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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】防水型ハッチ
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
E02D29/14 C
E02D29/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021112484
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2021-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.発明の掲載日 令和 3年 4月27日 2.発明を掲載したウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=v_xxQWkDjc8 3.公開者 株式会社中部コーポレーション 4.発明の内容 超大口径マシンハッチ
(73)【特許権者】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】黒田 靖規
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-151475(JP,A)
【文献】実開平6-1452(JP,U)
【文献】実開平7-22999(JP,U)
【文献】登録実用新案第3081600(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
B65D 53/00
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けた開口部の縁部に取り付けられた受枠と、
前記受枠の内周面から内側に突出して設けられた支持部と、
前記支持部に支持されて前記受枠内にて水平方向に並べて配置された複数の分割蓋体から構成される蓋体と、
前記複数の分割蓋体の互いに対向する縁部により形成される継ぎ目に沿って延び、前記複数の分割蓋体の上側を跨ぐように設けられて前記複数の分割蓋体を連結する連結部材と、
前記支持部の上面または前記蓋体の縁部下面に設けられて、前記蓋体が前記支持部に押圧されることで前記蓋体と前記支持部との間をシールする第1弾性シール部材と、
前記連結部材の下面と前記複数の分割蓋体の互いに対向する縁部との間に設けられて、前記連結部材が前記蓋体に押圧されることで前記複数の分割蓋体の間に形成される継ぎ目をシールする第2弾性シール部材とを備えた防水型ハッチであって、
前記複数の分割蓋体の互いに対向する縁部の少なくとも一方には、前記第1弾性シール部材の上側位置に前記第2弾性シール部材を前記第1弾性シール部材に密着させるための切欠部を形成したことを特徴とする防水型ハッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の防水型ハッチにおいて、
前記切欠部は、前記複数の分割蓋体の互いに対向する両側の縁部の各々に半円形状で形成されたことを特徴とする防水型ハッチ。
【請求項3】
請求項1に記載の防水型ハッチにおいて、
前記切欠部は、前記継ぎ目が延びる方向の外側の端部まで延出していることを特徴とする防水型ハッチ。
【請求項4】
請求項3に記載の防水型ハッチにおいて、
前記切欠部は、前記継ぎ目が延びる方向の内側から外側に拡がるように形成されたことを特徴とする防水型ハッチ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の防水型ハッチにおいて、
前記切欠部は、下側の径が小さいテーパ形状としたことを特徴とする防水型ハッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床面に設けた開口部を防水状態で塞ぐ防水型ハッチに関する。
【背景技術】
【0002】
フロアハッチやマシンハッチは建物等の床面に形成された開口部を開閉自在に塞ぐものであり、特許文献1には防水機能を有したフロアハッチの発明が開示されている。このフロアハッチは、床面に形成された開口部の縁部に取り付けられた受枠と、受枠の下部にて内側に向けて突設された受け板と、受け板に支承される蓋体と、受け板の上面に設けられて蓋体との間をシールするゴム製のパッキン(以下、第1の弾性シール部材と記す)とを備えている。蓋体の上面角部にはボルト取付凹部が設けられており、凹部の中心にはボルト挿通孔が穿設されている。蓋体を受枠に嵌合させた後で、締め付けボルトを蓋体のボルト挿通孔と受け板のボルト挿通孔とを挿通させ、締め付けボルトの下端にナットを螺着することで、第1の弾性シール部材が押圧された状態となり、蓋体は第1の弾性シール部材によってシールされた状態で受枠に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-151475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフロアハッチは、床面に形成された小型の開口部を開閉自在に塞ぐものであり、工場等には大型の機械や資材を移動させるための大型の開口部を開閉自在に塞ぐマシンハッチが設けられている。近年、マシンハッチが大型の開口部を塞ぐようにさらに大型化しており、蓋体を1枚の板金部材によって受枠内を覆うようにすると、板金部材の製造コストが高くなるだけでなく、板金部材の重量が重くなって、蓋体を設置及び開閉しにくくなる問題がある。このため、大型の開口部を塞ぐマシンハッチにおいては、蓋体を2枚の板金を用いて、2枚の分割蓋体として水平方方向に並べて配置することで、上記の問題を解決することができる。
【0005】
この場合に、2枚の分割蓋体の互いに対向する縁部をできるだけ接近させても、2枚の分割蓋体の互いに対向する縁部により形成される継ぎ目は寸法誤差等によって僅かな隙間が形成される。このため、2枚の分割蓋体の互いに対向する縁部により形成される継ぎ目の上側に、ゴム製のパッキンを用いた第2の弾性シール部材を継ぎ目に沿って取り付けることにより、2枚の分割蓋体の上側から継ぎ目を通って水が流入するのを防ぐことができる。しかし、第2の弾性シール部材は2枚の分割蓋体の継ぎ目の上側から水の流入を防ぐことができるが、分割蓋体は強度保持のために板厚が厚くなっているので、2枚の分割蓋体の継ぎ目は第1の弾性シール部材の上側で板厚によって水平方向に開口し、2枚の分割蓋体の継ぎ目の水平方向の開口から水が流入するおそれがある。本発明は、受枠内を複数の分割蓋体から構成される蓋体により開閉自在に塞ぐようにしたときに、複数の分割蓋体の継ぎ目から漏水しにくい防水型ハッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、床面に設けた開口部の縁部に取り付けられた受枠と、受枠の内周面から内側に突出して設けられた支持部と、支持部に支持されて受枠内にて水平方向に並べて配置された複数の分割蓋体から構成される蓋体と、複数の分割蓋体の互いに対向する縁部により形成される継ぎ目に沿って延び、複数の分割蓋体の上側を跨ぐように設けられて複数の分割蓋体を連結する連結部材と、支持部の上面または蓋体の縁部下面に設けられて、蓋体が支持部に押圧されることで蓋体と支持部との間をシールする第1弾性シール部材と、連結部材の下面と複数の分割蓋体の互いに対向する縁部との間に設けられて、連結部材が蓋体に押圧されることで複数の分割蓋体の間に形成される継ぎ目をシールする第2弾性シール部材とを備えた防水型ハッチであって、複数の分割蓋体の互いに対向する縁部の少なくとも一方には、第1弾性シール部材の上側位置に第2弾性シール部材を第1弾性シール部材に密着させるための切欠部を形成したことを特徴とする防水型ハッチを提供するものである。
【0007】
上記のように構成した防水型ハッチにおいては、蓋体は支持部との間に設けられた第1弾性シール部材によって受枠との間でシールされ、蓋体を構成する複数の分割蓋体の継ぎ目の上側は、複数の分割蓋体の継ぎ目の上側に設けた第2弾性シール部材によってシールされている。この防水型ハッチにおいては、複数の分割蓋体の互いに対向する縁部の少なくとも一方には、第1弾性シール部材の上側位置に第2弾性シール部材を第1弾性シール部材に密着させるための切欠部が形成されている。第1及び第2弾性シール部材はこの切欠部の内部で密着することで、複数の分割蓋体の継ぎ目は第1弾性シール部材の上側で水平方向に塞がれるようになる。これによって、複数の分割蓋体の継ぎ目から受枠内に水が流入するのを防ぐことができる。
【0008】
上記のように構成した防水型ハッチにおいては、切欠部は、複数の分割蓋体の互いに対向する両側の縁部の各々に半円形状で形成するようにしてもよい。また、切欠部は、継ぎ目が延びる方向の外側の端部まで延出するようにしてもよい。切欠部は、継ぎ目が延びる方向の内側から外側に拡がるように形成するようにしてもよい。さらに、切欠部は、下側の径が小さいテーパ形状としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の防水型ハッチを床面に設置した状態の斜視図である。
図2図1から上蓋体とH型鋼を上側に移動させた状態の斜視図である。
図3】受枠の斜視図である。
図4】受枠に下蓋体が取り付けられた状態での排水口が形成された位置での縦方向断面図である。
図5】(a)はA-A線で切断した一部断面図であり、(b)はB-B線で切断した一部断面図である。
図6】下蓋体の分解斜視図である。
図7】C-C線で切断した一部断面図である。
図8】切欠部の形状を変更した変形例の概略図である(1)。
図9】切欠部の形状を変更した変形例の概略図である(2)。
図10】切欠部の形状を変更した変形例の概略図である(3)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の防水型ハッチ(マシンハッチまたはフロアハッチ)の一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示したように、本発明の防水型ハッチ10は、建物または構造物等の床面に設けた大型の開口部Aの縁部に取り付けられ、開口部Aを開閉自在に塞いでいる。図1及び図2に示したように、防水型ハッチ10は、開口部Aの縁部に取り付けられた受枠20と、受枠20の上部に支持される上蓋体22と、受枠20の下部に支持される下蓋体(蓋体)30とを備えている。
【0011】
図1図3に示したように、受枠20は、平面視にて略正方形(長方形)をして高さの低い筒形形状をしており、製造及び輸送を容易とするために平面視略コ字形の2つの受枠部品20aを連結したものである。各受枠部品20aの開口端には外側に延出する連結フランジ20bが設けられており、2つの受枠部品20aは両側の連結フランジ20bを互いに固定することによって連結されて平面視にて略正方形の受枠20になっている。互いに固定された連結フランジ20bの間にはパッキンやシーリング材が介装されており、2つの受枠部品20aは液密に連結されている。
【0012】
図2及び図3に示したように、受枠20の内周面の上部には内側に突出する段部21が形成されており、段部21には床面と同じ上面とするための上蓋体22が支持されている。上蓋体22は、この実施形態では28枚の鉄板を用いた蓋体であり、受枠20の上部の段部21とともに受枠20内に設けた受梁を構成するH型鋼23に支持されている。上蓋体22は上面が開口した浅い箱形形状をし、内部に建物等の床面と同じ化粧材を敷設するものであるが、上蓋体22に縞鋼板等を用いたものであってもよい。
【0013】
図3図5に示したように、受枠20の内周面の下部には内側に突出する支持部24が設けられており、支持部24には受枠20内を液密に塞ぐ下蓋を構成する下蓋体30が支持されている。図3及び図4に示したように、支持部24は、受枠20の内周面の全周に亘って連続して設けられており、受枠20の下部から内側に突出する水平板部24aと、水平板部24aの内端から上側に延出する垂直板部24bとを備えている。水平板部24aの内側端部にはクロロプレンゴムスポンジ(ゴムスポンジ角紐)を用いた第1弾性シール部材25が設けられており、第1弾性シール部材25は受枠20と下蓋を構成する下蓋体30の四方の縁部とを液密にシールして(塞いで)いる。第1弾性シール部材25は支持部24の垂直板部24bの高さよりも高くなっている(垂直板部24bより高い厚みとなっている)。第1弾性シール部材25の垂直板部24bよりも上側部分が下蓋体30の下面縁部に弾性変形して密着することで、第1弾性シール部材25は受枠20と下蓋体30との間をシールしている。図3及び図4に示したように、受枠20には支持部24の高さ位置に排水口20cが形成されており、上蓋体22の隙間を通って受枠20の内側に流入した水は支持部24から排水口20cを通って外側に排出される。
【0014】
図2図5及び図6に示したように、下蓋体30は受枠20の内側を開閉自在に塞ぐものであり、製造及び輸送を容易とするために、この実施形態では略長方形の2枚(複数)の分割蓋体31から構成されている。図4図6に示したように、分割蓋体31は板金部材を用いたものであり、分割蓋体31には受枠20の内周面と対向する部分に下側に屈曲させた折曲部31aが形成されている。図5に示したように、各分割蓋体31の下面には3本のL形アングル材32が固定されており、各分割蓋体31はL形アングル材32によって補強されている。2枚の分割蓋体31は水平方向に接近するように配置され、2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bにより継ぎ目31cが形成されている。2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cにより生じる隙間ができるだけ小さくなるように、2枚の分割蓋体31はできるだけ接近するように設置されている。下蓋体30は、第1弾性シール部材25と密着する部分の外側の縁部で複数のボルトとナットとによって受枠20の支持部24に締結固定され、下蓋体30を受枠20の支持部24に締結固定したときに押圧される第1弾性シール部材25によって受枠20の間でシールされる。
【0015】
図5図7に示したように、2枚の分割蓋体31は連結部材33により連結されており、連結部材33は2枚の分割蓋体31の上側にて継ぎ目31cに沿って延びている。連結部材33は、長手方向に直交する方向の断面形状が下側に開いた片仮名のコ字形の開口側の両端を外側に延出させた略Ω形状をし、下側に開いた片仮名のコ字形部分を継ぎ目31cをシールする第2弾性シール部材34を収容するシール部材収容部33aとし、シール部材収容部33aの開口側の両端から外側に延出する部分を分割蓋体31に固定する固定部33bとしている。この連結部材33は継ぎ目31cに沿って第1弾性シール部材25を跨ぐように第1弾性シール部材25の外側から外側まで延出している。
【0016】
図5及び図7に示したように、シール部材収容部33a内には第2弾性シール部材34が収容されており、第2弾性シール部材34は2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cに沿って延びて継ぎ目31cをシールして(液密に塞いで)いる。シール部材収容部33aの開口側の両側の固定部33bは継ぎ目31cに沿って設けた複数のボルトとナットとによって2枚の分割蓋体31の各々に締結固定されている。
【0017】
図7に示したように、第2弾性シール部材34も連結部材33と同様に継ぎ目31cに沿って第1弾性シール部材25を跨ぐように第1弾性シール部材25の外側から外側まで延出している。第2弾性シール部材34の厚み(高さ)はシール部材収容部33aの高さよりも厚く(高く)なっており、第2弾性シール部材34のシール部材収容部33aよりも下側部分が2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bに密着して継ぎ目31cをシールする。2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cの上側は、連結部材33の固定部33bを分割蓋体31の各縁部31bに締結固定したときに押圧される第2弾性シール部材34によってシールされる。
【0018】
図5図7に示したように、各分割蓋体31の縁部31bには継ぎ目31cが延びる方向の両端部で第1弾性シール部材25の上側位置に切欠部31dが形成されており、切欠部31dは第2弾性シール部材34を第1弾性シール部材25に密着させる機能を有している。各分割蓋体31の縁部31bに形成された切欠部31dは略半円形状をしており、両側の分割蓋体31の切欠部31dにより略円形状となっている。この実施形態の切欠部31dの上縁部及び下縁部は面取りされており、第1及び第2弾性シール部材25,34が切欠部31dの内側に入ったときに、第1及び第2弾性シール部材25,34が切欠部31dの上縁部及び下縁部によって切れにくくなっている。
【0019】
上記のように構成した防水型ハッチ10は、床面に設けた開口部Aの縁部に取り付けられた受枠20と、受枠20の内周面下部から内側に突出して設けられた支持部24と、支持部24に支持されて受枠20内にて水平方向に並べて配置された2枚(複数)の分割蓋体31から構成される下蓋体(蓋体)30と、2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bにより形成される継ぎ目31cに沿って延び、2枚の分割蓋体31の上側を跨ぐように設けられて2枚の分割蓋体31を連結する連結部材33とを備えている。また、防水型ハッチ10においては、支持部24の上面には下蓋体30が支持部24に押圧されることで下蓋体30と支持部24との間をシールする第1弾性シール部材25が設けられ、連結部材33のシール部材収容部33aの下面と2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bとの間に、連結部材33が下蓋体30に押圧されることで2枚の分割蓋体31の間に形成される継ぎ目31cをシールする第2弾性シール部材34とが設けられている。
【0020】
この防水型ハッチ10においては、下蓋体30は支持部24との間に設けられた第1弾性シール部材25によって受枠20と間でシールされ、下蓋体30を構成する2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cの上側は、2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cの上側に設けられた第2弾性シール部材34によってシールされている。この防水型ハッチ10においては、2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bには第1弾性シール部材25の上側位置に切欠部31dが形成されており、切欠部31dは第2弾性シール部材34を第1弾性シール部材25に密着させている。第1及び第2弾性シール部材25,34はこの切欠部31dの内側で密着することで、2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cの板厚によって生じる水平方向の開口は切欠部31dの内側に入り込んで密着する第1及び第2弾性シール部材25,34によって塞がれるようになる。このように、2枚の分割蓋体31は、第1弾性シール部材25により受枠20との間がシールされ、第2弾性シール部材34によって継ぎ目31cの上側がシールされ、さらに、2枚の分割蓋体31の縁部31bに形成した切欠部31dの内側で密着する第1及び第2弾性シール部材25,34により分割蓋体31の板厚により生じる水平方向の開口もシールされるので、受枠20と下蓋体30の間と、2枚の分割蓋体31の継ぎ目31cから受枠20の内側に水が流入するのを防ぐことができる。
【0021】
この実施形態の防水型ハッチ10においては、2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bの両方に切欠部31dを形成しているが、これに限られるものでなく、第2弾性シール部材34を第1弾性シール部材25に密着させることができる形状及び大きさであれば、2枚の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bの一方にだけ切欠部31dを形成するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
この実施形態の防水型ハッチ10においては、切欠部31dの内側で第1及び第2弾性シール部材25,34を密着させているが、これに限られるものでなく、エポキシ樹脂等のシーリング材を介して第1及び第2弾性シール部材25,34を密着させるようにしてもよい。また、切欠部31dの内側に分割蓋体31の厚みと同じ程度(分割蓋体31の厚みより少し厚くてもよいし、分割蓋体31の厚みより少し薄くてもよい)の円柱状(柱状であればよく、特に、切欠部31dの形状に合わせた形状とするのが好ましい)の弾性シール部材を配置し、弾性シール部材を介して第1及び第2弾性シール部材25,34を密着させるようにしてもよい。
【0023】
この実施形態の防水型ハッチ10においては、切欠部31dは2枚の分割蓋体31の互いに対向する両側の縁部31bの各々に半円形状で形成され、両側の切欠部31dを合わせた形状によって円形となっている。これによって、第1及び第2弾性シール部材25,34が弾性変形により円形の切欠部31d内に入り込みやすくなり、切欠部31dの面積をできるだけ小さくして、上述した作用効果を得ることができる。
【0024】
切欠部31dの形状は上記のように半円形にしたものに限られるものでなく、第1及び第2弾性シール部材25,34が弾性変形によって切欠部31d内に入り込み、第2弾性シール部材34が第1弾性シール部材25に密着するようにして、継ぎ目31cの水平方向の開口を塞ぐことことができれば、切欠部31dの形状を他の形状としたものであってもよい。図8の概略図に示した変形例では、切欠部31dを下側の径が小さいテーパ形状としている。このようにしたときには、上側の第2弾性シール部材34は第1弾性シール部材25よりも多く切欠部31d内に入り込みやすくなる。この場合にも、切欠部31dの上縁部及び下縁部を面取りをすることで、第1及び第2弾性シール部材25,34が切欠部31dの内側に入り込むときに、第1及び第2弾性シール部材25,34が切欠部31dの角部によって破損しにくくなる。なお、図8では。第1及び第2弾性シール部材25,34を灰色の帯形状により示しており、以下に示す図9及び図10も同様である。
【0025】
この実施形態の防水型ハッチ10においては、切欠部31dは2枚の分割蓋体31の互いに対向する両側の縁部31bの各々に半円形状で形成されているが、これに限られるものでなく、図9の概略図に示した変形例では、切欠部31dは、分割蓋体31の継ぎ目31cが延びる方向の外側の端部まで延出するようにしている。また、図10の概略図に示した変形例では、切欠部31dは、分割蓋体31の継ぎ目31cが延びる方向の外側の端部まで延出するようにし、継ぎ目31cが延びる方向の内側から外側に拡がるように形成されている。これらもの場合にも、切欠部31dを下側の径が小さいテーパ形状としてもよい。さらに、切欠部31dの上縁部および下縁部を面取りするようにするのが好ましい。
【0026】
この実施形態(変形例を含む)の防水型ハッチ10においては、下蓋体30は2枚の分割蓋体31により構成されているが、本発明はこれに限られるものでなく、下蓋体30は3枚以上の分割蓋体31により構成されるようにしたものであってもよい。
【0027】
この実施形態(変形例を含む)の防水型ハッチ10においては、第1弾性シール部材25は、支持部24の水平板部24aに貼着されている(設けられている)が、これに限られるものでなく、下蓋体30の縁部下面に貼着する(設ける)ようにしてもよい。また、第2弾性シール部材34は、連結部材33のシール部材収容部33a内に収容されているが、これに限られるものでなく、2枚(複数)の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bにて継ぎ目31cに沿って貼着して(設けて)から、連結部材33のシール部材収容部33a内に収容するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10…防水型ハッチ、20…受枠、24…支持部、25…第1弾性シール部材、30…下蓋体、31…分割蓋体、31b…互いに対向する縁部、31c…継ぎ目、31d…切欠部、33…連結部材、34…第2弾性シール部材、A…開口部。
【要約】
【課題】受枠内を複数の分割蓋体よりなる蓋体により開閉自在に塞ぐようにしたときに、複数の分割蓋体の継ぎ目から漏水しにくい防水型ハッチを提供する。
【解決手段】防水型ハッチ10は、受枠20の内周面から内側に突出して設けられた支持部24と、支持部24に支持されて複数の分割蓋体31から構成される下蓋体30と、複数の分割蓋体31を連結する連結部材33と、支持部24の上面と下蓋体30の縁部下面との間をシールする第1弾性シール部材25と、連結部材33の下面と複数の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bとの間に設けられて、複数の分割蓋体31の間に形成される継ぎ目31cをシールする第2弾性シール部材34とを備え、複数の分割蓋体31の互いに対向する縁部31bの少なくとも一方には、第1弾性シール部材25の上側位置に第2弾性シール部材34を第1弾性シール部材25に密着させるための切欠部31dを形成した。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10