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特許7133894データに基づくインタラクティブ3Dエクスペリエンス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】データに基づくインタラクティブ3Dエクスペリエンス
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220902BHJP
   G06F 30/15 20200101ALI20220902BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220902BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/15
G06F30/20
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015245380
(22)【出願日】2015-12-16
(65)【公開番号】P2016146169
(43)【公開日】2016-08-12
【審査請求日】2018-12-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】14/574,843
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512293770
【氏名又は名称】ダッソー システムズ シムリア コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ヤコブス マリア ファン デル ベルデン
【合議体】
【審判長】五十嵐 努
【審判官】樫本 剛
【審判官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-162898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096900(US,A1)
【文献】特開2010-76536(JP,A)
【文献】Anand P. Deshmukh et al.,”Design of nonlinear dynamic systems using surrogate models of derivative functions”,Proceedings of IDETC/CIE 2013,2013.8.4,p.1-11
【文献】Wenbo Du et al.,”Value-driven design and sensitivity analysis of hybrid energy systems using surrogate modeling”,Proceedings of 2014 International Conference on Renewable Energy Research and Applications,2014.10.19,p395-400
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
G06F 30/15
G06F 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを生成するコンピュータ実施方法であって、
コンピュータが、
現実世界のシステムを表すモデルを定義することであって、前記モデルは、振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含むことと、
前記パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験を実行し、かつ、前記設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行することであって、前記第1および第2の実験を実行することは、前記パラメトリック状態ベクトルおよび前記設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成することと、
前記パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数を含むように前記パラメトリック状態ベクトルと前記設計変数ベクトルとを含む生成された前記データセットを修正することと、
前記修正されたデータセット内の前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に関して前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を近似するサロゲート微分方程式のセットを含む方程式のシステムを構築することであって、前記サロゲート微分方程式のセットは、前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を、前記修正されたデータセット内で前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に応じて表現し、前記構築することは、前記サロゲート微分方程式のセットを含む方程式の前記構築されたシステムをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納することを含むことと、
前記モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリから前記サロゲートモデルを応答可能に提供することであって、前記サロゲートモデルを提供することは、前記サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む前記設計変数ベクトルの所与の値に対する前記サロゲート微分方程式を解くことと
を含む方法。
【請求項2】
前記サロゲート微分方程式のセットを含む方程式のシステムを構築することは、
前記サロゲート微分方程式の1または複数の候補セットを反復して構築することであって、前記サロゲート微分方程式のセットは、少なくとも前記データセットのサブセットに対する最小エラーを伴う前記セットとして前記1または複数の候補セットから選択されることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数を含むように前記データセットを修正することは、前記データセットから時間を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2の実験は、
物理的実験、および、
数値高忠実度実験
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記定義されたモデルは、
離散事象、および、
境界条件のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記定義されたモデルの次元数を低減すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記定義されたモデルの次元数を低減することは、
主成分分析、
k-最近傍法、および、
部分空間学習
のうちの少なくとも1つを採用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記サロゲートモデルをファンクショナルモックアップインターフェイス(FMI)にエクスポートすること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記サロゲートモデルをハードウェアシステムに採用することであって、前記ハードウェアシステムは、飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置(ECU)を含むこと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
記修正されたデータセット内の前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に関して前記パラメトリック状態ベクトルの前記高次導関数を近似するサロゲート微分方程式の前記セットを含む方程式のシステムを構築することは
放射基底関数、
ニューラルネットワーク、
チェビシェフの多項式、
応答曲面法、
多項式応答曲面法、および
サポートベクトルマシ
うちの少なくとも1つを使用す
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記サロゲートモデルを構築することは、
検証データセットについて、前記サロゲートモデルの分散およびバイアスエラーを最小化するために前記サロゲートモデルの技法設定を最適化すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを生成するシステムであって、
現実世界のシステムを表すモデルを定義するように構成されたモデル定義モジュールであって、前記モデルは、振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含むモデル定義モジュールと、
前記モデル定義モジュールに動作可能に結合され、前記パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験、および、前記設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行するように構成される実験モジュールであって、前記第1および第2の実験は、前記パラメトリック状態ベクトルおよび前記設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成する実験モジュールと、
前記実験モジュールから前記データセットを受信して、前記パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数を含むように前記パラメトリック状態ベクトルと前記設計変数ベクトルとを含む前記生成されたデータセットを修正するように構成されたデータセットモジュールと、
前記修正されたデータセット内の前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に関して前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を近似するサロゲート微分方程式のセットを含む方程式のシステムを構築するように構成されたサロゲートモジュールであって、前記サロゲート微分方程式のセットは、前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を、前記修正されたデータセット内で前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に応じて表現し、前記構築することは、前記サロゲート微分方程式のセットを含む方程式の前記構築されたシステムをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納することを含む、サロゲートモジュールと、
前記モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリから前記サロゲートモデルを応答可能に提供するように構成されたインタラクションモジュールであって、前記サロゲートモデルを提供することは、前記サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む前記設計変数ベクトルの所与の値に対する前記サロゲート微分方程式を解く、インタラクションモジュールと
を備えたシステム。
【請求項13】
前記サロゲートモジュールが、
記サロゲート微分方程式の1または複数の候補セットを反復して構築することであって、前記サロゲート微分方程式のセットは、少なくとも前記データセットのサブセットに対する最小エラーを伴う前記セットとして前記1または複数の候補セットから選択されること
によって、前記サロゲート微分方程式のセットを含む方程式のシステム
構築するように構成された請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記データセットモジュールが、前記パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数を含むように前記データセットを修正することにおいて、前記データセットから時間を除去するように構成された請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1および第2の実験は、
物理的実験、および、
数値高忠実度実験
のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記定義されたモデルは、
離散事象、および、
境界条件のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記モデル定義モジュールが、前記定義されたモデルの次元数を低減するように構成された請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記モデル定義モジュールが、
主成分分析、
k-最近傍法、および、
部分空間学習
のうちの少なくとも1つを採用することによって、前記定義されたモデルの次元数を低減するように構成された請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記サロゲートモデルをファンクショナルモックアップインターフェイス(FMI)にエクスポートするように構成されたエクスポートモジュール
をさらに備えた請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置(ECU)のうちの少なくとも1つに組み入れられる、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記サロゲートモデルが、
放射基底関数、
ニューラルネットワーク、
チェビシェフの多項式、
応答曲面法、
多項式応答曲面法、および、
サポートベクトルマシ
うちの少なくとも1つを使用することによって、前記修正されたデータセット内の前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に関して、前記パラメトリック状態ベクトルの前記高次導関数を近似するサロゲート微分方程式の前記セットを含む方程式のシステムを構築するように構成している、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
1または複数のクライアントとのネットワークにわたる通信においてサーバによって実行されるコンピュータプログラムであって、
プログラム命令を備えたコンピュータ可読媒体を備え、前記プログラム命令はプロセッサに実行されると、
現実世界のシステムを表すモデルを定義することであって、前記モデルは、振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含むことと、
前記パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験を実行し、かつ、前記設計変数ベクトルに対して第2の実験を実行することであって、前記第1および第2の実験を実行することは、前記パラメトリック状態ベクトルおよび前記設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成することと、
前記パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数を含むように前記パラメトリック状態ベクトルと前記設計変数ベクトルとを含む前記データセットを修正することと、
前記修正されたデータセット内の前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に関して前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を近似するサロゲート微分方程式のセットを含む方程式のシステムを構築することであって、前記サロゲート微分方程式のセットは、前記パラメトリック状態ベクトルの高次導関数を、前記修正されたデータセット内で前記パラメトリック状態ベクトルの前記1または複数の導関数に応じて表現し、前記構築することは、前記サロゲート微分方程式のセットを含む方程式の前記構築されたシステムをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納することを含むことと、
前記モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリから前記サロゲートモデルを応答可能に提供することであって、前記サロゲートモデルを提供することは、前記サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む前記設計変数ベクトルの所与の値に対する前記サロゲート微分方程式を解くことを含むことと
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、コンピュータプログラムおよびシステムの分野に関し、具体的には製品設計およびシミュレーションの分野に関する。本発明の実施形態はまた、ビデオゲーム、エンジニアリングシステム設計、協調意志決定、およびたとえば映画のようなエンターテイメントに採用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
いくつかの既存の製品およびシミュレーションシステムが、パーツまたはパーツのアセンブリの設計およびシミュレーション向けに市場に提供されている。そのようなシステムは通常、コンピュータ支援設計(CAD)および/またはコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)プログラムを採用する。これらのシステムは、ユーザが、オブジェクトまたはオブジェクトのアセンブリの複合3次元モデルの構築、操作、およびシミュレーションを行うことができるようにする。したがって、これらのCADおよびCAEシステムは、エッジまたは辺、特定の場合には面を使用してモデル化されたオブジェクトの表現を提供する。辺、エッジ、面、またはポリゴンは、たとえば非一様有理Bスプライン(NURBS)のような、さまざまな方法で表現されうる。
【0003】
これらのCADシステムは、モデル化されたオブジェクトのパーツまたはパーツのアセンブリを管理するが、これらは主として形状の仕様である。特に、CADファイルは仕様を含み、その仕様からジオメトリが生成される。ジオメトリから、表現が生成される。仕様、ジオメトリ、および表現は、単一のCADファイルまたは複数のCADファイルに格納されてもよい。CADシステムは、モデル化されたオブジェクトを設計者に表現するためのグラフィックツールを含み、これらのツールは、複合オブジェクトの表示に専用である。たとえば、アセンブリは、数千のパーツを含むことができる。CADシステムは、オブジェクトのモデルを管理するために使用されてもよく、これらは電子ファイルに格納される。
【0004】
CADおよびCAEシステムの出現は、オブジェクトの広範な表現の可能性を実現させることができる。1つのそのような表現は、有限要素解析(FEA)モデルである。FEAモデル、有限要素モデル(FEM)、有限要素メッシュ、およびメッシュという用語は、本明細書において同義的に使用される。FEMは通常、CADモデルを表現し、したがって、1または複数のパーツ、またはアセンブリ全体を表現することができる。FEMは、メッシュと称されるグリッドを構成するために相互に連結されるノードと呼ばれる点のシステムである。FEMは、FEMが基礎となるオブジェクトまたはそれが表すオブジェクトのプロパティを有するようにプログラムされてもよい。FEMまたは他のそのような、当技術分野において知られているオブジェクト表現が、そのような方法でプログラムされる場合、これはそれが表現するオブジェクトのシミュレーションを実行するために使用されてもよい。たとえば、FEMは、車両の内部空間、構造体を取り巻く音響流体、および任意の数の現実世界のオブジェクトを表現するために使用されてもよい。さらに、CADおよびCAEシステムはFEMと共に、エンジニアリングシステムをシミュレートするために利用されてもよい。たとえば、CAEシステムは、車両のノイズおよび振動をシミュレートするために採用されてもよい。
【0005】
しかし、そのような既存のシミュレーション方法にも、欠点がないわけではない。内容が参照により本明細書に援用される、http://www.3ds.com/products-services/simulia/overview/において入手可能な非特許文献1、および非特許文献2において説明されているような、現実的な試験的および多数の実験は、多大な時間を要し、実行するために膨大な専門的知識を必要とする。そのようなシミュレーション/実験からの典型的な結果は、ビデオ、イメージ、またはグラフの形態で提供される。非特許文献3において提示されている調査のような、行動学的調査は、リアルタイムの実験を通じて得られることを示している。アクションが短時間間隔で直接の結果を生じる場合、「エクスペリエンス」が得られる。長期的な結果を有するアクションは、小規模なグループの人々に対する「エクスペリエンス」しかもたらさない。同様に、対話性が全くない(つまり、実験/シミュレーションを交換する機会がない)場合、ほとんどエクスペリエンスは得られない。したがって、たとえば、イメージを通じて科学的な結果を提示する専門家の現在のパラダイムは、オーディエンスのエクスペリエンスを増大させるための手段としては有効ではない。
【0006】
既存のシミュレーション/実験に関するもう1つの問題は、非特許文献2におけるように、シミュレーション自体を実行し、次いで結果を再使用するために要する時間であり、このことは非特許文献4において説明されている。そのような時間を浪費するシミュレーションは、数百万もの検証実験を必要とするシステム検証または最適化には使用され得ない。そのようなシステム研究を行うために、現在の現実的なシミュレーションツール(たとえば、非線形有限要素解析)よりも、少なくとも3桁から4桁も高速な技法が必要となる。
【0007】
シミュレーション/実験のユーザ「エクスペリエンス」を高めるための試みが行われてきたが、既存の技法では不十分である。特許文献5において説明されているような、広範に使用される一連の作業は、特許文献2において説明されているシミュレーションされた振る舞いを作り出すための多数のモデルを使用する実験、および/または特許文献4において説明されている実験的試験に関して使用可能である。これらの実験/シミュレーションは、多くの場合、応答曲面法、チェビシェフの多項式、クリギング、または放射基底関数のような技法を使用して補間される。これらの方法は、固定入力、1次元(1D)、パラメータのセットと、固定出力、1D、出力パラメータのセットとの間の正確な伝達関数を作り出す。1次元データは、極めて抽象的であり、抽象的情報は、オーディエンスのエクスペリエンスを増大させるための効率的な手段ではない。そのような方法は、シミュレーションの状態空間を縮小することに基づいている。そのような例において、完全3D計算(すなわち、メッシュ)モデルが先見的に知られているが、知られている振る舞いのモデルへの良好な適合を維持しつつ、モデルの複雑さと解決時間が短縮されている。これは通常、特許文献6において説明されている主成分分析のような技法を通じて、自由度を低減すること(たとえば、数百万のメッシュノードから数十のパラメータへ)により行われる。
【0008】
近年、適正な直交分解によるシロビッチの「スナップショット法」を使用してフィールドデータの特殊補間を作成する取り組みが行われた。この方法は、エクスペリエンスの抽象性を減じる(基底)フィールドの小規模なセットの(線形)関数として、2次元(2D)または3D(フィールド)データを複製する。しかし、この方法は、所与のモデルの時系列シミュレーションの圧縮にしか適しておらず、したがって、シナリオの一部としてモデルの変動を考慮することはない。加えて、個々のセンサーデータ(フィールド内の場所)の予測値は、フィールド全体を近似する際のトレードオフにより、あまり正確ではない。
【0009】
http://www.scai.fi-aunhofer.delgeschaeftsfelderinumerische-software/produkte/femzip.html?&L=1において入手可能な、特許文献7において説明されているような、シミュレーションフィールドデータの圧縮のための既存のツールがある。これらのツールは、(シロビッチにより説明される)基底フィールドが表示のために計算される速度を向上させる。そのようなツールはまた、より広い配布を可能にするためにデータストレージ要件を軽減するであろう。しかし、単独では、これらのツールは、幅広いオーディエンスに「エクスペリエンス」を生成するために、シナリオおよびモデルが「オンザフライ」で変更されうるようにはしない。
【0010】
もう1つの既存の方法は、パラメータ推定に依拠するが、これはKleinにおいて説明されている。そのような方法の実行においては、微分方程式が知られているが、方程式の定数の一部は知られていない。たとえば航空機力学の場合、未知の空気力学導関数は、モーションの操作の既知のセットに対する飛行データと航空機モデルデータとの間のエラーを最小化することにより見出されうる。
【0011】
特許文献8
【0012】
たとえば、クラインの方程式(31)は、以下のとおりである。
次いで、調和運動について
【0013】
【数1】
【0014】
ここでは、項CLα、CLq
【0015】
【数2】
【0016】
、およびkは、t、C、q、α、
【0017】
【数3】
【0018】
の実験データに基づいて式に合わせて較正または適合されることになる。
【0019】
多くの新規の製品設計シミュレーションに対して、モーションの方程式は、本明細書において示される航空機の方程式ほどよく知られてはいない。したがって、多くのシミュレーションは、上記で説明される方法に依拠することはできない。パラメータ推定に依拠する方法は、パラメトリック状態の数を、高階数学的サロゲートについて管理可能であるレベルまで減じるので、Jolliffeにおいて論じられる手法に補完的である。
【0020】
本発明の実施形態は、上記において説明されるような既存の実験/シミュレーション技法の問題を克服する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【文献】Numerical Models to Create Simulated Behavior
【文献】Helm、Experimental Techniques
【文献】Kahneman、Thinking Fast and Slow
【文献】Numerical Models to Create Simulated Behavior and Experimental Techniques
【文献】Box et al.、Statistic for Experimenters:Design,Innovation,and Discovery
【文献】Jolliffe I.T.、Principal Component Analysis、Series:Springer Series in Statistics、2nd ed.、Springer、NY
【文献】Sirovich、Turbulence and the Dynamics of Cocherent Structures I-Ill and Fraunhofer
【文献】Klein V. ”Aerodynamic Parameters of High Performance Aircraft Estimated from Wind Tunnel and Flight Test Data”、NASA-98-AGARD
【文献】Van der Velden et al.、”Probabilistic Certificate of Correctness for Cyber Physical Systems、”ASME 2012 international Design Engineering Technical Conferences & Computers and Information in Engineering Conference、August 12-15、Chicago、IL、USA、DETC2012-70135
【文献】Hardy、”Multiquadratic equations of topography and other irregular surfaces”、J.Geophysics Res.76、1905-15(1971)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の実施形態は、インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを構築するための方法およびシステムを提供する。少なくとも1つの実施形態によれば、インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを生成するための方法は、現実世界のシステムを表すモデルを定義するステップによって開始し、モデルは振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含む。そのような方法は、パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験(シミュレーション、分析など)を実行するステップと、設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行するステップとをさらに含む。第1および第2の実験は、パラメトリック状態ベクトルおよび設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成する。方法は、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数でデータセットを修正するステップによって続行し、次いで、データセット内のパラメトリック状態ベクトルに関してパラメトリック状態ベクトルの高次導関数を近似するサロゲート微分方程式のセットを構築する。そのような実施形態において、構築するステップは、サロゲート微分方程式のセットをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納するステップを含む。そのような方法は、モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する(accelerating)方法で、メモリからサロゲートモデルを応答可能に提供することにより、インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用される。これは、サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む設計変数ベクトルの所与の値に対するサロゲート微分方程式を解くことによって実施されてもよい。
【0023】
方法の代替的実施形態において、サロゲート微分方程式のセットを構築するステップは、サロゲート微分方程式の1または複数の候補セットを反復して構築するステップと、サロゲートモデルとして格納されるべき1または複数の候補セットからサロゲート微分方程式のセットを選択するステップとを備え、選択されるセットは、データセットの少なくともサブセットに対する最小交差検証エラーを伴うセットである。そのような実施形態において、データセットのサブセットは、本明細書において検証データセットと称されてもよい。もう1つの実施形態によれば、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正するステップは、データセットから時間を除去するステップを含む。さらにもう1つの実施形態において、第1および第2の実験は、物理的実験および数値高忠実度実験のうちの少なくとも1つである。もう1つの実施形態は、定義済みモデルの次元数を低減するステップをさらに備えることができる。そのような実施形態において、定義済みモデルの次元数を低減するステップは、主成分分析、k-最近傍法、および部分空間学習のうちの少なくとも1つを採用する。
【0024】
さらに、さらなるもう1つの実施形態において、定義済みモデルは、離散事象および境界条件のうちの少なくとも1つを含む。方法の実施態様は、サロゲートモデルをファンクショナルモックアップインターフェイスにエクスポートするステップをさらに備えることができる。さらになお、実施形態は、サロゲートモデルをハードウェアシステムに採用することができ、ハードウェアシステムは飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置である。
【0025】
本明細書において説明される原理に従って実行される、本発明の1つの実施形態によれば、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数は、放射基底関数、ニューラルネットワーク、チェビシェフの多項式、応答曲面法、多項式応答曲面法、任意項回帰(arbitrary term regression)、サポートベクトルマシン、および空間マッピングのうちの少なくとも1つを使用することによって近似されてもよい。本発明の方法によれば、サロゲートモデルを構築するステップは、分散およびバイアスエラーを低減するためにサロゲートモデルを最適化するステップをさらに含む。
【0026】
本発明の代替的実施形態は、インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを生成するためのシステムを対象とする。そのようなシステムは、現実世界のシステムを表すモデルを定義するように構成されたモデル定義モジュールを備え、定義済みモデルは、振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含む。本発明の実施形態によれば、システムは、モデル定義モジュールに動作可能に結合され、パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験、および設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行するように構成される実験モジュールをさらに含む。実験は、パラメトリック状態ベクトルおよび設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成する。実施形態において、システムは、実験モジュールからデータセットを受信して、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正するように構成されたデータセットモジュールをさらに含む。サロゲートモジュールは、システムにさらに含まれ、サロゲートモジュールは、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数をデータセット内のそれに関して近似するサロゲート微分方程式のセットを構築するように構成される。さらに、サロゲートモジュールは、サロゲート微分方程式のセットをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納することができる。システムは、ユーザインタラクションに応答してモデルのシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリからサロゲートモデルを応答可能に提供するように構成されたインタラクションモジュールをさらに含む。前記サロゲートモデルを提供するステップは、サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む設計変数ベクトルの所与の値に対するサロゲート微分方程式を解く。
【0027】
システムの実施形態によれば、サロゲートモジュールは、サロゲート微分方程式の1または複数の候補セットを反復して構築することによって、サロゲート微分方程式のセットを構築するように構成される。そのような実施形態において、サロゲートモデルとして格納されるサロゲート微分方程式のセットは、少なくともデータセットのサブセットに対する最小交差検証エラーを伴うセットとして1または複数の候補セットから選択される。実施形態において、データセットモジュールは、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正するように構成される。さらにもう1つの実施形態において、第1および第2の実験は、物理的実験および数値高忠実度実験のうちの少なくとも1つである。システムのさらなるもう1つの実施形態において、定義済みモデルは、離散事象および境界条件のうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
さらに、定義済みモデルが高忠実度の高次元数値モデルである実施形態において、モデル定義モジュールは、定義済みモデルの次元数を低減するようにさらに構成される。そのような実施形態において、モデル定義モジュールは、主成分分析、k-最近傍法、および部分空間学習のうちの少なくとも1つを採用することによって、定義済みモデルの次元数を低減するように構成されてもよい。システムの代替的実施形態は、サロゲートモデルをファンクショナルモックアップインターフェイスにエクスポートするように構成されたエクスポートモジュールをさらに備える。さらにもう1つの実施形態において、システムは、飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置に組み入れられる。
【0029】
サロゲートモジュールは、放射基底関数、ニューラルネットワーク、チェビシェフの多項式、応答曲面法、多項式応答曲面法、任意項回帰、サポートベクトルマシン、および空間マッピングのうちの少なくとも1つを使用してパラメトリック状態ベクトルの高次導関数を近似するように構成されてもよい。
【0030】
本発明のもう1つの実施形態は、サロゲートモデルを生成するためのクラウドコンピューティング実施を対象とする。そのような実施形態は、1または複数のクライアントとのネットワークにわたる通信においてサーバによって実行されるコンピュータプログラム製品を対象とし、コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体を備える。コンピュータ可読媒体は、プロセッサに実行されるとき、現実世界のシステムを表すモデルを定義させ、モデルは振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含み、パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験を実行させ、設計変数ベクトルに対して第2の実験を実行させ、第1および第2の実験を実行させることは、パラメトリック状態ベクトルおよび設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成し、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正させ、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数をデータセット内のそれに関して近似するサロゲート微分方程式のセットを構築させ、方程式のセットを構築させることは、サロゲート微分方程式のセットをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納することを含み、モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリからサロゲートモデルを応答可能に提供させ、サロゲートモデルを提供させることは、サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む設計変数ベクトルの所与の値に対するサロゲート微分方程式を解くことを含む、プログラム命令を備える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
前述の内容は、さまざまな図表全体を通じて類似した参照符号が同じ部分を指す添付の図面に示されているように本発明の例示的な実施形態のさらに詳細な以下の説明から明らかとなろう。図面は、必ずしも一定の縮尺では示されていないが、本発明の実施形態を説明することに重点が置かれている。
図1】本発明の実施形態によるインタラクティブ3Dエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを構築するための方法を示す流れ図である。
図2】本発明の原理を実施する翼フラッタのNコードシミュレーションにおいて使用されるさまざまなコンポーネントを示す図である。
図3】実施形態の原理を利用して決定される制御システム作動中のフラップのCFDフローフィールドを示す図である。
図4】本発明の実施形態において採用されうる、航空機のCADモデル、ならびに迎え角および制御サーボ角を説明する関連するグラフを示す図である。
図5】時間の関数としてシミュレートされる翼ピッチを示すグラフである。
図6】例示的実施形態により決定される2階常微分方程式を表す線形サロゲートモデルの検証を示す図である。
図7】例示的実施形態により決定される非線形2階常微分方程式を表す線形サロゲートモデルの検証を示す図である。
図8】実施形態の原理によるサロゲートモデルを生成する方法を示す流れ図である。
図9】コントローラオフの4階RSMおよび4.8秒および33HzにおけるコントローラオンのRBFで近似される、実施形態の原理により決定される翼ピッチおよび翼垂直変位を示す図である。
図10】コントローラオフの4階RSMおよび3.1秒および42HzにおけるコントローラオンのRBFで近似される、翼フラッタのNコードシミュレーションからの時系列を示すグラフである。
図11a】本発明の原理によるサロゲートモデルを生成するための方法を示す流れ図である。
図11b図11aに示されるサロゲートモデルを生成するための方法の続きを示す図である。
図12】シミュレーションにおいて本発明の原理を採用するための方法を示す流れ図である。
図13】実施形態の原理による3Dエクスペリエンスのサロゲートモデルを生成するためのシステムを示す簡略化ブロック図である。
図14】本発明の実施形態が実施されうるコンピュータネットワーク環境を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これ以降、本発明の例示的実施形態の説明が続く。
【0033】
すべての特許の教示、公開された出願、および本明細書において引用される文献は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
本発明の実施形態は、シミュレーション/インタラクティブ3Dエクスペリエンスの前述の制限を克服する。本発明の1つのそのような実施形態は、数学的サロゲートを使用して現実的な振る舞いのシミュレーションを促進することによって、ほぼリアルタイムのエクスペリエンスを作り出すための方法を対象とする。これらのサロゲートモデルは、物理テストデータまたは高忠実度シミュレーションデータに基づく。高忠実度Nコード(FEA、計算流体力学(CFD)、または論理)協調シミュレーションは、振る舞い予測のリアルタイム秒ごとにCPU時間の1時間にも相当する時間を要することもある。本発明の実施形態は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムのアプリケーションに使用されるべく十分な速さになるよう、このプロセスを何桁も高速化する。これは、それを、インタラクティブ設計、多くの専門分野にわたる最適化、およびサイバーフィジカルシステムの検証のための実践的技術にする。これらのサロゲートモデルは、ファンクショナルモックアップユニットとしてラップされてもよく、システムシミュレーションツールへの配備および/またはハードウェアへの組込みが行われてもよい。FMUは、http://www.functional-mockup-interface.org/index.htmlにおいて説明されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0035】
実施形態は、最初に、物理または数値モデルに物理または数値高忠実度実験を実行し、関心対象の振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルPの経時的な応答(たとえば、時間、P)を観察することによって、現実的な振る舞いのモデル化を促進する。このモデルは、離散事象(たとえば、コントローラのオン/オフ)、ならびに道路励振のような強制境界条件を含むことができる。あるいは、そのような実験を実行する前に、実施形態は、最初に、主成分分析、または類似する技法を使用して、高忠実度の、高次元数値モデルの次元数を管理可能なパラメータの数(たとえば、約100)まで低減することができる。続いて、実験を実行した後、そのような実施形態は次に、この実験を、関心対象のモデル設計変数ベクトルvについて構造化された(たとえば、実験の設計)、または構造化されていない方法で反復して、初期条件p(time=0)の所与のセットについて(time、v、p)の関数としてデータセットを生成する。
【0036】
方法は、データセットを結合し、後退微分方式を使用して状態変数をそれぞれ時間に関して微分し、次いでデータセットから時間を除去することによって続行し、
【0037】
【数4】
【0038】
をもたらす。次いで、低次導関数のサロゲート関数としての高次導関数
【0039】
【数5】
【0040】
は、放射基底関数、ニューラルネットワーク、チェビシェフの多項式、および応答曲面法のような技法を、
【0041】
【数6】
【0042】
の完全セットの一部であるトレーニングセットにわたる項低減と共に使用して近似される。正しい予測サロゲートが選択され、その技法設定は、その分散およびバイアスエラーを低減するように最適化され、トレーニングに使用されないデータセットの部分で検証される。このようにして、サロゲートモデルを形成する。実施形態はまた、所与の値vについてtime=0からp(t)を数値前進積分し、初期条件p(time=0)および
【0043】
【数7】
【0044】
を与えることができる。状態ベクトルおよび設計値のこれらの初期条件は、元の時系列の実験のものと同じであるように制限されることはない。このモデルは、次には、FMUにエクスポートされ、ほぼリアルタイムで現実的な振る舞いをシミュレートするように3Dモデリングソフトウェアに直接採用されてもよい。あるいは、これは、飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置(ECU)のようなハードウェアに直接使用されてもよい。
【0045】
図1は、インタラクティブエクスペリエンスにおいて使用するサロゲートモデルを生成するための方法100を示す流れ図である。方法100は、現実世界のシステムを表すモデルを定義することによって開始する(101)。定義済みモデルは、振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含む。たとえば、パラメトリック状態ベクトルは、オブジェクトの位置および回転の角度(およびそれらの導関数)を含むことができ、設計変数ベクトルは、オブジェクトの質量および力(およびその方向)を備えることができる。ステップ101において定義されるモデルは、現実世界のシステムを表すことができ、その例については本明細書において後段で説明される。さらに、モデルは、たとえばCADシステムの使用を通じてなど、当技術分野において知られている原理に従って定義されてもよい。方法100は、パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験を実行し、設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行することによって続行する(102)。例示的な実験は、さまざまな質量、力、および力の方向についてパラメトリック状態の時系列を記録することを含む。実行102は、パラメトリック状態ベクトルおよび設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成する。実験102を実行した後、方法100は次に、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正する(103)。実施形態によれば、ステップ103は、有限差分法を使用して、時間ステップから直接計算されるパラメトリック状態ベクトルおよび時間ステップにおける状態ベクトル値の1または複数の導関数を決定するステップを含む。次に、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数をデータセット内のそれに関して近似するサロゲート微分方程式のセットが構築される(104)。方法100のコンピュータ実施の実施形態において、サロゲート微分方程式のセットを構築するステップ104は、サロゲート微分方程式のセットをサロゲートモデルとしてメモリに動作可能に格納するステップを備える。方法100は、モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリからサロゲートモデルを応答可能に提供するステップによって終了する(105)。サロゲートモデルを提供するステップ105において、サロゲート微分方程式は、サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む設計変数ベクトルの所与の値に対して解かれる。サロゲートモデルを提供するこのステップ105は、したがって、改良されたユーザエクスペリエンスを提供する。
【0046】
方法100の実施形態によれば、サロゲート微分方程式のセットを構築するステップ104は、サロゲート微分方程式の1または複数の候補セットを反復して構築し、次いで、データセットの少なくともサブセットに対する最小交差検証エラーを伴う1または複数の候補セットからセットとしてサロゲートモデルとして格納されているサロゲート微分方程式のセットを選択することによって実行されてもよい。方程式構築を実行する際に使用されるデータセットのこのサブセットは、検証データセットと見なされてもよい。方法100のさらにもう1つの実施形態によれば、データセットを修正するステップ103は、データセットから時間を除去するステップを含むことができる。さらにもう1つの実施形態において、方法100のステップ102において実行される第1および第2の実験は、物理的実験および/または数値高忠実度実験である。
【0047】
方法100のさらにもう1つの実施形態において、定義済みモデルは、離散事象および境界条件をさらに含む。定義済みモデルが高忠実度の高次元数値モデルである実施形態において、方法100は、定義済みモデルの次元数を低減するステップをさらに備えることができる。そのような実施形態によれば、次元数は、たとえば、主成分分析、k-最近傍法、および/または部分空間学習を採用することによって、当技術分野において知られている原理に従って低減されてもよい。
【0048】
方法100はまた、サロゲートモデルをファンクショナルモックアップインターフェイスにエクスポートするステップを含むことができる。代替的実施態様において、方法100は、飛行シミュレータまたは自動車電子制御装置のような、ハードウェアシステムに採用される。方法100の実施形態において、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数は、放射基底関数、ニューラルネットワーク、チェビシェフの多項式、応答曲面法、多項式応答曲面法、任意項回帰、サポートベクトルマシン、および空間マッピングのうちの少なくとも1つを使用してステップ104において決定される。さらにもう1つの実施形態において、ステップ104においてサロゲートモデルを構築するステップは、分散およびバイアスエラーを低減するためにサロゲートモデルを最適化するステップをさらに含む。
【0049】
図2は、本発明の原理に従って実行される、インタラクティブエクスペリエンスが基づきうる個々の応答時系列データを作成するための方法210の概略を示す図である。後段において説明され、図2において示される例は、内容が参照により本明細書に組み入れられる非特許文献9において説明されるような4コードCFD-FEA-論理組み込みソース協調シミュレーションのデータセットを採用する。これらのデータベースは、いずれもモデル抽象化211から生じる常微分方程式/1次元データセット213aおよび偏微分方程式/3Dデータセット213b、ならびに計算のモデル212から生じる連続時間データセット214aおよび離散時間データセット214bを含む。データベース213a、213b、214a、および214bは、非限定的な一例として、Dymola216a、Abaqus/CFD216b、Abaqus/Standard216c、およびControlBuild216dを含むことができるドメインシミュレーションソフトウェア215によって処理される。これらのデータセット213a、213b、214a、および214bは、本明細書において説明される原理に従ってインタラクティブに解決されうるモデルに変換されてもよい。図2に示される概要は、図3に示される有限要素モデル321についての、陰影付けによって示される、CFDフローフィールド320のデータをユーザに提供することができる。そのような例において、フローフィールドは、制御システムの作動中に部分的に分離されたフラップにナビエ-ストークスを採用することによって決定されてもよい。
【0050】
図4は、翼430を備えるグライダー431を示す。翼430は、フラッタと呼ばれるねじれおよび垂直方向変位のリミットサイクル運動を呈する。所与の時間tにおいて、翼430の後縁フラップを動かすアクティブフラッタ制御システムが導入される。このシステムは、フラップ機構を作動させるために、センサー、組込み型ソフトウェア、および電気モーターで構成される。本明細書において説明される例示の方法は、翼430のフラッタをモデル化するインタラクティブエクスペリエンスを提供する。翼430上の所与の翼長方向の場所について、制御ソフトウェア作動433、および迎え角434を指示する、制御サーボ角432のような、高いアスペクト比データが、翼430の状態に対して提供される。その他のデータは、垂直方向変位を含むことができる。
【0051】
図5は、時間の関数として翼ピッチαを示すグラフ540である。グラフ540は、フリーリミットサイクル運動の高忠実度協調シミュレーション(フラッタ抑止作動なし)により時間の関数としてシミュレートされるような翼ピッチを表すデータ541を含む。完全協調シミュレーションデータ541は、良好な精度をもたらすが生成には著しく時間を浪費して計算処理上高価となりうる、既存のバッチ処理方法を使用して決定されるデータを表す。したがって、本発明の実施形態は、完全協調シミュレーションデータ541を近似するサロゲートを計算する。
【0052】
翼ピッチデータα、および垂直変位データzから開始し、実施形態は、続いて後退数値ステップを使用してデータセットを微分し、状態パラメータおよびそれらの時間導関数のデータのセット
【0053】
【数8】
【0054】
をもたらす。次に、時間はパラメータとして除去され、連立方程式(system of equations)が、協調シミュレーションデータの部分を使用して状態ベクトル(α,z)の関数としてαおよびzの高次導関数およびその低次導関数を表すために、サロゲートFに基づいて作成される。残りのデータは、サロゲートを検証するために確保される。結果として得られる連立方程式は、以下に示される。
【0055】
【数9】
【0056】
引き続き、FおよびFは、よく知られているスプリングダンパーモデルを表す2階線形常微分方程式を得るための線形回帰サロゲートモデルとして表されてもよい。このスプリングダンパーモデルは、これが翼フラッタに適切なモデル形式であるという予備知識なくして導かれることに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は、システムを表すための適切なモデルの予備知識を必要としない。この例のデータを使用して導かれた2階線形常微分方程式の例は、以下に示される。
【0057】
【数10】
【0058】
2階微分方程式を表す、結果として得られる1階サロゲートモデルは、図5の破線542によって示される。図5に示されるように、2階モデルは、完全協調シミュレーションデータ541と類似する周波数を有するが、振幅は全く異なる。グラフ540は、1階サロゲートで近似された翼フラッタNコードシミュレーションを表すデータ542、および4階サロゲートを表すデータ543をさらに含む。同様に、フラッタ制御システムの所与の帯域幅wに対する時間の関数として、翼垂直変位zの図がある。そのようなデータは、図5において示されるデータと同様に表されうる。
【0059】
本発明の実施形態は、前述の除外されているデータによりモデルを検証することによって、そのようなエラーのソースをさらに決定することができる。そのような評価は、実際の
【0060】
【数11】
【0061】
データと線形サロゲートから構築された2階ODEによって予測されるものとの間に大きいエラーがあることを指示する。このエラーは図6に示され、ここでグラフ650は
【0062】
【数12】
【0063】
データを示し、線652がモデルの完全な検証を表し、データポイント653が除外された実際のデータを示す。この検証から、線形サロゲートがリミットサイクル協調シミュレーションへの良好な近似ではないことが演繹的に知られる。これは、高角度における翼フロー分離の非線形に起因しうる。図6は、グラフ651において、
【0064】
【数13】
【0065】
近似が極めて良好であることをさらに示す。線654が予測される
【0066】
【数14】
【0067】
データである場合、データポイント655は、以前除外された残りのデータポイントである。
【0068】
このエラーを訂正するために、実施形態は、サロゲートモデルを2階モデルから4階モデルに切替え、4階モデルを使用して検証を繰り返すことができる。この検証の結果は図7において示され、ここで
【0069】
【数15】
【0070】
データおよび
【0071】
【数16】
【0072】
データはそれぞれ、グラフ760および761によって示されている。グラフ760および761はいずれも、予測されたデータ762および764が、対応するデータポイント763および765と極めて良好に一致することを示している。この階モデルの結果は、元の協調シミュレーション振る舞い結果541と一致するドットポイント543によって図5において示され、良好に外挿する。したがって、そのような実施形態は、完全協調シミュレーションデータの使用による計算上のコストを生じることなくインタラクティブエクスペリエンスに使用されうるサロゲートモデルを展開してきた。
【0073】
そのような方法の実施態様は図8に示され、ここで図7に示される検証モデルが、事象time=Task.controller_on_timeまでリミットサイクルモーションに対して方法870において使用される。方法870は、選択されたパラメータの値のシーケンスを、この場合は、タスクプロセス872のコンポーネントであるコントローラオン時間874まで、反復するループ871を備える。ループ871の各反復において、タスクプロセス872は、時間が、コントローラオフ時間873よりも小さく、コントローラがオフであることを示すか、またはコントローラオン時間874よりも大きく、コントローラがオンであることを指示するかどうかを識別する。時間がコントローラオン時間よりも小さい、つまりコントローラがオフである場合873、上記で説明される4階サロゲートが、プロセス875においてαおよびzを計算するために使用される。上記で説明されるFおよびFを備える連立方程式のインタラクティブモデル876は、連立方程式に異なる入力を使用して
【0074】
【数17】
【0075】
および
【0076】
【数18】
【0077】
を計算するために、システム870に採用されてもよい。
【0078】
本発明の実施形態は、設計変数の効果をさらに導入することができる。上記で説明される例において、これは、w=20、25、33、50、および100Hzの帯域幅を備えるサンプル、ならびにtime=controller_on_timeにおいてフラップを作動するデジタルコントローラを追加することによって行われる。データセット
【0079】
【数19】
【0080】
をもたらす。次いで、上記で説明されるプロセスは、このデータセットで反復されて、time=controller_on_timeにおいて作動される新しいサロゲートモデルを作成する。そのような実施形態において、4階RMS方法は機能しない。しかし、特許文献10において説明されるように、RMS方法を放射基底関数サロゲート方法に置換えることにより。
【0081】
この修正されたサロゲートモデルの結果は図9において示され、ここでグラフ980はα対時間、およびグラフ981はz対時間を示す。グラフにおいて、より淡く陰影付けされた線982および984は、完全協調シミュレーション結果を表し、より濃い線983および985は、コントローラオフの4階RSM、および4.8秒および33HzにおけるコントローラオンのRBF986で近似されたαおよびzを示す。
【0082】
上記で説明されるのは、トレーニングデータを使用する本発明の原理によるサロゲートモデルを構築するための方法である。しかし、本発明の実施形態は、それほど限定されてはおらず、構築されるサロゲートモデルは、ユーザによって提供されるデータのような、その他のデータを使用して、シミュレーション/インタラクティブエクスペリエンスに使用されてもよい。そのような実施形態において、翼システムの振る舞いは、異なるシステム帯域幅、異なるシステムコントローラオン時間、および異なる初期条件を伴うサロゲートモデルを使用することによって決定されてもよい。図10は、異なるデータによる、コントローラオフの4階RSM、および3.1秒および42HzにおけるコントローラオンのRBFで近似される、システム原理の検証を示す。グラフ1090は、前述の条件の下の
【0083】
【数20】
【0084】
対時間の応答を示す。グラフの部分1091は、図10においてさらに拡大されて、コントローラがオンにされ1092、RBFシミュレーション技法が採用される1094場合の応答のさらなる詳細を示す。グラフ1090は、サロゲートデータ1095が、完全協調シミュレーションデータ1093に密接に沿っていることを指示する。
【0085】
図10の拡大された領域1091で観察されうるように、数値積分エラー(オイラー法の時間ステップ)および時系列間のオフセットに至る可能性のある近似エラーにより、時間の経過に伴って一部の状態エラーが累加する。コントローラが、3.1sにおいてオンにされると、完全協調シミュレーションは、フラップ偏向により非常に高いピッチ加速度
【0086】
【数21】
【0087】
(-120rad/s)への滑らかな移行を生み出す。しかし、サロゲートは、単一の時間ステップでコントローラオフ(0Hz)から42Hzへとジャンプし、そのため半径方向加速度にステップを作り出す。しかし、そのポイントからはサロゲートによって予測される加速度は滑らかであるが、デジタルコントローラによる完全協調シミュレーションは、ピッチ加速度に高頻度の離散的修正を有する。しかし、これは実践的なアプリケーションに対しては容認可能なエラーである。そのような実施形態は、リアルタイムのインタラクティブエクスペリエンスにおいて採用する正確なリアルタイム(サロゲート)モデルを提供する。たとえば、サロゲートモデルは、システムが不安定になった場合に、帯域幅または作動時間/条件があるかどうかを決定するために使用されうる。さらにもう1つの実施形態において、サロゲートモデルは、シミュレーションループの大気条件に起因する迎え角の変動のような、時間依存の境界条件を追加することによって、さらに機能強化される。
【0088】
上記において紹介され、図11aおよび図11bに関連してさらに説明されるように、本発明の実施形態は、システムをシミュレートする物理的微分方程式の知識を必要とはしない。必要なのは、データセットが関連性のある状態/設計ベクトルを含むことのみである。そのような関連性のあるベクトルが含まれない場合、方法は、高い交差検証エラーをもたらし、したがってモデルに関連ベクトルデータが不足していることを通知する。そのような方法は、いずれもモデル形式(ベクトルの方程式)が事前に定義されなければならないことを必要とするカルマンフィルタリングおよびパラメータ推定のような、既存の技法より優位にある。実施形態によれば、サロゲートモデルを構築するために、モデル形式は、検証データセットに対する最小交差検証エラーを伴うサロゲート微分方程式モデルとして反復方法を通じて構築され識別される。そのような方法は、図11aおよび図11bに関連して本明細書において後段で説明される。
【0089】
図11aおよび図11bは、本発明の実施形態によるサロゲートモデルを構築するための方法1100(図11aの1100aおよび図11bの1100bに分割)を示す。方法1100は、オーサリングを開始し1101、3Dシステムセンサー位置におけるシステム設計変数v、システム内部状態p、関心対象のシステム状態q、およびシステム境界条件bをメモリ領域に定義する(1102)。次に、時間系列実験が実行され、結果として得られるシステム内部状態結果pおよび関心対象のシステム状態qが、min<v<maxの範囲、および時間t=0からt=tまでの初期条件状態qt=0、pt=0にわたるvの値について決定される(1103)。方法1100は、設計変数および時間t対状態変数のデータ行を連結することによって続行し、row=v,t,p,q,bをもたらす(1104)。データ行を生成した後、タイムスタンプtは、すべての関連する状態pおよび境界条件b時間導関数を計算するために使用され、次いで時間はデータセット内でパラメータとして除去されて、結果としてrow=v、p、p’、p”、...q、q’、q”、...b、b’、b”が得られ、ここでX’=dx/dt、x”=dx/dtである(1105)。プロセス1105を実行した後、データ行rowは、トレーニングデータセットおよび検証データセットにランダムに割り当てられる(1106)。この後、関心対象の状態p、p’、p”の時間導関数について、iは、たとえば、i=0から3までの間反復される(1107)。方法1100において、iは、後段において説明されるテスト1109に従って反復される。各反復ごとに、関数Fは、多項式またはその他の回帰技法のようなサロゲート技術を使用して構築され、i=0である場合、q=F(v,p,p’,p”,...b,b’,b”...)、i=1である場合、q’=F(v,p,p’,p”,...b,b’,b”...)、i=2である場合、q”=F(v,p,p’,p”,...b,b’,b”)の式がもたらされる(1108)。各関数Fが、サロゲート技術を使用して作成された後(1108)、これは、ステップ1103からの検証セットを減算した予測されるデータのq、q’、q”がεよりも大きいかどうかを決定するためにテストされ1109、ここでεは、たとえばモデルの完全検証を表す線652と実際のデータポイント653との差のような、モデル検証エラーである。q、q’、q”(予測-検証セット)がεよりも大きい場合、方法1100は終了する1111。しかし、q、q’、q”(予測-検証セット)がεよりも小さい場合、iは増分され1110、方法はプロセス1107に戻って続行する。
【0090】
図12は、方法1100、または本明細書において説明される任意の方法を、インタラクティブエクスペリエンスにおいて採用するための方法1220を示す。方法1220は、ランタイムエクスペリエンスを介して開始し1221、次いで、図11aおよび図11bに関連して説明されるサロゲート微分方程式Fのような方程式が、time=0における変数値kでの新しい初期条件mで、およびメモリ領域に格納される新しい時間依存境界条件または事象b(時間)で、状態pおよびqについてオフラインで解かれる(1222)。プロセス1222は、後処理のために、解の時系列をメモリ領域(time、v、t、p、q、b)に格納することによって続行する。次に、リアルタイム使用は、デジタルモックアップまたはハードウェアシミュレータの状態pおよびqを、time=0における変数kの新しい初期条件m、ならびに境界条件または事象値bにより駆動することによって開始する(1223)。方法1220は、プロセスの時点1224におけるユーザ、コントローラ、またはコンテキスト値のような、新しい事象値bの導入にさらに対応する。方法1220は、新しい事象値bが受信されるかどうかを監視し1225、受信される場合、リアルタイムで、方程式を解き、クロックと同期するtime=time+dtに時間を進める(1226)。新しい事象値が1225において検出されない場合、p、q、およびbは、ユーザのリアルタイムエクスペリエンスを作り出すために、時間tにおいてデジタルモックアップまたはハードウェアシミュレータの状態を更新するために使用される(1227)。
【0091】
図13は、本発明の実施形態によるサロゲートモデルを生成するために使用されうるコンピュータベースのシステム1330を示す簡略化されたブロック図である。システム1330は、バス1335を備える。バス1335は、システム1330のさまざまなコンポーネント間の相互接続としての役割を果たす。バス1335に接続されているのは、キーボード、マウス、ディスプレイ、スピーカーなどのようなさまざまな入力および出力デバイスをシステム1330に接続するための入出力デバイスインターフェイス1338である。中央演算処理装置(CPU)1332は、バス1335に接続され、コンピュータ命令の実行を提供する。メモリ1337は、コンピュータ命令を実行するために使用されるデータの揮発性ストレージを提供する。ストレージ1336は、オペレーティングシステム(図示せず)のような、ソフトウェア命令の不揮発性ストレージを提供する。システム1330はまた、ワイドエリアネットワーク(WAN)およびローカルエリアネットワーク(LAN)を含む、当技術分野において知られている任意のさまざまなネットワークに接続するためのネットワークインターフェイス1331を備える。
【0092】
モデル定義モジュール1333モジュールは、バス1335にさらに接続される。モデル定義モジュール1333は、現実世界のシステムを表すモデルを定義するように構成され、定義されるモデルは振る舞いを表すパラメトリック状態ベクトルと、設計変数ベクトルとを含む。
【0093】
実験モジュール1334は、バス1335を介して、モデル定義モジュール1333に動作可能に結合され、パラメトリック状態ベクトルの経時的な応答を決定するための第1の実験、および設計変数ベクトルに対する第2の実験を実行するように構成される。システム1330のそのような実施形態において、第1および第2の実験は、パラメトリック状態ベクトルおよび設計変数ベクトルのデータセットを時間の関数として生成する。システム1330は、実験モジュール1334からデータセットを受信して、パラメトリック状態ベクトルの1または複数の導関数によりデータセットを修正するように構成されるデータセットモジュール1341をさらに含む。バス1335に接続されるのは、パラメトリック状態ベクトルの高次導関数をデータセットモジュール1341によって決定されたデータセット内のそれに関して近似するサロゲート微分方程式のセットを構築するように構成されるサロゲートモジュール1339である。サロゲートモジュール1339によるこの構築するステップは、サロゲート微分方程式のセットをサロゲートモデルとして、メモリ1337またはストレージデバイス1336に動作可能に格納するステップを含む。システム1330に動作可能に結合されるのは、モデルとのユーザインタラクションに応答してシミュレートされる振る舞いを促進する方法で、メモリ1337またはストレージ1336からサロゲートモデルを応答可能に提供するように構成されるインタラクションモジュール1340である。サロゲートモデルを提供するこのステップは、サロゲートモデルの状態ベクトルを時間の関数として解く時系列を使用することを含む設計変数ベクトルの所与の値に対するサロゲート微分方程式を解く。
【0094】
実施形態において、促進されたシミュレートされる振る舞いは、通常のシミュレーション技法と比較して、促進されるものと見なされうる。さらに、促進されたシミュレートされる振る舞いは、たとえば、シミュレーションが翼フラッタの効果を、現実世界において生じるであろうそのようなフラッタよりも速い速度で示しうるなど、現実世界の事象と比較して、促進または減速(decelerated)されてもよい。
【0095】
本明細書において説明される例示的な実施形態は、多くの異なる方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。場合によっては、本明細書において説明されるさまざまな方法およびマシンは、各々、コンピュータシステム1330のような、物理、仮想、もしくはハイブリッド汎用コンピュータ、または図14に関して本明細書において後段で説明される、コンピュータ環境1400のようなコンピュータネットワーク環境によって実施されてもよい。コンピュータシステム1330は、たとえば、ソフトウェア命令をCPU1332により実行するためにメモリ1337または不揮発性ストレージ1336のいずれかにロードすることによって、本明細書において説明される方法を実行するマシンに変えられてもよい。さらに、モデル定義モジュール1333、実験モジュール1334、データセットモジュール1341、サロゲートモジュール1339、およびインタラクションモジュール1340は、例示的な実施形態において、別個のモジュールとして示されているが、これらのモジュールはさまざまな構成を使用して実施されてもよい。当業者は、システム1330およびそのさまざまなコンポーネントが、本明細書において説明される本発明の任意の実施形態を実行するように構成されうることを、さらに理解されたい。
【0096】
図14は、本発明の実施形態が実施されうるコンピュータネットワーク環境1400を示す。コンピュータネットワーク環境1400において、サーバ1401は、通信ネットワーク1402を通じてクライアント1403a~1403nにリンクされる。環境1400は、クライアント1403a~1403nが、単独で、またはサーバ1401との組合せで、本明細書において説明される方法のいずれかを実行できるようにするために使用されてもよい。
【0097】
その実施形態または態様は、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアの形態において実施されてもよい。ソフトウェアにおいて実施される場合、ソフトウェアは、プロセッサがソフトウェアまたはその命令のサブセットをロードできるように構成される任意の非一時的コンピュータ可読媒体上に格納されてもよい。次いで、プロセッサは、命令を実行し、本明細書において説明される方法で、動作するか、または装置に動作させるように構成される。
【0098】
さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、または命令は、データプロセッサの特定のアクションおよび/または機能を実行するものとして本明細書において説明されてもよい。しかし、本明細書に含まれるそのような説明は、便宜上のものにすぎず、実際にそのようなアクションが、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはその他のデバイスによりもたらされることを理解されたい。
【0099】
流れ図、ブロック図、およびネットワーク図は、異なって配置されるかまたは異なって表される、より多くまたはより少ない要素を含むことができることを理解されたい。しかし、特定の実施態様が、ブロックおよびネットワーク図を指示することができ、実施形態の実行を説明するブロックおよびネットワークの数が特定の方法で実施されてもよいことをさらに理解されたい。
【0100】
したがって、さらなる実施形態はまた、さまざまなコンピュータアーキテクチャ、物理、仮想、クラウドコンピュータ、および/またはその一部の組合せにおいて実施されてもよく、したがって、本明細書において説明されるデータプロセッサは、例示のみを目的とし、実施形態を限定するものではないことが意図される。
【0101】
本発明は、その例示的な実施形態を参照して詳細に示され、説明されたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細のさまざまな変更がそこに行われてもよいことが、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13
図14