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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】非破壊試験のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/14 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
G01N27/14
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018052070
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019012054
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】15/464,204
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コスラバニ, シャハリアル
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-105132(JP,A)
【文献】特開昭61-114151(JP,A)
【文献】特開2008-241554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0221148(US,A1)
【文献】特開2007-024603(JP,A)
【文献】特開2010-210366(JP,A)
【文献】特開2013-053858(JP,A)
【文献】特開2005-195405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊試験システムであって、
供試物品(101)の金属構成要素(12)に連結するよう構成された第1電気コネクタ(121)、及び、前記供試物品の炭素繊維複合構成要素(14)に連結するよう構成された第2電気コネクタ(122)を備える供試物品インターフェース(120)と、
基準物品(111)の金属構成要素に連結するよう構成された第3電気コネクタ(131)、及び、前記基準物品の炭素繊維複合構成要素に連結するよう構成された第4電気コネクタ(132)を備える基準物品インターフェース(130)と、
前記供試物品インターフェース(120)に電気的に接続され、前記基準物品インターフェースに電気的に接続され、かつ、少なくとも1つの信号を生成するよう構成された少なくとも1つのセンサ(142)であって、前記少なくとも1つの信号が前記供試物品インターフェースと前記基準物品インターフェースとの間の電圧に基づきかつ前記供試物品インターフェースと前記基準物品インターフェースとの間の電流に基づき、前記電流及び前記電圧が前記供試物品と前記基準物品との間の温度差に基づく、少なくとも1つのセンサ(142)と、
前記少なくとも1つのセンサからの前記少なくとも1つの信号に基づいて、前記供試物品が落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力を生成するよう設定されたプロセッサ(146)とを備える、非破壊試験システム。
【請求項2】
前記供試物品と前記基準物品との間の前記温度差を制御するよう構成された温度制御システム(150)を更に備える、請求項1に記載の非破壊試験システム。
【請求項3】
前記温度制御システムが、
温度コントローラ(152)と、
前記供試物品インターフェースに連結され、かつ、前記温度コントローラに連結された第1温度センサ(123)と、
前記基準物品インターフェースに連結され、かつ、前記温度コントローラに連結された第2温度センサ(133)と、
前記温度コントローラに連結された少なくとも1つの熱伝達素子(124、134)とを含み、
前記温度コントローラが、前記第1温度センサから第1温度指示値(154)を受け取り、前記第2温度センサから第2温度指示値(156)を受け取り、かつ、前記供試物品と前記基準物品との間の前記温度差を制御するために、前記少なくとも1つの熱伝達素子に、前記第1温度指示値及び前記第2温度指示値に基づく制御信号(158、160)を提供するよう構成される、請求項2に記載の非破壊試験システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの熱伝達素子が、前記供試物品インターフェースに連結された少なくとも1つの加熱デバイスと、前記基準物品インターフェースに連結された少なくとも1つの冷却デバイスとを含む、請求項3に記載の非破壊試験システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱伝達素子が、前記供試物品インターフェースに連結された少なくとも1つの冷却デバイスと、前記基準物品インターフェースに連結された少なくとも1つの加熱デバイスとを含む、請求項3に記載の非破壊試験システム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記供試物品の実効抵抗を特定し、かつ、前記実効抵抗と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データとの比較を実施するよう、更に設定され、前記供試物品が前記破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す前記出力は、前記比較に基づく、請求項1から5のいずれか一項に記載の非破壊試験システム。
【請求項7】
前記供試物品の前記炭素繊維複合構成要素と前記基準物品の前記炭素繊維複合構成要素とが同種の複合材料で形成され、前記供試物品の前記金属構成要素と前記基準物品の前記金属構成要素とが同種のコネクタである、請求項1から6のいずれか一項に記載の非破壊試験システム。
【請求項8】
前記基準物品が、前記基準物品の前記金属構成要素と前記基準物品の前記炭素繊維複合構成要素との間に充填材(113)を更に備え、前記充填材は、前記供試物品の実効抵抗に比べて前記基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される、請求項7に記載の非破壊試験システム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記供試物品の接触面積(117)を特定し、かつ、前記接触面積と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データ(172)との比較を実施するよう、更に設定され、前記供試物品が前記破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す前記出力は、前記比較に基づく、請求項1から8のいずれか一項に記載の非破壊試験システム。
【請求項10】
前記供試物品の材料と前記基準物品の材料の前記温度差及び熱電特性によって、前記電圧及び前記電流が誘起される、請求項1から9のいずれか一項に記載の非破壊試験システム。
【請求項11】
前記供試物品インターフェースと前記基準物品インターフェースとが電気的に相互接続されて回路を形成し、前記回路は、前記供試物品の第1部分と前記基準物品の第2部分とを電気的に接続し、かつ、前記少なくとも1つのセンサを、前記供試物品の第3部分及び前記基準物品の第4部分に電気的に接続する、請求項1から10のいずれか一項に記載の非破壊試験システム。
【請求項12】
炭素繊維複合構成要素及び金属構成要素を備える供試物品と、基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを、非破壊試験システムにおいて判定すること(302)と、
前記温度差が前記温度規準を満たすという判定に基づいて、
前記供試物品と前記基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を、前記非破壊試験システムによって感知すること(304)、及び、
前記供試物品と前記基準物品との間に熱電的に誘起された電流を、前記非破壊試験システムによって感知すること(306)と、
前記熱電的に誘起された電圧及び前記熱電的に誘起された電流に基づいて、前記供試物品が落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力を、前記非破壊試験システムによって生成すること(308)とを含む、方法。
【請求項13】
前記温度差が前記温度規準を満たさないという判定に基づいて、前記供試物品の温度、前記基準物品の温度、又はその両方を、前記非破壊試験システムによって調整すること(406)を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データにアクセスすることと、
前記熱電的に誘起された電圧及び前記熱電的に誘起された電流に基づいて特定された値と、前記雷試験データとの比較を実施することとを更に含み、
前記供試物品が前記破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す前記出力は、前記比較に基づいて決定される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記供試物品の前記炭素繊維複合構成要素が特定の複合材料で形成され、前記基準物品が、前記特定の複合材料で形成された炭素繊維複合構成要素を含み、前記供試物品の前記金属構成要素が特定の種類のコネクタに対応し、前記基準物品が、前記特定の種類のコネクタに対応する金属構成要素を含み、前記基準物品が、前記基準物品の前記金属構成要素と前記基準物品の前記炭素繊維複合構成要素との間に充填材を更に備え、前記充填材は、前記供試物品の実効抵抗に比べて前記基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、非破壊試験に関する。
【背景技術】
【0002】
厳しい気象条件の作用は、そのような環境に曝露される構造物及びシステムの設計決定に大いに影響を与えうる。例えば、構造物又はシステムが曝露されうる環境条件に基づいて、特定の材料又は特定の構成要素配置が選択されうる。更に、この特定の材料又は特定の構成要素配置は、設計決定を裏付けるための試験を受けうる。
【0003】
具体的な環境条件における動作試験の一具体例は、直撃雷影響試験である。システム又は構成要素の材料に対する大電流パルスの影響を理解するために、これらのシステム又は構成要素は、直撃雷影響試験により、かかる大電流パルスに曝露される。例えば、航空機は、米国連邦航空局(U.S. Federal Aviation Administration)などの政府事業体から稼働の認可を受ける前に、直撃雷影響試験標準を満たすことが必要でありうる。風力タービンや特徴的な建築などの他のシステムも、直撃雷影響試験を受けることがある。
【0004】
直撃雷影響試験の実施は、かなり資源集約的でありうる。例えば、通常、短時間で大電流のパルスを生成するためには、大量のコンデンサ、及び、複雑な切換と制御のシステムが使用される。また、直撃雷影響試験は破壊試験であり、直撃雷影響試験を受けた部品は通常、すぐには再使用できない。そのような部品は、例えば、使用前に検査又は補修が必要になる様態で損傷されうる。
【発明の概要】
【0005】
特定の一例では、非破壊試験システムは、供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとを含む。供試物品インターフェースは、供試物品の金属構成要素に連結するよう構成された第1電気コネクタと、供試物品の炭素繊維複合構成要素に連結するよう構成された第2電気コネクタとを含む。基準物品インターフェースは、基準物品の金属構成要素に連結するよう構成された第3電気コネクタと、基準物品の炭素繊維複合構成要素に連結するよう構成された第4電気コネクタとを含む。非破壊試験システムは、供試物品インターフェースに電気的に接続され、かつ、基準物品インターフェースに電気的に接続された、少なくとも1つのセンサも含む。少なくとも1つのセンサは、供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとの間の電圧に基づいて、かつ、供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとの間の電流に基づいて、少なくとも1つの信号を生成するよう構成され、この電流及び電圧は、供試物品と基準物品との間の温度差に基づく。非破壊試験システムは、少なくとも1つのセンサからの少なくとも1つの信号に基づいて、供試物品が雷試験標準を満たすことが予期されるか否かを示す出力を生成するよう設定された、プロセッサを更に含む。
【0006】
別の特定の例では、方法は、供試物品が炭素繊維複合構成要素及び金属構成要素を含む場合に、非破壊試験システムにおいて、供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを判定することを含む。方法は、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、非破壊試験システムによって、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を感知すること、及び、非破壊試験システムによって、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流を感知することも、含む。方法は、非破壊試験システムによって、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて、供試物品が雷試験標準を満たすことが予期されるか否かを示す、出力を生成することを更に含む。
【0007】
別の特定の例では、コンピュータ可読記憶デバイスは指令を記憶し、この指令が、非破壊試験システムのプロセッサによって実行されると、非破壊試験システムのプロセッサに工程を実施させる。工程は、供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを判定することを含む。工程は、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧に基づき、かつ、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流に基づく、供試物品の実効抵抗を特定することも含む。工程は、供試物品が雷試験標準を満たすことが予期されるか否かを示す、出力を生成することを更に含む。
【0008】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態で個別に実現されうるか、又は、以下の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解可能な、更に別の実施形態において組み合わされうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】非破壊試験システムの特定の実施形態のブロック図である。
図2図1の非破壊試験システムの特定の一例を示す図である。
図3】非破壊試験の方法の特定の一例を示すフロー図である。
図4】非破壊試験の方法の別の特定の例を示すフロー図である。
図5】本開示による非破壊試験をサポートするよう設定された演算環境の特定の一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、非破壊試験のためのシステム及び方法について説明している。構成要素の非破壊試験は、それに続く、同じ構成要素に対する直撃雷影響試験の実施に適合する様態で実施される。例えば、非破壊試験は、熱力学的に可逆性であり、直撃雷影響試験の結果を変える可能性があるいかなる外的影響(外部の電流や電圧など)にも、構成要素を曝露することはない。ゆえに、供試物品(試験材など)は、非破壊試験を受け、それに続いて、直撃雷影響試験標準に準拠していることを示すために使用されることが可能である。更に、非破壊試験は、供試物品が直撃雷影響試験に合格することが見込まれる(例えば、直撃雷影響試験に関連する標準の要件に準拠しているか、又はかかる標準を満たしている)か否かを予測するために、使用されうる。ゆえに、供試物品が非破壊試験で適切に作動すれば、その供試物品は、より高価かつ資源集約的な直撃雷影響試験を受けることが可能になる。しかし、供試物品が非破壊試験で適切に作動しなければ、その供試物品が直撃雷影響試験を受ける時間と費用を費やすことは回避されうる。供試物品は、直撃雷影響試験に合格することが予期されないからである。
【0011】
本書で開示されている非破壊試験は、2つ以上の異なる材料で形成された物品(複合材料と金属との間にインターフェースを含む物品など)を試験するために、使用されうる。別々の熱電特性を有する金属材料と半金属材料との間のインターフェースは、例えばゼーベック効果により、起電力を生成しうる。ゆえに、複合材料が金属構成要素と炭素繊維などの半金属構成要素とを含む場合、金属構成要素及び半金属構成要素と金属部分との間のインターフェースは、電流、電圧、又はその両方を、熱電的に誘起しうる。
【0012】
熱電的に誘起された電流、及び熱電的に誘起された電圧を測定することによって、供試物品を含む回路の実効抵抗が特定されうる。実効抵抗は、供試物品が直撃雷影響試験に合格することが見込まれるか否かについての指示値を提供する。例えば、供試物品が直撃雷影響試験に合格することが見込まれるか否かを判定するために、実効抵抗(又は、実効抵抗に基づいて特定される別の値)は、直撃雷影響試験を既に受けた物品の雷試験データと比較されうる。別の例としては、実効抵抗閾値を特定して、(例えば、サポートベクトルマシンモデル、又は別の非線形分類子を使用して)直撃雷影響試験の結果をモデリングするために、直撃雷影響試験に合格した物品の実効抵抗と、直撃雷影響試験に合格しなかった物品の実効抵抗が使用されうる。この例では、供試物品が直撃雷影響試験に合格することが予期されるか否かを、非破壊試験に基づいて予測するために、供試物品を含む回路の実効抵抗が、直撃雷影響試験の結果のモデルと比較されうる。
【0013】
航空機や風力タービンなどの大型で複雑なシステムは多数の材料インターフェースを有することがあり、これらの材料インターフェースは、直撃雷影響試験によって異なる影響を受けうる。本書に記載の非破壊試験を使用することで、設計者又は製造業者が、直撃雷影響試験の使用を、直撃雷影響試験標準を満たすことが大いに見込まれるシステム又は構成要素に限定することが、可能になりうる。
【0014】
更に、設計変更又は製造プロセス変更を行うには、特定の構成要素の再試験が行われうる。例えば、構成要素の実効抵抗は、使用される材料の種類、使用される異なる材料(例えば金属と複合物)間の接触面積、及び、使用される種々の非等方性材料の配向といった、多くの要因の関数でありうる。一具体例としては、炭素繊維複合物に接続された金属コネクタのサイズ、形状、又は配向の変更により、炭素繊維複合物と金属コネクタとの間のインターフェースの実効抵抗が変わることがあり、これによって、直撃雷影響試験の結果が変わりうる。その他の変更により、実効抵抗が変わることもある。例示すると、金属コネクタを受容するために炭素繊維複合物に穴を空けるのに使用される製造技法を変更することで、金属コネクタと炭素繊維複合物との接触面積が変わりうる。別の具体例としては、金属コネクタと炭素繊維複合物との接触面積は、炭素繊維複合物と金属コネクタとの間に、潤滑剤や接着剤などの別の物質を追加することによって変わりうる。かかる設計変更又は製造プロセス変更が数多く行われる場合、本書に記載の非破壊試験を、物品が直撃雷影響試験を受けるか否かを決定するための「予備試験(pretest)」として使用することに関連する節減は、有意なものになりうる。
【0015】
本書で開示されている非破壊試験は、供試物品を含む回路の実効抵抗を特定するために、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧、及び熱電的に誘起された電流の測定値を使用する。供試物品は、直撃雷影響試験への適応について試験されるべき、特定の製造プロセスを使用して形成された特定構成の材料を有しうる。基準物品は、実質的に、供試物品と同一物である(例えば、特定の製造プロセスを使用して形成された特定構成の材料を含む)。ただし、基準物品は充填材を含み、この充填材は、基準物品の材料間の有効接触面積を増大させることによって基準物品の実効抵抗を低減する。
【0016】
非破壊試験を実施するために、供試物品と基準物品とは、互いに、かつ一又は複数のセンサに、電気的に接続される。供試物品の温度、基準物品の温度、又はその両方が、供試物品と基準物品との間に特定の温度差を確立するよう制御される。この温度差、及び、関連材料の熱電特性により、供試物品と基準物品との間に、電流、電圧、又はその両方が、(例えばゼーベック効果によって)誘起される。供試物品は、直撃雷影響試験の結果を変化させる可能性がある外力又は外的影響を受けないので、非破壊試験が実施された後に、直撃雷影響試験を受けうる。更に、非破壊試験は、供試物品が直撃雷影響試験標準を満たすことが見込まれるか否かを予測するために使用されうるので、非破壊試験により、供試物品が直撃雷影響試験標準を満たすことが見込まれないと示されれば、供試物品が直撃雷影響試験を受けないこともある。
【0017】
図1は、非破壊試験システムの特定の一実施形態のブロック図である。非破壊試験システム100は、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130とを含む。図1には、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130の各々が、1つの図示ブロックによって示されているが、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130とは、図2に示しているように、複数の離間した、物理的に断接されている構成要素に対応しうるか、又はかかる構成要素を含みうる。
【0018】
供試物品インターフェース120は、供試物品101の金属構成要素102に連結するよう構成された第1電気コネクタ121と、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104に連結するよう構成された第2電気コネクタ122とを含む。第1電気コネクタ121は供試物品101の金属構成要素102の一部に連結し、第2電気コネクタ122は供試物品101の炭素繊維複合構成要素104の一部に連結しており、それにより、第1電気コネクタ121と第2電気コネクタ122との間に電流経路が設けられる。例えば、供試物品101の金属構成要素102は、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104の一又は複数の炭素繊維に接触している。電流経路により、電流が、第1電気コネクタ121から供試物品101の金属構成要素102に、供試物品101の金属構成要素102から供試物品101の炭素繊維複合構成要素104の一又は複数の炭素繊維に、そして、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104の一又は複数の炭素繊維から第2電気コネクタ122に、流れることが可能になる。
【0019】
基準物品インターフェース130は、基準物品111の金属構成要素112に連結するよう構成された第3電気コネクタ131と、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114に連結するよう構成された第4電気コネクタ132とを含む。第3電気コネクタ131は基準物品111の金属構成要素112の一部に連結し、第4電気コネクタ132は基準物品111の炭素繊維複合構成要素114の一部に連結しており、それにより、第3電気コネクタ131と第4電気コネクタ132との間に電流経路が設けられる。例えば、基準物品111の金属構成要素112は、充填材113、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114の一又は複数の炭素繊維、又はその両方に接触している。電流経路により、電流が、第3電気コネクタ131から基準物品111の金属構成要素112に、基準物品111の金属構成要素112から(直接的に、又は充填材113を介して)基準物品111の炭素繊維複合構成要素114の一又は複数の炭素繊維に、そして、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114の一又は複数の炭素繊維から第4電気コネクタ132に、流れることが可能になる。
【0020】
基準物品111は、(基準物品111の充填材113を除いて)実質的に、供試物品と同一物である。例えば、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104と基準物品111の炭素繊維複合構成要素114とは、同種の複合材料で形成される。同様に、供試物品101の金属構成要素102と基準物品111の金属構成要素112も同種のコネクタである。
【0021】
基準物品111の金属構成要素112と、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114との間の充填材113は、供試物品101の実効抵抗105に比べて基準物品111の実効抵抗115を低くするよう構成される。供試物品101の実効抵抗105は、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104と供試物品101の金属構成要素102との接触面積107を示すものである。充填材113により、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114と基準物品111の金属構成要素112との接触面積117は、供試物品101の接触面積107に比べて大きくなる。基準物品111接触面積117が大きくなることで、基準物品111の実効抵抗は、供試物品101に比べて低くなる。
【0022】
例えば、特定の一構成では、供試物品101と基準物品111は、各々が炭素繊維複合物の試験材の穴を通って延在する金属ファスナ(締結部)を含む、試料である。この例では、炭素繊維複合物の試験材に穴が形成される時に炭素繊維複合物の炭素繊維の一部が切断され、穴の中又は穴のエッジに露出しうる。金属ファスナがこの穴の中に挿入されると、金属ファスナは、露出した炭素繊維の少なくとも1つのサブセット(一部)と交差する(例えば、かかるサブセットと電気接触する)。金属ファスナの、露出した炭素繊維と接触している部分により、試料の接触面積が決まる。例えば、供試物品101の接触面積107は、金属構成要素102のどれだけが炭素繊維複合構成要素104の炭素繊維と接触しているかに基づく。同様に、基準物品111の接触面積117は、金属構成要素112のどれだけが炭素繊維複合構成要素114の炭素繊維と接触しているかに基づく。充填材113により、金属構成要素112と、金属構成要素112に物理的に直接接触してはいない炭素繊維複合構成要素114の露出した炭素繊維との間に、導電経路が設けられる。ゆえに、基準物品111の接触面積117は、供試物品101の接触面積107よりも大きくなる。
【0023】
非破壊試験システム100は、供試物品インターフェース120に電気的に接続され、かつ、基準物品インターフェース130に電気的に接続された、少なくとも1つのセンサ(例えばセンサ(複数可)142)も含む。センサ(複数可)142は、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130との間の電圧に基づく(例えば、かかる電圧の測定値を示す)一又は複数の信号(例えば信号(複数可)144)、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130との間の電流に基づく(例えば、かかる電流の測定値を示す)か、又は、この電流及び電圧に基づく(例えば、かかる電流及び電圧の測定値を示す)信号を、生成するよう構成される。
【0024】
電流及び電圧は、供試物品101と基準物品111との間の温度差に基づく。例えば、電圧及び電流は、ゼーベック効果の結果として、供試物品101の材料と基準物品111の材料の温度差及び熱電特性106、116によって、誘起されうる。
【0025】
非破壊試験システム100は、供試物品101と基準物品111との間の温度差を制御するよう構成された、温度制御システム150を含みうる。特定の一例では、温度制御システム150は、複数の温度センサ(供試物品インターフェース120に連結された第1温度センサ123、及び基準物品インターフェース130に連結された第2温度センサ133など)に連結された、温度コントローラ152を含む。温度制御システム150は、少なくとも1つの熱伝達素子124、134に連結される。例えば、少なくとも1つの熱伝達素子124、134は、供試物品インターフェース120に連結された少なくとも1つの加熱デバイスと、基準物品インターフェース130に連結された少なくとも1つの冷却デバイスとを含みうる。別の例としては、少なくとも1つの熱伝達素子124、134は、供試物品インターフェース120に連結された少なくとも1つの冷却デバイスと、基準物品インターフェース130に連結された少なくとも1つの加熱デバイスとを含みうる。更に別の例では、少なくとも1つの熱伝達素子124、134は、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130に連結された加熱デバイスと冷却デバイスとの、その他の組み合わせを含む。
【0026】
温度コントローラ152は、第1温度センサ123から第1温度指示値(測定値)154を受け取り、第2温度センサ133から第2温度指示値156を受け取り、かつ、供試物品101と基準物品111との間の温度差を制御するために、少なくとも1つの熱伝達素子124、134に制御信号158、160を提供するよう、構成される。制御信号158、160は、第1温度指示値154及び第2温度指示値156に基づく。
【0027】
非破壊試験システム100は、センサ(複数可)142からの信号(複数可)144に基づいて出力182を生成するよう設定された、プロセッサ146も含む。出力182は、供試物品101の実効抵抗105を表わすデータを含む。例えば、出力182は、実効抵抗105の値を示しうる。別の例としては、出力182は、供試物品101を含む回路140の全抵抗の値を示しうる。更に別の例としては、出力182は、実効抵抗105(又は回路140の全抵抗)が規準を満たすか否か(例えば、実効抵抗105(又は回路140の全抵抗)が、直撃雷影響試験標準を満たすことに関連する実効抵抗(又は全抵抗)などの特定の閾値を、上回る又は下回るか否か)を、示しうる。
【0028】
工程において、供試物品インターフェース120と基準物品インターフェース130とは、電気的に相互接続して回路140を形成する。回路140は、供試物品101の第1部分と基準物品111の第2部分とを電気的に接続し、かつ、少なくとも1つのセンサ142を、供試物品101の第3部分及び基準物品111の第4部分に電気的に接続する。例えば、図2に示しているように、供試物品101の金属構成要素102は、基準物品111の金属構成要素112に電気的に接続されてよく、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104は、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114に、(センサ(複数可)142を介して)電気的に接続されうる。
【0029】
温度制御システム150が温度差が温度規準を満たしていないことを示すと、温度コントローラ152は、供試物品101の温度、基準物品111の温度、又はその両方を調整するために、熱伝達素子(複数可)124、134に制御信号158、160を送る。例えば、温度コントローラ152は、供試物品101を加熱するため、供試物品101を冷却する(すなわち、供試物品101から熱を除去する)ため、基準物品111を加熱するため、基準物品111を冷却するため、又は、これらの組み合わせを行うために、温度差に基づいて、制御信号158、160を送る。
【0030】
温度制御システム150は、温度差が温度規準を満たしていると判定すると、プロセッサ146に信号を送りうる。プロセッサ146は、温度差が温度規準を満たしているという指示値に基づいて、供試物品101(又は回路140)の実効抵抗105の推定値を生成する。回路140の実効抵抗は、供試物品101と基準物品111との間に熱電的に誘起された電圧、及び、供試物品101と基準物品111との間に熱電的に誘起された電流に基づいて、(例えば、オームの法則を使用して)算出される。供試物品101の実効抵抗105は、回路140の実効抵抗から基準物品111の実効抵抗115を引くことによって、算出され(又は推定され)うる。基準物品111は直撃雷影響試験に使用されないので、基準物品111の実効抵抗115は、他の試験(外部電源から基準物品111に既知の電圧を印加し、結果として得られる電流を測定することなど)によって特定されうる。
【0031】
供試物品101又は回路140の実効抵抗が特定された後、プロセッサ146は、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力184を生成するために、実効抵抗と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データ172との比較を実施する。一部の実行形態では、プロセッサ146により、異なる値が雷試験データ172と比較される。例えば、プロセッサ146は、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力184を生成するために、(以下で詳述するように)供試物品101の接触面積107を特定し、接触面積107と雷試験データ172とを比較しうる。例示すると、破壊的落雷試験の合否に関連する(特定の材料、又は特定の材料配置についての)閾値接触面積を特定するために、雷試験データ172が評価されてよく、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かを判定するために、供試物品101の接触面積107が閾値接触面積と比較されうる。ゆえに、非破壊試験システム100により、供試物品101が、直撃雷影響試験などの破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かを推定又は予測するための、供試物品101の非破壊試験が可能になる。
【0032】
図2は、図1の非破壊試験システム100の特定の例を示す図である。図2の図は、図1の、供試物品101、基準物品111、供試物品インターフェース120、基準物品インターフェース130、及びセンサ(複数可)142の、物理的配置の特定の一例を示している。図2の図は、炭素繊維複合構成要素104の斜視断面図200も示している。
【0033】
図2では、供試物品101の炭素繊維複合構成要素104は、金属構成要素102によって層202に連結されている。同様に、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114は、金属構成要素112によって層204に連結されている。図2では、金属構成要素102、112は、ボルト、リベット、ねじ、ピン、鋲、綴じがね(staple)、又は、金属で形成され、若しくは金属を含むその他のファスナなどの、ファスナを含む。他の例では、金属構成要素102、112は、層202、204に対応する。例示すると、層202は、層202と炭素繊維複合構成要素104の炭素繊維との間の電気的接触を可能にする様態で炭素繊維複合構成要素104に連結されている金属(金属パネルなど)で形成されうるか、又はかかる金属を含みうる。他の例では、層202、204は、供試物品101及び基準物品111から省略される。
【0034】
斜視断面図200に示しているように、炭素繊維複合構成要素104は、金属構成要素102を受容するための開口214を含む(例えば画定する)。開口214は、炭素繊維複合構成要素104と金属構成要素102との間に、使用可能な接触面積を画定する。例えば、図2では、開口214は、円形であり、直径(d)と高さ(h)とを有する。ゆえに、炭素繊維複合構成要素104と金属構成要素102との、使用可能な総接触面積は、開口214の側壁212の表面積に対応し、この表面積は、図2のπ×d×hと等しくなる。他の例では、開口214は、異なるサイズ又は形状を、したがって、側壁212の異なる表面積を、有しうる。ゆえに、円形の開口214という例は1つの可能性にすぎない。
【0035】
側壁212の凹凸、金属構成要素102の凹凸、又は、炭素繊維複合構成要素104及び金属構成要素102のその他の特性により、金属構成要素102は、側壁212の一部にだけ接触することがある。図2では、側壁212の、金属構成要素102と接触する部分が、炭素繊維複合構成要素104と金属構成要素102との接触面積107に対応する。
【0036】
基準物品111は、炭素繊維複合構成要素114と金属構成要素112との間の間隙を充填する、充填材113を含む。ゆえに、基準物品111の炭素繊維複合構成要素114と金属構成要素112との接触面積117は、炭素繊維複合構成要素114と金属構成要素112との、使用可能な総接触面積(例えばπ×d×h)と、実質的に等しくなる(例えば、かかる面積の製造許容誤差の範囲に収まる)。ゆえに、基準物品111の接触面積117は、供試物品101の接触面積107よりも大きくなりうる。物品101、111の実効抵抗105、115は、各物品101、111の接触面積107、117に関連するので、供試物品101の実効抵抗105は、基準物品111の実効抵抗115よりも大きくなりうる。したがって、実効抵抗105の値が、接触面積107を推定するのに使用されうる。上述のように、供試物品101の実効抵抗105は、基準物品の実効抵抗115及び回路140の実効抵抗に基づいて、特定されうる。回路140の実効抵抗(Reff)は、方程式1を使用して算出されうる。
方程式1
ここで、Vは電圧センサ206によって測定された開路電圧であり、Iは電流センサ208によって測定された短絡電流である。接触面積107が増大するにつれて、実効抵抗105は減少する(例えば、実効抵抗105は接触面積107に反比例する)。更に、この解析のために、基準物品111の接触面積117が最大化され、かつ、基準物品111の実効抵抗115が最小化されていることを除き、基準物品111は、供試物品101と実質的に同一である。つまり、接触面積117は、開口214の総表面積(S)と等しいと見なされ、基準物品111の実効抵抗115は、(例えば、基準物品111の試験に基づいて、)金属構成要素112と炭素繊維複合構成要素114との完全接触に関連する、最小抵抗(Rmin)となる。ゆえに、供試物品の接触面積107(Seff)は、方程式2を使用して推定されうる。
方程式2
【0037】
図2は、センサ(複数可)142のうちの複数のセンサ間での切り替えを可能にするための、スイッチ210も示している。例えば、供試物品101と基準物品111との間の電圧(例えば開路電圧)を測定するために、スイッチ210が、第1位置において、電圧センサ206を回路140に電気的に接続する。供試物品101と基準物品111との間の電流(例えば閉ループ電流)を測定するために、スイッチ210が、第2位置において、電流センサ208を回路140に電気的に接続する。センサ206、208は、開路140(供試物品101、基準物品111、及び、それらの間の関連電気接続部を含む)の実効抵抗値を特定するために、プロセッサ146に信号を提供する。
【0038】
上述のように、プロセッサ146は、センサ206、208によって提供された信号に基づいて出力を生成するよう、設定される。例えば、図2では、出力はディスプレイデバイスにおける表示を含む。図2では、この表示は、供試物品101の実効抵抗105を表わすデータを含み、かつ、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かについての指示値(例えば「雷試験予想=合格(Lighting Test Projection=PASS)」)を含む。他の例では、出力は、供試物品101の実効抵抗105表わすデータの代わりに、又はかかるデータに加えて、供試物品101の接触面積107を表わすデータ、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かについての指示値、又はその両方を、含みうる。
【0039】
供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かについての指示値は、供試物品101の実効抵抗105又は供試物品101の接触面積107に基づいて、かつ、既に試験された物品に関連するデータ(例えば雷試験(LT)データ172)に基づいて、決定されうる。図2では、この表示は、供試物品101が破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かについての指示値に関連する信頼性スコアを表わすデータ(例えば、「信頼性90%(90%confidence)」)も含む。信頼性スコアは、供試物品101の実効抵抗105(又は、供試物品101の接触面積107)と、既に試験された物品に関連するデータ(例えばLTデータ172)との統計的比較に基づいて、算出されうる。
【0040】
図3は、非破壊試験の方法300の特定の一例を示すフロー図である。方法300は、図1又は図2の非破壊試験システム100によって実施されうる。例えば、方法300により、供試物品が直撃雷影響試験などの破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かを予測するための、供試物品の非破壊試験が可能になる。方法300を実施するために、供試物品が基準物品に連結される。供試物品は、炭素繊維複合構成要素と金属構成要素とを含む。同様に、基準物品も、炭素繊維複合構成要素と金属構成要素とを含む。供試物品の炭素繊維複合構成要素は特定の複合材料で形成され、基準物品の炭素繊維複合構成要素も、この特定の複合材料で形成される。同様に、供試物品の金属構成要素は特定の種類のコネクタに対応し、基準物品の金属構成要素も、この特定の種類のコネクタに対応する。上述のように、基準物品は、基準物品の金属構成要素と基準物品の炭素繊維複合構成要素との間に充填材を含む。充填材は、供試物品の実効抵抗に比べて基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される。供試物品の実効抵抗は、供試物品の炭素繊維複合構成要素と供試物品の金属構成要素との接触面積を示すものである。
【0041】
方法300は、302において、供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを判定することを含む。例えば、温度コントローラ152が、温度センサ123、133からの温度指示値154、156に基づいて、温度差が温度規準を満たすか否かを判定しうる。
【0042】
方法300は、304において、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を感知することも含む。方法300は、306において、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を感知することも含む。例えば、図1のセンサ142が、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流を感知しうる。
【0043】
熱電的に誘起された電流と電圧は、かなり小さな(例えば、それぞれマイクロボルト及びマイクロアンペアの範囲内の)ものになる傾向があり、かつ、温度差に関連する。温度規準は、予期される熱電的に誘起された電流及び電圧が信頼性の高い測定に十分な強度を有するように、選択される。一部の実行形態では、複数の電流及び電圧の示度(reading)が、温度差の範囲全体において特定されうる。温度差の範囲全体において多重測定を行うことで、電圧及び電流の測定に関連するエラーが減少しうる。
【0044】
方法300は、308において、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて、供試物品が破壊的落雷試験に合格することが見込まれる(例えば、雷試験標準を満たすことが予期される)か否かを示す、出力を生成することを更に含む。出力は、更に、又は代替例においては、供試物品の実効抵抗、供試物品の接触面積、又はその両方の指示値を含みうる。別の例では、出力は、供試物品の実効抵抗又は供試物品の接触面積が、供試物品が破壊的落雷試験に合格することが予期される否かを示す規準などの規準を満たすか否かを、示しうる。
【0045】
図4は、非破壊試験の一方法の、より詳細な例を示すフロー図である。方法400は、図1又は図2の非破壊試験システム100によって実施されうる。方法400により、供試物品が直撃雷影響試験などの破壊的落雷試験に合格することが見込まれるか否かを予測するための、供試物品の非破壊試験が可能になる。
【0046】
方法400を実施するために、供試物品が基準物品に連結される。供試物品は、炭素繊維複合構成要素と金属構成要素とを含む。同様に、基準物品も、炭素繊維複合構成要素と金属構成要素とを含む。供試物品の炭素繊維複合構成要素は特定の複合材料で形成され、基準物品の炭素繊維複合構成要素も、この特定の複合材料で形成される。同様に、供試物品の金属構成要素は特定の種類のコネクタに対応し、基準物品の金属構成要素も、この特定の種類のコネクタに対応する。上述のように、基準物品は、基準物品の金属構成要素と基準物品の炭素繊維複合構成要素との間に充填材を含む。充填材は、供試物品の実効抵抗に比べて基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される。供試物品の実効抵抗は、供試物品の炭素繊維複合構成要素と供試物品の金属構成要素との接触面積を示すものである。
【0047】
方法400は、402において、供試物品と基準物品との間の温度差と温度規準とを比較することを含む。例えば、温度コントローラ152が、温度センサ123、133からの温度指示値154、156に基づいて、温度差が温度規準を満たすか否かを判定しうる。
【0048】
方法400は、404において、温度差が温度規準を満たすか否かを判定することを含む。方法400は、404における、温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、406において、供試物品の温度、基準物品の温度、又はその両方を調整することを含む。例えば、方法400は、温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、非破壊試験システム100の加熱デバイスを使用して供試物品又は基準物品に熱を加えることを含みうる。別の例としては、方法400は、温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、非破壊試験システム100の冷却デバイスを使用して供試物品又は基準物品から熱を除去することを含みうる。
【0049】
方法400は、404における、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、408において、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を感知することと、410において、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流を感知することとを、含む。例えば、センサ(複数可)142は、プロセッサ146に信号(複数可)144を提供しうる。信号144は、熱電的に誘起された電圧の値及び熱電的に誘起された電流の値を示すデータを、含みうるか又は表しうる。
【0050】
方法400は、412において、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて、供試物品の実効抵抗を示す出力を、非破壊試験システムによって生成することも含みうる。例えば、プロセッサ146は、出力デバイス180に出力182を提供しうる。
【0051】
方法400は、414において、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データにアクセスすることも含む。例えば、プロセッサ146は、雷試験データ172にアクセスするために、メモリ170にアクセスしうる。雷試験データ172は、試験された物品の実効抵抗(又はこの物品の接触面)と、この物品が落雷試験に合格したか否かということとの間の関連性を示しうるか、又は、かかる関連性を特定するためにプロセッサ146によって使用されうる。
【0052】
方法400は、416において、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて特定された値と、雷試験データとの比較を実施することも含む。例えば、回路140又は供試物品101の実効抵抗が、破壊的落雷試験を受けた物品の実効抵抗データと比較されうる。別の例では、供試物品101の接触面積107が、破壊的落雷試験を受けた物品の接触面積と比較されうる。方法400は、418において、上記の比較に基づいて、供試物品が破壊的落雷試験に合格する(例えば、雷試験標準を満たす)ことが予期されるか否かを示す、出力を生成することも含む。
【0053】
図5は、本開示による、コンピュータで実装される方法及びコンピュータで実行可能なプログラム指令(又はコード)の実施形態をサポートするよう構成された汎用演算デバイス510を含む、演算環境500のブロック図を示している。例えば、非破壊試験システム100の機能、又は、プロセッサ146や温度コントローラ152といった非破壊試験システム100の一部の機能を果たすために、演算デバイス510又はその部分が、指令を実行しうる。非破壊試験システム100(又は、プロセッサ146や温度コントローラ152といった非破壊試験100の一部)を制御するための指令は、供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを判定するための指令を含みうる。非破壊試験システム100(又は非破壊試験100の一部)を制御するための指令は、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を感知するための指令も含みうる。非破壊試験システム100(又は非破壊試験100の一部)を制御するための指令は、温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流を感知するための指令を、更に含みうる。非破壊試験システム100(又は非破壊試験100の一部)を制御するための指令は、熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて、供試物品が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力を生成するための指令も含みうる。演算デバイス510又はその部分は、図3の方法300や図4の方法400などの本書に記載の方法のうちの任意のものによる指令を、更に実行しうる。
【0054】
演算デバイス510はプロセッサ520を含みうる。プロセッサ520は、システムメモリ530、一又は複数の記憶デバイス540、一又は複数の入出力インターフェース550、一又は複数の通信インターフェース560、又はそれらの組み合わせと、通信しうる。特定の実施形態では、プロセッサ520は、プロセッサ146若しくは温度コントローラ152を含むか、又は、プロセッサ146若しくは温度コントローラ152に対応する。システムメモリ530は、揮発性メモリデバイス(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス)、不揮発性メモリデバイス(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)デバイス、プログラマブル読み出し専用メモリ、及びフラッシュメモリ)、又はその両方を含みうる。システムメモリ530は、演算デバイス510をブート処理するための基本入出力システムを含みうるオペレーティングシステム532、並びに、演算デバイス510が、ユーザ、他のプログラム、及び他のデバイスと相互作用することを可能にするためのフルオペレーティングシステムを、含みうる。システムメモリ530は、プロセッサ520によって実行可能でありうる一又は複数のアプリケーション534を含みうる。例えば、一又は複数のアプリケーション534は、非破壊試験システム100を制御して、供試物品101の実効抵抗を示す出力182を生成するため、供試物品101が破壊的落雷試験(直撃雷影響試験など)に合格することが見込まれるか否かを示す出力184を生成するため、又はその両方を行うために、プロセッサ520によって実行可能な指令を含みうる。
【0055】
プロセッサ520は、図1及び図2のメモリ170などの、一又は複数の記憶デバイス540とも通信しうる。例えば、一又は複数の記憶デバイス540は、磁気ディスク、光ディスク、又はフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性記憶デバイスを含みうる。記憶デバイス540は、着脱可能なメモリデバイスと着脱不可能なメモリデバイスの両方を含みうる。記憶デバイス540は、オペレーティングシステム、オペレーティングシステムの画像、アプリケーション、及びプログラムデータを記憶するよう構成されうる。記憶デバイス54は、雷試験(LT)データ172も記憶しうる。特定の一実施形態では、メモリ530、記憶デバイス540、又はその両方は、物的なコンピュータ可読媒体を含む。
【0056】
プロセッサ520は、ユーザとの相互作用を促進するために演算デバイス510が一又は複数の入出力デバイス570(図1及び図2の出力デバイス180など)と通信することを可能にする、一又は複数の入出力インターフェース550と通信しうる。入出力インターフェース550は、シリアルインターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、又は米国電気電子学会(IEEE)1394インターフェース)、パラレルインターフェース、ディスプレイアダプタ、オーディオアダプタ、及びその他のインターフェースを含みうる。入出力デバイス570は、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ、スピーカ、マイク、タッチスクリーン、及びその他のデバイスを含みうる。プロセッサ520は、入出力インターフェース550を介して受信されたユーザ入力に基づいて、相互作用イベントを検出しうる。加えて、プロセッサ520は、入出力インターフェース550を介して、ディスプレイデバイス(例えば出力デバイス180)に表示を送信しうる。
【0057】
プロセッサ520は、一又は複数の通信インターフェース560を介して、センサ(複数可)142、温度コントローラ152、一又は複数のデバイス580、又はそれらの組み合わせと通信しうる。一又は複数の通信インターフェース560は、有線イーサネットインターフェース、IEEE802無線インターフェース、その他の無線通信インターフェース、又は、その他のネットワークインターフェースを含みうる。一又は複数のデバイス580は、ホストコンピュータ、サーバ、ワークステーション、及びその他の演算デバイスを含みうる。
【0058】
本書に記載の実施形態の例示は、様々な実施形態の構造の全体的な理解をもたらすためのものである。これらの例示は、本書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの、要素及び特徴の全ての網羅的な説明としての役割を果たすことを意図するものではない。本開示を精査することで、当業者には、他の多くの実施形態が自明となりうる。本開示の範囲を逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更がなされうるように、他の実施形態が利用され、本開示から導かれうる。例えば、方法ステップが図に示されているものとは異なる順序で実行されうるか、又は、一又は複数の方法ステップが省略されうる。したがって、本開示及び図は、限定的というよりは、むしろ例示的なものと見なされるべきである。
【0059】
更に、本書では具体的な実施形態を例示し、説明しているが、同じ又は類似した結果を実現するよう設計された後続の構成があればそれが、示されている具体的な実施形態を置換しうることを、認識すべきである。この開示は、様々な実施形態の、あらゆる後続の適応例又は変形例を対象とすることを意図している。本明細書を精査することで、上記の実施形態の組み合わせ、及び、本書では具体的に説明していないその他の実施形態が、当業者には自明となろう。
【0060】
更に、本開示は以下の条項による実施形態を含む。
【0061】
条項1.非破壊試験システムであって、
供試物品の金属構成要素に連結するよう構成された第1電気コネクタ、及び、
供試物品の炭素繊維複合構成要素に連結するよう構成された第2電気コネクタを備える、供試物品インターフェースと、
基準物品の金属構成要素に連結するよう構成された第3電気コネクタ、及び、
基準物品の炭素繊維複合構成要素に連結するよう構成された第4電気コネクタを備える、基準物品インターフェースと、
供試物品インターフェースに電気的に接続され、基準物品インターフェースに電気的に接続され、かつ、少なくとも1つの信号を生成するよう構成された、少なくとも1つのセンサであって、少なくとも1つの信号が、供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとの間の電圧に基づき、かつ、供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとの間の電流に基づき、この電流及び電圧が、供試物品と基準物品との間の温度差に基づく、少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサからの少なくとも1つの信号に基づいて、供試物品が落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力を生成するよう設定された、プロセッサとを備える、非破壊試験システム。
【0062】
条項2.供試物品と基準物品との間の温度差を制御するよう構成された、温度制御システムを更に備える、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0063】
条項3.温度制御システムが、
温度コントローラと、
供試物品インターフェースに連結され、かつ、温度コントローラに連結された、第1温度センサと、
基準物品インターフェースに連結され、かつ、温度コントローラに連結された、第2温度センサと、
温度コントローラに連結された、少なくとも1つの熱伝達素子とを含み、
温度コントローラが、第1温度センサから第1温度指示値を受け取り、第2温度センサから第2温度指示値を受け取り、かつ、供試物品と基準物品との間の温度差を制御するために、少なくとも1つの熱伝達素子に、第1温度指示値及び第2温度指示値に基づく制御信号を提供するよう構成される、条項2に記載の非破壊試験システム。
【0064】
条項4.少なくとも1つの熱伝達素子が、供試物品インターフェースに連結された少なくとも1つの加熱デバイスと、基準物品インターフェースに連結された少なくとも1つの冷却デバイスとを含む、条項3に記載の非破壊試験システム。
【0065】
条項5.少なくとも1つの熱伝達素子が、供試物品インターフェースに連結された少なくとも1つの冷却デバイスと、基準物品インターフェースに連結された少なくとも1つの加熱デバイスとを含む、条項3に記載の非破壊試験システム。
【0066】
条項6.プロセッサが、供試物品の実効抵抗を特定し、かつ、この実効抵抗と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データとの比較を実施するよう、更に設定され、供試物品が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力は、この比較に基づく、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0067】
条項7.供試物品の炭素繊維複合構成要素と基準物品の炭素繊維複合構成要素とが同種の複合材料で形成され、供試物品の金属構成要素と基準物品の金属構成要素とが同種のコネクタである、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0068】
条項8.基準物品が、基準物品の金属構成要素と基準物品の炭素繊維複合構成要素との間に充填材を更に備え、充填材は、供試物品の実効抵抗に比べて基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される、条項7に記載の非破壊試験システム。
【0069】
条項9.プロセッサが、供試物品の接触面積を特定し、かつ、この接触面積と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データとの比較を実施するよう、更に設定され、供試物品が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力は、この比較に基づく、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0070】
条項10.供試物品の材料と基準物品の材料の温度差及び熱電特性によって、電圧及び電流が誘起される、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0071】
条項11.供試物品インターフェースと基準物品インターフェースとが電気的に相互接続されて回路を形成し、回路は、供試物品の第1部分と基準物品の第2部分とを電気的に接続し、かつ、少なくとも1つのセンサを、供試物品の第3部分及び基準物品の第4部分に電気的に接続する、条項1に記載の非破壊試験システム。
【0072】
条項12.
供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを、非破壊試験システムにおいて判定することであって、供試物品が炭素繊維複合構成要素及び金属構成要素を備える、判定することと、
温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、
供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧を、非破壊試験システムによって感知すること、及び、
供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流を、非破壊試験システムによって感知することと、更に、
熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて、供試物品が落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力を、非破壊試験システムによって生成することとを含む、方法。
【0073】
条項13.温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、供試物品の温度、基準物品の温度、又はその両方を、非破壊試験システムによって調整することを更に含む、条項12に記載の方法。
【0074】
条項14.温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、非破壊試験システムの加熱デバイスを使用して供試物品又は基準物品に熱を加えることを更に含む、条項12に記載の方法。
【0075】
条項15.温度差が温度規準を満たさないという判定に基づいて、非破壊試験システムの冷却デバイスを使用して供試物品又は基準物品から熱を除去することを更に含む、条項12に記載の方法。
【0076】
条項16.
破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データにアクセスすることと、
熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて特定された値と、雷試験データとの比較を実施することとを更に含み、
供試物品が破壊的落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す出力は、この比較に基づいて決定される、条項12に記載の方法。
【0077】
条項17.値が、供試物品の実効抵抗、供試物品を含む回路の実効抵抗、供試物品の炭素繊維複合構成要素と供試物品の金属構成要素との接触面積、又はそれらの組み合わせを含む、条項16に記載の方法。
【0078】
条項18.供試物品の炭素繊維複合構成要素が特定の複合材料で形成され、基準物品が、この特定の複合材料で形成された炭素繊維複合構成要素を含み、供試物品の金属構成要素が特定の種類のコネクタに対応し、基準物品が、この特定の種類のコネクタに対応する金属構成要素を含み、基準物品が、基準物品の金属構成要素と基準物品の炭素繊維複合構成要素との間に充填材を更に備え、充填材は、供試物品の実効抵抗に比べて基準物品の実効抵抗を低くするよう構成される、条項12に記載の方法。
【0079】
条項19.指令を記憶するコンピュータ可読記憶デバイスであって、この指令は、非破壊試験システムのプロセッサによって実行されると、非破壊試験システムのプロセッサに、
供試物品と基準物品との間の温度差が温度規準を満たすか否かを判定することと、
温度差が温度規準を満たすという判定に基づいて、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電圧に基づき、かつ、供試物品と基準物品との間に熱電的に誘起された電流に基づく、供試物品の実効抵抗を特定することと、
供試物品が落雷試験に合格することが予期されるか否かを示す、出力を生成することとを含む、工程を実施させる、コンピュータ可読記憶デバイス。
【0080】
条項20.工程が、
熱電的に誘起された電圧及び熱電的に誘起された電流に基づいて特定された値と、破壊的落雷試験を受けた物品の雷試験データとの比較を実施することを更に含み、
出力はこの比較に基づいて決定される、条項19に記載のコンピュータ可読記憶デバイス。
【0081】
本開示の「要約書」は、それが、特許請求の範囲又は意味を解釈する又は限定するために使用されるわけではないとの理解のもとに、提出されるものである。加えて、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を簡潔にする目的で、様々な特徴がひとまとめにグループ化されているか、又は、単一の実施形態において説明されていることがある。この開示は、特許請求される実施形態が各請求項に明示的に記載されているもの以外の特徴を要するという意図を反映していると、解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映しているように、特許請求される主題は、開示されている実施形態のいずれについても、その全ての特徴よりも狭義に向けられうる。
図1
図2
図3
図4
図5