(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】防火ダンパ
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
F24F13/15 J
(21)【出願番号】P 2018247552
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515119321
【氏名又は名称】株式会社アステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 基広
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-096850(JP,A)
【文献】実開昭53-115696(JP,U)
【文献】実開昭54-178445(JP,U)
【文献】実開昭58-015139(JP,U)
【文献】実開昭58-085138(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部とを有し、
前記ダンパ軸は中空構造の回転軸であり、軸方向に直交する断面形状が四角形状又は多角形状であることを特徴とする防火ダンパ。
【請求項2】
前記ダンパ軸は、前記断面形状の対角線のうちの1つが前記開閉羽根が圧力を受けて撓む方向に沿うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の防火ダンパ。
【請求項3】
前記ダンパ軸の外周が前記開閉羽根と補強部としての取付部材とにより挟持された構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防火ダンパ。
【請求項4】
前記ダンパ軸は中空内に
モーメント方向の対角線上にリブを有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の防火ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
空調ダクトにおいて、火災時の延焼防止や熱い空気の噴出を防止するために、ダクトの中間に設けられる空調ダクト用防火ダンパが知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的な空調ダクト用防火ダンパは、ケーシング内に複数のダンパ軸が設けられ、そのダンパ軸に開閉羽根が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的な空調ダクト用ダンパでは、地震による振動の影響を受けて、ダンパ軸が共振して大きく歪み、開閉羽根とケーシングの間や、隣接する開閉羽根の間に隙間が生じて、熱い空気等の流れを遮断することができない場合がある。
【0005】
また、地震による振動の影響を受け難いように、ダンパ軸の共振周波数を上げるために、例えば、単純に比較的太い直径のダンパ軸を採用して、ダンパ軸の強度(剛性)を向上させた場合、重量も増加してしまうため、必ずしも共振周波数の向上とならない虞がある。
あるいは、比較的細い直径のダンパ軸を採用して、ダンパ軸を軽量化した場合、ダンパ軸の強度(剛性)が低下し、風圧が大きい場合にダンパ軸に歪みが生じる虞がある。
【0006】
また、振動の大きい地震が発生した場合であっても、高い遮炎性、遮煙性を有する防火ダンパが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防火ダンパは、少なくとも以下の構成を具備するものである。
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部とを有し、
前記ダンパ軸は中空構造の回転軸であり、軸方向に直交する断面形状が四角形状又は多角形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で、地震の振動による影響が少なく、軽量で、強度が大きい遮蔽機能を有する防火ダンパを提供することができる。
また、振動の大きい地震が発生した場合であっても、高い遮炎性、遮煙性を有する防火ダンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの一例を示す図、
図1(a)は開閉羽根が開状態の防火ダンパの平面図であり、
図1(b)は正面図である。
【
図2】
図2(a)は
図1(b)に示した開閉羽根が開状態の防火ダンパの側面図、
図2(b)は開状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの開閉羽根及びダンパ軸の一例を示す断面概念図である。
【
図4】開閉羽根が閉状態の防火ダンパの一例を示す図、
図4(a)は平面図であり、
図4(b)は正面図である。
【
図5】
図5(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの側面図、
図5(b)は閉状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【
図6】比較例のダンパ軸及び開閉羽根を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る防火ダンパを説明するための概念図、
図7(a)は中空構造の開閉羽根を備える防火ダンパの一例を示す断面図、
図7(b)は
図7(a)に示す防火ダンパの開閉羽根とダンパ軸の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る防火ダンパを説明するための概念図、
図8(a)は中空構造の開閉羽根と中空構造のダンパ軸を有する防火ダンパの一例を示す断面図、
図8(b)は
図8(a)に示す開閉羽根とダンパ軸の斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの一例を示す図、
図9(a)は回転軸であるダンパ軸が中空構造であり開閉羽根が中空構造である防火ダンパの一例を示す図、
図9(b)は補強部を備えたダンパ軸を有する防火ダンパの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、筒形状のケーシングと、ケーシング内に設けられたダンパ軸と、ダンパ軸に設けられ、ダンパ軸の回転に応じてケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部とを有し、ダンパ軸は中空構造の回転軸である、及び/又は前記開閉羽根は中空構造である。
なお、本発明に係る防火ダンパは、例えば、空調用ダンパや流体用ダンパ等に適用してもよい。空調用ダンパとしては、例えば空調ダクト用ダンパ等を含んでもよい。流体用ダンパとしては、例えば、液体用ダンパ、気体用ダンパ、燃料用ダンパ、空気用ダンパ等を挙げることができる。
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明する図面では、原則として同一の構成要素に同一の符号を付し繰り返しの説明を省略する。
【0012】
<開状態>
図1(a)は本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10の平面図であり、
図1(b)は防火ダンパ10の正面図である。
図2(a)は
図1(b)に示した開閉羽根が開状態の防火ダンパの側面図、
図2(b)は開状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【0013】
図1に示した本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10は、ケーシング11、検査口11k、ダンパ軸12(支軸)、開閉羽根13、駆動部14、軸受部材15、連結部材16、温度ヒューズ17等を有する。
【0014】
ケーシング11は、筒形状に形成されている。ケーシング11は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。ケーシング11は、例えば、断面矩形状、断面円形状など任意の形状であってもよい。本実施形態では、ケーシング11は、四角筒形状(断面矩形状)に形成されている。ケーシング11の側板11aの略中央部には検査口11kが形成されている。検査口11kには開閉式の蓋が設けられている。ケーシング11は、検査口11kを介してケーシング11内に配置された開閉羽根13の開閉状態などを視認可能に構成されている。
また、ケーシング11は、周囲に所定の幅のフランジ11fが形成されており、フランジ11fには所定の間隔で複数の取付用孔11fhが形成されている。
また、ケーシング11は、下部の内側面に、開閉羽根13の動きを規制する規制部材11s(羽根ストッパー)を有する。詳細には、ダンパ軸12が回転し、開閉羽根13が開状態から閉状態となった場合、ダンパ軸12がそれ以上回転しないように、閉状態の開閉羽根13に当接する位置に、規制部材11s(羽根ストッパー)が設けられている。
【0015】
ケーシング11内には、1つ又は複数のダンパ軸12が配置され、ダンパ軸12の両端部付近が、金属製の軸受部材15を介してケーシング11に回転自在に軸支されている。ダンパ軸12は、ステンレス鋼(SUS)などの金属部材により形成されている。
【0016】
図3に示すように、ダンパ軸12は、中空構造の回転軸である。ダンパ軸12は、軸方向に直交する断面形状が四角形状、多角形状、円形状等の形状であることが好ましい。本実施形態では、ダンパ軸12は、断面形状が四角形状で、中空構造である。ダンパ軸12の形状や厚みは、ダンパ軸12の共振周波数や、強度(剛性)の観点から適宜規定される。
【0017】
ダンパ軸12には、開閉羽根13が設けられている。開閉羽根13は、ダンパ軸12の回転に応じてケーシング11内の流路を開閉可能に構成されている。
開閉羽根13は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。本実施形態では、開閉羽根13は、略板状に形成されており、中央部にダンパ軸12に対応した屈曲部が形成され、端部に半円弧状等の所定の形状の凸形状部13t及び凹形状部13uが形成されている。
また、取付部材131により、開閉羽根13がダンパ軸12に取り付けられている。この取付部材131は、ダンパ軸12に対する補強部として機能する。また、この取付部材131は、例えば、ダンパ軸12の外形に対応した屈曲部を有する。また、開閉羽根13はダンパ軸12(回転軸)付近に、ダンパ軸12(回転軸)の外形に対応した屈曲部を有する。つまり、補強部としての取付部材131と開閉羽根13とによりダンパ軸12(回転軸)が挟持された構造を有しているので、撓み方向(
図3の上下方向(Z方向))への強度が大きい。
また、本実施形態では、ダンパ軸12は、断面矩形状に形成されており、且つ中空構造となっている。また、
図3に示すダンパ軸12は、断面矩形状の頂点を通る2つの対角線のうちZ方向に沿った対角線が、Z方向に沿って配置されている。つまり、ダンパ軸12のZ方向(撓み方向)への撓みを低減することができる。
また、
図3に示したように、ダンパ軸12は断面矩形状、且つ中空構造となっているので、軽量、且つ断面二次モーメントが比較的大きい。
また、複数の開閉羽根13が閉状態の場合、開閉羽根13の凸形状部13tと、その開閉羽根13に隣接する開閉羽根13の凹形状部13uとが重なるように、複数の開閉羽根13が配置されている。
【0018】
また、複数の開閉羽根13の端部には、略棒形状又はフラットバー等の連結部材16が設けられており、この連結部材16により、複数の開閉羽根13が連動するように構成されている。詳細には、連結部材16は、連結部材16の本体部16aが屈曲部材16bを介して開閉羽根13に接続されている。連結部材16は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。
【0019】
図1、
図2に示すように、ダンパ軸12には、駆動装置(駆動部14)が設けられている。
駆動装置(駆動部14)は、所定の条件を満たした場合、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13を開状態から閉状態とする。詳細には、本実施形態では、駆動装置(駆動部14)は、1つのダンパ軸12の一端部に設けられたハンドル14aを有し、ハンドル14aを操作することにより、ダンパ軸12を回転させることができるとともに、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13を開状態又は閉状態とすることができる。
【0020】
また、本実施形態では、駆動装置(駆動部14)には、温度ヒューズ17、係止ピン(17p)、付勢バネ(不図示)が設けられている。温度ヒューズ17の本体部は、ケーシング11内に位置するように配置されている。
通常時には、ダンパ軸12の端部に設けられたハンドル14aの一方の端部に設けられた係止部14kと、温度ヒューズ17の本体部から突出している係止ピン17pとが係止することで、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13が開状態に保持されている。通常時には、係止ピン17pは、付勢バネにより温度ヒューズ17側に付勢されている。
なお、駆動装置(駆動部14)は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、作動ガスの圧力に連動して、開閉羽根13を開状態から閉状態としてもよい。また、駆動装置(駆動部14)は、管理装置(コンピュータ)や個別のコンピュータ等の制御により、開閉羽根13を開状態又は閉状態としてもよい。また、駆動装置(駆動部14)は、防火ダンパから離れた位置に設けられた温度センサ、ガスセンサ、圧力センサ等の検知装置により、正常とは異なる異常状態が検知された場合に、開閉羽根13を開状態から閉状態としてもよい。
【0021】
<閉状態>
図4は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの一例を示す図である。詳細には、
図4(a)は防火ダンパの平面図であり、
図4(b)は正面図である。
図5(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの側面図であり、
図5(b)は閉状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【0022】
温度ヒューズ17は、例えば火災発生時など、所定の設定温度以上、例えば72℃以上で、温度ヒューズ17の本体部の可溶部分が溶断し、係止ピン17pが付勢バネにより温度ヒューズ17本体部側に没入する。そして、係止ピン17pがハンドル14aの係止部14kと非係止状態となり、ダンパ軸12が付勢部(不図示)の付勢力により、開閉羽根13が閉状態となる方向に回転することで、連結部材16により連結された複数の開閉羽根13が閉状態となり、ケーシング11内の流路が遮断される。
【0023】
本願発明者は、本発明の一実施形態に係る防火ダンパを実際に作製し、防火ダンパによる効果を確認した。
詳細には、加振試験としては、周波数5~33Hz、さらに33~60Hzの範囲について行った。加振方法は、3軸同時加振(X方向、Y方向、Z方向)である。加振の加速度は2Gの印加を開始とし、以降3G、3.5G、4Gに加速度を大きくした。それぞれの加振時間は約2分間である。また、印加波形は正弦波である。なお、1Gは9.8m/s2である。
確認事項としては、以下に挙げるものである。
(1)試験中、ダンパが作動(閉)しないこと。(試験前の状態を維持していること)
(2)試験後、ダンパが正常に作動すること。
(3)試験後、ダンパ本体に著しい破損がないこと。
(4)試験後、外観および寸法に著しい問題がないこと。
(5)試験後、ダンパが閉動作の状態において、UL555で規程された各部位の寸法を測定し問題がないこと。
【0024】
加振試験の結果、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、上述した確認事項に対して全て満たしていることを確認することができた。
また、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、防火ダンパの漏煙量が、加振試験の前後共に建築基準法等で定められた漏煙量(19.6Paにおいて5m3/min・m2)以下であることを確認することができた。
【0025】
また、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、共振周波数が38Hzを超えることを確認することができ、地震の振動による影響が少なく、ダンパ軸が中空構造なので、軽量で、強度が大きい。比較例として、
図6に示すように、非中空の金属製のダンパ軸12m(丸鋼等)に設けられた開閉羽根13m及び取付部材131mを備えた防火ダンパ(比較例)では、共振周波数は約19Hzであり、地震の振動による影響が大きい虞がある。
【0026】
また、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、共振点探索試験により、共振周波数が38Hzを超えて、約40Hz~45Hzであり、地震の振動による影響が少なく、ダンパ軸が断面矩形状の中空構造であるので、軽量で、断面二次モーメントが比較的大きく、強度が比較的大きいことを確認することができた。
【0027】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10は、筒形状のケーシング11と、ケーシング11内に設けられたダンパ軸12と、ダンパ軸12に設けられ、ダンパ軸12の回転に応じてケーシング11内の流路を開閉自在な開閉羽根13と、開閉羽根13を開状態から閉状態とする駆動部14とを有し、このダンパ軸12は中空構造の回転軸である。
すなわち、防火ダンパ10では、耐圧力性と耐振性を両立させるために、ダンパ軸12を中空構造とすることで軽量化しつつ、断面形状により断面二次モーメントが大きい断面形状を実現することができる。
また、詳細には、開閉羽根13が設けられたダンパ軸12は、共振周波数が比較的高くなるように、詳細には共振周波数が約38Hz以上60Hz以下、好ましくは38Hz以上50Hz以下、より好ましくは38Hz以上41Hz以下に規定することで、地震動に対して共振し難い構造となる。地震動は例えば約0.3Hz~10Hzでのパワースペクトル密度が大きい。
つまり、開閉羽根13を備えたダンパ軸12が、地震動に対して共振し難く、高い剛性を有し、破損し難い、防火ダンパ10を提供することができる。
また、ダンパ軸12が中空構造を有する回転軸であり、強度が比較的大きく、耐風圧性を有する防火ダンパ10を提供することができる。
つまり、ダンパ軸の断面形状と中空構造による軽量化により共振周波数を上げることにより地震動に対して共振し難く、且つ、強度(耐風圧)の大きい防火ダンパ10を提供することができる。すなわち、簡単な構成で、地震の振動による影響が少なく、軽量で、強度が大きい遮蔽機能を有する防火ダンパ10を提供することができる。
【0028】
また、本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10のダンパ軸12は、軸方向に直交する断面形状が四角形状、多角形状、円形状などの形状であることが好ましい。
すなわち、ダンパ軸12の断面形状が四角形状、多角形状、円形状などの形状に形成されているので、開閉羽根13を備えたダンパ軸12が簡単な構造で、強度が大きく、且つ共振周波数が高い、防火ダンパを提供することができる。
【0029】
また、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、ダンパ軸12の外周が開閉羽根13と補強部としての取付部材(131,131p等)とにより挟持された構造となっている。すなわち、補強部としての取付部材(131,131p等)と、開閉羽根13がダンパ軸12の外形に対応して屈曲部を有し、回転軸に対して開閉羽根13と補強部(取付部材)とが密着するように、開閉羽根13と補強部(取付部材)とにより回転軸を挟持しているので、簡単な構造で、強度が大きく、且つ共振周波数が高い、防火ダンパを提供することができる。
【0030】
また、防火ダンパ10は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、防火ダンパ10は、筒形状のケーシング11と、ケーシング11内に設けられたダンパ軸12と、ダンパ軸12に設けられ、ダンパ軸12の回転に応じてケーシング11内の流路を開閉自在な開閉羽根13と、開閉羽根13を開状態から閉状態とする駆動部14とを有し、ダンパ軸12は中空構造の回転軸である、及び/又は開閉羽根13は中空構造であってもよい。
【0031】
詳細には、例えば、
図7に示すように、防火ダンパは、中空構造の開閉羽根13pを有していてもよい。詳細には、開閉羽根13pには補強部としての取付部材131pが設けられており、開閉羽根13pと補強部(取付部材131)の中央部が外方向に向かって凸形状に形成されており、内部が中空構造となっている。また、
図7に示す防火ダンパは、回転軸としてのダンパ軸12が、開閉羽根13pの左右の両端部のみに設けられており、開閉羽根13pの中央には回転軸が設けられていない構造となっている。すなわち、
図7に示す防火ダンパは、開閉羽根13pが中空構造となっているので、軽量であり、且つ強度が比較的大きく、地震動に対して共振し難い構造となっている。
【0032】
また、
図8に示す防火ダンパは、中空構造の開閉羽根13pを有し、この開閉羽根13pの左右両端部及び中央部にもダンパ軸12が設けられている。このダンパ軸12は、中空構造であってもよいし、非中空構造であってもよい。すなわち、
図8に示す防火ダンパは、軽量であり、且つ強度がさらに大きく、地震動に対して共振し難い構造となっている。
【0033】
また、中空構造のダンパ軸の代わりに、
図9(a)に示すように、中空構造の開閉羽根(13p、131p)の中空内に、非中空のダンパ軸12p(丸鋼等)を設けた構造であってもよい。すなわち、耐圧力性と耐振性を両立させるために、開閉羽根(13p、131p)を中空構造として軽量化しつつ、断面二次モーメントが大きい断面形状を実現することができる。
【0034】
また、防火ダンパ10のダンパ軸12は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、
図9(b)に示すように、ダンパ軸12の中空内に補強部121(リブ)が設けられていてもよい。補強部121は、例えばダンパ軸12が断面四角形状の中空構造に形成されている場合、モーメント方向(開閉羽根13の平面と直交する方向)の対角線上に、リブ等が設けられていてもよい。また、補強部121のリブは棒形状、板形状など各種形状に形成されていてもよい。
すなわち、ダンパ軸12に補強部121が設けられているので、ダンパ軸12の強度が大きく、耐風圧性を有する防火ダンパを提供することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
10…防火ダンパ(耐震性防火ダンパ)
11…ケーシング
11k…検査口
12…ダンパ軸
13…開閉羽根(羽根)
14…駆動部(駆動装置)
15…軸受部材
16…連結部材
17…温度ヒューズ
121…補強部