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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】複合成形体の成形システム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/44 20060101AFI20220902BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B29C70/44
B29C70/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021518379
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2020018301
(87)【国際公開番号】W WO2020226122
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019087775
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】米山 猛
(72)【発明者】
【氏名】喜成 年泰
(72)【発明者】
【氏名】立野 大地
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-305676(JP,A)
【文献】特開平05-200901(JP,A)
【文献】特開平06-134875(JP,A)
【文献】特開平09-267408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00 ー 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合材からなる筒状素材を組紐成形する手段と、
前記組紐成形された筒状素材を内側から温間加圧成型する手段とを備え、
前記筒状素材を内側から温間加圧成型する手段は、外形成型用金型と、筒状素材の内側に挿入される棒状のゴム弾性挿入部材と、前記棒状のゴム弾性挿入部材をその端部から軸方向に加圧する加圧手段を有し、前記棒状のゴム弾性挿入部材が端部から軸方向に加圧されると、側面が外側に向けて膨らむことで、前記筒状素材は内圧が加わり、前記外形成型用金型のキャビティ形状に合致するように変形するものであることを特徴とする複合成形体の成形システム。
【請求項2】
前記棒状のゴム弾性挿入部材は、シリコンゴムであって且つ、複数の弾性子に分割されていることを特徴とする請求項記載の複合成形体の成形システム。
【請求項3】
前記炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合材は、一方向炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合化テープ材であることを特徴とする請求項記載の複合成形体の成形システム。
【請求項4】
一方向炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた複合化テープ材を用いて組紐成形機により筒状素材を製造する工程と、
前記筒状素材を外形成型用金型内に投入し、当該筒状素材の内側に棒状のゴム弾性挿入部材を挿入し、温間で前記棒状のゴム弾性挿入部材をその端部から軸方向に加圧することで、前記棒状のゴム弾性挿入部材の側面が外側に向けて膨らみ、前記筒状素材に内圧が加わり、前記外形成型用金型のキャビティ形状に合致するように変形し、その後に内圧を加えながら冷却することを特徴とする複合成形体の製造方法。
【請求項5】
記組紐成形機にて筒状素材を成形する際に用いる心棒の表面に耐熱性チューブを被覆してあり、
前記心棒を抜き取り、前記棒状のゴム弾性挿入部材を前記耐熱性チューブの内側に挿入するものであることを特徴とする請求項記載の複合成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合成形体に関し、特にその成形システム及び製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は比強度に優れることから、樹脂との複合化が検討されている。
例えば非特許文献1には、炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させ、加熱硬化させたものを組紐成形する技術を開示する。
本技術において熱硬化性樹脂を炭素繊維に含浸させているのは、加熱硬化させる前の原材料は粘性が低く液状にするのが容易であるため、この炭素繊維に含浸しやすいためである。
【0003】
しかし、熱硬化性樹脂との複合化は硬化に時間を要するのみならず、その後の成型が困難である。
これに対して熱可塑性樹脂は、所定の温度に加熱することで溶融化できるものの、その粘性が高く、炭素繊維に充分に含浸させるのが難しく、その密着性が劣る技術的課題があった。
また、炭素繊維の組紐成形中に熱可塑性樹脂を含浸させ、その後に引き抜き加工を行うことも考えられるが、引き抜き加工では充分な圧力を掛けるのが難しく、やはり炭素繊維と樹脂材料との密着性が問題になる。
【0004】
特許文献1には繊維強化樹脂管状体を開示するが、同公報に開示する管状体は連続炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混繊して得られたテープを、その一部が重なるように螺旋状の捲回したものとなっている。
しかし、テープ同士の重ね部の密着性が不充分となる恐れが高いものであり、また、テープを螺旋状に倦回する工法では成形できる形状に制限が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2019-59808号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】吉村 治 他,「組紐技術を用いたCFRP製品の開発」,石川県工業試験場研究報告,2009,No58,P37-38
【文献】Toshiyasu Kinari 他,「BIO-INNOVATIVE DESIGN TECHNOLOGY AND MANUFACTURING SYSTEM FOR CFRP PREFORM BY BRAIDING STRUCTRE」,(ISFA 2018-L088),2018 International Symposium on Flexible Automation Kanazawa,Japan,15-19 July 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、炭素繊維と熱可塑性樹脂との密着性に優れ、成形自由度の高い複合成形体の成形システム及び製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る複合成形体の成形システムは、炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合材からなる筒状素材を組紐成形する手段と、前記組紐成形された筒状素材を内側から温間加圧成型する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、組紐成形機を用いて炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる筒状素材を成形した後に、この筒状素材を内側から熱可塑性樹脂が軟化又は溶融する程度の温度にて加圧成型することで、相互の密着性が向上するとともに各種形状の複合成形体を得ることができる点に特徴がある。
従って、組紐成形の段階では炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維とを用いて組紐にしてもよく、また予め例えば、一方向炭素繊維に熱可塑性樹脂シートを重ねて、温間で加圧含浸させたものをテープ状にした複合化テープを用いてもよい。
この種の複合化テープは、各種の熱可塑性樹脂のものが市販されていて入手が容易である。
【0010】
本発明において組紐成形にて得られた筒状素材は金型等に投入して、内側から温間で加圧成型できれば、その加圧手段に制限はないが、例えば、前記筒状素材を内側から加圧成型する手段は、外形成型用金型と、筒状素材の内側に挿入し、内圧を付加するための弾性挿入部材とからなるようにしてもよい。
ここで弾性挿入部材は、筒状素材の内側に挿入し、この筒状素材の両側端部から相対的に加圧すると、この弾性挿入部材が横方向に膨らみ筒状素材の内周面を押圧するものをいい、温間で加圧することからシリコンゴム等の耐熱性を有するものが好ましい。
また、本発明においては熱可塑性樹脂を用いることから、温間で加圧成型後に冷却することになるが、その際に樹脂には収縮力が生じる。
そこで、加圧成型手段に弾性材を用いることで、加圧状態を維持しながら冷却することも容易になる。
弾性挿入部材は、挿入方向とは略直交する方向の分割面により、複数の弾性子に分割されていてもよい。
このように複数に分割すると、横方向の膨出力が中央部に集中することなく分散されるので、より均一に内圧される。
【0011】
本発明においては、上記の成形システムを活用することで、いろいろな製造方法が考えられるが、例えば、一方向炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた複合化テープ材を用いて組紐成形機により筒状素材を製造する工程と、前記筒状素材を金型内に投入し、当該筒状素材の内側に内圧を付加することで、温間で金型成型する工程とを有するようにしてもよい。
この場合に、前記組紐成形機にて筒状素材を成形する際に用いる心棒の表面に耐熱性チューブを被覆してあると、その後に心棒を抜きとるのが容易である。
また、前記耐熱性チューブの内側に弾性挿入部材を挿入し、内圧を付加するようにすると、挿入した弾性挿入部材が外側に向けて膨らみ変形する際に、耐熱性チューブの内周面との滑りにて吸収することができるため弾性挿入部材が筒状素材と接触していないので、この弾性挿入部材が加圧変形する際に筒状素材との擦れがなくなる。
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂としては、各種材料を用いることができる。
例えば、ポリアミド樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリアセタール樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリオレフィン系樹脂等、熱可塑性を有するものであれば特に制限はない。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る複合成形体の成形システムは、組紐成形技術と温間加圧成型技術とを組み合せたことで、炭素繊維と熱可塑性樹脂との密着性が向上するとともに、成形体の形状等、その成形自由度が高い。
例えば、一方向炭素繊維にて強化された熱可塑性樹脂複合化テープを多層に重ね合せた組紐成形体(筒状素材)であっても、その後の温間加圧成形により、その重ね部が一体化し、強度の向上を図ることができる。
また、熱可塑性樹脂は再加熱により軟化又は溶融させ、いろいろな形状に成型し、その後に冷却することで用途に応じた複合成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は組紐成形機(ブレーディングマシン)を模式的に示し、(b)は心棒(マンドレル)の例を示す。
図2】複合成形体の成形例を示す。
図3】複合成形体の成形時にフランジ部を形成する例を(a)~(c)に示す。
図4】試作した複合成形体の曲げ強度試験の状態を示す。
図5】曲げ強度試験結果を示す。
図6】筒状素材の内側に隔壁を有する例を(a)はスピンドルの動き、(b)は組織成形体の断面を示す。
図7】隔壁付角パイプ状の筒状素材を用いた成形例を(a)~(d)に示す。
図8】フランジ付隔壁角パイプ状の筒状素材を用いた成形例を(a)~(c)に示す。
図9】曲線ビーム部材の成形例を(a),(b)に示す。
図10】中立糸を有する組紐成形体(筒状素材)の例を示す。
図11】試験サンプルの成形条件を示す。
図12】四点曲げ試験機の例を示す。
図13】(a)は平均曲げ応力、(b)は平均ヤング率を示す。
図14】中立糸と強度(a)、ヤング率(b)の関係を示す。
図15】弾性挿入部材の分割例を示す。
図16】試験結果を示す。
図17】比較試験サンプル形状を示す。(a)はCFRP、(b)はSPCCを示す。
図18】CFRP(a)とSPCC(b)との曲げ試験結果を示す。
【符号の説明】
【0014】
11 心棒(マンドリル)
12 スピンドル(ボビン)
13 複合化テープ(UDテープ)
14 筒状素材(組紐成形体)
15 耐熱性チューブ
16 弾性挿入部材
17 金型
18 温調機
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る複合成形体の成形システム及び製造方法の例を以下、図に基づいて説明するが、本発明は本実施例に限定されない。
【0016】
図1に組紐成形の原理を示す。
一方向炭素繊維に熱可塑性樹脂として、ポリアミド樹脂を含浸させた複合化テープ(UDテープ)13を巻き付けたボビンを複数のスピンドル12に取り付ける。
心棒(マンドレル)11に複合化テープを上記スピンドルの自転と公転により巻くことで組紐が得られる。
UDテープは厚みが約0.1mmで、幅が3~10mm程度のものが入手しやすく、これらを複層にすることで厚みが1~3mmの組紐からなる筒状素材14が得られる。
UDテープとしては炭素繊維含有率Vf=55%のものを用いた。
心棒11は、図1(b)に示すように突き合せ面が相互にテーパー状になっている半割形状の心材11a,11bに分割してあると、組紐を成形した後に抜きとるのが容易になる。
【0017】
組紐成形により得られた筒状素材を用いて複合成形体にする例を図2に示す。
本明細書では、筒状素材を組紐成形で得られたことを明確にすべく、必要に応じて組紐成形体と表現することもある。
本実施例においては、心棒11にシリコンゴムからなる耐熱性チューブ15を予め被覆した状態で、外周面にUDテープを用いて組紐にした。
筒状素材14の内側に耐熱性チューブ15を残したまま心棒11を抜き取り、これを所定の長さに切断した後に、図2に示すように金型17の内側に投入した。
さらに、筒状素材14の内側に棒状のシリコンゴムからなる弾性挿入部材16を挿入する。
金型17は、加熱ヒーター等の温調機18にて熱可塑性樹脂が溶融状態になる温度まで加熱する。
この状態で弾性挿入部材16の端部(上端)を加圧すると、シリコンゴムからなる弾性挿入部材(中子)の側面が外側に向けて膨らみ変形するので、筒状素材14に内圧が加わり、金型17のキャビティ形状に合致するように変形し、その後に内圧を加えながら冷却することで複合成形体が得られる。
この際に金型17は断面円形形状に限定されるものではなく、例えば図3に示すように金型17a,17bにて矩形形状のキャビティを形成することもできる。
また、図3に示すようにフランジ部15a,15bを同時に成形することも可能である。
この場合に本発明は、熱可塑性樹脂を用いたので一旦、筒状の複合成形体を得た後に、再度加熱溶融し、矩形形状やフランジ部を成型及び冷却してもよい。
【0018】
図4に示すように外径30mm,内径28mmのパイプ形状の複合形成体Pを試作し、3点曲げ試験を行った。
その結果を図5の表に示す。
試作品3本の平均値で、長手方向ヤング率31.5GPa,曲げ強度46.7MPaの値であった。
この値は、本発明者らの調査によると、ポリアミド樹脂母材のCFRPの値に近いものであった。
【0019】
本発明に用いる筒状素材は、円筒状に限定されるものではなく、図6(b)に示すように内側に1つ又は複数の隔壁を設けた複数の中空部を有する製品を製造することもできる。
これらの組紐の成形方法については、非特許文献2に記載されている。
このような組紐成形方法と本発明に係る熱可塑性樹脂の複合化技術とを組み合せることで、いろいろな複合成形体が得られる。
例えば図7は組紐成形体(筒状素材)として中空部に隔壁を有する隔壁付角状パイプ形状に成形したものを金型17a,17bの間に投入し、中空部にシリコンゴムからなる弾性挿入部材16a,16aを挿入し、この弾性挿入部材16a,16aの両端部を軸方向に加圧しながら金型成形した。
また、弾性挿入部材に内圧をかけた状態にて冷却した後に製品を取り出す。
この場合に金型成形する際に、組紐成形体の両側に重なり部が形成されるように、フランジ部1a,1bが一体成形された複合成形体Pが得られる。
図8は、組紐成形体Pに予めフランジ部2a,2bを形成したものを金型17a,17b内に投入及び弾性挿入部材16a,16aにて内圧を加えながら金型成形することで、フランジ部が一重の複合成形体Pを得る例を示す。
図9(a)は、組紐成形体を曲線形状の筒状素材に成形することで、その後に曲げ形状の複合成形体を得る例を示し、図9(b)は筒状の組紐成形体を曲げ形状のキャビティを有する金型内に投入し、弾性挿入部材で内圧を加えながらフランジ部付のビーム状の曲線複合体を成形する例を示す。
【0020】
次に組紐成形にて組紐成形体を得る際に、図10に示すように一方向炭素繊維14a,14bをマンドレル軸に対して所定の組角度θにて巻き揃えたものに対して、マンドレル軸と平行な中立糸14cを加えた組紐成形体を試作評価した。
図11に試験サンプルの作成条件を示す。
試験サンプルの長さは200mmとした。
表中R[%]は、組紐成形体中の全炭素繊維に対する中立糸の体積含有割合を示す。
得られた試験サンプルを図12に示すような四点曲げ試験機にて、サンプルB-1~B-3を用いて加圧時の内圧に対する曲げ応力とヤング率を評価した。
サンプルB-1は弾性挿入部材による組紐成形体が加わる内圧が1.5MPa、同様にB-2は3MPa,B-3は6MPaである。
この結果、図13に示すように内圧は1.5MPa以上が好ましいことが明らかになった。
図14に内圧3MPaで中立糸の本数を変えた、4本:A-1,8本:B-2,16本:C-1のサンプルを比較した結果を示す。
図14(a)に示した中立糸の本数と平均曲げ強度との関係では、中立糸が4本のサンプルA-1よりも中立糸の本数が多いB-2,C-1の方が曲げ応力がやや低下していたものの、図14(b)の平均Rと平均ヤング率の関係では中立糸の多い方がヤング率(弾性率)が増加していた。
【0021】
次に、弾性挿入部材を複数の弾性子に分割して、内圧を加えた試験評価を行った。
図15図12の一体的な弾性挿入部材16に対して、複数の弾性子116a~116dに分割挿入した例を示す。
本試験では、組紐成形体200mmに対して長さ50mmの弾性子を積み重ねるように挿入し、内圧3MPaを加えた。
その結果を図16に示す。
これにより弾性挿入部材を分割した方が、複合成形体の強度が向上した。
【0022】
次に、図17に示すように本発明に係る複合成形体とSPCC材で製作したものを作成し、比較評価した。
図17(a)は、本発明に係る複合成形体CFRPであり、図17(a)中に示した数字の単位はmmである。
CFRPの一般肉厚2.6mm,フランジ部肉厚5.2mmである。
一方SPCCは、形状寸法CFRPと同じで、一般肉厚1.2mm,フランジ部肉厚2.4mm,ピッチ40mm単位でスポット溶接してある。
3点曲げ試験結果を図18(a),(b)に示す。
この結果重量は、CFRP:180g,SPCC:440gであって、曲げ試験最大荷重CFRP:10kN,SPCC:4kNであった。
このことから、CFRPはSPCCに対して約40%の重量であるのに、曲げ荷重は2.5倍であることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る複合成形体は、高強度でありながら成形自由度が高く、各種分野の構造部材に適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18