
【0030】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の数値、数量、用途、手順などは適宜変更できる。例えば、上記実施形態では、樹脂管が給水用又は給湯用である場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、樹脂管は、水分が影響する設備配管であれば、その用途は限定されない。
【符号の説明】
【0031】
S1 ドライアイス生成工程
S2 洗浄液生成工程
S3 洗浄工程

【要約】
【課題】樹脂管の内表面に形成されているバイオフィルムの除去及び殺菌を行うことができる管内洗浄方法を提供する。
【解決手段】管内洗浄方法は、エタノール水溶液を冷却することで、粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下である洗浄液を生成する洗浄液生成工程S2と、圧縮された空気と共に洗浄液を樹脂管に供給する洗浄工程S3と、を備えている。エタノール水溶液は、重量パーセント濃度が30%以上90%以下である。洗浄液生成工程S2では、エタノール水溶液と粉状のドライアイスとを混合することで、エタノール水溶液を冷却する。また、管内洗浄方法は、洗浄液生成工程S2の前に、液化炭酸ガスのボンベから空気中に炭酸ガスを放出することで、粉状のドライアイスを生成するドライアイス生成工程S1を備えている。樹脂管は、給水用又は給湯用である。
【選択図】図1

図1