(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】関節運動継手用中心位置合わせ機構を有するアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2018029596
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2021-02-19
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビアズリー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-198480(JP,A)
【文献】特開2015-205170(JP,A)
【文献】特開2009-034491(JP,A)
【文献】特開2017-140379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手組立体であって、
第1の長手方向軸を画定して
いる近位継手ハウジングであって、前記近位継手ハウジングの遠位部分に位置付けられた第1のヒンジを含む
近位継手ハウジングと、
前記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつ
前記第1の長手方向軸に交差している第1の枢軸の周りで前記第1のヒンジに枢動可能に連結された第1のリングと、
第1のカバー部分及び第2のカバー部分を有する継手カバーであって、前記第1のカバー部分が、前記第1の枢軸及び前記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつ
前記第1の枢軸及び前記第1の長手方向軸に交差している第2の枢軸の周りで前記第1のヒンジに枢動可能に連結されており、前記第1及び第2の枢軸が、第1の継手中心部で前記第1の長手方向軸に交差している、継手カバーと、
第3の枢軸の周りで前記継手カバーの前記第2のカバー部分に枢動可能に連結された第2のリングと、
前記第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りで前記第2のリングに枢動可能に連結された第2のヒンジであって、前記第3及び第4の枢軸が、前記第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差しており、前記継手カバーのカバー軸が、前記第1及び第2の継手中心部間に画定されている、第2のヒンジと、
前記カバー軸が前記第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって前記継手カバーを付勢するように、前記第1のリング及び前記継手カバーと係合された付勢機構と
を備え
、前記第2のヒンジの整列構成において、第2の長手方向軸が、前記カバー軸及び前記第1の長手方向軸と整列しており、前記第2の長手方向軸が、前記第2の継手中心部を通過しており、かつ前記第2のヒンジの前記中心部を通して延在しており、前記継手組立体の第1の関節運動構成において、前記第2の長手方向軸が、前記継手カバーが前記整列構成にある状態で、前記カバー軸に対して関節運動し、前記継手組立体の第2の関節運動構成において、前記第2の長手方向軸が、前記カバー軸に対して関節運動し、前記カバー軸が、前記第1の長手方向軸に対して関節運動し、前記付勢機構が、前記第2の長手方向軸が前記カバー軸に対して関節運動の最大角度にまで関節運動するまで、前記継手組立体を前記第1の関節運動構成に維持するように構成されている、継手組立体。
【請求項2】
前記付勢機構が、一対の内側付勢バーと、一対の外側付勢バーと、を含み、前記一対の内側付勢バーが、前記継手カバーの近位部分と係合されており、前記一対の外側付勢バーが、前記第1のリングと係合されている、請求項1に記載の継手組立体。
【請求項3】
前記一対の内側及び外側付勢バーの前記内側及び外側付勢バーの各々が、長手方向に延在しており、かつ前記第1の長手方向軸に対して平行な方向に並進可能である、請求項2に記載の継手組立体。
【請求項4】
前記付勢機構は、少なくとも1つのプランジャをさらに備え、各プランジャは、シャフトがそれぞれの付勢部材のコイル内に受容されるように、遠位板及び前記板から近位に延在している前記シャフトを含み、前記遠位板は、前記それぞれの付勢部材の遠位部分と係合され、前記一対の内側及び外側付勢バーの前記内側及び外側付勢バーの各々
は、前記それぞれの付勢部材が前記第1のヒンジを通して
前記内側及び外側付勢バーの各々のそれぞれの1つを押動するように構成されるように、前記少なくとも1つのプランジャのうちのそれぞれの1つの前記遠位板と係合される遠位部分を含む、請求項3に記載の継手組立体。
【請求項5】
前記関節運動の最大角度が、15°~45°の範囲にある、請求項
1に記載の継手組立体。
【請求項6】
第1の駆動シャフトであって、前記第1の駆動シャフトが前記第1の長手方向軸に沿ったその回転軸で回転可能であるように、前記第1のヒンジ
内に延在している第1の駆動シャフトと、
第1の本体部分及び第2の本体部分を有する継手本体であって、
前記第1の本体部分が前記第1の長手方向軸に沿ったその回転軸で回転可能であり、かつ、一対のヒンジピンによって画定された軸に沿ったその枢軸で枢動可能であるように、前記第1の本体部分が、前記第1のカバー部分内に回転可能に配設されており、かつ前記第1の駆動シャフトに回転可能かつ枢動可能に連結されており、前記第2の本体部分が、前記第2のカバー部分内に回転可能に配設された、継手本体と、
第2の駆動シャフトであって、前記第2の駆動シャフトが遠位駆動軸(D-D)に沿ったその回転軸で回転可能であるように、前記第2のヒンジ
内に延在して
おり、前記第2の本体部分が前記遠位駆動軸(D-D)に沿ったその回転軸で回転可能であり、かつ、一対のハウジングピンによって画定された軸に沿ったその枢軸で枢動可能であるように、前記第2の駆動シャフトが、前記第2の本体部分に回転可能かつ枢動可能に連結されている、第2の駆動シャフトと
をさらに備える、請求項1に記載の継手組立体。
【請求項7】
前記第1の駆動シャフトの駆動球が、前記第1の本体部分内に配設されている、請求項
6に記載の継手組立体。
【請求項8】
前記駆動球が、前記第1の長手方向軸に対して直交した中心チャネルと、前記第1の長手方向軸と整列しており、かつ前記中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットと、を画定している、請求項
7に記載の継手組立体。
【請求項9】
前記中心チャネル内に配設されて
いる中心ピンであって、前記中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定している
中心ピンと、
前記継手本体が前記第1の長手方向軸に沿ったその回転軸で回転可能であるように、前記継手本体を前記第1の駆動シャフトに回転可能に連結するように、前記ピン開口及び前記アーチ状スロット内に配設されたシャフトピンと
をさらに備える、請求項
8に記載の継手組立体。
【請求項10】
前記アーチ状スロット及び前記シャフトピンが、前記第1の駆動シャフトと前記継手本体との間の関節運動を制限するように協働する、請求項
9に記載の継手組立体。
【請求項11】
前記第2の駆動シャフトが、受信機をさらに含み、
前記受信機が前記遠位駆動軸(D-D)に沿ったその回転軸で回転可能であるように、前記受信機が、前記第2のカバー部分内に回転可能に配設されており、かつ前記第2の本体部分を受容している、請求項
6に記載の継手組立体。
【請求項12】
前記継手カバーが、前記第1及び第2の継手中心部を通過するカバー軸を画定しており、前記第2の本体部分が、前記カバー軸に対して直交した中心チャネルと、前記カバー軸と整列しており、かつ前記中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットと、を画定している、請求項
11に記載の継手組立体。
【請求項13】
前記継手本体が、前記カバー軸に沿っ
たその回転軸で回転可能である、請求項
12に記載の継手組立体。
【請求項14】
前記中心チャネル内に配設されて
いる中心ピンであって、前記中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定している
中心ピンと、
前記継手本体が前記遠位駆動軸(D-D)に沿ったその回転軸で回転可能であるように、前記継手本体を前記第2の駆動シャフトに回転可能に連結するように、前記ピン開口及び前記アーチ状スロット内に配設されたシャフトピンと
をさらに備える、請求項
12に記載の継手組立体。
【請求項15】
前記アーチ状スロット及び前記シャフトピンが、前記継手本体と前記第2の駆動シャフトとの間の関節運動を制限するように協働する、請求項
14に記載の継手組立体。
【請求項16】
アダプタであって、
ハンドルに連結するように構成された近位部分と、
前記近位部分から延在しており、かつ第1の長手方向軸を画定している、細長い部分と、
前記細長い部分により支持されており、かつ工具組立体を前記ハンドルに解放可能に連結するように構成された遠位部分であって、前記遠位部分が、
前記第1の長手方向軸に沿って配設されており、かつ前記細長い部分の遠位端に位置付けられた第1のヒンジと、
前記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれに交差している第1の枢軸の周りで前記第1のヒンジに枢動可能に連結された第1のリングと、
第1のカバー部分及び第2のカバー部分を有する継手カバーであって、前記第1のカバー部分が、前記第1の枢軸及び前記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれらに交差している第2の枢軸の周りで前記第1のヒンジに枢動可能に連結され、前記第1及び第2の枢軸が、第1の継手中心部で第1の長手方向軸に交差している、継手カバーと、
第3の枢軸の周りで前記継手カバーの前記第2のカバー部分に枢動可能に連結された第2のリングと、
前記第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りで前記第2のリングに枢動可能に連結された第2のヒンジであって、前記第3及び第4の枢軸が、前記第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差しており、前記継手カバーのカバー軸が、前記第1及び第2の継手中心部間に画定されている、第2のヒンジと、
前記カバー軸が前記第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって前記継手カバーを付勢するように、前記第1のリング及び前記継手カバーと係合された付勢機構と
を有する
継手組立体
を含む、遠位部分と
を備え
、前記第2のヒンジの整列構成において、第2の長手方向軸が、前記カバー軸及び前記第1の長手方向軸と整列しており、前記第2の長手方向軸が、前記第2の継手中心部を通過しており、かつ前記第2のヒンジの前記中心部を通して延在しており、前記継手組立体の第1の関節運動構成において、前記第2の長手方向軸が、前記継手カバーが前記整列構成にある状態で、前記カバー軸に対して関節運動し、前記継手組立体の第2の関節運動構成において、前記第2の長手方向軸が、前記カバー軸に対して関節運動し、前記カバー軸が、前記第1の長手方向軸に対して関節運動し、前記付勢機構が、前記第2の長手方向軸が前記カバー軸に対して関節運動の最大角度にまで関節運動するまで、前記継手組立体を前記第1の関節運動構成に維持するように構成されている、アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、外科手術器具に関し、より具体的には、外科手術器具の関節運動継手用中心位置合わせ機構を含むアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の外科手術器具の製造業者は、外科手術器具を動作及び/または操作するための専用の電動駆動システムによる製品ラインを開発してきた。多くの例において、外科手術器具は、再利用可能な電動ハンドル組立体、及び使用前の電動ハンドル組立体に選択的に接続され、次に、廃棄するためか、またはいくつかの例においては再利用のために再殺菌処理するために、使用後に電動ハンドルから接続解除される、廃棄可能なエンドエフェクタまたは同様のものを含む。
【0003】
概して、既存の外科手術器具のアダプタは、並進し、ハンドル組立体から電子機械的にもしくは手動で、エンドエフェクタに電力を送達する。アダプタは、アダプタの長手方向軸に対してエンドエフェクタを関節運動させるための関節運動継手または複数の継手を支持し得る。外科手術部位へのアクセス可能性を改善するために、関節運動継手は、アダプタの長手方向軸に対する種々の軸の周りでエンドエフェクタを関節運動させるように構成され得、エンドエフェクタに対する所望の関節運動角度を達成するための複数の継手または自在継手を含み得る。
【0004】
関節運動継手が関節運動の複数の軸を含む場合、エンドエフェクタを関節運動させるために力を加えたときに、エンドエフェクタが複数の軸の周りで同時に関節運動するため、関節運動の程度を正確に制御することは困難である可能性がある。加えて、外科手術器具の作動中に、互いに対する継手の位置は、ハンドルとエンドエフェクタとの間に加えられ、かつ継手を通過する力に応答して変化する可能性がある。外科手術器具の作動中に継手の位置を維持するために、複数の軸の周りで関節運動するようにエンドエフェクタを支持するアダプタの関節運動機構の正確性を増す必要が継続的にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様において、継手組立体は、近位継手ハウジングと、第1のヒンジと、第1のリングと、継手カバーと、第2のリングと、第2のヒンジと、付勢機構とを含む。近位継手ハウジングは、第1の長手方向軸を画定し、近位継手ハウジングの遠位部分に位置付けられた第1のヒンジを含む。第1のリングは、第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれに交差している第1の枢軸の周りで第1のヒンジに枢動可能に連結されている。継手カバーは、第1及び第2のカバー部分を有する。第1のカバー部分は、第1の枢軸及び第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれらに交差している第2の枢軸の周りで第1のヒンジに枢動可能に連結されている。第1及び第2の枢軸は、第1の継手中心部で第1の長手方向軸に交差している。第2のリングは、第3の枢軸の周りで継手カバーの第2のカバー部分に枢動可能に連結されている。第2のヒンジは、第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りの第2のリングに枢動可能に連結されている。第3及び第4の枢軸は、第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差している。継手カバーのカバー軸は、第1及び第2の継手中心部間に画定されている。付勢機構は、カバー軸が第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって継手カバーを付勢するように、第1のリング及び継手カバーと係合されている。
【0006】
態様において、付勢機構は、一対の内側付勢バー及び一対の外側付勢バーを含む。一対の内側付勢バーは、継手カバーの近位部分と係合され得、一対の外側付勢バーは、第1のリングと係合され得る。一対の内側及び外側付勢バーの内側及び外側付勢バーの各々は、長手方向に延在し得、第1の長手方向軸に対して平行な方向に並進可能であり得る。一対の内側及び外側付勢バーの内側及び外側付勢バーの各々は、第1のヒンジ全体を通して関連付けられた付勢バーを促すように構成されたそれぞれの付勢部材と動作可能に関連付けられ得る。
【0007】
いくつかの態様において、第2のヒンジの整列構成では、第2の長手方向軸は、カバー軸及び第1の長手方向軸と整列している。第2の長手方向軸は、第2の継手中心部を通過し得、第2のヒンジの中心を通して延在している。継手組立体の第1の関節運動構成において、第2の長手方向軸は、継手カバーが整列構成にある状態で、カバー軸に対して関節運動し得る。継手組立体の第2の関節運動構成において、第2の長手方向軸は、カバー軸に対して関節運動し得、カバー軸は、第1の長手方向軸に対して関節運動し得る。付勢機構は、第2の長手方向軸がカバー軸に対する関節運動の最大角度にまで関節運動するまで、継手組立体を第1の関節運動構成に維持するように構成され得る。関節運動の最大角度は、約15°~約45°の範囲にあり得る。
【0008】
一定の態様において、継手組立体は、第1の駆動シャフトと、継手本体と、第2の駆動シャフトとを含む。第1の駆動シャフトは、第1のヒンジを通して延在し得る。継手本体は、第1及び第2の本体部分を有し得る。第1の本体部分は、第1のカバー部分内に回転可能に配設され得、第1の駆動シャフトに回転可能かつ枢動可能に連結され得る。第2の本体部分は、第2のカバー部分内に回転可能に配設され得る。第2の駆動シャフトは、第2のヒンジを通して延在し得る。第2の駆動シャフトは、第2の本体部分に回転可能かつ枢動可能に連結され得る。第1の駆動シャフトは、第1の本体部分内に配設された駆動球を含み得る。第1の駆動シャフトは、第1の長手方向軸に沿って回転可能に配設され得る。駆動球は、第1の長手方向軸に対して直交した中心チャネルと、第1の長手方向軸と整列しており、かつ中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットとを画定し得る。
【0009】
特定の態様において、継手組立体は、中心ピン及びシャフトピンを含む。中心ピンは、中心チャネル内に配設され得、中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定し得る。シャフトピンは、継手本体を第1の駆動シャフトに回転可能に連結するように、ピン開口及びアーチ状スロット内に配設され得る。アーチ状スロット及びシャフトピンは、第1の駆動シャフトと継手本体との間の関節運動を制限するように協働し得る。
【0010】
態様において、第2の駆動シャフトは、受信機をさらに含む。受信機は、第2のカバー部分内に回転可能に配設され得、第2の本体部分を受容し得る。継手カバーは、第1及び第2の継手中心部を通過するカバー軸を画定し得る。第2の本体部分は、カバー軸に対して直交した中心チャネルと、カバー軸と整列しており、かつ中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットとを画定し得る。継手本体は、カバー軸に沿って回転可能であり得る。
【0011】
いくつかの態様において、継手組立体は、中心ピン及びシャフトピンを含む。中心ピンは、中心チャネル内に配設され得、中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定し得る。シャフトピンは、継手本体を第2の駆動シャフトに回転可能に連結するように、ピン開口及びアーチ状スロット内に配設され得る。アーチ状スロット及びシャフトピンは、継手本体と第2の駆動シャフトとの間の関節運動を制限するように協働し得る。
【0012】
本開示の別の態様において、アダプタは、近位部分、細長い部分、及び遠位部分を含む。近位部分は、ハンドルに連結するように構成されている。細長い部分は、近位部分から延在しており、第1の長手方向軸を画定している。遠位部分は、細長い部分により支持されており、工具組立体をハンドルに解放可能に連結するように構成されている。遠位部分は、継手組立体を含む。継手組立体は、第1のヒンジと、第1のリングと、継手カバーと、第2のリングと、第2のヒンジと、付勢機構とを含む。第1のヒンジは、第1の長手方向軸に沿って配設されており、細長い部分の遠位端に位置付けられている。第1のリングは、第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれに交差している第1の枢軸の周りで第1のヒンジに枢動可能に連結されている。継手カバーは、第1及び第2のカバー部分を有する。第1のカバー部分は、第1の枢軸及び第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれらに交差している第2の枢軸の周りで第1のヒンジに枢動可能に連結されている。第1及び第2の枢軸は、第1の継手中心部で第1の長手方向軸に交差している。第2のリングは、第3の枢軸の周りで継手カバーの第2のカバー部分に枢動可能に連結されている。第2のヒンジは、第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りで第2のリングに枢動可能に連結されている。第3及び第4の枢軸は、第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差している。継手カバーのカバー軸は、第1及び第2の継手中心部間に画定されている。付勢機構は、カバー軸が第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって継手カバーを付勢するように、第1のリング及び継手カバーと係合されている。
【0013】
さらに、本明細書に記載されている態様のいずれも、矛盾しない範囲で、本明細書に記載されている他の態様のいずれかまたは全てと併せて使用され得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
継手組立体であって、
第1の長手方向軸を画定しており、かつ近位継手ハウジングの遠位部分に位置付けられた第1のヒンジを含む、近位継手ハウジングと、
上記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれに交差している第1の枢軸の周りで上記第1のヒンジに枢動可能に連結された第1のリングと、
第1のカバー部分及び第2のカバー部分を有する継手カバーであって、上記第1のカバー部分が、上記第1の枢軸及び上記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれらに交差している第2の枢軸の周りで上記第1のヒンジに枢動可能に連結されており、上記第1及び第2の枢軸が、第1の継手中心部で上記第1の長手方向軸に交差している、継手カバーと、
第3の枢軸の周りで上記継手カバーの上記第2のカバー部分に枢動可能に連結された第2のリングと、
上記第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りで上記第2のリングに枢動可能に連結された第2のヒンジであって、上記第3及び第4の枢軸が、上記第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差しており、上記継手カバーのカバー軸が、上記第1及び第2の継手中心部間に画定されている、第2のヒンジと、
上記カバー軸が上記第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって上記継手カバーを付勢するように、上記第1のリング及び上記継手カバーと係合された付勢機構と、を備える、継手組立体。
(項目2)
上記付勢機構が、一対の内側付勢バーと、一対の外側付勢バーと、を含み、上記一対の内側付勢バーが、上記継手カバーの近位部分と係合されており、上記一対の外側付勢バーが、上記第1のリングと係合されている、上記項目に記載の継手組立体。
(項目3)
上記一対の内側及び外側付勢バーの上記内側及び外側付勢バーの各々が、長手方向に延在しており、かつ上記第1の長手方向軸に対して平行な方向に並進可能である、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目4)
上記一対の内側及び外側付勢バーの上記内側及び外側付勢バーの各々が、上記第1のヒンジを通して関連付けられた付勢バーを促すように構成されたそれぞれの付勢部材と動作可能に関連付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目5)
上記第2のヒンジの整列構成において、第2の長手方向軸が、上記カバー軸及び上記第1の長手方向軸と整列しており、上記第2の長手方向軸が、上記第2の継手中心部を通過しており、かつ上記第2のヒンジの上記中心部を通して延在している、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目6)
上記継手組立体の第1の関節運動構成において、上記第2の長手方向軸が、上記継手カバーが上記整列構成にある状態で、上記カバー軸に対して関節運動し、上記継手組立体の第2の関節運動構成において、上記第2の長手方向軸が、上記カバー軸に対して関節運動し、上記カバー軸が、上記第1の長手方向軸に対して関節運動する、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目7)
上記付勢機構が、上記第2の長手方向軸が上記カバー軸に対して関節運動の最大角度にまで関節運動するまで、上記継手組立体を上記第1の関節運動構成に維持するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目8)
上記関節運動の最大角度が、15°~45°の範囲にある、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目9)
上記第1のヒンジを通して延在している第1の駆動シャフトと、
第1の本体部分及び第2の本体部分を有する継手本体であって、上記第1の本体部分が、上記第1のカバー部分内に回転可能に配設されており、かつ上記第1の駆動シャフトに回転可能かつ枢動可能に連結されており、上記第2の本体部分が、上記第2のカバー部分内に回転可能に配設された、継手本体と、
上記第2のヒンジを通して延在している第2の駆動シャフトであって、上記第2の本体部分に回転可能かつ枢動可能に連結されている、第2の駆動シャフトと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目10)
上記第1の駆動シャフトの駆動球が、上記第1の本体部分内に配設されている、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目11)
上記第1の駆動シャフトが、上記第1の長手方向軸に沿って回転可能に配設されており、上記駆動球が、上記第1の長手方向軸に対して直交した中心チャネルと、上記第1の長手方向軸と整列しており、かつ上記中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットと、を画定している、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目12)
上記中心チャネル内に配設されており、かつ中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定している、中心ピンと、
上記継手本体を上記第1の駆動シャフトに回転可能に連結するように、上記ピン開口及び上記アーチ状スロット内に配設されたシャフトピンと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目13)
上記アーチ状スロット及び上記シャフトピンが、上記第1の駆動シャフトと上記継手本体との間の関節運動を制限するように協働する、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目14)
上記第2の駆動シャフトが、受信機をさらに含み、上記受信機が、上記第2のカバー部分内に回転可能に配設されており、かつ上記第2の本体部分を受容している、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目15)
上記継手カバーが、上記第1及び第2の継手中心部を通過するカバー軸を画定しており、上記第2の本体部分が、上記カバー軸に対して直交した中心チャネルと、上記カバー軸と整列しており、かつ上記中心チャネルを二等分している平面内のアーチ状スロットと、を画定している、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目16)
上記継手本体が、上記カバー軸に沿って回転可能である、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目17)
上記中心チャネル内に配設されており、かつ上記中心ピンの中心長手方向軸に対して直交したピン開口を画定している、中心ピンと、
上記継手本体を上記第2の駆動シャフトに回転可能に連結するように、上記ピン開口及び上記アーチ状スロット内に配設されたシャフトピンと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目18)
上記アーチ状スロット及び上記シャフトピンが、上記継手本体と上記第2の駆動シャフトとの間の関節運動を制限するように協働する、上記項目のいずれか一項に記載の継手組立体。
(項目19)
アダプタであって、
ハンドルに連結するように構成された近位部分と、
上記近位部分から延在しており、かつ第1の長手方向軸を画定している、細長い部分と、
上記細長い部分により支持されており、かつ工具組立体を上記ハンドルに解放可能に連結するように構成された遠位部分であって、上記遠位部分が、
上記第1の長手方向軸に沿って配設されており、かつ上記細長い部分の遠位端に位置付けられた第1のヒンジと、
上記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれに交差している第1の枢軸の周りで上記第1のヒンジに枢動可能に連結された第1のリングと、
第1のカバー部分及び第2のカバー部分を有する継手カバーであって、上記第1のカバー部分が、上記第1の枢軸及び上記第1の長手方向軸に対して直交しており、かつこれらに交差している第2の枢軸の周りで上記第1のヒンジに枢動可能に連結され、上記第1及び第2の枢軸が、第1の継手中心部で第1の長手方向軸に交差している、継手カバーと、
第3の枢軸の周りで上記継手カバーの上記第2のカバー部分に枢動可能に連結された第2のリングと、
上記第3の枢軸に対して直交した第4の枢軸の周りで上記第2のリングに枢動可能に連結された第2のヒンジであって、上記第3及び第4の枢軸が、上記第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部で交差しており、上記継手カバーのカバー軸が、上記第1及び第2の継手中心部間に画定されている、第2のヒンジと、
上記カバー軸が上記第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって上記継手カバーを付勢するように、上記第1のリング及び上記継手カバーと係合された付勢機構と、を有する、継手組立体、を含む、遠位部分と、を備える、アダプタ。
(摘要)
アダプタの継手組立体は、第1の長手方向軸を画定しており、第1及び第2のヒンジと、第1及び第2のリングと、継手カバーと、付勢機構とを含む。継手カバーは、第1及び第2のカバー部分を有する。第1のリングは、第1のヒンジに枢動可能に連結されており、第1のカバー部分は、第1の継手中心部を画定するように第1のヒンジに枢動可能に連結されている。第2のリングは、第2のカバー部分に枢動可能に連結されており、第2のヒンジは、第1の継手中心部から離間した第2の継手中心部を画定するように第2のリングに枢動可能に連結されている。第1及び第2の継手中心部は、継手カバーのカバー軸を画定している。付勢機構は、カバー軸が第1の長手方向軸と整列されている整列構成に向かって継手カバーを付勢するように、第1のリング及び継手カバーと係合されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の種々の態様は、本明細書の一部内に組み込まれ、かつこれを構成する図を参照して、本明細書の下に記載されている。
【0015】
【
図1】本開示に従って提供された電子機械システムの斜視図である。
【
図2】工具組立体が非締め付け位置にある状態の
図1の電子機械システムのアダプタ及び工具組立体の斜視図である。
【
図3】工具組立体が整列位置にある状態の
図2の詳細の指定領域の拡大図である。
【
図4】第1の関節位置での
図2の工具組立体及びアダプタの遠位部分の斜視図である。
【
図5】
図2のアダプタの継手組立体から分離した
図2の工具組立体の斜視図である。
【
図6】
図5の継手組立体の分離した部分を含む分解図である。
【
図8】
図7の切断線8-8に沿って切り取られた断面図である。
【
図9】
図7の切断線9-9に沿って切り取られた断面図である。
【
図11】
図5の切断線11-11に沿って切り取られた断面図である。
【
図13】
図11の切断線13-13に沿って切り取られた断面図である。
【
図15】整列位置での
図5の継手組立体の側面図である。
【
図17】
図16の切断線17-17に沿って切り取られた断面図である。
【
図18】ケーブルが取り外された状態の関節位置での継手組立体の遠位継手を含む、
図16の継手組立体の平面図である。
【
図19】
図18の切断線19-19に沿って切り取られた断面図である。
【
図20】別の関節位置での
図15の継手組立体の側面図である。
【
図22】アダプタ部分が破線で示されている状態の
図2のアダプタの近位部分の斜視図である。
【
図23】アダプタの近位部分の関節運動用組立体の後部斜視図である。
【
図24】
図2のアダプタの近位部分の分離された部分を含む分解図である。
【
図25】
図2の切断線25-25に沿って切り取られた断面図である。
【
図27】
図26の切断線27-27に沿って切り取られた断面図である。
【
図28】第1のハウジングシェルが取り除かれ、ボタンが係止部材上から分離した状態の
図22のアダプタの近位部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、いくつかの図の各々において同様の符号が同一もしくは対応する要素を指定している図を参照して、本開示の実施形態を詳細に記載する。本明細書で使用される場合、「臨床医」という用語は、医師、看護師、または任意の他の介護提供者を指し、支援要員を含み得る。加えて、「近位」という用語は、臨床医に最も近いデバイスもしくはその構成要素の一部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠いデバイスもしくはその構成要素の一部分を指す。さらに、図及び下に続く説明において、「前」、「後」、「上部」、「下部」、「上」、「底」等の用語及び同様のものは、単に説明の利便性のために使用されており、本開示をこれらに限定することを企図するものではない。
【0017】
本開示は、概して、電子機械外科手術システムと共に使用するためのアダプタに関する。アダプタは、近位及び遠位継手を有する継手組立体を含む。近位継手は、整列位置に付勢されており、遠位継手が関節運動の限界に達するまで、整列位置に留まるように適合されている。遠位継手が関節運動の限界に達すると、近位継手継は、継手組立体のさらなる関節運動を可能にするように関節運動する。加えて、近位継手は、遠位継手が関節運動の限界から離れるように関節運動する前に、整列位置に戻るように適合されている。
【0018】
アダプタはまた、継手組立体を関節運動させるように構成された関節運動用機構を含む。関節運動用機構は、アダプタの近位部分から継手を超えてアダプタの遠位部分に延在している4つのケーブルを含む。ケーブルは、継手組立体を操作もしくは関節運動させるように収縮及び伸張されるように適合されている。継手組立体の対向する側部上のケーブルは、1つのケーブルが収縮され、対向するケーブルが、遠位ハウジングの位置、よって継手組立体の関節運動を制御するように伸張されるように、互いに関連付けられている。
【0019】
アダプタは、さらに、アダプタの長手方向軸の周りの複数の位置でアダプタの遠位部分を選択可能に固定するように構成されたロール機構を含む。
【0020】
次に、
図1を参照すると、本開示による外科手術システム10は、ハンドル100と、アダプタ200と、工具組立体600(例えば、エンドエフェクタ、複数もしくは単独使用の工具組立体)とを含む。ハンドル100は、アダプタ200と選択的に接続するように構成されており、次に、アダプタ200は、工具組立体600と選択的に接続するように構成されている。共に、ハンドル100及びアダプタ200は、工具組立体600を作動させるように協働し得る。外科手術システム10は、電子機械的給電システムであり得、ハンドル100は、電気的に給電され、例えば、電池給電され得る。本明細書で開示されている実施形態のいずれにおいても、ロボット外科手術システムと共に使用するようにアダプタを構成することができる。実施形態において、関節運動継手組立体を、手動駆動式外科手術デバイス内に組み込むことができる。
【0021】
ハンドル100は、電子機械外科手術システム10の種々の動作を行うために、シャフト及び/または歯車部品を駆動させるように構成された駆動機構(図示せず)を含む。具体的には、下に詳細に記載されているように、駆動機構は、工具組立体600を作動させ、かつアダプタ200の長手方向軸A-A(
図2)に対して工具組立体600を関節運動させるように、近位駆動シャフト260(
図23)、第1の関節運動シャフト430(
図23)、及び第2の関節運動シャフト450(
図23)を回転させるように構成されている。例示的な電動ハンドルの詳細な説明のために、米国特許公開第2015/0272577号及び米国特許第9,055,943号を参照し得る。これらの開示の各々の全体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
図2~5も参照すると、アダプタ200は、近位部分202と、細長い部分204と、遠位部分206と、工具組立体コネクタ208とを含む。近位部分202は、アダプタ200をハンドル100(
図1)に連結するように構成されている。細長い部分204は、アダプタ200の近位部分202からアダプタ200の遠位部分206に延在しており、アダプタ200の長手方向軸A-Aを画定している。遠位部分206は、
図4に示され、下に詳細に記載されている長手方向軸A-Aに対して工具組立体コネクタ208を関節運動させ、工具組立体600に、工具組立体600の長手方向軸D-D(
図18)がアダプタ200の長手方向軸A-Aと整列されている非関節位置から、工具組立体600の長手方向軸D-Dが長手方向軸A-Aと不整列である関節位置へと関節運動させるように構成された継手組立体300を含む。工具組立体コネクタ208は、遠位部分206の遠位に位置付けられており、工具組立体600をアダプタ200に連結するように構成されている。
【0023】
図3及び4を特に参照すると、工具組立体600は、開口構成(
図3)と閉鎖もしくは締め付け構成(
図4)との間で互いに対して運動可能である第1の顎部材610及び第2の顎部材620を含む。下に詳細に記載されているように、継手組立体300は、非関節位置と複数の関節位置との間で工具組立体600を操作することを可能にする。示されているように、工具組立体600は、複数のステープル(図示せず)を有するステープルカートリッジ612を解放可能に受容する第1の顎部材610、及びアンビル622を含む第2の顎部材を有するステープラとして構成されている。
【0024】
図5及び6を参照すると、継手組立体300は、工具組立体コネクタ208の関節運動を制御するように構成されている。継手組立体300は、近位継手ハウジング310と、近位リング330と、付勢組立体340と、継手カバー350と、中心駆動シャフト360と、継手本体370と、遠位駆動シャフト380と、遠位リング386と、遠位継手ハウジング390とを含む。
【0025】
近位継手ハウジング310は、長手方向軸A-Aが近位継手ハウジング310の長手方向軸と同軸にあるように、アダプタ200の長手方向軸A-Aに沿って延在している。中心駆動シャフト360は、近位継手ハウジング310内のアダプタ200の長手方向軸A-Aに沿って回転可能に配設されている。継手本体370は、継手本体370が中心駆動シャフト360の回転に応答して回転するように、中心駆動シャフト360の遠位部分を受容している。継手本体370の一部分は、遠位駆動シャフト380が継手本体370の回転に応答して回転するように、遠位駆動シャフト380内に受容される。継手カバー350は、継手本体370が継手カバー350内で回転可能であるように、継手本体370上に位置付けられている。近位リング330は、継手カバー350の一部分の周りで枢動可能に固定されており、下に詳述されているような整列位置に向かって継手本体370を付勢するように、付勢組立体340により係合されている。遠位リング386は、継手カバー350の一部分の周りに枢動可能に固定されており、継手カバー350の一部分を遠位継手ヒンジ390に枢動可能に固定するように、遠位継手ハウジング390に固定されている。
【0026】
図7~14をさらに参照すると、近位継手ハウジング310は、実質的に円筒状であり、そこを通る中心内腔322を画定する。近位継手ハウジング310は、円筒状部分311及び近位もしくは第1のヒンジ312を含む。近位継手ハウジング310の円筒状部分311は、近位継手ハウジング310の中心内腔322がアダプタ200の長手方向軸A-Aと同軸にあるように、アダプタ200の細長い部分204(
図2)内に受容されるようにサイズ決め及び寸法決めされる。近位ヒンジ312は、円筒状部分311の遠位部分上で支持されており、アダプタ200(
図4)の細長い部分204から遠位に延在するようにサイズ決めされている。近位ヒンジ312の外側表面は、細長い部分204の外側表面と接触面を形成するように寸法決めされ得る。近位ヒンジ312は、細長い部分204の他の構成要素に対する近位継手ハウジング310の位置を軸方向に固定し、近位ヒンジ312が細長い部分204の外側管内を通ることを防ぐように、アダプタ200の細長い部分204の外側縁部に係合するように位置付けられた円筒状部分311の周りにリップ部313(
図7)を形成し得る。
【0027】
図7~9を特に参照すると、付勢組立体340は、近位継手ハウジング310の中心内腔322内に配設されており、非関節もしくは整列位置(
図7)に向かって継手本体370を付勢するように、近位リング330及び継手本体370と係合されている。付勢組立体340は、プランジャ336と、付勢部材338と、外側付勢バー342、344と、内側付勢バー346、348とを含む。近位継手ハウジング310は、付勢部材338の近位部分が近位継手ハウジング310内に長手方向に固定されるように、それぞれの付勢部材338を受容するように各々サイズ決め及び寸法決めされた窓324を画定している。付勢部材338の各々の遠位部分は、プランジャ336が付勢部材338により遠位に促されるように、プランジャ336(
図11)のそれぞれ1つのシャフト336aを受容している。近位継手ハウジング310はまた、付勢バー342~348のそれぞれ1つを受容するようにサイズ決め及び寸法決めされたバー経路316(
図8)を画定している。付勢バー342~348の各々は、バー経路316の1つ内にスライド可能に配設されており、プランジャ336のそれぞれ1つと係合された近位部分を含む。実施形態において、
図11に示されているように、各プランジャ336は、遠位板336bが付勢部材338の遠位部分と係合された状態で、シャフト336aがそれぞれの付勢部材338のコイル内に受容されるように、遠位板336b及び板336bから近位に延在しているシャフト336aを含む。付勢バー342~348は、バー経路316内でアダプタ200の長手方向軸A-Aに対して実質的に平行な方向にスライドすることが理解されるだろう。
【0028】
いくつかの実施形態において、付勢バー342~348の近位部分は、それぞれのプランジャ336に係合するように位置付けられた付勢バー342~348の一部分の表面積を増すための翼状部(例えば、翼状部344a(
図7))を含む。バー経路316及びそれぞれの付勢バー342~348は、それぞれの付勢バー342~348がバー経路316内でスライドするときのバー経路316内の付勢バー342~348のびびりもしくは非長手方向の運動を低減するように寸法決め及び/または構成され得ることが想定される。
【0029】
図11~15を参照すると、外側付勢バー342、344は、近位継手ハウジング310の対向する側部上に位置付けられており、外側付勢バー342、344の各々の遠位部分は、
図14に示されているように、近位リング330と係合されている。内側付勢バー346、348は、近位継手ハウジング310の対向する側部上に位置付けられており、内側付勢バー346、348の各々の遠位部分は、
図12に示されているように、継手カバー350と係合されている。近位継手ハウジング310は、内側付勢バー346、348の段差部分347(
図12)をスライド可能に受容する近位ヒンジ312内のバー切り欠き326を画定し得る。外側付勢バー342、344は、
図8に示されているように、内側付勢バー346、348が、外側付勢バー342、344間の中間に径方向に位置付けられ、外側付勢バー342、344の各々が、内側付勢バー346、348間の中間に径方向に位置付けられるように、内側付勢バー346、348の各々からおよそ90°径方向にオフセットされている。
【0030】
図11~14を参照すると、近位継手ハウジング310は、継手カバー350が、近位継手ハウジング310に対して2自由度で運動可能であるように、継手カバー350の近位部分に連結されている。継手カバー350は、近位継手ハウジング310に対するアダプタ200の長手方向軸A-Aの周りに回転可能に固定されていることが理解されるだろう。
【0031】
図10~12を特に参照すると、近位ヒンジ312は、近位継手ハウジング310の中心内腔322の対向する側部上に対向するフランジ314(
図10)を含む。近位リング330は、フランジ314に枢動可能に連結されている。具体的には、フランジ314の各々は、ピン開口314aを画定しており、近位リング310は、フランジ314のピン開口314aと同軸上に整列されているピン開口331を画定している。ヒンジピン332は、近位リング330を近位ヒンジ312のフランジ314に枢動可能に連結するように、それぞれのフランジ314のピン開口331及びピン開口314aの各々内に受容されている。近位リング330は、ヒンジピン332により画定された枢軸の周りで近位ヒンジ312に対して枢動することが理解されるだろう。
【0032】
次に、
図6、13、及び14を参照すると、近位リング330は、ハウジングピン334により継手カバー350に枢動可能に連結されている。
図6に示されているように、近位リング330は、ピン開口333の各々が、ピン開口331間のおよそ中間に位置付けられた状態で、近位リング330の対向する側部上にピン開口333を画定している。継手カバー350は、ピン開口333と同軸上に整列されているピン開口353を画定している。ハウジングピン334は、ハウジングピン334により画定された枢軸の周りで継手カバー350を近位リング330に枢動可能に連結するように、ピン開口333及び353内に受容されている。実施形態において、ハウジングピン334により画定された枢軸は、継手カバー350が、近位ヒンジ312に対して2自由度で運動可能であるように、ヒンジピン332により画定された枢軸に対して直交している。代替的に、他の枢軸の配向が想定される。
【0033】
図11~14を再び参照すると、継手カバー350の遠位部分は、遠位継手ハウジング390が、継手カバー350に対して2自由度で運動可能であるように、遠位リング386により遠位継手ハウジング390に連結されている。遠位継手ハウジング390は、継手カバー350、よって、近位ヒンジ312に回転可能に固定されていることが理解されるだろう。
【0034】
図6、11、及び12を特に参照すると、ハウジングカバー350の遠位部分は、ハウジングピン357(
図12)により遠位リング386に枢動可能に連結されている。遠位リング386は、遠位リング386の対向する側部上にピン開口387を画定している。継手カバー350は、ピン開口387と同軸上に整列されているピン開口355を画定している。ハウジングピン357は、継手カバー350が、ハウジングピン357により画定された枢軸の周りで遠位リング386に枢動可能に連結されるように、ピン開口355及び387内に受容されている。
【0035】
図13及び14を参照すると、遠位継手ハウジング390は、遠位ヒンジを形成しており、
図14に示されているような非関節もしくは整列位置で、継手組立体300の長手方向軸A-Aに沿って配設された中心開口394を画定している。遠位継手ハウジング390は、中心開口394の対向する側部上に対向するフランジ392(
図6)を含む。フランジ392は、近位ヒンジ312(
図10)のフランジ314からおよそ90°径方向にオフセットされており、遠位リング386に枢動可能に連結されている。具体的には、フランジ392の各々は、ピン開口392aを画定しており、遠位リング386は、フランジ392のピン開口392aと同軸上に整列されているピン開口388を画定している。遠位リング386のピン開口388は、遠位リング386の対向する側部上にあり、ピン開口388の各々は、ピン開口387(
図6)間のおよそ中間に位置付けられている。ヒンジピン389は、ヒンジピン389により画定された枢軸の周りで遠位リング386を遠位継手ハウジング390に枢動可能に連結するように、ピン開口388の各々内に受容されている。遠位リング386は、ヒンジピン389により画定された枢軸の周りで遠位継手ハウジング390に対して枢動可能であることが理解されるだろう。ハウジングピン357により画定された枢軸は、継手カバー350が、遠位継手ハウジング390に対して2自由度で運動可能であるように、ヒンジピン389により画定された枢軸に対して直交している。
【0036】
図6及び11~14を再び参照すると、中心駆動シャフト360、継手本体370、及び遠位駆動シャフト380は、遠位駆動シャフト380が、継手組立体300の複数の関節位置で中心駆動シャフト360の回転に応答して回転するように、近位継手ハウジング310、継手カバー350、及び遠位継手ハウジング390を通過し、かつそれら内で回転可能である。継手本体370は、近位受信機372と遠位球374とを含む。近位受信機372は、継手カバー350の近位部分に画定された近位空洞354内に配設されている。中心駆動シャフト360は、駆動球362、近位受信機372、及び近位空洞354の中心が互いに一致するように、近位受信機372内に受容された駆動球362を含む。駆動球362は、アダプタ200の長手方向軸A-Aを横断する駆動球362の中心を通過し、かつそれを通る中心ピン368を受容する、中心チャネル364を画定している。中心ピン368は、中心ピン368の長手方向軸を横断するピン開口369を画定している。駆動球362はまた、中心チャネル364と連通するアーチ状スロット366を画定している。継手本体370の近位受信機372は、ピン開口373を画定している。近位シャフトピン367は、継手本体370が、中心駆動シャフト360の回転に応答して回転するように、ピン開口373、スロット366、及びピン開口369を通過して、中心駆動シャフト360を継手本体370に回転可能に固定する。アーチ状スロット366は、中心駆動シャフト360と継手本体370との間の1自由度を可能にする。
【0037】
遠位駆動シャフト380は、遠位受信機382及び遠位受信機382から遠位に延在する遠位シャフト384を含む。遠位受信機382は、継手カバー350により画定された遠位空洞356内に配設されており、遠位空洞356、遠位受信機382、及び遠位球374の中心が互いに一致するように、継手本体370の遠位球374を受容している。遠位球374は、継手本体370の長手方向軸を横断する遠位球374の中心を通過し、かつそれを通る中心ピン377を受容する、中心チャネル375を画定している。中心ピン377は、中心ピン377の長手方向軸を横断するピン開口378(
図6)を画定している。遠位球374はまた、中心チャネル375と連通するアーチ状スロット376(
図6)を画定しており、遠位受信機382は、ピン開口383を画定している。遠位シャフトピン379は、遠位駆動シャフト380が継手本体370の回転に応答して回転するように、ピン開口383、スロット376、及びピン開口378を通過して、継手本体370を遠位受信機382に回転可能に固定させる。アーチ状スロット376は、継手本体370と遠位駆動シャフト380との間の1自由度を可能にする。駆動球362のアーチ状スロット366(
図12)は、遠位球374のアーチ状スロット376として同じ平面内に画定されているが、アーチ状スロット366の平面は、遠位駆動シャフト380と中心駆動シャフト360との間の複数の自由度を可能にするように、アーチ状スロット376の平面から径方向にオフセットされ得ると考えられる。
【0038】
次に、
図15~17を参照すると、アダプタ200(
図2)は、継手組立体300を操作する関節運動用機構400を含む。関節運動用機構400及び継手組立体300は、工具組立体600(
図5)の作動前、中、及び後に、継手組立体300の関節運動を制御するように協働する。例えば、工具組立体600が作動して組織を締め付け、締め付けられた組織を通してステープルを発射し、かつ/または組織を切断すると、関節運動用機構400及び継手組立体300は、工具組立体600の各機能中のびびりを低減させ、かつアダプタ200に対する工具組立体600の位置を維持するように協働する。
【0039】
関節運動用機構400は、アダプタ200の近位部分202(
図2)からアダプタ200の遠位部分206(
図2)へとアダプタ200の細長い部分204(
図2)を通して延在するケーブル402、404、406、及び408(
図7)を含む。ケーブル402~408の各々は、近位継手ハウジング310の外側表面内に画定された4つのケーブル溝319のうちの1つ内にスライド可能に配設されており、近位ヒンジ312内の4つのケーブル通路318(
図8)のうちのそれぞれ1つを通過する。ケーブル402~408の各々は、近位継手ハウジング310から遠位継手ハウジング390へと通る。ケーブル402~408の各々は、遠位継手ハウジング390内に画定されたそれぞれのケーブル受信機398内に受容された遠位保持器(
図17)(例えば、ケーブル406の遠位保持器407及びケーブル408の遠位保持器409)を含む。遠位継手ハウジング390のそれぞれのケーブル受信機398内の遠位保持器の受容は、遠位継手ハウジング390に対する張力の付加を容易にする。
【0040】
ケーブル402~408は、遠位駆動軸D-Dを画定する遠位駆動シャフト380、及びカバー軸C-Cを画定する継手カバー350を、長手方向軸A-Aに対する複数の関節位置間で運動させることができるように、継手組立体300の操作を容易にするように長手方向軸A-Aの周りで径方向に離間している。示されているように、ケーブル402~408は、ケーブル402~408の各々が、円筒状部分311内に画定された隣接する窓324(
図15)間のおよそ中間を通る状態で、継手ハウジング310の外側表面の周りを、例えば、およそ90°径方向に均等に離間している。ケーブル402~408は、円筒状部分311の周りで不均等に離間し得ると考えられる。
【0041】
下により詳細に記載されているように、関節運動用機構400は、遠位ハウジング390に継続的に張力を加えるように各ケーブル402~408内の張力を維持するために、正反対に対向するケーブルの並進に応答して1つのケーブルを並進する。例えば、関節運動用機構400がケーブル402を近位に引っ張ると、関節運動用機構400は、ケーブル406を同時に解放して、ケーブル402が近位に引っ張られる量におよそ等しい量をケーブル406が遠位に引っ張られることを可能にする。同時に、関節運動用機構400がケーブル406を近位に引っ張ると、関節運動用機構400は、ケーブル402を同時に解放して、ケーブル406が近位に引っ張られる量とおよそ等しい量をケーブル406が遠位に引っ張られることを可能にする。ケーブル404は、ケーブル402が上に詳述されているようなケーブル406と関連付けられる同様の方法で、ケーブル408と関連付けられることが理解されるだろう。各ケーブルを実質的にピンと張ったままにすることにより、長手方向軸A-Aに対する遠位駆動シャフト380の遠位駆動軸D-Dの関節運動、及びアダプタ200の長手方向軸A-Aに対する継手カバー350のカバー軸C-Cの関節運動を、精確に制御及び維持することができる。
【0042】
図15~21を参照すると、本開示による継手組立体300の関節運動が記載されている。継手組立体300は、第1もしくは近位継手302及び第2もしくは遠位継手304を有する。近位継手302は、中心駆動シャフト360の駆動球362、継手本体370の近位受信機372、継手カバー350の近位部分、近位リング330の中心と一致する中点を通過する枢軸の周りを関節運動する。遠位継手304は、継手本体370の遠位球374、遠位駆動シャフト380の遠位受信機382、継手カバー350の遠位部分、及び遠位リング386の中心と一致する中点を通過する枢軸の周りを関節運動する。カバー軸C-Cは、近位及び遠位継手302、304の中点間を通る。近位及び遠位継手302、304の各々は、関節運動用機構400による遠位継手ハウジング390の作動に応答して2自由度で関節運動可能である。
【0043】
図15~17に示されているように、継手組立体300は、遠位駆動シャフト384の遠位駆動軸D-D、及び継手カバー350のカバー軸C-Cが、近位駆動シャフト360の長手方向軸A-Aと同軸にある、中央配置もしくは整列位置を有する。整列位置において、近位及び遠位継手302、304の中点は、両方が長手方向軸A-Aに沿って配設されている。加えて、整列位置において、近位リング330及び遠位リング386により画定された平面は、互いに平行であり、かつアダプタ200の長手方向軸A-Aに対して直交して位置付けられている。
【0044】
次に、
図18及び19を参照すると、継手組立体300は、遠位駆動軸D-Dがアダプタ200の長手方向軸A-Aに対して関節運動し、継手カバー350のカバー軸C-Cが長手方向軸A-Aとの整列を維持するように、遠位継手304が関節運動する第1の関節位置を有する。加えて、近位及び遠位継手302、304の中点は、第1の関節位置で長手方向軸A-Aに沿って配設されたままである。付勢組立体340は、継手カバー350、よって、カバー軸C-Cが、遠位継手304が関節運動の限界に達するまで、すなわち、遠位継手304のさらなる独立した関節運動を防ぐように、すなわち、近位継手302から独立して、遠位シャフトピン379が遠位球374のアーチ状スロット376(
図12)の端部に達する位置に達するまで、長手方向軸A-Aとの整列を維持する。
【0045】
図18及び19に示されているように、関節運動用機構400は、遠位駆動軸D-Dが、遠位継手304の関節運動の限界内でアダプタ200の長手方向軸A-Aに対する角度を画定するように、遠位駆動シャフト380を再位置付けするように遠位継手ハウジング390を関節運動させるように関節運動する。示されているように、遠位ハウジング390は、遠位駆動軸D-Dが長手方向軸A-Aに対して再位置付けされるように、矢印「X
1」により示されている方向に関節運動する。継手組立体300の関節運動中に、遠位継手304は、関節運動し、付勢組立体340は、カバー軸C-Cが長手方向軸A-Aとの整列を維持するように、近位リング330及び継手カバー350に係合している。付勢組立体340は、遠位継手304がその関節運動の限界に達するまで、継手カバー350の関節運動を防ぐ。具体的には、外側付勢バー342、344は、継手カバー350が、第1の軸の周りでの長手方向軸A-Aとの整列、ヒンジピン332により画定された枢軸の周りでの回転を維持するように、近位リング330との係合へと促され、内側付勢バー346、348は、継手カバー350が、別の軸の周りでの長手方向軸A-Aとの整列、ハウジングピン334により画定された枢軸の周りでの回転を維持するように、継手カバー350との係合へと促される。継手カバー350のカバー軸C-Cが長手方向軸A-Aとの整列を維持することにより、付勢組立体340は、近位継手302を整列位置に維持する。示されているように、付勢バー342~348の遠位部分は、カバー軸C-Cを整列位置から関節運動させるように、近位リング330及び/または継手カバー350の回転を開始させるために大きな力が必要とされるように、近位リング330及び継手カバー350を実質的に平坦な表面と係合させる。この大きな力は、遠位継手304がアーチ状スロット376の端部に達する遠位シャフトピン379によるさらなる関節運動を防いだ後にのみ達せられる。付勢バー342~348の遠位部分は、カバー軸C-Cが、低減された力により整列位置から離れるように関節運動することを可能にするようにアーチ状であり得ると考えられる。
【0046】
図20及び21は、遠位駆動軸D-Dが、遠位継手304の関節運動の限界を超える角度にまで、アダプタ200の長手方向軸A-Aに対して再位置付けられる、第2の関節位置に遠位継手ハウジング390を関節運動させるための関節運動用機構400の作動を図示している。示されているように、遠位ハウジング390は、遠位駆動軸D-D及びカバー軸C-Cが、
図15に示されている位置から長手方向軸A-Aに対して再位置付けられるように、矢印「X
2」により示されている方向に関節運動する。より具体的には、遠位継手304がその関節運動の限界まで関節運動するとき、遠位継手ハウジング390の連続する関節運動は、内側付勢バー346がその関連付けられた付勢部材338を圧縮し、継手カバー350のカバー軸C-Cが近位継手302の周りで長手方向軸A-Aに対して矢印「X
2」により示されている方向に関節運動するように、付勢組立体340により近位継手302上に加えられた付勢力を克服する。近位継手302が関節運動すると、他の内側付勢バー348は、遠位に並進し、かつ継手カバー350との係合を維持するように、その関連付けられた付勢部材338により遠位に促される。加えて、外側付勢バー342、344は、近位リング330との係合を維持するように、関連付けられた付勢部材338により遠位に促される。付勢バー342~348の各々が継手カバー350及び/または近位リング330との係合を独立して維持することにより、遠位継手ハウジング390の位置は、関節運動用機構400の所与の作動に対して剛性に維持される。
【0047】
付勢部材338は、実質的に線形のばね定数を有し、付勢バー342~348は、継手カバー350、よって、カバー軸C-Cが長手方向軸A-Aと整列するように促すように協働することが理解されるだろう。このように、関節運動用機構400が遠位駆動軸D-D及びカバー軸C-Cが長手方向軸A-Aとの整列に向かって運動するように、遠位継手ハウジング390を整列位置に戻すように作動されたとき、遠位駆動軸D-Dがその関節運動の限界からその整列位置に向かって関節運動する前に、付勢組立体340は、継手カバー350、よって、近位継手302のカバー軸C-Cを整列位置に戻す。
【0048】
実施形態において、近位及び遠位継手302、304の関節運動の最大角度は、互いに等しい(例えば、30°)か、または互いに異なる(例えば、近位継手302の関節運動の最大角度は、遠位継手304の関節運動の最大角度超または未満であり得る)場合がある。関節運動組立体300の関節運動の最大角度は、近位継手302の関節運動の最大角度と遠位継手304の関節運動の最大角度との合計であることが理解されるだろう。
【0049】
近位及び遠位継手302、304の関節運動の順番(例えば、近位継手302が関節運動する前に遠位継手304がその関節運動の限界まで関節運動することを確実にし、その整列位置に向かって遠位継手304を関節運動させる前に、近位継手302をその整列位置に戻す)を制御することにより、継手組立体300の関節運動は、関節運動中の工具組立体600(
図2)の位置がより予測可能であるように、より予測可能である。加えて、継手カバー350の長手方向軸との整列への付勢は、継手組立体300におけるケーブルのガタつきを低減させるようにケーブルの伸縮を自動的に調節することにより、より安定的かつ剛性な継手組立体300を提供し得る。さらに、ケーブル402~408の各々から遠位継手ハウジング390上に一定の張力を提供することにより、工具組立体600の作動中に経験されるびびりを最小にすることができる。
【0050】
次に、
図22~27を参照すると、アダプタ200の近位部分202は、コネクタ220と、関節運動用機構400と、ロール機構500とを含む。コネクタ220は、アダプタ200の近位部分202に固定されており、アダプタ200をハンドル100(
図1)に解放可能に連結する。ハンドル100は、近位駆動シャフト260を選択可能に回転させるように、かつコネクタ220がハンドル100に解放可能に連結されたときに関節運動用機構400を操作するように構成されている。近位駆動シャフト260は、アダプタ200の長手方向軸A-Aに沿って延在しており、中心駆動シャフト360(
図6)の回転に影響を与えるように細長い部分204を通して延在している。細長い部分204はまた、近位駆動シャフト260の周りに同軸上に配設された中心管280と、その間にチャネル272を画定するように中心管280の周りに同軸上に配設された外側管270とを含む。
【0051】
関節運動用機構400は、長手方向軸A-Aに対して継手300を関節運動させるように、ケーブル402~408を操作する。
図23を特に参照すると、関節運動用機構400は、関節運動用本体410と、第1もしくは上部スピンドル組立体420と、第1の関節運動シャフト430と、第2のもしくは下部スピンドル組立体440と、第2の関節運動シャフト450とを含む。上部スピンドル組立体420及び下部スピンドル組立体440は、長手方向軸A-Aを横断するスピンドル軸S-Sの周りで関節運動用本体410上に回転可能に支持されている。上部スピンドル組立体420は、関節運動用本体410の上側部上に配設されており、下部スピンドル組立体440は、関節運動用本体410の下側部上に配設されている。
【0052】
図24を特に参照すると、上部スピンドル組立体420は、内側スピンドル422と、外側スピンドル426と、歯車428とを含む。内側スピンドル422は、実質的に円筒状であり、内側スピンドル422の外側表面に沿った螺旋状溝423(
図23)を画定している。内側スピンドル422は、関節運動用本体410に向かって延在するキー付き突起424を含み、関節運動用本体410の上部輪414の周りに配設されている。上部歯車428は、内側スピンドル422が上部歯車428の回転に応答して回転するように、キー付き突起424を受容するキー付き開口429を画定している。外側スピンドル426は、実質的に円筒状であり、外側スピンドル426の外側表面の周りに螺旋状溝427(
図23)を画定している。外側スピンドル426は、ロール本体510のスピンドル凹部518内に回転可能に受容された上部突起425を含む。ロール本体510は、上部スピンドル組立体420を上部輪414上に保持する。外側スピンドル426は、外側スピンドル426が内側スピンドル422の回転に応答して回転するように、内側スピンドル422に対して回転可能に固定されている。内側及び外側スピンドル422、426は、互いにモノシリックに形成され得ると考えられる。内側及び外側スピンドル422、426の螺旋状溝423、427は、それぞれ、単一の連続した螺旋状溝を形成し得る。
【0053】
下部スピンドル組立体440は、内側スピンドル442と、外側スピンドル446と、歯車448とを含む。内側スピンドル442は、実質的に円筒状であり、内側スピンドル442の外側表面の周りに螺旋状溝443(
図23)を画定している。内側スピンドル442は、関節運動用本体410に向かって延在し、関節運動用本体410の下部輪416の周りに配設されたキー付き突起444を含む。下部歯車448は、内側スピンドル442が下部歯車448の回転に応答して回転するように、キー付き突起444を受容するキー付き開口449を画定している。外側スピンドル446は、実質的に円筒状であり、外側スピンドル446の外側表面の周りに螺旋状溝447(
図23)を画定している。実施形態において、外側スピンドル446は、ロール本体510のスピンドル凹部518内に回転可能に受容される下部突起445を含む。ロール本体510は、下部スピンドル組立体440を下部輪416上に保持する。外側スピンドル446は、外側スピンドル446が内側スピンドル442の回転に応答して回転するように、内側スピンドル442に対して回転可能に固定されている。内側及び外側スピンドル442、446は、互いにモノシリックに形成され得ると考えられる。内側及び外側スピンドル442、446の螺旋状溝443、447は、それぞれ、単一の連続する螺旋状溝を形成し得る。
【0054】
図22及び23を参照すると、ケーブル402~408は、継手組立体300の近位継手ハウジング310(
図6)から外側管270のチャネル272(
図22)を通してアダプタ200の近位部分202へと延在している。ケーブル402~408がチャネル272を通過すると、ケーブル402~408は、中心管280の近位筒状体282内に画定された孔282を通して誘導される。ケーブル402及び406は、近位筒状体282の第1もしくは上側部上の孔284を通して誘導され、ケーブル404及び408は、近位筒状体282の第2もしくは下側部上の孔284を通して誘導される。ケーブル402~408は、近位筒状体282の孔284を通ってロール本体510の孔512内へと通過する。ケーブル402~408は、ケーブル402、406が関節運動用本体410の上側部上に配設され、ケーブル404、408が関節運動用本体40の下側部上に配設されるように、ロール本体510の孔512を通って関節運動用本体410内に画定された孔412内へと通過する。
【0055】
再び、
図23を特に参照すると、ケーブル402、406は、関節運動用本体410内に画定された孔412から上部スピンドル組立体420の溝423、427内へと互いに対向する方向に通過する。示されているように、ケーブル402は、上部スピンドル組立体420の第2の側部上の孔412を出て、外側スピンドル426の溝427に入る。ケーブル406は、上部スピンドル組立体420の第1の側部上の孔412を出て、内側スピンドル422の溝423に入る。上部スピンドル組立体420が第1の方向に(例えば、
図23の上から見たときに反時計回りに)回転すると、ケーブル402は、ケーブル402を引き込むか、または引っ張るように、外側スピンドル426の周りに巻かれ、ケーブル406は、同時に、ケーブル406を伸張させるか、または解放するように、内側スピンドル422の周りから巻き出される。上部スピンドル組立体420が第1の方向とは反対の第2の方向に(例えば、
図23の上から見たときに時計回りに)回転すると、ケーブル402は、ケーブル402を伸張させるように、外側スピンドル426の周りから巻き出され、ケーブル406は、同時に、ケーブル406を引き込むように、内側スピンドル422の周りに巻かれる。この対応する引き込み及び伸張は、上に詳述されているように、継手300を関節運動させるように、遠位継手ハウジング390(
図17)に張力を加えることが理解されるだろう。
【0056】
ケーブル404、408は、関節運動用本体410内に画定された孔412から下部スピンドル組立体440の溝443、447へと互いに対向する方向に通過する。示されているように、ケーブル404は、下部スピンドル組立体440の第1の側部上の孔412を出て、内側スピンドル442の溝443に入る。ケーブル408は、下部スピンドル組立体440の第2の側部上の孔412を出て、外側スピンドル446の溝447に入る。下部スピンドル組立体440が第1の方向に(例えば、
図23の上から見ると反時計回りに)回転すると、ケーブル404は、ケーブル404を引き込むように、内側スピンドル442の周りに巻かれ、ケーブル408は、同時に、ケーブル408を伸張させるように、外側スピンドル446の周りから巻き出される。下部スピンドル組立体440が第1の方向とは反対の第2の方向に(例えば、
図23の上から見たときに時計回りに)回転すると、ケーブル404は、ケーブル402を伸張させるように、内側スピンドル442の周りから巻き出され、ケーブル406は、同時に、ケーブル408を引き込むように、外側スピンドル446の周りに巻かれる。この対応する引き込み及び伸張は、上に詳述されているように、継手300を関節運動させるように、遠位継手ハウジング390(
図17)に張力を加えることが理解されるだろう。
【0057】
図24及び27を参照すると、第1の関節運動シャフト430は、ハンドル100(
図1)からの入力に応答してスピンドル軸S-Sの周りで上部スピンドル組立体420を回転させるように、上部スピンドル組立体420の歯車428と噛み合い係合された歯車434を含む。ハンドル100は、長手方向軸A-Aに対して平行で、かつそこからオフセットされたシャフト軸の周りで第1の関節運動シャフト430を回転させる。第1の関節運動シャフト430は、コネクタ220内に画定された入力孔438を通して延在する入力部分432を含み、入力部分432を入力孔438内に回転可能に取り付けるように、かつ/または第1の関節運動シャフト430を長手方向に付勢するように、第1の関節運動シャフト430の近位部分の周りに配設された軸受組立体436を含み得る。
【0058】
第2の関節運動シャフト450は、ハンドル100(
図1)からの入力に応答してスピンドル軸S-Sの周りで下部スピンドル組立体440を回転させるように、下部スピンドル組立体440の歯車448と噛み合い係合された歯車454を含む。ハンドル100は、長手方向軸A-Aに対して平行で、かつそこからオフセットされたシャフト軸の周りで第2の関節運動シャフト450を回転させる。第2の関節運動シャフト450は、コネクタ220内に画定された入力孔458を通して延在する入力部分452を含み、入力部分452を入力孔458内に回転可能に取り付けるように、かつ/または第2の関節運動シャフト450を長手方向に付勢するように、第2の関節運動シャフト450の近位部分の周りに配設された軸受組立体456を含み得る。
【0059】
図22、24、26、及び28を参照すると、ロール機構500は、長手方向軸A-Aの周りで、アダプタ100(
図2)の細長い部分204及び遠位部分206を回転させるか、またはロールするように構成されている。同様のロール機構の一例が、2016年8月5日に出願された、米国特許出願第15/229,220号に記載されており、その全体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
ロール機構500は、ロール本体510と、ロールハウジング520と、係止機構560とを含む。ロール本体510は、関節運動用本体410及びコネクタ220に回転可能に固定されている。ロールハウジング520は係止機構560がロールハウジング520内に配設された状態で、ロール本体510のまわりに回転可能に配設されている。下にさらに詳細に記載されているように、係止機構560は、ロールハウジング520がコネクタ220に対して回転可能に固定された係止位置(
図3)、及びロールハウジング520がコネクタ220に対して長手方向軸A-Aの周りで回転可能である非係止位置(
図13)を有する。工具組立体600は、アダプタ100の長手方向軸A-Aの周りのロールハウジング520の回転が、工具組立体600(
図1)を長手方向軸A-Aの周りで回転させるように、ロールハウジング520に回転可能に固定されたアダプタ100の遠位部分206に回転可能に固定されている。これは、臨床医が、ハンドル100の配向を変えることなく、ハンドル100(
図1)に対して工具組立体600を配向させることを可能にする。
【0061】
ロールハウジング520は、第1の本体シェル524及び第2の本体シェル526から形成され得る。第1及び第2の本体シェル524、526の各々は、ロールハウジング520のおよそ半分を形成しており、締付具(明示的には示さない)により共に接合され得る。代替的に、第1及び第2の本体シェル524及び526は、溶接または同様のものにより共に固定され得る。第1及び第2の本体シェル524、526は、中心管280に連結されたロール本体510を受容する空洞522を画定している。中心管280は、ロール本体510に回転可能に固定されている。コネクタ220は、環状フランジ228を含み、第1及び第2の本体シェル524、526は、環状フランジ228を受容するように構成された近位環状溝528を画定している。環状フランジ228は、ロールハウジング520が、コネクタ220、ロール本体510、及び中心管280の周りで回転することを可能にしながら、ロールハウジング520をコネクタ220に対して長手方向に固定している。
【0062】
図22及び24を特に参照すると、ロール本体510は、係止輪514と、スペーサ515と、ネック部516とを含む。係止輪514、スペーサ515、及びネック部516の各々は、実質的に円筒形状であり、長手方向軸A-Aの周りに同軸上に配設されている。加えて、係止輪514、スペーサ515、及びネック部516の各々は、ロール本体510により画定された凹部518の遠位に位置付けられている。係止輪514は、スペーサ515とネック部516との間に位置付けられている。スペーサ515は、係止輪514とロール本体510の近位部分との間に間隙「G」を画定している。ネック部516は、係止輪514から遠位に延在している。係止輪514は、ネック部516より大きく、スペーサ515より小さい直径を有する。ケーブル402~408を受容する孔512は、ネック部516、係止輪514、及びスペーサ515を通して延在している。
【0063】
ロール機構500は、係止円盤540とロールナット550とを含む。係止円盤540は、係止輪514の周りに配設されており、間隙「G」が、係止円盤540とロール本体510の近位部分との間に画定されるように、スペーサ515に回転可能に固定されている。ロールナット550は、外側管270の近位部分274がロールナット550とネック部516との間に配設された状態で、ネック部516の周りに配設されている。ロールナット550は、ロールナット550が長手方向軸A-Aの周りで回転するように、ネック部516に対して回転可能である。外側管270の近位部分274は、対向する刻み目274を画定しており、ロールナット550は、外側管270が長手方向軸A-Aの周りの軸受500の回転に応答して回転するように、刻み目274内に配設された対向する突起552を含む。ロールナット550はまた、ロールナット550及び外側管270が、
図26に示されているようなロールハウジング520の回転に応答して長手方向軸A-Aの周りで回転するように、ロールナット550をロールハウジング520に回転可能に固定するように第2の本体シェル526のキー527を受容するキー溝554を画定している。上に詳述されているように、継手300、よって、工具組立体600(
図1)は、継手300及び工具組立体600が、長手方向軸A-Aの周りのロールハウジング520の回転と協働するように、外側管270に連結されている。ロールナット550はまた、キー溝554に対向する床面部556を含む。
【0064】
図22、24、及び26を続けて参照すると、係止機構560は、コネクタ220に対して固定回転配向でロールハウジング520を固定するように、係止円盤540に係合している。具体的には、係止円盤540は、コネクタ220に対する複数の固定位置のうちの1つにロールハウジング520を保持するように、下により詳細に記載されているような係止機構560の係止部材562を受容するように構成された複数のロック切り欠き542を画定している。
図22に最良に示されているように、ロック切り欠き542は、係止円盤540の周りに径方向に離間している。係止円盤540は、任意の好適な構成で配置され得る任意の数のロック切り欠き542を画定し得ると想定される。例えば、ロック切り欠き542は、設定間隔、均等、またはランダムに離間して配置され得る。加えて、ロック切り欠き542は、コネクタ220の周りの任意の360度(360°)の配向でのロールハウジング520の係止を可能にするように、係止円盤540の周りに全体的に延在するように形成され得る。
【0065】
さらに、
図28を参照すると、係止機構560は、係止部材562と、ボタン580と、付勢部材598とを含む。係止部材562は、ロック本体564と、遠位脚部566と、近位脚部568とを含む。ロック本体564は、ロック本体564の側部から延在する遠位脚部566及びボス574上に延在する指部572を含む。遠位脚部566は、止め567とロック569とを含む。止め567は、ロールナット550の床面部556に沿ってスライドし、遠位脚部566とT字形状を形成する。止め567は、止め567が、遠位脚部566がロック切り欠き542を通して全体的に通過することを防ぐように、ロック切り欠き542の幅より大きい幅を有する。追加的もしくは代替的に、ロック569は、遠位脚部566がロック切り欠き542を通して全体的に通過することを防ぐように、係止円盤540の背板544に係合し得る。ロック569は、コネクタ220に対するロールハウジング520の回転を防ぐために、係止部材562が係止位置にあるときにロック切り欠き542のそれぞれ1つ内に位置付けられるようにサイズ決め及び寸法決めされている。ロック156は、遠位脚部566から近位に延在しており、ロック切り欠き542のそれぞれ1つ内に位置付けられたときに、止め567が係止円盤540に当接するように構成されている。近位脚部568は、ロール本体510の止め515により画定された間隙「G」内に位置付けられた足部571を含む。遠位脚部566及び近位脚部568は、係止部材562が
図26に示されているような非係止位置にあるときに、係止円盤540がボイド574内で回転することを可能にするようにサイズ決め及び寸法決めされた、その間のボイド574を画定している。
【0066】
ボタン580は、盲孔(図示せず)を画定するボタン本体582、開口583、及びカムスロット584を有する。開口583は、本体582の遠位表面582bに遠位開口583aを画定するように、ボタン本体582の底表面582aから内方に延在している。遠位開口583aは、ボタン本体582の底表面582aに対向する棚部583bを含む。盲孔は、開口583のいずれかの側上のボタン本体582の底表面582aから、底表面582aにより画定された平面に対して直交する方向に、実質的に垂直に延在している。盲孔は、実質的に円筒状であり得、付勢部材598を受容するようにサイズ決めされている。
【0067】
カムスロット584は、ボタン本体582の側表面582dを通して全体的に通過している。カムスロット584は、ボタン580を横から見たときにカムスロット584が遠位上方に傾斜するように、ボタン本体582の底表面582a及びボタン本体582の近位表面582eに隣接するボタン本体582の第1の端584aから、ボタン本体582の遠位表面582b及び上表面582cに隣接するボタン本体582の第2の端部584bへと延在している。カムスロット584は、開口583と連通しており、ボタン580の垂直運動(すなわち、長手方向軸A-Aに実質的に向かう、かつそこから離れる運動)が、下に詳細に記載されているような係止部材562の長手方向の並進に影響を与えるように、係止部材562のボス574を受容するように構成されている。
【0068】
係止機構560は、ロールハウジング520内に画定されたチャネル521内に配設されている。係止機構560は、係止円盤540に隣接するコネクタ220上に位置付けられている。係止機構560の係止位置において、ロック569は、コネクタ220に対するロールハウジング520の配向を回転可能に固定するように、係止円盤540内に画定されたロック切り欠き542のうちの1つ内に配設されている。ボタン580は、係止部材562のロック本体564がボタン580の開口583内に配設されるように、係止部材562の径方向外方に位置付けられている。ロック本体564が開口583内に配設されたときに、係止部材562のボス574は、カムスロット584内にスライド可能に受容されている。加えて、付勢部材598は、ボタン580を係止部材562から離れるように促すように、盲孔内に受容されている。この位置において、係止部材562は、カムスロット584を画定するボタン580の一部分との係合に起因して、係止位置に近位に促される。付勢部材598は、ボタン580を係止部材562から離れるように付勢するように、床面部556に隣接するロールナット550の張り出し部568上で支持されている。しかしながら、付勢部材598は、止め567の上表面により支持され得、かつこれに沿ってスライド可能であり得ると考えられる。
【0069】
係止部材562の指部572は、ボタン580をロールハウジング520のチャネル521内に保持するために、指部572がボタン580の棚部583b上に位置付けられるように、ボタン580の開口583内に遠位に延在している。加えて、ボタン580の近位表面581eは、ボタン580をチャネル521内に保持するように、ボタン580の近位表面581eからロールハウジング520との係合へと近位に延在する保持フック589を含み得る。
【0070】
図22及び28に示されているように、係止機構560の係止位置において、ボタン580は、係止部材562がボス574により近位位置にカム動作するように、付勢部材598により上方に促される。近位位置において、ロック569は、コネクタ220に対するロールハウジング520の回転を防ぐように、係止円盤540のロック切り欠き542内に位置付けられている。
【0071】
図26に示されているように、ロック機構560非係止位置に並進させるために、ボタン580は、ロールハウジング520のチャネル521内で付勢部材598に対して押圧される。ボタン580が押圧されると、ボタン580は、ロールハウジング520のチャネル521内の実質的に垂直な運動(長手方向軸A-Aに向かう、かつこれから離れる運動)に限定される。ボタン580が押圧されると、ボス574は、ロールハウジング520に対する係止部材562の遠位長手方向の運動に影響を与えるように、カムスロット584内でスライドする。具体的には、カムスロット584を画定する壁は、係止部材562を長手方向軸A-Aに対して実質的に平行な方向に並進させるように、ボス574に係合している。係止部材562がボタン580に対して遠位に運動すると、ロック569は、切り欠き542内から係止円盤540の遠位の位置へと、よって、ロック切り欠き542の外へと運動する。この位置において、ロールハウジング520は、コネクタ220の周りで自由に回転する。係止部材564が遠位に運動すると、近位脚部568の足部571は、スペーサ515により画定された間隙「G」内でスライドし、係止部材564の遠位運動を制限するように係止円盤540に当接し得る。実施形態において、係止部材564の足部571と係止円盤540との間の接触が、ボタン580が完全に押圧され、及び/また係止機構560が非係止位置にあるという触覚フィードバックを臨床医に提供し得る。加えて、ボタン580が完全に押圧されると、係止部材562のロック本体564は、ボタン580及び/または係止部材564の遠位運動の押下を制限するように、開口583の屋根部583cに係合し得る。
【0072】
図26を続けて参照すると、係止機構560が非係止位置にある状態で、ロールハウジング520は、コネクタ220の周りで回転可能である。ロールハウジング520の回転はまた、ロールナット550のロールハウジング520との係合を通して長手方向軸A-Aの周りで外側管270を回転させる。
【0073】
ロック切り欠き542がロック569と不整列である状態で、ロールハウジング520がコネクタ220に対して回転し、ボタン580が解放されると、ロック569は、ロック569がロック切り欠き542のうちの1つと整列されるまで、係止円盤540に当接することが理解されるだろう。ロック569がロック切り欠き542のうちの1つと整列されると、付勢部材598は、ロック569が整列されているロック切り欠き542内にスライドするように、ボタン580を長手方向軸A-Aから離れるように促し、係止部材562の近位運動に影響を与えるだろう。ロック569が整列されているロック切り欠き542内にスライドするとき、止め567は、ロールハウジング520がコネクタ220に回転可能に固定された可聴式表示(「クリック」)を提供するように、係止円盤540に接触し得る。
【0074】
ロールハウジング520のコネクタ220周りの回転が上に詳述されているが、コネクタ220は、工具組立体600が外科手術部位内で実質的に静止したままの状態で、工具組立体600がハンドル100に対して再位置付け可能であるように、ロールハウジング520内で回転可能であり得ると考えられる。
【0075】
本明細書に記載されている構成要素のいずれも、強度、耐久性、摩耗性、重量、耐腐食性、製造の容易性、製造費用等を考慮して、金属、プラスチック、樹脂、複合体もしくは同様のもののいずれかから製造され得る。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態が、図内に示されているが、本開示は、技術上可能であり、同時に明細書から読み取れる限り広範な範囲であることを企図しているため、本開示がこれらに限定されることを企図するものではない。上の実施形態のいかなる組み合わせも想定されるものであり、かつ添付の特許請求の範囲内にある。したがって、上の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内で他の変形例を想定するだろう。